(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
本発明の「遊技機」に相当するパチンコ遊技機10の一実施形態を
図1〜
図17に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態のパチンコ遊技機10の遊技板11には、表示窓11Aが貫通形成されていて、その表示窓11Aの後方に、本発明の「表示装置」に相当するディスプレイ13が備えられている。
【0018】
遊技板11のうち表示窓11Aの周囲には、第1及び第2の始動入賞口14,15、大入賞口22等が備えられている。そして、操作ノブ28の操作により遊技板11の前面に打ち込まれた遊技球が第1又は第2の始動入賞口14,15に入賞すると特別図柄当否判定が行われ、その判定結果が当りであると大入賞口22の可動扉22Tが開く大当り遊技が実行される一方、外れであると大入賞口22の可動扉22Tが閉じたままとなる。
【0019】
ディスプレイ13には、通常、3つの左、中、右の特別図柄13A,13B,13Cが横並びに停止表示されている。そして、第1又は第2の始動入賞口14,15に遊技球が入賞したときに、これら3つの特別図柄13A,13B,13Cが変動表示(上下方向にスクロール表示)後、例えば、左、右、中の順に停止表示されて、例えば、ゾロ目となったか否かにより前記した特別図柄当否判定の判定結果が報知される。なお、特別図柄13A,13B,13Cが変動してから停止する迄の課程で、最後に停止表示される特別図柄(例えば中特別図柄13B)を除いて他の特別図柄(例えば左右の特別図柄13A,13C)が同一となる状態を「リーチ」という。
【0020】
ディスプレイ13には、上記した特別図柄13A,13B,13C以外にも遊技を演出するための種々の画像が表示される。そして、それら画像の一部がディスプレイ13から飛び出した状態に見える3D映像として提供される。即ち、本実施形態のパチンコ遊技機10のディスプレイ13は、2D映像と3D映像とが切り替えて表示されるようになっている。そのために、ディスプレイ13には、
図2に示すように、通常の2D専用ディスプレイが有するバックライト13H及び映像表示液晶層13Gに加えて、映像表示液晶層13Gの前方にレンチキュラーレンズ13Fが備えられている。レンチキュラーレンズ13Fは、縦長のかまぼこ状のレンズが幅方向に複数並べられた構造をなしている。
【0021】
遊技者は、映像表示液晶層13Gに表示される映像をレンチキュラーレンズ13Fを通して見ることになり、
図3に示すように、映像表示液晶層13Gが、レンチキュラーレンズ13Fの屈折により、右目のみに視認される右目視認領域Rと、左目のみに視認される左目視認領域Lとに区画される。
【0022】
以下のように3D用に処理された分割混合映像が映像表示液晶層13Gに表示されると、映像の一部を、ディスプレイ13から前方に飛び出るか、或いは、後方に引っ込んだ3D映像として見せることができる。その分割混合映像は、例えば、同一の映像である第1映像と第2映像とをそれぞれ縦長に細分化して、第1映像を右目視認領域Rに割り当てる一方、第2映像を左目視認領域Lに割り当てたもので、レンチキュラーレンズ13Fを通して映像表示液晶層13Gに表示されている分割混合映像を視認すると、右目のみで右目視認領域Rを捕らえた右目捕獲映像と、左目のみで左目視認領域Lを捕らえた左目捕獲映像とが同じになる。そして、右目捕獲映像と左目捕獲映像とが左右方向でずれるように第1映像及び第2映像を右目視認領域R及び左目視認領域Lに割り当てることで、以下の具体例のような3D映像を提供することができる。
【0023】
即ち、
図4(A)に示すように、右目用画像に含まれる右目視認対象像Rzと、左目用画像に含まれる左目視認対象像Lzとが、右目視認対象像Rzが左側、左目視認対象像Lzが右側にずれた配置になっていると、右目視認対象像Rzと右目とを結ぶ線L1と左目視認対象像Lzと左目とを結ぶ線L2とが交差するディスプレイ13(正確には映像表示液晶層13G)の前方位置に視認対象像(Hc)が映し出された3D映像が視認される。
【0024】
一方、
図5(A)に示すように、右目視認対象像Rzが右側、左目視認対象像Lzが左側にずれた配置になっていると、右目視認対象像Rzと右目とを結ぶ線L1と左目視認対象像Lzと左目とを結ぶ線L2とが交差するディスプレイ13の後方位置に視認対象像(Hc)が映し出された3D映像が視認される。
【0025】
