(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979738
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】ポリマー骨格シース
(51)【国際特許分類】
A61F 2/97 20130101AFI20160818BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20160818BHJP
【FI】
A61F2/97
A61M25/10 500
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-512167(P2014-512167)
(86)(22)【出願日】2012年5月25日
(65)【公表番号】特表2014-516708(P2014-516708A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】US2012039719
(87)【国際公開番号】WO2012166661
(87)【国際公開日】20121206
【審査請求日】2015年4月24日
(31)【優先権主張番号】13/118,311
(32)【優先日】2011年5月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507135788
【氏名又は名称】アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【弁理士】
【氏名又は名称】木元 克輔
(72)【発明者】
【氏名】リウ, アニー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス, ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, マーク シー.
(72)【発明者】
【氏名】マクニヴン, ショーン エー.
【審査官】
小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−513312(JP,A)
【文献】
特表2004−528066(JP,A)
【文献】
特表2008−504078(JP,A)
【文献】
特表2008−529719(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/037360(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0269865(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/95− 2/97
A61M 25/00−25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルのバルーンに圧着された骨格であって、前記カテーテルは、遠位端を有し、前記骨格は、前記遠位端の近位で前記バルーンに圧着される、骨格と、
前記骨格上に配置され、前記カテーテルの遠位端の延在部と、前記骨格の近位に配置される干渉突起部を形成する部分と備える第1のシースと、
前記骨格および前記第1のシース上に配置され、前記骨格および前記第1のシースに前負荷を印加して前記第1のシースと骨格との間の接触を維持する第2のシースとを具備する装置であって、
前記第1のシースは、前記干渉突起部を前記第2のシースが前記骨格から除去された場合にのみ前記骨格から外すことができるように、前記第2のシースが前記延在部に移動した後にのみ、前記骨格から除去することができ、
前記装置は、前記第1のシースおよび前記第2のシースを前記カテーテルから除去する際に、患者に導入するのに好適な医療デバイスとして構成される、装置。
【請求項2】
前記第1のシースは、前記骨格の長さに等しいおおよその長さ分、前記カテーテルの遠位端の遠位方向に延びる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のシースは、前記第1のシースの近位部分を形成する、第1および第2の分離可能な半部を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のシースは、第1の長さおよび第2の長さの合計である全長を有し、前記第1の長さは、おおよそ前記骨格の長さであり、前記第2の長さは、前記第1の長さ以上であり、前記第2の長さは、前記第1のシースが前記遠位端の遠位方向に延在する量とおおよそ同程度である、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の長さにわたって配置される前記第1のシースの第1の部分は、前記第1のシースの半部を形成する切り込みを備え、前記第2の長さにわたって配置される前記第1のシースの第2の部分は、実質的に、前記切り込みを欠いている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のシースの前記第2の部分は、その遠位端および近位端に、隆起部分を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のシースは、少なくとも前記骨格の長さ分、前記遠位端の遠位方向に延在する、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のシースは、前記骨格の長さを上回る分、前記遠位端の遠位方向に延在する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のシースは、前記第2のシースが前記骨格およびバルーンの近位端の近位方向に配置されることを阻止することが可能な大きさを有する当接部を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
前記当接部は、前記第1のシースの半部が合わさった部分を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のシースおよび前記第2のシースは、(a)前記第2のシースが前記骨格または前記カテーテルの遠位端の実質的に遠位の位置に変位されるように、前記第2のシースを前記第1のシースの外面に沿って遠位方向に引っ張ること、および(b)前記第2のシースが、実質的に遠位の位置に移動された後、前記第2のシースを前記第1のシースの延在部に対して引っ張ることによって、前記骨格から前記第1のシースを除去し、それによって、前記第1のシースを前記第2のシースとともに遠位方向に変位させることによって、前記装置が患者内に導入されるのに好適な医療デバイス内に構成されることが可能であるように、互いに対して配設される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記カテーテルが管腔を有するシャフトを有し、さらに、
