特許第5979894号(P5979894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979894
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】ガイドワイヤ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/09 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   A61M25/09 550
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-24354(P2012-24354)
(22)【出願日】2012年2月7日
(65)【公開番号】特開2013-158542(P2013-158542A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2014年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】田野 豊
(72)【発明者】
【氏名】鍋島 陽助
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/118443(WO,A1)
【文献】 特開2008−307367(JP,A)
【文献】 特開2010−239981(JP,A)
【文献】 特開2010−207348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する長尺なワイヤ本体と、該ワイヤ本体の先端部を覆い、樹脂材料で構成された先端側被覆層とを備えるガイドワイヤであって、
前記ワイヤ本体に挿通され、その先端部が前記先端側被覆層の基端部に位置する筒状部材と、
前記筒状部材の外表面を被覆し、親水性材料で構成された親水性潤滑層とを有し、
前記筒状部材の外表面には、凹凸が形成され、
前記先端側被覆層の基端部は、基端側へ向けて外径が漸減するテーパ状をなし、
前記筒状部材の内周の径は、前記ワイヤ本体の前記筒状部材が位置する部分での外周の径よりも大きく、
前記筒状部材の前記内周と前記ワイヤ本体の前記外周との間の隙間に前記先端側被覆層の基端が入り込んでおり、
前記筒状部材は、前記内周から前記ワイヤ本体の外周へ向けて突出する突出部を有し、前記突出部が前記ワイヤ本体に当接することで前記ワイヤ本体に固定され、
前記筒状部材の前記突出部と重なっている部分は、前記突出部と重ならない部分よりも剛性が低いことを特徴とするガイドワイヤ。
【請求項2】
前記筒状部材の外表面には複数の凹部が形成されており、前記複数の凹部によって前記凹凸が形成されている請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項3】
前記親水性潤滑層は、前記凹部に入り込んでいる請求項2に記載のガイドワイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
消化管、血管等の生体管腔にカテーテルを挿入する際には、当該カテーテルを生体管腔の目的部位まで誘導するために、ガイドワイヤが用いられる。このガイドワイヤは、カテーテル内に挿通して用いられる。また、内視鏡を用いた生体管腔等の観察や処置も行なわれ、この内視鏡や内視鏡のルーメンに挿入されたカテーテルを生体管腔等の目的部位まで誘導するのにもガイドワイヤが用いられる。
【0003】
このようなガイドワイヤとしては、長尺なワイヤ本体と、ワイヤ本体の先端部を覆う樹脂被覆層と、樹脂被覆層の基端側に配置される環状部材とを有するガイドワイヤが知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。これら特許文献に記載のガイドワイヤは、樹脂被覆層の基端外径と環状部材の先端外径とを規定して樹脂被覆層のめくれを防止するものであるが、より一層めくれを防止できるものが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−307367号公報
【特許文献2】WO2011/118443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、被覆層の基端側の部分がめくれ、そのめくれた部分にガイドワイヤと組み合わせて使用するカテーテル等のような医療器具が引っ掛かってしまうのを確実に防止することができるガイドワイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記(1)、(2)、(4)の本発明により達成され、(3)であることが好ましい。
(1) 可撓性を有する長尺なワイヤ本体と、該ワイヤ本体の先端部を覆い、樹脂材料で構成された先端側被覆層とを備えるガイドワイヤであって、
前記ワイヤ本体に挿通され、その先端部が前記先端側被覆層の基端部に位置する筒状部材と、
前記筒状部材の外表面を被覆し、親水性材料で構成された親水性潤滑層とを有し、
前記筒状部材の外表面には、凹凸が形成され、
前記先端側被覆層の基端部は、基端側へ向けて外径が漸減するテーパ状をなし、
前記筒状部材の内周の径は、前記ワイヤ本体の前記筒状部材が位置する部分での外周の径よりも大きく、
前記筒状部材の前記内周と前記ワイヤ本体の前記外周との間の隙間に前記先端側被覆層の基端が入り込んでおり、
前記筒状部材は、前記内周から前記ワイヤ本体の外周へ向けて突出する突出部を有し、前記突出部が前記ワイヤ本体に当接することで前記ワイヤ本体に固定され、
前記筒状部材の前記突出部と重なっている部分は、前記突出部と重ならない部分よりも剛性が低いことを特徴とするガイドワイヤ。
