(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(i)アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂;(ii)無機リン酸類もしくはその塩類;(iii)酸性有機(亜)リン酸エステル類もしくはその塩類(アクリル樹脂およびポリエステル樹脂を除く);よりなる群から選ばれる一種以上を、(メタ)アクリル系モノマーを重合させてアクリル樹脂を得る、またはカルボン酸と多価アルコールとを縮合反応させてポリエステル樹脂を得る処理、前記(ii)または(iii)を添加、混合または混練する処理により、更に含有させる工程を含む請求項1に記載の金属顔料組成物の製造方法。
無機リン酸類が、オルトリン酸;メタリン酸;ピロリン酸;三リン酸;四リン酸;亜リン酸;の中から選ばれた少なくとも一種である請求項2または3に記載の金属顔料組成物の製造方法。
酸性有機(亜)リン酸エステル塩類が、モノもしくはジトリデシルアシッドホスフェートのモリホリン塩、またはN,N−ジメチルエタノールアミン塩である請求項7に記載の金属顔料組成物の製造方法。
シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物が、金属粒子100重量部に対し、0.01から50重量部存在する、請求項1から10のいずれかに記載の金属顔料組成物の製造方法。
酸性有機(亜)リン酸エステル類もしくはその塩類が、金属顔料100重量部に対し、0.01から20重量部存在する請求項2から12のいずれかに記載の金属顔料組成物の製造方法。
金属粒子を、溶媒の存在下で、有機モリブデン化合物とで混合処理した後、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物と混合処理する、請求項1に記載の金属顔料組成物の製造方法。
金属粒子を、溶媒の存在下で、有機モリブデン化合物と、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物とによって、別工程もしくは同一工程で混合処理した後、(メタ)アクリル系モノマーを重合させてアクリル樹脂を得る、またはカルボン酸と多価アルコールとを縮合反応させてポリエステル樹脂を得る、請求項2から13のいずれかに記載の金属顔料組成物の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の欠点を克服した金属顔料組成物を提供すること、すなわち塗料組成物もしくはインキ組成物等、特に水性塗料もしくは水性インキ等に使用可能で塗料の貯蔵安定性に優れており、そして、塗膜にしたときの光輝性や隠蔽性、フリップフロップ感などに優れた性能を有し、かつ色素もしくは有機顔料を変色させることの無い金属顔料組成物を提供することを目的とする。
更には、上記性能に加えて、塗膜にしたときの密着性や耐薬品性に優れた金属顔料組成物を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、有機モリブデン化合物と、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物と、金属粒子とを含有する金属顔料組成物を用いることにより、前記課題が解消することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の通りである。
(1)有機モリブデン化合物を一種以上と、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物と、金属粒子とを含有する、金属顔料組成物。
(2)(i)有機オリゴマーもしくはポリマー;(ii)無機リン酸類もしくはその塩類;(iii)酸性有機(亜)リン酸エステル類もしくはその塩類;よりなる群から選ばれる一種以上を更に含有する(1)に記載の金属顔料組成物。
(3)金属粒子がアルミニウムである(1)または(2)に記載の金属顔料組成物。
(4)有機モリブデン化合物が、モリブデン酸有機アミン塩、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種である、(1)から(3)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
【化1】
(式中、R1は炭素数1から24の有機基で同一でも異なっていてもよく、XはSまたはOである。)
【化2】
(式中、R2は炭素数1から24の有機基で同一でも異なっていてもよく、XはSまたはOである。)
(5)モリブデン酸有機アミン塩のアミンが、下記一般式(3)で表されるアミン化合物から選ばれる少なくとも一種である、(4)に記載の金属顔料組成物。
【化3】
(式中、R3、R4およびR5は同じでも異なってもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR3とR4は一緒になって5員もしくは6員のシクロアルキル基を形成するか、または任意にR3とR4は窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素もしくは酸素原子を含むことができる5員もしくは6員環を形成するか、または任意にR3、R4およびR5は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる多員の多重環を形成する。R3、R4およびR5は同時に水素原子にはならない。nは1から2の数を表す。)
(6)シリコン含有化合物が、下記一般式(4)または(5)または(6)または(7)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種である、(1)から(4)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
【化4】
(式中、R6は水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にハロゲン基を含んでもよい炭化水素基であり、R7は水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基である。R6とR7は同一でも異なってもよく、R6とR7が2つ以上ある場合は、それぞれが、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。1≦m≦3である。)
【化5】
(式中、R8は他の官能基と化学結合し得る反応基を含む基であり、R9は水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にハロゲン基を含んでもよい炭化水素基であり、R10は水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基である。R8とR9とR10が2つ以上ある場合は、それぞれが、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。1≦p≦3であり、0≦q≦2であり、1≦p+q≦3である。)
【化6】
(式中、R11は水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基であり、R11は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。)
【化7】
(式中、R12は水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にハロゲン基を含んでもよい炭化水素基であり、R12が2つ以上ある場合は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。0≦r≦3である。)
(7)有機オリゴマーもしくはポリマーが、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂である、(2)から(6)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
(8)無機リン酸類が、オルトリン酸;メタリン酸;ピロリン酸;三リン酸;四リン酸;亜リン酸;の中から選ばれた少なくとも一種である(2)から(7)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
(9)無機リン酸塩類が、無機リン酸類と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、下記一般式(8)で表されるアミンから選ばれる少なくとも一種との塩である(2)から(7)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
【化8】
(式中、R1、R2およびR3は同じでも異なってもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR1とR2は一緒になって5員もしくは6員のシクロアルキル基を形成するか、または任意にR1とR2は窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素または酸素原子を含むことができる5員または6員環を形成するか、または任意にR1、R2およびR3は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる、多員の多重環を形成する。R1、R2およびR3は同時に水素原子にはならない。nは1から2の数を表す。)
(10)酸性有機(亜)リン酸エステル類が、下記一般式(9)で示される化合物の中から選ばれた少なくとも一種以上であることを特徴とする(2)から(9)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
【化9】
(式中、R4、R5およびR6は同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル基、エステル基、水酸基、カルボニル基、およびハロゲン基を含んでもよい炭化水素基、または任意に環構造もしくは不飽和結合を含んでよい炭化水素基であり、R4、R5、R6のうち1つもしくは2つは水素原子であり、かつR4、R5、R6の炭素原子数の合計は4以上である。mは0または1の数を示す。)
(11)酸性有機(亜)リン酸エステル塩類が、下記一般式(9)で表されるリン酸エステル類と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、下記一般式(8)で表されるアミンから選ばれる少なくとも1種との塩である(2)から(9)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
【化10】
(式中、R4、R5およびR6は同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル基、エステル基、水酸基、カルボニル基、およびハロゲン基を含んでもよい炭化水素基、または任意に環構造もしくは不飽和結合を含んでよい炭化水素基であり、R4、R5、R6のうち1つもしくは2つは水素原子であり、かつR4、R5、R6の炭素原子数の合計は4以上である。mは0または1の数を示す。)
【化11】
(式中、R1、R2およびR3は同じでも異なってもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR1とR2は一緒になって5員もしくは6員のシクロアルキル基を形成するか、または任意にR1とR2は窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素または酸素原子を含むことができる5員または6員環を形成するか、または任意にR1、R2およびR3は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる、多員の多重環を形成する。R1、R2およびR3は同時に水素原子にはならない。nは1から2の数を表す。)
(12)酸性有機(亜)リン酸エステル塩類が、モノもしくはジトリデシルアシッドホスフェートのモルホリン塩、またはN,N−ジメチルエタノールアミン塩である(11)に記載の金属顔料組成物。
(13)有機オリゴマーもしくはポリマーを構成するモノマーが、下記一般式(10)で示される化合物から選ばれる少なくとも一種である(2)から(12)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
【化12】
(式中、R7、R8およびR9は同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル基、エステル基、水酸基、カルボニル基、およびハロゲン基を含んでもよい炭化水素基、または任意に環構造もしくは不飽和結合を含んでよい炭化水素基、または下記一般式(11)で示される基であり、R7、R8、R9のうち1つもしくは2つは水素原子で、1つもしくは2つは下記一般式(11)であり、R7、R8、R9の炭素原子数の合計は4以上である。mは0または1の数を示す。)
【化13】
(式中、R10、R13は水素原子もしくはメチル基を示し、R11は炭素数2から8で任意に酸素原子を含んでいてもよい2価の有機基であり、R12は水素原子、もしくは下記一般式(12)を示す。hは0または1の数を示し、iは0から10の数を示す。)
【化14】
(式中、Xは水素原子もしくは塩素原子を示す。)
(14)有機モリブデン化合物が、金属粒子100重量部に対し、0.01から10重量部存在する、(1)から(13)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
(15)シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物が、金属粒子100重量部に対し、0.01から50重量部存在する、(1)から(14)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
(16)有機オリゴマーもしくはポリマーが、金属粒子100重量部に対し、0.01から50重量部存在する、(2)から(15)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
