(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る通信システムの構成の例を示してある。
本例の通信システムは、複数の地区で構成される自治体において種々の情報を住民に伝達するものであり、大別して、自治体内の全域(全ての地区)又は一部地区の全住民に宛てた放送(同報放送)の発信を目的とした同報系設備と、地区毎に設けられ、その地区内の住民に宛てた放送(地区放送)の発信を目的とした地区放送(地域振興)設備とで構成される。本例では、複数であるN個の地区(自治会)で構成された自治体についてN個の地区放送(地域振興)設備が設けられている。
【0014】
本例の同報系設備は、1台の同報系親局11で構成された親局設備と、地区毎に設けられた複数台の同報系子局12で構成された子局設備を有する。同報系親局11と同報系子局12との間の無線通信は、例えば、60MHzのデジタル信号を用いて行われる。
【0015】
本例の地区放送(地域振興)設備は、地区毎に、地区放送親局21及び無線装置24で構成された地区放送親局設備と、該当地区の各家庭に設けられた複数台の戸別受信機(端末局)26で構成された戸別受信設備を有する。また、必要に応じて、1台以上の中継装置24で構成された中継設備が設けられる。なお、中継装置24を有する地区の地区放送親局21による地区放送音声のサービスエリアは、地区放送親局21の無線通信エリアに各中継装置24の無線通信エリアを加えた範囲となる。無線装置23、中継装置25、戸別受信機26の各装置間の無線通信は、例えば、400Mhzのデジタルセレコール信号を用いて行われる。
【0016】
地区放送(地域振興)設備に設けられた地区放送親局21は、扱者(人)からの操作を受け付ける放送卓22や、放送卓22を遠隔的に操作するための遠隔操作装置23などで構成される。遠隔操作装置23には公衆回線網を介して電話端末31を通信可能に接続することができ、電話端末31の扱者は、遠隔操作装置23を通じて遠隔的に放送卓22を操作できる。
【0017】
ここで、地区放送親局設備(地区放送親局21及び無線装置24)は、地区放送を戸別受信設備(戸別受信機26)へ発信する役割の他に、同報系設備の親局設備(同報系親局11)から発信された同報放送を戸別受信(端末局)設備(戸別受信機26)へ中継する役割も担っている。なお、地区放送親局設備(地区放送親局21及び無線装置24)は、例えば、同報系設備の子局設備(同報系子局12)と同一敷地内に設置され、互いに通信可能にケーブル等で接続される。
【0018】
同報系親局11から同報放送を行う場合の概略的な流れを説明する。
扱者(人)が同報系親局11を操作して同報放送の音声(及び放送時刻の指定)を入力すると、その同報放送音声は各地区の子局設備12へ無線送信される。子局設備12により受信された同報放送音声は、地区放送親局21の放送卓22を通じて無線装置24へ受け渡され、無線装置24から(必要に応じて中継装置25を中継して)戸別受信機26へ無線送信される。なお、放送時刻の指定を伴う同報放送音声については、放送卓22内のメモリに記憶され、指定された放送時刻の到来を契機に読み出されて無線装置24へ受け渡される。戸別受信機26により受信された同報放送音声は、戸別受信機26のスピーカから音声出力される。
【0019】
地区放送を行う場合の概略的な流れを説明する。
或る地区において、扱者(人)が地区放送親局21の放送卓22を直接又は遠隔的に操作して地区放送の音声(及び放送時刻の指定)を入力すると、その地区放送音声は無線装置24へ受け渡され、無線装置24から(必要に応じて中継装置25を中継して)戸別受信機26へ無線送信される。戸別受信機26により受信された地区放送音声は、内部のメモリに録音される。なお、戸別受信機26における地区放送音声の録音は、音声出力を伴わない無音録音である。
【0020】
戸別受信機26により録音された地区放送音声は、予め設定された放送時刻(又は扱者に指定された放送時刻)の到来を契機に再生されて、戸別受信機26のスピーカから音声出力される。本例では、地区放送親局21が放送時刻の到来を検出して戸別受信機26へ放送指示を送信し、戸別受信機26が放送指示の受信に応じて地区放送音声を再生出力するようにしてあるが、例えば、地区放送親局21が放送時刻を予め戸別受信機26に通知しておき、戸別受信機26が放送時刻の到来を自律的に検出して地区放送音声を再生出力するようにしてもよい。
【0021】
ここで、本例の地区放送音声は、放送卓22の扱者により入力された際に直ちに戸別受信機26へ無線送信されるのではなく、放送卓22内のメモリに記憶され、予め設定された送信時刻の到来を契機に読み出されて無線装置24へ受け渡され、無線装置24から(必要に応じて中継装置25を中継して)戸別受信機26へ無線送信される仕組みになっている。
