特許第5979790号(P5979790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979790
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】パイロット式電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   F16K31/06 305L
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-551716(P2012-551716)
(86)(22)【出願日】2011年1月31日
(65)【公表番号】特表2013-519051(P2013-519051A)
(43)【公表日】2013年5月23日
(86)【国際出願番号】IB2011050415
(87)【国際公開番号】WO2011095928
(87)【国際公開日】20110811
【審査請求日】2013年11月14日
(31)【優先権主張番号】1000398
(32)【優先日】2010年2月2日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】305040422
【氏名又は名称】アスコ ジュコマティック エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンダム,リシャール
(72)【発明者】
【氏名】モロ,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】ゴム,ジャン−ピエール
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04196751(US,A)
【文献】 米国特許第05374029(US,A)
【文献】 特開平10−318413(JP,A)
【文献】 特開平10−054324(JP,A)
【文献】 特開平02−309075(JP,A)
【文献】 特開2007−138972(JP,A)
【文献】 米国特許第04076045(US,A)
【文献】 実開平02−072880(JP,U)
【文献】 米国特許第04210890(US,A)
【文献】 特開平11−173453(JP,A)
【文献】 特開平03−009180(JP,A)
【文献】 実開平05−036175(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
強磁性材料で作られた平たい可動鉄心(10)と、固定鉄心(3)と、コイル(17)とからなる電磁石(17、4、3、10)を備える電磁弁であって、
前記電磁石に属する本体(4)を備えており、該本体(4)が、前記平たい可動鉄心(10)、前記固定鉄心(3)、及び前記コイル(17)の挿入に適した開口(23)を、該本体(4)の供給オリフィス(18)とは反対側の後部に配置して備えており、該本体(4)が、非磁性材料で作られた保持リング(8)に固定され、板ばね(9)が、前記保持リング(8)と前記平たい可動鉄心(10)との間で圧縮されており、
前記保持リング(8)に組み合わせられた前記板ばね(9)は、前記弁が休止位置にあるときの供給オリフィス(18)の封止を前記平たい可動鉄心(10)の行程の調節にかかわりなく行なうために使用される付勢力の調節を可能にし、
付勢力が予め定めた正確な値に達する位置で前記保持リング(8)は前記本体上にかしめられていることを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
前記平たい可動鉄心(10)の行程の調節は、前記コイル(17)及び前記固定鉄心(3)が組み込まれるときに得られることを特徴とする、請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
前記保持リング(8)が、前記固定鉄心(3)の心出しを可能にすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電磁弁。
【請求項4】
前記供給オリフィス(18)及び使用オリフィス(19)が、前記本体(4)に固定された底(4D)に形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電磁弁。
【請求項5】
前記電磁弁が、前記平たい可動鉄心(10)に挿入される、2面をもつポペット(12)を備え、該ポペット(12)は、長さ方向に多角形の形状部分を有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の電磁弁。
【請求項6】
長さ方向に円柱形の形状部分を有するポペット(12B)と、
