(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通電電流値が極小となる前記変曲点発生時間が一定値以下である場合に、ガスロック状態として信号送信を行なうことを特徴とする請求項1記載のダイヤフラムポンプ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態にかかる濾過装置について
図1乃至
図7を参照して説明する。
【0019】
図1は濾過装置100の構成を模式的に示す説明図、
図2は濾過装置100に用いられる除菌器101の側面図、
図3はダイヤフラムポンプ17の断面を示す説明図である。
【0020】
図1に示す濾過装置100は、井戸W等の原水を揚水し、除菌、除鉄、除マンガン及び固形物等の不純物の濾過に用いられる濾過装置であり、除菌器101と、濾過槽102と、制御ユニット103と、を備えている。なお、
図1中Fは井戸水の流れを、Gは薬液の流れを、Sは信号線を、Xは通常運転による水の流れを、Yは逆洗運転による水の流れを、Zは洗浄運転による水の流れをそれぞれ示している。
【0021】
除菌器101の一次側は、配管Uにより、砂濾し器105を介して、原水を汲み上げる給水ポンプ104に接続されている。
【0022】
図2に示すように、除菌器101は、架台11と、薬液タンク(薬液槽)12と、薬液注入手段13と、連結管14と、を備えている。薬液タンク12は、架台11上に設けられ、その内部に、薬液として次亜塩素酸ナトリウムを貯留可能に形成されている。薬液タンク12には薬液タンク12内の水位を検出する水位センサ15が設けられている。薬液タンク12は、薬液供給管16を介して薬液注入手段13と接続されている。薬液注入手段13は、薬液を定量注入可能なダイヤフラム式のダイヤフラムポンプ17と、ダイヤフラムポンプ17の吐出口に設けられた薬液吐出管18と、薬液吐出管18に設けられ連結管14の二次側に設けられた薬液注入器19と、を備えている。薬液注入器19には逆止弁19aやノズル19b、ノズルキャップ19cなどが設けられている。水位センサ15は、薬液タンク12に貯留されている薬剤の量を計測し、その値を制御ユニット103に送り出す。
【0023】
連結管14は、井戸水(流体)の流路である管路を形成する。連結管14は、管路を形成する管部21と、管部21の一次側に設けられた流量センサ22と、管部21の二次側に設けられた注入部23と、を備えている。流量センサ22は磁石付き回転翼を有し、回転翼の回転数を検出することによりろ過流量を検出し、その値を制御ユニット103に送り出す。さらに、連結管14には圧力センサ20が設けられている。圧力センサ20はダイヤフラムポンプ17の吸込側の連結管14内に生じている圧力を計測し、その値を制御ユニット103に送り出す。
【0024】
ダイヤフラムポンプ17は、
図3に示すように、ケーシング31と、筒形コイルであるソレノイドコイル30と、プランジャ33と、ダイヤフラム34と、裏蓋35と、裏蓋35にねじ込まれた調整ねじ36と、ポンプ本体37などから構成されている。ソレノイドコイル30の入力端子には、制御ユニット103からの電力線が接続されている。
【0025】
プランジャ33は、軸部38と、軸部38に取り付けられた可動鉄心39と、軸部38の後方に設けられた補助磁極板41などから構成されている。可動鉄心39とソレノイドコイル30の間には、戻しばね42が設けられている。戻しばね42はプランジャ33を所定のばね力で後方に付勢している。ポンプ本体37には、圧送室44がほぼ中央に形成してあり、流入口45及び流出口46が設けられている。圧送室44の流入口45側には流入用一方向ボール弁47が、また流出口46側には流出用一方向ボール弁48がそれぞれ設けられている。
【0026】
図1に示すように、除菌器101の二次側は配管Uにより濾過槽102に接続される。除菌器101と濾過槽102の間の配管Uには第1三方弁106(逆洗弁)が設けられている。第1三方弁106は、そのポートの一が排水部Dに接続され、ポートの切り換えにより、第1三方弁106の二次側からの水を排水部Dに排水可能に形成されている。
【0027】
濾過槽102は、タンク102aを有し、除菌器101からタンク102a内部への井戸水の流路を形成する内部配管102bを備えている。濾過槽102は、タンク102aの底部に吐出管として配管Uが接続される。この配管Uは、第2三方弁110(切換弁)に接続される。