前記シャフトの前記管腔内に配置される芯金を備え、
前記芯金、第1のシース、および第2のシースは、前記芯金を把持しながら前記第2のシースを前記第1のシースの延在部に対して引っ張ることによって、前記管腔から前記芯金、および前記骨格から第1のシースを同時に除去し、それによって、前記第1のシースを前記第2のシースとともに遠位方向に変位させ、前記カテーテルのシャフト管腔から前記芯金を除去することによって、前記装置が患者内に導入されるのに好適な医療デバイス内に構成されることが可能であるように、互いに対して配設される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のシースは、ともに前記干渉突起部を形成する上半部と下半部とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記第1のシースは、前記干渉突起部の近位方向の隆起部を含む、請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物溶出医療デバイスに関し、より具体的には、本発明は、送達バルーンに圧着されたポリマー骨格のためのシースに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の非外科的治療介入は、血管壁上での血小板または他の物質の蓄積によってもたらされる患者の狭窄血管または閉塞血管を開放するために、何年にもわたり開発されている。このような手順は、通常、動脈の管腔への介入デバイスの経皮導入を伴う。1つの手順において、狭窄は、拡張可能ステント等の介入デバイスを狭窄領域に配置して、血管または他の動脈管腔の一部を開放して保ち、ときにはそれを拡張することによって、治療することができる。金属または金属合金ステントは、狭窄が、経皮経管冠状動脈形成術(PTCA)、経皮経管血管形成術(PTA)、または他の手段による除去によって縮小された後に、血管の治療または修復に有用であることが判明している。金属ステントは、典型的に、圧縮された状態で標的部位に送達され、次いで、標的部位で拡張状態また展開状態に展開されて、血管を支持する。
【0003】
次の用語を使用する。「ステント」への参照がなされる場合、この用語は、一般的に言うと、金属または金属合金構造を指し、一方で、骨格とは、ポリマー構造を指す。しかしながら、当該技術分野では、しばしば、金属またはポリマー構造のいずれかを指す際に、「ステント」という用語を使用することを理解されたい。
【0004】
金属ステントは、従来的に、バルーン拡張式または自己拡張式の2つの一般カテゴリに分類されている。後者の形式は、半径方向の抑制が除去されると、血管内で展開または拡張状態に拡張し、一方で、前者は、それを圧着または収納状態から展開または拡張状態に構成するのに、外部印加力に依存する。
【0005】
例えば、例として形状記憶金属または超弾性ニッケルチタン(NiTi)合金から形成された自己拡張式ステントは、ステントが、送達カテーテルの遠位端から体管腔へと前進すると、すなわち、半径方向の抑制が撤退または除去されると、圧縮状態から自動的に拡張するように設計される。典型的には、これらのステントは、半径方向抑制ポリマーシース内で送達される。このシースは、ステントを標的部位に案内するために必要とされる低プロファイルを維持する。標的部位に到達すると、シースは、次いで、所望の例での展開または設置を促進するように制御された方法で、除去または撤退される。体内の標的部位に送達される際に、シース内に拘束される自己拡張式ステントの例は、米国特許第6254609号明細書、米国特許出願公開第2003/0004561号明細書、および米国特許出願公開第2002/0052640号明細書に見出される。
【0006】
バルーン拡張式ステントは、その名称が示すように、上にステントが圧着されたバルーンの膨張を通じて外部力を適用することによって拡張される。この拡張バルーンは、ステントの管腔表面上で、半径方向に外向きの力を印加する。圧着または収容から、展開または拡張状態への拡張時に、ステントは、本質的に、バルーンの圧力が取り除かれた後にその変形した展開状態を維持するという意味で、ステントは、塑性または不可逆性の変形を受ける。
【0007】
バルーン拡張式ステントはまた、標的部位への経管送達、またはステントバルーンカテーテル送達システムの組み立てのいずれかの際に、シース内に配置することができる。バルーン拡張式ステントは、標的血管への経路途中に、バルーンからステントが外れることを最小限に抑えるために、標的部位への送達時は、シース内に収容することができる。シースはまた、ステントをバルーンカテーテルに押圧または圧着する圧着プロセス時に、薬物溶出ステントを保護するために使用することができる。例えば、iris型の圧着機構を使用してステントをバルーンに圧着する際、しばしば硬化金属製の圧着器のブレードは、ブレードおよび/またはステントの支柱が径の減少時に位置ずれを起こす場合等には、薬物−ポリマーコーティングに溝を形成するか、または、さらにはコーティングを剥離し得る。圧着プロセス時にステントを保護するためにシースを利用するステントの例は、米国特許第6783542号明細書および米国特許第6805703号明細書に見出される。
【0008】
米国特許出願公開第2010/0004735号明細書に記載のもの等、ポリマー骨格は、生分解性、生体吸収性、生体再吸収性、または生体浸食性(bioerodable)のポリマーから作製することができる。生分解性、生体吸収性、生体再吸収性、生溶解性、または生体浸食性という用語は、骨格が標的血管に埋め込まれた後に、劣化、吸収、再吸収、または浸食する、材料またはステントの特性を指す。米国特許出願公開第2010/0004735号明細書に記載のポリマー骨格は、金属ステントとは対照的に、限られた期間のみ、体内に留まることを意図する。多数の治療用途において、体内でのステントの存在は、血管の強度および/または薬物送達の維持を例とする、その意図される機能が達成されるまでの限られた期間の間、必要であり得る。さらに、生分解性骨格は、金属ステントとは対照的に、解剖学的な管腔の治癒の改善および遅発性ステント血栓症の発症の低減を可能にする。これらの場合において、血管内のプロテーゼの存在が限られた期間となるように、金属ステントとは対照的に、ポリマー骨格、特に、生体浸食性ポリマー骨格を使用して血管を治療する要望が存在する。しかしながら、ポリマー骨格を有する送達システムを開発するには、克服しなければならない課題が多数存在する。
