特許第5979938号(P5979938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジシールインターナショナルの特許一覧

特許5979938プラスチックラベル及びプラスチックラベルの製造方法
<>
  • 特許5979938-プラスチックラベル及びプラスチックラベルの製造方法 図000006
  • 特許5979938-プラスチックラベル及びプラスチックラベルの製造方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979938
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】プラスチックラベル及びプラスチックラベルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/02 20060101AFI20160818BHJP
   G09F 3/04 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   G09F3/02 B
   G09F3/04 C
【請求項の数】6
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-79750(P2012-79750)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-210463(P2013-210463A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】重原 吏
(72)【発明者】
【氏名】石田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】大西 直樹
【審査官】 佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/011257(WO,A1)
【文献】 特開2001−296805(JP,A)
【文献】 特開2002−161224(JP,A)
【文献】 特開2003−029638(JP,A)
【文献】 特開2008−063535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F3/00−3/20
B65D23/00−25/56
B32B1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも熱収縮性又は伸縮性を有するラベル基材と、
水性インキを用いて前記ラベル基材の少なくとも片面側に形成された印刷層と、
エネルギー線硬化型インキを用いて前記印刷層上に形成された保護層と、
を備え、
前記保護層は、ラジカル重合性の官能基を1つ有する単官能モノマーを全構成モノマーの70重量%以上含有するモノマー成分を反応固化させてなるバインダ樹脂60〜93体積%と、フィラー7〜35体積%と、を含んで構成されたプラスチックラベル。
【請求項2】
請求項1に記載のプラスチックラベルにおいて、
前記バインダ樹脂は、前記モノマー成分として、前記単官能モノマーを全構成モノマーの70重量%以上含有し、且つラジカル重合性の官能基を2つ有する2官能モノマーを全構成モノマーの5〜30重量%、又はラジカル重合性の官能基を3つ有する3官能モノマーを全構成モノマーの1〜20重量%含有するプラスチックラベル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプラスチックラベルにおいて、
前記バインダ樹脂は、前記モノマー成分としてアクリロイルモルホリン、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートからなる群より選ばれる単官能モノマーを全構成モノマーの50重量%以上含有するプラスチックラベル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラスチックラベルにおいて、
前記フィラーとして、少なくとも酸化チタン、シリカ、アクリルビーズ、ポリエステルビーズ、ポリウレタンビーズ、及びポリオレフィンワックスのいずれかを含有するプラスチックラベル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラスチックラベルにおいて、
前記フィラーとして、ワックスを前記保護層の全体積に対して1〜10体積%含み、且つワックス以外のフィラーを前記保護層の全体積に対して3〜30体積%含む、プラスチックラベル。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラスチックラベルの製造方法であって、
ンクジェット印刷法により前記印刷層を形成する、プラスチックラベルの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックラベルに関し、より詳しくは、水性インキを用いて形成された印刷層を備えるシュリンクラベル、ストレッチラベル、又はストレッチシュリンクラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
ペットボトルなどの容器に装着されるプラスチックラベルとしては、例えば、シュリンクラベル、ストレッチラベル、又はストレッチシュリンクラベルが用いられる。これらのプラスチックラベルには、商品名やイラスト、使用上の注意等を表示するための印刷層がラベル基材上に設けられる。かかる印刷層の形成には、溶剤系インキが用いられる場合が多く、VOC(揮発性有機化合物;Volatile Organic Compounds)の発生が問題視されている。また、溶剤系インキを使用すると、防爆設備やVOC回収設備が必要となり印刷設備が大掛かりなものとなる。
【0003】
そこで、VOCの発生を抑制して環境負荷の低減を図るため、水性インキを用いて印刷層を形成することが提案されている。しかし、かかる印刷層は、耐水性が低いため、例えば、シュリンクフィルムを収縮させるときに使用されるスチームにより、印刷層の剥離や割れ、膨潤、及びこれらに起因する白化等が発生するという問題がある。また、ラベル付き容器が洗浄される場合には、その洗浄水によって、或いはラベル付き容器が冷却される場合には、冷却により発生する結露水によっても、同様の問題が発生する場合がある。
【0004】
かかる状況に鑑みて、特許文献1には、水性インキを用いて形成された印刷層上にトップコート組成物を塗布して、印刷層を保護するトップコート層(保護層)を形成することが開示されている。なお、このトップコート組成物は、(A)水酸基含有アクリル系樹脂、及び(B)ポリイソシアネート系化合物を含有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002‐311832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、印刷層の保護層を設ける場合、かかる保護層は、耐水性が高いだけでなく、シュリンクラベルの熱収縮、或いはストレッチラベルの伸縮に対する追従性に優れることが要求される。一方、この追従性を高めるため、単純に保護層の柔軟性を高めれば、巻き取り時等にブロッキングが発生する恐れがある。また、ラベルを重ねた状態で長期保管した時にもブロッキングが発生する恐れがある。
【0007】
即ち、本発明の目的は、水性インキを用いて形成された印刷層を備えるプラスチックラベルであって、かかる印刷層の上記耐水性の問題を解決できると共に、ラベルの熱収縮や伸縮に対する追従性に優れ、且つブロッキングを抑制できるプラスチックラベルを提供することである。
【0008】
なお、印刷層の形成に広く使用されているグラビア印刷法は、大ロット品の生産には好適であるが、版の作製費用や作製時間がネックとなり、小ロット品の生産には不向きである。そこで、本発明のさらなる目的は、小ロット品の生産に適した方法により製造可能なプラスチックラベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るプラスチックラベルは、少なくとも熱収縮性又は伸縮性を有するラベル基材と、水性インキを用いてラベル基材の少なくとも片面側に形成された印刷層と、エネルギー線硬化型インキを用いて印刷層上に形成された保護層とを備え、保護層は、ラジカル重合性の官能基を1つ有する単官能モノマーを全構成モノマーの70重量%以上含有するモノマー成分を反応固化させてなるバインダ樹脂60〜93体積%と、フィラー7〜35体積%とを含んで構成されていることを特徴とする。
【0010】
当該プラスチックラベルの保護層は、耐水性が高いだけでなく、ラベルの熱収縮や伸縮に対する追従性に優れると共に、ブロッキングを抑制することができる。保護層は、水性インキを用いて形成された印刷層に水分が作用しないように保護し、印刷層の剥離や割れ、膨潤、これらに起因する白化等を抑制できる。そして、保護層は、ブロッキングを抑制しながら、ラベルの熱収縮や伸縮に対する良好な追従性を実現する。
【0011】
