(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の計量部に被計量物が手動で載せられ、各計量部の前記被計量物の重量値に基づいて組合せ演算を行って、最適組合せとして選択された計量部に載せられている被計量物が手動で降ろされる組合せ秤であって、
前記被計量物の組合せ個数を実質的に含む設定情報が設定される設定手段と、
前記各計量部の前記被計量物の重量値に基づいて前記組合せ演算を行って、組合せ重量値が許容重量範囲内の前記最適組合せを選択する組合せ演算手段と、
前記設定情報に基づいて、選択情報を出力する選択情報出力手段とを備え、
前記選択情報出力手段は、前記複数の計量部を、各計量部に載せられる前記被計量物の載置個数がグループ毎に異なる複数のグループに区分したときに、前記グループ毎の前記載置個数と、前記組合せ個数となるように選択される前記グループ毎の計量部の選択数との選択可能な組合せを含む選択情報を、計量作業を行っていない状態で出力するものであり、
前記組合せ演算手段は、前記グループ毎の計量部の前記選択数に応じた前記組合せ演算が可能である、
ことを特徴とする組合せ秤。
前記選択情報出力手段は、前記選択可能な計量部の組合せの数と、前記許容重量範囲内となる前記組合せ重量値が存在する前記確率とに基づいて、前記最適組合せの成立性に関する組合せ成立指標を算出し、算出した組合せ成立指標を前記選択情報として出力する、
請求項5に記載の組合せ秤。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、個数を指定した組合せ計量の場合に、各計量皿に1個ずつ被計量物を載せる方が、最も組合せの数が多くなるので、組合せ演算が成立する確率は高くなる。
【0008】
しかしながら、各計量皿に被計量物を1個ずつ載せ、組合せ演算が成立して最適組合せの各計量皿から1個ずつ被計量物を降ろすのは、例えば、上述の5本入りのパック用の計量を行うような場合には、5皿の各計量皿に1本ずつニンジンをそれぞれ載せ、最適組合せの5皿の各計量皿から1本ずつニンジンを降ろす必要があり、作業性が悪い。
【0009】
そこで、組合せ演算が成立する確率を多少犠牲にしても、計量皿への被計量物の載せ降ろしの回数を少なくして作業性を高めることが考えられるが、従来の組合せ秤では、計量皿への被計量物の載せ方として、どのような載せ方を選択することができるか、その載せ方では、被計量物の載せ降ろしの回数などの作業性はどうなるかといった有用な情報を作業者に提供することができず、このため、作業者は、限られた被計量物の載せ方を採用して組合せ計量作業をせざるを得ないという課題がある。
【0010】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、個数を指定した組合せ計量を行う場合に、計量部への被計量物の載せ方を選択するのに有用な情報を提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明では、次のように構成している。
【0012】
(1)本発明の組合せ秤は、複数の計量部に被計量物が手動で載せられ、各計量部の前記被計量物の重量値に基づいて組合せ演算を行って、最適組合せとして選択された計量部に載せられている被計量物が手動で降ろされる組合せ秤であって、前記被計量物の組合せ個数を実質的に含む設定情報が設定される設定手段と、前記各計量部の前記被計量物の重量値に基づいて前記組合せ演算を行って、組合せ重量値が許容重量範囲内の前記最適組合せを選択する組合せ演算手段と、前記設定情報に基づいて、選択情報を出力する選択情報出力手段とを備え、前記選択情報出力手段は、前記複数の計量部を、各計量部に載せられる前記被計量物の載置個数がグループ毎に異なる複数のグループに区分したときに、前記グループ毎の前記載置個数と、前記組合せ個数となるように選択される前記グループ毎の計量部の選択数との選択可能な組合せを含む選択情報を
、計量作業を行っていない状態で出力するものであり、前記組合せ演算手段は、前記グループ毎の計量部の前記選択数に応じた前記組合せ演算が可能である。
【0013】
被計量物の組合せ個数が実質的に含まれるとは、被計量物の組合せ個数が設定情報として直接的に含まれる場合、あるいは、被計量物の組合せ個数を算出することができる情報が設定情報に含まれることによって、被計量物の組合せ個数が間接的に含まれる場合をいう。被計量物の組合せ個数を算出することができる情報としては、例えば、組合せ目標重量(または許容重量範囲の下限値)及び被計量物の平均重量などをいい、組合せ目標重量(または許容重量範囲の下限値)を被計量物の平均重量で除算することによって、被計量物の組合せ個数とすることができる。