【0009】
ポリマー骨格としての使用が考えられるポリマー材料、例えば、ポリ(L−ラクチド)(「PLLA」)、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)(「PLGA」)、D−ラクチドが10%未満のポリ(D−ラクチド−co−グリコリド)もしくはポリ(L−ラクチド−co−D−ラクチド)(「PLLA−co−PDLA」)、およびPLLD/PDLA立体複合体は、次のうちのいくつかの方法で、ステントを形成するために使用される金属材料との比較を通じて、説明することができる。好適なポリマーは、重量比に対して低い強度を有し、これは、金属のものに等しい機械特性を提供するには、より多くの材料が必要であることを意味する。したがって、支柱は、ステントが所望の半径で管腔壁を支持するのに必要とされる強度を有するためには、より厚く、幅広でなければならない。このようなポリマーから作製された骨格はまた、脆弱であるか、または制限された破壊靱性を有する傾向にある。材料に固有である異方性および頻度依存性の非弾性特性(すなわち、材料の強度/剛性が、材料が変形する速度に応じて多様である)のみが、ポリマー、特に、PLLAまたはPLGA等の生体吸収性ポリマーを用いることにおける、この複雑性を構成する。ポリマー骨格を送達バルーンに固定する際に生じた課題は、米国特許出願第12/861,719号(代理人整理番号62571.448号)に記載されている。
【0010】
ポリマー骨格を使用する場合、金属ステントの取り扱いでは可能であったプロセスのいくつかは、もはや使用することができない。金属ステントは、圧着ヘッドから除去した後の金属構造における反跳が、排除されない場合であっても、最小限に抑えられるような方法で、バルーンに圧着することができる。ステントに使用される金属材料は、一般的に、圧着プロセス中、ポリマー材料よりも機能する能力が高い。金属のこの望ましい特性は、ステント−カテーテルがパッケージ化され、医療処置での使用待機状態にある場合、長期間で金属ステントとバルーンとの係合が変化することについての問題を減らすことを可能にする。圧着機構内で高温での継続的圧着および解放を例とする圧着プロセス時に機能する材料の能力のため、圧着後の金属の反跳傾向は、バルーンによって後で拡張される際のステントの半径方向強度に影響を及ぼすことなく、排除されない場合であっても、有意に低減することが可能である。このように、圧着プロセスに続き、ステント−カテーテルアセンブリは、しばしば、所望されるステントとバルーンとの係合および送達プロファイルを維持するためのパッケージ化または処理が必要ない。ステントがより大きな径に反跳した場合、すなわち、圧着力が取り除かれた後に、より大きな径に弾性的に拡張した場合、著しい移動力が損失され得、ステント−バルーンプロファイルは、ステントを標的部位に送達するのに必要な所望の径で維持されない。
【0011】
ポリマー骨格は、圧着の際に、その材料に固有の弾性反跳傾向を低減させるような方法、例えば、適切な休止期間、圧着ブレードを骨格表面上に維持することによって、圧着することができるように形成することができるが、これらの方法の有効性は、限定される。重大なことに、この材料は、一般的に、金属ステントが材料の過剰な亀裂等、展開された強度の問題を提示することなく機能し得る程度まで、機能することができない。圧着構造の反跳は、したがって、取り組む必要のある問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述のことを考慮すると、ポリマー骨格を送達バルーンに固定し、骨格およびバルーンを体内の標的部位に送達するときまで、骨格−バルーンカテーテル送達システムの統合性を維持することに関連する課題に取り組む必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ポリマー骨格バルーン係合および送達システムプロファイルを維持するために使用されるシース、ならびにシース内に収容されるバルーン拡張可能ポリマー骨格を含む、医療デバイスの組み立て方法を対象とする。本発明はまた、圧着された骨格とバルーンの係合を崩壊させるかまたは骨格を損傷することなく、直感的な方法で、医療専門家、例えば、医師によって、シースを容易に除去することを可能にする、シースおよびシースの適用方法を対象とする。本発明によるシースは、医療デバイスが患者に導入される前に、除去される。
【0014】
本発明によるシースは、特に、展開径の近くまたはそれより大きい径で形成された骨格が、交差プロファイルまたは圧着径にまで圧着される、圧着プロセス後に、骨格とバルーンの係合および所望される送達プロファイルを維持するのに有用である。これらの径で形成された骨格は、圧着径のより近くで形成された骨格と比較して、血管を支持する際、強化された半径方向強度を示し得る。しかしながら、展開径近くで形成された骨格は、材料における形状記憶のために、圧着プロセス後、骨格の弾性反跳の傾向が増加する。展開時の半径方向強度を強化するため依存される形状記憶もまた、したがって、圧着された骨格により大きな弾性反跳の可能性をもたらす。反跳は、交差プロファイルの増加およびバルーン上で骨格を保持するために必要な骨格とバルーンの係合の減少の両方を行う。一態様において、本発明は、展開径近くで形成された骨格の、交差プロファイルの維持および/またはバルーンと骨格の係合の維持を対象とする。
【0015】
別の態様において、本発明は、ポリマー骨格をカテーテルのバルーンに圧着すること、および短期間で圧着器から骨格を除去し、骨格上に抑制シースを設置することを含む、カテーテルの組み立て方法を対象とする。これらのステップには、さらに、骨格の最終圧着後に長い休止期間を適用し、続いて抑制シースを適用することが含まれてもよい。圧着休止期間および抑制シースの適用のいずれも、圧着骨格における反跳を低減することを意図する。抑制シースは、保護シースおよび拘束シースの両方を含み得る。
【0016】
別の態様において、本発明は、E−ビーム放射線によって滅菌され、滅菌パッケージに収容された、医療デバイスを対象とし、このパッケージは、バルーンカテーテルに圧着された骨格と、圧着された骨格の反跳を最小限に抑えるために圧着された骨格上に配置されるシースとを含む。シースは、圧着された骨格を覆い、カテーテルの遠位端を越えて延在する。シースは、少なくとも骨格の長さ分カテーテルの遠位端を越えて延在し得る。シースの遠位端には、手動で把持し、カテーテルの遠位方向に引っ張って、シースをカテーテルから除去するように構成される部分が存在する。