【0028】
タンク102a内には、濾過材と、除マンガン用濾過材と、除鉄用濾過材が順次積層され、例えば、析出した鉄を補足及び除去可能、且つ、井戸水中のマンガンを接触酸化等により除去可能に形成されている。
【0029】
内部配管102bは、濾過槽102の上方側面から内部に配設され、給水ポンプ104から圧送された井戸水を、タンク102aの天井部に向って吐出することで、吐出された井戸水を、濾過材上に均一に拡散可能に形成されている。
【0030】
濾過槽102の二次側は、配管Uにより貯水槽114に接続されている。濾過槽102の二次側の配管Uには、第2三方弁110と、第3三方弁111(洗浄弁)と、ストレーナ112と、第1仕切弁113と、が順次設けられている。第3三方弁111は、そのポートの一が、排水部Dに接続され、排水可能に形成されている。
【0031】
貯水槽114にはビルや住居等の建造物Gに給水する給水ユニット200等が接続されている。また、貯水槽114には、第2仕切弁116が配管Uにより接続されるとともに、第2仕切弁116と第2三方弁110とが逆洗ポンプ117を介して配管Uにより接続されている。
【0032】
制御ユニット103は、除菌器に設けられる除菌器用電装部103aや濾過槽に設けられる濾過槽用電装部103bを含んで構成されている。制御ユニット103は、各種情報を記憶する記憶部、各種データ処理を行う演算・制御部、各種情報を表示する表示装置、各種情報を入力する入力装置などを有して構成されている。また、制御ユニット103には、貯留タンク12に設けられた水位センサ15、連結管14に設けられた圧力センサ20、連結管14に設けられた流量センサ22、などからの信号線が接続されている。制御ユニット103は、各センサにおける検出結果に応じて、各弁のポートの開閉や、各ポンプの運転状態を制御することで、濾過装置100に通常運転や排気運転、逆洗運転、洗浄運転等を行なわせる。
【0033】
ここでは、例えば除菌器用の電装部103aは、商用電源の交流を全波整流するダイオードブリッジ、平滑用電解コンデンサ、直流電圧を可変するFETスイッチング回路からなるコンバータ部等を有している。そして、検出抵抗をソレノイドコイル30と直列に挿入するか、直流変流器によって直流電流を検出し、その出力信号をマイコンのAD入力ポートに入力することにより、ソレノイドコイル30に供給する直流電流を計測する電流計測回路(電流検出部)を構成している。
【0034】
以上のように構成された濾過装置100は、
図1中水の流れXとなるように各三方弁106,110,111を切り替えるとともに、給水ポンプ104により井戸水を供給し、除菌器101及び濾過槽102により除菌及び濾過を行う、所謂通常使用による通常運転が行われる。濾過装置100は通常運転時に、ガスロック状態の検出及び復帰運転を行なう。
【0035】
また、濾過装置100は、井戸水の供給された流量を積算し、この積算された流量が所定の流量となった場合に、濾過装置100内の洗浄、特に、濾過槽102を洗浄する逆洗運転を行う。逆洗運転においては、制御ユニット103(制御手段)は、
図1中、水の流れYとなるように、各三方弁106,110,111を切り替えるとともに、逆洗ポンプ117を駆動する。逆洗ポンプ117により、貯水槽114内の水が揚水され、濾過槽102に水が通過することで、濾過槽102内の鉄やマンガン等の不純物を流し、排水部Dへと排水することとなる。
【0036】
また、濾過装置100は、逆洗運転により発生した不純物を除去する洗浄運転を行なう。洗浄運転においては、制御ユニット103は、
図1中、水の流れZとなるように、各三方弁106,110,111を切り替えるとともに、給水ポンプ104を駆動することで、給水ポンプ104により井戸水が圧送され、逆洗運転時の濾過槽102内の不純物を含む水が第3三方弁111を経由して排水部Dから排水される。これにより、逆洗運転時の不純物を含む水が、貯水槽114へ流入することを防止する。なお、制御ユニット103は、洗浄運転を所定時間行なった後、通常運転にその運転を切り替えるとともに、積算流量をリセットする。
【0037】
以下、本実施形態にかかる濾過装置の通常運転時の動作について
図4のフローチャートに従って説明する。本実施形態では、通常運転時に電流値を検出し、電流値の変化状況に基づいてガスロック状態を検出し、復帰処理を行うこととした。
【0038】