本発明に係るプラスチックラベルにおいて、バインダ樹脂は、モノマー成分として、単官能モノマーを全構成モノマーの70重量%以上含有し、且つラジカル重合性の官能基を2つ有する2官能モノマーを全構成モノマーの5〜30重量%、又はラジカル重合性の官能基を3つ有する3官能モノマーを全構成モノマーの1〜20重量%含有することが好適である。
当該プラスチックラベルは、ラベルの熱収縮や伸縮に対する追従性を保持したまま、耐水性やブロッキング防止性をさらに向上させることができる。
【0012】
本発明に係るプラスチックラベルにおいて、バインダ樹脂は、モノマー成分として、アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートからなる群より選ばれる単官能モノマーを全構成モノマーの50重量%以上含有することが好適である。なお、モノマー成分は、アクリロイルモルホリンを全構成モノマーの5〜90重量%含有する、或いは、アクリロイルモルホリンに代えて又はこれに加えて、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートを全構成モノマーの5〜90重量%含有することが好適である。
当該プラスチックラベルは、ラベルの熱収縮や伸縮に対する追従性をさらに向上させることができる。
【0013】
本発明に係るプラスチックラベルでは、フィラーとして、少なくとも酸化チタン、シリカ、アクリルビーズ、ポリエステルビーズ、ポリウレタンビーズ、及びポリオレフィンワックスを含有することが好適である。
当該プラスチックラベルは、良好なブロッキング防止性を有する。
【0014】
本発明に係るプラスチックラベルでは、フィラーとして、ワックスを1〜10体積%含み、且つワックス以外のフィラーを3〜30体積%含むことが好適である。
当該プラスチックラベルは、良好なブロッキング防止性を有する。
【0015】
本発明に係るプラスチックラベルにおいて、印刷層は、インクジェット印刷法により形成することができる。保護層は、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、凸版輪転印刷法などの接触式の印刷法で形成することが好ましく、特にフレキソ印刷法により形成することが好適である。
当該プラスチックラベルは、印刷層の形成に水性インキと非接触式のインクジェット印刷法を適用することで、例えば、溶剤系インキを用いてグラビア印刷した場合と比べて、版の作製費用や作製時間をなくすことができる。また、保護層の形成にフレキソ印刷法等の接触式印刷法を適用することで、例えば、インクジェット印刷法では塗工が難しい大粒径の添加剤を添加することが可能となり、保護層に対してブロッキング防止性だけでなく、滑り性や耐スクラッチ性、耐摩耗性等の特性を付与することができる。さらに、溶剤系インキを使用しないため、防爆設備やVOC回収設備が不要である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、水性インキを用いて形成された印刷層の印刷層の剥離や割れ、膨潤、これらに起因する白化等を抑制できると共に、ラベルの熱収縮や伸縮に対する追従性に優れ、且つブロッキングを抑制できるプラスチックラベルを提供することが可能である。
さらに、小ロット品の生産に適したインクジェット印刷法により印刷層を形成することで、低コスト且つ少ない工程で製造可能なプラスチックラベルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態であるプラスチックラベルを模式的に示す断面図である。
図2】本発明の別の一実施形態であるプラスチックラベルを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を適宜参照しながら、本発明の一実施形態であるラベル10について詳細に説明する。
【0019】
ラベル10は、少なくとも熱収縮性又は伸縮性を有するラベル基材11と、水性インキを用いてラベル基材11の少なくとも片面側に形成された印刷層12と、エネルギー線硬化型インキを用いて印刷層12上に形成された保護層13とを備えている。そして、保護層13は、ラジカル重合性の官能基を1つ有する単官能モノマーを全構成モノマーの70重量%以上含有するモノマー成分を反応固化させてなるバインダ樹脂14を60〜93体積%と、フィラー15を7〜35体積%とを含んで構成されている。
【0020】
図1に例示する形態では、ラベル基材11の片面上にアンカーコート層16が形成されている。アンカーコート層16は、ラベル基材11と印刷層12との密着性を向上させる機能を有する。そして、アンカーコート層16上に印刷層12が形成され、さらに、印刷層12上に保護層13が形成される。保護層13は、印刷層12に水分が作用しないように保護すると共に、ブロッキングを抑制する機能を有する。なお、アンカーコート層16を設けず、ラベル基材11上に印刷層12と保護層13とを順に形成した構成であってもよい。
【0021】
なお、ラベル10は、筒状体に成形されてペットボトル等の容器に装着されるが、アンカーコート層16、印刷層12、保護層13が形成されるラベル基材11の面は、当該筒状体の内側に向いた面であることが好ましい。当該筒状体には、例えば、ラベル10の端縁同士を接合する所謂センターシール部が形成されるため、センターシール部を避けて各層を形成することが好適である。
【0022】
印刷層12は、商品名やイラスト、使用上の注意等を表示するための層であり、デザイン等に応じて、ラベル基材11の片面側の任意の領域に、具体的には、アンカーコート層16上の任意の領域に形成できる。印刷層12は、水性インキを用いて形成され、水溶性又は水分散性のバインダ樹脂と、バインダ樹脂中に分散された色材と、必要により添加される添加剤とを含んで構成されている。なお、印刷層12は、例えば、印刷層12が形成されたラベル基材11(保護層13なし)の耐水性試験(40℃の水中に24時間浸漬)において、印刷層12の剥離、割れ、膨潤、又は白化等の外観不良が見られる水溶性又は水分散性の高い層であることが好ましい。
【0023】
保護層13は、印刷層12上の全域を覆って形成されている。保護層13は、詳しくは後述するように、印刷層12よりも水溶性が低い樹脂又は水分散性が低い樹脂から構成される。また、保護層13は、エネルギー線硬化型インキを用いて形成され、モノマー成分が反応固化している。このため、印刷層12よりも耐水性が高く、下記耐水性試験により外観不良が発生しない。換言すると、下記耐水性試験により外観不良が発生しないものが保護層13として適用される。なお、保護層13の耐水性試験は、保護層13が形成されたラベル基材11を40℃の水中に24時間浸漬した後、保護層13の剥離、割れ、膨潤、又は白化等の外観不良の有無を観察する試験である。
【0024】
また、保護層13は、印刷層12の設けられていない部分の上、つまりアンカーコート層16上にも直接形成されている。図1に示す形態では、印刷層12がアンカーコート層16上の一部の領域に設けられているため、アンカーコート層16上には、印刷層12が存在しない部分が存在する。保護層13は、この部分を埋めるように形成されている。つまり、保護層13は、印刷層12の設けられた領域全体と、その周辺領域とを含むように形成されていることが好ましく、印刷層12上を含むアンカーコート層16上の全域を覆って形成されることが特に好適である。
【0025】
保護層13は、バインダ樹脂14と、バインダ樹脂14中に分散されたフィラー15とを含んで構成されている。そして、一部のフィラー15は、バインダ樹脂14の塗膜からその一部が突出しており、保護層13の表面は凹凸状となっている。この突出したフィラー15により、ブロッキング防止性が発現する。図1に示す形態では、フィラー15の種類、含有量を調整することにより、保護層13に背景印刷層としての機能を持たせることが好適である。例えば、フィラー15として、白色顔料を用いることにより、所謂白ベタ印刷層として機能させることができる。
【0026】
図2に例示する形態では、印刷層12が、商品名やイラスト、使用上の注意等のデザインに基づいて形成されるデザイン印刷層12aと、背景印刷層12bとを含んで構成されている。背景印刷層12bは、デザイン印刷層12a上を含むアンカーコート層16上の全域を覆って形成されている。そして、背景印刷層12b上の全域を覆って保護層13が形成されている。なお、デザイン印刷層12a及び背景印刷層12bは、いずれも水性インキにより形成されている。この形態によれば、層数が増加するものの、フィラー15の選択性が高まる。
【0027】
なお、ラベル10を構成するラベル基材11、及び各層の厚みは、特に限定されないが、好適な厚みは、以下の通りである。
ラベル基材11の厚みは、好ましくは10〜100μmであり、より好ましくは15〜80μm、特に好ましくは20〜60μmである。アンカーコート層16の厚みは、0.1〜5μmが好ましい。印刷層12の厚みは、0.1〜10μmが好ましい。保護層13の厚みは、0.1〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。
【0028】
以下、ラベル10の構成要素の各々について詳説する。
【0029】
<ラベル基材11>