【0017】
別の態様において、本発明は、シース対を、医療専門家によって安全で直感的な方法で、骨格から除去するための装置および方法を対象とする。本発明のこの態様によると、シース対は、シース対が医療専門家によって不適切な方法で誤って除去される場合等、骨格がバルーンから外れるかまたは損傷される危険性なしに、医師等の専門医によって除去することができる。
【0018】
本発明によって配設されるシースは、圧着された骨格において反跳を阻止するのに効果的な半径方向の拘束を提供しながらも、骨格から手動で除去するのが比較的容易である。半径方向の拘束を印加するシースは、圧着された骨格を損傷すること、それをバルーン上から外すかまたは移動させることなく、手動で除去することが困難な場合がある。これらの場合には、効果的な半径方向の拘束を印加する方法でシースを配設しながらも、シースを安全で直感的な方法で手動の除去が可能なようにすることが望ましい。シースの除去プロセスを、わかりやすく直感的なものにすることで、医療専門家がシースを除去する際に医療デバイスを損傷する可能性が低減されることになる。
【0019】
本発明の他の態様によると、圧着された骨格は、保護シースおよび拘束シース内で、拘束される。保護シースは、圧着された骨格とバルーンの構造の統合性を保護し、一方で、拘束シースは、圧着された骨格に適用および/または除去される。この方法で配設することで、シースが手動で除去されるときに、バルーン上で骨格が外れるかまたは移動する危険性を伴うことなく、半径方向に内側の力を、シースを介して圧着された骨格に印加することができる。
【0020】
別の態様によると、シース対を使用することで、骨格が患者に導入され得る前に骨格から手動で除去する必要のある単一のシースを使用して可能なものよりも高い、半径方向に内側の拘束を圧着ポリマー骨格に加える。
【0021】
本発明の別の態様によると、圧着された骨格を覆うシース対は、第1のシースが第2のシースの末端に当接し、第2のシースが両シースを同時に引っ張ることによって除去されるまで、第1のシースを第2のシース上で摺動させることによって除去される。
【0022】
前述の目的を踏まえて、本発明の一態様においては、骨格バルーンカテーテルを組み立てるための方法が存在し、これは、バルーンに圧着された骨格を有するバルーンカテーテルを提供することと、保護シースを骨格上に設置して骨格を保護し、次いで、拘束シースを保護シース上で押し進め、拘束シースを使用して骨格の反跳を拘束することを含む、圧着された骨格を拘束することと、を含み、この骨格は、拘束シースおよび保護シースが除去された後にのみ、患者の身体を通過するように構成される。
【0023】
別の態様においては、装置が存在し、これは、遠位端を有し、バルーンに圧着されたポリマーを含む骨格を備える、カテーテルアセンブリと、骨格上に配置されるシースであって、骨格の反跳を制限するように圧着された骨格上に半径方向に内側の力を印加し、骨格の長さにおおよそ等しい長さ分カテーテル遠位端の遠位方向に延在する、シースと、を備え、この装置は、シースが除去された後にのみ、患者の身体を通過するように構成される。シースは、保護シースと、保護シースおよび圧着骨格上に配置され、内向きの半径方向力を圧着骨格上に印加することによって、骨格の反跳を制限する、拘束シースと、を備え得る。
【0024】
別の態様においては、装置が存在し、これは、カテーテルのバルーンに圧着された骨格であって、カテーテルが遠位端を有し、骨格が遠位端の近位でバルーンに圧着される、骨格と、骨格上に配置され、カテーテルの遠位端の遠位にある延在部を含む、第1のシースと、骨格上に配置される第2のシースと、を備え、第1のシースおよび第2のシースは、(a)第2のシースが骨格またはカテーテルの遠位端の実質的に遠位の位置に変位されるように、第2のシースを第1のシースの外面に沿って遠位方向に引っ張ること、および(b)第1のシースが実質的に遠位の位置に移動された後に、第2のシースを第1のシースの延在部に対して引っ張ることによって、骨格から第1のシースを除去し、それによって、第1のシースを第2のシースとともに遠位方向に変位させることによって、装置が患者内に導入されるのに好適な医療デバイスに構成されることが可能であるように構成されている。
【0025】
別の態様においては、装置が存在し、これは、カテーテルのバルーンに圧着された骨格であって、カテーテルが遠位端を有し、骨格が遠位端の近位でバルーンに圧着された骨格を有する、骨格と、骨格上に配置され、カテーテルの遠位端に延在部を含む第1のシースと、骨格の近位に配置される干渉突起部を形成する部分と、骨格および第1のシースの上に配置され、骨格および第1のシースに前負荷を印加して第1のシースと骨格との間の接触を維持する第2のシースと、を備え、第1のシースは、干渉突起部が第2のシースを骨格から除去した後にのみ骨格から外すことが可能なように、第2のシースが遠位方向の延在部に移動した後にのみ、骨格から除去することができ、この装置は、第1および第2のシースをカテーテルから除去する際に、患者に導入するのに好適な医療デバイスとして構成される。
【0026】
[参照による組み込み]
本明細書に記載の全ての出版物および特許出願は、各個別の出版物または特許出願が、明確かつ個別に参照により組み込まれることが示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれる出版物または特許と本明細書との間に用語および/または語句の矛盾が存在する場合、これらの用語および/または語句は、本明細書で使用されている形式と一致する意味を有するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】圧着された骨格上に設置された1対のシースを有する、ポリマー骨格バルーンカテーテルアセンブリ(医療デバイス)の側面図である。
【
図1A】
図1のデバイスのその近位端の一部分の断面側面図を示す。
【
図2B】
図2Aのシース対の保護シースの側面図、ならびに第1および斜視図を示す。
【
図3A】
図2Aのシース対を
図1のカテーテルアセンブリの遠位端に固定する方法を図示する。
【
図4A】
図2Aのシース対を
図1のカテーテルアセンブリの遠位端から除去する方法を図示する。
【
図5A】保護シースの代替的な実施形態の側面および正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