また、
図4(A)と
図4(B)との比較や、
図5(A)と
図5(B)との比較から理解できるように、右目視認対象像Rzと左目視認対象像Lzとのずれ(視差)が大きいほど、ディスプレイ13から前方への視認対象像(Hc)の飛出量や、ディスプレイ13の奥側への視認対象像の引っ込み量が大きくなる。
【0026】
また、右目視認対象像Rzと左目視認対象像Lzとのずれ(視差)がない場合、つまり、右目用画像と左目用画像とが同一の場合には、視認対象像は、ディスプレイ13上(正確には映像表示液晶層13G上)に映し出された2D映像として視認される。
【0027】
ここで、これら映像の制御を含むパチンコ遊技機10の制御は、
図6に示された遊技制御回路51,映像制御回路54(本発明の「表示制御部」に相当する)等によって行われる。
【0028】
遊技制御回路51は、メイン制御回路50とサブ制御回路52とからなる。メイン制御回路50は乱数を生成し、その乱数に基づいて前記した特別図柄当否判定を行い、その判定結果をサブ制御回路52に付与する。サブ制御回路52は、その判定結果等の遊技の進行状態に係る情報を取得し、その情報に基づいてディスプレイ13にて表示する演出を決定し、ディスプレイ13を制御する映像制御回路54に付与する。
【0029】
映像制御回路54は、CPU54A、RAM54B及びROM54Cを有してなる。この映像制御回路54のROM54Cが本発明に係る「映像ソースデータ記憶手段」に相当し、映像制御回路54のROM54Cには、本発明の「3D用映像ソースデータ」を含む「映像ソースデータ」が記憶されている。3D用映像ソースデータは、映像表示液晶層13Gに表示されると、右目用画像の右目視認対象像Rzと左目用画像の左目視認対象像Lzとにずれ(視差)がある分割混合映像として表示されるデータである(
図7(A)参照)。そして、本発明の「表示制御データ生成手段」に相当する映像制御回路54のCPU54Aが、3D用映像ソースデータをそのまま3D用の映像データ(本発明の「3D用表示制御データ」に相当する)として映像表示液晶層13Gに表示させることで、ディスプレイ13上に3D映像が表示される(
図7(B)参照)。
【0030】
ここで、本実施形態のパチンコ遊技機10では、3D用映像ソースデータを用いて、ディスプレイ13に2D映像を表示することが可能となっている。具体的には、映像制御回路54のCPU54Aが、サブ制御回路52からの信号に基づいて3D用映像ソースデータから2D用の映像データ(本発明の「2D用表示制御データ」に相当する)を生成する2D変換処理を行い、その2D用の映像データを映像表示液晶層13Gに表示させる。この2D変換処理では、
図7(A)及び
図7(C)に示すように、ROM54Cから取得された3D用映像ソースデータにおける右目用画像と左目用画像との一方(例えば、右目用画像)の縦割りに分割された分割帯を、その隣の、右目用画像と左目用画像との他方(例えば、左目用画像)の縦割りに分割された分割帯に置き換える処理、即ち、右目用画像を左目用画像に置き換える処理が行われる。これにより、右目用画像の右目視認対象像Rzと左目用画像の左目視認対象像Lzとにずれ(視差)がなくなり、ディスプレイ13に表示された映像が2D映像として視認される。
【0031】
以降、適宜、3D用映像ソースデータをそのまま3D用の映像データとして3D映像を表示する演出を「3D演出」といい、3D用映像ソースデータを2D変換処理により2D用の映像データに変換して2D映像を表示する演出を「2D変換演出」という。
【0032】
本実施形態のパチンコ遊技機10では、例えば、上述した特別図柄13A,13B,13Cの変動表示中に、3D演出と2D変換演出とが行われる。以下に、
図1及び
図8に基づいて3D演出及び2D変換演出の一例を示す。
【0033】
ディスプレイ13には、通常は、停止している特別図柄13A,13B,13Cが表示されている(
図1参照)。そして、第1又は第2の始動入賞口14,15に遊技球が入賞すると、特別図柄13A,13B,13Cの変動表示が開始される。
【0034】
その後、例えば、
図8(A)に示すように、特別図柄13A,13B,13Cがリーチとなる。そして、特別図柄当否判定の結果が当りであるときは、一旦特別図柄13A,13B,13Cが非表示となり、
図8(B)に示すように、ディスプレイ13に、3D演出として、星形状の視認対象像Tが飛び出している映像が表示される。その後、特別図柄13A,13B,13Cが当り目(即ち、ゾロ目)になって停止表示される(