ポペット(12B)を保持するための段部を有する平たい可動鉄心(10D)とを備えることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の電磁弁。
【請求項7】
段部(35)を有するポペット(12C)を備えることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の電磁弁。
【請求項8】
円すい形のばね(36)が、前記ポペット(12C)の前記段部(35)と前記平たい可動鉄心(10D)の段部(34)との間に挿入されることを特徴とする、請求項7に記載の電磁弁。
【請求項9】
第2の板ばねが、前記本体(4)の段部(27)によって予め力が加えられた状態で、前記平たい可動鉄心(10)に、前記板ばね(9)との組み合わせにおいて、前記本体(4)及び任意の他の内側部品の両者による摩擦のない案内をもたらすために使用されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の電磁弁。
【請求項10】
前記平たい可動鉄心(10)及び前記固定鉄心(3)が、前記平たい可動鉄心と前記固定鉄心の端部の間の空隙の近傍に、段差のある形状の領域を備えていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の電磁弁。
【請求項11】
前記平たい可動鉄心(10)の外径が、重量を抑えるために減らされており、前記平たい可動鉄心(10)が、前記平たい可動鉄心の外周囲面上にフランジ(28)を有していることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の電磁弁。
【請求項12】
前記本体(4)の断面の外形が、少なくとも2つの反対向きの面において断ち落とされ、平らな部分が形成されていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の電磁弁。
【請求項13】
当該電磁弁を外部の装置に接続するすべての流体の通路(18)、(19)、(20)が、直線的であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の電磁弁。
【請求項14】
前記電磁弁が、前記板ばね(9)と組み合わせて、前記平たい可動鉄心(10)を中心に移し、案内するために、心出しシム(11)を有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気供給装置をスプール又はポペットで制御するのに広く使用される小型の電磁弁に関する。この小型の電磁弁は、電力のインクリーザ又はコントローラとしての働きをする。詳しくは、低い電力、しばしば1W未満の入力に対し、出力における制御された空気動力は1kWより大きい。
【背景技術】
【0002】
小型の電磁弁を組み立てる原理は、可動要素が2つの構造のタイプをもつことができる電磁石に基づいている。
【0003】
第1の構造のタイプは、電磁石に属する、コイルの中央部に深く入り込んでいる円柱形の鉄心によって特徴付けられる。この構造は一般にプランジャー鉄心電磁弁と呼ばれている。
【0004】
第2の構造のタイプは、コイルの中央部に入り込んでいない平たい鉄心によって特徴付けられる。この構造は一般に平たい可動鉄心電磁弁と呼ばれている。
【0005】
プランジャー鉄心を使用している第1の構造のタイプについては、先行技術として特許文献1を挙げることができる。この構造は、プランジャー鉄心のかなりの重量を低減させて、磁束を最適化している点に特徴付けられる。プランジャー鉄心を案内するために特に使用された2つの板ばねの使用により、摩擦力は削減されている。
【0006】
平たい可動鉄心を使用している第2の構造のタイプについては、先行技術として特許文献2を挙げることができる。この構造は、平たい可動鉄心の重量を低減したことによって特徴付けられる。復元させるものとして円柱形のばねが使用されている。平たい可動鉄心がその2つの安定した位置の間を移動する距離は行程と呼ばれる。
【0007】
これら2つの構造のそれぞれにおいて、2つの主要な空隙が存在する。
− 電磁弁の主軸に対し垂直に位置する空隙。この空隙は作動する空隙である。鉄心の行程を直接決定し、結果的に弁の流量を決定する。それゆえ、この空隙で分散を制御する必要がある。
− 電磁弁の主軸に対し放射状に位置する空隙。この空隙は非作動の空隙である。しかしながら、鉄心がハウジングに移動できるようにすることが必要である。また、電磁石の磁束のルーピング(looping)に対する影響を限定するために、この空隙を制御することが必要である。
【0008】
