特許第5979819号(P5979819)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インターナショナル レクティフィアー コーポレイションの特許一覧

特許5979819アルミニウムドープゲートを備えるプログラマブルIII−窒化物トランジスタ
<>
  • 特許5979819-アルミニウムドープゲートを備えるプログラマブルIII−窒化物トランジスタ 図000002
  • 特許5979819-アルミニウムドープゲートを備えるプログラマブルIII−窒化物トランジスタ 図000003
  • 特許5979819-アルミニウムドープゲートを備えるプログラマブルIII−窒化物トランジスタ 図000004
  • 特許5979819-アルミニウムドープゲートを備えるプログラマブルIII−窒化物トランジスタ 図000005
  • 特許5979819-アルミニウムドープゲートを備えるプログラマブルIII−窒化物トランジスタ 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979819
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】アルミニウムドープゲートを備えるプログラマブルIII−窒化物トランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20160818BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20160818BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20160818BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20160818BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20160818BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   H01L29/80 H
   H01L29/78 301B
   H01L29/78 617T
   H01L29/78 618B
   H01L29/78 618E
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-56226(P2011-56226)
(22)【出願日】2011年3月15日
(65)【公開番号】特開2011-199286(P2011-199286A)
(43)【公開日】2011年10月6日
【審査請求日】2011年3月16日
【審判番号】不服2014-13066(P2014-13066/J1)
【審判請求日】2014年7月4日
(31)【優先権主張番号】61/340,802
(32)【優先日】2010年3月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/021,437
(32)【優先日】2011年2月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597161115
【氏名又は名称】インターナショナル レクティフィアー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エイ ブリエール
【合議体】
【審判長】 鈴木 匡明
【審判官】 河口 雅英
【審判官】 小田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0146185号明細書(US,A1)
【文献】 特開2008−270847号公報(JP,A)
【文献】 特開2008−130672号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のIII−窒化物材料と第2のIII−窒化物材料との界面に形成される2次元電子ガスを含む導電チャネルと、ゲート接点と、前記ゲート接点の下に配置され接点絶縁層とを備えたIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの製造方法であって
基板の上に前記第1のIII−窒化物材料を配置する工程と、
前記第1のIII−窒化物材料の上に前記第2のIII−窒化物材料を配置する工程と、
前記第2のIII−窒化物材料の上に、第1のオーム接点及び第2のオーム接点を形成する工程と、
前記導電チャネルの上方の前記第2のIII−窒化物材料の上に前記接点絶縁層を形成する工程と、
前記接点絶縁層の上に前記ゲート接点を形成する工程とを備え、
前記第1のオーム接点及び第2のオーム接点を形成する工程において、前記第1のオーム接点及び第2のオーム接点は、前記第1のIII−窒化物材料に直接接触することなく、前記導電チャネルを経て電流を流すように構成され、
前記接点絶縁層を形成する工程において、前記第1のオーム接点と前記第2のオーム接点との間に窒化シリコン絶縁層を形成し、該窒化シリコン絶縁層に負電荷を与え、前記界面に形成される前記2次元電子ガスを変更するために、前記窒化シリコン絶縁層にアルミニウムを注入する、
III−窒化物ヘテロ接合デバイスの製造方法
【請求項2】
