特許第5979765号(P5979765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5979765ミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置及び製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979765
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】ミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/92 20060101AFI20160818BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20160818BHJP
   C08L 97/02 20060101ALI20160818BHJP
   C08L 1/02 20060101ALI20160818BHJP
   B29B 7/46 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   B29B7/92
   C08L101/00
   C08L97/02
   C08L1/02
   B29B7/46
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-28490(P2014-28490)
(22)【出願日】2014年2月18日
(65)【公開番号】特開2015-150838(P2015-150838A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2014年12月22日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100121795
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴亀 國康
(72)【発明者】
【氏名】横溝 和哉
(72)【発明者】
【氏名】竹内 貴季
(72)【発明者】
【氏名】福島 武
【審査官】 田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−184492(JP,A)
【文献】 特開2005−42283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/92
B29B 7/46
C08L 1/02
C08L 97/02
C08L 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース含有原料の解繊処理を行ってミクロフィブリル化セルロースを生成して圧送する解繊用二軸押出機と、その圧送されたミクロフィブリル化セルロースを受け入れて樹脂原料と混練し、その後、脱水、可塑化を行ってミクロフィブリル化セルロースが分散した複合樹脂材料を成形装置に供給する混練用二軸押出機と、を連結してなるミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置。
【請求項2】
解繊用二軸押出機は、生成されたミクロフィブリル化セルロースを混練用二軸押出機に圧送する連結配管を有することを特徴とする請求項1に記載のミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置。
【請求項3】
解繊用二軸押出機は、混練用二軸押出機に圧送するミクロフィブリル化セルロースに流動化剤を添加する液添ポンプを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置。
【請求項4】
混練用二軸押出機は、上流側から順次、混練ゾーン、脱水ゾーン、可塑化ゾーン及び減圧脱水ゾーンを有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置。
【請求項5】
脱水ゾーンは、脱水量制御手段を有するとともに、ニーディングスクリュを有し、200℃以下の加熱帯であることを特徴とする請求項4に記載のミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置。
【請求項6】
混練用二軸押出機は、そのシリンダの内径が解繊用二軸押出機のシリンダの内径より大きいシリンダを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置。
【請求項7】
解繊用二軸押出機が複数であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置。
【請求項8】
セルロース含有原料の解繊処理を行ってミクロフィブリル化セルロースを生成し、その生成されたミクロフィブリル化セルロースと樹脂を混練し、その後、脱水、可塑化を行ってミクロフィブリル化セルロースが分散した複合樹脂材料を一連連続的に製造するミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造方法であって、