【0014】
グループの数は、設定情報に含めて設定できるようにしてもよいが、グループ数を、例えば、二つに固定してもよい。
【0015】
グループ毎の計量部の数は、種々選択できるようにするのが好ましいが、各グループの計量部の数を、例えば、同数に固定してもよい。
【0016】
組合せ個数となるように選択される前記グループ毎の計量部の選択数とは、グループ毎の選択される計量部の数であり、組合せ演算が成立したときに、最適組合せとして選択されるグループ毎の計量部の数である。したがって、組合せ演算が成立したときに、その計量部から被計量物が降ろされることになるので、被計量物を降ろす計量部の数となる。この計量部の選択数が多ければ、被計量物の載せ降ろしの回数が増え、少なければ、被計量物の載せ降ろしの回数が減ることになるので、ユーザは、この計量部の選択数に基づいて、作業性を判断することができる。
【0017】
このグループ毎の計量部の選択数は、グループ毎に種々選択できるようにするのが好ましいが、例えば、特定のグループについては、計量部の選択数を、例えば1つに固定してもよく、この場合、計量部の選択数が固定された特定のグループについては、計量部の選択数を、選択情報から除外するようにしてもよい。
【0018】
選択情報出力手段は、選択情報を、表示出力、印字出力、音声出力、あるいは、他の出力機器へ送信出力するものであってもよく、それら出力を組合せてもよい。
【0019】
選択情報は、複数のグループ毎の各計量部に載置される被計量物の載置個数と、選択されるグループ毎の計量部の選択数との選択可能な組合せを含むので、グループ毎の前記載置個数とグループ毎の計量部の選択数とを対応させて作表し、表示するのが好ましい。
【0020】
組合せ演算手段は、グループ毎の計量部の選択数に応じた組合せ演算が可能である。例えば、複数の計量部を、第1,第2の二つのグループに区分し、第1グループの計量部の選択数が1であり、第2グループの計量部の選択数が2であるとすると、組合せ演算手段は、第1グループの計量部の中のいずれか1つの計量部の重量値と、第2グループの計量部の中のいずれか2つの計量部の各重量値とを種々組合せてその組合せ重量値が、許容重量範囲内となる最適組合せを選択することが可能である。
【0021】
本発明の組合せ秤によると、複数の計量部を、被計量物の載置個数を異ならせた複数のグループに区分したときに、グループ毎の各計量部への被計量物の載置個数と、グループ毎の選択される計量部の選択数との選択可能な種々の組合せが出力されるので、ユーザは、各計量部への被計量物の載置個数をグループ毎に異ならせた場合に、どのような載せ方を選択することができるかを把握できると共に、グループ毎の計量部の選択数から被計量物の載せ降ろしの回数を把握することができるので、作業性を考慮しながら、適切な被計量物の載せ方を選択することが可能となる。
【0022】
(2)本発明の組合せ秤
は、複数の計量部に被計量物が手動で載せられ、各計量部の前記被計量物の重量値に基づいて組合せ演算を行って、最適組合せとして選択された計量部に載せられている被計量物が手動で降ろされる組合せ秤であって、前記被計量物の組合せ個数を実質的に含む設定情報が設定される設定手段と、前記各計量部の前記被計量物の重量値に基づいて前記組合せ演算を行って、組合せ重量値が許容重量範囲内の前記最適組合せを選択する組合せ演算手段と、前記設定情報に基づいて、選択情報を出力する選択情報出力手段とを備え、前記選択情報出力手段は、前記複数の計量部を、各計量部に載せられる前記被計量物の載置個数がグループ毎に異なる複数のグループに区分したときに、前記グループ毎の前記載置個数と、前記組合せ個数となるように選択される前記グループ毎の計量部の選択数との選択可能な組合せを含む選択情報を出力するものであり、前記組合せ演算手段は、前記グループ毎の計量部の前記選択数に応じた前記組合せ演算が可能であり、前記選択情報出力手段は、前記グループ毎の前記計量部の数と、前記グループ毎の前記載置個数と、前記組合せ個数となるように選択される前記グループ毎の計量部の前記選択数との選択可能な組合せを含む前記選択情報を出力する。
【0023】
