(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンロッド用のボルトは、鋼製の高強度ボルト(強度区分12.9または14.9)であり、そのサイズ(M8またはM9)に対して高い軸力(具体的には40kN〜50kN)を発生させる。そのため、ボルトの締め付け時に、ねじ面や座面にかじり(焼き付き)が起きやすい。また、チタン合金は焼き付きやすいので、コンロッドがチタン合金製である場合、ボルトを直締めすると、締め付け時の焼き付きがいっそう起こりやすくなる。
【0006】
そのため、従来、チタン合金製のコンロッドについては、ボルトを直締めせずに鋼製のナットを用いる(つまり鋼製のボルトを鋼製のナットに対して締め付ける)か、あるいは、ボルトを直締めする際にボルト表面に焼き付き防止のためのモリブデングリス(二硫化モリブデンを含むグリス)を塗布することが行われてきた。
【0007】
しかしながら、ナットを用いる場合、ボルトを直締めする場合に比べてコンロッド全体の重量が増加してしまう。
【0008】
また、モリブデングリスの塗布を行う場合、量産工程において粘性の高いグリスの量を適切に管理しながら塗布を行うことが実際には困難な場合があり、塗布量にばらつきが発生し得る。塗布量がばらつくと、摩擦係数がばらつくことになるので、スナッグトルク(ねじ面を座面に密着させるのに必要なトルク)のばらつきおよびボルト降伏点のばらつきが大きくなる。その結果、軸力がばらつき、安定した軸力を得ることができない。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ボルトによるキャップ部の結合の際に余分な重量増加を伴うことなく安定な軸力を発生させ得るチタン合金製の分割型コンロッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態によるコンロッドは、チタン合金から形成され、ロッド本体部と、前記ロッド本体部の一端に設けられた小端部と、前記ロッド本体部の他端に設けられた大端部と、を備え、前記大端部が、前記ロッド本体部の前記他端に連続するロッド部と、前記ロッド部に結合されるキャップ部とに分割された分割型コンロッドであって、前記キャップ部を前記ロッド部に結合するボルトをさらに備え、前記ボルトは、鋼から形成されたボルト本体と、前記ボルト本体の表面に設けられたリン酸塩被膜とを有する。
【0011】
ある実施形態において、前記リン酸塩被膜は、リン酸亜鉛被膜である。
【0012】
ある実施形態において、前記リン酸塩被膜は、リン酸マンガン被膜である。
【0013】
ある実施形態において、前記ボルトは、前記リン酸塩被膜上にグリス層を有していない。
【0014】
ある実施形態において、前記リン酸塩被膜は、前記ボルトの最表面に位置する。
【0015】
ある実施形態において、前記チタン合金は、Ti−5Al−1Fe合金である。
【0016】
本発明の実施形態による内燃機関は、上述した構成を有するコンロッドを備える。
【0017】
本発明の実施形態による自動車両は、上述した構成を有する内燃機関を備える。
【0018】
本発明の実施形態によるコンロッドでは、ボルト本体の表面にリン酸塩被膜が設けられている。リン酸塩被膜により、鋼製のボルト本体と、チタン合金製の大端部とが直接接触することが防止されるので、ボルトの締め付け(直締め)時の焼き付き(かじり)が防止される。本発明の実施形態によるコンロッドでは、キャップ部の結合にナットを用いる必要がないので、余分な重量増加が発生しない。さらに、ボルトにグリスを塗布する必要がないので、グリスの塗布量のばらつきに起因する軸力のばらつきが発生しない。そのため、安定した軸力が得られる。
【0019】
リン酸塩被膜としては、リン酸亜鉛被膜またはリン酸マンガン被膜が好適に用いられる。
【0020】
軸力の安定の観点からは、ボルトは、リン酸塩被膜上にグリス層を有していないことが好ましい。
【0021】
また、軸力の安定の観点からは、リン酸塩被膜がボルトの最表面に位置することが好ましい。
【0022】