【0007】
(2) 前記筒状部材の外表面には複数の凹部が形成されており、前記複数の凹部によって前記凹凸が形成されている上記(1)に記載のガイドワイヤ。
【0008】
(3) 前記凹部は、前記筒状部材の一部が溶融によって前記ワイヤ本体側へ凹没変形した溶融部により形成される上記(2)に記載のガイドワイヤ。
【0009】
(4) 前記親水性潤滑層は、前記凹部に入り込んでいる上記(2)に記載のガイドワイヤ。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、筒状部材が先端側被覆層の基端部に位置するので、該先端側被覆層のめくれを防止できる。さらには、筒状部材の外表面を親水性潤滑層で覆っており、親水性潤滑層は、湿潤(吸水)により潤滑性を発揮し、血管の内壁との摩擦抵抗(摺動抵抗)を低減する。これにより、血管の内壁に対するガイドワイヤの摺動性が向上し、ガイドワイヤの操作性がより優れたものとなる。特に、本発明では、筒状部材の外表面には凹凸が形成されており、この凹凸に親水性潤滑層が入り込むことにより、親水性潤滑層の筒状部材への密着性が高まり、親水性潤滑層の筒状部材からの剥離を防止または抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のガイドワイヤの第1実施形態を示す縦断面図である。
図2図1に示すガイドワイヤが有する筒状部材の拡大断面図である。
図3図2に示す筒状部材の製造方法の一例を示す断面図である。
図4】本発明のガイドワイヤの第2実施形態が有する筒状部材を示す断面図である。
図5】本発明のガイドワイヤの第3実施形態が有する筒状部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のガイドワイヤを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0013】
<第1実施形態>
まず、本発明のガイドワイヤの第1実施形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明のガイドワイヤの第1実施形態を示す縦断面図、図2は、図1に示すガイドワイヤが有する筒状部材の拡大断面図、図3は、図2に示す筒状部材の製造方法の一例を示す図である。
【0015】
なお、以下では、説明の都合上、図1中(後述する図2および図3についても同様)の右側を「基端」、左側を「先端」と言う。また、各図中では、それぞれ、理解を容易にするため、ガイドワイヤの長さ方向を短縮し、ガイドワイヤの太さ方向を誇張して模式的に図示しており、長さ方向と太さ方向の比率は実際とは異なる。
【0016】
図1および図2に示すガイドワイヤ1は、カテーテル(内視鏡も含む)の内腔に挿入して用いられるカテーテル用ガイドワイヤであって、長尺なワイヤ本体2と、螺旋状のコイル4と、先端側被覆層6(以下「樹脂被覆層6」という)と、ワイヤ本体2から突出して設けられている筒状部材7と、筒状部材7の外表面を被覆する親水性潤滑層10とを有している。
【0017】
ガイドワイヤ1の全長は、特に限定されないが、200〜5000mm程度であるのが好ましい。また、ガイドワイヤ1の平均外径は、特に限定されないが、0.2〜1.2mm程度であるのが好ましい。
【0018】
(ワイヤ本体)
図1に示すように、ワイヤ本体2は、先端側に配置された第1ワイヤ21と、第1ワイヤ21の基端側に配置された第2ワイヤ22とで構成されている。第1ワイヤ21と第2ワイヤ22とは溶接により強固に接続されている。
【0019】
第1ワイヤ21と、第2ワイヤ22との溶接の方法としては、特に限定されず、例えば、レーザを用いたスポット溶接、バットシーム溶接等の突き合わせ抵抗溶接などが挙げられるが、突き合わせ抵抗溶接であるのが好ましい。
【0020】
第1ワイヤ21は、弾性を有する線材である。第1ワイヤ21の長さは、特に限定されないが、20〜1000mm程度であるのが好ましい。
【0021】
本実施形態では、第1ワイヤ21は、その両端部に長手方向に外径が一定な外径一定部211、212を有し、外径一定部211、212の間に、先端方向へ向かって外径が漸減するテーパ部(第1外径漸減部)213を有している。
【0022】
このようなテーパ部213を有することにより、第1ワイヤ21の剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)を先端方向に向かって徐々に減少させることができ、その結果、ガイドワイヤ1は、先端部に良好な柔軟性を得て、血管への追従性、安全性が向上すると共に、折れ曲がり等も防止することができる。
【0023】
テーパ部213の長さは、特に限定されないが、10〜1000mm程度であるのが好ましく、20〜300mm程度であるのがより好ましい。前記範囲にあると、長手方向に沿った剛性の変化をより緩やかにすることができる。
【0024】
本実施形態では、テーパ部213は、その外径が先端方向に向かってほぼ一定の減少率で連続的に減少するテーパ状をなしている。換言すれば、テーパ部213のテーパ角度は、長手方向に沿ってほぼ一定になっている。これにより、ガイドワイヤ1では、長手方向に沿った剛性の変化をより緩やかにすることができる。
【0025】
なお、このような構成と異なり、テーパ部213のテーパ角度は、長手方向に沿って変化していても良く、例えば、テーパ角度が比較的大きい個所と比較的小さい個所とが複数回交互に繰り返して形成されているようなものでもよい。その場合、テーパ部213のテーパ角度がゼロになる個所があってもよい。
【0026】