ラベル基材11は、印刷層12の支持体として機能する。ラベル基材11としては、熱収縮性(シュリンク特性)を有するシュリンク基材、伸縮性(ストレッチ特性)を有するストレッチ基材を用いることができる。なお、ラベル基材11として、シュリンク基材を用いた場合には、シュリンクラベルが得られ、ストレッチ基材を用いた場合には、ストレッチラベルが得られる。また、ラベル10は、シュリンク特性とストレッチ特性とを有するストレッチシュリンクラベルであってもよい。
【0030】
ここで、「熱収縮性を有する」とは、シュリンク基材の熱収縮率(90℃の温水中に10秒浸漬)が15%以上であることを意味し、「伸縮性を有する」とは、25%以上伸張が可能で25%伸張させた後の残留ひずみが10%以下、好ましくは5%以下であることを意味する。
【0031】
[シュリンク基材]
シュリンク基材は、ラベル10の強度や剛性、シュリンク特性(熱収縮特性)に主たる影響を及ぼす。シュリンク基材は、特に限定されず、従来公知の樹脂フィルムを用いることができる。シュリンク基材に適用される樹脂フィルムとしては、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)、ポリ乳酸など)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリスチレン系樹脂(スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−イソプレン共重合体など)、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂から選択される1種単独又は2種以上の混合物からなるフィルムが例示できる。また、2種以上のフィルムを積層した積層フィルム、不織布、金属蒸着層、発泡層等との積層フィルムとすることもできる。これらのうち、柔軟性等の観点から、ポリエチレンテレフタレート系樹脂(PET系樹脂)、ポリスチレン系樹脂(PS系樹脂)、ポリプロピレン系樹脂(PP系樹脂)、及びこれらの積層体を用いることが好ましく、PET系樹脂、PS系樹脂を用いることが特に好ましい。なお、上記筒状体の内側に向いた面に印刷層12を形成する場合には、透明な樹脂フィルムを使用することが好適である(ストレッチ基材についても同様)。
【0032】
シュリンク基材は、良好な熱収縮性を発現するために、少なくとも一方向に延伸(一軸延伸)されていることが好ましい。延伸温度は、フィルムを構成する樹脂の種類によっても異なるが、例えば、70〜100℃の温度範囲である。延伸倍率は、例えば、フィルムの主延伸方向に2〜6倍程度であることが好ましい。主延伸方向と直交する方向の収縮、膨張を抑えるために、場合によっては、当該方向にも1.01〜2倍程度の倍率で延伸(二軸延伸)することができる。シュリンク基材の熱収縮率は、主延伸方向に対して、20〜80%であることが好ましく、30〜80%であることが特に好ましい(加熱処理条件:90℃の温水に10秒間浸漬)。主延伸方向に直交する方向に対しては、好ましくは−3〜15%、さらに好ましくは−1〜10%、特に好ましくは−1〜5%である(加熱処理条件:同上)。延伸方式は、ロール方式、テンター方式及びチューブ方式等を使用できる。なお、主延伸方向は、通常、上記筒状体の周方向とされる。
【0033】
[ストレッチ基材]
ストレッチ基材は、ラベル10の強度や剛性、ストレッチ特性(伸縮特性)に主たる影響を及ぼす。ストレッチ基材は、特に限定されず、従来公知のストレッチフィルムを用いることができる。ストレッチ基材に適用される樹脂フィルムとしては、シュリンク基材に適用される樹脂フィルムのうち、柔軟性の高いものが例示できる。好適な樹脂フィルムは、例えば、スチレン‐ジエン共重合体及びその水素添加物(例えば、スチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体エラストマー、その水素添加物であるスチレン‐エチレン‐ブチレン‐スチレンブロック共重合体エラストマー、スチレン‐ブタジエン‐ブチレン‐スチレンブロック共重合体エラストマーなど)、ポリエチレン系樹脂(低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン系触媒を用いた重合により得られるメタロセン系LLDPE、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン‐(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン‐(メタ)アクリル酸共重合体など)、オレフィン系エラストマーなどの熱可塑性樹脂から選択される1種単独又は2種以上の混合物からなるフィルムである。ストレッチ基材は、シュリンク基材と同様に、積層フィルムを用いてもよい。また、ストレッチ基材を延伸することにより、シュリンク特性を付与してストレッチシュリンク基材とすることもできる。
【0034】
ストレッチ基材は、少なくとも上記筒状体の周方向に対して、60%以上伸張し、60%伸張後の残留歪み(瞬間歪み)が10%以下である高伸縮性ストレッチ基材であってもよい。かかる瞬間歪み(%)は、60%の引っ張り試験後に評価サンプルが元の長さに戻らずに変形した度合いを示し、荷重を取り除いた直後に測定される。本実施形態では、引っ張り試験における評価サンプルを引っ張って伸張させる速度を「50mm/分」とする。なお、60%の引っ張り試験とは、クロスヘッド速度一定型又は振子型引張試験機を用いて、所定の荷重(N)を加えてサンプル片の標線間距離が60%となるまで伸ばす試験であり、該試験後に荷重を0(N)に戻したときの標線間距離を読み取って、以下の計算式で瞬間歪み(%)を算出した。
瞬間歪み(%)=100×ΔL2/L2
L2:試験前のサンプル片の標線間距離(mm)
ΔL2:試験後のサンプル片の標線間距離の増加(mm)
【0035】
高伸縮性ストレッチ基材は、ストレッチ特性の観点から、LLDPEを主成分として構成されることが好適であり、メタロセン系触媒を用いて重合された所謂メタロセン系LLDPEを主成分とすることが特に好適である。LLDPEの含有量は、ラベル基材を構成する樹脂の総重量に対して、50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、90重量%以上が特に好ましい。上記LLDPEは、エチレンと、αオレフィンとの共重合体である。αオレフィンとしては、炭素数が3〜20のαオレフィンであることが好ましく、炭素数が4〜8のαオレフィン(例えば、1‐ブテン、1‐ペンテン、4‐メチル‐1‐ペンテン、1‐ヘキセン、1‐ヘプテン、1‐オクテンなど)であることが特に好ましい。αオレフィン成分の含有量は、単量体成分の全重量に対して、1〜20重量%であり、より好ましくは2〜15重量%であり、特に好ましくは5〜10重量%である。
【0036】
上記LLDPEの密度は、0.880〜0.930g/cm3であることが好ましく、0.890〜0.925g/cm3であることがより好ましく、0.900〜0.915g/cm3であることが特に好ましい。密度がこの範囲内であれば、良好なストレッチ特性が得られる。上記LLDPEのメルトフローレート(以下、MFRとする)は、1〜30g/分であることが好ましく、1〜20g/分であることがより好ましく、1〜10g/分であることが特に好ましい。MFRがこの範囲内であれば、ストレッチ特性及び生産性が良好なものとなる。
【0037】
<印刷層12>
印刷層12は、上記のように、水性インキを用いて形成される。水性インキは、例えば、水溶性又は水分散性のバインダ樹脂と、色材と、任意の添加剤(特に、分散剤を含む)と、水系溶媒(水を主成分とする溶媒)とを含有し、水溶性又は水分散性のバインダ樹脂や色材が水系溶媒中に分散又は溶解したインキである。印刷層12は、当該水性インキを用いて、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、凸版輪転印刷法、及びインクジェット印刷法などの従来公知の印刷法により形成することができる。これらの印刷法により、ラベル基材11の片面側の任意の領域に、具体的には、アンカーコート層16上の任意の領域に水性インキを塗工した後、水系溶媒を揮発除去して、水溶性又は水分散性のバインダ樹脂と、色材と、任意の添加剤とを含む印刷層12を形成する。
【0038】
ラベル10が小ロット品である場合には、インクジェット印刷法により印刷層12を形成することが好適である。なお、インクジェット印刷法を適用する場合、ノズルを詰まらせるような大粒径の色材や添加剤を含有したインキは使用できない。この場合、水性インキとして、市販されているインクジェット用の水性インキを使用することが好ましい。
【0039】
[水溶性又は水分散性のバインダ樹脂]
水溶性又は水分散性のバインダ樹脂は、水系溶媒に溶解又は分散可能な樹脂であれば特に限定されず、従来公知のバインダ樹脂を用いることができる。水溶性又は水分散性のバインダ樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂などの合成樹脂、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類、天然ゴムなどの天然高分子から選択される1種単独又は2種以上の混合物が例示できる。
【0040】