以下では、適宜、地区放送親局21から出力する地区放送音声(戸別受信機26に無音録音させる地区放送音声)を無音予約録音放送と呼び、戸別受信機26から出力する地区放送音声(戸別受信機26にて再生出力される地区放送音声)を指定時間放送と呼ぶ。
【0022】
地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)は、基本的に、各地区に地区放送親局21や無線装置24といった地区放送親局設備を設置する際に、隣接する地区との間で地区放送音声を送信する時間帯(無音予約録音放送を行う時間帯)が重複しないように設定され、放送卓22内のメモリに記憶されており、各地区の放送卓22の扱者が適宜に設定変更できるようにしてある。
ここで、地区放送親局21の扱者は、自身が所属する地区以外の地区(特に、隣接する地区)における地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)を考慮しない場合があり、この場合、隣接する地区との間で送信時間帯が重複する設定がなされ得る。その結果、戸別受信機26の設置位置によっては電波干渉が生じかねない。
【0023】
そこで、本例の通信システムでは、各地区の地区放送親局設備(地区放送親局21及び無線装置24)の上位側に位置する同報系設備の親局設備(同報系親局11)にて各地区の地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)を収集して管理することで、その設定変更に伴う送信時間帯の重複の回避をして、戸別受信設備(戸別受信機26)における電波干渉の発生の防止を図る。
【0024】
図2には、同報系親局11と地区放送親局21(特に、放送卓22)の機能ブロックの例を示してある。
本例の同報系親局11は、同報系子局12を通じて各地区の地区放送親局21と通信する通信部41、各地区の地区放送親局21から収集した地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)を管理する時刻情報管理テーブル42、各地区の地区放送親局21による地区放送音声のサービスエリアを管理するエリア管理テーブル43、各地区の地区放送親局21による地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)を調整する送信時刻調整部44、等を有する。
【0025】
また、本例の地区放送親局21は、同報系子局12を通じて同報系親局11と通信する通信部51、扱者(人)からの操作を受け付ける操作受付部52、地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)を管理する時刻情報管理部53、入力された地区放送音声を録音する地区放送録音部54、地区放送音声を戸別受信機26へ配信(送信)する地区放送配信部55、等を有する。
【0026】
各地区の地区放送親局21は、扱者によって直接又は遠隔的に放送卓22を操作して入力された地区放送音声を操作受付部52により受け付けると、当該地区放送音声を地区放送録音部54に録音する。そして、時刻情報管理部53に設定されている地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)の到来を契機に、地区放送録音部54に録音されている地区放送音声を地区放送配信部55により戸別受信機26へ配信(送信)する。
【0027】
また、各地区の地区放送親局21は、扱者によって直接又は遠隔的に放送卓22を操作して入力された地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)の変更要求を操作受付部52により受け付けると、時刻情報管理部53に設定してある送信時刻を扱者に指定された送信時刻に直ちに変更するのではなく保留しておき、自己(地区放送親局21)の識別情報及び変更予定の送信時刻(扱者に指定された送信時刻)を格納した変更要求情報を通信部51により同報系親局11へ送信して、同報系親局11から設定変更の許可を待つ。なお、本例の通信システムでは、地区放送音声の長さ(時間長)を10分以内にすることが規定されており、変更予定の送信時刻は10分刻みで扱者に指定される。
【0028】
同報系親局11は、地区放送親局21から送信された変更要求情報を受信すると、送信時刻調整部44による制御の下で、時刻情報管理テーブル42を参照して、当該変更要求情報中の変更予定の送信時刻と他の地区の地区放送親局21による地区放送音声の送信時刻との重複を判定する。ここで、本例の時刻情報管理テーブル42には、各地区放送親局21の識別情報に対応付けて送信時刻が10分刻みで設定してあり、変更要求情報中の識別情報以外の識別情報が対応付けられた送信時刻(他の地区の地区放送親局21が無音予約録音放送を行う時刻)の中に変更予定の送信時刻と一致するものが存在するかを調べることで重複判定を行う。
【0029】