(17)酸性有機(亜)リン酸エステル類もしくはその塩類が、金属顔料100重量部に対し、0.01から20重量部存在する(2)から(16)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
(18)金属粒子を、溶媒の存在下で、有機モリブデン化合物と、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物とによって、別工程もしくは同一工程で混合処理する、(1)から(17)のいずれかに記載の金属顔料組成物の製造方法。
(19)金属粒子を、溶媒の存在下で、有機モリブデン化合物とで混合処理した後、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物と混合処理する、(18)に記載の金属顔料組成物の製造方法。
(20)金属粒子を、溶媒の存在下で、有機モリブデン化合物と、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物とによって、別工程もしくは同一工程で混合処理した後、有機オリゴマーもしくはポリマーを重合もしくは混合処理する、(2)から(17)のいずれかに記載の金属顔料組成物の製造方法
(21)(1)から(17)のいずれかに記載の金属顔料組成物を含む、塗料組成物。
(22)(1)から(17)のいずれかに記載の金属顔料組成物を含む、インキ組成物。
(23)(21)に記載された塗料組成物により形成された塗膜もしくは塗装された物品。
(24)(22)に記載されたインキ組成物により形成された印刷物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の金属顔料組成物を塗料組成物もしくはインキ組成物等、特に水性塗料もしくは水性インキ等に用いた場合貯蔵安定性と、塗膜にしたときの光輝性や隠蔽性、フリップフロップ感に優れ、かつ色素もしくは有機顔料を変色させることのない金属顔料組成物を得ることができる。更には、上記性能に加えて、塗膜にしたときの密着性、耐薬品性に優れた金属顔料組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について、特にその好ましい態様を中心に、詳細に説明する。
本発明に用いる金属粒子としては、アルミニウム、亜鉛、鉄、マグネシウム、銅、ニッケルのような卑金属の粒子、及びそれらの合金の粒子を好ましく用いることができる。
形状としては、平均粒径(d50)が2から40μmであり、平均厚み(t)が0.001から10μmの範囲であることが好ましく、0.01から10μmの範囲であることが更に好ましく、平均アスペクト比が1から2500の範囲であることが好ましい。ここで、平均アスペクト比は、金属粒子の平均粒径(d50)を平均厚み(t)で割った値である。
上記金属粒子を顔料として用いる場合は、鱗片状のものが好ましい。
特に好適なのはメタリック用顔料として多用されているアルミニウムフレークである。本発明に用いるアルミニウムフレークとしては、表面光沢性、白度、光輝性等メタリック用顔料に要求される表面性状、粒径、形状を有するものが適している。
アルミニウムフレークは、通常ペースト状態で市販されており、これをそのまま用いてもよいし、予め有機溶剤等で表面の脂肪酸等を除去して用いてもよい。また、平均粒径(d50)が3から30μm、平均厚み(t)が5から50nmのいわゆるアルミニウム蒸着箔も使用可能である。
【0009】
本発明に用いる有機モリブデン化合物は、例えば潤滑油添加剤として用いられているものに代表される。特に好適な化合物は、モリブデン酸有機アミン塩である。
本発明に用いるモリブデン酸有機アミン塩のアミンとしては、下記一般式(3)で表される。
【化15】
(式中、R3、R4およびR5は同じでも異なってもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR3とR4は一緒になって5員もしくは6員のシクロアルキル基を形成するか、または任意にR3とR4は窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素もしくは酸素原子を含むことができる5員もしくは6員環を形成するか、または任意にR3、R4およびR5は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる多員の多重環組成物を形成する。R3、R4およびR5は同時に水素原子にはならない。nは1から2の数を表す。)
【0010】
具体的には、例えば、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、トリデシルアミン、ステアリルアミンのような直鎖一級アミン;イソプロピルアミン、イソブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、分岐トリデシルアミンのような分岐一級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジラウリルアミン、ジトリデシルアミン、ジステアリルアミンのような直鎖二級アミン;ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、ジ分岐トリデシルアミンのような分岐二級アミン;N−メチルブチルアミン、N−エチルブチルアミン、N−エチルヘキシルアミン、N−エチルラウリルアミン、N−エチルステアリルアミン、N−イソプロピルオクチルアミン、N−イソブチル−2−エチルヘキシルアミンのような非対称二級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリラウリルアミン、トリトリデシルアミン、トリステアリルアミンのような直鎖三級アミン;トリイソプロピルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−2−エチルヘキシルアミン、トリ分岐トリデシルアミンのような分岐三級アミン;N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジエチルラウリルアミンのような混合炭化水素基を有する三級アミンなどの他に、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミンなどアルケニル基をもつアミン、シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミンのような脂環一級アミン;アニリン、ベンジルアミン、4−メチルベンジルアミンのような芳香環置換基を持つ一級アミン;N,N−ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジ−2−メチルシクロヘキシルアミンのような脂環二級アミン;ジベンジルアミン、N,N−ジ−4−メチルベンジルアミンのような芳香環置換基を持つ二級アミン;N−シクロヘキシル−2−エチルヘキシルアミン、N−シクロヘキシルベンジルアミン、N−ステアリルベンジルアミン、N−2−エチルヘキシルベンジルアミンのような非対称二級アミン;N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミンのような脂環三級アミン;トリベンジルアミン、トリ−4−メチルベンジルアミンのような芳香環置換基を持つ三級アミン;3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−デシルオキシプロピルアミン、3−ラウリルオキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モノプロパノールアミン、ブタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−イソプロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−シクロヘキシル−N−メチルアミノエタノール、N−ベンジル−N−プロピルアミノエタノール、またはN−ヒドロキシエチルピロリジン、N−ヒドロキシエチルピペラジン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−ヒドロキシエチルモルホリン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N−シクロヘキシル−1,3−プロパンジアミン、N−デシル−1,3−プロパンジアミン、N−イソトリデシル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチルピペラジン、N−メトキシフェニルピペラジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、ピリジン、メチルピリジン、キヌクリジン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン等もしくはこれらの混合物が例示される。
【0011】
これらの中で特に好ましい例としては、ステアリルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、ジオクチルアミン、直鎖または分岐ジトリデシルアミン、ジステアリルアミン、直鎖または分岐トリトリデシルアミン、トリステアリルアミン、モルホリン、3−エトキシプロピルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0012】
また、有機モリブデン化合物のうち、下記一般式(1)、下記一般式(2)で表され、下記一般式(13)のようなMoDTP(モリブデンジチオフォスフェート)類、下記一般式(14)のようなMoDTC(モリブデンジチオカーバメート)類等が例示される。
【化16】
(式中、R1は炭素数1から24の有機基で同一でも異なっていてもよく、XはSまたはOである。)
【化17】
(式中、R2は炭素数1から24の有機基で同一でも異なっていてもよく、XはSまたはOである。)
【化18】
(式中、R13は炭素数1から24の有機基で同一でも異なっていてもよい。)
【化19】
(式中、R14は炭素数1から24の有機基で同一でも異なっていてもよい。)
ここで、式(1)、(2)、(13)、(14)中の有機基R1、R2、R13、R14は炭化水素基であることが好ましく、これら炭化水素基は例えばヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合等を任意に含むことができる。特に、モリブデン酸有機アミン塩と、R14が炭素数1から24の炭化水素基であるMoDTCとの組み合わせが好ましい。
【0013】
また、式(13)、(14)で表される化合物としては、MoDTP(株式会社ADEKA製、商品名「アデカサクラルーブ300」)、MoDTC(株式会社ADEKA製、商品名「アデカサクラルーブ165」)等を用いることができる。
有機モリブデン化合物は、金属粒子100重量部に対し、0.01から10重量部添加することが好ましく、更に好ましくは0.01から5重量部添加する。
【0014】
本発明に使用される有機モリブデン化合物は、原料金属粉をボールミルで粉砕する時に添加してもよいし、金属粒子に溶媒を加えたスラリー状態で混合してもよいし、溶媒の量を少なくしたペースト状態で混練してもよい。また、有機モリブデン化合物は、金属粒子にそのまま加えてもよいし、溶媒で希釈して加えてもよい。均一な混合状態を得るためには、溶媒であらかじめ希釈して加える方が好ましい。希釈に用いる溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコール類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、デカリン等の炭化水素溶剤;ミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の工業用ガソリン;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類;鉱物油等が挙げられる。
【0015】
本発明に用いるシリコン含有化合物は、下記一般式(4)または(5)または(6)または(7)で表される化合物から選ばれる。
【化20】
(式中、R6は水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にハロゲン基を含んでもよい炭化水素基であり、R7は水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基である。R6とR7は同一でも異なってもよく、R6とR7が2つ以上ある場合は、2つ以上あるR6は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよいし、2つ以上あるR7は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。1≦m≦3である。)
【化21】
(式中、R8は他の官能基と化学結合し得る反応基を含む基であり、R9は水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にハロゲン基を含んでもよい炭化水素基であり、R10は水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基である。R8とR9とR10が2つ以上ある場合は、2つ以上あるR8は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよいし、2つ以上あるR9は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよいし、2つ以上あるR10は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。1≦p≦3であり、0≦q≦2であり、1≦p+q≦3である。)
【化22】
(式中、R11は水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基であり、4つのR11は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。)
【化23】
