(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979911
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】編地終端部のパイピング処理方法
(51)【国際特許分類】
D04B 1/00 20060101AFI20160818BHJP
D04B 1/24 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
D04B1/00 Z
D04B1/24
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-40702(P2012-40702)
(22)【出願日】2012年2月27日
(65)【公開番号】特開2013-174035(P2013-174035A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2015年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100101638
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 峰太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮地 勇介
(72)【発明者】
【氏名】児玉 昌之
【審査官】
長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−337946(JP,A)
【文献】
特開2006−161242(JP,A)
【文献】
特開平09−316756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B1/00−39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後一対の針床を備える横編機で終端部に続くベース編地を途中部分まで編成した後、
該ベース編地の編成に使用する編糸とは異なる編糸で、該ベース編地の編目となるベース編目を係止する編針でのタック編成と、該編針が属する針床に対向する針床に属して編目を係止していない空き針への空針ニットでの掛け目によるニットループ形成、または該掛け目へのニット編成によるニットループ形成とを行い、
該ニットループを編針で係止しながら該途中部分に続くベース編地を終端部まで編成し、
該途中部分から該終端部までのベース編地を折返して、該終端部のベース編目に対し該ニットループを利用する伏目処理で接合する、編地終端部のパイピング処理方法において、
伏目処理を、
該終端部の編目の一つとなるベース編目に対応するように形成される伏目ループを、該終端部のベース編目に対向して該ニットループを係止する編針が属する針床の空き針に目移しし、該伏目ループの渡り糸がニットループの渡り糸に対して上側交差した状態で係止させる伏目ループ係止工程と、
該終端部のベース編目のうち、該伏目ループにより接合すべきベース編目を、目移しされた該伏目ループを係止する針床に目移しし、該ベース編目の渡り糸がニットループの渡り糸に対して上側交差した状態で係止させるベース編目係止工程と、
該伏目ループと接合すべきニットループを、対向する針床の空き針に目移しし、該ニットループの渡り糸が、伏目ループ係止工程で目移しした該伏目ループの渡り糸に対して、上側交差させた状態で係止させるニットループ係止工程と、
ニットループ係止工程で目移ししたニットループを係止する編針に、ベース編目係止工程で係止したベース編目、および伏目ループ係止工程で係止した伏目ループを目移しして順に重ね、伏目ループ係止工程で伏目ループを形成した終端部のベース編目と、ベース編目係止工程で目移しする終端部のベース編目とを伏目ループで連結しながら、該終端部をベース編地の該途中部分に接合する伏目ループ接合工程とを、
含むように、繰返し行うことを特徴とする編地終端部のパイピング処理方法。
【請求項2】
前記伏目ループは、弾性糸を用いて編成することを特徴とする請求項1記載の編地終端部のパイピング処理方法。
【請求項3】
前記伏目処理を、
前記伏目ループ係止工程、前記ベース編目係止工程、前記ニットループ係止工程、および前記伏目ループ接合工程による前記ベース編目、前記ニットループおよび前記伏目ループで三目の重ね目形成と、
