特許第5979742号(P5979742)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5979742尿取りパッド収容袋、袋入り尿取りパッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5979742
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】尿取りパッド収容袋、袋入り尿取りパッド
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/44 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   A61F5/44 H
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-79103(P2015-79103)
(22)【出願日】2015年4月8日
【審査請求日】2015年4月30日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 株式会社いさごやは、竹内晟が発明した尿取りパッド収容袋を、平成26年11月14日に芝康隆に販売した。
(73)【特許権者】
【識別番号】515096033
【氏名又は名称】株式会社いさごや
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(72)【発明者】
【氏名】竹内 晟
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−215842(JP,A)
【文献】 特表平08−504638(JP,A)
【文献】 実開昭55−129015(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿取りパッドを出し入れ可能であり、開閉式カバーの内側にセットして装着者の股下を通して背中側から腹部側まで宛がうことのできる収容袋であり、
前記収容袋透液性のあるメッシュ材製であり、縦寸法、横寸法その外側に宛がわれる開閉式カバーの縦寸法及び横寸法よりも小さくて、前記開閉式カバーの内側に配置しても外周部分が当該開閉式カバーからはみ出さない寸法であり、且つ縦寸法が横寸法よりも長い細長であり、
前記収容袋は尿取りパッドを収容できる収容空間と、当該収容空間に連通する出し入れ口と、当該出し入れ口を開閉可能な開閉具を備え、
前記収容空間は尿取りパッドを収容できる広さであり、
前記出し入れ口は収容袋を開閉式カバーの内側にセットすると開閉式カバー側になる収容袋背中側に、当該収容袋背中側上端部から尻側にかけて縦長に開口されており、
前記出し入れ口の上端部は、収容袋を開閉式カバーの内側にセットして装着者の股下を通して背中側から腹部側まで宛がうと、装着者の手が届きにくくなる背中側上端部に設けられており、
前記開閉具はファスナーであり、当該ファスナーのスライド始端部が、収容袋を前記開閉式カバーの内側にセットして装着者の股下を通して背中側から腹部側まで宛がうと装着者の手が届きにくくなる背中側上端部に設けられた、
ことを特徴とする尿取りパッド収容袋。
【請求項2】
請求項1記載の尿取りパッド収容袋において、
出し入れ口の側方に重ね布を備え、
ファスナーが前記重ね布の下に隠される、
ことを特徴とする尿取りパッド収容袋。
【請求項3】
尿取りパッド収容袋に尿取りパッドが収容された袋入り尿取りパッドにおいて、
尿取りパッドが、請求項1又は請求項2記載の尿取りパッド収容袋の収容部内に収容され、尿取りパッド収容袋の出し入れ口がファスナーで閉塞された、
ことを特徴とする袋入り尿取りパッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿取りパッドを収容できる尿取りパッド収容袋と、当該尿取りパッド収容袋に尿取りパッドが収容された袋入り尿取りパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
介護を必要とする高齢者や入院患者等の要介護者は、排尿を自分でコントロールできないことがあるため、吸収シート(尿取りパッド)を使用しているのが一般的である。従来、尿取りパッドを収容するための袋を備えたおむつカバー(特許文献1、2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−199778号公報
【特許文献2】特開2004−215842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
介護の現場では、尿取りパッドを装着した要介護者(以下「装着者」という)が、尿が吸収された使用済みの尿取りパッドを引きちぎって周囲に散乱させたり、食べたり、誤嚥したりする事故が発生している。散乱すると掃除が面倒である。尿が吸収された使用済みの尿取りパッドは不衛生であり、口に入れて食べてしまうと、腹痛や感染症の原因になりかねない。引きちぎった尿取りパッドを誤嚥して、肺炎に感染したり窒息死したりする事故が生じた事例もある。
【0005】
本発明の解決課題は、装着者が尿取りパッドを引きちぎりにくくなって、使用済み尿取りパッドを散乱させたり、口に入れたり、誤嚥したりしにくい尿取りパッド収容袋と、袋入り尿取りパッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[尿取りパッド収容袋]