(式中、R12は水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にハロゲン基を含んでもよい炭化水素基であり、R12が2つ以上ある場合は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。0≦r≦3である。)
【0016】
式(4)のR6における炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オレイル、ステアリル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ナフチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であっても、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン基を含んでいてもよい。これらの中でも、とくに炭素数が1から18の炭化水素基が好ましい。また、R6が2つ以上ある場合には、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。分子中のR6の数は、式(4)において、m=1から3であるが、m=1または2がより好ましい。
【0017】
式(4)のR7における炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であってもよい。これらの炭化水素基の中でも、とくにメチル、エチル、プロピル、ブチルが好ましい。また、R7が2つ以上ある場合には、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。
【0018】
このような式(4)のシリコン含有化合物としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジブトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ジヘキシルジメトキシシラン、ジヘキシルジエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ジオクチルジメトキシシラン、ジオクチルジエトキシシラン、ジオクチルエトキシブトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ジデシルジメトキシシラン、ジデシルジエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ジオクタデシルジメトキシシラン、ジオクタデシルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリブトキシシラン等があげられる。
【0019】
式(5)のR8における他の官能基と化学結合し得る反応基としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、ポリスルフィド基、イソシアネート基等が挙げられる。
また、R8が2つ以上ある場合には、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。分子中のR8の数は、式(5)において、p=1から3であるが、p=1がより好ましい。
式(5)のR9の炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オレイル、ステアリル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ナフチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であっても、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン基を含んでいてもよい。これらの中でも、とくに炭素数が1から18の炭化水素基が好ましい。また、R9が2つ以上ある場合には、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。
式(5)のR10における炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であってもよい。これらの炭化水素基の中でも、とくにメチル、エチル、プロピル、ブチルが好ましい。また、R10が2つ以上ある場合には、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。
【0020】
このような式(5)のシリコン含有化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等があげられる。
【0021】
式(6)のR11における炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であってもよい。これらの炭化水素基の中でも、とくにメチル、エチル、プロピル、ブチルが好ましい。また、4つのR11は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。
このような式(6)のシリコン含有化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等があげられる。この中でも特に、テトラエトキシシランが好ましい。
【0022】
式(7)のR12における炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オレイル、ステアリル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ナフチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であっても、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン基を含んでいてもよい。これらの中でも、とくに炭素数が1から12の炭化水素基が好ましい。また、R12が2つ以上ある場合には、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。分子中のR12の数は、式(7)において、r=0から3であるが、r=1から3がより好ましい。
このような式(7)のシリコン含有化合物としては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、テトラクロロシラン等があげられる。
【0023】
本発明の上記一般式(4)および(5)および(6)および(7)は、それぞれ1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0024】
シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合反応物は、シリコン含有化合物と、加水分解反応を行うのに必要な量の水と、加水分解触媒とともに攪拌混合することにより得られる。その際、必要に応じて親水性溶剤を使用することもできる。加水分解反応の時間は、シリコン含有化合物の種類、加水分解時の温度、加水分解触媒の種類やその濃度に応じて調整する。
【0025】
シリコン含有化合物の加水分解反応および/またはその縮合反応の触媒は、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸類;安息香酸、酢酸、クロロ酢酸、サリチル酸、シュウ酸、ピクリン酸、フタル酸、マロン酸等の有機酸類;ビニルホスホン酸、2−カルボキシエタンホスホン酸、2−アミノエタンホスホン酸、オクタンホスホン酸等のホスホン酸類等を用いることができる。これらの加水分解触媒は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ類;炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機アルカリ塩類;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、エチレンジアミン、ピリジン、アニリン、コリン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、グアニジン等のアミン類;蟻酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、蟻酸モノメチルアミン、酢酸ジメチルアミン、乳酸ピリジン、グアニジノ酢酸、酢酸アニリン等の有機酸の塩類を用いることもできる。これらの加水分解触媒は、1種を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
シリコン含有化合物の加水分解反応および/またはその縮合反応の原料として、予め一部縮合したオリゴマーを用いてもよい。
シリコン含有化合物の加水分解物の縮合反応は、シリコン含有化合物の加水分解反応と同時に行ってもよいし、工程をわけて、かつ必要であれば触媒をかえて行ってもよい。その際、必要に応じて加温してもよい。
また、シリコン含有化合物の加水分解反応および/または縮合反応は、金属粒子および有機モリブデン化合物に添加した後に行ってもよいし、添加する前に行ってもよいが、モリブデン化合物を添加した後に行うのが好ましい。完全に加水分解されていなくてもよい。
【0027】
シリコン含有化合物の加水分解反応および/または縮合反応は、溶媒を用いた方が好ましい。希釈に用いる溶媒は、例えば、水や、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、オクタノール等のアルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類及びそのエステル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、エチレンプロピレングリコールのグリコール類などが挙げられる。溶媒にアルコール類、エーテルアルコール類を用いた場合は、シリコン含有化合物のアルコキシ基と溶媒の交換反応が起こり得るが、そのまま加水分解反応に用いてよい。
【0028】
シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物は、金属粒子100重量部に対し、0.01から50重量部添加することが好ましく、更に好ましくは1から30重量部添加する。
本発明に使用されるシリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物は、原料金属粉をボールミルで粉砕もしくは展延する時に添加してもよいし、金属粒子に溶媒を加えたスラリー状態で混合してもよいし、溶媒の量を少なくしたペースト状態で混練してもよい。
また、予定添加量を初期に一括して添加してもよいし、所定の時間をかけて連続的に添加してもよい。
【0029】
本発明は、塗膜したときの密着性、耐薬品性に優れた金属顔料組成物とするために、(i)有機オリゴマーもしくはポリマー、ii)無機リン酸類もしくはその塩類;(iii)酸性有機(亜)リン酸エステル類もしくはその塩類;よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
有機オリゴマーもしくはポリマーとしては、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂が好ましく用いられる。本発明に含まれる有機オリゴマーもしくはポリマーは、共存する金属粒子と、有機モリブデン化合物と、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物との少なくともいずれかと相互作用を持つことが好ましい。そのため、アクリル樹脂としては、共存する金属粒子と、有機モリブデン化合物と、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物との少なくともいずれかと相互作用し得るモノマー類と、架橋構造を持ち得るモノマー類よりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体であることが好ましく、その際任意にその他のモノマー類を併用してもよい。
【0030】
共存する金属粒子と、有機モリブデン化合物と、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物との少なくともいずれかと相互作用し得るモノマー類としては、例えばラジカルおよび/またはイオン重合性不飽和カルボン酸、ラジカルおよび/またはイオン重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸エステル、ラジカルおよび/またはイオン重合性二重結合とイソシアネート基を有する化合物、ラジカルおよび/またはイオン重合性二重結合とエポキシ基を有する化合物、ラジカルおよび/またはイオン重合性二重結合とアミノ基を有する化合物、ラジカルおよび/またはイオン重合性二重結合と加水分解性シリル基を有する化合物、ラジカルおよび/またはイオン重合性二重結合とスルホン基を有する化合物、ラジカルおよび/またはイオン重合性二重結合と水酸基を有する化合物、等の群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0031】
ラジカルおよび/またはイオン重合性不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノオクチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノオクチル、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、ミリストレイン酸、オレイン酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、等が挙げられる。
この中でもアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が好ましく用いられる。
【0032】
ラジカルおよび/またはイオン重合性二重結合を有するリン酸またはホスホン酸エステルとしてリン酸またはホスホン酸のモノまたはジエステルが用いられる。その中でもリン酸のモノまたはジエステルが好ましく用いられ、化合物は下記一般式(10)で示される。
