【実施例】
【0031】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ固形分換算での質量部または、質量%を示す。
【0032】
(実施例1)
<表層用原料スラリーの調整>
針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)50部、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20部、広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)30部を配合した後に、叩解機によってカナダ標準濾水度(CSF)が510mlとなるように叩解処理し原料パルプを得た。この原料パルプ100部に対してサイズ剤としてアルキルケテンダイマー系サイズ剤(SE−2360、星光PMC社製)0.3部、内添紙力剤としてカチオン化澱粉(ネオタック40T、日本食品化工社製)1.0部を添加して表層用の原料スラリーを調成した。
【0033】
<中層用原料スラリーの調整>
針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)21部、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)39部、広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)40部を配合した後に、叩解機によってカナダ標準濾水度(CSF)が510mlとなるように叩解処理し、中層用の原料パルプを得た。この原料パルプ100部に対してサイズ剤としてアルキルケテンダイマー系サイズ剤(SE−2360、星光PMC社製)0.3部、内添紙力剤としてカチオン化澱粉(ネオタック40T、日本食品化工社製)1.0部を添加して中層用の原料スラリーを調成した。
【0034】
<裏層用原料スラリーの調整>
針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)50部、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20部、広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)30部を配合した後に、叩解機によってカナダ標準濾水度(CSF)が510mlとなるように叩解処理し原料パルプを得た。この原料パルプを水中に分散し、裏層用の原料スラリーとした。
<葉書用紙の抄紙>
次に、これらの各原料スラリーを用いて、円網式抄紙機にて表層/中層/中層/裏層の構成となるよう4層抄合せでシートを抄造し、坪量250g/m
2、厚さ0.386mmの葉書用紙を得た。尚、各層の坪量は、表層を45g/m
2、中層を160g/m
2(80g/m
2を2層)、裏層を45g/m
2とした。
【0035】
(実施例2)
中層の坪量を190g/m
2(95g/m
2を2層)に変更した以外は実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は280g/m
2、厚さは0.434mmであった。
【0036】
(実施例3)
中層の坪量を210g/m
2(105g/m
2を2層)に変更した以外は実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は300g/m
2、厚さは0.481mmであった。
【0037】
(実施例4)
表層の坪量を30g/m
2、中層の坪量を190g/m
2(95g/m
2を2層)、裏層の坪量を30g/m
2に変更した以外は実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は250g/m
2、厚さは0.381mmであった。
【0038】
(実施例5)
表層の坪量を30g/m
2、中層の坪量を220g/m
2(110g/m
2を2層)、裏層の坪量を30g/m
2に変更した以外は実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は280g/m
2、厚さは0.429mmであった。
【0039】
(実施例6)
表層の坪量を30g/m
2、中層の坪量を240g/m
2(120g/m
2を2層)、裏層の坪量を30g/m
2に変更した以外は実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は300g/m
2、厚さは0.474mmであった。
【0040】
(実施例7)
表層用、中層用及び裏層用の原料スラリーの調整において、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)を配合せず、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)の配合量を60部、広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)の配合量を40部にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は250g/m
2、厚さは0.375mmであった。
【0041】
(実施例8)
表層用、中層用及び裏層用の原料スラリーの調整において、パルプの濾水度を430mlCSFにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は250g/m
2、厚さは0.379mmであった。
【0042】
(実施例9)
表層用、中層用及び裏層用の原料スラリーの調整において、パルプの濾水度を570mlCSFにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は250g/m
2、厚さは0.396mmであった。
【0043】
(比較例1)
裏層用の原料スラリーの調整において、原料パルプ100部に対してサイズ剤としてアルキルケテンダイマー系サイズ剤(SE−2360、星光PMC社製)0.3部、内添紙力剤としてカチオン化澱粉(ネオタック40T、日本食品化工社製)1.0部を添加した以外は、実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は250g/m
2、厚さは0.382mmであった。
【0044】
(比較例2)
表層用及び中層用の原料スラリーの調整において、サイズ剤と内添紙力剤とを添加しなかった以外は実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は250g/m
2、厚さは0.380mmであった。
【0045】
(比較例3)
抄紙後、澱粉(商品名:SK−20、日本コーンスターチ社製)水溶液をサイズプレス機で葉書用紙の両面に、片面あたりの塗布量が乾燥固形量で1g/m
2となるよう塗布した以外は、実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は252g/m
2、厚さは0.381mmであった。
【0046】
(比較例4)
抄紙後、マシンキャレンダーでプレス処理(ニップ圧55kg/cm
3)し、高密度化、高平滑化処理した以外は、実施例1と同様にて葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は250g/m
2、厚さは0.248mmであった。
【0047】
各実施例及び比較例で得られた葉書用紙の評価結果を表11に示す。尚、評価については以下の方法で行った。
【0048】
【表1】
【0049】
<坪量>
JIS P 8124:2011「紙及び板紙‐坪量の測定方法」に準拠して測定した。
【0050】
<厚さ、密度>
JIS P 8118:1998「紙及び板紙‐厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
【0051】
<ステキヒトサイズ度>
JIS P 8122:2004「紙及び板紙‐サイズ度試験方法−ステキヒト法」に準拠し、表層を上向きにして測定した。
【0052】
<表面強さ>
JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No1:2000「紙及び板紙−ワックスによる表面強さ試験方法」に準拠し、表層の表面強さを測定した。
【0053】
<ペン書きサイズ度>
JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No12:2000で規定する評価方法に従い、裏層表面のペン書きサイズ度を評価した。
【0054】
<印刷適性評価(表層表面の印刷適性)>
実機枚葉印刷機(リョービ3302M、リョービ社製)を用いて、葉書用紙の表層の表面に、郵便番号枠、切手貼り付け枠及びテストパターンを印刷し、白抜け部(ピック)及び/又は剥けの有無によって印刷強度を評価した。また、ブランケットの汚れ及び/又は版汚れの程度によって作業性を評価した。前記印刷強度及び作業性の評価は、次の3段階で判定した。
○・・・実用レベルにある、
△・・・やや劣るが実用レベル(実用下限)
×・・・印刷不可(実用に適さない)
【0055】
<筆記適性評価(裏層表面の筆記性)>
葉書用紙の裏層表面に墨、水彩絵具で描画し、それぞれの描画部の色のり、にじみ、乾燥性と、描画後の葉書用紙のカール具合とを目視で評価し、以下の3段階で判定した。
○・・・実用レベルにある
△・・・やや劣るが実用レベルにある
×・・・実用不可
【0056】
表1からもわかるように、実施例1〜9で得られた葉書用紙は、表層の印刷適性と、裏層の筆記適性に優れるものであった。実施例7で得られた葉書用紙はパルプとしてNBSPを使用しなかったため、他の実施例で得られた葉書用紙に比べてやや風合いには劣るものとなった。実施例8で得られた葉書用紙はパルプの濾水度を低くしたため、やや裏層の筆記適性に劣るものであったが、実用範囲であった。実施例9で得られた葉書用紙はパルプの濾水度を高くしたため、やや表層の印刷適性に劣るものとなったが、実用範囲であった。