第1ワイヤ21の構成材料は、金属材料で構成されているのが好ましく、例えば、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS303、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L、SUS405、SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F、SUS302等)、擬弾性を示す合金(超弾性合金を含む。)などの各種金属材料を使用することができるが、超弾性合金であるのが好ましい。超弾性合金は、比較的柔軟であるとともに復元性があり、曲がり癖が付き難いので、第1ワイヤ21を超弾性合金で構成することにより、ガイドワイヤ1は、その先端側の部分に十分な曲げに対する柔軟性と復元性が得られ、複雑に湾曲・屈曲する血管に対する追従性が向上し、より優れた操作性が得られるとともに、第1ワイヤ21が湾曲・屈曲変形を繰り返しても、第1ワイヤ21に復元性により曲がり癖が付かないので、ガイドワイヤ1の使用中に第1ワイヤ21に曲がり癖が付くことによる操作性の低下を防止することができる。
【0027】
擬弾性合金には、引張りによる応力−ひずみ曲線がいずれの形状のものも含み、As、Af、Ms、Mf等の変態点が顕著に測定できるものも、できないものも含み、応力により大きく変形し、応力の除去により元の形状にほぼ戻るものは全て含まれる。
【0028】
超弾性合金の好ましい組成としては、49〜52原子%NiのNi−Ti合金等のNi−Ti系合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(Xは、Be、Si、Sn、Al、Gaのうちの少なくとも1種)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等が挙げられる。このなかでも特に好ましいものは、上記のNi−Ti系合金である。
【0029】
第1ワイヤ21の基端部には、第2ワイヤ22の先端部が連結されている。第2ワイヤ22は、弾性を有する線材である。第2ワイヤ22の長さは、特に限定されないが、20〜4800mm程度であるのが好ましい。
【0030】
本実施形態では、第2ワイヤ22は、その両端部に長手方向に外径が一定な外径一定部221、222を有し、外径一定部221、222の間に、先端方向へ向かって外径が漸減するテーパ部(第2外径漸減部)223を有している。なお、外径一定部221の外径は、第1ワイヤ21の外径一定部212の外径とほぼ等しい。
【0031】
第2ワイヤ22がテーパ部223を有することにより、第2ワイヤ22の剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)を先端方向に向かって徐々に減少させることができ、その結果、ガイドワイヤ1の生体に挿入する際の操作性や安全性が向上する。
【0032】
本実施形態では、テーパ部223は、その外径が先端方向に向かってほぼ一定の減少率で連続的に減少するテーパ状をなしている。換言すれば、テーパ部223のテーパ角度は、長手方向に沿ってほぼ一定になっている。これにより、ガイドワイヤ1では、長手方向に沿った剛性の変化をより緩やかにすることができる。
【0033】
なお、このような構成と異なり、テーパ部223のテーパ角度は、長手方向に沿って変化していても良く、例えば、テーパ角度が比較的大きい個所と比較的小さい個所とが複数回交互に繰り返して形成されているようなものでもよい。その場合、テーパ部223のテーパ角度がゼロになる個所があってもよい。
【0034】
第2ワイヤ22の構成材料(素材)は、金属材料で構成されているのが好ましく、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS303、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L、SUS405、SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F、SUS302等SUSの全品種)、ピアノ線、コバルト系合金、擬弾性合金などの各種金属材料を使用することができる。
【0035】
この中でも、コバルト系合金は、ワイヤとしたときの弾性率が高く、かつ適度な弾性限度を有している。このため、コバルト系合金で構成された第2ワイヤ22は、特に優れたトルク伝達性を有し、座屈等の問題を極めて生じ難い。コバルト系合金としては、構成元素としてCoを含むものであれば、いかなるものを用いてもよいが、Coを主成分として含むもの(Co基合金:合金を構成する元素中で、Coの含有率が重量比で最も多い合金)が好ましく、Co−Ni−Cr系合金を用いるのがより好ましい。このような組成の合金は、常温における変形においても可塑性を有するため、例えば、使用時等に所望の形状に容易に変形することができる。また、このような組成の合金は、弾性係数が高く、かつ高弾性限度としても冷間成形可能で、高弾性限度であることにより、座屈の発生を十分に防止しつつ、小径化することができ、所定部位に挿入するのに十分な柔軟性と剛性を備えるものとすることができる。
【0036】
また、第2ワイヤ22の構成材料として、ステンレス鋼を用いた場合、ガイドワイヤ1は、より優れた押し込み性およびトルク伝達性が得られる。
【0037】
ガイドワイヤ1では、第1ワイヤ21と第2ワイヤ22とが同種の合金で構成されている。この合金としては、擬弾性を示す合金であればよく、例えば、Ni−Ti系合金が挙げられる。
【0038】