そして、重複が生じないと判定された場合には、対象の地区放送親局21(変更要求情報の送信元の地区放送親局21)について時刻情報管理テーブル42に設定されている送信時刻(変更要求情報中の識別情報に対応付けて設定されている送信時刻)を変更予定の送信時刻に変更し、設定変更を許可する旨の変更応答情報を通信部41により対象の地区放送親局21へ送信する。設定変更を許可する旨の変更応答情報を受信した対象の地区放送親局21は、時刻情報管理部53における送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)の設定を、保留しておいた変更予定の送信時刻(扱者に指定された送信時刻)に変更する。
【0030】
一方、重複が生ずると判定された場合には、変更予定の送信時刻に最も近く且つ重複が生じない時間帯を探し出して、当該時間帯に対象の地区放送親局21から地区放送音声が送信される(対象の地区放送親局21によって無音予約録音放送が行われる)ように送信時刻を調整し、対象の地区放送親局21について時刻情報管理テーブル42に設定されている送信時刻(変更要求情報中の識別情報に対応付けられた送信時刻)を調整後の送信時刻に変更し、また、調整後の送信時刻を格納した変更応答情報を通信部41により対象の地区放送親局21へ送信する。調整後の送信時刻を格納した変更応答情報を受信した対象の地区放送親局21は、時刻情報管理部53における送信時刻の設定を、同報系親局11による調整後の送信時刻に変更する。
【0031】
ここで、本例の同報系親局11の送信時刻調整部44は、エリア管理テーブル43を参照して、地区放送音声のサービスエリアが対象の地区放送親局21と隣接する地区を特定し、当該特定した地区の地区放送親局21のみについて送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)の重複判定及び調整を行うようにしている。すなわち、地区放送音声の送信時刻の重複が問題となる範囲を絞って重複判定及び調整を行うことで、処理の効率化を図っている。なお、地区の数が少ない場合などでは、全ての地区ついて重複判定及び調整を行なっても構わない。
【0032】
また、本例のエリア管理テーブル43では、地区放送音声のサービスエリアが隣接関係にある2つの地区放送親局21の組み合わせ毎に各々の地区放送親局21の識別情報を対応付けて管理しているが、地区放送親局21毎に隣接関係にある他の地区放送親局21を特定できればよく、例えば、各地区放送親局21による地区放送音声のサービスエリアを地図上にマッピングして管理し、サービスエリアの隣接関係を地図上の位置関係から特定する等の他の手法を用いてもよい。
【0033】
また、本例では、同報系親局11の扱者による指示に応じて、同報系親局11が、変更要求情報の送信を各地区放送親局21に求め、1以上の地区放送親局21から変更要求情報を受信した場合に、受信した変更要求情報に基づいて送信時刻の重複判定及び調整を行うように構成しているが、このような構成に限定するものではなく、同報系親局11が各地区放送親局21から変更要求情報を収集して送信時刻の重複判定及び調整を行えればよい。すなわち、例えば、同報系親局11が、予め定められた収集時刻の到来時に変更要求情報の送信を各地区放送親局21に求めてもよい。また、例えば、地区放送親局21が、扱者により地区放送音声の送信時刻の変更要求がなされたことに応じて、変更要求情報を同報系親局11に送信するようにしてもよい。
【0034】
図3には、地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)の設定変更に関する処理シーケンスの例を示してある。(a)は、変更許可時の処理シーケンスの例であり、(b)は、変更不許可時の処理シーケンスの例である。
【0035】
図3(a)を参照して変更許可時の処理シーケンスについて説明する。
地区放送親局21は、扱者から地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)の変更要求を受け付けると(T11)、変更予定の送信時刻(扱者に指定された送信時刻)等を格納した変更要求情報を、当該地区放送親局21に接続された同報系子局12へ受け渡す(T12)。
同報系子局12は、地区放送親局21から受け渡された変更要求情報を、信号フォーマットを変換して同報系親局11へ無線送信する(T13)。
同報系親局11は、変更要求情報を受信すると、当該変更要求情報中の変更予定の送信時刻と対象の地区放送親局21(変更要求情報の送信元の地区放送親局21)にサービスエリアが隣接する地区放送親局21による地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)との重複を判定し、重複が生じないと判定した場合に、設定変更を許可し(T14)、設定変更を許可する旨の変更応答情報を対象の地区放送親局21宛てに無線送信する(T15)。