【化24】
(式中、R7、R8およびR9は同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル基、エステル基、水酸基、カルボニル基、およびハロゲン基を含んでもよい炭化水素基、または任意に環構造もしくは不飽和結合を含んでよい炭化水素基、または下記一般式(11)で示される基であり、R7、R8、R9のうち1つもしくは2つは水素原子で、1つもしくは2つは下記一般式(11)であり、R7、R8、R9の炭素原子数の合計は4以上である。mは0または1の数を示す。)
【化25】
(式中、R10、R13は水素原子もしくはメチル基を示し、R11は炭素数2から8で任意に酸素原子を含んでいてもよい2価の有機基であり、R12は水素原子、もしくは下記一般式(12)を示す。hは0または1の数を示し、iは0から10の数を示す。)
【化26】
(式中、Xは水素原子もしくは塩素原子を示す。)
その具体的な例としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、トリ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェートおよびこれらの任意の混合物;2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、ジ−2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、トリ−2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスフェートおよびこれらの任意の混合物;フェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ブチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、オクチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ビス(2−クロロエチル)ビニルホスホネート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシ−ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシ−ポリオキシプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。これらは任意に無機塩基または有機アミンとの塩の形で用いることも出来る。ここで用いられる有機アミンは下記一般式(8)で表される。
【化27】
(式中、R1、R2およびR3は同じでも異なってもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR1とR2は一緒になって5員もしくは6員のシクロアルキル基を形成するか、または任意にR1とR2は窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素もしくは酸素原子を含むことができる5員もしくは6員環を形成するか、または任意にR1、R2およびR3は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる多員の多重環組成物を形成する。R1、R2およびR3は同時に水素原子にはならない。nは1から2の数を表す。)
【0033】
この中でも2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、トリ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェートおよびこれらの任意の混合物;2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、ジ−2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、トリ−2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスフェートおよびこれらの任意の混合物、およびこれらの有機アミン塩等、特にエタノールアミン類塩、モルホリン類塩等が好ましく用いられる。
【0034】
ラジカルおよび/またはイオン重合性二重結合とイソシアネート基を有する化合物としては、例えば2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトエトキシエチル(メタ)アクリレート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、メタクリロイルオキシフェニルイソシアネート等が挙げられ、これらを用いることが好ましい。
【0035】
ラジカルおよび/またはイオン重合性二重結合とエポキシ基を有する化合物を有する化合物としては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、エポキシ化ポリブタジエン、等が挙げられ、これらを用いることが好ましい。
【0036】
ラジカルおよび/またはイオン重合性二重結合とアミノ基を有する化合物としては、例えばアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、2−アミノエチルビニルエーテル、2−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アミノスチレン、N,N−ジメチルアミノスチレン、ビニルベンジルアミン、アリルアミン等が挙げられる。
この中でもアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アリルアミン等が好ましく用いられる。
【0037】
ラジカルおよび/またはイオン重合性二重結合と加水分解性シリル基を有する化合物としては、例えば(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシエトキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルジメチルシラノール、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、等が挙げられる。
この中でも(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等が好ましく用いられる。
【0038】
ラジカルおよび/またはイオン重合性二重結合とスルホン基を有する化合物としては、例えばp−スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、等が挙げられ、これらを用いることが好ましい。
【0039】
ラジカルおよび/またはイオン重合性二重結合と水酸基を有する化合物としては、例えば(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、等の活性水素を持つ(メタ)アクリル酸エステル類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;ブテン−1−オール−3、2−メチルブテン−3−オール−2、3−メチルブテン−3−オール−1、3−メチルブテン−2−オール−1等の不飽和アルコール類;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、等が挙げられる。
この中でも(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等が好ましく用いられる。
これらの、共存する金属粒子と、有機モリブデン化合物と、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物との少なくともいずれかと相互作用し得るモノマー類は、その一種または二種以上を混合して使用してよい。
使用量としては、一般に金属粒子100重量部に対し、0.01から30重量部添加することが好ましく、更に好ましくは0.1から20重量部添加する。
【0040】
架橋構造を持ち得るモノマー類としては、ラジカルおよび/またはイオン重合性二重結合を、一分子中に少なくとも二つ以上有するモノマーが好ましい。
【0041】
ラジカルおよび/またはイオン重合性二重結合を、一分子中に二つ有するモノマーとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ジビニルベンゼン、アジピン酸ビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、桂皮酸ビニル、アリルビニルエーテル、イソプロペニルビニルエーテル、等が挙げられる。
【0042】
ラジカルおよび/またはイオン重合性二重結合を、一分子中に三つ以上有するモノマーとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンエチレンオキサイド付加物トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド付加物トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加物ヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートモノプロピオネート、等が挙げられる。
【0043】
これらの架橋構造を持ち得るモノマー類は、その一種または二種以上を混合して使用してよい。
使用量としては、一般に金属粒子100重量部に対し、0.01から50重量部添加することが好ましく、更に好ましくは1から30重量部添加する。
【0044】
これらの、共存する金属粒子と、有機モリブデン化合物と、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物との少なくともいずれかと相互作用し得るモノマー類と、架橋構造を持ち得るモノマー類に加えて、任意にその他のモノマー類を共重合することもできる。
【0045】
その他のモノマー類としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−ヘキシル、(メタ)アクリル酸−シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸フルフリル、などの(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロオクチルエチル等の含フッ素側鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロペンテン−1等のフッ素化オレフィン類;及びスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、フマル酸ジブチル、等が挙げられる。
更には、例えばペンタレン、インデン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン、ビフェニレン、インダセン、フルオレン、9,9−ビスフェニルフルオレン、フェナントレン、アントラセン、トリフェニレン、ピレン、ペリレン等の縮合多環炭化水素骨格を有するモノマーや、例えばインドール、キノリン、インドリジン、カルバゾール、アクリジン、フェノキサジン等の縮合複素環骨格を有するモノマーも使用可能である。具体的には例えば、ビニルナフタレ、ジビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ジビニルアントラセン、N−ビニルカルバゾール、N−アクリロイルカルバゾール、ジビニルフルオレン、9,9−ビス[4−((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−((メタ)アクリロイルオキシ−2(または1)メチルエトキシ)フェニル]フルオレン等が挙げられる。
上記の全てのモノマー類はその一種または二種以上を混合して使用してよい。
使用量としては、一般に金属粒子100重量部に対し、0から30重量部程度が例示される。
【0046】
これら(メタ)アクリル系モノマー類は、ラジカル重合、イオン重合等、公知の方法で重合されるが、通常は重合開始剤を用いたラジカル重合法を用いるのが簡便である。
【0047】
ラジカル重合開始剤の例としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキサイド類;および2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物、等が挙げられる。
【0048】
使用量は特に限定されないが、ラジカル重合性二重結合を有するモノマー100重量部に対して、通常0.1から20重量部程度である。
重合は、金属粒子に溶媒を加えたスラリー状態で、モノマーおよび重合開始剤を同時もしくは別々に一括、または同時もしくは別々に分割、または同時もしくは別々に連続的に添加することにより行われる。
この中でも、モノマーおよび重合開始剤を別々に、分割もしくは連続的に添加する方法が好ましく用いられる。
これらモノマーおよび重合開始剤は、有機モリブデン化合物と、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物を金属粒子に添加すると同時に添加してもよいが、有機モリブデン化合物と、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物の添加後に、必要であれば溶媒種を変えて添加して、重合することが好ましい。
【0049】
添加、重合反応時の溶媒は、疎水性溶剤でも親水性溶剤でもよい。疎水性溶剤としては、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、LAWS(Low Aromatic White Spirit)、HAWS(High Aromatic White Spirit)、トルエン、キシレン等、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類等が挙げられる。親水性溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、オクタノール等のアルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類及びそのエステル類、プロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、エチレンプロピレングリコールのグリコール類も使用可能である。これらを単独または混合して使用することができる。