好ましい実施形態によるポリマー骨格は、半径方向に拡張されるか、または二軸で拡張される押出PLLA管から形成される。骨格は、拡張管からレーザー切断される。管の直径は、好ましくは、先に説明されたように、骨格に対し、望ましい半径方向強度の特徴を提供する、意図される展開径とおおよそ同じか、またはそれより大きくなるように選択される。骨格は、次いで、バルーンカテーテルのバルーンに圧着される。好ましくは、iris型圧着器を使用して、骨格をバルーンに圧着する。骨格に所望される圧着プロファイルは、拡張した管および骨格の開始(圧着前)径の1/2または1/2未満である。この実施形態において、開始径(圧着前)と最終圧着径の比率は、2:1、2.5:1、3:1以上であってもよい。例えば、開始径と最終圧着径の比率は、約4:1〜6:1を例として、骨格の展開径と最終圧着径の比率よりも大きくてもよい。
【0029】
圧着後の骨格材料における圧着前の記憶が、骨格が圧着器から除去される際に、いくらかの反跳を引き起こすことになる。圧着器内での休止期間はこの反跳傾向を低減させ得るが、骨格が使用待機状態にある間、抑制する必要のある残留反跳が存在することがわかる。これは、圧着ブレードが解放され、骨格が圧着器ヘッドから除去された直後に、骨格上に抑制シースを設置することによって、行うことができる。この反跳を低減させる必要性は、圧着径と比較してより大きな開始径のために、圧着材料がより大きな反跳傾向を有し得ることから、圧着時の直径の減少が大きい場合に、特に明白である。本明細書に記載のシースを構築するために使用可能なポリマーの例は、Pebax、PTFE、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、およびナイロンである。ポリマー骨格の抑制シース、ならびにポリマー骨格の抑制シースを取設および除去するための方法の例は、米国特許出願第12/916,349号(整理番号104584.7)に記載されている。
【0030】
図1は、骨格−バルーンカテーテルアセンブリ2の遠位部分の側面図である。カテーテルアセンブリ2は、カテーテルシャフト4および送達バルーン12に圧着された骨格10を含む。示されるように、骨格10の上に配置される、2つの別個のシース20、30が存在する。骨格10は、保護シース20、および保護シース20の外面上で摺動してそれを骨格10上に配置する拘束シース30内に含まれる。カテーテルアセンブリ2の遠位端を患者内に挿入する前に、拘束シース30および保護シース20の両方が、医療専門家によって除去される。
【0031】
シース20、30は、圧着された骨格10での反跳を低減させるために効果的な半径方向の拘束を提供する。それにもかかわらず、シース20、30はまた、医療処置時に、医療専門家によって容易に除去される。半径方向の拘束を印加するシースは、医療デバイスの構造的統合性に悪影響を及ぼすことなく手動で除去することが困難な場合がある。これらの場合、シースが手動で除去される場合に、医療専門家による特別な処理が必要ないように、シースを配設することが望ましい。シース除去プロセスを、わかりやすく直感的なものにすることによって、医療専門家が不適切にシースを除去することによって医療デバイスを損傷する可能性が低減される。
【0032】
シース20、30によって印加される拘束は、圧着機構から除去されたときに有していたものと実質的に同じか、同じに近い直径で、すなわち、歪曲した血管を越えて体内の標的位置に骨格10を送達するのに必要な、圧着された交差プロファイルで、骨格10を維持する。シース30は、骨格10に印加される半径方向に内側の力が骨格10での反跳を低減させ得るように、シース20および骨格10に緊密に嵌合される。医療専門家は、続いて、医療処置のときに、両方のシースを除去することができる。このようにして、医療デバイス使用前の骨格10における反跳の可能性が、最小化される。
【0033】
シース30は、骨格10上で(シース30を通じて)緊密な嵌合を受けているにもかかわらず、骨格10がバルーン12から誤って引き離される危険性を有することなく、医療専門家によって容易に除去することができる。これは、シース20を位置付けし、骨格10から除去する方法で、達成される。シースを除去する際に骨格10への過剰な牽引力が存在する場合、骨格10は、バルーン12から外れ得るか、またはバルーン12上で移動し得、それによって、骨格10をバルーン12に保持するために依存している骨格とバルーンの係合が低減される。
【0034】
骨格10が、
図1にあるように、シース30によって拘束されている場合、拘束シース30は、圧着された骨格10が存在する、保護シース20の部分に位置付けられる。このシース30は、シース30が骨格10に半径方向に内向きの力を印加することをもたらすように好適に選択された厚さおよび応力前の内径寸法を有する、ポリマー管材料から作製される。シース30の管が厚く、応力前内径寸法が小さいほど、骨格10へのこの拘束力は大きい。しかしながら、これは、シース30が骨格10上で摺動するかまたはシース30を骨格10から除去することを困難にするため、シース30の厚さは厚すぎてはならず、その内径も小さすぎてはならない。シース30の再配置に過剰な力が必要とされる場合、骨格10は、バルーン12から外れ得るか、またはシース30が移動する際に損傷を受け得る。
【0035】
単一のシース30のみを使用して骨格10を拘束した場合、すなわち、シース20が存在しない場合、シース30が、骨格とバルーンの係合に影響を与えることなく骨格10に印加することができる前負荷の量は、制限されることになる。しかしながら、保護シース20を骨格−バルーンの表面とシース30との間に導入することによって、シース30が骨格10に適用および/または除去される際に、骨格とバルーンの係合の統合性に危険を及ぼすことなく、シース30はより高い前負荷を骨格10に印加することが可能である。保護シース20は、したがって、シース30が骨格10に対して再配置される際、骨格−バルーン構造の統合性を保護するように機能する。
【0036】
保護シース20は、骨格の全長にわたって(示されるように)、さらに、これから明らかとなる理由のために、カテーテルの遠位先端6を越えて延在する。保護シース20は、好ましくは、単一のポリマー材料片から形成され、これは、骨格10/バルーン12を保護するために、異なる寸法の部分22、24、および25を形成するように成形される。
【0037】
シース20の遠位端20bには隆起した端部22が、