両方のタイプの構造において、鉄心の行程は相当の数の部品の大きさだけでなく、電磁石の磁力の特性機能としてのばねの動作点の変動にも依存する。したがって、流量の値の再現が可能な小型の電磁弁を作製すること、及び吸収電力を確実に低くすることは非常に困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】EP1536169
【特許文献2】EP0549490
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】スイッチオフである本発明の電磁弁のB−B面に沿った縦断面図である。
図2】スイッチオフである本発明の電磁弁のA−A面に沿った縦断面図である。
図3】スイッチオンである図2の電磁弁の縦断面図である。
図4図1の電磁弁のコイルの構造を詳細に示した図である。
図5図1の電磁弁のコイルのサブアセンブリの構造を詳細に示した図である。
図6図5の電磁弁のコイルのサブアセンブリの構造を詳細に示した図である。
図6b図6bは、図4に示された骨格の主要な穴に組み込まれたボスを詳細に示した図である。
図6c図6cは、図6bの平面A−Aに沿った縦断面図である。
図7図1の電磁弁の平たい可動鉄心の形状の他の態様を示す図である。
図7b図7bは、図1の電磁弁の平たい可動鉄心の形状の他の態様を示す図である。
図8図1の電磁弁のポペットの透視図である。
図9図1の電磁弁の平たい可動鉄心に挿入された、図8のポペットの平面A−Aに沿った縦断面図である。
図9b図9bは、図1の電磁弁の図9で示されたポペットの形状の別の態様を示す図である。
図9c図9cは、図1の電磁弁の図9で示されたポペットの形状の別の態様を示す図である。
図9d図9dは、図1の電磁弁の図9で示されたポペットの間の円すい形のばねの存在を示す図である。
図10図1の電磁弁の平たい可動鉄心に挿入された、図9の平たい可動鉄心に取り付けられたポペットの平面B―Bに沿った縦断面図である。
図11図1の電磁弁の本体の第1実施例の透視図である。
図12図11の上からの図である。
図13図1の電磁弁の本体の第2実施例の透視図である。
図14図13の上からの図である。
図15】他の内部封止手段を示す図2に類似した断面図である。
図16】他の内部封止手段を示す図2に類似した断面図である。
図17図1の電磁弁の平たい可動鉄心及び本体の形状の別の態様を示すである。
図18】磁気空隙の形状の、平たい可動鉄心の引力曲線に対する影響を表すスキマティック曲線である。
図19】作動している空隙近傍の領域における図18の拡大図である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、可動要素が平らな可動鉄心に類似しており、この平らな可動鉄心の行程及び復元力は、流量の値を再現できるように良好に制御することができ、吸収電力が低い小型の電磁弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、平たい可動鉄心と、固定鉄心と、コイルとからなる電磁石を備える電磁弁であって、
前記電磁石に属する本体を備えており、該本体が、前記平たい可動鉄心、前記固定鉄心、及び前記コイルの挿入に適した開口を、該本体の供給オリフィスとは反対側の上端に配置して備えており、該本体が、非磁性材料で作られた保持リングに固定され、板ばねが、前記保持リングと前記平たい可動鉄心との間で圧縮されていることを特徴とする電磁弁である。
【0013】
前記保持リングに組み合わせられた前記板ばねは、弁が休止位置にあるときの供給オリフィスの封止を前記平たい可動鉄心の行程の調節にかかわりなく行なうために使用される付勢力の調節を可能にすることが好ましい。
【0014】
前記平たい可動鉄心の行程の調節は、前記コイル及び前記固定鉄心を含むサブアセンブリが組み込まれるときに得られるようにすることができる。
【0015】
前記供給オリフィス及び使用オリフィスを、前記本体の底部に形成することができる。
【0016】
保持リングは、固定鉄心の心出しを可能にすることができる。
【0017】
前記供給オリフィス及び使用オリフィスを、前記本体に固定された底部に形成することができる。
【0018】
前記コイルの骨格は、いくつかのボスを有することができる。
【0019】
ポペットは、多角形の形状を有することができる。
【0020】
ポペットは円柱形であり、平たい可動鉄心の段部が、保持部として機能することができる。
【0021】
ポペットは段部を有することができる。
【0022】
円すい形のばねを、前記ポペットの前記段部と前記平たい可動鉄心の前記段部との間に挿入することができる。
【0023】
付勢力をもつ前記板ばねとの組み合わせにおいて、心出しシム(centering shim)により、心出しシムの極度の薄さを通じた摩擦を制限しつつ、前記平たい可動鉄心を中心に移し、案内することができる。