上記バインダ樹脂は、その分子構造に、水系溶媒に溶解又は分散するために必要な極性基を有してもよい。代表的なバインダ樹脂として、分子内にカルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。この樹脂はアンモニアや低分子量アミン化合物などによりアンモニウム塩又はアミン塩として使用でき、印刷後、乾燥によりアンモニアや低分子量アミンが脱離してカルボキシル基が遊離化することにより水系溶媒に不溶となるものも用いることができる。また、耐熱水性の向上等を目的として、例えば、多官能のアジリジン化合物、カルボジイミド化合物、ヒドラジド化合物などの公知の硬化剤を添加して、バインダ樹脂を架橋させることもできる。
【0041】
上記バインダ樹脂は、水溶性又は水分散性が高いものが好ましく、印刷層12について耐水性試験(40℃の水中に24時間浸漬)を行うと、例えば、剥離、割れ、膨潤、又は白化等の外観不良が見られる。換言すると、印刷層12のバインダ樹脂には、耐水性試験(40℃の水中に24時間浸漬)において外観不良が見られるような樹脂が用いられることが好適である。
【0042】
[色材]
色材には、水溶性又は水分散性の色材を用いることができる。水分散性の色材とは、着色剤がインキを構成する溶媒に不溶で、微細な顔料粒子を含む分散系を形成する色材、或いは着色剤で着色した高分子ポリマーの分散体からなる色材等である。
【0043】
着色剤の色相としては、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ブルー、グリーン、レッドが好ましく用いられ、特に好ましくはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各着色剤である。
【0044】
また、ポリマー等と共に着色微粒子を形成し色剤となる油溶性染料については、通常カルボン酸やスルホン酸等の水溶性基を有さない有機溶剤に可溶で水に不溶な染料、例えば分散染料等が選ばれる。また、水溶性染料を長鎖の塩基と造塩することにより油溶性を示す染料も含まれ、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料と長鎖アミンとの造塩染料等を用いることができる。
【0045】
着色剤としては、顔料を用いることができる。顔料には、従来公知のものを特に制限なく使用でき、水分散性の顔料、溶剤分散性の顔料等のいずれも使用可能であり、例えば、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料、及びカーボンブラック等の無機顔料を用いることが好適である。
【0046】
不溶性顔料としては、特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
【0047】
好適な顔料として、以下の顔料が例示できる。
マゼンタ又はレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0048】
オレンジ又はイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー15:3、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0049】
グリーン又はシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0050】
他にも、レッド、グリーン、ブルー、中間色が必要とされる場合には、以下の顔料を単独あるいは併用して用いることが好ましく、例えば、C.I.ピグメントレッド209、224、177、194、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.バットバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット19、23、37、C.I.ピグメントグリーン36、7、C.I.ピグメントブルー15:6等が用いられる。また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
【0051】
上記色材の含有量は、色材の種類や目的の色の濃度等に応じて任意に設計できるが、印刷層12の全構成材料に対して、1〜50重量%が好ましく、より好ましくは2〜30重量%である。
【0052】
[添加剤]
印刷層12には、必要に応じて、可塑剤、滑剤、沈降防止剤、分散剤、安定剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、色別れ防止剤、香料、消臭剤等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で含んでいてもよい。
【0053】
分散剤は、着色剤(顔料)の分散に用いられる。分散剤を構成するポリマーとしては、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等から選ばれた1種以上を組み合わせて使用することができる。但し、少なくとも80%以上がベンジルアクリレート又はシクロヘキシルアクリレート、又はその混合物およびアクリル酸の共重合によるポリマーであることが好ましい。また、これらに加えてその他のアクリル酸エステルを併用してもよい。その他のアクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、フェノールEO変性アクリレート、N−ビニルピロリドン、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、2−ヒドロキシエチル−3−フェノキシプロピルアクリレートなど市販のアクリル酸エステルを用いることができる。また、アクリル酸の代わりに、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸ダイマーなども用いることができる。
【0054】
[水系溶剤]
水性媒体としては、水が好ましいが、水と混和する有機溶媒を含んでいてもよい。水と混和する有機溶媒としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、アルキレングリコールから誘導されるモノ又はジエーテル(3−メチル−3−メトキシブタノール(MMB)、2−メトキシエタノール(メチルセロソルブ)、2−エトキシエタノール(エチルセロソルブ)、2−ブトキシエタノール(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなど)、酢酸等のカルボン酸、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性非プロトン性溶媒などが挙げられる。当該有機溶媒の使用量は、水100重量部に対して、50重量部以下であることが好ましい。また、水性媒体は、本発明の主旨を損なわない範囲内で、トルエン、ヘキサン等の非水性有機溶媒を含有していてもよい。
【0055】
<保護層13>
保護層13は、上記のように、エネルギー線硬化型インキを用いて形成される。エネルギー線硬化型インキとしては、可視光線(VR)硬化型インキ、電子線(EB)硬化型インキ、紫外線(UV)硬化型インキが例示でき、UV硬化型インキが特に好ましい。
【0056】
保護層13を形成するUV硬化型インキは、バインダ樹脂14を構成するモノマー成分と、フィラー15とを含有し、例えば、さらに光重合開始剤や消泡剤などの任意の添加剤とを含有する。保護層13は、グラビア印刷やフレキソ印刷、凸版輪転印刷など公知の接触式印刷法により形成できるが、生産性等の観点から、フレキソ印刷法により形成されることが好適である。印刷層12上を含むアンカーコート層16上にUV硬化型インキを塗工した後、塗膜にUVを照射してモノマー成分を反応固化させ、バインダ樹脂14と、フィラー15と、任意で添加剤を含む保護層13を形成する。なお、UVの照射は、UVランプ、UVLEDやUVレーザーなどを用いて行うことができる。照射するUVは、インキ組成によっても異なり、特に限定されないが、硬化性の観点から、波長が200〜460nmのUVが好ましく、また、積算光量は50〜2000(mJ/cm2)が好ましい。
【0057】
保護層13は、保護層13の全体積に対して、60〜93体積%のバインダ樹脂14、及び7〜35体積%のフィラー15を含む。
【0058】
[バインダ樹脂14]
バインダ樹脂14は、モノマー成分として、モノマー成分の全重量に対して、単官能モノマーを70重量%以上、好ましくは80重量%以上含有する。つまり、バインダ樹脂14を硬化させる多官能モノマーは、モノマー成分の全重量に対して、30重量%以下である。ここで、単官能モノマーとは、ラジカル重合性の官能基を1つのみ有するモノマーを意味し、多官能モノマーとは、ラジカル重合性の官能基を複数有するモノマーを意味する。単官能モノマーの含有量を70重量%以上とすることにより、バインダ樹脂14、即ち保護層13の塗膜が比較的柔軟となり、ラベル基材11の熱収縮や伸縮に対する追従性が向上する。単官能モノマーの含有量が70重量%未満の場合、即ち多官能モノマーを30重量%を超えて含有する場合には、バインダ樹脂14が硬くなり、かかる追従性が低下するため好ましくない。
【0059】