なお、ガイドワイヤ1では、第1ワイヤ21と第2ワイヤ22とを異種の合金で構成してもよい。この場合、第1ワイヤ21が、第2ワイヤ22の構成材料より弾性率が小さい材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、ガイドワイヤ1は、先端側の部分が優れた柔軟性を有するとともに、基端側の部分が剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)に富んだものとなる。その結果、ガイドワイヤ1は、優れた押し込み性やトルク伝達性を得て良好な操作性を確保しつつ、先端側においては良好な柔軟性、復元性を得て血管への追従性、安全性が向上する。
【0039】
(コイル)
このようなワイヤ本体2の先端部の外周には、コイル4が延在して配置されている。このコイル4は、素線を螺旋状に巻回してなる部材であり、ワイヤ本体2の先端部の外周を覆っている。コイル4の内側のほぼ中心部をワイヤ本体2が挿通している。また、ガイドワイヤ1では、コイル4は、ワイヤ本体2に接触している、すなわち、ワイヤ本体2の外周と密着しているが、これに限定されず、例えば、ワイヤ本体2の外周から離間していてもよい。
【0040】
また、ガイドワイヤ1では、コイル4は、外力を付与しない状態で、螺旋状に巻回された素線同士の間に隙間がなく、図示と異なり、外力を付与しない状態で、螺旋状に巻回された素線同士の間に隙間が空いていてもよい。
【0041】
コイル4は、X線不透過性金属材料(X線造影性を有する材料)で構成されているのが好ましく、その材料としては、例えば、金、白金、タングステン等の貴金属またはこれらを含む合金(例えば白金−イリジウム合金)等が挙げられる。X線不透過材料にて構成されているので、ガイドワイヤ1にX線造影性が得られ、X線透視下で先端部の位置を確認しつつ生体内に挿入することができ、好ましい。
【0042】
コイル4の基端部は、固定材料31を介してワイヤ本体2のテーパ部213に固定されており、コイル4の先端部は、固定材料32を介してワイヤ本体2の外径一定部211に固定されている。固定材料31および32は、それぞれ、例えば各種接着剤や半田(ろう材)で構成されている。
【0043】
(樹脂被覆層)
また、ガイドワイヤ1は、ワイヤ本体2の先端部、コイル4および固定材料31、32を一括して覆う樹脂被覆層6を有している。この樹脂被覆層6は、ワイヤ本体2の先端部の外周に密着している。なお、本実施形態では、樹脂被覆層6は、コイル4内に入り込んでいないが、コイル4内に入り込んでいてもよい。
【0044】
樹脂被覆層6は、種々の目的で形成することができるが、その一例として、摺動性を上げてガイドワイヤ1の操作性を向上させること、ガイドワイヤ1を血管等に挿入する際の安全性の向上を目的として設けることができる。
【0045】
このような樹脂被覆層6は、柔軟性に富む材料(軟質材料、弾性材料)で構成されており、その材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、ETFE、PFA等)、またはこれらの複合材料や、ラテックスゴム、シリコーンゴム等の各種ゴム材料、またはこれらのうちに2以上を組み合わせた複合材料が挙げられる。そして、これらの材料の中でも特に、ウレタン系樹脂が好ましい。樹脂被覆層6が主にウレタン系樹脂で構成されている場合には、ガイドワイヤ1の先端部の柔軟性がより向上するため、血管等への挿入時に、血管内壁等を傷つけることをより確実に防止することができ、安全性が極めて高い。
【0046】
また、樹脂被覆層6の先端面61は、丸みを帯びている。これにより、先端面61で血管等の体腔の内壁の損傷を防止することができる。また、樹脂被覆層6の基端63は、ワイヤ本体2(第1ワイヤ21)の外径一定部212に位置している。
【0047】
このような樹脂被覆層6中には、X線不透過材料で構成された粒子(フィラー)が分散されていてもよい。この場合、ガイドワイヤ1にX線造影性が得られ、X線透視下にて先端部の位置を確認しつつ生体内に挿入することができる。X線不透過材料としては、特に限定されず、例えば、白金、タングステン等の貴金属またはこれらを含む合金材料が挙げられる。
【0048】
樹脂被覆層6の厚さは、特に限定されず、樹脂被覆層6の形成目的や構成材料、形成方法等を考慮して適宜されるが、通常は、その平均厚さは、5〜500μm程度であるのが好ましく、10〜350μm程度であるのがより好ましい。なお、樹脂被覆層6は、2層以上の積層体でもよい。
【0049】
(被覆層9)
被覆層9は、ワイヤ本体2の基端部、具体的には、第2ワイヤの基端部からテーパ部223のほぼ全域までを覆うように形成されている。被覆層9は、ワイヤ本体2の外周に、内層91と、外層92と、線状体93とがこの順で形成された(積層された)ものとなっている。
【0050】
内層91は、ワイヤ本体2の外周上に形成されている。内層91の樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、フッ素系樹脂材料が好ましい。また、内層91には、それぞれ、組成が異なる2種類のフッ素系樹脂材料が含有されており、その2種類の樹脂材料としては、例えば、一方をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、他方をフッ化エチレンプロピレン(FEP)とすることができる。
【0051】
さらに、内層91層は、ワイヤ本体2の外周上に形成されているため、例えば当該ワイヤ本体2との密着性を向上する目的で、内層91の構成材料中にバインダーとして機能する樹脂材料が含有されている。この樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレンケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリエートルイミド、ポリイミドスルホン、ポリアリルスルホン、ポリアリルエーテルスルホン、ポリエステル、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。