【0024】
この心出しシムは、あまり硬くない第2の板ばねに置き換えることができる。この第2の板ばねは、前記本体の段部によって予め力が加えられた状態で、前記平たい可動鉄心に、前記板ばねとの組み合わせにおいて、前記本体及び任意の他の内側部品の両者による摩擦のない案内をもたらすために使用される。
【0025】
前記平たい可動鉄心及び前記固定鉄心は、空隙の近傍に、段差のある形状の領域を備えることができる。
【0026】
前記平たい可動鉄心の外径が、重量を抑えるために減らされており、前記平たい可動鉄心が、案内シムの代わりにフランジを有することができる。
【0027】
その場合、心出しシムではなく、前記平たい可動鉄心の外径に直接作製されたフランジによって、前記平たい可動鉄心の心出し機能が得られる。
【0028】
前記本体の断面の外形が、少なくとも2つの反対向きの面において断ち落とされ、平らな部分を形成させることができる。
【0029】
電磁弁の流体の通路は、構造に応じて、電磁弁に組み込まれたO―リング、又は制御する電磁弁を受け入れる器具又は装置の不可欠な部分を形成する封止部により外部から封止することができる。
【0030】
当該電磁弁を外部の装置に接続するすべての流体の通路が、直線的であることが好ましく、それにより、流体の方向の急激な変化、したがって、付加的な局所の圧力損失がなく、空気の流量はわずかな圧力変化で最大となる。
【発明を実施するための形状】
【0031】
使用される平たい可動鉄心は、空隙の幾何学的パラメータの影響により、採択した位置の機能として力の特性をもたらすことを可能にする特定の形状を有する。この形状は、効率的な行程を変化させることなく磁気の空隙を減少させ、この平たい可動鉄心の吸引力の特性を変更することを可能にする。
【0032】
結果として生じる動力の最適化は、平たい可動鉄心の体積、すなわち重量を可能な限り減少させることによっても得られる。板ばねの動作点の変動性は、その“原位置での”調整によって限定され、これは吸収される電力が低い値となることを確実にしている。
【0033】
本発明の小型の電磁弁には、電磁石部分が流体部分、この場合は空気部分に接続している一体型の本体構造を含むことができる。このようにして、単一の部品で、電磁弁のいくつかの主要な機能が実行される。単一の部品は、部品の数を限定し、組立部品の分散を減少させることを可能にする。それゆえ、この最適化は、製品コストに微々たるものでない影響を与える。
【0034】
このタイプの構造では、供給オリフィスの流量は、平たい可動鉄心、電磁石要素及び空気システムの位置により直接制御される。
【0035】
本発明の他の特徴及び有利な点は、図面を参照しつつ、以下に述べる好ましい態様で明らかになるが、本発明を限定するものではない。
【0036】
図1及び2は、本発明の電磁弁を示している。
【0037】
コイル17によって産生される磁束のルーピングを可能にする電磁弁の磁石部分は、本体4、固定鉄心3及び強磁性材料で作られた平たい可動鉄心10からなる。
【0038】
平たい可動鉄心10は、固定鉄心3及び本体4の底部の間を電磁弁の主軸に沿って動く。
【0039】
電磁弁の主軸に沿って動く平たい可動鉄心10は、板ばね9により弾性復元力を受ける。装置上で調節しうるこの力は、付勢力と呼ばれる。
【0040】
電磁弁の流体部分は、本体4、固定鉄心3及び二面のポペット12を含む平たい可動鉄心10からなる。電磁弁の流体部分は、供給オリフィス18から使用オリフィス19への空気又は使用オリフィス19から排出オリフィス20への空気の流量を制御するために使用される。別の構造においては、供給オリフィス18と使用オリフィス19の間だけの流体の通路の制御からなる。
【0041】
電磁弁の流体回路の封止は、一方では、コイルの骨格5と保持リング8の間に閉じ込めた、内部封止を提供する長楕円形の封止部7により得られ、他方では、外部封止を提供するO―リング2、13、15、26により得られる。
【0042】
この外部封止機能は、コントロールする電磁弁を受け入れる器具又は装置の不可欠な部分を形成する1つ又はそれ以上の外部封止部(図示せず)で実施することもできる。それにより、1つ又はそれ以上のO―リングと置き換える。
【0043】
保持リング8は、磁場特性に影響を与えないよう、非磁性材料で作られることに留意する。
【0044】
供給オリフィス18と使用オリフィス19は、底4Dである本体4の底部に形成される。従来技術で通常採用されている例とは対照的に、底4Dは本体4に固定される。これにより、アセンブリの分散を顕著に限定することができ、それにより、保持リング8の位置と平たい可動鉄心10の行程のより正確な調整ができる。
【0045】