上記単官能モノマーとしては、従来公知のエチレン性不飽和単官能モノマーが挙げられ、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどの直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C1−12アルキルエステル等];
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などのカルボキシル基含有重合性不飽和化合物又はその無水物;
2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル[好ましくは(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1−8アルキルエステル等];
(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミドなどのヘテロ環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メチルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、エトキシ化トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート(ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルにも分類できる)などの芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリル酸アミド誘導体;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル類;
スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどのスチレン系化合物;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;
塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル;
メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;
(メタ)アクリロニトリルなどのシアノ基含有ビニル化合物;
エチレン、プロピレンなどのオレフィン類などが挙げられる。
【0060】
具体的に、単官能モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーが好適である。(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの中でも、脂環式炭化水素基、ヘテロ環式炭化水素基、芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。つまり、バインダ樹脂14は、少なくともアクリル系重合体を含む、或いはアクリル系重合体のみから構成されることが好適である。なお、本明細書において、「アクリル系重合体」とは、(メタ)アクリル酸(アクリル酸及び/又はメタクリル酸)及び/又はその誘導体を含むモノマー成分の重合体、即ち、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを含むモノマー成分の重合体を意味する。
【0061】
上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマーのうち、より好ましくは、イソボルニルアクリレート、4−アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートである。
特に好ましくは、アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートである(以下、これら4種のモノマーを「特定モノマー」という場合がある)。
【0062】
上記ノニルフェノールEO変性アクリレートは、下記の式で表される。
【0063】
【化1】
【0064】
上記式中において、mはエチレンオキサイドの平均付加モル数であり、特に限定されないが、約1であることが好ましい。
【0065】
上記パラクミルフェノールEO変性アクリレート(パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート)は、下記の式で表される。
【0066】
【化2】
【0067】
上記式中において、nはエチレンオキサイドの付加モル数であり、特に限定されないが、1又は2の整数であることが好ましく、1が特に好ましい。なお、エチレンオキサイドの平均付加モル数は、特に限定されないが、約1が好ましい。
【0068】
バインダ樹脂14を構成するアクリル系重合体(以下、アクリル系重合体14*とする)は、モノマー成分として、単官能モノマーを70重量%以上含有する。そして、当該単官能モノマーのうち、50重量%以上が上記特定モノマーであることが好適である。特定モノマーの含有量が50重量%未満では、モノマー成分の反応性が低くなり形成される保護層13中に未硬化(未反応)モノマーが残存し易くなって、硬化後の保護層13のガラス転移温度が低くなるため、保護層13の表面タックが大きくなる(ブロッキングし易くなる)場合がある。
【0069】
上記特定モノマーの含有量は、全構成モノマーの重量に対して、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。上記特定モノマーは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。エネルギー線硬化型インキの硬化性向上の観点では、2種以上を併用することが好ましい。2種以上の特定モノマーが含まれる場合、「特定モノマーの含有量」は、全ての特定モノマーの含有量の合計量(合計含有量)である。
【0070】
上記特定モノマーは、反応性が高いため、これらを用いることにより、保護層13中に残存する未硬化(未反応)のモノマー量が少なくなる。また、上記特定モノマーを硬化させて形成したアクリル系重合体14*のガラス転移温度(Tg)は比較的高い。このため、保護層13のタックを低減できる。一般的に、モノマー成分中の単官能モノマーの割合が多くなると、反応性が低くなり、保護層13はタックが大きくなる傾向にあるが、上記特定モノマーを特定量配合することにより、ラベル基材11の熱収縮や伸縮に対する追従性とタックフリー性を両立できる。
【0071】
上記特定モノマーの中でも、硬化反応性が良好で、硬化後のアクリル系重合体14*のガラス転移温度がより高くなり、保護層13のタック低減に有効である観点から、アクリロイルモルホリンが好ましい。アクリロイルモルホリンを用いる場合、全構成モノマー成分の全重量に対して、アクリロイルモルホリンの含有量は、5〜90重量%が好ましく、より好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%である。
【0072】
また、特定モノマーとしては、硬化反応性が良好で、硬化後のアクリル系重合体14*のガラス転移温度がより高くなり、保護層13のタック低減に有効である観点から、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミドも好ましい。N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミドを用いる場合、全構成モノマー成分の全重量に対して、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミドの含有量は、5〜90重量%が好ましく、より好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%である。
【0073】
アクリル系重合体14*を構成するモノマー成分において、多官能モノマーの含有量は、ラベル基材11に対する追従性とタックフリー性との両立の観点から、モノマー成分の全重量に対して30重量%以下である。より詳しくは、2官能モノマーであれば全構成モノマーの5〜30重量%、3官能モノマーであれば全構成モノマーの1〜20重量%含有することが好ましい。
【0074】
多官能モノマーとしては、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジアクリレート、ジ(メタ)アクリロイルイソシアヌレート等の2官能モノマー;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上のモノマーが挙げられる。
【0075】
上記単官能モノマー、上記多官能モノマーは、オリゴマーの形態でエネルギー線硬化型インキに含有されていてもよい。上記オリゴマーの重合度は、特に限定されないが、2〜20が好ましく、より好ましくは5〜15である。
【0076】