【0052】
なお、内層91の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.001〜0.020mmであるのが好ましく、0.001〜0.010mmであるのがより好ましい。
【0053】
外層92は、内層91上に形成されている。外層92の樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、フッ素系樹脂材料を用いるのが好ましい。このフッ素系樹脂材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)等を用いることができる。
【0054】
なお、外層92の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.001〜0.030mmであるのが好ましく、0.001〜0.015mmであるのがより好ましい。
【0055】
線状体93は、外層92上に形成されている。この線状体93は、螺旋状に巻回したものである(図1参照)。これにより、線状体93が第2ワイヤ22のほぼ全周にわたって設けられる。また、線状体93は、隣接する線同士が離間した疎巻きになっている。本実施形態では、線状体93の形成数は、1本または複数本である。線状体93の形成数が複数本である場合、各線状体93の螺旋の巻回方向は、それぞれ、同じであってもよし、逆であってもよい。
【0056】
このような線状体93により、第2ワイヤ22(ワイヤ本体2)は、その外表面に線状体93で構成された複数の凸部94と、隣接する凸部94(線状体93)間に形成された凹部95とを有するものとなる。
【0057】
線状体93中の樹脂材料としては、特に限定されないが、内層91と同様に、例えば、フッ素系樹脂材料を用いるのが好ましい。このフッ素系樹脂材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)等を用いることができる。
【0058】
ガイドワイヤ1では、凸部94(線状体93)における摩擦係数は、凹部95の底部951(外層92が露出している部分)における摩擦係数よりも小さくなっている。
【0059】
(筒状部材)
筒状部材7は、円筒状(リング状)の部材で構成されており、ワイヤ本体2(第1ワイヤ21)の外径一定部212に配置、固定されている。また、筒状部材7は、ワイヤ本体2から外周へ突出するように設けられている。
【0060】
筒状部材7の内径φd1は、外径一定部212の外径φd2よりも若干大きく、すなわち、φd1>φd2なる関係を満足しており、筒状部材7の内周面と外径一定部212の外周面との間に隙間Sが形成されている。なお、隙間Sの厚さDとしては、特に限定されないが、5〜30μm程度であるのが好ましい。隙間Sの厚さDをこのような厚さとすることにより、隙間Sがより小さくなり、第1ワイヤ21と筒状部材7の一体感が増し、操作性が向上する。また、溶接されていない状態にて、筒状部材7がワイヤ本体2に対して移動可能となるため、後述するような製造方法によって、簡単にガイドワイヤ1を製造することができる。
【0061】
また、筒状部材7の先端71は、樹脂被覆層6と接触しており、樹脂被覆層6の基端63が筒状部材7の内側(隙間S)に入り込んでいる。言い換えれば、筒状部材7の先端71は、樹脂被覆層6の基端63よりも先端側に位置している。そのため、樹脂被覆層6の基端63は、ガイドワイヤ1の表面に露出していない(ガイドワイヤ1の外部に臨んでいない)。
【0062】
また、筒状部材7の外径(最大外径)φd3は、樹脂被覆層6の筒状部材7の先端71が位置する部分の外径φd4よりも大きい。このような筒状部材7により、樹脂被覆層6の基端63が筒状部材7の外周面よりも内側に位置することとなる。
【0063】
また、筒状部材7の外径φd3は、樹脂被覆層6の最大外径φd5よりも小さく(または同じに)なっている。筒状部材7の長さも樹脂被覆層6の長さよりも短い。このような大小関係により、例えばガイドワイヤ1が生体管腔内を移動した際に、その先端部において、摺動性が高い樹脂被覆層6が生体管腔を画成する壁部に筒状部材7よりも優先的に当接することなる。これにより、ガイドワイヤ1の操作性を落とすことなく操作することが可能となる。
【0064】
筒状部材7の長さとしては、特に限定されないが、0.5〜2mm程度であるのが好ましい。このような長さとすることにより、筒状部材7をその機能を発揮するのに十分な長さとすることができるとともに、筒状部材7が過度に長くなることによるガイドワイヤ1の操作性の低下を効果的に防止することができる。
【0065】
具体的には、ワイヤ本体2の筒状部材7が設けられている部分S11は、その先端側の部分S12および基端側の部分S13よりも剛性が高いため、部分S12、S13と比較して湾曲変形し難くい。このような湾曲し難い部分S11が長いと、ガイドワイヤ1の操作性(特に追従性)が悪化するおそれがある。そのため、筒状部材7を上述のような長さとし、湾曲変形し難い部分S11をなるべく短くすることにより、上述のような操作性の低下を効果的に抑制することができる。
【0066】