本発明の尿取りパッド収容袋は、尿取りパッドを出し入れ可能であり、開閉式カバーの内側にセットして装着者の股下を通して背中側から腹部側まで宛がうことのできる収容袋である。この収容袋は収容空間と当該収容空間に連通する出し入れ口と当該出し入れ口を開閉可能な開閉具を備えている。また、透液性のあるメッシュ材製であり、縦寸法、横寸法が前記開閉式カバーの縦寸法及び横寸法よりも小さく、開閉式カバーの内側に配置しても外周部分が前記開閉式カバーからはみ出さない寸法であり、縦寸法が横寸法よりも長い縦長である。前記収容空間は尿取りパッドを収容できる広さである。前記出し入れ口は収容袋を開閉式カバーの内側にセットすると開閉式カバー側になる収容袋背中側に開口されている。当該出し入れ口の上端部は、収容袋を開閉式カバーの内側にセットして装着者の股下を通して背中側から腹部側まで宛がうと装着者の手が届きにくくなる背中側上端部に設けられている。前記開閉具は前記出し入れ口の上端部から下端部までを開閉可能なファスナーであり、当該ファスナーのスライド始端部が収容袋を前記のように装着者の股下を通して背中側から腹部側まで宛がうと装着者の手が届きにくくなる背中側上端部に設けられている。
【0007】
[袋入り尿取りパッド]
本発明の袋入り尿取りパッドは、前記尿取りパッド収容袋の収容空間内に尿取りパッドが収容され、パッド収容袋の出し入れ口がファスナーによって閉塞されたものである。
【発明の効果】
【0008】
[尿取りパッド収容袋]
本発明の尿取りパッド収容袋は、次の効果を奏する。
(1)尿取り前(使用前)及び尿取り後の膨張した(使用後)尿取りパッドの出し入れができるサイズであるため、尿取りパッドの出し入れが容易にできる。
(2)出し入れ口が背中側の上方から下方縦長に開口され、ファスナーのスライド始端部が、出し入れ口の背中側の上端部に設けられているので、尿取りパッド装着者の手がファスナーに届きにくくなり、装着者が出し入れ口を開いて収容袋内に手を入れて尿取りパッドを引きちぎりにくく、尿取りパッドを口に入れたり、誤嚥したりしにくくなる。
(3)収容袋が透液性のあるメッシュ材製であるため、収容袋内の吸液性、通気性、伸縮性に優れ、尿を確実に吸収でき、尿取りパッドが尿を吸収してもかぶれにくく、尿取りパッドが膨張しても収容しておくことができる。
(4)収容袋の縦寸法、横寸法がその外側に宛がわれる開閉式カバーの縦寸法及び横寸法と同じかそれよりも小さくて、開閉式カバーの内面に配置しても、外周部分が開閉式カバーからはみ出さないサイズであるため、装着し易く、シーツや下着等が触れることがなく、尿取りパッドで吸収した尿でシーツや下着等が汚れにくくなる。
(5)おの前から股下を通して背中側まで宛がうと、背中側が腹部側よりも縦寸法が長く、横寸法が狭いので装着時に背中側の違和感が少なく、腹部側が確実にカバーされるので尿漏れが防止される。
【0009】
[袋入り尿取りパッド]
本発明の尿取りパッドは、本発明のパッド収容袋を用いているため、前記尿取りパッド収容袋と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は本発明の尿取りパッド収容袋の正面図、(b)は(a)の背面図、(c)は(b)のX−X断面図。
図2】(a)は図1(b)の尿取りパッド収容袋の出し入れ口を開いた状態の説明図、(b)は出し入れ口から尿取りパッドを尿取りパッド収容袋内に収容中の説明図。
図3】本発明の袋入り尿取りパッドをおむつカバーにセットした状態の平面図。
図4】(a)〜(c)は本発明の袋入り尿取りパッドの使用説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(尿取りパッド収容袋の実施形態)
本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1(a)〜(c)の1は尿取りパッド収容袋(以下「収容袋」という)であり、尿取りパッド2(図2)を収容可能な収容空間1aと、当該収容空間1aと連通して開口された出し入れ口1bと、当該出し入れ口1bを閉塞可能な開閉具3を備えている。
【0012】
収容袋1はメッシュ材製であり、尿が通過して尿取りパッド2に到達する透液性があり、収容袋1内に進入した尿が逆流しにくい構造のものである。その生地としては、通常、衣服や寝具などに用いられるポリエステル製のゴース生地(粗い網目を有するメッシュ生地)が適し、例えば、東洋染工株式会社のアクアホール(登録商標)加工を施した機能性材料が適する。この収容袋1は、尿取りパッド2が尿を吸収して膨張しても、その膨張に追随して伸縮できる伸縮性もある。
【0013】
収容袋1は市販の各種サイズの尿取りパッド2を出し入れできるサイズであって、縦寸法、横寸法がその外側に宛がわれる開閉式のカバー、例えば、市販のおむつカバー4の縦寸法及び横寸法と同じかそれよりも小さくて、おむつカバー4(図3)の内面に配置しても、外周部分がおむつカバー4の外にはみ出さないサイズにしてある。
【0014】