バインダ樹脂14は、アクリル系重合体14*以外にも、セルロース系樹脂を含有してもよい。セルロース系樹脂は、上記エネルギー線硬化型インキの粘度を調整する機能を有する。インキの粘度が低い場合には、セルロース系樹脂を加えて粘度を高くすることにより、塗布性(塗工性)を向上させることができる。また、セルロース系樹脂は、上記単官能モノマー、上記多官能モノマーと反応しないため、アクリル系重合体14*の柔軟性は維持したまま、保護層13にある程度の硬さを与え、保護層13の表面タックを低減する。セルロース系樹脂は、特に限定されないが、ニトロセルロース(硝化綿)や、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等のエステル化されたセルロース樹脂が好ましい。中でも、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)が特に好ましい。
【0077】
上記セルロース系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、1万〜15万が好ましく、より好ましくは2万〜10万である。重量平均分子量が1万未満ではインキの粘度が上がらない場合や、保護層13のタック低減の効果が得られない場合がある。一方、重量平均分子量が15万を超えるとインキ中でのセルロース系樹脂の溶解性が悪くなる場合やインキが高粘度となりすぎて、例えば、フレキソ印刷法により保護層13を形成する場合、塗布性が低下する場合がある。
【0078】
上記セルロース系樹脂は、市販品を用いることも可能である。例えば、イーストマンケミカル社製「CAB−381−20、CAB−381−0.5、CAB−551−0.1、CAP−504−0.2、CAP−482−0.5など」、ベルジュラックNC社製「HIGシリーズ」、「LIGシリーズ」などが市場で入手可能である。
【0079】
上記セルロース系樹脂の含有量は、特に限定されないが、100重量部のバインダ樹脂14に対して、0重量部を超え、20重量部以下であり、1〜15重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。セルロース系樹脂の含有量が1重量部未満では、インキの粘度を調整する効果が不十分であり、例えば、フレキソ印刷法を用いたときにインキの塗布性が低下する場合がある。一方、20重量部を超えると、インキが高粘度となりすぎて塗布性が低下する場合や保護層13の性能が低下する場合がある。
【0080】
なお、バインダ樹脂14は、印刷層12のバインダ樹脂と比較して耐水性が高いため、耐水性試験(40℃の水中に24時間浸漬)により保護層13には外観不良が見られない。換言すると、バインダ樹脂14には、少なくとも耐水性試験(40℃の水中に24時間浸漬)において外観不良が見られない程度の耐水性を有する樹脂が用いられる。つまり、バインダ樹脂14は、例えば、そのバインダ樹脂を用いて形成した保護層13を有するラベル基材11の耐水性試験(40℃の水中に24時間浸漬)において、保護層13の剥離、割れ、膨潤、又は白化等の外観不良が見られないバインダ樹脂14であることが好ましい。
【0081】
[フィラー15]
フィラー15は、少なくとも無機系フィラー及び有機系フィラーのいずれかであり、両者を併用することができる。フィラー15の一部は、上記のように、バインダ樹脂14からなる塗膜から部分的に突出しており、保護層13の表面は凹凸状となっている。これにより、ラベル10表面同士の接触を抑制して、ブロッキングの発生を抑制する。また、保護層13は、バインダ樹脂14として上記特定モノマーを含有するアクリル系重合体14*を用いることによりタック性の発現を抑えることにより、より確実にブロッキングを抑制できる。
【0082】
フィラー15の含有量は、保護層13の全体積に対して、7〜35体積%であり、8〜31体積%が好ましく、10〜25体積%がより好ましい。フィラー15の含有量が7体積%未満になると、ブロッキングが発生し易くなり、一方、フィラー15の含有量が35体積%を超えると、印刷性が悪化して均質な保護層13を形成することが難しくなる。
【0083】
上記無機系フィラーとしては、例えば、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、珪酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、窒化ホウ素、窒化アルミナ、窒化炭素、カーボンブラック、ホワイトカーボン、ガラス短繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シラスバルーン、及びこれらの表面処理物などが挙げられる。
【0084】
上記有機系フィラーとしては、ラベル10の製造時や使用時に溶けてしまわない程度の耐熱性を有するものであれば特に限定されず、各種樹脂ビーズ(例えば、アクリルビーズ、ポリエステルビーズ、ポリウレタンビーズなど)が挙げられる。また、ポリシロキサン系樹脂から構成されるビーズや樹脂ビーズ中に上記無機系フィラーが分散されたビーズなどの有機無機複合ビーズを用いてもよい。また、有機系フィラーとして、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレン系ワックス等のポリオレフィン系ワックス、脂肪酸アマイド、脂肪酸エステル、パラフィンワックス、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、カルナウバワックス等のワックスを用いることができる。これらワックスは、例えば、ラベル10表面の滑り性を改良する機能を有する。例えば、ワックスは、ブロッキングを抑制するために、その含有量は、例えば、保護層13の全体積に対して、1〜10体積%が好ましく、3〜7体積%がより好ましい。ワックスとしては、ポリオレフィンワックスを用いることが特に好ましい。
【0085】
フィラー15としては、特にワックスとワックス以外のフィラーとを併用する場合が好ましく、この場合、前者を1〜10体積%、後者を3〜30体積%とすることが好ましく、前者を3〜7体積%、後者が4〜28体積%とすることがより好ましい。特に、後者は4〜22体積%であることが好ましい。
【0086】
保護層13を背景印刷層とする場合(図1に例示する形態)には、通常、フィラー15として白色のものを用いることが好適であり、例えば、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム等が好適である。また、材料コストやブロッキング防止性、印刷適正や白色度等の観点から酸化チタンが特に好ましい。
【0087】
フィラー15の粒径(レーザー回折式粒径測定装置により測定されるメディアン径)は、ブロッキング防止性等の観点から、保護層13のバインダ樹脂のみを塗工したときの塗膜の厚みの10%以上の粒径を有することが好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上が特に好ましいが、これには限定されない。具体的には、フィラー15の粒径は、0.1〜10μmが好適であり、0.3〜3μmが特に好適である。
【0088】
フィラー15の形状としては、特に限定されず、例えば、球状、紡錘状、針状、燐片状(板状又はフレーク状)であり、表面凹凸を有していてもよい。フィラー15は、例えば、機械的粉砕法等により得られる、粒度分布が広くて種々の形状のものを含む粒状物であってもよく、ゾルゲル法やシード重合法等により得られる、粒度分布が狭くて球形度の高い粒状物であってもよい。
【0089】
[添加剤]
添加剤としては、光重合開始剤、消泡剤、色材、可塑剤、沈降防止剤、分散剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、香料、消臭剤等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で含んでいてもよい。
【0090】
上記エネルギー線硬化型インキは、バインダ樹脂14を構成するモノマー成分(重合性成分)、フィラー15、必要に応じて、光重合開始剤、セルロース系樹脂、色材、及びその他の添加剤などの各成分を配合し、混合して製造することができる。混合は、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、ポニーミキサー、ディゾルバー、タンクミキサー、ホモミキサー、ホモディスパーなどのミキサーや、ペイントシェイカー、ロールミル、サンドミル、ボールミル、ビーズミル、ラインミルなどのミル、ニーダーなどが用いられる。混合の際の混合時間(滞留時間)は、特に限定されないが、10〜120分が好ましい。得られたインキは、必要に応じて、濾過してから用いてもよい。
【0091】
上記光重合開始剤としては、特に限定されないが、光ラジカル重合開始剤が好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルケタール類、アセトフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アセトフェノン誘導体、ベンジル、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、α−アシロキシムエステル、チオキサントン誘導体、アントラキノン誘導体、芳香族過酸化エステル類などが挙げられる。これらは単独もしくは2種以上を混合して使用される。光ラジカル重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、インキの総重量に対して、0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは1〜7重量%である。