筒状部材7の外表面73には凹凸が形成されている。言い換えれば、筒状部材7の外表面73は、凹凸面で構成されている。このような凹凸面は、平坦な外表面73に複数の凹部75を形成することにより得られる。このように、外表面73に凹凸を形成することにより、筒状部材7と親水性潤滑層10との密着性が高くなり、親水性潤滑層10の筒状部材7からの剥離等を抑制することができる。各凹部75は、略円形の輪郭を有する湾曲凹面で構成されている。なお、凹部75の形状は、これに限定されず、例えば、輪郭が多角形であってもよいし、屈曲面で構成されていてもよい。
【0067】
凹部75の深さ(最大深さ)としては、特に限定されないが、1〜100μm程度であるのが好ましい。これにより、外表面73に十分な起伏を有する凹凸を形成することができるため、筒状部材7と親水性潤滑層10との密着性がより高くなる。
【0068】
筒状部材7には、溶融によってワイヤ本体2側へ凸となるように凹没変形した複数の溶融部77が形成されており、この各溶融部77の外面771によって凹部75が構成されている。また、溶融部77は、その内面がワイヤ本体2に圧接しており、これにより筒状部材7がワイヤ本体2に固定されている。
【0069】
溶融部77は、例えば、筒状部材7に対して外周側からレーザー等のエネルギーを照射し、筒状部材7を溶融、熱変形させることにより形成することができる。具体的には、例えば、図3(a)に示すよう、まず、第2ワイヤ22と溶接されていない第1ワイヤを用意し、筒状部材7をその第1ワイヤ21の基端側から挿入し、樹脂被覆層6の基端部に当接させる。この状態では、第1ワイヤ21に対して筒状部材7が摺動可能な状態となっている。次いで、筒状部材7の外表面73の複数個所にレーザーをスポット状(島状)に照射する。すると、図3(b)に示すように、レーザーを照射した部分が溶融してワイヤ本体2側へ凹没するように熱変形し、この変形により形成された溶融部77がワイヤ本体2にある程度の圧力を持って当接(圧接)する。これにより、筒状部材7をワイヤ本体2にかしめたような状態となり、筒状部材7がワイヤ本体2に固定される。
【0070】
このような溶融部77によって、筒状部材7をワイヤ本体2に固定することにより、筒状部材7を、例えば接着剤や半田等の他の部材を介さなくてもワイヤ本体2に固定することができる。そのため、ガイドワイヤ1の構成が簡単となるとともに、ガイドワイヤ1の製造が容易となる。また、例えば、前述したような接着剤や半田を介して筒状部材7をワイヤ本体2に固定する場合には、隙間Sに接着剤や半田を充填しなければならず、隙間Sに接着剤や半田を充填するためには、隙間Sの厚さDをある程度大きくする必要がある。これにより、ワイヤ本体2に対する筒状部材7のがたつきが大きくなり、操作性の悪化を招くおそれがある。これに対して、ガイドワイヤ1では、溶融部77によって固定しているため、隙間Sの厚さDをより小さく設定することができ、上記のような問題の発生を効果的に防止することができる。
【0071】
また、溶融部77は、溶融により焼きなまされているため、筒状部材7の溶融部77に相当する部位は、他の部分よりも剛性が低くなる。そのため、筒状部材7の全体的な剛性が溶融部77を有しない場合と比較して低くなり、筒状部材7を湾曲し易いものとすることができる。
【0072】
また、溶融部77は、ワイヤ本体2と溶接されていないのが好ましい。すなわち、溶融部77とワイヤ本体2とは、溶融によって一体化していないのが好ましい。これにより、ワイヤ本体2への熱ダメージが低減され、優れた操作性および信頼性を有するガイドワイヤ1を構成することができる。
【0073】
また、複数の溶融部77(凹部75)は、筒状部材7の外表面の全域に広がって均一に形成されていることが好ましい。これにより、筒状部材7とワイヤ本体2との接合状態が全体的に均一となり、ガイドワイヤ1の操作性が向上する。具体的には、ワイヤ本体2の中心軸と筒状部材7の中心軸とがほぼ一致した状態を、ワイヤ本体2を湾曲させた状態でも保つことができるため、ガイドワイヤ1の操作性が向上する。これに加えて、親水性潤滑層10と筒状部材7との密着性をより高めることができる。
【0074】
なお、複数の溶融部77は、隣り合うもの同士が離間していてもよいし、接触して(一部が重なり合って)いてもよい。また、複数の溶融部77の形状、大きさは、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、複数の溶融部77は、規則的に形成されていてもよいし、不規則に形成されていてもよい。また、溶融部77は、筒状部材7の外表面の全域に広がって形成されていなくてもよく、例えば、基端部、中央部、先端部のいずれか1つの領域、または、これら3つの領域から選択される2つの領域にのみ形成されていてもよい。
【0075】
筒状部材7は、樹脂被覆層6を構成する樹脂材料よりも硬質の材料で構成され、その材料としては、金属材料を用いるのが好ましい。金属材料としては、例えば、ステンレス鋼、超弾性合金、コバルト系合金や、金、白金、タングステン等の貴金属またはこれらを含む合金(例えば白金−イリジウム合金)等が挙げられる。特に、硬質かつ加工容易性の観点から白金−イリジウム合金を用いるのが好ましい。
【0076】
このような筒状部材7を有することにより、カテーテルの先端が、筒状部材7を越えてから樹脂被覆層6に当接するまでの間に、樹脂被覆層6の基端63に接するのが防止される。その結果、たとえ基端63が若干めくれていたとしても当該基端63にカテーテルの先端が引っ掛かるのが確実に防止される。
【0077】
なお、本実施形態では、凹部75を溶融部77によって形成する形態について説明したが凹部75の形成方法は、特に限定されない。凹部75は、例えば、各種エッチング法により筒状部材7の外表面の一部を除去することにより形成してもよいし、外周側から応力を加え、外表面73の一部を変形させることにより形成してもよいし、ドリル等で外周面に孔を形成することにより形成してもよい。
