特許第5979852号(P5979852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979852
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】緊急通報システムおよび緊急通報方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/04 20060101AFI20160818BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20160818BHJP
   H04M 1/725 20060101ALI20160818BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20160818BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   H04M11/04
   H04M1/00 R
   H04M1/725
   G08B25/08 E
   G08B25/10 D
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-264706(P2011-264706)
(22)【出願日】2011年12月2日
(65)【公開番号】特開2013-118485(P2013-118485A)
(43)【公開日】2013年6月13日
【審査請求日】2014年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000202361
【氏名又は名称】綜合警備保障株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100156351
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 秀央
(74)【代理人】
【識別番号】100188880
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 辰哉
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(72)【発明者】
【氏名】勝亦 敦
(72)【発明者】
【氏名】石原 亨
(72)【発明者】
【氏名】名古屋 学
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第5815550(US,A)
【文献】 特開2011−205174(JP,A)
【文献】 特開2004−222194(JP,A)
【文献】 特開平10−42072(JP,A)
【文献】 特表2007−507780(JP,A)
【文献】 特開2011−199734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M11/04
G08B25/08
G08B25/10
H04M1/00
H04M1/725
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話およびデータ通信の可能な携帯端末と、当該携帯端末からの緊急通報を受信するサービス提供装置とを備える緊急通報システムであって、
前記サービス提供装置は、
前記携帯端末の通話およびデータ通信の連絡先が登録された利用者情報データベースと、
前記携帯端末から緊急通報を受信した場合、発信元の通話連絡先を検索キーに用いて前記利用者情報データベースから当該緊急通報した携帯端末の連絡先を取得する利用者特定手段と、
前記利用者特定手段が取得した前記携帯端末のデータ通信連絡先へ遠隔操作指示を送信して、消防署に通報させる遠隔通報手段とを有し、
前記携帯端末は、
前記サービス提供装置および前記消防署と個別に接続する2回線と、
前記2回線のうちの一方である、緊急通報用のデータ通信回線を前記サービス提供装置に接続して緊急通報した場合、前記サービス提供装置から前記データ通信回線を介して遠隔操作指示を受信し、当該遠隔操作指示に従って前記2回線のうちのもう一方である、119番通報用の通話回線を前記消防署に接続して通報する遠隔操作手段と、
前記サービス提供装置との間の前記データ通信回線接続中に、前記遠隔操作手段により前記消防署との前記通話回線が接続されると、前記データ通信回線と前記通話回線を接続して、前記携帯端末、前記サービス提供装置および前記消防署の三者通話状態にする回線接続手段とを有することを特徴とする緊急通報システム。
【請求項2】
通話およびデータ通信の可能な携帯端末と、当該携帯端末からの緊急通報を受信するサービス提供装置とを備える緊急通報システムの緊急通報方法であって、
前記携帯端末が、前記サービス提供装置および消防署と個別に接続する2回線を有し、当該2回線のうちの一方である、緊急通報用のデータ通信回線を前記サービス提供装置に接続して緊急通報する緊急通報ステップと、