図8(C))。
【0035】
この3D演出では、
図9(B)に示す左目用画像において視認対象像T(左目視認対象Lz)が左目用画像全体の中央よりも右側に位置し、
図9(C)に示す右目用画像において視認対象像T(右目視認対象Rz)が右目用画像全体の中央よりも左側に位置することで、
図9(A)に示すように、視認対象像Tがディスプレイ13より前方の仮想平面P1に位置しているように視認可能となる。
【0036】
そして、特別図柄当否判定の結果が外れであるときは、特別図柄13A,13B,13Cがリーチとなった(
図8(A)参照)後に、
図8(D)及び
図8(E)に示すように、上述した3D演出にて表示される視認対象像Tと同じ星形状の視認対象像Tが2D映像として表示される2D変換演出が行われ、その後、特別図柄13A,13B,13Cがゾロ目にならずに停止表示される。
【0037】
ここで、2D変換演出では、上述した2D変換処理により、右目用画像が3D用映像ソースデータの左目用画像に置き換えられ、
図10(B)に示す左目用画像も
図10(C)に示す右目用画像も共に3D演出における左目用画像(
図9(B))と同一の画像となっている。つまり、左目用画像と右目用画像とにおいて視認対象像Tが画像全体に対して同じ位置に配されているため、左目視認対象Lzと右目視認対象Rzとにずれ(視差)がなく、
図10(A)に示すように視認対象像Tがディスプレイ13上に配されている2D映像として視認される。なお、
図9(B)、
図9(C)及び
図10は、左目用画像及び右目用画像における視認対象像Tの位置の違いを明確にするために誇張されている。
【0038】
本実施形態のパチンコ遊技機10の構成に関する説明は以上である。次に、このパチンコ遊技機10の作用効果について説明する。本実施形態のパチンコ遊技機10では、特別図柄13A,13B,13Cの変動表示中にディスプレイ13に表示される映像演出の種類によって特別図柄当否判定の結果が示唆されるので、変動表示中の演出にも興味を持たせることができる。また、その結果が2D映像であるか3D映像であるかにより示唆されているので、その機種に関する知識に乏しい遊技者に対しても、特別図柄当否判定の結果を予測させることが可能となる。
【0039】
ところで、同一の画像を3D映像と2D映像との両方で表示する場合、同一の画像について、2D用の映像データと3D用の映像データとを別個に記憶しておく必要があり、映像のデータ量が増大してROM等の記憶容量を圧迫するという問題が生じうる。これに対して、本実施形態のパチンコ遊技機10では、映像制御回路54のCPU54AがROM54Cに記憶されている3D用映像ソースデータから2D用の映像データと3D用の映像データとを生成する構成になっていて、2D用の映像データと3D用の映像データとの両方を1つの3D用映像ソースデータから生成することができるので、2つの映像データを別個に記憶しておく場合よりもROMに記憶するデータ量を減らすことが可能となる。つまり、データ量の増大を抑えつつ、同一の画像を3D映像と2D映像との両方で表示すること、即ち、映像のバリエーションを増やすことが可能となる。
【0040】
また、本実施形態の構成によれば、例えば、分割混合画像ではない通常の画像をROM54Cに記憶し、CPU54Aがその画像を分割して並び替えて2D用表示制御データと3D用表示制御データとを生成する構成よりも、処理を少なくすることができ、CPU54Aの負担を減らすことが可能となる。
【0041】
なお、本実施形態のパチンコ遊技機10では、上述の如くディスプレイ13に表示される映像を制御するために、メイン制御回路50、サブ制御回路52、映像制御回路54等は、メイン制御回路メインプログラムPG1、サブ制御回路メインプログラムPG2、映像制御回路メインプログラムPG3等を実行して、情報を処理している。以下、メイン制御回路50、サブ制御回路52及び映像制御回路54における情報処理について説明する。
【0042】
メイン制御回路50に備えたワンチップマイコンは、パチンコ遊技機10の電源をオンすると、ROM50Cから
図11に示したメイン制御回路メインプログラムPG1を取り出してランする。同図に示すように、メイン制御回路メインプログラムPG1がランされると、まずスタックの設定、定数設定、CPU50Aの設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)の設定等を行う初期設定が行われる(S1)。なお、初期設定(S1)は、メイン制御回路メインプログラムPG1が、電源オン後の1回目にランされたときだけ実行され、それ以降は実行されない。