本発明の組合せ秤によると、グループ毎の前記載置個数とグループ毎の計量部の前記選択数との選択可能な組合せに、グループ毎の計量部の数が加わるので、ユーザが選択できる組合せの数が増えることになり、より多くの被計量物の載せ方の中から選択することが可能となる。
【0024】
(3)本発明の組合せ秤
は、複数の計量部に被計量物が手動で載せられ、各計量部の前記被計量物の重量値に基づいて組合せ演算を行って、最適組合せとして選択された計量部に載せられている被計量物が手動で降ろされる組合せ秤であって、前記被計量物の組合せ個数を実質的に含む設定情報が設定される設定手段と、前記各計量部の前記被計量物の重量値に基づいて前記組合せ演算を行って、組合せ重量値が許容重量範囲内の前記最適組合せを選択する組合せ演算手段と、前記設定情報に基づいて、選択情報を出力する選択情報出力手段とを備え、前記選択情報出力手段は、前記複数の計量部を、各計量部に載せられる前記被計量物の載置個数がグループ毎に異なる複数のグループに区分したときに、前記グループ毎の前記載置個数と、前記組合せ個数となるように選択される前記グループ毎の計量部の選択数との選択可能な組合せを含む選択情報を出力するものであり、前記組合せ演算手段は、前記グループ毎の計量部の前記選択数に応じた前記組合せ演算が可能であり、前記設定情報には、前記複数の計量部の内、前記被計量物の計量に使用する計量部の数を含み、前記選択情報出力手段は、使用する複数の計量部を前記複数のグループに区分すると共に、区分したグループ毎の前記選択情報を出力する。
【0025】
被計量物の計量に使用する計量部は、前記複数の計量部の内の全ての計量部としてもよい。
【0026】
本発明の組合せ秤によると、ユーザは、使用する計量部の数を設定することができるので、例えば、作業を行う人数等に応じて使用する計量部の数を選択することができる。
【0027】
なお、本発明の他の実施態様として、当該組合せ秤に備えられている計量部の全てを使用するものとし、使用する計量部の数の設定を不要としてもよい。
【0028】
(4)本発明の組合せ秤
は、複数の計量部に被計量物が手動で載せられ、各計量部の前記被計量物の重量値に基づいて組合せ演算を行って、最適組合せとして選択された計量部に載せられている被計量物が手動で降ろされる組合せ秤であって、前記被計量物の組合せ個数を実質的に含む設定情報が設定される設定手段と、前記各計量部の前記被計量物の重量値に基づいて前記組合せ演算を行って、組合せ重量値が許容重量範囲内の前記最適組合せを選択する組合せ演算手段と、前記設定情報に基づいて、選択情報を出力する選択情報出力手段とを備え、前記選択情報出力手段は、前記複数の計量部を、各計量部に載せられる前記被計量物の載置個数がグループ毎に異なる複数のグループに区分したときに、前記グループ毎の前記載置個数と、前記組合せ個数となるように選択される前記グループ毎の計量部の選択数との選択可能な組合せを含む選択情報を出力するものであり、前記組合せ演算手段は、前記グループ毎の計量部の前記選択数に応じた前記組合せ演算が可能であり、前記選択情報出力手段は、前記グループ毎の計量部の数と前記グループ毎の計量部の前記選択数とに基づいて、選択可能な計量部の組合せの数を算出し、算出した計量部の組合せの数を前記選択情報として出力する。
【0029】
選択可能な計量部の組合せの数が多いほど、組合せ演算が成立する個数が増えるので、つまり前記許容重量範囲に属する組合せ重量が増えるので、例えば最適組合せを前記許容重量範囲における最も下限重量に近接したものとするとき、下限重量に近接する組合せが選択される確率が高くなる。
【0030】
本発明の組合せ秤によると、選択可能な計量部の組合せの数が選択情報として出力されるので、ユーザは、作業性のみならず、前記組合せの数に基づいて組合せ演算の成立性を考慮して、より適切な被計量物の載せ方を選択することができる。
【0031】
(5)本発明の組合せ秤
は、複数の計量部に被計量物が手動で載せられ、各計量部の前記被計量物の重量値に基づいて組合せ演算を行って、最適組合せとして選択された計量部に載せられている被計量物が手動で降ろされる組合せ秤であって、前記被計量物の組合せ個数を実質的に含む設定情報が設定される設定手段と、前記各計量部の前記被計量物の重量値に基づいて前記組合せ演算を行って、組合せ重量値が許容重量範囲内の前記最適組合せを選択する組合せ演算手段と、前記設定情報に基づいて、選択情報を出力する選択情報出力手段とを備え、前記選択情報出力手段は、前記複数の計量部を、各計量部に載せられる前記被計量物の載置個数がグループ毎に異なる複数のグループに区分したときに、前記グループ毎の前記載置個数と、前記組合せ個数となるように選択される前記グループ毎の計量部の選択数との選択可能な組合せを含む選択情報を出力するものであり、前記組合せ演算手段は、前記グループ毎の計量部の前記選択数に応じた前記組合せ演算が可能であり、前記設定情報には、前記被計量物の重量データを含み、前記選択情報出力手段は、正規分布するとした前記被計量物の前記重量データに基づいて、前記許容重量範囲内となる前記組合せ重量値が存在する確率を算出し、算出した確率を前記選択情報として出力する。