【0078】
(親水性潤滑層)
上述した筒状部材7の外表面には、筒状部材7を覆うように親水性潤滑層10が形成されている。筒状部材7の外表面73は、凹凸面で構成されているため、親水性潤滑層10と筒状部材7との接触面積を広く確保することができ、これらの密着性が向上する。また、凹部75内に親水性潤滑層10が入り込んでおり、アンカー効果によって、親水性潤滑層10と筒状部材7との密着性を高めるとともに、親水性潤滑層10の筒状部材7からの剥離を防止することができる。
【0079】
親水性潤滑層10の外表面は、平坦な面で構成されている。また、親水性潤滑層10の厚さ(凹部75に入り込んでいる部分を除いた部分の厚さ。言い換えれば[親水性潤滑層10の外径φd6]−[筒状部材の外径φd3])としては、特に限定されないが、2〜20μm程度であるのが好ましい。
【0080】
親水性潤滑層10は、親水性材料で構成されており、このような親水性材料としては、例えば、セルロース系高分子物質、ポリエチレンオキサイド系高分子物質、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド、ポリグリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド(PGMA−DMAA)のブロック共重合体)、水溶性ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0081】
このような親水性材料は、多くの場合、湿潤(吸水)により潤滑性を発揮し、血管の内壁やカテーテルの内壁との摩擦抵抗(摺動抵抗)を低減する。これにより、血管の内壁やカテーテルの内壁に対するガイドワイヤ1の摺動性が向上し、血管内、カテーテル内でのガイドワイヤ1の操作性がより優れたものとなる。
【0082】
なお、本実施形態では、親水性潤滑層10は、外表面73とともに、筒状部材7の先端面および基端面を覆うように形成されているが、これに限定されず、外表面73のみを覆い、先端面および基端面が露出するように形成されていてもよい。
【0083】
<第2実施形態>
次いで、本発明のガイドワイヤの第2実施形態を説明する。
図4は、本発明のガイドワイヤの第2実施形態が有する筒状部材を示す断面図である。
【0084】
以下、本実施形態のガイドワイヤについて説明するが、第1実施形態のシリンジとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0085】
本実施形態のガイドワイヤは、筒状部材の構成が異なる以外は、第1実施形態のガイドワイヤと同様である。
【0086】
図4に示すように、本実施形態のガイドワイヤ1Aが有する筒状部材7Aの外表面73には、複数の凹部75が形成されている。また、各凹部75は、筒状部材の外面(外表面)と内面とを貫通する貫通孔で構成されている。
【0087】
このような凹部75の形成方法は、特に限定されないが、例えば、第1実施形態と同様に筒状部材7の外周側からレーザー等のエネルギーを照射することにより形成することができる。具体的には、例えば、第1実施形態で述べた溶融部77を形成するよりも長い時間および/または高強度のレーザーを筒状部材7に照射すると、レーザーが照射された部位が溶融し、蒸発する。これにより、レーザーが照射された部分に貫通孔が形成され、凹部75が形成される。また、凹部75(貫通孔)の周囲には、前記溶融によって熱変形しワイヤ本体と圧接する突出部76Aが形成され、この突出部76Aによって、筒状部材7がワイヤ本体2に固定される。
【0088】
このように、凹部75を貫通孔で構成することにより、筒状部材の肉抜きを行うことができ、筒状部材7の剛性をより低めることができる。そのため、ガイドワイヤ1Aの操作性の低下を効果的に抑制することができる。
【0089】
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0090】
<第3実施形態>
次いで、本発明のガイドワイヤの第3実施形態を説明する。
図5は、本発明のガイドワイヤの第3実施形態が有する筒状部材を示す断面図である。
【0091】
以下、本実施形態のガイドワイヤについて説明するが、第1実施形態のガイドワイヤとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0092】
本実施形態のガイドワイヤは、筒状部材の構成が異なる以外は、第1実施形態のガイドワイヤと同様である。
【0093】
図5に示すように、本実施形態のガイドワイヤ1Bは、筒状部材7Bをワイヤ本体2に接合(固定)する接合部材8を有している。
【0094】
(筒状部材)
筒状部材7Bの基端部は、基端方向へ向かって外径が漸減するテーパ部72で構成されている。このようなテーパ部72を有することにより、筒状部材7Bを含めたワイヤ本体2の剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)を先端方向に向かって徐々に変化させることができる。また、筒状部材7Bの基端を境に、その先端側と基端側の剛性差をより小さく抑えることができる。その結果、ガイドワイヤ1Bの血管への追従性が向上すると共に、折れ曲がり等も防止することができる。
【0095】