【0043】
初期設定(S1)に次いで、後述するメイン制御回路割り込み処理(S5)が実行されるまでの残余時間には、以下のステップS2〜S4の各処理がループして行われる。具体的には、まず、割り込みが禁止され(S2)、タイマ割り込みが入って来ても割り込み許可となるまで割り込み処理を行わないようにさせる。続いて、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)が実行される。この処理(S3)では、大当り判定等に用いられる乱数カウンタが更新され、更新されたカウンタ値はメイン制御回路50のRAM50Bの記憶領域に逐一記憶される。普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)が終了すると、割り込みが許可され(S4)、メイン制御回路割り込み処理(S5)が実行可能となる。
【0044】
次に、メイン制御回路割り込み処理(S5)は、CPU50Aに割り込みパルスが入力すると、例えば、4msec周期で繰り返して実行される。そして、メイン制御回路割り込み処理(S5)が終了してから、次にメイン制御回路割り込み処理(S5)が開始されるまでの残余処理期間中に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)による各種カウンタ値の更新処理が複数回に亘って繰り返し実行される。また、割り込み禁止状態のときにCPU50Aに割り込みパルスが入力した場合は、メイン制御回路割り込み処理(S5)はすぐには開始されず、割り込み許可(S4)がされてから開始される。
【0045】
メイン制御回路割り込み処理(S5)について説明する。
図12に示すように、メイン制御回路割り込み処理(S5)では、まず、出力処理(S10)が行われる。出力処理(S10)では、以下説明する各処理によりメイン制御回路50の出力バッファに記憶された各コマンド(制御信号)等が、サブ制御回路52へ出力される。ここで出力されるコマンド(制御信号)には、変動パターンコマンド等が挙げられる。
【0046】
出力処理(S10)に次いで、入力処理(S11)が行われる。入力処理(S11)では、主にパチンコ遊技機10に取り付けられている各種センサ(例えば、普通図柄始動スイッチ、始動口センサ、その他センサ、スイッチ類等)が検知した場合の信号入力が行なわれる。
【0047】
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S12)は、上記したメイン制御回路メインプログラムPG1のループ処理内で行われている普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)と同じである。即ち、各種カウンタ値の更新処理は、メイン制御回路割り込み処理(S5)の実行期間と、その残余処理期間(メイン制御回路割り込み処理(S5)の終了後、次のメイン制御回路割り込み処理(S5)が開始されるまでの期間)の両方で行われている。
【0048】
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S12)に次いで、入賞検出処理(S13)が実行される。入賞検出処理(S13)では、始動入賞口14,15に遊技球に入賞したかどうかを判断する。
【0049】
入賞検出処理(S13)が終了すると、普通動作処理(S14)が行われる。メイン制御回路50は、この処理(S14)によって、始動ゲート18(
図1参照)を遊技球が通過したときに行われる普通図柄当りの判定や普通図柄表示装置(図示せず)での普通図柄の変動及び停止表示、普通図柄当りに基づく第2の始動入賞口15における可動扉15Tの開閉を、サブ制御回路52を介さずに直接制御して、普通図柄当りに関する処理を行う。
【0050】
普通動作処理(S14)に次いで行われる特別動作処理(S15)は、特別図柄表示装置(図示せず)の表示状態を直接制御する一方、サブ制御回路52を介してディスプレイ13等を間接的に制御する。
【0051】
図12に示すように、メイン制御回路割り込み処理(S5)では、保留球数処理(S16)に次いで、本発明に深く関連しないその他の処理(S17)を実行して、メイン制御回路割り込み処理(S5)から抜ける。そして、