【0032】
前記被計量物の重量データは、複数の前記被計量物の重量値の平均値および標準偏差であるのが好ましい。
【0033】
被計量物の重量値の平均値および標準偏差は、当該組合せ秤によって、被計量物の複数のサンプルを実際に計量することによって算出してもよいし、当該組合せ秤に、設定情報として、被計量物の重量値の平均値および標準偏差を直接設定するようにしてもよい。
【0034】
本発明の組合せ秤によると、許容重量範囲内となる組合せ重量値が存在する確率を、正規分布するとした被計量物の重量データに基づいて算出し、選択情報として出力するので、ユーザは、許容重量範囲内となる組合せ重量値が存在する確率を考慮して、被計量物の載せ方を選択することができる。
【0035】
(6)上記(5)の実施態様では、前記選択情報出力手段は、前記選択可能な計量部の組合せの数と、前記許容重量範囲内となる前記組合せ重量値が存在する前記確率とに基づいて、前記最適組合せの成立性に関する組合せ成立指標を算出し、算出した組合せ成立指標を前記選択情報として出力するようにしてもよい。
【0036】
この実施態様によると、最適組合せの成立性に関する組合せ成立指標を算出し、選択情報として出力するので、ユーザは、最適組合せの成立性を考慮して、被計量物の載せ方を選択することができる。
【発明の効果】
【0037】
このように本発明によれば、複数の計量部を、被計量物の載置個数をグループ毎に異ならせた複数のグループに区分したときに、グループ毎の各計量部の被計量物の載置個数と選択されるグループ毎の計量部の選択数との選択可能な種々の組合せが選択情報として出力されるので、ユーザは、選択可能な種々の被計量物の載せ方を把握できると共に、グループ毎の計量部の選択数から被計量物の載せ降ろし回数といった作業性を考慮しながら、または最適組合せの成立性の大小によって、できるだけ下限重量に近接した組合せ重量を最適組合せ重量として選択することができるように、適切な被計量物の載せ方を選択することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0040】
図1は、本発明の一つの実施形態にかかる組合せ秤の斜視図である。
【0041】
この実施形態に係る組合せ秤1は、手動式の組合せ秤であって、上述のニンジン等の農産品や水産品等の被計量物が載せられる複数の計量皿2と、計量皿2等を支持するフレーム部3と、各種の設定や表示などを行う制御ユニット4とを備えている。
【0042】
各計量皿2は、その下方の図示しない各荷重センサにそれぞれ連結されており、各計量皿2及び各荷重センサによって、各計量皿2に載せられた被計量物を計量する計量部が構成される。この実施形態では、計量皿2は、フレーム部3上に5皿ずつ計10皿が配置されている。この組合せ秤1は、手動式であり、作業者が直接各計量皿2に対して、被計量物の載せ降ろしを行う。
【0043】
フレーム部3の幅方向の中央部には、長手方向に沿ってLED等からなる10個の組合せランプ5が、各計量皿2に個別に対応するように設置されている。この組合せランプ5の緑色の点灯によって、作業者は、組合せ演算が成立して最適組合せとして選択された計量皿2を認識したり、赤色の点滅によってエラー等を認識したりすることができる。フレーム部3の長手方向の一端側の中央には、組合せの再計算を行わせるためのリセットボタン6が設けられている。
【0044】
制御ユニット4は、フレーム部3の長手方向の他端側に位置しており、その前面には、タッチパネルからなる操作設定表示部7が設けられている。操作設定表示部7には、組合せ条件や後述の設定情報等を入力するための画面や組合せ演算結果及び後述の選択情報についての画面などが表示される。この実施形態では、組合せ条件には、後述の許容重量範囲を規定する組合せ重量の下限値WL(g)及び上限値WU(g)が含まれる。
【0045】
図2は、
図1の組合せ秤1のブロック図であり、
図1に対応する部分には、同一の参照符号を付している。