ベース編目に対し伏目ループを目移しして重ねた二目の重ね目形成、または伏目ループに対しベース編目を目移しして重ねた二目の重ね目形成とを、
交互に繰返して行うことを特徴とする請求項1または2記載の編地終端部のパイピング処理方法。
【請求項4】
前記ベース編地を、前記前後一対の針床を使用して、筒状編地として編成することを特徴とする請求項3記載の編地終端部のパイピング処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横編機で編成する編地の終端部を、折返して編地の途中に接合する編地終端部のパイピング処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、手袋や靴下、パンツの開口部や、衣服の衿などで、編地の終端部を折返して、厚みのあるしっかりした状態にさせるために、パイピング処理が行われている。一般的なパイピング処理では、編地終端部を熱収縮糸で編成し、後工程として、編成後に熱を加えて固着させて解れ止めとし、すくい縫いミシンで、編地終端部を、終端部に続く編地の途中に接合する。このような後工程は、少なくとも前後一対の針床を備える横編機を用いれば、不要にすることができる(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、特許文献1に開示されているパイピング処理方法を適用した編目構造を模式的に示す。折返す部分を含むベース編地を終端部付近まで編成する途中で、ベース編目1aへのタック2aと、掛け目となる空き針へのニットループ2bとを交互に形成しておく。残りのベース編地を終端のベース編目1bまで編成する間、ニットループ2bには、さらにニットの編目を追加することがある。終端のベース編目1bとニットループ2bとの重ね目に対して、伏目を形成するためのニット編成が行われ、新たに形成された編目が隣接する重ね目に重ねられて伏目ループ3が形成される。重ね目に対して伏目ループ3が重ねられた状態に対して、新たなニット編成を行うことを繰返すような伏目処理で、ベース編地の終端部がベース編地の途中部分に接合されて、パイピング処理が達成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2610208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前後に針床を備える横編機で編成する手袋は、前後の針床でそれぞれ編成する平編地が編幅の両端で連続する筒状の編地となる。
図6に示すような編目構造では、ベース編地が平編地となるので、伏目ループ3で繋がると、ベース編地が反ることで、多少の膨らみが生じてしまう。また、伏目ループ3は、ベース編地の外側に連続して配置されてしまう。手袋では、伏目処理による接合部が内部に隠れるため、見栄えを損うおそれはないが、着用した際に、肌に直接触れる接合部には膨らみが生じないことが要望される。
【0006】
本発明の目的は、伏目処理でも膨らみが生じにくくすることが可能な、編地終端部のパイピング処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前後一対の針床を備える横編機で終端部に続くベース編地を途中部分まで編成した後、
該ベース編地の編成に使用する編糸とは異なる編糸で、該ベース編地の編目となるベース編目を係止する編針でのタック編成と、該編針が属する針床に対向する針床に属して編目を係止していない空き針への空針ニットでの掛け目
によるニットループ形成、または該掛け目へのニット編成によるニットループ形成とを行い、
該ニットループを編針で係止しながら該途中部分に続くベース編地を終端部まで編成し、
該途中部分から該終端部までのベース編地を折返して、該終端部のベース編目に対し該ニットループを利用する伏目処理で接合する、編地終端部のパイピング処理方法において、
伏目処理を、
該終端部の編目の一つとなるベース編目に対応するように形成される伏目ループを、該終端部のベース編目に対向して該ニットループを係止する編針が属する針床の空き針に目移しし、該伏目ループの渡り糸がニットループの渡り糸に対して上側交差した状態で係止させる伏目ループ係止工程と、
該終端部のベース編目のうち、該伏目ループにより接合すべきベース編目を、目移しされた該伏目ループを係止する針床に目移しし、該ベース編目の渡り糸がニットループの渡り糸に対して上側交差した状態で係止させるベース編目係止工程と、