図11に示すように、次にメインCPU50Aに割り込みパルスが入力するまで、ステップS2〜ステップS4の処理が繰り返し実行され、割り込みパルスの入力を起因(約4msec後)に、再度、メイン制御回路割り込み処理(S5)が実行される。すると、上述の如く、前回、メイン制御回路割り込み処理(S5)が実行されたときにRAM50Bの出力バッファにセットされた制御データが、次に実行されたメイン制御回路割り込み処理(S5)の出力処理(S10)において出力される。以上が、メイン制御回路50が実行するメイン制御回路メインプログラムPG1についての説明である。
【0052】
次に、サブ制御回路52が実行するサブ制御回路メインプログラムPG2の処理について、
図13〜
図17に示すフローチャートを参照しつつ詳説する。
図13に示すように、サブ制御回路メインプログラムPG2では、まず最初にCPU初期化処理(S60)を行う。この処理では、後述する割り込み処理の設定を行う。また、電源基板(図示せず)に電源を投入すると、電源基板60から電源断信号がサブ制御回路52に送信される。この電源断信号が送信されたときに、電源断信号がONで、RAM52Bの内容が正常であるか判断する(S61)。正常であれば(S61でyes)次に進み、正常でなければ(S61でno)、RAM52Bを初期化し各種フラグ及びカウンタ値がリセットされる(S62)。以上の処理(S60〜62)を終えると、ウォッチドッグタイマカウンタ1,2が初期化される(S63)。なお、これらステップS60〜S63は、サブ制御回路メインプログラムPG2が、電源投入後の1回目にランされたときだけ実行され、それ以降は実行されない。
【0053】
ステップS60〜S63によって初期設定が終了すると、割込みが禁止され(S64)、乱数シード更新処理(S65)が実行される。次いで、映像制御回路54(
図6参照)等に各種コマンドを送信するコマンド送信処理(S66)を実行し、ウォッチドッグタイマカウンタ1の初期化(S67)、割込み許可(S68)を行う。そして、これら処理(S64〜68)を無限ループで繰り返す。
【0054】
サブ制御回路メインプログラムPG2の無限ループに対して、受信割り込み処理(S69)、2msタイマ割り込み処理(S70)、10msタイマ割り込み処理(S71)が割り込んで実行される。サブ制御回路52がメイン制御回路50からストローブ信号を受けると、他の割り込み処理(S70,S71)に優先して受信割り込み処理(S69)が実行される。また、2msタイマ割り込み処理(S70)は、10msタイマ割り込み処理(S71)より優先して実行され、10msタイマ割り込み処理(S71)は、2msタイマ割り込み処理(S70)間の残余時間に割り込んで実行される。
【0055】
図14に示すように、受信割込み処理(S69)ではまず、ストローブ信号をチェックし(S430)、ストローブ信号がONでなければ(S430でNo)、そのままこの処理(S69)を抜ける。ストローブ信号がONであれば(S430でYes)、メイン制御回路50からコマンドや制御信号(変動態様や特別図柄当否判定に関するデータ)をサブ制御回路52が受信してRAM52Bに格納する(S431)。
【0056】
2msタイマ割り込み処理(S70)は、サブ制御回路52に2msec周期の割り込みパルスが入力する度に実行する。
図15に示すように、この処理(S70)では、ランプデータ出力処理(S440)、SW/駆動出力処理(S441)、入力処理(S442)、ウォッチドッグタイマ処理(S443)を行う。
【0057】
ランプデータ出力処理(S440)では、10msタイマ割り込み処理(S71)で作成したランプデータの出力を行う。SW/駆動出力処理(S441)では、10msタイマ割込処理(S58)で作成したスイッチ有効期間及び動作の出力を行う。入力処理(S442)では、10msタイマ割込み処理(S71)でスイッチ状態に基づく処理を実行するために、図示しない操作ボタン等のオンオフ状態に対応したスイッチデータを作成し、そのスイッチデータをRAM52Bに記憶する。ウォッチドッグタイマ処理(S443)では、ウォッチドッグタイマをリセットする。
【0058】
10msタイマ割り込み処理(S71)は、10msec周期で繰り返して割り込み実行される。
図16に示すように、10msタイマ割り込み処理(S71)では、メインコマンド解析処理(S80)及びSW入力処理(S81)を実行した後に、その他の処理を実行し(S82)、ウォッチドッグタイマカウンタ2を初期化(S83)してからこの処理(S71)を抜ける。以下に、メインコマンド解析処理(S80)について詳説する。