【0046】
上述のように、各計量皿2と各計量皿2にそれぞれ連結された各荷重センサ11とによって、各計量皿2に載せられた被計量物の重量をそれぞれ計量する各計量部12が構成される。
【0047】
制御ユニット4は、演算制御部9及びメモリ10を備えると共に、上述の操作設定表示部7を備え、演算制御部9及びメモリ10は、例えばマイクロコンピュータ等によって構成されている。制御ユニット4の演算制御部9では以下の演算制御を行う。すなわち、各計量部12の荷重センサ11からの荷重信号に基づき被計量物の重量を算出し、その算出した重量をメモリ10に記憶させる。更に、算出した被計量物の重量に基づいて、後述のようにして選択された被計量物の載せ方や計量皿2の選択の仕方に応じた組合せ演算を行い、被計量物の重量の合計である組合せ重量値が、許容重量範囲内になる計量部12の組合せを1組探し、組合せ演算が成立して前記1組の組合せが求まると、その組合せを最適組合せとする。許容重量範囲となる組合せが複数存在する場合には、許容重量範囲の下限値と同じか最も近い計量部12の組合せを1組選択し、その組合せを最適組合せとする。
【0048】
そして、組合せ演算が成立して最適組合せとして選択された計量部12の計量皿2に対応する組合せランプ5を緑色に点灯し、最適組合せの被計量物の重量の合計(組合せ重量値)を操作設定表示部7に表示する。
【0049】
作業者は、組合せランプ5が緑色に点灯している最適組合せの計量皿2の被計量物を降ろして、例えば1つの袋へまとめてパックする。このパックされた被計量物の個数の合計が指定された組合せ個数となると共に、被計量物の合計重量である組合せ重量値は、許容重量範囲内となる。
【0050】
また、演算制御部9は、後述のようにして、被計量物の計量皿2への載せ方を含む選択情報を生成し、選択情報を操作設定表示部7に表示出力する。制御ユニット4によって、選択情報出力手段が構成される。
【0051】
この実施形態では、作業者は、組合せ秤1を稼動させて実際の組合せ計量作業を開始する前に、計量皿2への被計量物の載せ方としてどのような載せ方を選択することができ、また、その載せ方の作業性はどうかを知ることができるように、次のようにしている。
【0052】
すなわち、この実施形態では、作業者が、操作設定表示部7を操作して、選択モードを設定し、所要の設定情報を設定することによって、被計量物の載せ方に関する選択情報が操作設定表示部7に表示される。
【0053】
この実施形態では、設定情報として、組合せ計量に使用する計量皿2の皿数R、被計量物の組合せ個数M、組合せ重量の許容重量範囲を規定する下限値WL(g)、前記許容重量範囲を規定する上限値WU(g)を設定する。
【0054】
更に、この実施形態では、設定情報として、個別の被計量物の平均重量wa(g)、及び、被計量物の重量は正規分布しているものとして、その重量ばらつきの標準偏差σ1=s(g)を設定する。この被計量物の平均重量wa及び標準偏差σ1=sは、予め、被計量物のサンプルの重量を実際に計量することによって求めることができる。
【0055】
組合せ計量に使用する計量皿2の皿数Rは、R≧2とし、被計量物の組合せ個数Mは、M≧3としている。この実施形態の組合せ秤1は、上述のように計量皿2の総数は、10皿であるので、作業者は、使用する計量皿2の皿数Rとして、2≦R≦10の数値を設定すると共に、被計量物の組合せ個数Mとして、M≧3の数値を設定する。この組合せ個数Mとしては、例えば、上述のようにニンジンの5本の組合せ計量を行う場合には、組合せ個数Mとして、M=5が設定される。
【0056】
なお、組合せ計量に使用する計量皿2の皿数Rは、組合せ秤1に備えられている計量皿2の総数(R=10)に固定し、皿数Rの設定を不要としてもよい。
【0057】
また、組合せ個数Mは、直接設定してもよいが、組合せ個数Mは、例えば、組合せ重量の許容重量範囲を規定する前記下限値WL(または組合せ目標重量)を、被計量物の平均重量で除算することよって算出できるので、前記下限値WL(または組合せ目標重量)と被計量物の平均重量とを設定することによって、間接的に組合せ個数Mを設定するようにしてもよく、組合せ個数Mが実質的に設定されればよい。
【0058】
組合せ秤1の制御ユニット4は、以上の設定情報に基づいて、計量皿2への被計量物の載せ方としてどのような載せ方を選択することができ、その作業性はどうかを作業者が把握できるように、選択情報を生成して操作設定表示部7に表示出力する。
【0059】