該伏目ループと接合すべきニットループを、対向する針床の空き針に目移しし、該ニットループの渡り糸が、伏目ループ係止工程で目移しした該伏目ループの渡り糸に対して、上側交差させた状態で係止させるニットループ係止工程と、
ニットループ係止工程で目移ししたニットループを係止する編針に、ベース編目係止工程で係止したベース編目、および伏目ループ係止工程で係止した伏目ループを目移しして順に重ね、伏目ループ係止工程で伏目ループを形成した終端部のベース編目と、ベース編目係止工程で目移しする終端部のベース編目とを伏目ループで連結しながら、該終端部をベース編地の該途中部分に接合する伏目ループ接合工程とを、
含むように、繰返し行うことを特徴とする編地終端部のパイピング処理方法である。
【0008】
また本発明で、前記伏目ループは、弾性糸を用いて編成することを特徴とする。
【0009】
また本発明では、前記伏目処理を、
前記伏目ループ係止工程、前記ベース編目係止工程、前記ニットループ係止工程、および前記伏目ループ接合工程による前記ベース編目、前記ニットループおよび前記伏目ループで三目の重ね目形成と、
ベース編目に対し伏目ループを目移しして重ねた二目の重ね目形成、または伏目ループに対しベース編目を目移しして重ねた二目の重ね目形成とを、
交互に繰返して行うことを特徴とする。
【0010】
また本発明では、前記ベース編地を、前記前後一対の針床を使用して、筒状編地として編成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、伏目ループ係止工程、ベース編目係止工程で、伏目ループとベース編目とを対向する針床にそれぞれ目移しし、ニットループ係止工程でニットループも対向する針床に目移しした状態で、ベース編目および伏目ループを順次ニットループに重ねて、伏目処理を行う。各工程では、渡り糸の交差が生じ、伏目ループ接合工程では、伏目ループによる接合と同時に、ニットループへの渡り糸の交差によって、伏目ループが繋がるベース編地の内側に配置されることで、ベース編地の巻きを防ぎ、膨らみを抑えた伏目処理部を形成することができる。
【0012】
また本発明によれば、伏目ループは、弾性糸を用いて編成するので、伏目処理部に適度な伸縮性を持たせることができる。
【0013】
また本発明によれば、伏目ループを重ねることによる接合で、2目の重ね目と3目の重ね目とを交互に形成するので、伏目処理部を薄くすることができ、ニットループを係止するための空き針の準備を簡易化することができる。
【0014】
また本発明によれば、空き針の準備が簡易化されるので、筒状編地で膨らみを抑えた伏目処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例としての編地終端部のパイピング処理方法を示す簡略化した編成図の一部である。
【
図3】
図3は、本発明の他の実施例としての編地終端部のパイピング処理方法を、
図1および
図2に続く部分で示す簡略化した編成図である。
【
図5】
図5は、本発明のさらに他の実施例として、編地終端部のパイピング処理方法の一部を示す簡略化した編成図である。
【
図6】
図6は、従来からのパイピング処理方法による編目構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1〜
図5で本発明の三つの実施例を説明する。各実施例の説明では、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符を付し、また、共通な事項についても、重複する説明を省略する場合がある。なお、各図の説明では、当該図面には存在せずに先に説明する図には存在する符号を用いて説明する場合がある。
【0017】
編地の編成には、前針床および後針床(以下「FB」および「BB」とそれぞれ略称する)を、前後一対の針床として備える横編機を使用する。FBとBBとは同等であり、以下の説明のFBとBBとで、役割を置き替えてもよい。
【実施例1】
【0018】
図1および
図2は、本発明の一実施例としての編地終端部のパイピング処理方法で伏目処理を行う基本的な工程を、簡略化して示す。伏目処理を行うまでの編成は、
図6で伏目処理を行うまでと同様に行うことができる。
【0019】