樹脂を完全溶融させないで、かつ、混練物の巻き上げや噴出が生じないように徐々に脱水を行った後に、樹脂を可塑化して減圧脱水を行うミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース含有原料からミクロフィブリル化セルロースを生成し、生成されたミクロフィブリル化セルロースを熱可塑性樹脂中に分散させたミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料を連続的に製造することができるミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生分解性プラスチックは、地球環境に配慮した資源循環型社会への転換の担い手として期待が高まっており、ポリ乳酸などを樹脂原料とする生分解性プラスチックの商業生産も始まっている。そして、生分解性プラスチックの強化法として、ミクロフィブリル化セルロースを利用した生分解性の繊維強化複合樹脂材料が注目され、その開発が進められている。また、ミクロフィブリル化セルロースは、ガラス繊維に代替する樹脂の繊維強化材としても開発が進められている。
【0003】
特許文献1に、親水性樹脂でその表面が被覆されたミクロフィブリル化セルロースを繊維強化材とする樹脂複合材料が提案されている。この樹脂複合材料は、まず、ミクロフィブリル化セルロースと親水性樹脂とを混合して脱水処理した後、母材樹脂を添加し、これらを混合して得ることができるとされる。そして、混合手段として、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、二軸混練押出機等の各種の混練機を用いることができ、なかでも二軸混練押出機は、上記過程を一連に行うことができるので好ましいと記載されている。
【0004】
特許文献2には、脂肪族ポリエステル組成物の製造方法とそれに用いるパルプ及びセルロース系繊維並びにそのミクロフィブリル化方法が提案されている。そして、パルプ又はセルロース系繊維をリファイナー処理、媒体撹拌ミル処理、振動ミル処理、石臼式処理等により処理した後、二軸押出機を用いてセルロース非晶領域膨潤剤の存在下に、樹脂成分と前記処理により得られた繊維成分を溶融混練することにより、繊維成分が解繊される共に樹脂成分中に均一に微細分散した脂肪族ポリエステル組成物が得られると記載されている。
【0005】
このミクロフィブリル化セルロースは、パルプを摩砕及び又は叩解することによって得られるとされるが、特許文献3には、さらにミクロフィブリル化が進んだ微細化繊維を得ることができるナノファイバーの製造方法が提案されている。このナノファイバーの製造方法は、先ずセルロース系の繊維原料を湿式で離解した後、離解された繊維原料を予備的に解繊し、次に予備解繊された繊維原料を蒸煮処理した後、蒸煮処理された繊維原料をミクロフィブリル化することにより実施される。そして、予備解繊処理は、リファイナー、媒体撹拌ミル、振動ミル、石臼式磨砕機を使用することができ、ミクロフィブリル化処理は、二軸押出機により効率的に行うことができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-184492号公報
【特許文献2】特開2005-42283号公報
【特許文献3】特開2008-75214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
二軸押出機は、熱可塑性樹脂の混合、可塑化、押出成形などに広く使用されるものである。そして、特許文献2又は3に記載されるように、二軸押出機は、ミクロフィブリル化セルロースと樹脂の混練に使用され、また、パルプなどのセルロース原料を解繊しミクロフィブリル化する処理装置として使用されている。
【0008】
しかしながら、二軸押出機を使用して、セルロース原料からミクロフィブリル化セルロースを生成するミクロフィブリル化工程と、得られたミクロフィブリル化セルロースを樹脂と混練し複合材料を得る工程を一連に行う方法又は装置は未だ提案されていない。これは、一つの押出機で上記二つの工程を連続して行うことが困難、または効率的な処理を行うことができないからである。この困難な理由の一つは、二軸押出機のシリンダとスクリュから構成される空間ボリュームが、ミクロフィブリル化処理を行う二軸押出機と、ミクロフィブリル化セルロースと樹脂との混練を行う二軸押出機では異なり、二軸押出機の基本構成が異なるからである。
【0009】
このため、異なる基本構成の二軸押出機を連結して使用することが考えられるが、単に配管接続するだけでは接続部分でミクロフィブリル化セルロースが脱水し移送が困難になるという問題がある。また、加圧ポンプを介して接続しても接続部分でミクロフィブリル化セルロースの滞留が生じて品質が劣化する問題があり、設備が大型化するという問題がある。
【0010】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、セルロース原料からミクロフィブリル化セルロースを生成するミクロフィブリル化工程と、得られたミクロフィブリル化セルロースを樹脂と混練して複合材料を得る工程とを一連に行うことができ、作業効率及び生産効率に優れたミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置は、セルロース含有原料の解繊処理を行ってミクロフィブリル化セルロースを生成して圧送する解繊用二軸押出機と、その圧送されたミクロフィブリル化セルロースを受け入れて樹脂原料と混練し、脱水、可塑化を行ってミクロフィブリル化セルロースが分散した複合樹脂材料を成形装置に供給する混練用二軸押出機と、を有してなる。