コンロッドの材料であるチタン合金は、例えば、Ti−5Al−1Fe合金を好適に用いることができる。Ti−5Al−1Fe合金は、加工性と強度とのバランスに優れる。
【0023】
本発明の実施形態によるコンロッドは、ボルトによるキャップ部の結合の際に余分な重量増加を伴うことなく安定な軸力を発生させ得るので、自動車両用や機械用の各種の内燃機関(エンジン)に好適に用いられる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の実施形態によると、ボルトによるキャップ部の結合の際に余分な重量増加を伴うことなく安定な軸力を発生させ得るチタン合金製の分割型コンロッドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】(a)および(b)は、本発明の実施形態によるコンロッド1を示す図である。(a)は、コンロッド1全体を示す平面図であり、(b)は、コンロッド1の大端部30近傍を示す一部切欠き平面図である。
【
図2】(a)は、コンロッド1が備えるボルト40の正面図であり、(b)は、ボルト40を頭部41側から見た平面図であり、(c)は、ボルト40の表面近傍を示す断面図である。
【
図3】(a)は、実施例1におけるねじ面の摩擦係数μs、座面の摩擦係数μwおよび総合摩擦係数μと、締め付け角度[deg]との関係を示すグラフであり、(b)は、実施例1における全トルク[N・m]および軸力[kN]と、締め付け角度[deg]との関係を示すグラフである。
【
図4】(a)は、比較例1におけるねじ面の摩擦係数μs、座面の摩擦係数μwおよび総合摩擦係数μと、締め付け角度[deg]との関係を示すグラフであり、(b)は、比較例1における全トルク[N・m]および軸力[kN]と、締め付け角度[deg]との関係を示すグラフである。
【
図5】実施例1および比較例2〜9について、同じボルトを繰り返し締め付けたときの総合摩擦係数μの変化を示すグラフである。
【
図6】実施例2、3および4について、同じボルト40を繰り返し締め付けたときの総合摩擦係数μの変化を示すグラフである。
【
図7】本発明の実施形態によるコンロッド1を備えたエンジン100を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図7に示すエンジン100を備えた自動二輪車を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0027】
図1に、本発明の実施形態によるコンロッド1を示す。
図1(a)は、コンロッド1全体を示す平面図であり、
図1(b)は、コンロッド1の大端部30近傍を示す一部切欠き平面図である。
【0028】
コンロッド1は、チタン合金から形成されている(ただし後述するボルト40は鋼から形成されている。)。チタン合金としては、例えば、Ti−5Al−1Fe合金を好適に用いることができる。Ti−5Al−1Fe合金は、約5質量%のAlおよび約1質量%のFeを含むチタン合金である。Ti−5Al−1Fe合金は、加工性と強度とのバランスに優れる。勿論、コンロッド1の材料はTi−5Al−1Fe合金に限定されるものではなく、公知の種々の組成のチタン合金(例えばTi−6Al−4V合金)を用いることができる。
【0029】
コンロッド1は、
図1(a)および(b)に示すように、棒状のロッド本体部10と、ロッド本体部10の一端に設けられた小端部20と、ロッド本体部10の他端に設けられた大端部30とを備える。
【0030】
小端部20には、ピストンピンを通すための貫通孔(「ピストンピン孔」と呼ばれる。)25が形成されている。一方、大端部30には、クランクピンを通すための貫通孔(「クランクピン孔」と呼ばれる。)35が形成されている。
【0031】
大端部30は、ロッド本体部10の他端に連続するロッド部33と、ロッド部33に結合されるキャップ部34とに分割されている。つまり、コンロッド1は、分割型のコンロッドである。分割型のコンロッド1は、例えば、破断工法によって形成される。破断工法は、大端部30を一体に形成した後に、脆性破断によってロッド部33とキャップ部34とに分割する手法である。また、分割型のコンロッド1は、他の工法により形成されてもよく、具体的には、ロッド部33とキャップ部34とを別体に形成したり、あるいは、大端部30を一体に形成した後に機械加工によって切断したりしてもよい。