制御ユニット103は、まず、圧力センサ20により連結管14内の圧力を検出し(ST1)、この配管圧力に基づいてダイヤフラムポンプ17を作動させるに要する印加電圧を求める(ST2)。印加電圧は、検出した圧力値に応じて、例えば予め制御ユニット103の記憶装置に記憶されているテーブルを参照して、例えば配管圧力にダイヤフラムの受圧面積を乗じた力に、戻しばねの最大圧縮力とダイヤフラムが押し出されたときの弾性力を加算した推力に基づいて決定される。なお、例えば予め運転初期に1ストローク内の最大電流を複数回サンプリングし、これらの複数回サンプリングした最大電流の値を平均化した数値を目標電流として設定し、ソレノイドのコイル32抵抗のばらつきやコイル32の温度上昇が生じても、通電時の最大電流が目標電流になるように印加電圧を補正するようにしてもよい。
【0039】
制御ユニット103は、求められた印加電圧に基づいて、通常運転を開始する(ST3)。ここでは、各三方弁106,110,111を
図1中Xで示す流れになるように切り替えるとともに、給水ポンプ104及びダイヤフラムポンプ17の運転を開始して除菌器101を駆動する。
【0040】
ダイヤフラムポンプ17は、制御ユニット103の制御により所定の電圧が印加されると、ソレノイドコイル30に電流が流れ、補助磁極板41により磁力が発生し、プランジャ33が吸引される。プランジャ33が吸引されると、ダイヤフラム34が圧送室44内で前進する。すると流入用一方向ボール弁47が閉じ、流出用一方向ボール弁48が開き、所定量の薬剤が所定の圧力でダイヤフラムポンプ17から流出される。一方、通電が停止されると、ソレノイドコイル30での磁力が消失し、プランジャ33が戻しばね42のばね力で後方に移動する。プランジャ33は、補助磁極板41が調整ねじ36に当接するまで後退する。プランジャ33が後退することにより、ダイヤフラム34が圧送室44内で後退し、流入用一方向ボール弁47が開き、流出用一方向ボール弁48が閉じ、所定量の薬剤が薬液タンク12からダイヤフラムポンプ17内に流入される。ダイヤフラムポンプ17は、制御ユニット103からの電圧の印加に従って作動し、ダイヤフラム34の進退が繰り返される毎に所定量の薬剤がその都度薬液注入部に注入される。
【0041】
これにより、給水ポンプ104で揚水された井戸水は、除菌器101により薬液が井戸水中に注入されるとともに、濾過槽102により井戸水が濾過される。これら除菌器101及び濾過槽102により浄化された水が、貯水槽114に貯留され、例えば、この貯留された浄化水が、給水ユニット200により、建造物Gの各給水先Hに給水されることとなる。
【0042】
このとき、ソレノイドコイル30を流れる電流は、電流計測部107で計測され、制御ユニット103に送り出される。制御ユニット103においては電流計測部107での計測結果を取得し、ソレノイドコイル30の通電電流を検出する(ST4)。
【0043】
図5はダイヤフラムポンプ17の動作と通電電流、電圧、経過時間の関係を示すグラフである。縦軸は、印加電圧(V)、通電電流(mA)、移動距離(mm)、及び騒音(dB(A))を示している。横軸は経過時間(ms)を示している。
【0044】
ダイヤフラムポンプ17は、薬液を吐出するときに、その発生推力により、プランジャ33を注入圧力に抗して押し出している。ソレノイドコイル30は、プランジャ33が動くとその自己インダクタンスが変化する可変インダクタであり、自己インダクタンスは移動途中で最大となり、固定鉄心に接触して移動が終了するとゼロになる。
【0045】
図5に示されるように、ソレノイドコイル30の通電電流は、コイルインダクタンスと直流抵抗によって決定され、通電初期は、インダクタの充電時定数(=インダクタンス/コイル抵抗)に応じて電流値が増加していくが、通電途中で、プランジャ33の移動によりインダクタンス分が増加し、急激に電流値が減少する。さらに、プランジャ33が移動するとインダクタンスが減少し、再度通電が終了するまで電流値が増加する。
【0046】
なお、通電時間が長い場合は静止したソレノイドコイル30は抵抗成分のみのため、印加電圧を直流抵抗で割った電流が流れるが、ダイヤフラムポンプ17の通電時間は100ms以下の短時間であるため、通電終了時に上記の電流値まで到達することは無い。
【0047】
プランジャ33の移動速度(移動距離/所要時間)は、ソレノイドコイル30がダイヤフラムポンプ17のケーシング31内の薬液圧力に抗してプランジャ33を押し出す推力により決定されるため、正常に薬液が注入されている場合、通電電流値の変化状況を示す通電電流波形は最初の極大点の次に極小値となる変曲点(ΔIが正→負→正または0)を持った形状となる。