図1で骨格10を覆う端部22の右側のシース20の本体部分21よりも大きな直径を有するシリンダー部の形態で存在する。このように、隆起した端部22は、シース30の遠位方向移動に対して、当接表面を提供する、すなわち、シース30の端部30bは、シース30が
図1において左側に移動する際に、端部22と当接する。端部22は、代替として、円錐の形態をとることも可能であり、円錐の最大径の端部が、シース20の最も遠位の端部である。隆起した端部22を使用して、以下に説明されるように、シース20、30を除去する。
【0038】
保護シース20は、近位端20aからカテーテルアセンブリ2の先端6の遠位の位置まで延在する切り込み26を有する。切り込み26は、シース20の上および下の分離可能な半部28、29を形成する。これらの半部29、28は、シース30が遠位端20bに向かって配置される場合に、自由に離れるように構成される。位置26aは、シース20の上半部29および下半部28が、その周囲で回転するか、骨格10から外れることが可能なリビングヒンジ26aであると考えることができる。シース30が
図1で骨格10の遠位方向に移動する場合、半部28、29は、ヒンジ26aの付近でシース30によって印加される前負荷のため、自然に開放する傾向にある(分離可能な半部28、29は、
図2A〜2Dでより明確に確認することができる)。半部29、28のこの配設は、シース30が遠位端20bに移動された後に、骨格とバルーンの構造統合性に対する崩壊が最小限で、シース20が骨格10から容易に除去されることを可能にする。シース30が骨格10に嵌合しているか、骨格10から除去されている場合、半部28、29の存在は、摺動シース30と骨格10の表面との間の直接の接触を阻止する。
【0039】
シース20の近位端20aには、
図1に示すように、半部28、29の合わせた近位端が一緒になった場合に形成される、部分24および25が存在する。半部28、29が一緒になると、部分24および25は、
図1および
図1Aのアセンブリの近位端20aの断面図に示されるように、段部または切欠き部25、および端部22に類似の隆起した端部24の形態をとる。切欠きまたは段部25は、骨格10を覆うシースの部分21の外径、ならびに骨格10/バルーン12の外径よりも小さな外径を有する。隆起した端部24は、本体部分21よりも大きな直径を有する。隆起した端部24は、シース30の近位端30aが
図1で右側に移動することを阻止する当接部または停止部24aを提供する。このように、端部24は、シース30が骨格10から摺動して外れることを阻止する。部分24はまた、骨格10およびバルーン12に嵌合するように、シース30の近位端30aのおおよその位置を特定するように機能する。シース30は、端部30aが端部24と当接する際、シース30が骨格10/バルーン12の全長を適正に覆うことになるように、部分25の長さに骨格/バルーンの長さを加えた長さにおおよそ等しい長さを有する。
【0040】
部分25は、シース30が骨格10から除去される前に、シース20を除去することを阻止する。
図1Aは、
近位端20aを、骨格10上に配置されると
本体部分21に印加される内向きの前負荷F30によって置き換えられる、シース30(点線で示される)とともに示す。部分25の遠位端は、突起部25aを形成する。シース30が骨格10上に配置されると、
本体部分21に印加されている内向きの前負荷F30が、半部29、28を一緒に合わせる。半部28、29が一緒になることで、骨格/バルーンの近位端14aは、突起部25aの左側への移動を妨害することによって、
図1Aでは左側へのシース20の移動を妨害する。したがって、使用者が、骨格10の領域からシース30を除去する前にシース20を引っ張ろうとする場合(これは、骨格/バルーンの統合性を損傷し得る)、突起部25aがバルーンの近位端14aと当接しているため、この移動に対して抵抗が存在することになる(突起部25aは、したがって、シース20の干渉または干渉突起部であると考えることができる)。この抵抗は、シース20、30が不適切な方法で除去されていることを使用者に示すはずである。シース20、30が適正に除去されると、第1のシース30は、シース20の遠位端20bまで移動され(それによって、前負荷F30を除去する)、その結果、半部28、29は、自由に開放され、突起部25aが骨格10上を容易に通過し、シース20が抵抗なく除去される。使用者は、それによって、シース20をバルーンカテーテルアセンブリ2から除去するのに抵抗が存在しない場合は、シース20が適正に除去されていることを認識する。
【0041】
このため、骨格バルーン統合性は、上で述べられるように、半部28、29、および切欠き部25の存在によって保護される。先端6を越えた、シース20の延伸された長さは、例えば、およそ骨格10の長さ、シース30の長さに等しいか、または両方を上回る。遠位端6を越えたこの長さは、それぞれ、カテーテルアセンブリ2の先端6の遠位にある、シース20延在部に沿って、シース30を摺動させることによって、骨格10からの/へのシース30の直観的摺動除去または取設を促進する。カテーテルアセンブリ2の遠位端
6を越えて延在する、シース20の長さ(
図4A中の長さL21)は、使用されるシースの選択に依存してもよい。例えば、医療専門家の除去プロセスの観点から、シース20が、シース30に対して、より剛性である(例えば、より高い壁厚および/または係数)場合、シース20に対する遠位端
6を越える長さは、シース30を、骨格10のより遠位方向に取り除くことによって、半部28、29、シース20を、骨格10からより安全に変位させることができるように、より長くてもよい。シース30の壁厚および/または係数が、シース20に対してより高い場合、長さは、シース30は、それが先端6の遠位方向に移動される際、半部28、29を自然に開く傾向があるため、より短くてもよい。また、より厚いまたはより高い係数のシース20および/またはシース30が、例えば、ユーザが、シース20を除去しようとするとき、または骨格10からシース30を除去する前(先で述べられるように)、シース20の不適切な除去への抵抗を増加させるために望ましい場合がある。
【0042】
図2B〜2Dを参照すると、シース20の種々の図が示される。
図2Aは、シース30とともにシース20を示す。上で言及されるように、シース30は、端部30aが端部24aに当接するとき、シース30が、骨格10上に、十分に均一な半径方向の内向きの力または前負荷を印加するように、長さL30を有するように寸法決定される。したがって、長さL30は、骨格バルーン構造の長さよりもわずかに大きいものであるべきである。シース30は、
シース20の外面上で骨格位置(すなわち、