【0032】
コンロッド1は、キャップ部34をロッド部33に結合するボルト40をさらに備える。大端部30には、雌ねじが切られたボルト孔32が形成されており、ボルト40は、大端部30に直締めされる。つまり、ボルト40によるキャップ部34の結合の際にナットは用いられない。
【0033】
ここで、
図2を参照しながら、ボルト40の具体的な構成を説明する。
図2(a)は、ボルト40の正面図であり、
図2(b)は、ボルト40を頭部41側から見た平面図である。
図2(c)は、ボルト40の表面近傍を示す断面図である。
【0034】
ボルト40は、
図2(a)および(b)に示すように、頭部41と、軸部42とから構成される。軸部42の外周面の少なくとも一部に、雄ねじが切られている。
【0035】
また、ボルト40は、
図2(c)に示すように、鋼から形成されたボルト本体40aと、ボルト本体40aの表面に設けられたリン酸塩被膜40bとを有する。
【0036】
ボルト本体40aの材料である鋼の組成は特に限定されない。ボルト用、特に、高強度ボルト用に提案されている種々の組成の鋼を好適に用いることができる。
【0037】
リン酸塩被膜40bは、リン酸塩の溶液を用いてボルト本体40aの表面に化学的に(つまり化成処理により)形成される。典型的には、リン酸塩被膜40bは、ボルト本体40aの表面全体にわたって形成されている。リン酸塩被膜40bの形成は、例えば、下記(1)〜(5)の工程により行うことができる。
(1)アルカリ脱脂剤によるボルト本体40aの表面の洗浄
(2)すすぎ(水洗)
(3)リン酸塩処理浴
(4)すすぎ(水洗)
(5)熱温風による乾燥
【0038】
リン酸塩被膜40bとしては、例えば、リン酸亜鉛被膜を好適に用いることができる。また、リン酸マンガン被膜も好適に用いることができる。リン酸塩被膜40bの厚さは、典型的には、3μm〜5μmである。
【0039】
このように、本発明の実施形態によるコンロッド1では、ボルト本体40aの表面にリン酸塩被膜40bが設けられている。このリン酸塩被膜40bにより、鋼製のボルト本体40aと、チタン合金製の大端部30とが直接接触することが防止されるので、ボルト40の締め付け(直締め)時の焼き付き(かじり)が防止される。また、キャップ部34の結合にナットを用いる必要がないので、余分な重量増加が発生しない。さらに、ボルト40にグリスを塗布する必要がないので、グリスの塗布量のばらつきに起因する軸力のばらつきが発生しない。そのため、安定した軸力が得られる。
【0040】
ここで、本願発明者がボルトの表面に対し、種々のグリスの塗布や種々のコーティング(被膜形成)を行って詳細な検証を行った結果を説明する。本願発明者の検証によれば、種々の構成のうちで、リン酸塩被膜を設けた構成がもっとも安定な軸力を発生させ得ることがわかった。つまり、リン酸塩被膜の形成により異質な効果が得られることがわかった。以下、具体的に説明する。
【0041】
図3(a)および(b)に、ボルト本体40aの表面にリン酸塩被膜40bとしてリン酸亜鉛被膜を設けた場合(実施例1)についての検証結果を示す。また、
図4(a)および(b)に、ボルト表面にモリブデングリスを塗布した場合(比較例1)についての検証結果を示す。
図3(a)および
図4(a)は、ねじ面の摩擦係数μs、座面の摩擦係数μwおよび総合摩擦係数μと、締め付け角度[deg]との関係を示すグラフであり、
図3(b)および
図4(b)は、全トルク[N・m]および軸力[kN]と、締め付け角度[deg]との関係を示すグラフである。
【0042】
図3(a)および(b)と、
図4(a)および(b)との比較から、実施例1では、比較例1よりも高い軸力が実現されていることがわかる(特に
図3(b)および
図4(b)において楕円で囲まれた領域に着目されたい)。
【0043】