前記窒化シリコン絶縁層は前記III−窒化物ヘテロ接合デバイスの閾値電圧をプログラムするものである、請求項1記載のIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの製造方法
【請求項3】
前記窒化シリコン絶縁層は前記導電チャネルを中断するように前記2次元電子ガスの形成を変更させるものである、請求項1記載のIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの製造方法
【請求項4】
前記接点絶縁層を形成する工程において、前記第2のIII−窒化物材料内に凹部を形成し、該凹部上に前記接点絶縁層を形成する、請求項1記載のIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの製造方法
【請求項5】
前記第1のIII−窒化物材料を配置する工程、又は前記第2のIII−窒化物材料を配置する工程の少なくとも一方において、前記窒化シリコン絶縁層の下方となる前記第1のIII−窒化物材料内、又は前記第2のIII−窒化物材料内の少なくとも一方に、p型不純物がドープされた領域を形成することを含む、請求項1記載のIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの製造方法
【請求項6】
前記第1のIII−窒化物材料を配置する工程、又は前記第2のIII−窒化物材料を配置する工程の少なくとも一方において、前記窒化シリコン絶縁層の下方となる前記第1のIII−窒化物材料内、又は前記第2のIII−窒化物材料内の少なくとも一方に、不純物拡散領域を形成することを含む、請求項1記載のIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの製造方法
【請求項7】
前記第1のIII−窒化物材料を配置する工程、又は前記第2のIII−窒化物材料を配置する工程の少なくとも一方において、前記窒化シリコン絶縁層の下方となる前記第1のIII−窒化物材料内、又は前記第2のIII−窒化物材料内の少なくとも一方に、酸化領域を形成することを含む、請求項1記載のIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの製造方法
【請求項8】
前記第1のIII−窒化物材料を配置する工程、又は前記第2のIII−窒化物材料を配置する工程の少なくとも一方において、前記窒化シリコン絶縁層の下方となる前記第1のIII−窒化物材料内、又は前記第2のIII−窒化物材料内の少なくとも一方に、窒化領域を形成することを含む、請求項1記載のIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの製造方法
【請求項9】
前記接点絶縁層は前記ゲート接点の下に形成されたゲート絶縁層である、請求項1記載のIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの製造方法
【請求項10】
前記第1のIII−窒化物材料はGaNからなり、前記第2のIII−窒化物材料はAlGaNからなる、請求項1記載のIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの製造方法
【請求項11】
前記III−窒化物ヘテロ接合デバイスはNチャネルGaN FETである、請求項1記載のIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本願は、2010年3月22日に “Programmable III-Nitride Transistor with Aluminum-Doped Gate”なるタイトルで出願された米国特許仮出願第61/340,802号の優先権を主張するものである。この仮出願の開示内容は参照することにより本願に組みかまれるものとする。
【0002】
定義
本願において、「III−V族半導体」又は同種のものは少なくとも一つのIII族元素と少なくとも一つのV族元素を含む化合物半導体を言い、例えば窒化ガリウム(GaN)、砒化ガリウム(GaAs)、砒化アルミニウムガリウム、窒化インジウムガリウムなどを含むが、これらに限定されない。同様に、「III−窒化物半導体」又は同種のものは窒素と少なくとも一つのIII族元素を含む化合物半導体を言い、例えばGaN、AlGaN、InN、AlN、InGaN、InAlGaNなどを含むが、これらに限定されない。
【0003】
本発明は一般には半導体、より詳しくはIII−窒化物半導体に基づくトランジスタ及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
III−窒化物へテロ構造に基づくデバイスは、典型的には、ピエゾ分極場を用いて、低い抵抗損失で高い電流密度を可能にする2次元電子ガス(2DEG)を生成するように動作する。2DEGはIII−窒化物材料の界面で形成され、2DEGのために、通常のIII−窒化物ヘテロ接合デバイスはゲート電位の印加なしで導通し得る。従って、III−窒化物へテロ接合構造を用いて形成されたデバイスはノーマリオン又はデプレッションモードデバイスになる傾向がある。
【0005】