図2Aもしくは
図1中のその位置)に向かって、またはそこから離れて摺動することができる。先で記載されるように、シース20は、シース20を形成する管にわって作製される切り込み26によって形成される、分離可能な上および下半部29、28を有する。
図2Dは、互いから分離される上および下半部28、29の斜視図である。この図から理解することができるように、半部28、29は、それらが分離するとき、ヒンジ26aの周囲を回転する。
図2Bおよび2Cは、前述の構造を示し、先で述べられる、切欠きまたは階段状部25の部分、および端部24を含む、それぞれシース20の追加の側面および斜視図を示す。
【0043】
図2C中の長さL20は、半部28、29が、骨格10上に配置される間に、シース30を、骨格10上へ押し、骨格10から除去することができるように、骨格10の長さ、ならびに骨格10を越えた十分な距離にわたって延在するように選択されるべきである。長さL20は、この目的を達成するために、シース30の長さの少なくとも2倍、すなわち、L20=2*L30であり得る。この長さは、シース30からの干渉を伴うことなく、上および下半部28、29がはがれるか、またはリビングヒンジ26aの周囲で回転し、骨格表面から自由に離れることを可能にするように(
図2Dにあるように)十分であるべきである。
【0044】
先で言及されるように、シース30に対するより厚い管およびより小さい内径は、シース30に、骨格10により大きい前負荷を印加させる。シース30の厚さおよび/または内径寸法は、シース20を念頭において選択される。すなわち、一方の寸法決定は、所望される前負荷F30(
図1A)の量の中での適切なバランスの達成、シース30を骨格10の位置に配置またはそれから除去することができる容易性、シース20の不適切な除去に対する抵抗の増加(上で述べられるように、近位端14aに当接する突起部25a)、および骨格バルーン構造の統合性への破壊の回避、例えば、シース30が除去されるときに骨格10がバルーンから外れることの回避に基づいて、他方に対して、使用するべき寸法が何かを決定することができる。例えば、比較的薄いおよび/または低い係数の管がシース20に対して使用される(シース30と比較して)場合、シース30は、骨格10により高い局所化した前負荷を付与する。また、骨格10は、シース20は、シース30の移動下で、容易に変形するため、シース30の移動によって影響される可能性がより高い。シース20が厚く作製される、および/またはより高い係数の管材料がシース20に対して使用される(シース30と比較して)場合、骨格10は、シース30の移動によって影響されない。また、シース20は、シース30の移動下で容易に変形しないため、骨格10への前負荷の局所的な変化は、より低い傾向がある。
【0045】
図3A〜3Dを参照して、シース20、30(シース対)を使用する組み立て方法をここで説明する。骨格10は、圧着機構を使用して、カテーテルアセンブリ2のバルーン12に圧着される。上で記載されるように、ポリマー骨格に対して、圧着中の直径の低減は、2:1、2.5:1、3:1、4:1以上であってもよい。この直径の低減は、骨格構造に高い応力を導入する。圧着後の材料における記憶は、先で述べられるように、骨格構造の反跳を引き起こす。
【0046】
加熱された圧着器のブレードが、応力解放を促進するように、固定直径および温度を維持している間、構造内で応力解放が生じることを可能にするように、例えば、最終圧着ステップ後に、圧着器内に長い休止期間を組み込むことができる。圧着後の停止期間および圧着された骨格上への拘束シースの配置の両方は、圧着後の反跳を低減するのに役立つ。圧着後の応力緩和および反跳に影響し得る、望ましい休止期間および温度を含む、バルーン12への骨格10の圧着は、米国特許出願第12/861,719号(整理番号62571.448)、米国特許出願第13/089,225号(整理番号62571.517)、および米国特許出願第13/107,666号(整理番号62571.522)に開示される。
【0047】
図3Aに示されるシース対は、カテーテルアセンブリ2に取設される前に、芯金8上に配置される。芯金8は、カテーテルシャフト4ガイドワイヤ管腔(図示せず)を通過し、カテーテルアセンブリ2の遠位端6で出る。次いで、シース対は、カテーテルアセンブリ2の遠位方向に、芯金8上に配置される。次いで、
図3B〜3Dに例解されるように、芯金8を使用して、シース対を骨格バルーン10/12上に誘導する。
【0048】
図3Bを参照すると、シース30の遠位端30
bは、シース20の隆起した端部22に隣接する。この構成において、半部28、29は、自由に開くまたは閉じることができる。次いで、シース対を、骨格バルーン10/12を向かわせる。半部28、29は、骨格バルーン10/12上で容易に外れる。シース対は、以下のように骨格バルーン10/12に向かって摺動されてもよい。カテーテルアセンブリ2を固定して保持し、芯金8を一方の手で、シース対を他方の手で把持し、
図3Cに示されるように、半部28、29が骨格バルーン10/12上に位置するまで、シース対を芯金8上で摺動させる。適切に位置付けられるとき、
図1Aに示されるように、部分24、25は、近位端14aに対して位置付けられる。
【0049】
図3C〜3Dを参照すると、一度、半部28、29が、この構造を保護するように、骨格バルーン10/12上に適切に位置すると、拘束シース30を、骨格バルーン10/12上に押すことができる(Pによって
図3C〜3Dに示されるように)。シース30は、以下のように、骨格バルーン10/12上に押されてもよい。隆起した端部22および芯金8を一方の手で把持して、2つを固定して保持する。次いで、シース30の端部30aが、バルーン骨格10/12の近位端14aの近接位置を示す、シース20の隆起した端部24に隣接して配置されるか、当接するまで、他方の手を使用して、シース30を、骨格バルーン10/12上で押す。代替的に、シース30を他方の手で骨格10に向かって押す間、部分24およびカテーテルシャフト4は、一方の手で同時に保持されてもよい。部分24をカテーテルシャフト4で把持することによって、シース30が骨格10上で押される間、半部28、29は、骨格10に対して適所に保持される。
【0050】
図4Aにあるように配設されるシースを有するカテーテルアセンブリ2は、パッケージ化され、滅菌される。カテーテルアセンブリが医療手技において使用されるとき、パッケージが開かれ、シース対は、遠位端から除去される。カテーテルアセンブリ2は、シース対が除去されるまで、患者に導入されるために構成されない。