【0048】
すなわち、ソレノイドの通電電流のΔIは通電開始時より正→負に変化して、急激に減少し、その後、変曲点(ΔIが負→0→正)以降は再度増加に転じている。
【0049】
図6は第1の状態として正常状態における電流波形を示すグラフである。縦軸は、印加電圧(V)、通電電流(mA)、移動距離(mm)、及び騒音(dB(A))を示している。横軸は経過時間(ms)を示している。配管圧力=30mであり、例えば薬液注入器19に設けられた逆止弁19aやノズルキャップ19cなどによりダイヤフラムポンプ17の吐出側に発生する抵抗=7m、注入圧力=37mとなる。
図6の例では、変曲点の発生時間は50msとなっており、全通電時間との比率では、約62%である。
【0050】
ダイヤフラムポンプ17で注入される次亜塩素酸ナトリウムは、外気温や紫外線などにより自己分解しやすく、下記の化学式1のように主に酸素ガスを発生して、有効塩素濃度が低下していくことが知られている。
【0051】
2NaClO→2NaCl+O
2 …化学式1
ダイヤフラムポンプは、薬液槽や吸込管やパイブで発生した酸素ガスの気泡を吸い込むと注入量低下や完全な揚液不能など、いわゆるガスロックと呼ばれる注入不良を起こす恐れがある。このガスロックの問題は、特に原水の鉄・マンガン濃度が高い場合やアンモニアが存在する場合など、注入濃度を高くすべく、薬液槽に貯留する薬液に分解しやすい12%原液を使用する場合に起こりやすい。
【0052】
図7は第2の状態としてケーシング31内にガスが侵入し、ガスロックが発生した状態の電流波形を示すグラフである。縦軸は、印加電圧(V)、通電電流(mA)、移動距離(mm)、及び騒音(dB(A))を示している。横軸は経過時間(ms)を示している。
【0053】
ケーシング31内にガスが侵入してガスロックが発生すると、ケーシング31内の圧力はゼロmとなり、推力に対向する薬液圧力がほとんどないため、プランジャ33はインダクタンスが最大となる位置まで高速で到達する。したがって、電流波形は
図7に示すように、通電初期に小さな極大点を持った長い放物線を描く。この変曲点の発生時間は、ソレノイドコイル30のコイル抵抗の変動やダイヤフラムの移動距離の組み立て誤差などのダイヤフラムポンプ17に起因する容易や配管圧力や気温などの環境要因の影響を受けることなく、略一定の時間帯に出現する。
図7の例では、極小値となる変曲点の発生時間は22msとなっており基準値T0=25msよりも小さい値となる。また、全通電時間=80msとの比率では、約27%である。
【0054】
このようなガスロック状態では、ポンプケーシング31内圧力=ゼロである。一方、給水ポンプ104による配管圧力=30mであり、例えば薬液注入器19に設けられた逆止弁や保護キャップなどによりダイヤフラムポンプ17の吐出側に発生する抵抗=7mとなるため吐出圧力=37mが必要となる。
【0055】
本実施形態の制御方法では、制御ユニット103は、ST4で検出された通電電流値に基づき、最大電流値Iを検出するとともに(ST5)、通電電流値の変曲点発生時間Tを検出する(ST6)。なお、複数回変曲点を検出した場合には、通電開始側に近い値を選択する。
【0056】
そして、この変曲点発生時間Tと、予め設定された基準時間T0とを比較(ST7)する。なお、基準時間T0は、例えば正常状態において複数回にわたってサンプリングされた変曲点発生時間に基づき決定され、予め制御ユニット103の記憶領域に記憶されている。ここでは、例えば正常状態における変曲点発生時間の平均値の50%を基準時間T0とし、変曲点発生時間の平均値は50ms、T0=25msと設定される。
【0057】
そして、ST3乃至ST7までの処理を複数回繰り返し(ST8)、複数回にわたって検出した変曲点発生時間Tが基準時間T0よりも短い(ST7のyes)状態が所定回数連続して検出された場合(ST8のyes)には、ガスロック状態であると判定し、ST9に進む。
【0058】
一方、基準時間T0よりも短い場合状態が所定回数連続して検出されず(ST8のNo)、基準時間T0よりも長くなった場合(ST6のNo)には、正常状態であると判定し、通常運転が継続される(ST21)。
【0059】