【0050】
比較的極性の低い溶剤、例えばミネラルスピリット、ソルベントナフサ、LAWS、HAWS、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、オクタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類及びそのエステル類、等がより好ましく例示される。
スラリー状態での重合反応においては、金属粒子のスラリー中濃度は5から20重量%の状態で行うのが好ましい。また、重合温度や時間は、反応の進行に応じて適宜決められるが、温度は通常0℃から150℃程度、重合時間は0.5から48時間程度である。
【0051】
ポリエステル樹脂類としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のカルボン酸の群から選ばれた単独または混合物と、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどのジオール類;例えばグリセリン、トリメチロールプロパンなどのトリオール類;例えばジグリセリン、ジメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのテトラオール類の群から選ばれた多価アルコールの単独または混合物との縮合反応によって得られるポリエステル樹脂類等が挙げられる。
使用量としては、一般に金属粒子100重量部に対し、0.01から50重量部、好ましくは1から30重量部添加する。
【0052】
本発明に使用される有機オリゴマーもしくはポリマーは、有機モリブデン化合物と、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物を金属粒子に添加すると同時もしくはその後に重縮合を開始して得てもよいし、予めオリゴマーもしくはポリマーの状態で添加してもよいが、重縮合を行って得る方が好ましい。
本発明に用いる無機リン酸類の例としては、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、三リン酸、四リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、ラウリルリン酸、ポリオキシプロピレンオレイルエーテルリン酸、ジポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸等があげられる。この中でも特に、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、三リン酸、四リン酸、亜リン酸が好ましい。
【0053】
本発明に用いる酸性有機リン酸エステル類又は酸性有機亜リン酸エステル類(本願において、「酸性有機(亜)リン酸エステル類」とも呼ぶ。)は、下記一般式(9)又は(10)で表される。
【化28】
(式中、R4、R5およびR6は同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル基、エステル基、水酸基、カルボニル基、およびハロゲン基を含んでもよい炭化水素基、または任意に環構造もしくは不飽和結合を含んでよい炭化水素基であり、R4、R5、R6のうち1つもしくは2つは水素原子であり、かつR4、R5、R6の炭素原子数の合計は4以上である。mは0または1の数を示す。)
【化29】
(式中、R7、R8およびR9は同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル基、エステル基、水酸基、カルボニル基、およびハロゲン基を含んでもよい炭化水素基、または任意に環構造もしくは不飽和結合を含んでよい炭化水素基、または下記一般式(11)で示される基であり、R7、R8、R9のうち1つもしくは2つは水素原子で、1つもしくは2つは下記一般式(11)であり、R7、R8、R9の炭素原子数の合計は4以上である。mは0または1の数を示す。)
【化30】
(式中、R10、R13は水素原子もしくはメチル基を示し、R11は炭素数2から8で任意に酸素原子を含んでいてもよい2価の有機基であり、R12は水素原子、もしくは下記一般式(12)を示す。hは0または1の数を示し、iは0から10の数を示す。)
【化31】
(式中、Xは水素原子もしくは塩素原子を示す。)
一般式(9)としては、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルアシッドホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルアシッドホスフェート、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、ジエチルハイドロゲンホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト等のそれぞれのモノエステル、ジエステルまたはそれらの混合物が挙げられる。これら酸性有機(亜)リン酸エステル類の中に、非置換無機リン酸及び/または酸性を示さないトリエステルが一部含まれていてもよい。これらの中で特に好ましい例としては、オクチルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、ジラウリルハイドロゲンホスファイトのモノエステル、ジエステルまたはそれらの混合物が例示される。
一般式(10)としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、トリ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェートおよびこれらの任意の混合物;2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、ジ−2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、トリ−2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスフェートおよびこれらの任意の混合物;フェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ブチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、オクチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ビス(2−クロロエチル)ビニルホスホネート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシ−ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシ−ポリオキシプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
【0054】
本発明に用いる無機リン酸塩類もしくは酸性有機(亜)リン酸エステル塩類を構成する物質としては、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、マンガンなどの金属、アンモニウム、下記一般式(8)で表されるアミンなどが挙げられる。
【化32】
(式中、R1、R2およびR3は同じでも異なってもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR1とR2は一緒になって5員もしくは6員のシクロアルキル基を形成するか、または任意にR1とR2は窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素もしくは酸素原子を含むことができる5員もしくは6員環を形成するか、または任意にR1、R2およびR3は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる多員の多重環組成物を形成する。R1、R2およびR3は同時に水素原子にはならない。nは1から2の数を表す。)
これらのアミンの中で特に好ましい例としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、更には炭素数10から20程度の直鎖もしくは分岐アルキル基を有する一級、二級、三級アミン、モルホリン、N−メチルモリホリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0055】
本発明に使用される無機リン酸類もしくはその塩類、または酸性有機(亜)リン酸エステル類もしくはその塩類は、原料金属粉をボールミルで粉砕する時に添加してもよいし、金属顔料に溶剤を加えたスラリー状態で混合しても良いし、溶剤の量を少なくしたペースト状態で混練してもよい。また、均一な混合状態を得るためには、溶剤や鉱油等であらかじめ希釈して加える方が好ましい。希釈に用いる溶剤等は、例えば、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ類、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、デカリン等の炭化水素溶剤、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の工業用ガソリン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、鉱物油等が挙げられる。
【0056】
本発明の金属顔料組成物の製造に際して、有機モリブデン化合物と、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物と、有機オリゴマーもしくはポリマー、無機リン酸類もしくはその塩類、または酸性有機(亜)リン酸エステル類もしくはその塩類よりなる群から選ばれる一種以上との金属粒子への混合もしくは有機オリゴマーもしくはポリマーの重合もしくはシリコン含有化合物の加水分解、縮合反応処理の順序は特に自由に決めてよい。但し、各化合物の説明項目で述べた例から選ばれる溶剤の存在下で行うことが好ましく、更に先ず有機モリブデン化合物とシリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物を別工程もしくは同一工程で混合処理もしくは加水分解、縮合反応処理することが好ましい。この際、有機モリブデン化合物と混合処理した後、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物と混合処理もしくは加水分解、縮合反応処理することがより好ましい。
更に有機モリブデン化合物とシリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物を別工程もしくは同一工程で処理した後、有機オリゴマーもしくはポリマー;無機リン酸類もしくはその塩類、または酸性有機(亜)リン酸エステル類もしくはその塩類から選ばれる少なくとも1種を混合もしくは重合処理することが好ましい。有機オリゴマーもしくはポリマーと無機リン酸類もしくはその塩類、または酸性有機(亜)リン酸エステル類もしくはその塩類を共に使用する場合は、別工程もしくは同一工程で混合(重合)処理してよいが、有機オリゴマーもしくはポリマーを混合もしくは重合処理した後、無機リン酸類もしくはその塩類、または酸性有機(亜)リン酸エステル類もしくはその塩類を混合処理することがより好ましい。
【0057】
また、本願発明の金属顔料組成物には、有機モリブデン化合物と、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物と、有機オリゴマーもしくはポリマー、および/または無機もしくは有機リン酸系化合物に加えて、更に酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤、界面活性剤の少なくとも1種を添加してもよい。
【0058】