【0012】
上記発明において、解繊用二軸押出機は、生成されたミクロフィブリル化セルロースを混練用二軸押出機に圧送する連結配管を有するものとすることができる。
【0013】
また、解繊用二軸押出機は、混練用二軸押出機に圧送するミクロフィブリル化セルロースに流動化剤を添加する液添ポンプを有するのがよい。
【0014】
混練用二軸押出機は、上流側から順次、混練ゾーン、脱水ゾーン、可塑化ゾーン及び減圧脱水ゾーンを有しているのがよく、脱水ゾーンは、ニーディングスクリュを有し、200℃以下の加熱帯であるのがよい。
【0015】
また、上記発明において、混練用二軸押出機は、そのシリンダの内径が解繊用二軸押出機のシリンダの内径より大きいシリンダを有するのがよい。
【0016】
本発明に係るミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置は、複数の解繊用二軸押出機を設けることができる。
【0017】
本発明に係るミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造方法は、セルロース含有原料の解繊処理を行ってミクロフィブリル化セルロースを生成し、その生成されたミクロフィブリル化セルロースと樹脂を混練し、脱水、可塑化を行ってミクロフィブリル化セルロースが分散した複合樹脂材料を連続的に製造するミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造方法であって、樹脂を完全溶融させないで、かつ、混練物の巻き上げや噴出が生じないように徐々に脱水を行った後に、樹脂を可塑化して減圧脱水を行うことにより実施することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、セルロース原料からミクロフィブリル化セルロースを生成するミクロフィブリル化工程と、得られたミクロフィブリル化セルロースを樹脂と混練し複合材料を得る工程を一連に行うことができ、作業効率及び生産効率に優れたミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料の製造装置及び製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置の構成を示す模式図である。
図2】混練用二軸押出機に複数の解繊用二軸押出機を連結した構成の本発明に係るミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置の他の実施例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について図面を基に説明する。図1は、本発明に係るミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置の例を示す。図1に示すように、本ミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置は、セルロース含有原料の解繊処理を行ってミクロフィブリル化セルロースを生成して圧送する解繊用二軸押出機10と、その圧送されたミクロフィブリル化セルロースを受け入れて樹脂原料と混練し、脱水、可塑化を行ってミクロフィブリル化セルロースが分散した複合樹脂材料を成形装置に供給することができる混練用二軸押出機20と、を有している。
【0021】
解繊用二軸押出機10は、解繊用二軸押出機本体11の上流側に原料供給口13が設けられ、ミクロフィブリル化ゾーン11aで生成されたミクロフィブリル化セルロースを混練用二軸押出機20に圧送する連結配管15を有している。また、解繊用二軸押出機10は、下流側にミクロフィブリル化セルロースの流動性を高めるための流動化剤を添加する液添ポンプ17が設けられている。ミクロフィブリル化ゾーン11aで生成されたミクロフィブリル化セルロースは、反応ゾーン11bにおいて流動化剤と反応しあるいは流動化剤が吸着し、その流動性が高められる。このミクロフィブリル化セルロースの流動化処理により、生成されたミクロフィブリル化セルロースの混練用二軸押出機20への連続圧送が容易になる
【0022】
流動化剤は、市販品の製紙用紙力増強剤を使用することができる。製紙用紙力増強剤はアニオン系でもカチオン系でもよく、また、乾燥系又は湿潤系のいずれの製紙用紙力増強剤でも流動化剤として使用することができる。なお、製紙用紙力増強剤の粘度は、例えば、100mPa・s程度の低い粘度のものは好ましくない。
【0023】
解繊用二軸押出機10には、重量式フィーダーを併設し、原料供給口13から一定量の原料を供給できるようにするのがよい。原料供給口13は、原料が速やかにスクリュとシリンダ間の空間に入り込むように、開口部が下流方向に長い形状であるのがよい。さらに解繊を低温で確実に実施するため、シリンダは長い方が良いが、長すぎるとスクリュを回転させるために大きなトルクが必要になるばかりでなく、スクリュ軸に大きなねじり応力がかかるために好ましくない。
【0024】