ST7,8において、ガスロック状態であると判定した場合には、連結管14の圧力Pが予め設定された一定値P1(例えば10m)以上であるか否かを判定し(ST9)、この配管圧力が一定以上の値であった場合には(ST9のyes)、ガスロックを解消する復帰動作を行う。一方、基準時間T0よりも短い場合(ST6のyes)状態を所定回数連続して検出された場合(ST8のYes)であっても配管圧力Pが一定値P1以下の場合には排気が不要であるため、通常運転が継続される(ST21)。
【0060】
復帰動作としては、例えば除菌器用電装部103aから制御ユニット103にガスロック信号を送り出し(ST11)、ダイヤフラムポンプ17を停止させるとともに(ST12)、給水ポンプ104を停止して(ST13)、配管Uの圧力を低下させる。さらに、給水ポンプ104の停止の後に、除菌器101の二次側に配置された第3三方弁111を開く(ST14)。
【0061】
なお、ガスロック信号は例えば間欠的にON/OFFを繰り返す信号として通常の故障信号とは区別した信号とする。そして、圧力が一定以下となった後、一定時間排気運転を行いケーシング31内のガスを配管Uへ排気する(ST15)。この排気運転中のストローク速度は、定格の最大値にて排気運転を行なう。これにより速やかに吐出側の圧力をゼロmとすることで、ガスロック状態に陥ったダイヤフラムポンプ17のポンピング作用を回復することが出来る。
【0062】
排気運転開始から一定時間経過後に(ST16のyes)、排気運転を終了し、ガスロック信号を停止して(ST17)、第3三方弁111を閉じ(ST20)、給水ポンプ104を再度運転することでST3に戻り通常運転を行なう。
【0063】
なお、ガスロック状態ではなく、薬液槽の渇水の場合にも、ダイヤフラムポンプが空気を吸入してガスロック現象と同様にケーシング31内の圧力がゼロmとなる場合がある。また長期間の使用によりダイヤフラムが摩耗などで破損した場合にも、ガスロック現象と同様にケーシング31内の圧力はゼロとなる。このため、本実施形態ではST10において、一定回数(例えば4回)連続してガスロック信号が送信されたか否かを検出することにより、複数回連続して排気運転を実施しても正常状態に回復しない場合を検出し、正常状態に回復しない場合には(ST10のYes)、薬液タンク12の渇水もしくはダイヤフラム34の破損などの故障と判定し、故障を表示(通知)するとともに故障信号を送り出し(ST18)、ダイヤフラムポンプ17を停止する(ST19)。
【0064】
本実施形態によれば、以下のような効果が得られる。すなわち、ソレノイドコイル30への通電電流値を検出し、この電流値の変化状況によって、ガスロックと呼ばれる不良状態を検出することが可能となる。また、上記実施形態では、変曲点発生時間が短い場合に排気運転を行なうことによってガスロック状態を解消することができる。
【0065】
また、排気運転中のストローク速度を定格の最大値とすることで、より確実、かつ、短時間で、ガス排気が可能となる。また、ダイヤフラムポンプ17のケーシング31内部の圧力も大気圧になりガスが圧縮されないため、ダイヤフラムポンプ17がケーシング31内部のガスを容易に排出できる。そして、排気運転の後に再度給水ポンプ104を運転することで、通常の注入運転に復帰することが可能となる。また、複数回検出された場合にのみガスロックと判定することとしたため、誤検出を防止することができる。
【0066】
なお、例えば、次亜塩素酸ナトリウムなどの気化しやすい薬液を扱うダイヤフラムポンプとして自動排気弁付きのダイヤフラムポンプも提供されているが、ケーシング内に侵入したガスを完全に排出することは出来ず、さらにガス抜き弁のフロート球に微細な気泡が付着して球が浮き上がると、正常注入時にガス抜き弁から薬液が漏れて注入量が減少するといった不具合がある。また、薬液注入装置用の気液分離装置(脱泡継手)も提供されているが、気液分離装置内部で発生した酸素ガスの細泡が中空容器の壁面に付着した場合に細泡が合泡してその浮力が大きくなるまで浮揚しないため壁面に付着した気泡が薬液流出部から流出し、ダイヤフラムポンプのケーシング内に吸い込まれる可能性があり、ガスロック状態を完全に解消することは出来ない。また、歯車式の流量検出器をダイヤフラムポンプの吐出し側に接続して、正常に注入されているか監視する方式も提案されているが、高価であることや、サイズの制約で塩素注入装置内に組み込むことが困難などの難点がある。さらにガスロック現象を検出できたとしても故障停止して人手によりダイヤフラムポンプの排気弁を開いてガスをポンプケーシング外部へ排気するといった手間がかると言う難点がある。本実施形態にかかるダイヤフラムポンプ17では、これらの技術に比べても容易かつ確実にガスロック状態を検出することができ、容易かつ確実にガスロック状態を解消することが出来る。