酸化防止剤としては、フェノール系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物に代表される。好適な化合物としては、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチル−フェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、2,2‘メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート(IRGANOX1076)、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX259)、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX1035)、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(IRGANOX3114)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(IRGANOX1010)、カルシウムジエチルビス[[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート](IRGANOX1425WL)、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](IRGANOX245)、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシアルキルエステル(IRGANOX1135)、N,N‘−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド](IRGANOX1098)、トコフェロール等のフェノール系化合物;トリフェニルホスファイト、ジフェニルノニルフェニルホスファイト、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス−(モノおよびジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)フルオロホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジブチルハイドロゲンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスフォナイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールアルキル(C12〜C15)ホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジ−トリデシルホスファイト、ジステアリル−ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、環状ネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)、フェニル−ビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)、3,4,5,6−ジベンゾ−1,2−オキサホスファン−2−オキシド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスファイト−ジエチルエステル、水素添加ビスフェノールAホスファイトポリマー等のリン系化合物;ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル(DLTTDP)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル(DMTDP)、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル(DSTDP)、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリル−チオプロピオネート)エステル、ステアリルチオプロピオンアミド、ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキル(C12〜C14)チオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド、ジオクタデシルジスルフィド、2−メルカプトンベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)等のイオウ系化合物;アスコルビン酸等が例示される。
【0059】
光安定剤としては、先述した酸化防止剤として使用されるものもあるが、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチレート系化合物、シアノアクリレート系、蓚酸誘導体、ヒンダードアミン系化合物(HALS)、ヒンダードフェノール系化合物に代表される。
好適な化合物としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、3’’,4’’,2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−t−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネートとポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物等のベンゾトリアゾール系化合物;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、4−(2−アクリロイロキシエトキシ)−2−ヒドロキシベンゾフェノンのポリマー、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンと他の4置換ベンゾフェノンとの混合品等のベンゾフェノン系化合物;、フェニルサリチレート、2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸−n−ヘキサデシルエステル、4−t−ブチルフェニルサリチレート、4−t−オクチルフェニルサリチレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート等のサリチレート系化合物;エチル(β,β−ジフェニル)シアノアクリレート、2−エチルヘキシル(β,β−ジフェニル)シアノアクリレート等のシアノアクリレート系化合物;2−エトキシ−2’−エチル蓚酸ビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチル蓚酸ビスアニリド、蓚酸アニリド誘導体等の蓚酸誘導体;[4−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニル]−N−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,1’−(1,2−エタンジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジンオン)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、1,2,3,4−ブタンカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル]、[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]]、ポリ[6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジルイミノ−ヘキサメチレン][2,2,6,6−テトラメチルピペリジルイミノ]]、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、等のヒンダードアミン(HALS)系化合物;1,6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルセミカルバジド)、1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレン−ジ−p−フェニレン)ジセミカルバジド等のセミカルバジド系化合物;等が挙げられる。
【0060】
重合禁止剤としては、フェノール類、キノン類、ニトロ化合物、ニトロソ化合物、アミン類、スルフィド類に代表される。好適な化合物としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、モノ−tert−ブチルヒドロキノン、カテコール、p−tert−ブチルカテコール、p−メトキシフェノール、p−tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−m−クレゾール、ピロガロール、β−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール等のフェノール類;ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、p−トルキノン、p−キシロキノンなどのキノン類;ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロブタン、ニトロベンゼン、ニトロベンゼンスルホン酸化合物、m−ジニトロベンゼン、2−メチル−2−ニトロソプロパン、α−フェニル−tert−ブチルニトロン、5,5−ジメチル−1−ピロリン−1−オキシドなどのニトロ化合物又はニトロソ化合物;クロラニル−アミン、ジフェニルアミン、ジフェニルピクリルヒドラジン、フェノール−α−ナフチルアミン、ピリジン、フェノチアジンなどのアミン類;ジチオベンゾイルスルフィド、ジベンジルテトラスルフィドなどのスルフィド類等が挙げられる。
【0061】
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエートなどのソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレートなどのポリアルキレングリコール脂肪酸エステル;ラウリン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、オレイン酸モノグリセライドなどのグリセリン脂肪酸エステルに代表される非イオン性界面活性剤が挙げられ、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウムなどの硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホン酸塩;アルキルリン酸カリウムなどのリン酸エステル塩類に代表される陰イオン性界面活性剤が挙げられ、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの四級アンモニウム塩に代表される陽イオン性界面活性剤などが挙げられ、これらから選ばれた1種もしくは2種以上が使用できる。これらの中で特に好ましい例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルまたはそれらの混合物が例示される。
【0062】
本発明によって得られる金属顔料組成物は、有機溶剤系の塗料、インキ等に用いることも出来るが、水を主とする媒体中に塗膜形成成分である樹脂類が溶解または分散している水性塗料もしくは水性インキに加えることによりメタリック水性塗料もしくはメタリック水性インキとすることができる。また、樹脂等と混練して耐水性のバインダー、フィラーとして用いることもできる。酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤、界面活性剤は、金属顔料組成物を水性塗料もしくは水性インキ、または樹脂等に配合する際に添加してもよい。
【0063】
本発明によって得られる金属顔料組成物は、塗料やインキに用いる場合は、そのまま(水性)塗料もしくは(水性)インキに加えてもよいが、予め溶媒に分散させてから加える方が好ましい。使用する溶媒としては、水や、テキサノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。また、これらの樹脂類としては例えば、アクリル樹脂類、ポリエステル樹脂類、ポリエーテル樹脂類、エポキシ樹脂類、フッ素樹脂類、ロジン樹脂類などが挙げられる。
【0064】
アクリル樹脂類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の活性水素を持つ(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド類;及びメタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル、p−スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸等のその他の重合性モノマー類等から選ばれた単独または混合物を重合させて得られるアクリル樹脂類が挙げられる。
その重合方法としては、乳化重合が一般的であるが、懸濁重合、分散重合、溶液重合でも製造できる。乳化重合では段階的に重合することもできる。
【0065】
ポリエステル樹脂類としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のカルボン酸の群から選ばれた単独または混合物と、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、2−エチル−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどのジオール類、例えばグリセリン、トリメチロールプロパンなどのトリオール類、例えばジグリセリン、ジメチロールプロパン、ペンタエリトリトールなどのテトラオール類の群から選ばれた多価アルコールの単独または混合物との縮合反応によって得られるポリエステル樹脂類、及び例えば低分子量ポリオールの水酸基にε−カプロラクトンを開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等が挙げられる。
【0066】
ポリエーテル樹脂類としては、多価ヒドロキシ化合物の単独または混合物に、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどの水酸化物、アルコラート、アルキルアミンなどの強塩基性触媒を使用して、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独または混合物を付加して得られるポリエーテルポリオール類、更にエチレンジアミン類等の多官能化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルポリオール類、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類の開環重合によって得られるポリエーテルポリオール類及び、これらポリエーテル類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類等が含まれる。
これらの樹脂類は水に乳化、分散あるいは溶解することが好ましい。そのために、樹脂類に含まれるカルボキシル基、スルホン基などを中和することができる。
【0067】
カルボキシル基、スルホン基などの中和するための中和剤としては、例えばアンモニア、水溶性アミノ化合物である例えばモノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリンなどから選択される1種以上を用いることができる。好ましくは、第三級アミンであるトリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等が挙げられる。
【0068】
好ましい樹脂類は、アクリル樹脂類、ポリエステル樹脂類である。