収容袋1には尿取りパッド2を収容し、おむつカバー4の内側に配置(セット)してお尻に宛がう。この場合、装着者の背中側から股下を通して腹部側まで宛がうと、背中側に位置する部分(背中側部分)5が、腹部側に位置する部分(腹部側部分)6よりも縦寸法が長く、横寸法が狭く形成されている。前記出し入れ口1bは、背中側部分5の上方から下方まで縦長に開口されている。前記開閉具3にはジッパー式のファスナーが使用され、それが、出し入れ口1bの上端から下端まで取り付けられている。ファスナー3は出し入れ口1bの重ね布7(図2(a)(b))の下に、重ね布7の下に隠れるように取り付けてある。ファスナーは上から下、又は下から上のいずれの方向にスライド可能としてもよいが、尿取りパッド装着者が操作しにくい方向にスライド可能とすることが望ましい。ファスナーは開閉用の摘み片のないものが好ましい。開閉具3は尿取りパッド装着者が開閉操作しにくいものであれば、ファスナー以外のもの、例えば、面状ファスナーやボタンなどを用いることができる。
【0015】
(袋入り尿取りパッドの実施形態)
本発明の袋入り尿取りパッド10(図3)は、前記収容袋1の収容空間1a内に尿取りパッド2が収容され、収容袋1の取り出し口1bが開閉具3(図2)によって閉塞されたものである。
【0016】
[尿取りパッド]
収容袋1の収容空間1aに収容された尿取りパッド2は、尿を吸収して膨張するものであり、汎用(市販)の使い捨てのものを使用することができる。
【0017】
[おむつカバー]
前記おむつカバー4(図3)は汎用のものであり、正面視T字状であり、装着者P(図4(a)〜(c))の股下を通して背中側から腹部まで被覆できる縦長被覆部20の両側方に、横被覆部21を備えたものである。縦長被覆部20の外面には外側留め部22が設けられ、横被覆部21の両端部に内側留め部23が設けられている。この実施形態では外側留め部22、内側留め部23として面状ファスナーを用いてあるが、ボタン式、ホック式の物等を用いることもできる。縦長被覆部20のうち装着者Pの足の付け根部分に宛がわれる箇所(付け根箇所)は円弧状に湾曲させるとともにギャザー24を設けて伸縮しやすくしてある。
【0018】
[使用例]
本発明の袋入り尿取りパッド10の使用例を、図面を参照して説明する。
(1)収容袋1の出し入れ口1bを開いて収容空間1a内に尿取りパッド2を収容し、開閉具3で出し入れ口1bを閉塞する。
(2)収容袋1に尿取りパッド2を収容した袋入り尿取りパッド10をおむつカバー4の内側に配置する。このとき、収容袋1の開閉具3をおむつカバー4の内面に向けて配置する(図3)。
(3)前記(2)のように配置した袋入り尿取りパッド10を装着者Pのお尻の下に宛がい(図4(a))、おむつカバー4の縦長被覆部20を装着者Pの背中側から股下を通して腹部付近まで被覆し(図4(b))、横被覆部21を縦長被覆部20の上に折り返して、内側留め部23を外側留め部22の上に重ねて止める(図4(c))。
【0019】
上記要領で袋入り尿取りパッド10を装着者Pに装着した場合、装着者Pが尿取りパッド2をおむつカバー4の内側の収容袋1の開閉具3を開けて、収容袋1内の尿取りパッド10を引き出そうとしても、或いは千切ろうとしても、尿取りパッド2まで手が到達せず無理であり、装着者Pが使用済みの尿取りパッド2を食べたり、誤嚥したりする事故を防止することができる。
【0020】
また、袋入り尿取りパッド10を前記のように、おむつカバー4側に向けて(外側向きで)配置することで、開閉具3が装着者Pの肌に直接触れることがないため、開閉具3による肌の傷付き、かぶれ、傷み等を防止するとことができる。開閉具3は装着者Pの手が届かない箇所又は/及び装着者の皮膚に触れない箇所であれば、これ以外の箇所に設けることもできる。なお、おむつカバー4の内側に配置された袋入り尿取りパッド10の収容袋1はおむつカバー4に固定することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
前記実施形態では、要介護者が使用する場合を一例として説明してあるが、本発明の尿取りパッド収容袋1、袋入り尿取りパッド10は、乳幼児のような排尿を自らの意思でコントロールできない人向けのものとして広く利用することができる。尿取りパッド2のサイズ、尿吸収量等は、用途に応じて選択することができる。収容袋1のサイズや材質等も用途に応じて設計することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 尿取りパッド収容袋(収容袋)
1a 収容空間
1b 出し入れ口
2 尿取りパッド
3 開閉具(ファスナー)
4 おむつカバー
5 (収容袋の)背中側部分
6 (収容袋の)腹部側部分
7 重ね布
10 袋入り尿取りパッド
20 縦長被覆部
21 横被覆部
22 外側留め部
23 内側留め部
24 ギャザー
P 装着者
【要約】      (修正有)
【課題】おむつ装着者が尿取りパッドを引きちぎれないようにし、使用済み尿取りパッドを口に入れたり誤嚥したりする問題を解消する。
【解決手段】尿取りパッド収容袋1は、尿取りパッドを収容可能な収容空間と、尿取りパッドを出し入れ可能な出し入れ口と、出し入れ口を閉塞可能な開閉具3を備えたものである。収容袋は透液性のあるメッシュ材製であり、縦寸法、横寸法をその外側に宛がわれる開閉式カバーの縦寸法及び横寸法と同じかそれよりも小さくして、カバーの内面に配置しても外周部分がおむつカバーからはみ出さないサイズであり、開閉具は尿取りパッド装着者が開閉操作しにくいものである。袋入り尿取りパッドは、尿取りパッド収容袋の収容空間内に尿取りパッドが収容されたものである。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4