【0059】
メインコマンド解析処理(S80)では、メイン制御回路50から受信したコマンドに関する処理を行う。
図17に示すように、まず、サブ制御回路52がメイン制御回路50から受信したコマンド(以下、適宜「受信コマンド」という)が変動に関するコマンドであるか否かを判断する(S450)。受信コマンドが変動に関するコマンドでない場合(S450でNo)は、受信したコマンドに基づいてその他の処理(S455)を行ってからこの処理(S80)を抜ける。
【0060】
受信コマンドが変動に関するコマンドである場合(S450でYes)は、ディスプレイ13で実行される演出に関する抽選を行う演出抽選処理(S451)を行う。演出抽選処理(S451)では、上述した乱数シード更新(S65)により更新されている演出乱数値を取得し、その演出乱数値とメイン制御回路50から受信した遊技状態に関するコマンドとに基づいて執行する演出をセットする。
【0061】
次いで、演出抽選処理(S451)で選択された演出が2D変換演出であるか否かを判断する(S452)。2D変換演出でない場合(S452でNo)は、映像制御回路54に送信するコマンドをセットする等その他の処理(S455)を行ってこの処理(S80)を抜ける。一方、2D変換演出である場合(S452でYes)は、2D変換コマンドをセット(S453)した後、その他の処理(S454)を行ってからこの処理(S80)を抜ける。以上が、メインコマンド解析処理(S80)、10msタイマ割り込み処理(S71)、サブ制御回路52が実行するサブ制御回路メインプログラムPG2についての説明である。
【0062】
次に、映像制御回路54が実行する映像制御回路メインプログラムPG3の処理について説明する。
図18に示すように、映像制御回路メインプログラムPG3では、まず最初にサブ制御回路52から受信したコマンドを格納する(S500)。次いで、受信コマンドが変動中の演出に関するコマンドであるか否かを判断する(S501)。変動中の演出に関するコマンドでない場合(S501でNo)は、受信したコマンドに基づいてその他の処理(S508)を行ってからこの処理(PG3)を抜ける。
【0063】
受信コマンドが変動中の演出に関するコマンドである場合(S501でYes)は、2D変換コマンドがセットされているか否かを判断する(S502)。2D変換コマンドがセットされている場合(S502でYes)、ROM54Cから3D映像ソースデータを取得した(S503)後、その映像ソースデータから2D変換処理により2D用の映像データを生成し(S504)、ディスプレイ13に送信する(S505)。一方、2D変換コマンドがセットされていない場合(S502でNo)、ROM54Cから3D映像ソースデータを取得し(S506)、その映像ソースデータをそのまま3D用の映像データとしてディスプレイ13に送信する(S507)。以上が、映像制御回路54が実行する映像制御回路メインプログラムPG3についての説明である。
【0064】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0065】
(1)上記実施形態では、パチンコ遊技機10に本発明を適用していたが、遊技機であれば、コイン遊技機やスロットマシン等に適用してもよい。
【0066】
(2)上記実施形態では、2D用及び3D用の映像データを生成するための映像ソースデータが、右目用画像と左目用画像とを縦長に細分化したものを交互に並べた分割混合画像であったが、分割混合画像ではない通常の映像であってもよい。
【0067】
(3)上記実施形態では、映像表示液晶層13Gの右目視認領域と左目視認領域とへの分割がレンチキュラーレンズ13Fにより行われていたが、
図19及び
図20に示すように、視差バリアフィルム13Xにより行われてもよい。視差バリアフィルム13Xは、例えば、非透過性のバリア帯13Rと透過性のスリット13Sとを横方向に交互に並べた構成となっていて、遊技者は、映像表示液晶層13Gに表示される映像をスリット13Sを通して見ることになり、
図20に示すように、映像表示液晶層13Gが、右目のみに視認される右目視認領域Rと、左目のみに視認される左目視認領域Lとに区画される。
【0068】
(4)上記実施形態では、3D演出と2D変換演出とが共に変動表示中に行われていたが、これに限られるものではなく、例えば、
図21に示すように、3D演出が変動表示中に行われ、2D変換演出が大当り遊技中に行われる構成であってもよい。