必要に応じて、メラミン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ウレタンディスパージョンなどの樹脂を併用することができる。更には一般的に塗料に加えられる無機顔料、有機顔料、体質顔料、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、分散剤、沈降防止剤、レべリング剤、増粘剤、消泡剤と組み合わせてもよい。塗料への分散性を良くするために、更に界面活性剤を添加してもよいし、塗料の保存安定性を良くするために、更に酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤を添加してもよい。
【実施例】
【0069】
以下に、本発明の実施例を示す。
[製造例1]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gに、モリブデン酸モノオクチルアミン塩を、該アルミペースト中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.3重量部となるように添加し、70℃で6時間混練し、有機モリブデン化合物を含む金属粒子Aを得た。
[製造例2]
モリブデン酸モノオクチルアミン塩の量を、該アルミペースト中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、1.0重量部となるように添加する以外は製造例1と同様に行い有機モリブデン化合物を含む金属粒子Bを得た。
[製造例3]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gに、モリブデン酸分岐ジトリデシルアミン塩を、該アルミペースト中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.5重量部となるように添加し、70℃で6時間混練し有機モリブデン化合物を含む金属粒子Cを得た。
[製造例4]
モリブデン酸分岐ジトリデシルアミン塩の量を、該アルミペースト中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、2.0重量部となるように添加する以外は製造例3と同様に行い有機モリブデン化合物を含む金属粒子Dを得た。
[製造例5]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gに、モリブデン酸ジステアリルアミン塩を、該アルミペースト中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.6重量部となるように添加し、70℃で6時間混練し有機モリブデン化合物を含む金属粒子Eを得た。
[製造例6]
モリブデン酸ジステアリルアミン塩の量を、該アルミペースト中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、3重量部となるように添加する以外は製造例5と同様に行い、有機モリブデン化合物を含む金属粒子Fを得た。
[製造例7]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gに、モリブデン酸ジトリデシルアミン塩とMoDTC(株式会社ADEKA製、商品名「アデカサクラルーブ165」)を、該アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、それぞれ1.0重量部、0.5重量部添加し、所定量のソルベントナフサと共に70℃で6時間混練し、有機モリブデン化合物を含む金属粒子Gを得た。
[製造例8]
モリブデン酸ジトリデシルアミン塩の量を該アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、2.0重量部にする以外は製造例7と同様に行い、有機モリブデン化合物を含む金属粒子Hを得た。
[製造例9]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3160(平均粒径16μm、不揮発分74%)」)135gに、モリブデン酸モノオクチルアミン塩を、該アルミペースト中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.5重量部となるように添加し、70℃で6時間混練し、有機モリブデン化合物を含む金属粒子Iを得た。
製造例1から9で得られたアルミニウム顔料組成物に対し、以下の処理を行った。
【0070】
[実施例1]
製造例1で得られた有機モリブデン化合物を含む金属粒子A135gにエチレングリコールモノブチルエーテルを465g加えスラリー状態とし、該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、10.0重量部のテトラエトキシシランを添加した後、3.2重量部の25%アンモニア水と5.2重量部の精製水を添加し、40℃で2時間攪拌した。その後、140℃に昇温し、4時間攪拌を行った。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分60%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中のMoおよびSiの含有量をICP発光分析により定量した結果、アルミニウム顔料100重量部に対し、Moは0.08重量部、Siは1.01重量部であった。
[実施例2]
実施例1で得られたアルミニウム顔料組成物のアルミニウム金属成分100重量部に対し、3.0重量部のトリデシルアシッドホスフェートを添加し、40℃で2時間混錬しアルミニウム顔料組成物を得た。
[実施例3]
10.0重量部のテトラエトキシシランを、8.0重量部のテトラエトキシシランと、2.0重量部の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランに換える以外は実施例1と同様に行い、不揮発分62%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中のMoおよびSiの含有量をICP発光分析により定量した結果、アルミニウム顔料100重量部に対し、Moは0.08重量部、Siは0.99重量部であった。
[実施例4]
有機モリブデン化合物を含む金属粒子Aを、得製造例2で得られた金属粒子Bに換える以外は実施例1と同様に行い、不揮発分60%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中のMoおよびSiの含有量をICP発光分析により定量した結果、アルミニウム顔料100重量部に対し、Moは0.3重量部、Siは1.3重量部であった。
[実施例5]
製造例3で得られた有機モリブデン化合物を含む金属粒子C135gにエチレングリコールモノブチルエーテルを465g加えスラリー状態とし、該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、5.0重量部のテトラエトキシシランと、5.0重量部のヘキシルトリメトキシシランを添加した後、3.2重量部の25%アンモニア水と5.2重量部の精製水を添加し、40℃で2時間攪拌した。その後、140℃に昇温し、6時間攪拌を行った。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分61%のアルミニウム顔料組成物を得た。更に、該アルミニウム顔料組成物のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.5重量部の2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを添加し、混練した。得られたアルミニウム顔料組成物は、50℃で1週間エージングを行った。このアルミニウム顔料組成物中のMoおよびSiの含有量をICP発光分析により定量した結果、アルミニウム顔料100重量部に対し、Moは0.07重量部、Siは1.01重量部であった。
[実施例6]
製造例3で得られた有機モリブデン化合物を含む金属粒子C135gにプロピレングリコールモノメチルエーテルを465g加えスラリー状態とし、該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、10.0重量部のテトラメトキシシランを添加した後、2.0重量部のN,N−ジメチルエタノールアミンと4.0重量部の精製水を添加し、40℃で1時間攪拌した。その後、100℃に昇温し、12時間攪拌を行った。更に、1モル/Lの酢酸水溶液で予め加水分解しておいた5.0重量部の3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを添加し、8時間攪拌を行った。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分55%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中のMoおよびSiの含有量をICP発光分析により定量した結果、アルミニウム顔料100重量部に対し、Moは0.07重量部、Siは1.80重量部であった。
[実施例7]
製造例4で得られた有機モリブデン化合物を含む金属粒子D162gにエチレングリコールモノブチルエーテルを558g加えて分散し、スラリー温度を70℃に保ちながら2時間攪拌した。その後、テトラエトキシシラン6.0gと、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン6.0gを、1モル/Lの酢酸水溶液で予め加水分解しておいた状態で添加し、130℃に昇温し、6時間攪拌した。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分60%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中の各成分を製造例5と同様に測定すると、Al:100重量部に対し、Mo:0.28重量部、Si:1.01重量部であった。
[実施例8]
製造例5で得られた有機モリブデン化合物を含む金属粒子E135gにエチレングリコールモノブチルエーテルを465g加えスラリー状態とし、該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、5.0重量部のテトラエトキシシランと、5.0重量部のフェニルトリメトキシシランを、1モル/Lの酢酸水溶液で予め加水分解しておいた状態で添加し、130℃で12時間攪拌した。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分52%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中のMoおよびSiの含有量をICP発光分析により定量した結果、アルミニウム顔料100重量部に対し、Moは0.07重量部、Siは1.04重量部であった。
[実施例9]
製造例5で得られた有機モリブデン化合物を含む金属粒子E135gにエチレングリコールモノブチルエーテルを465g加えスラリー状態とし、該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、5.0重量部のテトラエトキシシランを添加した後、70℃で8時間攪拌した。その間、20%に希釈したリン酸水溶液5.0重量部を、2時間かけて連続的に添加した。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分60%のアルミニウム顔料組成物を得た。更に、該アルミニウム顔料組成物のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.5重量部のオレイン酸を添加し、混練した。このアルミニウム顔料組成物中のMoおよびSiの含有量をICP発光分析により定量した結果、アルミニウム顔料100重量部に対し、Moは0.07重量部、Siは0.50重量部であった。
[実施例10]
製造例6で得られた有機モリブデン化合物を含む金属粒子F162gにエチレングリコールモノブチルエーテルを558g加えて分散し、スラリー温度を40℃に保ちながら1時間攪拌した。その後、テトラエトキシシラン12.0gを添加した後、N,N−ジメチルエタノールアミン9.6gと精製水7.2gを添加し、1時間攪拌した。その後、130℃に昇温し、6時間攪拌を行った。更に、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン6.0gを、1モル/Lの酢酸水溶液で予め加水分解しておいた状態で添加し、2時間攪拌を行った。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分63%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中の各成分を製造例5と同様に測定すると、Al:100重量部に対し、Mo:0.30重量部、Si:1.45重量部であった。
[実施例11]
製造例7で得られた有機モリブデン化合物を含む金属粒子G135gにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを465g加えスラリー状態とし、該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、5.0重量部のトリフルオロプロピルトリメトキシシランを、1モル/Lの酢酸水溶液で予め加水分解しておいた状態で添加し、130℃で12時間攪拌した。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分58%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中のMoおよびSiの含有量をICP発光分析により定量した結果、アルミニウム顔料100重量部に対し、Moは0.16重量部、Siは0.50重量部であった。
[実施例12]
製造例8で得られた有機モリブデン化合物を含む金属粒子H162gにエチレングリコールモノブチルエーテルを558g加えて分散し、スラリー温度を40℃に保ちながら1時間攪拌した。その後、テトラエトキシシラン12.0gと、3−アミノプロピルトリメトキシシラン6.0gを添加した後、25%アンモニア水3.8gと精製水6.2gを添加し、更に2時間攪拌した。その後、140℃に昇温し、4時間攪拌を行った。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分62%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中の各成分を製造例5と同様に測定すると、Al:100重量部に対し、Mo:0.45重量部、Si:1.60重量部であった。