図3は、スイッチオンの電磁弁を示している。そのとき、ポペット12を備えた鉄心10はトップの位置にあり、固定鉄心3にバッティングしている。こうして、シート22上のポペット12の作動により、排出オリフィス20は閉じられる。
【0046】
図4には、コイル17の構造が示されている。コイル17は、コイルの骨格5、ワインディング6及び2つの電気コネクタピン1からなる。
【0047】
コイル17、長楕円形の封止部7、及び固定鉄心3は、コイルサブアセンブリ30を形成し、この構造は、図5により詳しく示している。コイル17は、固定鉄心3にバッティングするまで固定鉄心3の軸に沿ってスライドする。長楕円形の封止部7は、固定鉄心3上にコイル17を保持するため、固定鉄心3上に装備される。
【0048】
コイルサブアセンブリ30の接続領域は、図6に詳しく示している。コネクタピン1と、コイルの骨格5に設けられたその支持部24は、この目的のために設けられた2つのスルーホール25を通って固定鉄心3を通り抜ける。コイル17と固定鉄心3を固定させるため、レジン16を固定鉄心3とコイルの骨格5の間隙に注入してもよい。
【0049】
この作業は、本体4にコイルサブアセンブリ30を挿入した後に行う。
【0050】
レジン16の使用に替わるものは、図6b及び6cに示すように、いくつかのボス33を骨格5の主要なオリフィスに組み入れて、応力下、コイル17に固定コイル3を取り付ける。
【0051】
図7は、平たい可動鉄心10の形状の別の態様10Bを図示している。この例では、平たい可動鉄心10Bと固定鉄心3Bの端部の間の特別な磁力特性を生じさせることが目的である。この目的のため、作動する空隙付近の領域で、特別の形状が使用される。従来の作動空隙であって、休止位置の近くにあるものと比較して、磁束は、円すい形(図1)又は段形(図7)の形状に対して、より多く認められる。これらの形状は電力の消費を減らしたのと同等の吸引特性を可能にする。換言するならば、作業空隙付近の電磁石の効率は、これら2つの形状のうちの一方又は他方を使用したとき、より高くなる。
【0052】
実行可能性、信頼性及び製品の性能の間で妥当な妥協を得るため、これら2つの空隙の形状の一方又は他方を部分的に形成することは、従来の平たい部分を組み合わせれば不可能ではない。平たい可動鉄心10Cと固定鉄心3Cに適用される円すい形及び平らな空隙は図7bに示している。
【0053】
図8に示したポペット12の平たい可動鉄心10への挿入は詳しくは図9及び10に示している。この多角形の形状のポペット12は平たい可動鉄心10の円形の穿孔内に挿入される。好ましくは円形の穴に挿入される、この特定の形状である多角形の形状であることにより、シート21、22の座面表面の変形を防ぎ、ポペットの型締めに関係する全ての欠陥を確実に除去しつつ、ポペットをそのハウジングに保持することが可能になる。
【0054】
より一般的には、ポペット12Bは円柱形であり、平たい可動鉄心10Dの段部34は、保持部として機能させる。この選択については図9bに示している。
【0055】
段部35を示すポペット12Cの別の形状は、平たい可動鉄心10E内部のポペット12Cの柔軟性を高めるために作製される。コイル17がスイッチオンのとき、平たい可動鉄心10Eと固定鉄心3の間の接触を向上させることが可能にする。この選択については図9cに示している。
【0056】
円すい形のばね36を、応力下、ポペット12Cの前記段部35と前記平たい可動鉄心10Dの前記段部34との間に挿入してもよい。この選択については図9dに示している。
【0057】
電磁弁の設計によって、全ての内部要素を本体4の後部を通じて、平たい可動鉄心10、固定鉄心3及びコイル17の挿入に特に適した開口23を通じて設置することが可能になる。電磁弁の設計によって、行程の調節及び付勢力を独立させることも可能になる。電磁弁の各種要素の設置については後述する。
【0058】
心出しシム11及び平たい可動鉄心アセンブリ10、12は、本体4の底部に配置される。板ばね9が挿入され、そのとき、平たい可動鉄心アセンブリ10、12と接触する。
【0059】
板ばね9と接触するまで、本体4に保持リング8を挿入する。板ばね9は平たい可動鉄心アセンブリ10、12に付勢力を加え、平たい可動鉄心アセンブリ10、12は供給オリフィス18と接触する。その場合、付勢力は、適当な手段で調整される。
【0060】
保持リング8の位置が、付勢力が予め定めた正確な値に達したとき、保持リング8は本体4上にかしめる。
【0061】
コイルサブアセンブリ30を、行程が満足する値になる位置に本体4に挿入する。この作業中、行程の値は、コイルがスイッチオフの休止位置とコイルがスイッチオンの作動位置との間の交互に起こる位置により確認し、その結果、行程が数十マイクロメートルの桁の正確さで規定される。
【0062】