III−窒化物ヘテロ接合デバイスは、比較的高い降伏電圧、高い電流密度及び低い「オン抵抗」のために電力用に望ましい。しかし、通常のIII−窒化物へテロ接合デバイスのノマリオン特性は電力用に使用する際に問題を生じ得る。例えば、電力用途においては、制御回路が十分に給電され動作可能になる前に、III−窒化物へテロ接合デバイスが導通するのを避けるのが望ましい。従って、例えばスタートアップ及び他のモード中に導通する問題を避けるために、ノーマリオフ又はエンハンスメントモードのIII−窒化物ヘテロ接合デバイスを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本願は、添付の図面の少なくとも一つの図に示され且つ又関連して説明され、特許請求の範囲により完全に記述されている、アルミニウムドープゲートを有するプログラマブルIII−窒化物トランジスタを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1a図1bの代表的なIII−窒化物ヘテロ接合デバイスを形成するのに使用する初期構造に対応する断面図を示す。
図1b】本発明の一つの実施形態による代表的なIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの断面図を示す。
図2】本発明の一つの実施形態による代表的な変更手段を含むIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの一部分の断面図を示す。
図3】本発明の一つの実施形態による代表的な変更手段を含むIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの一部分の断面図を示す。
図4】本発明の一つの実施形態による代表的な変更手段を含むIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの一部分の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、2DEG(2次元電子ガス)の形成を変更する変更手段を含む、III−窒化物デバイス、特にエンハンスメントモードIII−窒化物デバイスを提供する。本発明においては、例えばドーピング又は他の方法によるアルミニウム導入に基づく変更手段が著しく有益である。以下の記載は本発明の実施に関する具体的情報を含む。当業者は、本願に具体的に説明される実施形態とは異なる態様に実施することができることを認識されよう。更に、本発明の具体的な細部の一部については本発明を不明瞭にしないために説明を省略した。
【0009】
本願の図面及びそれらの付随の詳細な説明は本発明の単なる代表的な実施形態を対象にしている。簡潔さを維持するために、本発明の他の実施形態は具体的に説明されておらず、また図面に具体的に示されていない。
【0010】
図1aは、図1bの代表的なIII−窒化物ヘテロ接合デバイスを形成するために使用される、構造100として示される初期構造に対応する断面図を示す。構造100は基板102、III−窒化物材料104及びIII−窒化物材料106を含む。いくつかの実施形態においては、高電子移動度トランジスタ(HEMT)を形成するために、III−窒化物材料104は、例えばアンドープGaNとし、III−窒化物106は、例えばアンドープAlGaNとすることができる。他の実施形態においては、III−窒化物材料はドープすることができ、例えばNチャネルGaN電界効果トランジスタ(FET)を形成するためにIII−窒化物104はP型GaNとすることができる。
【0011】
基板102は絶縁基板とすることができるが、高抵抗基板とすることもでき、炭化シリコン、シリコン、サファイヤなどの材料及び他の適切な基板材料からなるものとすることができる。図1aでは、III−窒化物材料104は基板102の上に配置され、III−窒化物材料106はIII−窒化物材料104の上に配置され、III−窒化物ヘテロ接合を形成する。III−窒化物材料104はIII−窒化物材料106と異なる面内格子定数を有するため、III−窒化物材料104とIII−窒化物材料106の界面に2DEGからなる導電チャネルを形成することができる。
【0012】
更に図1aに示すように、接点108及び110がIII−窒化物材料106の上に形成され、これらの接点は例えばオーム接点とすることができる。従って、構造100は、電流が接点108及び110の間で2DEGからなる導電チャネルを経て流れ得るように構成できる。更に、接点108及び110は得られるIII−窒化物ヘテロ接合デバイスのソース及びドレイン端子のための接続を備えることができる。
【0013】
図1bは、III−窒化物ヘテロ接合デバイス150として示される、本発明の一実施の形態による代表的なIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの断面図を示す。本発明によるデバイスは、2DEGの形成を変更する変更手段を含み、それによってIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの閾値電圧をプログラムすることができる。特定の実施形態においては、変更手段は2DEGの密度を変更することができ、それによってこのデバイスはノーマリオフ型にすることができ、即ち2DEGを中断することができる。
【0014】