前記サービス提供装置が、前記携帯端末の通話およびデータ通信の連絡先が登録された利用者情報データベースを有し、前記携帯端末から緊急通報を受信すると、発信元の通話連絡先を検索キーに用いて当該利用者情報データベースから当該緊急通報した携帯端末の連絡先を取得する利用者特定ステップと、
前記サービス提供装置が、前記利用者特定ステップで取得した前記携帯端末のデータ通信連絡先へ前記データ通信回線を介して遠隔操作指示を送信して、前記消防署に通報させる遠隔通報ステップと、
前記携帯端末が、前記サービス提供装置からの遠隔操作指示を受信して、当該遠隔操作指示に従って前記2回線のうちのもう一方である、119番通報用の通話回線を前記消防署に接続して通報する遠隔操作ステップと、
前記携帯端末が、前記サービス提供装置との間の前記データ通信回線接続中に、前記遠隔操作ステップにより前記消防署との前記通話回線が接続されると、前記データ通信回線と前記通話回線を接続して、前記携帯端末、前記サービス提供装置および前記消防署の三者通話状態にする回線接続ステップとを有することを特徴とする緊急通報方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯端末と、この携帯端末から緊急通報を受信して消防に出動要請を行うサービス提供装置とを備える緊急通報システムおよび緊急通報方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固定電話から公衆電話交換網を経由して、消防または警察へ緊急通報する場合、事前の登録情報を利用して利用者の位置を特定していた。また、無線LAN(Local Area Network)端末からIP(Internet Protocol)電話網を介して消防等へ緊急通報する場合、無線LAN端末は自由に移動できるので事前の登録情報を利用して利用者の位置を特定できない。そこで、例えば特許文献1,2では緊急通報時に接続していた無線アクセスポイントの位置を取得して、利用者の位置を特定していた。
【0003】
他方、緊急通報サービスにおいては、利用者が緊急通報サービス会社へ通報し、必要に応じて緊急通報サービス会社から消防等へ出動要請を行う。この場合、利用者は、緊急通報サービス会社の提供する各種のサービス(状況判断、所定連絡先への連絡、既往歴などからの適切な助言など)の恩恵を受けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−216994号公報
【特許文献2】特開2010−98771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただし、緊急通報サービスから消防等へ出動要請する場合、利用者が消防または警察と直接会話できないため、消防等は利用者の状態を会話により適切に把握することができないという課題があった。また、消防等は上述の位置特定システムを利用できないため、利用者の位置を把握することができないという課題があった。さらに、緊急通報サービス側で利用者の位置を特定し、その場所を管轄する消防等を検索した上で出動要請を行う必要があり、迅速な出動要請を行うことができないという課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、サービス提供側で利用者の位置特定および管轄消防の検索を行うことなく迅速に通報できると共に、利用者と消防が直接会話できる緊急通報システムおよび緊急通報方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の請求項1に係る緊急通報システムは、サービス提供装置が、携帯端末の通話およびデータ通信の連絡先が登録された利用者情報データベースと、携帯端末から緊急通報を受信した場合、発信元の通話連絡先を検索キーに用いて利用者情報データベースから当該緊急通報した携帯端末の連絡先を取得する利用者特定手段と、利用者特定手段が取得した携帯端末のデータ通信連絡先へ遠隔操作指示を送信して、消防署に通報させる遠隔通報手段とを有し、携帯端末が、サービス提供装置および消防署と個別に接続する2回線と、2回線のうちの一方である、緊急通報用のデータ通信回線をサービス提供装置に接続して緊急通報した場合、サービス提供装置からデータ通信回線を介して遠隔操作指示を受信し、当該遠隔操作指示に従って2回線のうちのもう一方である、119番通報用の通話回線を消防署に接続して通報する遠隔操作手段と、サービス提供装置との間のデータ通信回線接続中に、遠隔操作手段により消防署との通話回線が接続されると、データ通信回線と通話回線を接続して、携帯端末、サービス提供装置および消防署の三者通話状態にする回線接続手段とを有するようにしたものである。
【0008】