同報系子局12は、当該同報系子局12に接続された地区放送親局21に宛てた変更応答情報を受信すると、信号フォーマットを変換して対象の地区放送親局21へ受け渡す(T16)。
設定変更を許可する旨の変更応答情報を受信した地区放送親局21は、変更予定の送信時刻に設定を書き換える(T17)。
【0036】
図3(b)を参照して変更不許可時の処理シーケンスについて説明する。
地区放送親局21は、扱者から地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)の変更要求を受け付けると(T21)、変更予定の送信時刻(扱者に指定された送信時刻)等を格納した変更要求情報を、当該地区放送親局21に接続された同報系子局12へ受け渡す(T22)。
同報系子局12は、地区放送親局21から受け渡された変更要求情報を、信号フォーマットを変換して同報系親局11へ無線送信する(T23)。
同報系親局11は、変更要求情報を受信すると、当該変更要求情報中の変更予定の送信時刻と対象の地区放送親局21(変更要求情報の送信元の地区放送親局21)にサービスエリアが隣接する地区放送親局21による地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)との重複を判定し、重複が生じると判定した場合に、その重複が回避されるように変更予定の送信時刻を調整し(T24)、調整後の送信時刻を格納した変更応答情報を対象の地区放送親局21宛てに無線送信する(T25)。
同報系子局12は、当該同報系子局12に接続された地区放送親局21に宛てた変更応答情報を受信すると、信号フォーマットを変換して対象の地区放送親局21へ受け渡す(T26)。
調整後の送信時刻を格納した変更応答情報を受信した地区放送親局21は、同報系親局11による調整後の送信時刻に設定を書き換える(T27)。
【0037】
次に、
図4を参照して、無音予約録音放送及び指定時間放送の流れを説明する。
図4には、無音予約録音放送及び指定時間放送に関する処理シーケンスの例を示してある。
扱者が電話端末31をオフフックし、地区放送親局21に割り当てられたダイヤルを押下すると(T41)、電話端末31により地区放送親局21が呼び出され(T42)、地区放送親局21から応答信号が返信されて(T43)、電話端末31と地区放送親局21との呼接続が確立される。
その後、地区放送親局21から、地区放送親局21を遠隔操作する作法を説明する音声ガイダンスが送信され、電話端末31により音声出力される(T44)。
そして、扱者が地区放送音声の録音に割り当てられたダイヤルを押下すると(T45)、その信号は電話端末31から地区放送親局21へ送信される(T46)。これに応答して、地区放送親局21から、地区放送音声の録音を開始する旨の音声ガイダンスが送信され、電話端末31により音声出力される(T47)。
【0038】
そして、扱者が地区放送音声を入力すると、この地区放送音声は電話端末31から地区放送親局21へ送信され、地区放送親局21により録音される(T48)。
その後、扱者が地区放送音声の録音の終了に割り当てられたダイヤルを押下すると(T49)、その信号は電話端末31から地区放送親局21へ送信される(T50)。これに応答して、地区放送親局21から、地区放送音声の録音を終了した旨の音声ガイダンスが送信され、電話端末31により音声出力される(T51)。
そして、扱者が電話端末31をオンフックすると(T52)、電話端末31と地区放送親局21との呼接続が切断される(T53)。
【0039】
また、地区放送親局21は、地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)の到来を検出すると、無線装置24(及び中継装置25)を介して、録音の自動起動を指示する起動信号を戸別受信機26へ送信し(T61)、地区放送親局21に録音しておいた地区放送音声を無音予約録音放送として送信して戸別受信機26に録音させ(T62)、終話を知らせる終話信号を送信して戸別受信機26に録音を終了させる(T63)。
また、地区放送親局21は、地区放送音声の放送時刻(指定時間放送を行う時刻)の到来を検出すると、無線装置24(及び中継装置25)を介して、放送の自動起動を指示する起動信号を戸別受信機26へ送信する(T64)。これにより、戸別受信機26は、録音しておいた地区放送音声を再生して指定時間放送としてスピーカ出力する。
ここで、本例では、地区放送親局21から戸別受信機26へ送信する各種の起動信号としてMSK(Minimum Shift Keying)を用いているが、トーン信号等の区切り信号を用いてもよい。
【0040】
図5には、従来技術に係る無音予約録音放送及び指定時間放送の例を示してある。また、
図6には、本例に係る無音予約録音放送及び指定時間放送の例を示してある。なお、
図5及び
図6において、(a)は、A地区における無音予約録音放送及び指定時間放送の例であり、(b)は、A地区に隣接するB地区における無音予約録音放送及び指定時間放送の例である。