S1工程の上側は、パイピング処理を行う編地としてのベース編地11を、終端部まで編成し、終端部のベース編目11x,11a,11bをBBの編針で係止して、さらにベース編目11xに対するニットで伏目ループ13を形成している状態を示す。FBの編針には、ベース編地11の編成途中で、ベース編地の編成に使用する編糸とは異なる編糸で、ベース編地の編目となるベース編目を係止する編針でのタック編成と、その編針が属するBBに対向するFBに属して編目を係止していない空き針への空針ニットでの掛け目でニットループ12a,12b形成とを行っている。これらのニットループ12a,12bを編針で係止しながら、ベース編地11は途中部分に続く終端部まで編成される。ベース編地11は、途中部分から終端部までの途中で折返され、終端部のベース編目11x,11a,11bに対してニットループ12a,12bを利用する伏目処理で接合する。なお、ニットループ12a,12bは、ニット編成の追加を行ってニットの編目に置き替えてもよい。ニット編成の追加は、折り返すベース編地11の編成コース数が多い場合の糸切れ等に対して有効である。
【0020】
伏目処理の開始は、新たな伏目ループ13となる編目を、BBで係止する終端部の編端のベース編目11xに形成して行う。なお、新たな伏目ループ13を形成させる前に、伏目用編糸を供給するキャリア13aの移動で、掛け目13bを形成しておくことが望ましい。掛け目13bを形成することによって、伏目ループ13を形成する編糸が引戻されて減少しにくくすることができる。なお、この掛け目13bは、後で払えばよい。
【0021】
次に、S1工程の下側で、終端部の編目の一つとなるベース編目11xに対応するように形成される伏目ループ13は、終端部のベース編目11x,11a,11bに対向してニットループ12a,12bを係止する編針が属するFBの空き針に目移しされる。この目移しによって、伏目ループ13は、渡り糸13cがニットループ12aの渡り糸12cに対して上側で交差した状態で係止される。このようなS1の工程は、本発明の伏目処理のうちで、伏目ループ係止工程となる。
【0022】
次のS2工程で、終端部のベース編目11x,11a,11bのうち、ベース編目11xに隣接し、伏目ループ13により接合すべきベース編目11aは、目移しされた伏目ループ13を係止するFBに目移しされる。ベース編目11aは、渡り糸11cがニットループ12aの渡り糸12cに対して上側交差した状態で係止される。このようなS2の工程は、本発明の伏目処理のうちで、ベース編目係止工程となる。
【0023】
なお、ベース編目11aは、S1工程で目移しされた伏目ループ13を係止する編針に目移ししてもよい。特に、編針が複合針で、スライダーを利用するホールディングが可能であれば、同一の編針のフックで伏目ループ13を係止しながら、スライダーでベース編目11aを係止することができる。
【0024】
次のS3工程で、伏目ループ13と接合すべきニットループ12aは、対向するBBの空き針に目移しされる。ニットループ12aは、伏目ループ係止工程で目移しした伏目ループ13の渡り糸13cに対して、渡り糸12cが更に上側交差される状態で係止される。このようなS3の工程は、本発明の伏目処理のうちで、ニットループ係止工程となる。
【0025】
次のS4工程で、ベース編目係止工程で係止したベース編目11a、および伏目ループ係止工程で係止した伏目ループ13は、FBからBBへ、ニットループ係止工程で目移ししたニットループ12aを係止する編針に目移しされ、ニットループ12aに順次重ねられ、ニットループ12a、ベース編目11aおよび伏目ループ13による三目の重ね目15が形成される。これによって、伏目ループ係止工程で伏目ループ13を形成した終端部のベース編目11xは、ベース編目係止工程で目移しする終端部のベース編目11aと、伏目ループ13で連結され、ニットループ12aと接合することで、ベース編地11の終端部は途中部分に接合される。このようなS4の工程は、本発明の伏目処理のうちで、伏目ループ接合工程となる。
【0026】
以下、S1からS4の工程を含む伏目処理を繰返し行えば、本発明による編地終端部のパイピング処理を達成することができる。各工程では、渡り糸11c,12c,13cの交差が生じる。伏目ループ接合工程では、伏目ループ13による接合と同時に、ニットループ12aへの渡り糸の交差によって、伏目ループ13が繋がるベース編地11の内側に配置されることで、ベース編地11の巻きを防ぎ、膨らみを抑えることができる。
【0027】
なお、伏目ループ13を編成する編糸を供給するキャリア13aからは、編糸として弾性糸を供給することが好ましい。伏目ループ13を、弾性糸を用いて編成することによって、伏目処理部に適度な伸縮性を持たせることができる。