この発明の請求項2に係る緊急通報方法は、携帯端末が、サービス提供装置および消防署と個別に接続する2回線を有し、当該2回線のうちの一方である、緊急通報用のデータ通信回線をサービス提供装置に接続して緊急通報する緊急通報ステップと、サービス提供装置が、携帯端末の通話およびデータ通信の連絡先が登録された利用者情報データベースを有し、携帯端末から緊急通報を受信すると、発信元の通話連絡先を検索キーに用いて当該利用者情報データベースから当該緊急通報した携帯端末の連絡先を取得する利用者特定ステップと、サービス提供装置が、利用者特定ステップで取得した携帯端末のデータ通信連絡先へデータ通信回線を介して遠隔操作指示を送信して、消防署に通報させる遠隔通報ステップと、携帯端末が、サービス提供装置からの遠隔操作指示を受信して、当該遠隔操作指示に従って2回線のうちのもう一方である、119番通報用の通話回線を消防署に接続して通報する遠隔操作ステップと、携帯端末が、サービス提供装置との間のデータ通信回線接続中に、遠隔操作ステップにより消防署との通話回線が接続されると、データ通信回線と前記通話回線を接続して、携帯端末、サービス提供装置および消防署の三者通話状態にする回線接続ステップとを有するようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、サービス提供装置が携帯端末を遠隔操作して消防署へ通報するようにしたので、消防側で利用者の位置を特定して出動できるようになる。よって、サービス提供側で利用者の位置特定および管轄消防の検索を行う必要がなくなり、迅速に通報できる。また、携帯端末、サービス提供装置および消防署の三者通話を自動的に実施するようにしたので、利用者と消防が直接会話できるようになり、消防側で利用者の状況を把握して速やかに出動し、救助を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施の形態1に係る緊急通報システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係る緊急通報システムの動作の概要を説明する図である。
図3】実施の形態1に係るサービス提供装置の動作を示すフローチャートである。
図4】実施の形態1に係る携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1に示す緊急通報システムは、利用者が所持する携帯端末10と、サービス提供者が有するサービス提供装置20と、消防署30と、これらを接続するネットワーク40とから構成される。なお、ここでは消防署30を例に用いて説明するが、これに限定するものではなく、警察署等の所定の機関であってもよい。
【0012】
携帯端末10は、利用者が所持してサービス提供装置20へ緊急通報を発信するための装置であり、例えば携帯電話で構成される。登録情報メモリ11には、サービス提供装置20の情報(名前、電話番号、メールアドレス、認証情報など)が予め登録されている。通話手段12は、マイクおよびスピーカ等を具備し、利用者がネットワーク40を介してサービス提供装置20のオペレータまたは消防署30の署員と通話するための機能を備える。通信手段13は、ネットワーク40を介してサービス提供装置20とデータ通信を行うための機能を備える。遠隔操作手段14は、ネットワーク40を介してサービス提供装置20から受信したコマンドに従って所定の動作を実行する。また、操作手段15は、ボタン等を具備し、利用者が通話、通信等の所望の動作を携帯端末10に行わせるための操作を受け付け、実行する。表示手段16は、表示装置等を具備し、必要に応じた画面を利用者に表示する。なお、タッチパネルディスプレイを用いることにより、操作手段15と表示手段16を一体化してもよい。回線接続手段17は、必要に応じて、携帯端末10とサービス提供装置20の間の回線と、携帯端末10と消防署30の間の回線を接続して三者通話状態にする。
【0013】
三者通話を実現するために、携帯端末10には2つの通話回線が必要になるが、これには様々な実現方法がある。2回線のうちの一方は、消防署30に119番通報する必要があるので、「050」番号で始まるIP電話および第二世代以前の携帯電話などを携帯端末10に用いることはできない。一般電話回線、ISDN(Integrated Services Digital Network)、第二世代以降の携帯電話、「050」以外で始まるIP電話などは、携帯端末10に用いることができる。
2回線のうちのもう一方は、サービス提供装置20に接続するのが目的であるため、サービス提供装置20と接続して通話できればよく、IP電話網を含むどのような回線でもよい。
【0014】
また、詳細は後述するが、携帯端末10は、サービス提供装置20からの遠隔操作により119番通報を行う必要がある。この遠隔操作方法としては、例えばネットワーク40を介したデータ通信によりサービス提供装置20から携帯端末10へコマンドを送信する方法でもよいし、電子メールまたはショートメッセージサービス(以下、SMS)を利用する方法でもよい。
【0015】