【0069】
(5)上記実施形態では、2D変換処理が、右目用画像と左目用画像との一方を他方と同一にする構成であったが、
図22に示すように、右目用画像と左目用画像との一方(例えば、右目用画像)の視認対象像Tを消去する(背景のみにする)構成であってもよい。この場合であっても、遊技者に2D映像を視認させることが可能となる。
【0070】
(6)上記実施形態では、映像制御回路54のCPU54A(本発明の「表示制御データ生成手段」)が、3D用映像ソースデータをそのまま3D用の映像データ(本発明の「3D用表示制御データ」)とする一方、3D用映像ソースデータを上記した2D変換処理により変換したものを2D用の映像データ(本発明の「2D用表示制御データ」)とする構成であったが、3D用映像ソースデータのみを「3D用表示制御データ」とする一方、3D用映像ソースデータと、バックライト13Hのうち映像表示液晶層13Gに表示される右目用画像と左目用画像との一方(例えば、右目用画像)の後方に位置する部分を消灯するバックライト制御データとを併せて「2D用表示制御データ」とする構成であってもよい(
図23(C)参照)。
【0071】
(7)また、ディスプレイ13に、バックライト13Hからの光を遮光することが可能なシャッター部を備え、映像制御回路54のCPU54A(本発明の「表示制御データ生成手段」)が、「2D用表示制御データ」を生成するときに、3D用映像ソースデータと、バックライト13Hのうち映像表示液晶層13Gに表示される右目用画像と左目用画像との一方(例えば、右目用画像)の後方に位置する部分からの光を遮光するようにシャッター部を制御するシャッター部制御データとを併せて「2D用表示制御データ」とする構成であってもよい。
【0072】
(8)上記実施形態では、1本のレンズにより分割される視点が2つであったが、3つ以上であってもよい。
[上記実施形態及び上記他の実施形態の構成のまとめ]
上記実施形態及び上記他の実施形態には、以下の[1]〜[6]の構成が含まれている。
[1]
3D用表示制御データを受けて3D映像を表示することが可能であると共に、2D用表示制御データを受けて2D映像を表示することが可能な表示装置と、
遊技状況に応じて前記2D用表示制御データか前記3D用表示制御データかの何れかを前記表示装置に付与する表示制御部とを備えた遊技機において、
前記表示制御部は、右目用画像と左目用画像とからなる映像ソースデータを記憶した映像ソースデータ記憶手段と、前記映像ソースデータ記憶手段から取得した前記映像ソースデータから遊技状況に応じて前記2D用表示制御データか前記3D用表示制御データかの何れかを生成する表示制御データ生成手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
[2]
前記映像ソースデータ記憶手段は、前記映像ソースデータとして、前記右目用画像と前記左目用画像とを縦長に細分化したものを視差を有するように交互に並べてなる3D用映像ソースデータを記憶し、
前記表示制御データ生成手段は、前記3D用表示制御データを生成するときは、前記3D用映像ソースデータをそのまま前記3D用表示制御データとする一方、前記2D用表示制御データを生成するときは、前記3D用映像ソースデータにおける前記右目用画像と前記左目用画像とのうちの一方の画像を前記右目用画像と前記左目用画像とのうちの他方の画像と同一にしたものを前記2D用表示制御データとすることを特徴とする[1]に記載の遊技機。
[3]
前記映像ソースデータ記憶手段は、前記映像ソースデータとして、視認対象像と背景とが描かれた前記右目用画像と前記左目用画像とを縦長に細分化し、前記視認対象像に視差が生じるように交互に並べてなる3D用映像ソースデータを記憶し、
前記表示制御データ生成手段は、前記3D用表示制御データを生成するときは、前記3D用映像ソースデータをそのまま前記3D用表示制御データとする一方、前記2D用表示制御データを生成するときは、前記3D用映像ソースデータにおける前記右目用画像と前記左目用画像とのうちの一方の画像を前記背景のみにしたものを前記2D用表示制御データとすることを特徴とする[1]に記載の遊技機。
[4]
前記表示装置は、映像表示液晶層と前記映像表示液晶層の後方に配されるバックライトとを備え、
前記映像ソースデータ記憶手段は、前記映像ソースデータとして、前記右目用画像と前記左目用画像とを縦長に細分化したものを視差を有するように交互に並べてなる3D用映像ソースデータを記憶し、