保持リング8は、コイルサブアセンブリ30を本体4に挿入したときに、平たい可動鉄心10に対して固定鉄心3の底部を心出しする機能も有する。
【0063】
本体4とコイルサブアセンブリ30は、次いで、電磁弁の頂部にある固定鉄心3を通じてかしめる。
【0064】
コイルがスイッチオフの休止位置においては、供給オリフィス18は、平たい可動鉄心10上の板ばね9で加えられた付勢力によりポペット12で閉じられている。板ばね9により、他のオリフィス19、20から供給オリフィス18を分離するのに必要な、供給オリフィス18のシート21にかかる力を維持することが可能になる。使用オリフィス19及び排出オリフィス20は、平たい可動鉄心10の1又はそれ以上の連絡オリフィスを通じて連絡している。板ばね9と心出しシム11は流体の通路を妨害しないように十分に開けられている。
【0065】
コイルがスイッチオンの作動位置においては、平たい可動鉄心10は固定鉄心3により、付着と呼ばれる、これら2つの部分が接触するまで磁気的に引き付けられる。排出オリフィス20は、そのとき、ポペット12で閉じられている。供給オリフィス18に由来する圧縮空気によりポペット12に加えられる圧力によって、排出オリフィス20のシート20上の力を維持することが可能となる。これは排出オリフィス20を他のオリフィス18、19と分離するのに必要である。供給オリフィス18と使用オリフィス19はそのとき連絡している。
【0066】
図11図14は、本体4の実施態様を示しており、その側面は2つの反対向きの面(図13、14)又は4つの反対向きの面において断ち落としてもよい(図11、12)。それにより側面は平らになる。このようにしてもたらされた本体4の厚さの局部的な減少は、本体4とコイルサブアセンブリ30、及びこの同じ本体4と保持リング8をかしめる作業を最適化する。その一方、飽和することなく、磁束の循環を確実化するため、磁性材料の厚い部分の必要十分な断面を保持する。また、これらの実施態様により、少なくとも1つの方向で、製品の横の容積を制限することが可能になる。
【0067】
図15、16は、製品に内部封止を提供する長楕円形の封止部7の使用に関連した他の実施態様を示す。この長楕円形の封止部7は、2つのO−リング31、32で置き換えられている。その個々のハウジング41、42は、コイルの骨格5(図15)又は保持リング(図16)に作られている。
【0068】
図17は、本体4及び平たい可動鉄心10の他の実施態様を示す。この実施態様においては、平たい可動鉄心10Cの外径は、製品の性能に対するこの平たい可動鉄心10Cの重さの影響を制限するために減少させている。案内シム11は除かれ、平たい可動鉄心10Cの案内機能は、平たい可動鉄心10Cの上に作られたフランジ28に取って代わる。このフランジ28は、平たい可動鉄心10Cと本体4Cの間の摩擦を最大値までに制限する大きさである。この実施態様では、連絡オリフィス14、19は本体4Cに形成されている。
【0069】
図18は、平たい可動鉄心の吸引曲線に対する空隙の形状の影響を示している。y軸は吸引力を、x軸は空隙を示す。3つの形状、すなわち、平たい空隙をもつ平たい可動鉄心、円すい形の空隙をもつ平たい可動鉄心、段差のある空隙をもつ平たい可動鉄心を検討している。
【0070】
平たい空隙をもつ平たい可動鉄心を使用した場合は、非常に小さな空隙値の非常に特別なケースを除き、付着の前に飽和がない。吸引力を表す前記曲線は双曲線の形状を有する。吸引力は、付着時は非常に強力であるが、作動する空隙では弱い(休止位置)。
【0071】
円すい形の空隙をもつ平たい可動鉄心を使用した場合は、円すい形部分の磁束の程度は、空隙の大きさからほとんど独立している。この効果の結果は、吸引力は実質的に行程を通して一定であり、付着と最大空隙の間の吸引力の変動は、平たい空隙をもつ平たい可動鉄心を使用した場合に比べて半分に減少する。他方、0.25mmの作動中の空隙を検討した場合、コアの吸引力は平たい空隙をもつ平たい可動鉄心に比べて約18%高くなる。
【0072】
段差のある空隙をもつ平たい可動鉄心を使用した場合は、行程の約50%に対し、実質的に一定の吸引力が同様に得られる。しかし、コアの段差を形成する平らな場所の磁束の異なる分布は、非常に小さな空隙に対し、付着力の上昇をもたらす。吸引力は、付着のとき、平たい空隙をもつ平たい可動鉄心を使用した場合よりも弱いままである。しかしながら、この場合の主たる有利な点は、平たい空隙をもつ平たい可動鉄心に比べて約33%の力を節約することである。


図1
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図6b
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