図5に、実施例1と、ボルト表面に二硫化モリブデンを含む乾性潤滑被膜を形成した場合(比較例2〜9)とについて、同じボルトを繰り返し締め付けたときの総合摩擦係数μの変化を示す。比較例2〜9では、互いに仕様が異なる乾性潤滑被膜を形成した。
【0044】
図5からわかるように、比較例2〜9では、締め付けを繰り返すと総合摩擦係数μが著しく大きくなっていった。これに対し、実施例1では、締め付けを繰り返しても総合摩擦係数μがほぼ一定であった。このことから、本発明の実施形態によるコンロッド1では、ボルト40の締め付けを繰り返してもほぼ一定の軸力が得られることがわかる。
【0045】
なお、
図2(c)には、リン酸塩被膜40b上に別の被膜や層が形成されていない(つまりボルト40の最表面にリン酸塩被膜40bが位置している)構成を示しているが、本発明の実施形態はこの構成に限定されない。例えば、リン酸塩被膜40b上に防錆油が塗布されていても(つまり防錆油層が形成されていても)よい。
図3および
図5に検証結果を示した実施例1では、リン酸亜鉛被膜上に防錆油が塗布されている。
【0046】
また、焼き付きをいっそう確実に防止するために、リン酸塩被膜40b上にグリス層(例えばモリブデングリス層)が設けられていてもよい。ただし、グリス層が設けられる場合、グリスの塗布量を適切に管理しないと、軸力のばらつきの原因となるおそれがある。そのため、軸力の安定の観点からは、ボルト40は、リン酸塩被膜40b上にグリス層を有していないことが好ましい。ボルト40がグリス層を有していない場合には、当然ながら、コンロッド1の製造の際に、グリスの塗布工程が省略される。既に説明したように、量産工程において粘性の高いグリスの量を適切に管理しながら塗布を行うことは実際には困難なことがあるので、グリスの塗布工程が省略されることにより、コンロッド1の製造が簡略化されるともいえる。また、リン酸塩被膜40b上に乾性潤滑被膜(例えば二硫化モリブデンを含む乾性潤滑被膜)が設けられていてもよい。ただし、本願発明者による検証結果では、リン酸塩被膜40b上に乾性潤滑被膜が設けられている構成よりも、リン酸塩被膜40b上に乾性潤滑被膜が設けられていない構成の方が、より安定した軸力が得られた。つまり、軸力の安定の観点からは、ボルト40は、リン酸塩被膜40b上に乾性潤滑被膜を有していないことが好ましい。これらのことからわかるように、軸力の安定の観点からは、ボルト40は、リン酸塩被膜40b上にグリス層および乾性潤滑被膜のいずれも有していない(つまりリン酸塩被膜40bがボルト40の最表面に位置する)ことが好ましい。
【0047】
図6に、リン酸亜鉛被膜上に何も塗布されていない場合(実施例2)、リン酸亜鉛被膜上に二硫化モリブデンを含むオイルが塗布されている場合(実施例3)およびリン酸亜鉛被膜上にエンジンオイル(粘度:10W−40)が塗布されている場合(実施例4)について、同じボルト40を繰り返し締め付けたときの総合摩擦係数μの変化を示す。なお、実施例2、3および4のそれぞれでは、3つのボルト40(それぞれN1、N2およびN3としている)について検証を行った。
【0048】
図6からわかるように、実施例2では、実施例3および4よりも総合摩擦係数μが安定していた。このことからも、軸力の安定という観点からは、リン酸塩被膜40b上には別の被膜や層が設けられていないことが好ましいといえる。なお、防錆油については、リン酸塩被膜40b上に塗布されていても、安定な軸力を得ることへの悪影響が少なかった。この理由は明確ではないが、上述した例(実施例1)では防錆油が速乾性で低粘度であったので多孔質のりん酸亜鉛被膜に浸透してすぐに乾燥し、固体成分のみが残ったためであると推察される。液体成分が残っていると、りん酸亜鉛被膜の一部が剥がれた場合に液体成分に剥がれた部分が浮いてそれによって被膜が削られてしまうと考えられる。これに対し、固体成分のみが残っていると、りん酸亜鉛被膜の一部が剥がれても剥がれた部分が多孔質であるりん酸亜鉛被膜の孔に入るので、リン酸亜鉛被膜の磨耗が進まないと考えられる。
【0049】
なお、既に説明したように、リン酸塩被膜40bとしては、例えばリン酸亜鉛被膜やリン酸マンガン被膜を用いることができるが、これら以外のリン酸塩被膜であってもよい。