図1、1A、および4Aは、パッケージ化された滅菌医療デバイスが医療専門家によって受領されるときのカテーテルアセンブリ2の遠位端におけるシース20、30の配設を描写する。このような滅菌パッケージの例は、米国特許出願公開第2008/0010947号明細書(整理番号62571.60)に見出される。シース20は、それが遠位端6に張り出すように、カテーテルアセンブリ
2の遠位端6を十分に越えて延在する。L21を上回る長さを有する(
図4A)、シース20の張り出す部分は、医療専門家によるシース対の安全かつ直観的除去を促進するように提供され、それにより、シース対が不適切に除去される可能性を低減する。
【0051】
図4B〜4Cを参照すると、医療専門家によって骨格バルーン10/12からシース対を除去するための方法をここで説明する。これらの例解は、シース対を芯金8上で移動させることに言及するが、しかしながら、芯金8は必須ではない。シース対は、芯金8を使用することなく、カテーテルアセンブリ2から安全に除去され得る。
【0052】
図4Aに示されるように位置付けられるシース20、30を有する、滅菌され、パッケージ化されたカテーテルアセンブリは、典型的に、シャフト4に対する屈曲剛性を提供するように、カテーテルシャフト4管腔に補剛芯金8を含む。芯金8の遠位端は、カテーテルアセンブリ2の遠位端6に向かって芯金8を引っ張ることによって、カテーテルシャフト4管腔から芯金8を手動で撤退させるために使用される、遠位端に丸くなった端部、または延在部/停止部(図示せず)を有する。以下の実施例において、シース20、30は、除去される。禁止されたステップもまた、好ましくは、例えば、隆起した端部22、シース30、および芯金8を同時に把持することによって、カテーテルシャフト管腔から芯金8を除去する行為を含む。
【0053】
まず、シース30を、それが
図4Aにおいて位置付けられて示されるところへ、骨格バルーン10/12構造から引き離す。シース30は、以下のように骨格バルーン10/12から撤退または引き離されてもよい。一方の手で、隆起した端部22および芯金8を把持して、2つを固定して保持しつつ、他方の手で、シース30を把持し、隆起した端部22に向かって引っ張る。シース30が隆起した端部22に到達するとき、半部28、29は、切り込み26の、全てではない場合、大部分が、シース30の左にあるため(
図4B)、骨格10表面から離れて自由に外れるべきである。この点で、シース20、30の両方を、骨格バルーン10/12から同時に引き離すことができる。
【0054】
代替として、シース20、30は、カテーテルアセンブリ遠位部分、例えば、カテーテルシャフト4、および任意に部分24を一方の手で把持し、他方の手で、シース30を把持し、カテーテルアセンブリ2の遠位方向に引っ張ることによって、除去されてもよい。一度、シース30が、隆起した端部22に当接すると(および、シャフト4と共に把持されている場合、部分24から手を除去する)、シース30を遠位方向に連続して引っ張ることで、骨格10がバルーンから外れる危険性を伴わずに、両方のシースを安全に除去することができる。シース30が隆起した端部22に当接する間、それを遠位方向に引っ張ることで、シース20およびシース30の両方を、骨格バルーン10/12から除去させる。したがって、隆起した端部22は、圧着された骨格への最小限の崩壊を伴って、安全に、両方のシースを除去するための当接部として機能する。この最終的なシース20の骨格10からの引き離しはまた、同時に、補剛芯金8をカテーテルシャフト4管腔から除去し得る。
【0055】
先で述べられるように、シース20、30のアセンブリは、医療専門家が、シース30が端部22に移動される前に、シース20を除去することを阻止する。例えば、シース30が骨格上に位置付けられる間、医療専門家が端部22を引っ張る場合、近位端14aに当接する突起部25aは、シースの遠位移動に干渉する(
図1A)。この抵抗が感じられるとき、これは、医療専門家に、シース20が不適切に除去されているということを示すはずである。シース30が最初に端部22に移動される場合、半部29、28(前負荷F30がない)は、容易に開き、骨格10上を通過するため、シース20は、カテーテル遠位端6から非常に容易に外すことができる。
【0056】
図5A〜5Bを参照すると、シース200と称される、シース20の代替的な実施形態が例解される。このシースは、シース200の遠位および近位端に形成される、隆起した当接部または表面224、222を有する。そうでなければ、シース200は、シース20と同じ構造を有する。隆起した端部224は、半部228、229の近位端を形成する。また、シース200は、切り込み26および
リビングヒンジ26aを有する。
【0057】
近位当接部224は、
図5Bにおいて正面図で示される。この図において、当接部224は、端部225a、225b、225c、および225dを有する十字の形態をとってもよい。端部225は、2つが骨格上に位置付けられるとき、シース30がシース200の左に移動されることを阻止または抵抗する、隆起した当接部表面を形成する。例えば、パッケージ化されたカテーテルアセンブリが医療施設に輸送されるとき、シース30は、骨格10の近位方向に滑り、それにより、骨格上の拘束を除去してもよい。当接部225をシース200の近位端に設置することにより、シース30は、近位方向に移動することができない。同じ形式の当接部222もまた、遠位端に形成されてもよい。
【0058】
組み立て方法において、隆起した端部222、224は、シース20
0、30が、例えば、手圧着器を使用して、骨格バルーン10/12構造上に位置付けられた後、形成されてもよい。手圧着器は、十字の部材225(
図5B)を形成するように、
端部224に、また、シース200の遠位端である、類似の
端部222に適用される。
【0059】
要約において説明されるものを含む、本発明の例解される実施形態の上の説明は、包括的であること、または開示される正確な形態に本発明を制限することを意図しない。本発明の特定の実施形態、およびそれに対する実施例が、例解目的で本明細書において説明されるが、関連分野の当業者が認識するように、種々の修正が、本発明の範囲内において可能である。
【0060】
上の発明を実施する形態に照らして、これらの修正を、本発明に行うことができる。以下の請求項において使用される用語は、本明細書において開示される特定の実施形態に本発明に限定すると解釈されるべきではない。むしろ、本発明の範囲は、請求項解釈の確立された教義に従って解釈される以下の請求項によって完全に判断されるものとする。