連結配管15は、解繊用二軸押出機10と混練用二軸押出機20を連結し、材料を連続圧送できるものであれば特に限定されない。しかしながら、連結配管15は、解繊用二軸押出機10の出口に高い圧力がかからない容量を持ったものが、フィブリル化されたセルロースが水と分離しにくいために良い。また、連結配管15は、解繊用二軸押出機10の出口から急速にその断面積を減らすような形状や、配管径が極端に細いものは好ましくない。具体的には、連結配管15は、解繊用二軸押出機10の出口付近の連結配管15の圧力がミクロフィブリル化ゾーンに影響を及ぼさない約0.1〜0.5MPaであり、連結配管15の断面積が解繊用二軸押出機10の先端の断面積の30%〜50%であるものが好ましい。連結配管15の配管内面は表面処理しなくてもよいが、滞留に伴う劣化物の付着を避けるために、クロムめっきなどの表面処理をするのが好ましい。
【0025】
混練用二軸押出機20は、混練用二軸押出機本体21の上流側に樹脂供給口23が設けられ、樹脂供給口23の下流側に、連結配管15が連結されている。解繊用二軸押出機10で生成されたミクロフィブリル化セルロースは、連結配管15を介して混練用二軸押出機20に圧送される。混練用二軸押出機20に受け入れられたミクロフィブリル化セルロースは、樹脂供給口23から供給された樹脂と混練用二軸押出機本体21の混練ゾーン21aにおいて混練され、脱水ゾ−ン21bにおいて脱水される。脱水されたミクロフィブリル化セルロースと樹脂とは、可塑化ゾーン21cにおいて樹脂の可塑化と同時に混練が行われた後、減圧脱水ゾーン21dにおいてさらに脱水が行われてミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料が製造される。
【0026】
混練用二軸押出機20の先端に設置されたダイ27から吐出されたミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料は、ストランドカッター40にベルトコンベア45を介して供給され、製品(粒状物)が製造される。なお、樹脂供給口23には、定量的に樹脂を供給するために重量式フィーダーを併設するのがよい。また、ミクロフィブリル化セルロース複合材料は蓄熱によりダイ27から吐出された後に劣化あるいは炭化することがあるため、ベルトコンベア45上の製品を冷風やミストなどの冷却手段を用いて直ちに冷却することが望ましい。さらに、冷却が間に合わない場合は、ベルトコンベア45の替わりに水槽(ストランドバス)を使用するなどして冷却能力を上げることが好ましい。
【0027】
混練ゾーン21aにおいては、樹脂が完全に溶融しないように、スクリュ形状やシリンダ温度を適切に調整する必要がある。樹脂を完全に溶融させると、脱水ゾーン21bで急激な脱水が行われ、ミクロフィブリル化セルロースや樹脂がシリンダ外に噴出する恐れがあるからである。
【0028】
脱水ゾ−ン21bにおいては、脱水口24を通じてミクロフィブリル化セルロース中の水分を徐々に脱水する。しかしながら、水分を除去しすぎると、可塑化工程においてミクロフィブリル化セルロースが凝集し、樹脂中にミクロフィブリル化セルロースを均一に分散させることができなくなるので、脱水量を制御することが重要である。脱水ゾ−ン21bにおいて脱水量を制御するには、シリンダ温度の設定、せん断発熱を利用した速やかな熱の供給、スクリュによる表面更新の3つの因子を最適化することが必要である。シリンダ温度は脱水ゾーン21bの製品温度が樹脂の軟化点あるいは融点を超えない範囲で出来るだけ高く設定することが望ましいが、200℃を越えるとシリンダに接しているミクロフィブリル化セルロースが劣化するため、200℃以下になるように調整するのがよい。
【0029】
また、脱水ゾーン21bにニーディングスクリュを設け、材料の表面更新(位置交換)を進めるとともに、適度にせん断発熱を生じさせて水の蒸発によって失われた蒸発潜熱を供給することが望ましい。ただし、せん断による局所発熱で樹脂が溶融あるいは軟化したり、ミクロフィブリル化セルロースが劣化したりするため、せん断応力が強くなりすぎないように注意することが必要である。また、脱水が徐々に行われやすくするために、脱水ゾーン21bの空間ボリュームを大きくするのがよい。また、ベントを一部減圧して沸点を下げ、脱水が出来るだけ低い温度で行われるようにすることができる。
【0030】
減圧脱水ゾーン21dにおいては、ベント口37A、37Bを通じて減圧脱水手段30により減圧脱水が行われる。減圧脱水手段30は、真空ポンプ33、トラップ35を有している。減圧脱水ゾーン21dにおいて、ミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料の水分量を5%以下にすることができる。減圧脱水においては、残留水分が少ないほど後工程での脱水時間短縮や脱水工程の削減につながるため好ましい。また、減圧脱水の際は多量の水分が除去されるので、ベント口でのガス流速を下げてベントアップを防止するため、ベント口は開口面積が大きいロングベントを使用するのが好ましい。
【0031】
以上、本ミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置について説明した。本発明に係るミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置は、上記の例に限定されない。例えば、図2に示すように、混練用二軸押出機20に二台以上の解繊用二軸押出機(10A、10B)を連結させた構成のミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置であってもよい。この構成は、大量生産方式のミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置に好適である。