【実施例2】
【0028】
図3は、本発明の他の実施例として、編地終端部のパイピング処理方法を示す。本実施例は、
図1および
図2の実施例と、S1〜S4の工程は共通であるので、その記載を省略する。
図2のS4の工程に続くS5の工程では、三目の重ね目15に対して新たな伏目ループ13dが形成される。伏目ループ13dに先行して、掛け目13eを形成しておくことが好ましい。
【0029】
次のS6の工程で、伏目ループ13dは、一旦FBに目移しされ、BBを右にずらした後、FBからBBに目移しされ、ベース編目11bに重ねられて、二目の重ね目16が形成される。次のS7の工程で、二目の重ね目16に対して新たな伏目ループ13fが形成される。伏目ループ13fに先行して、掛け目13gを形成しておくことが好ましいのは、伏目ループ13,13dと同様である。ベース編目11bに隣接するベース編目11dを
図1のベース編目11aに、伏目ループ13fを
図1の伏目ループ13に、それぞれ対応させれば、S7の工程は
図1のS1の工程に対応し、以下同様にS7の工程までの処理を繰返せば、三目の重ね目15と二目の重ね目16とを交互に繰返す伏目処理部20を得ることができる。二目の重ね目16にはニットループ12bを含めないので、ニットループ12bを目移しするための空き針を準備する必要が無く、伏目処理を簡易化することができる。
【0030】
図4は、
図1〜3のパイピング処理方法で形成する伏目処理部20と基本的に同様な編目構造を、模式的に示す。
図3に示すような、伏目ループ13d,13fを形成する前に形成する掛け目13e,13gの図示は省略する。本実施例は、伏目ループ13,13d,13fをそれぞれ重ねる接合で、3目の重ね目15と2目の重ね目16とを交互に形成するので、伏目処理部20を薄くすることができ、二目の重ね目16を形成する際に、ニットループ12bを係止するための編針を不要にすることができる。なお、二目の重ね目16を形成する場合、重ね方を逆にしても良い。ベース編目11bを一旦退避させ、伏目ループ13dを目移しした後にベース編目11bを重ねれば良い。
【0031】
本実施例と、
図1および
図2の実施例とで形成される三目の重ね目15では、重なり部分20Aとして示すように、伏目ループ13fがベース編目11b,11dそれぞれの編目に対し、外側に出てから、ニットループ12bに抑えられる形で、内側に配置される。そのために、伏目ループ13fの一部がベース編地の内側に配置されるようになる。なお、紙面の表面側が編地の内側、裏面側が外側にそれぞれ対応する。
【実施例3】
【0032】
図5は、本発明のさらに他の実施例として、筒状編地に適用する編地終端部のパイピング処理方法を示す。T1の工程は、FBおよびBBに、終端部のベース編目11F,11Bをそれぞれ係止し、ベース編地11の途中部分にタックした編糸で形成したニットループ12F,12Bをそれぞれ係止している状態を示す。本発明に従う編地終端部のパイピング処理を行うために、T2の工程で、たとえば、BB側からニットループ12BをFBの空き針に目移しして係止させる。FBの右端には、ベース編目11Fを係止する編針と、ニットループ12Bを係止する編針との間に空き針が生じる。右端のベース編目11Bに対して新たに伏目ループを形成し、そのFBの空き針を利用すれば、他の実施例と同様な伏目処理を行うことができる。T3の工程では、ベース編目11Bをホールディングでそれぞれ右側に移動する。
【0033】
なお、T1の配置では、BBの伏目処理を完了させてから、FBの伏目処理を行う。その伏目処理で、BBのベース編目11Bを編成する際には、ニットループ12Bを対向する針床に移動し、FBのベース編目11Fを編成する際には、ニットループ12Fを対向する針床に移動して行う。また、各実施例では、手袋ばかりではなく、同様の開口部を有する靴下やパンツ、衿を有するセーターなどで、本発明を適用して、編地終端部のパイピング処理を行うことができる。また、伏目処理を行う前の編地は、平編地(天竺)以外のリブ組織でも、同様に、伏目処理による接合部の膨らみを減少させることができる効果がある。
【符号の説明】
【0034】
11 ベース編地
11a,11b,11d,11x ベース編目
11c,12c,13c 渡り糸
12a,12b ニットループ
13,13d,13f 伏目ループ
15 三目の重ね目
16 二目の重ね目