これら三者通話および遠隔操作を最も簡単に実現可能と考えられるのは、携帯電話である。携帯電話を携帯端末10に用いる場合、通常の通話回線は消防署30への119番通報用に使用し、データ通信回線はIP電話網を経由してサービス提供装置20との通話および遠隔操作用に使用する。
もちろん携帯電話に限定されるものではなく、上記条件を満たす端末であれば携帯端末10として使用可能である。
【0016】
サービス提供装置20は、サービス提供者側にあって携帯端末10からの緊急通報を受け、オペレータの操作により携帯端末10を遠隔操作したり、サービス(状況判断、家族への連絡、既往歴などからの適切な助言など)を提供したりする装置である。利用者情報データベース(以下、DB)21は、利用者の情報として名前、住所、所轄の消防署30の情報等が登録され、この利用者が所有する携帯端末10の情報として電話番号、メールアドレス等が登録されている。利用者特定手段22は、発信元電話番号を検索キーに用いて利用者情報DB21を検索し、緊急通報を発した携帯端末10とその利用者を特定する。遠隔通報手段23は、ネットワーク40を介して携帯端末10を遠隔操作するための指示を記述した遠隔操作コマンド、電子メールまたはSMSを生成し、通信手段25を介したデータ通信により携帯端末10を遠隔操作して119番通報を発する。通話手段24は、マイクおよびスピーカ等を具備し、オペレータがネットワーク40を介して携帯端末10の利用者と通話するための機能、消防署30の署員と通話するための機能を備える。通信手段25は、ネットワーク40を介して携帯端末10および消防署30とデータ通信を行うための機能を備える。操作手段26は、キーボード、マウスおよびタッチパネル等を具備し、オペレータが通話、通信、遠隔操作等の所望の動作をサービス提供装置20に行わせるための操作を受け付け、実行する。表示手段27は、表示装置等を具備し、必要に応じた画面をオペレータに表示する。なお、タッチパネルディスプレイを用いることにより、操作手段26と表示手段27を一体化してもよい。
【0017】
次に、図2を用いて、緊急通報システムの動作の概要を説明する。
(1)利用者は、緊急時に、携帯端末10を操作してサービス提供装置20に緊急通報する。
(2)サービス提供装置20のオペレータは、緊急通報した携帯端末10の利用者と会話し、利用者の状態から救急搬送が必要かどうか判断する。救急搬送が必要と判断した場合、オペレータが携帯端末10を遠隔操作して、携帯端末10から消防署30に119番通報させる。
(3)携帯端末10は、サービス提供装置20の遠隔操作により119番通報を発す。これにより、利用者の現在地を管轄する消防署30に回線が接続される。消防署30は、利用者の携帯端末10から通報を受けたことになるので、先立って説明したような従来の位置特定システムを利用して利用者の現在位置を特定できる。また、サービス提供装置20は、出動要請を行う際に、利用者の現在位置を特定してその現在地を管轄する消防署30を選択する必要がない。
(4)携帯端末10は、サービス提供装置20との回線接続中に消防署30との回線も接続されると、三者通話状態に切り替える。
(5)サービス提供装置20のオペレータは、消防署30の署員に対し利用者の状態など必要な情報を伝えて出動要請すると共に、利用者に対して署員と会話するように促す。利用者と署員が直接会話をすることにより、消防署30にて利用者の詳細な状況を把握することができ、出動および救助を適切に行うことができる。
【0018】
以下、緊急通報システムの動作の詳細を説明する。
図3は、サービス提供装置20の動作を示すフローチャートである。サービス提供装置20において、通話手段24がネットワーク40の回線を介して携帯端末10から緊急通報の発信を受けると(ステップST1“YES”)、オペレータが通話手段24を操作して通話を開始すると共に、利用者特定手段22が発信元電話番号を検索キーにして利用者情報DB21を検索し、発信元の携帯端末10とその利用者を特定する(ステップST2;利用者特定ステップ)。利用者特定手段22は特定した利用者情報を表示手段27に出力し、表示手段27が緊急通報した利用者の氏名、住所、既往歴等の情報を画面表示する。
一方、携帯端末10からの緊急通報の発信がない場合(ステップST1“NO”)、サービス提供装置20は初期状態へ戻る。
【0019】
通話開始後、オペレータは、利用者との会話を通じて利用者の状態を把握し、消防署30への出動要請が必要な場合、操作手段26を操作して携帯端末10の遠隔操作を開始する。
【0020】
操作手段26を介してオペレータから遠隔操作の指示を受けると(ステップST3“YES”)、遠隔通報手段23は、携帯端末10に119番通報させる遠隔操作用のコマンド、電子メールまたはSMSを生成し、通信手段25を介してネットワーク40から携帯端末10へ送信する(ステップST4;遠隔通報ステップ)。携帯端末10は、サービス提供装置20と回線接続した状態で、さらに遠隔操作を受けて消防署30へ119番通報して回線接続すると、三者通話状態に切り替える。そのため、サービス提供装置20も三者通話状態となり(ステップST5)、オペレータは、携帯端末10の利用者および消防署30の署員と三者通話が可能になる。