本実施形態では、テーパ部72のテーパ角度は、長手方向に沿ってほぼ一定になっている。これにより、ガイドワイヤ1では、長手方向に沿った剛性の変化をより緩やかにすることができる。なお、このような構成と異なり、テーパ部72のテーパ角度は、長手方向に沿って変化していても良く、例えば、テーパ角度が比較的大きい個所と比較的小さい個所とが複数回交互に繰り返して形成されているようなものでもよい。その場合、テーパ部72のテーパ角度がゼロになる個所があってもよい。なお、筒状部材7Bは、テーパ部72で構成された基端部を有していなくてもよく、例えば、筒状部材7の長さ方向全域にわたって外径が一定となっていてもよい。
【0096】
複数の凹部75は、筒状部材7Bのテーパ部72を除く全域に広がって形成されている。
【0097】
(接合部材8)
接合部材8は、第1に、筒状部材7Bをワイヤ本体2に接合(固定)するために用いられる。接合部材8は、筒状部材7Bの基端側に位置する基部81と、基部81から延出し、隙間Sに入り込んだ延出部82とを有している。基部81は、筒状部材7Bの基端面721とワイヤ本体2の外周面とに接触するように形成されており、これにより、筒状部材7Bをワイヤ本体2に強固に接合している。基部81の長さは、特に限定されないが、0.5〜2.0mm程度であるのが好ましい。
【0098】
一方の延出部82は、基部81から延出し、隙間Sの基端部に充填されている。すなわち、筒状部材7Bの基端部の内周面とワイヤ本体2の外周面との間に形成されており、これにより、筒状部材7Bをワイヤ本体2に接合している。なお、延出部82は、隙間Sの全域に形成されていてもよい。
【0099】
このように、基部81と延出部82を有することにより、接合部材8を介した筒状部材7Bとワイヤ本体2との接触面積が広くなるため、より強固に筒状部材7Bをワイヤ本体2に接合することができる。
【0100】
基部81は、さらに、ワイヤ本体2と筒状部材7Bとの間の段差を埋める段差埋め部材としても機能する。具体的には、基部81は、筒状部材7Bの基端側に位置しており、その外径が基端方向へ向けて漸次減少するテーパ状をなしている。そのため、カテーテルの先端が基部81の外周面に沿って筒状部材7Bに案内される。このように、ワイヤ本体2と筒状部材7Bとの間の段差を基部81によって埋めることにより、カテーテルの引っ掛かりを防止することができる。また、基部81をテーパ状とすることにより、基部81を含めたワイヤ本体2の剛性を先端方向に向かって徐々に変化させることができる。
【0101】
特に、本実施形態では、基部81のテーパ角が筒状部材7Bのテーパ部72のテーパ角とほぼ等しく、基部81の外周面が筒状部材7Bのテーパ部72の外周面と連続的に接続している。すなわち基部81と筒状部材7Bの境界を挟んでその基端側近傍および先端側近傍の領域が段差のない平坦な面で構成されている。そのため、基部81と筒状部材7Bの境界でのカテーテルの先端の引っ掛かりを効果的に防止することができる。
【0102】
このような接合部材8は、筒状部材7Bよりも軟質な材料(ヤング率の低い材料)で構成されているのが好ましく、その材料としては、例えば、各種接着剤や半田を用いることができる。これらの中でも、比較的硬質な半田を用いるのが好ましい。これにより、機械的強度の高い接合部材8を形成することができる。また、接合部材8および筒状部材7Bを含めたワイヤ本体2の剛性を先端方向に向かって徐々に変化させることができる。
【0103】
なお、接合部材8は、筒状部材7Bよりも硬質な材料(ヤング率の高い材料)で構成されていてもよい。このような場合には、接合部材8(特に延出部82)は、筒状部材7Bを補強する補強部材としても機能する。そのため、例えば、筒状部材7Bの薄肉化を図ることができる。
【0104】
(親水性潤滑層)
親水性潤滑層10は、筒状部材7Bおよび接合部材8(基部81)の外表面を覆うように形成されている。
【0105】
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0106】
以上、本発明のガイドワイヤを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ガイドワイヤを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0107】
また、前述した実施形態では、ワイヤ本体が2本のワイヤを接合したものについて説明したが、ワイヤ本体は、1本のワイヤで構成されていてもよい。
【0108】
また、前述した実施形態では、筒状部材が円管状のものについて説明したが、筒状部材は、例えば、その長手方向の全域に内外を連通するスリットが形成された、すなわち、横断面形状がC字状の形状であってもよい。
【0109】
また、前述した実施形態では、筒状部材の内面とワイヤ本体の外周面との間に隙間が形成されているものについて説明したが、これに限定されず、筒状部材の内面とワイヤ本体の外周面との間に隙間が形成されていなくてもよい。すなわち、筒状部材の内径と、第1ワイヤの筒状部材と重なる部分の外径とが等しくてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1、1A、1B ガイドワイヤ
2 ワイヤ本体
21 第1ワイヤ
211 外径一定部
212 外径一定部
213 テーパ部
22 第2ワイヤ
221 外径一定部
222 外径一定部
223 テーパ部
31 固定材料
32 固定材料
4 コイル
6 樹脂被覆層(先端側被覆層)
61 先端面
63 基端
7、7A、7B 筒状部材
71 先端
72 テーパ部
721 基端面
73 外表面
75 凹部
76A 突出部
77 溶融部
771 外面
8 接合部材
81 基部
82 延出部
9 被覆層
91 内層
92 外層
93 線状体
94 凸部
95 凹部
951 底部
10 親水性潤滑層
D 厚さ
S 隙間
S11 部分
S12 部分
S13 部分
図1
図2
図3
図4
図5