図1bは、III−窒化物デバイス150内における2DEGの形成を変更する変更手段160を示す。III−窒化物ヘテロ接合デバイス150において、変更手段160は、ゲート接点140の下に配置された、アルミニウムを含む負に帯電されたゲート接点絶縁層112を備える。接点絶縁層112は、III−窒化物ヘテロ接合デバイス150内における2DEGの形成を変更または中断するために負の電荷を発生するアルミニウムを含む。従って、ゲート接点絶縁層112内の負電荷は2DEG内の電子と相互作用して2DEGの形成を変更することができる。
【0015】
図1bに示す実施形態においては、接点絶縁層112を負に帯電してその下の2DEGを中断し、それによってIII−窒化物ヘテロ接合デバイス150内の導電チャネルを中断するために、接点絶縁層112は、ゲート接点絶縁層の形成の一部分として、ドーピング、注入又はアルミニウムの同時成長などの他の手段により導入されたアルミニウムを含む。不活性状態では、2DEGからなる導電チャネルがゲート接点140の下部で中断されるため、III−窒化物ヘテロ接合デバイス150は接点108および110間で電流を流さない。接点140は、例えば導電性ゲート接点とすることができ、接点絶縁層112はゲート絶縁層とすることができる。従って、III−窒化物ヘテロ接合デバイス150は、接点140に電圧を供給することによって、中断された2DEGを回復させ、接点108及び110間に導電チャネルを与えることにより接点108及び110間で電流を流すことができる。それゆえ、III−窒化物ヘテロ接合デバイス150はエンハンストモード又はノーマリオフデバイスとして動作し得る。
【0016】
いくつかの実施形態においては、接点絶縁層112は、絶縁層を形成し、接点絶縁層112内に負電荷を与えるために絶縁層にアルミニウムをドーピング又は注入することによって形成することができる。例えば、窒化シリコン(SiN)絶縁層にアルミニウムを拡散又は注入して接点絶縁層内に負電荷を与えることができる。特定の実施形態においては、接点絶縁層112はAlSi(ここではAlSiNともいう)の組成を備えるものとし得る。他の実施形態においては、接点絶縁層112はその絶縁層内に負電荷を与えるためにアルミニウムと同時に成長される化合物とすることができる。例えば、AlSiN化合物をIII−窒化物材料106の上に形成することができる。
【0017】
更にIII−窒化物ヘテロ接合デバイス150においては、接点絶縁層112はIII−窒化物ヘテロ接合デバイス150の閾値電圧をプログラムするためにアルミニウムを含めることができる。例えば、接点絶縁層112内の負電荷は接点絶縁層112の組成を変更することにより調整できる。例えば、III−窒化物ヘテロ接合デバイス150において、接点絶縁層112内の負電荷の増加はその反発力を増大して2DEGを変更することができる。それゆえ、接点絶縁層112内の負電荷の増加は閾値電圧を増大するため、中断された2DEGを回復させて接点108及び110間に導電チャネルを与えるためには増大した電位を接点140に供給しなければならなくなる。従って、接点絶縁層112の組成の選択によりIII−窒化物ヘテロ接合デバイス150の閾値電圧をプログラム又は設定することができる。
【0018】
図1aの構造100はIII−窒化物ヘテロ接合デバイス150の形成を限定するものではないことを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態においては、接点108及び110は変更手段160に続いて形成することができる。また、III−窒化物ヘテロ接合デバイス150はエンハンストモード又はノーマリオフデバイスとするが、他の実施形態においてはデプレッションモードデバイスの閾値電圧をプログラム又は設定するように接点絶縁層112によって2DEGの形成を変更することができる。
【0019】
更に、上述した変更手段160は、接点の下及び一方のIII−窒化物材料の上に位置する接点絶縁層を含むが、他の実施形態においては、追加の要素が協力して2DEGの形成を変更するようにすることができる。他の実施形態は、例えば、凹部、イオン注入領域、拡散領域、酸化領域及び/又は窒化領域を備えることができる。更に、追加の要素はIII−窒化物ヘテロ接合デバイス内に組み込むことができる。追加の要素は追加の材料又は構造内に形成することができる。
【0020】
図2を参照すると、図2は変更手段260として示す代表的な変更手段を含むIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの一部分の断面図を示す。変更手段260は図1bの変更手段160に相当するものとし得る。図2において、III−窒化物材料204、III−窒化物材料206、接点絶縁層212及び接点240は図1bの窒化物材料104、III−窒化物材料106、接点絶縁層112及び接点140に相当する。
【0021】
図2に示されるように、変更手段260は凹部230の上に形成された接点絶縁層230を含む。凹部230は接点240の下のIII−窒化物材料206内に形成される。更に、凹部230は接点240及び接点絶縁層212を2DEG及びIII−窒化物材料206とIII−窒化物材料204の界面に近接配置することを可能にする。変更手段260において、凹部230及び接点絶縁層212は協力して2DEGの形成を変更する。従って、変更手段260において、接点絶縁層212は、閾値電圧をプログラムし2DEGの形成を中断するために、接点絶縁層112よりも少ない電荷を必要とすることになる。