【0050】
上述したように、本発明の実施形態によるコンロッド1は、ボルト40によるキャップ部34の結合の際に余分な重量増加を伴うことなく安定な軸力を発生させ得る。本発明の実施形態によるコンロッド1は、自動車両用や機械用の各種の内燃機関(エンジン)に広く用いられる。
図7に、本実施形態の製造方法により製造されたコンロッド1を備えたエンジン100の一例を示す。
【0051】
エンジン100は、クランクケース110、シリンダブロック120およびシリンダヘッド130を有している。
【0052】
クランクケース110内にはクランクシャフト111が収容されている。クランクシャフト111は、クランクピン112およびクランクアーム113を有している。
【0053】
クランクケース110の上に、シリンダブロック120が設けられている。ピストン122は、シリンダボア内を往復し得るように設けられている。
【0054】
シリンダブロック120の上に、シリンダヘッド130が設けられている。シリンダヘッド130は、シリンダブロック120およびピストン122とともに燃焼室131を形成する。シリンダヘッド130は、吸気ポート132および排気ポート133を有している。吸気ポート132内には燃焼室131内に混合気を供給するための吸気弁134が設けられており、排気ポート内には燃焼室131内の排気を行うための排気弁135が設けられている。
【0055】
ピストン122とクランクシャフト111とは、コンロッド1によって連結されている。具体的には、コンロッド1の小端部20の貫通孔(ピストンピン孔)にピストン122のピストンピン123が挿入されているとともに、大端部30の貫通孔(クランクピン孔)にクランクシャフト111のクランクピン112が挿入されており、そのことによってピストン122とクランクシャフト111とが連結されている。大端部30の貫通孔の内周面とクランクピン112との間には、軸受けメタル114が設けられている。
【0056】
図8に、
図7に示したエンジン100を備えた自動二輪車を示す。
図8に示す自動二輪車では、本体フレーム301の前端にヘッドパイプ302が設けられている。ヘッドパイプ302には、フロントフォーク303が車両の左右方向に揺動し得るように取り付けられている。フロントフォーク303の下端には、前輪304が回転可能なように支持されている。
【0057】
本体フレーム301の後端上部から後方に延びるようにシートレール306が取り付けられている。本体フレーム301上に燃料タンク307が設けられており、シートレール306上にメインシート308aおよびタンデムシート308bが設けられている。
【0058】
また、本体フレーム301の後端に、後方へ延びるリアアーム309が取り付けられている。リアアーム309の後端に後輪310が回転可能なように支持されている。
【0059】
本体フレーム301の中央部には、
図7に示したエンジン100が保持されている。エンジン100には、本実施形態におけるコンロッド1が用いられている。エンジン100の前方には、ラジエータ311が設けられている。エンジン100の排気ポートには排気管312が接続されており、排気管312の後端にマフラー313が取り付けられている。
【0060】
エンジン100には変速機315が連結されている。変速機315の出力軸316に駆動スプロケット317が取り付けられている。駆動スプロケット317は、チェーン318を介して後輪310の後輪スプロケット319に連結されている。変速機315およびチェーン318は、エンジン100により発生した動力を駆動輪に伝える伝達機構として機能する。
【0061】
本発明の実施形態によるコンロッド1は、キャップ部34の結合にナットを用いる必要がないので、その分軽量化を図ることが可能になる。コンロッド1が軽量化されると、クランクシャフト111やバランサー、クランクケース110なども軽量化することができるので、エンジン100全体および自動二輪車全体を軽量化することができる。また、コンロッド1が軽量化されると、エンジン100の高燃費化や高出力化も実現できる。