【0067】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。また、各部の具体的構成や、各工程における具体的な制御手順等は、上記実施形態に例示したものに限られるものではなく適宜変更可能である。
【0068】
例えば、上記実施形態では変曲点発生時間の絶対値に基づいて制御を行なう例を示したがこれに限られるものではない。例えば他の実施形態として、変曲点発生時間と全通電時間との比率によってガスロック発生を判定してもよい。すなわち、例えば変曲点発生時間が全通電時間の30%以下である場合にガスロック発生であると判定する。例えばこの例では全通電時間が80msの時に変曲点発生時間21msであるので、比率が約27%となり、ガスロック状態であると判定される。
【0069】
さらに、誤検出を防止するために、流量検出部32が水の流れを検出している場合にのみ、上記のガスロック状態の検出を行うこととしてもよい。また、電流波形は上記実施形態に例示した電流波形のグラフに限らず、種々の電流波形のグラフを用いることができる。
【0070】
さらに、上記実施形態の構成要件のうち一部を省略しても本発明を実現可能である。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
ソレノイドコイルの駆動により液体注入動作を行なうダイヤフラムポンプであって、
運転時に前記ソレノイドコイルの通電電流値を検出する電流検出部と、
前記通電電流値の変化状況に応じて動作状態を制御する制御部と、を備えたことを特徴とするダイヤフラムポンプ。
[2]
前記制御部は、前記通電電流値が極小となる変曲点発生時間が一定値以下である場合に、ポンピング動作を停止させることを特徴とする[1]記載のダイヤフラムポンプ。
[3]
前記電流値が極小となる変曲点発生時間が一定値以下である場合に、排気運転を行なうことを特徴とする[1]または[2]記載のダイヤフラムポンプ。
[4]
前記電流値が極小となる変曲点発生時間が一定値以下である場合に、ガスロック状態として信号送信を行なうことを特徴とする[1]または[2]記載のダイヤフラムポンプ。
[5]
前記変曲点発生時間が一定値以下であるとともに、液体吐出側の配管内圧力が一定値以上である場合に、前記排気運転または前記ガスロック状態としての信号送信を行なうことを特徴とする[3]または[4]記載のダイヤフラムポンプ。
[6]
前記排気運転を一定時間行なった後、前記変曲点発生時間が一定値以上となった場合に、通常の動作に復帰させ、
前記排気運転を一定時間行なった後、前記変曲点発生時間が一定値以下である場合には、故障状態として信号送信を行なうことを特徴とする[3]乃至[5]のいずれか記載のダイヤフラムポンプ。
[7]
[3]乃至[6]のいずれか記載のダイヤフラムポンプと、
前記ダイヤフラムポンプにより薬液を注入する薬液注入部と、
薬液注入部に連通する連通管と、
前記連通管の一次側に接続される給水ポンプと、
を備え、
前記制御部は、前記電流値が極小となる変曲点発生時間が一定値以下である場合に、前記給水ポンプを停止することを特徴とする除菌器。
[8]
前記給水ポンプを停止して、前記排気運転を一定時間行なった後に、前記給水ポンプを再び動作させることを特徴とする[7]記載の除菌器。
[9]
[7]または[8]記載の除菌器と、
前記除菌器の連通管に接続される濾過槽と、
前記除菌器の二次側の流路に設けられ、前記流路を開閉する弁と、を備える濾過装置であって、
前記制御部は、前記変曲点発生時間が一定値以下である場合に、前記弁を開放することを特徴とする濾過装置。
[10]
ソレノイドコイルの駆動により液体注入動作を行なうダイヤフラムポンプの制御方法であって、
前記ダイヤフラムポンプの運転時における前記ソレノイドコイルへの通電電流値を検出し、
前記電流値の変化状況に応じてダイヤフラムポンプの動作状態を制御することを特徴とするダイヤフラムポンプの制御方法。
[11]
前記電流値が極小となる変曲点発生時間が一定値以下である場合に、前記ダイヤフラムポンプのポンピング動作を停止させることを特徴とする[11]記載のダイヤフラムポンプの制御方法。