前記表示制御データ生成手段は、前記3D用表示制御データを生成するときは、前記3D用映像ソースデータのみを前記3D用表示制御データとする一方、前記2D用表示制御データを生成するときは、前記3D用映像ソースデータと、前記バックライトのうち前記映像表示液晶層に表示される前記右目用画像と前記左目用画像との一方の後方に位置する部分を消灯するバックライト制御データとを併せて前記2D用表示制御データとすることを特徴とする[1]に記載の遊技機。
[5]
前記表示装置は、映像表示液晶層と前記映像表示液晶層の後方に配されるバックライトと前記バックライトからの光を遮光することが可能なシャッター部とを備え、
前記映像ソースデータ記憶手段は、前記映像ソースデータとして、前記右目用画像と前記左目用画像とを縦長に細分化したものを視差を有するように交互に並べてなる3D用映像ソースデータを記憶し、
前記表示制御データ生成手段は、前記3D用表示制御データを生成するときは、前記3D用映像ソースデータのみを前記3D用表示制御データとする一方、前記2D用表示制御データを生成するときは、前記3D用映像ソースデータと、前記バックライトのうち前記映像表示液晶層に表示される前記右目用画像と前記左目用画像との一方の後方に位置する部分からの光を遮光するように前記シャッター部を制御するシャッター部制御データとを併せて前記2D用表示制御データとすることを特徴とする[1]に記載の遊技機。
[6]
前記表示手段が、レンチキュラーレンズにより右目用画像が表示される右目視認領域と左目用画像が表示される左目視認領域とに分割されることを特徴とする[1]乃至[5]の何れか1に記載の遊技機。
[1]の遊技機によれば、表示制御データ生成手段により、2D用表示制御データと3D用表示制御データとの両方を1つの映像ソースデータから生成することができるので2つの表示制御データを記憶しておく場合よりもデータ量を減らすことが可能となる。つまり、データ量の増大を抑えつつ、映像のバリエーションを増やすことが可能となる。
[2]の構成では、映像ソースデータ記憶手段が、右目用画像と左目用画像とを縦長に細分化したもの(分割画像)を視差を有するように交互に並べてなる3D用映像ソースデータを記憶している。そして、表示制御データ生成手段は、3D用表示制御データを生成するときは、3D用映像ソースデータをそのまま3D用表示制御データとし、2D用表示制御データを生成するときは、3D用映像ソースデータにおける右目用画像と左目用画像とのうちの一方の画像を他方の画像と同一にしたものを2D用表示制御データとする。この構成によれば、例えば、映像ソースデータ記憶手段が分割画像を並べたものではない通常の画像を記憶し、表示制御データ生成手段がその画像を分割して並べ替えて2D用表示制御データと3D用表示制御データとを生成する構成よりも、処理を少なくすることができ、表示制御データ生成手段の負担を減らすことが可能となる。
[2]の構成では、3D用映像ソースデータからの2D用表示制御データの生成を、右目用画像と左目用画像とのうちの一方の画像を他方の画像と同一にすることにより行っていたが、[3]の構成のように、視認対象像と背景とが描かれた右目用画像と左目用画像とのうちの一方の画像を背景のみにすることによって行ってもよい。また、[4]の構成のように、3D用映像ソースデータと、バックライトのうち映像表示液晶層に表示される右目用画像と左目用画像との一方の後方に位置する部分を消灯するバックライト制御データとを併せて2D用表示制御データとしてもよいし、[5]の構成のように、3D用映像ソースデータと、バックライトのうち映像表示液晶層に表示される右目用画像と左目用画像との一方の後方に位置する部分からの光を遮光するようにシャッター部を制御するシャッター部制御データとを併せて2D用表示制御データとしてもよい。
[6]の構成によれば、右目視認領域と左目視認領域との分割をレンチキュラーレンズにより行っているため、パララックスバリアを用いる場合よりも映像を明るくすることが可能となる。
【解決手段】本発明のパチンコ遊技機10では、映像制御回路54のROM54Cに3D用映像ソースデータが記憶されている。そして、映像制御回路54のCPU54Aは、3D用の映像データを生成するときは、3D用映像ソースデータをそのまま3D用の映像データとする一方、2D用の映像データを生成するときは、3D用映像ソースデータを、右目用画像を左目用画像に置き換える2D変換処理したものを2D用の映像データとする。