【0022】
凹部230は、例えばIII−窒化物材料206上にフォトレジストを設け、このフォトレジストに傾斜した側壁を有する開口を形成し、エッチング工程により傾斜した幾何形状をIII−窒化物材料206に転写することによって形成することができる。凹部230は傾斜した側壁を有するが、凹部230は他の幾何形状とすることもできる。
【0023】
図3を参照すると、変更手段360として示す代表的な変更手段を含むIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの一部分が示されている。変更手段360は図1bの変更手段160に相当するものとし得る。図3において、III−窒化物材料304、III−窒化物材料306、接点絶縁層312及び接点340は図1bの窒化物材料104、III−窒化物材料106、接点絶縁層112及び接点140に相当する。
【0024】
図3に示されるように、変更手段360は領域370の上に形成された接点絶縁層312を含む。領域370は、接点340の下のIII−窒化物材料306に形成され、ゲート接点340の下方の2DEGの形成を変更することができる。変更手段360において、領域370及び接点絶縁層312は協力して2DEGの形成を変更する。
【0025】
いくつかの実施形態においては、領域370は結合構造及びその下の2DEGを分断する格子損傷を含む注入領域を含むものとし得る。他の実施形態においては、領域370は酸化領域、窒化領域又は不純物拡散領域とすることができる。また、上述したように、変更手段360は追加の要素、例えば凹部230に類似の凹部及び/又は領域370に類似の複数の領域を含むことができる。図3では領域370はIII−窒化物材料306内に形成されるが、他の実施形態においては、領域370はIII−窒化物材料304内又は他の材料内に形成することができる。更に、いくつかの実施形態においては、領域370はIII−窒化物材料306及び304などの材料とオーバラップさせることができる。従って、変更手段360において、接点絶縁層312は、閾値電圧をプログラムし2DEGの形成を中断するために、接点絶縁層112よりも少ない電荷を必要とすることになる。
【0026】
図4を参照すると、変更手段460として示される代表的な変更手段を含むIII−窒化物ヘテロ接合デバイスの一部分が示されている。図4において、III−窒化物材料404、III−窒化物材料406、接点絶縁層412及び接点440は図1bの窒化物材料104、III−窒化物材料106、接点絶縁層112及び接点140に相当する。
【0027】
図4に示されるように、変更手段460は領域480の上方に形成された接点絶縁層412を含む。領域480は、接点440の下方のIII−窒化物材料404内に形成され、ゲート接点440の下方の2DEGの形成を変更することができる。他の実施形態においては、領域480はIII−窒化物材料406内に形成することができ、またIII−窒化物材料404及び406とオーバラップさせることができる。従って、変更手段460において、接点絶縁層412は、閾値電圧をプログラムし2DEGの形成を中断するために、接点絶縁層112よりも少ない電荷を必要とすることになる。
【0028】
領域480は、例えばp型不純物がドープされた領域とすることができる。領域480は、標準の注入及びアニーリング工程を用いてIII−窒化物材料406を通して形成することができる。いくつかの実施形態においては、領域480はIII−窒化物材料404に形成し、次にGaNの層で覆い、次にAlGaNで覆うことができる。領域480を形成するために使用するp型不純物としては、例えばFl,M,Fe,Cr又はZnを含むが、他の不純物を使用することもできる。
【0029】
図1b及び図2図4の実施形態においては、III−窒化物ヘテロ接合デバイスの導電チャネルにおける2DEGの形成を変更するために変更手段が設けられる。この変更手段によってデバイスの閾値電圧をプログラムすることができ、2DEGを中断するように導電チャネルにおける2DEGの形成を変更して、ノーマリオンデバイスではなくノーマリオフデバイスを得ることができる。従って、本発明はエンハンスメントモードのIII−窒化物ヘテロ接合デバイスを提供することができ、該装置は例えばスタートアップ時に制御回路がパワーアップする間電流が流れるのを避ける代償なしに電力用途に使用することができる。更に、本発明は得られるエンハンスメントモードデバイスの閾値電圧のプログラミング又は調整を(またデプレッションモードデバイスの閾値電圧のプログラミングも)与える。
【0030】
本発明の以上の記載から、本発明のコンセプトは本発明の範囲から逸脱することなく種々の技術を用いて実施できること明らかである。更に、本発明はいくつかの特定の実施形態について説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく形式及び細部に種々の変更を加えることができることは当業者に認識されよう。従って、開示の実施形態はすべての点で例示であり、非限定的であるとみなされたい。本発明は開示の特定の実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく多くの再構成、変更及び置換が可能であることを理解されたい。
図1a
図1b
図2
図3
図4