【0041】
従来技術では、B地区における地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)の設定変更において、A地区と同じである9:00に設定する旨が扱者により入力されると、
図5に示すように、入力された送信時刻がそのまま設定されてしまい、この結果、A地区の地区放送親局21とB地区の地区放送親局21とで同じ時刻(9:00)に地区放送音声(無音予約録音放送)の送信が開始されることになる。このため、これらの地区放送親局21の双方から電波を受信できるエリアに存在する戸別受信機26において、電波干渉が生ずるおそれがある。
【0042】
これに対し、本例の無線通信システムでは、B地区における地区放送音声の送信時刻(無音予約録音放送を行う時刻)の設定変更において、A地区と同じである9:00に設定する旨が扱者により入力されたとしても、各地区の地区放送親局21の上位側に位置する同報系親局11にて、隣接する地区間で地区放送音声を送信する時間帯の重複が回避されるように、入力された送信時刻に調整が施される。この調整の結果、
図6に示すように、B地区の地区放送親局21は10:00に地区放送音声(無音予約録音放送)の送信を開始することになる。このため、これらの地区放送親局21の双方から電波を受信できるエリアに存在する戸別受信機26でも、電波干渉が生じない。
【0043】
以上のように、本例では、地区放送親局21が、地区放送音声の送信時刻を同報系親局11に通知(送信)し、同報系親局11が、各地区放送親局21から通知された地区放送音声の送信時刻に基づいて、地区放送親局21間における地区放送音声の送信時間帯の重複の有無を判定し、重複が生ずる場合には、その重複が回避されるように地区放送音声の送信時刻を調整し、当該調整後の送信時刻を地区放送親局21へ通知(送信)し、地区放送親局21が、同報系親局11から通知された調整後の送信時刻の到来を契機に放送音声を戸別受信機26へ送信するようにした。
【0044】
ここで、本例では、地区放送音声の長さ(時間長)を固定的に扱って処理(10分刻みで処理)を行っているが、地区放送親局21の扱者によって入力された地区放送音声の実際の長さを考慮して、地区放送音声の送信時間帯の重複判定及び調整を行うようにしてもよい。この場合には、各地区放送親局21は、地区放送音声の送信時刻の通知に加え、入力された地区放送音声の長さを検出して同報系親局11へ通知し、同報系親局11が、各地区放送親局21から通知された地区放送音声の送信時刻及び長さに基づいて、地区放送親局21間における地区放送音声の送信時間帯の重複の有無を判定し、重複が生ずる場合には、その重複が回避されるように地区放送音声の送信時刻を調整すればよい。
【0045】
また、同報系親局11による同報放送音声を考慮して、重複判定及び調整を行うようにしてもよい。すなわち、同報放送音声を送信する時間帯を除外した時間帯について、地区放送音声の送信時間帯の重複判定及び調整を行うようにする。このような構成は、地区放送音声より同報放送音声の方の優先度が高い場合などで効果的である。
なお、放送時刻が予め定められていない同報放送音声(例えば、災害時等の避難指示を伝える緊急的な同報放送音声など)が同報系親局11から送出された場合には、各地区放送親局21は、地区放送音声の送信時刻であっても同報放送音声を優先して戸別受信機26へ送信し、同報放送音声の送信が終了した後に、本来の送信予定であった地区放送音声の送信を行なうようにしてもよい。
【0046】
また、本例では、各地区放送親局21の上位側に位置する同報系親局11が、各地区放送親局21から地区放送音声の送信時刻を収集して重複判定及び調整を行っているが、他の装置が、このような重複判定及び調整を行うようにしてもよい。すなわち、例えば、公衆回線網を介して各地区放送親局21との通信を行える管理装置32(
図1参照)を設け、当該管理装置32が、各地区放送親局21から地区放送音声の送信時刻を収集して重複判定及び調整を行うようにしてもよい。
【0047】
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。例えば、上述した実施例では、端末局が戸別受信機26である場合を例にあげたが、端末局は戸別受信機に限定されるものではなく、無線装置24あるいは中継装置25から送信された無線信号を受信できるものであればよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々なシステムや装置として提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウェア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウェア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。