[実施例13]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gに、トルエンを465gとN,Nジメチルベンジルアミン4.0gを加えスラリー状態とし、該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、2.0重量部のジメチルジクロロシランを添加し、50℃で18時間攪拌した。その後、モリブデン酸N,N−ジメチルエタノールアミン塩を、該アルミペースト中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、1.0重量部となるように添加し、6時間攪拌した。その後、100℃に昇温し、更に、1モル/Lの塩酸で予め加水分解しておいた5.0重量部のテトラエトキシシランを添加し、6時間攪拌した。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分65%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中のMoおよびSiの含有量をICP発光分析により定量した結果、アルミニウム顔料100重量部に対し、Moは0.31重量部、Siは0.83重量部であった。
[実施例14]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gに、モリブデン酸トリエタノールアミン塩を、該アルミペースト中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.5重量部となるように、また、メトキシ変性メチルフェニルシリコーンオリゴマー(信越化学工業株式会社製、商品名「KR−213」)を5.0重量部添加し、70℃で12時間混練し、アルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中のMoおよびSiの含有量をICP発光分析により定量した結果、アルミニウム顔料100重量部に対し、Moは0.12重量部、Siは0.62重量部であった。
[実施例15]
製造例9で得られた有機モリブデン化合物を含む金属粒子I135gにエチレングリコールモノブチルエーテルを465g加えスラリー状態とし、該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、10.0重量部のテトラエトキシシランを添加した後、1.6重量部の25%アンモニア水と2.6重量部の精製水を添加し、40℃で2時間攪拌した。その後、140℃に昇温し、4時間攪拌を行った。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分60%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中のMoおよびSiの含有量をICP発光分析により定量した結果、アルミニウム顔料100重量部に対し、Moは0.13重量部、Siは1.01重量部であった。
[実施例16]
実施例4で得られたアルミニウム顔料組成物161gにミネラルスピリットを700g加えて分散し、スラリー温度を70℃に保ちながら30分間攪拌した。次いで、アクリル酸0.75gを添加し、30分間攪拌した。その後、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)5.6gと、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)2.4gと、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(ADVN)3.0gを、ミネラルスピリット80gに溶解し、その液を3時間かけて添加した。その後、更に2時間攪拌を続けた。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分57.1%のアルミニウム顔料組成物193gを得た。
[実施例17]
実施例16で得られたアルミニウム顔料組成物のアルミニウム金属成分100重量部に対し、3.0重量部の2−エチルヘキシルアシッドホスフェートモルホリン塩を添加し、40℃で2時間混錬しアルミニウム顔料組成物を得た。
[実施例18]
実施例7で得られたアルミニウム顔料組成物161gにミネラルスピリットを600g加えて分散し、スラリー温度を70℃に保ちながら30分間攪拌した。次いで、100gのトルエンに溶解したアシッドホスホオキシ−ポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート4gを添加し、30分間攪拌した。その後、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)5.6gと、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)2.4gと、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(ADVN)3.0gを、ミネラルスピリット80gに溶解し、その液を3時間かけて添加した。その後、更に2時間攪拌を続けた。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分55.5%のアルミニウム顔料組成物200gを得た。
[実施例19]
実施例10で得られたアルミニウム顔料組成物159gにミネラルスピリットを700g加えて分散し、スラリー温度を70℃に保ちながら30分間攪拌した。その後、TMPTA5.6gと、DTMPTA2.4gと、アクリロイルオキシエチルイソシアネート1.0gと、ADVN3.0gを、ソルベントナフサ80gに溶解し、その液を3時間かけて添加した。その後、更に2時間攪拌を続けた。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分56.7%のアルミニウム顔料組成物193gを得た。
[実施例20]
実施例4で得られたアルミニウム顔料組成物を実施例12で得られたアルミニウム顔料組成物に、アクリル酸0.75gをグリシジルメタクリレート1.50gに換え、TMPTAとDTMPTAの他にジビニルベンゼン1.0gを加えた以外は実施例16と同様に行い、不揮発分55.1%のアルミニウム顔料組成物202gを得た。
[実施例21]
実施例4で得られたアルミニウム顔料組成物を実施例15で得られたアルミニウム顔料組成物に換える以外は実施例16と同様に行い、不揮発分58.0%のアルミニウム顔料組成物191gを得た。
【0071】
[比較例1]
シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物を含有しない製造例1で得られたモリブデン酸を含むアルミニウム粒子をそのまま用いた。
[比較例2]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gに、エチレングリコールモノブチルエーテルを465g加えスラリー状態とし、該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、10.0重量部のテトラエトキシシランを添加した後、1.6重量部の25%アンモニア水と2.6重量部の精製水を添加し、40℃で2時間攪拌した。その後、140℃に昇温し、4時間攪拌を行った。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分60%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中のMoおよびSiの含有量をICP発光分析により定量した結果、アルミニウム顔料100重量部に対し、Moは0.00重量部、Siは0.40重量部であった。
[比較例3]
モリブデン酸モノオクチルアミン塩に換えてリンモリブデン酸をアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.3重量部となるように添加する以外は製造例1と同様に行い、無機モリブデン化合物を含む金属粒子Kを得た。実施例1でいう金属粒子Aに換えてこの
無機モリブデン化合物を含む金属粒子Kを用いる以外は実施例1と同様に行い、不揮発分60%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中のMoおよびSiの含有量をICP発光分析により定量した結果、アルミニウム顔料100重量部に対し、Moは0.15重量部、Siは1.0重量部であった。
[比較例4]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)をそのまま用いた。
【0072】
[実施例22から42][比較例5から8]
実施例1から21で得られたアルミニウム顔料組成物、および比較例1から4で得られたアルミニウム顔料組成物に対し、下記の組成で水性メタリック塗料を調製した。なお、それらの結果を実施例22から42並びに比較例5から8とした。
【0073】
[水性メタリック塗料の調製]
以下の成分を有する水性メタリック塗料を調製した。
アルミニウム顔料組成物:アルミニウム分として10.5g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル:6.8g
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(非イオン性界面活性剤)
(松本油脂製薬株式会社製、商品名「アクチノールL5」):2.1g
精製水:42g
水溶性アクリル樹脂
(オリジン電気株式会社製、商品名「水性プラミーズ#200」):175g
増粘剤(共栄社化学株式会社製、商品名「チクゾールK−130B」):5.0g
調製された水性メタリック塗料を用いて、以下の評価を行った。
【0074】
[評価1(塗料安定性)]
上記処方で調製された塗料を23℃で24時間放置後の状態の変化を目視で評価した。
○:特に変化が認められない。
△:アルミニウム顔料の凝集が若干認められる。
×:アルミニウム顔料の凝集が認められる。
[評価2(貯蔵安定性(ガス発生)評価)]
水性メタリック塗料200gをフラスコに採取し、40℃の恒温水槽で168時間まで水素ガス累積発生量を観察した。ガスの発生量に応じて下記のように評価し、塗料中の貯蔵安定性の指標とした。
◎:実験誤差範囲(±約0.5ml)で0ml
○:1.0ml未満
△:1.0以上5.0ml未満
×:5.0ml以上20ml未満
××:20ml以上
[評価3(塗膜色調評価)]
上記の塗料を用いて塗膜を作製し、輝度、フリップフロップ感の評価を行った。
輝度
関西ペイント株式会社製のレーザー式メタリック感測定装置アルコープLMR−200を用いて評価した。光学的条件は、入射角45度のレーザー光源と受光角0度と−35度に受光器をもつ。測定値としては、レーザーの反射光のうち、塗膜表面で反射する鏡面反射領域の光を除いて最大光強度が得られる受光角−35度でIV値を求めた。IV値は塗膜からの正反射光強度に比例するパラメーターであり、光輝度の大小を表す。判定方法は以下の通りである。
◎:比較例5より20以上高いもの
○:比較例5との差異が+10〜20のもの
△:比較例5との差異が±10未満のもの
×:比較例5より10以上低いもの
フリップフロップ感(FF)
スガ試験機株式会社製の変角測色計を用いて評価した。入射角45度の光源に対して観察角度(受光角)30度と80度における反射光強度(L値)の対数の傾きからF/F値を求めた。F/F値は、金属顔料の配向度合いに比例するパラメーターであり、顔料のフリップフロップ感の大小を表す。判定方法は以下の通りである。
◎:比較例5より0.1以上高いもの
○:比較例5との差異が+0.05〜0.1のもの
△:比較例5との差異が±0.05未満のもの
×:比較例5より0.05以上低いもの
隠蔽性
PETシートに塗布した塗膜を目視で判定した。
○:基準より優れているもの
×:基準と同等以下のもの
[評価4(色素変色性評価)]
アルミニウム顔料組成物5gに対しメチレンブルー水溶液(0.04mmol/L)20mlを加え、40℃で24時間加温した。ついでこの液をろ過し、青色の脱色の程度を評価した。
○:顕著な脱色が認められない。
×:脱色が認められる。
評価1〜2の結果を表1に示す。
【表1】
【0075】
[実施例43〜48][比較例9]
実施例16〜21で得られた、有機オリゴマーもしくはポリマーを含むアルミニウム顔料組成物に関しては以下の密着性と耐薬品性の試験を行った。なお、それらの結果を実施例43から48並びに比較例9とした。
[メタリック塗料の調製]
以下の成分を有するメタリック塗料を調製した。
アルミニウム顔料組成物:不揮発分として5g
シンナー(武蔵塗料株式会社製、商品名「プラエースシンナーNo.2726」):50g
アクリル樹脂(武蔵塗料株式会社製、商品名「プラエースNo.7160」):33g
[評価]
調製したメタリック塗料を、エアスプレー装置を用いてABS樹脂板に乾燥膜厚が10μmになるように塗装し、60℃のオーブンで30分乾燥し、評価用塗板を得た。
上記の評価用塗板を用いて、以下の評価を行った。
[評価5(密着性)]
セロテープ(登録商標:ニチバン株式会社製、CT−24)を、上記の評価用塗板の塗膜に密着させ、45度の角度で引っ張り、アルミニウム顔料粒子の剥離度合いを目視で観察した。判定方法は以下の通りである。
○:剥離なし
△:やや剥離あり
×:剥離あり
[評価6(耐薬品性)]
上記の評価用塗板の下半分を、0.1N−NaOH水溶液を入れたビーカーに浸漬し、55℃で4時間放置した。試験後の塗板を水洗、乾燥した後、浸漬部と未浸漬部を、JIS−Z−8722(1982)の条件d(8−d法)により測色し、JIS−Z−8730(1980)の6.3.2により色差ΔEを求める。色差ΔEの値に応じて、以下のように判定した。(値が小さいほど良好である。)
○:1.0未満
×:1.0以上
結果を表2に示す。
【表2】