一方、操作手段26を介してオペレータから遠隔操作の指示がない場合(ステップST3“NO”)、サービス提供装置20はそのまま利用者との二者通話状態を継続し、通話が終了した時点で一連の動作を終了する。
【0021】
図4は、携帯端末10の動作を示すフローチャートである。利用者が操作手段15を操作して、登録情報メモリ11に登録されているサービス提供装置20へ緊急通報の通話発信を行うと(ステップST11“YES”)、通話手段12が登録された電話番号に従いネットワーク40の2回線のうちの1回線を介してサービス提供装置20へ接続する(ステップST12“YES”;緊急通報ステップ)。
一方、利用者の発信指示がない場合(ステップST11“NO”)、およびサービス提供装置20との回線接続ができず通話不能な場合(ステップST12“NO”)は初期状態へ戻る。
【0022】
サービス提供装置20へ接続して通話可能となれば(ステップST12“YES”)、通話手段12が、利用者とサービス提供装置20のオペレータとの音声通話を実施し(ステップST13)、利用者が自身の状態等をオペレータへ伝える。
音声通話中に、通信手段13がサービス提供装置20からの遠隔操作コマンド等を受信すると(ステップST14“YES”)、遠隔操作手段14がその遠隔操作コマンド等に従って通話手段12を動作させ、2回線のうちの残りの1回線を介して消防署30へ119番通報を発信する(ステップST15;遠隔操作ステップ)。
【0023】
続いて回線接続手段17が、消防署30との回線が接続されたことを検出して(ステップST16“YES”)、消防署30に接続した回線と、サービス提供装置20に接続中の回線とを接続して三者通話状態に切り替える(ステップST17;回線接続ステップ)。
一方、遠隔操作コマンド等を受信しない場合(ステップST14“NO”)、携帯端末10はサービス提供装置20との間の二者通話状態を継続し(ステップST18)、通話が終了した時点で一連の動作を終了する。
【0024】
なお、携帯端末10がサービス提供装置20の遠隔操作を受け付けた際、予め携帯端末10に登録しておいた認証情報を用いてサービス提供装置20を照合し、適正なサービス提供装置20から遠隔操作のみを許可するようにしてもよい。
【0025】
以上より、実施の形態1によれば、緊急通報システムを構成するサービス提供装置20は、携帯端末10の通話およびデータ通信の連絡先が登録された利用者情報DB21と、携帯端末10から緊急通報を受信した場合、発信元の通話連絡先を検索キーに用いて利用者情報DB21から緊急通報した携帯端末10の連絡先を取得する利用者特定手段22と、利用者特定手段22が取得した携帯端末10のデータ通信連絡先へ遠隔操作指示を送信して消防署30に通報させる遠隔通報手段23とを備えるように構成した。一方の携帯端末10は、サービス提供装置20および消防署30と個別に接続する2回線と、2回線のうちの一方をサービス提供装置20に接続して緊急通報した場合にサービス提供装置20から遠隔操作指示を受信し、当該遠隔操作指示に従って2回線のうちのもう一方を消防署30に接続して119番通報する遠隔操作手段14と、サービス提供装置20との間の回線接続中に、遠隔操作手段14により消防署30との回線が接続されると、これら回線同士を接続して、携帯端末10、サービス提供装置20および消防署30の三者通話状態にする回線接続手段17とを備えるように構成した。このため、消防署30が携帯端末10の利用者の位置を特定して出動できるようになり、サービス提供装置20が利用者の位置特定および管轄の消防署30の検索を行う必要がなくなり、迅速に119番通報できる。また、三者通話を自動的に実施できるので、利用者と消防署30の署員が直接会話できるようになり、消防署30側で利用者の状況を把握して速やかに出動し、救助を行うことができる。
【0026】
なお、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、上述した実施の形態の構成に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても本発明に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0027】
10 携帯端末
11 登録情報メモリ
12 通話手段
13 通信手段
14 遠隔操作手段
15 操作手段
16 表示手段
17 回線接続手段
20 サービス提供装置
21 利用者情報DB
22 利用者特定手段
23 遠隔通報手段
24 通話手段
25 通信手段
26 操作手段
27 表示手段
30 消防署
40 ネットワーク
図1
図2
図3
図4