【0032】
また、混練用二軸押出機は、そのシリンダの内径が解繊用二軸押出機のシリンダの内径より大きいシリンダを設けることができる。この場合は、脱水ゾ−ン21bの空間ボリュームを大きくすることができるので、材料の送り速度を小さくすることができる。このため、ミクロフィブリル化セルロースの脱水を徐々に行うことができ、また、その脱水を制御することが容易になる。
【0033】
本発明において、セルロース原料は、特に限定されないが、パルプ、古紙など、すでにリグニンなどの不純物質が分離された原料のほか、木粉、稲わら、牧草、藻類、ジャガイモ、砂糖大根、サツマイモなどの不純物質を含んだセルロース原料を使用することができる。樹脂は、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂のほか、ポリスチレン、ABS,ポリカーボネート、生分解性樹脂を含むポリエステル、ナイロンなど、様々な樹脂を使用することができる。また、セルロース原料及び樹脂の他に、必要に応じて相容化剤、酸化防止剤、着色剤、耐候剤などを添加することができる。
【実施例1】
【0034】
図1に示すミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料製造装置を使用してミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料を製造する製造試験を行った。解繊用二軸押出機10として株式会社日本製鋼所製TEX30α L/D59.5を使用し、混練用二軸押出機20として株式会社日本製鋼所製TEX30α L/D45.5を使用した。セルロース含有原料としてリファイナー済み漂白パルプを使用した。ミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料の母材となる樹脂は、ポリプロピレン(PP)と無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)を所定の割合で秤取り、十分混合して均一化したものを使用した。液添ポンプ17として富士ポンプ株式会社製3.6l/hを使用した。連結配管15は、内径16mm×長さ460mmのL字鋼製パイプを使用した。
【0035】
製造試験は、先ず、セルロース含有原料をヘンシェルミキサー(株式会社カワタ製スーパーミキサー)で所定の大きさまで破断し、重量式フィーダー(株式会社日本製鋼所製TTF35)から原料供給口13に投入し、ミクロフィブリル化セルロースが流動化剤の供給口に到達する前に液添ポンプ17より流動化剤を供給した。ミクロフィブリル化セルロースが連結配管15から安定して混練用二軸押出機20に供給されるようになる前に、重量式フィーダー(株式会社日本製鋼所製STF25)を介して樹脂供給口23から樹脂を供給した。そして、混練用二軸押出機20にミクロフィブリル化セルロース及び樹脂が安定して供給されるようになった後、減圧脱水ゾーン21dのベント口(37A、38B)を減圧し、減圧脱水を開始した。
【0036】
表1は、流動化剤として種々の製紙用紙力増強剤を使用した場合のミクロフィブリル化セルロースの流動性を観察した試験結果を示す。流動性試験は、ビーカ内に漂白パルプと製紙用紙力増強剤を固形分比で10:3の割合で混合し、感触により流動性を判断した。表1において、ハリマ化成とはハリマ化成株式会社、星光PMCとは星光PMC株式会社を示す。表1に示すように、いずれの製紙用紙力増強剤を使用してもミクロフィブリル化セルロースは、流動性があり、解繊用二軸押出機の連結配管を介して混練用二軸押出機に圧送可能である。しかしながら、試料Dの場合は、作業性を考慮すると、流動化剤として好ましくない。
【0037】
【表1】
【0038】
表2は、混練用二軸押出機20の各ゾーンのシリンダ温度、また、脱水ゾーンの有無がどのような影響を与えるかを調べた運転状況試験結果を示す。本運転状況試験において、解繊用二軸押出機10の回転数は400rpm、混練用二軸押出機20の回転数は200rpmであった。混練用二軸押出機20の可塑化ゾーンのシリンダ温度は、180-200℃であった。流動化剤は、表1における試料Eを使用した。
【0039】
【表2】
【0040】
表2に示すように、混練ゾーン及び脱水ゾーンの温度は適正な温度があり、それらの温度制御が重要であることが分かる。また、脱水ゾーンでミクロフィブリル化セルロースの脱水を徐々に行うことが必要であることが分かる。なお、本運転状況試験に使用した漂白パルプ、PP樹脂、MAPP、流動化剤(試料E)の原料配合を表3に示す。表3に示す吐出量は、混練用二軸押出機10の先端からの吐出量を示し、水分が全て脱水ゾーンおよび減圧脱水ゾーンで脱水された場合の値である。
【0041】
【表3】
【符号の説明】
【0042】
10、10A、10B 解繊用二軸押出機
11 解繊用二軸押出機本体
13 原料供給口
15 連結配管
17 液添ポンプ
20 混練用二軸押出機
21 混練用二軸押出機本体
23 樹脂供給口
24 脱水口
27 ダイ
30 減圧脱水手段
33 真空ポンプ
35 トラップ
37、37A、37B ベント口
40 ストランドカッター
45 ベルトコンベア
図1
図2