【0092】
上記光重合開始剤としては、市販品を用いることも可能であり、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名「DAROCUR TPO」、「IRGACURE 184、651、2959、907、369、1700、1800、1850、819」、「DAROCUR 1173」などが挙げられる。
【0093】
また、上記エネルギー線硬化型インキは、塗布性やインキ中の各成分の相溶性や分散性を改良する目的で、少量の溶剤(例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メチルアルコール、エチルアルコールなどの有機溶媒や水)を含むことができる。但し、上記エネルギー線硬化型インキは、無溶剤でも、優れた塗布性、含有成分同士の分散性を発揮でき、無溶剤で用いることができる、又は溶剤の量を極めて少なくできるため、溶剤の除去が不要となり、高速化、コストダウンがはかれるほか、環境負荷を少なくすることが可能である。なお、硬化後の印刷層に取り込まれる反応性希釈剤はこれに含まれない。
【0094】
上記エネルギー線硬化型インキの粘度(23±2℃)は、特に限定されないが、例えば、フレキソ印刷により塗工される場合には、10〜3000mPa・sが好ましく、より好ましくは20〜1000mPa・sである。粘度が3000mPa・sを超える場合には、フレキソ印刷性が低下し、「かすれ」などが生じて、加飾性が低下する場合がある。また、粘度が10mPa・s未満の場合には、顔料や添加剤が沈降しやすくなる等、貯蔵安定性が低下する場合がある。インキの粘度は、各配合成分の配合比、増粘剤、減粘剤等によって制御することが可能である。なお、本明細書中、「粘度」とは、特に限定しない限り、E型粘度計(円錐平板形回転粘度計)を用い、23±2℃、円筒の回転数50回転の条件下、JIS Z 8803に準じて測定した値を意味している。
【0095】
<アンカーコート層16>
アンカーコート層16は、ラベル基材11と印刷層12との密着性を向上させることが可能なものであれば特に限定されず、従来公知のアンカーコート用樹脂を含有するアンカーコート剤を用いて形成できる。アンカーコート用樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂やポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂が好適である。
【0096】
アンカーコート層16は、グラビア印刷法やフレキソ印刷法、インクジェット印刷法等の公知の印刷法によりラベル基材11上に形成することができる。アンカーコート層16の厚みは、0.3〜5μmが好ましい。
【実施例1】
【0097】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例におけるラベルの保護層の構成材料、配合量、及びラベルの評価結果を表1及び表2にそれぞれ示す。
【0098】
<実施例1>
(ラベル基材)
ラベル基材(シュリンク基材)として、表層がPET系、中心層がPS系のシュリンクフィルム(グンゼ(株)製、商品名「HGSA」、厚み:45μm、主配向方向の熱収縮率(90℃、10秒):60%)を用いた。
【0099】
(アンカーコート層の形成)
アンカーコート層は、アクリル系樹脂を含有するアンカーコート剤を用い、ラベル基材の表面に対してグラビア印刷法によって形成した。
【0100】
(印刷層用の水性インキ)
印刷層用の水性インキとして、インクジェット印刷機用水性インキ(エプソン製の標準インクカートリッジ(型番IC6LC32))を用いた。
【0101】
(保護層用のエネルギー線硬化型インキ)
単官能モノマー成分として、アクリロイルモルホリン((株)興人製、商品名「ACMO」:特定モノマー)39重量部、及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート(東亞合成(株)製、商品名「アロニックスM−5700」:特定モノマー)34重量部を用いた。多官能モノマー成分として、3官能ウレタンアクリレート(サートマー(株)製、商品名「CN929」)3重量部を用いた。
フィラーとして、酸化チタン(テイカ(株)製、商品名「JR−707」)15重量部、及び酸化ポリエチレン系ワックス(クラリアントジャパン(株)製、商品名「Ceridust 3715」)3重量部を用いた。
光重合開始剤として、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド5重量部を用いた。
消泡剤として、有機変性ポリシロキサン1重量部を用いた。
ホモディスパーを用いて上記各成分を混合し、エネルギー線硬化型インキを作製した。作製したエネルギー線硬化型インキにおいて、全構成モノマーに対する単官能モノマーの割合は96.1重量%、保護層の全構成成分に対するバインダ樹脂の割合は84.4体積%、保護層の全構成成分に対するフィラーの割合は8.2体積%である。
【0102】
(シュリンクラベル)
アンカーコート層が設けられたシュリンク基材のアンカーコート層の上に、上記水性インキを塗工し、乾燥して、印刷層を形成した。
印刷層は、インクジェット印刷機(エプソン製、商品名「Colorio PM−G730」)を使用して形成した。
保護層は、印刷層の上に、フレキソ印刷機(RK Print Coat Instruments Ltd.製、商品名「RK フレキシプルーフ100」)及び80L/cmのアニロックスを使用して工程速度50m/分で上記エネルギー線硬化型インキ塗工した後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズジャパン(株)製、商品名「LIGHT HAMMER−10」:H+バルブ)を用いて、ランプ出力120W/cm、工程速度50m/分の条件で2回(2パス)、紫外線照射を行い、塗膜を硬化させて形成した。
こうして、シュリンク基材の上に、厚みが1μmのアンカーコート層、厚みが1μmの印刷層、厚みが2.5μmの保護層をこの順に備えたシュリンクラベルを得た。
【0103】
<実施例2〜4,7>
上記エネルギー線硬化型インキの構成成分の配合比を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にしてシュリンクラベルを作製した。
【0104】
<実施例5>
上記エネルギー線硬化型インキの上記フィラーとして、酸化チタン(テイカ(株)製、商品名「JR−707」)に替えて、酸化チタン(テイカ(株)製、商品名「JR−809」)を用いた以外は、実施例3と同様にしてシュリンクラベルを作製した。
【0105】
<実施例6>
上記エネルギー線硬化型インキの上記フィラーとして、酸化チタン(テイカ(株)製、商品名「JR−707」)に替えて、酸化チタン(テイカ(株)製、商品名「JR−405」)を用いた以外は、実施例3と同様にしてシュリンクラベルを作製した。
【0106】
<実施例8>
上記エネルギー線硬化型インキの上記フィラーとして、酸化チタン(テイカ(株)製、商品名「JR−707」)に替えて、シリカ(TOSOシリカ(株)製、商品名「ニップシールE−1030」)を用い、インキ構成成分の配合比を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にしてシュリンクラベルを作製した。
【0107】
<実施例9>
上記エネルギー線硬化型インキの上記フィラーとして、酸化チタン(テイカ(株)製、商品名「JR−707」)に替えて、アクリルビーズ(日本触媒(株)製、商品名「エポスターMA−1006」)を用いて、インキ構成成分の配合比を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にしてシュリンクラベルを作製した。
【0108】
<実施例10>
上記エネルギー線硬化型インキの上記多官能モノマーとして、3官能ウレタンアクリレート(サートマー(株)製、商品名「CN929」)に替えて、ポリエステルジアクリレート(東亞合成(株)製、商品名「アロニックスM−6250」)を用いた以外は、実施例7と同様にしてシュリンクラベルを作製した。
【0109】
<実施例11>
上記エネルギー線硬化型インキの構成成分の配合比を表1に示すものに変更した以外は、実施例10と同様にしてシュリンクラベルを作製した。
【0110】
<実施例12>
上記エネルギー線硬化型インキの上記多官能モノマーとして、3官能ウレタンアクリレート(サートマー(株)製、商品名「CN929」)に替えて、ポリプロピレングリコールジアクリレート(東亞合成(株)製、商品名「アロニックスM−220」)を用いた以外は、実施例7と同様にしてシュリンクラベルを作製した。
【0111】
<実施例13>
上記エネルギー線硬化型インキの単官能モノマー成分として、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート(東亞合成(株)製、商品名「アロニックスM−5700」:特定モノマー)に替えて、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド(東亞合成(株)製、商品名「アロニックスM−140」:特定モノマー)を用いた以外は、実施例3と同様にしてシュリンクラベルを作製した。
【0112】
<実施例14>
上記エネルギー線硬化型インキの単官能モノマー成分として、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート(東亞合成(株)製、商品名「アロニックスM−5700」:特定モノマー)に替えて、パラクミルフェノールEO変性アクリレート(東亞合成(株)製、商品名「アロニックスM−110」:特定モノマー)を用いた以外は、実施例3と同様にしてシュリンクラベルを作製した。
【0113】
<実施例15>
上記エネルギー線硬化型インキの単官能モノマー成分として、アクリロイルモルホリン((株)興人製、商品名「ACMO」:特定モノマー)に替えて、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド(東亞合成(株)製、商品名「アロニックスM−140」:特定モノマー)を用いた以外は、実施例3と同様にしてシュリンクラベルを作製した。
【0114】
<実施例16>
上記エネルギー線硬化型インキの単官能モノマー成分として、アクリロイルモルホリン((株)興人製、商品名「ACMO」:特定モノマー)に替えて、パラクミルフェノールEO変性アクリレート(東亞合成(株)製、商品名「アロニックスM−110」:特定モノマー)を用いた以外は、実施例3と同様にしてシュリンクラベルを作製した。
【0115】
<実施例17>
上記エネルギー線硬化型インキの上記多官能モノマーとして、3官能ウレタンアクリレート(サートマー(株)製、商品名「CN929」)に替えて、3官能ウレタンアクリレート(サートマー(株)製、商品名「CN972」)に替えて、を用いた以外は、実施例3と同様にしてシュリンクラベルを作製した。
【0116】
<比較例1>
上記エネルギー線硬化型インキの単官能モノマー成分として、アクリロイルモルホリン((株)興人製、商品名「ACMO」:特定モノマー)39重量部、及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート(東亞合成(株)製、商品名「アロニックスM−5700」:特定モノマー)34重量部に替えて、アクリロイルモルホリン88重量部を用い、上記フィラーを添加しない以外は、実施例1と同様にしてシュリンクラベルを作製した。
【0117】
<比較例2>
上記エネルギー線硬化型インキの単官能モノマー成分として、アクリロイルモルホリン((株)興人製、商品名「ACMO」:特定モノマー)に替えて、N‐アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド(東亞合成(株)製、商品名「アロニックスM−140」:特定モノマー)を用いた以外は、比較例1と同様にしてシュリンクラベルを作製した。
【0118】
<比較例3>
上記エネルギー線硬化型インキの単官能モノマー成分として、アクリロイルモルホリン((株)興人製、商品名「ACMO」:特定モノマー)に替えて、パラクミルフェノールEO変性アクリレート(東亞合成(株)製、商品名「アロニックスM−110」:特定モノマー)を用いた以外は、比較例1と同様にしてシュリンクラベルを作製した。
【0119】
<比較例4>
上記エネルギー線硬化型インキの単官能モノマー成分として、アクリロイルモルホリン((株)興人製、商品名「ACMO」:特定モノマー)に替えて、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート(東亞合成(株)製、商品名「アロニックスM−5700」:特定モノマー)を用いた以外は、比較例1と同様にしてシュリンクラベルを作製した。
【0120】
<比較例5,6>
上記エネルギー線硬化型インキの構成成分の配合比を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にしてシュリンクラベルを作製した。
【0121】
(評価)
実施例及び比較例で得られたシュリンクラベルについて、表面タック性、インキ密着性(耐剥離性、耐もみ性)、シュリンク加工に対する追従性(シュリンク追従性)、ブロッキング防止性を以下の方法で評価した。なお、実施例及び比較例において、シュリンクラベルの主配向方向は、ラベル基材であるシュリンクフィルムの主配向方向である。
【0122】
(1)表面タック性(タックフリー性)
実施例及び比較例で、シュリンクラベルを作製した直後(紫外線照射による硬化処理直後)に、シュリンクラベルの保護層の表面を指で触り、タック(粘性)の有無により以下の基準で判断した。
タックが全くない(タックフリー):タックフリー性良好(○)
タックがある:タックフリー性不良(×)
【0123】
(2)インキ密着性
(測定用サンプル)
実施例及び比較例で得られたシュリンクラベルから、12cm(主配向方向に対して直交方向)×12cm(主配向方向)の大きさのラベル片を切り出した。上記ラベル片の主配向方向の両端[治具によりチャックされる部分(両端部でそれぞれ10mmずつ)を除き、100mm間隔]を、50mm間隔に固定できる治具に固定した(熱収縮処理前はたるんだ状態である)。上記治具に両端を固定したラベル片を、90℃の温水に20秒間浸漬して熱処理し、ラベル片を熱収縮処理前と比較して50%の長さになるように熱収縮させた(主配向方向に50%熱収縮させた)。このようにして、主配向方向に50%熱収縮させた測定用サンプルを得た。
(2−1)耐剥離性(テープ剥離試験)
碁盤目のクロスカットを入れない以外は、JIS K 5600−5−6に準じて、試験を行った。上記測定用サンプルの保護層の表面に、幅18mmの粘着テープ(ニチバン(株)製、商品名「セロテープ(登録商標)」)を貼り付け、この粘着テープを90度方向に引き剥がした。
粘着テープを貼り付けた保護層の表面のうち、5mm(主配向方向に対して直交方向)×5mm(主配向方向)の領域において、保護層の剥離面積(割合)を目視で観察し、下記の基準で判断した。
保護層の剥離がない(保護層の剥離面積が0%である):耐剥離性良好(○)
保護層の剥離面積が0%より大きく30%未満である:使用可能なレベル(△)
保護層の剥離面積が30%以上である:耐剥離性不良(×)
(2−2)耐もみ性(もみ試験)
上記測定用サンプルの両端を両手でつかみ、10回手でもんだ。保護層が剥離していないか(保護層の残存面積(割合))を目視で観察し、以下の基準で評価した。
保護層の残存面積が90%以上である:耐もみ性良好(○)
保護層の残存面積が90%未満である:耐もみ性不良(×)
【0124】
(3)シュリンク追従性
上記主配向方向に50%熱収縮させた測定用サンプルのゆず肌の有無を、それぞれ観察し、以下の基準で判断した。
ゆず肌(表面凹凸)がない:シュリンク追従性良好(○)
指で触ると確認できる程度のゆず肌がある(目視ではわからない):使用可能なシュリンク追従性(△)
目視で確認できる程度のゆず肌がある:シュリンク追従性不良(×)
【0125】
(4)ブロッキング防止性
上記作製された直後のシュリンクラベル(未収縮品)を2つ準備し、その保護層同士を重ね合わせて0.2MPaの荷重を加えた状態で24時間静置した後、2つのサンプルを引き剥がして、以下の基準で判断した。なお、24時間静置するときの温度・湿度の条件は、常温・常湿条件(温度:22℃±2℃)及び加温・加湿条件(温度:40℃、湿度:80%)とした。
剥離抵抗感なし:ブロッキング防止性良好(○)
剥離抵抗感はあるが、保護層のインキ剥がれ、転移はない:使用可能なブロッキング防止性(△)
保護層のインキ剥がれ、転移はないがある:ブロッキング防止性不良(×)
【0126】
【表1】
【0127】
【表2】
【0128】
表1に示すように、実施例のシュリンクラベルは、いずれも、表面タック性、インキ密着性、ブロッキング防止性が良好であった。特に、フィラーを8.2〜23.0体積%(保護層の全構成成分に対して)添加したことにより、良好なブロッキング防止性が実現されている。なお、フィラーの種類を変更した場合(実施例5,6,8,9)にも良好なブロッキング防止性が得られた。
【0129】
これに対して、表2に示すように、保護層のフィラーの含有量が3.3体積%又は6.5体積%と少ない比較例1〜5のシュリンクラベルは、いずれも、表面タック性、インキ密着性は良好であるものの、ブロッキング防止性が不良であった。一方、当該フィラー(酸化チタン)の量を39.4体積%と多くし過ぎると(比較例6)、インキが増粘して保護層を印刷することができない。
【0130】
つまり、全構成モノマーに対して、単官能モノマーを全構成モノマーの70重量%以上含有し、且つ2官能モノマーを5〜30重量%、又は3官能モノマーを1〜20重量%含有するモノマー成分を反応固化させてなるバインダ樹脂60〜93体積%と、フィラー7〜35体積%とを含んで構成された保護層は、インキ密着性が良好でブロッキング防止性に優れる。かかる保護層によれば、水性インキを用いて形成された印刷層の剥離、割れ、膨潤、又は白化等の外観不良を高度に防止することができる。
【符号の説明】
【0131】
10 ラベル、11 ラベル基材、12 印刷層、13 保護層、14 バインダ樹脂、15 フィラー、16 アンカーコート層。
図1
図2