この実施形態では、以下の条件の下で選択情報を生成するようにしている。
【0060】
(1)組合せ計量に使用する皿数Rの計量皿2は、被計量物の載置個数が異なるA,Bの二つグループに区分され、Aグループに属する計量皿2から必ず1皿の計量皿2のみを選択する。
【0061】
BグループよりもAグループを優先し、Aグループからは、計量皿2を必ず1皿のみ選択する。この実施形態では、Aグループの計量皿の1皿のみを選択するようにしているが、他の実施形態として、2皿、あるいは、3皿等を選択するようにしてもよい。
【0062】
(2)Aグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´、Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´を、
A´>B´
とする。
【0063】
優先するAグループの被計量物の載置個数を、Bグループの被計量物の載置個数よりも多くするものである。
【0064】
(3)Aグループの計量皿2には、2個以上の被計量物を載置するものとする。優先するAグループの計量皿2には、Bグループの計量皿2に載置される被計量物の最小個数である1個よりも多い個数の被計量物を載置する。
【0065】
操作設定表示部7から設定される被計量物の組合せ個数Mと、Aグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´と、Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´との間には、次式が成立する。
【0066】
A´+B´・m=M
ここで、mは1より大きい整数である。このmは、Bグループから選択する計量皿2の選択数となる。
【0067】
Aグループは、必ず1皿のみの計量皿2を選択するので、Aグループから選択される被計量物の個数はA´となり、Bグループから選択される計量皿2の選択数はmであるので、Bグループから選択される被計量物の個数はB´・mとなり、その和が、被計量物の組合せ個数Mとなる。
【0068】
(4)Aグループの計量皿数≦Bグループ計量皿数
Aグループは、Bグループよりも被計量物の載置個数が多いので、計量皿数は、Bグループの計量皿数以下とするものである。
【0069】
(5)更に、Aグループの計量皿2の皿数kaは、1≦ka≦R/2とする。
【0070】
但し、(R/2)が整数でない場合は小数点以下切捨ての整数値で設定される。
【0071】
また、Bグループの計量皿2の皿数kbは、前記kaの値に対応して
kb=R−Ka
の値に設定される。
【0072】
(6)また、Aグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´は、
M−1≧A´≧2
の範囲で設定される。
【0073】
Aグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´は、上述のように2個以上であり、Bグループの最小個数も考慮して被計量物の組合せ選択個数Mよりも1個少ない個数が上限値となる。
【0074】
(7)また、Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´は、
A´−1≧B´≧1
である。
【0075】
Bグループの計量皿への被計量物の載置個数B´は、上述のように、Aグループの計量皿への被計量物の載置個数A´より小さいので、A´−1を上限値とする。
【0076】
なお、これら条件のいくつかを、操作設定表示部7の操作によって可変設定できるようにしてもよい。
【0077】
以上の条件、及び、作業者が操作設定表示部7を操作して設定した設定情報に基づいて、制御ユニット4は、選択情報を生成して操作設定表示部7に選択表として表示する。
【0078】
以下、上述の計量皿数R、組合せ個数Mとして幾つかの具体的な数値が設定された場合について説明する。
【0079】
図3は、計量皿数R=10、組合せ個数M=5が設定された場合の各グループA,Bの計量皿数ka,kb、各グループA,Bの各計量皿への被計量物の載置個数A´,B´の組合せを示す図である。この
図3のA,Bグループへの被計量物載置個数のC=1〜C=20の各欄では、10皿の各計量皿2を○で示し、その計量皿2の被計量物の載置個数を、○の中の数値でそれぞれ示している。
【0080】
また、
図3において、番号Cは、各グループA,Bの計量皿数ka,kb、各グループA,Bの各計量皿2への被計量物の載置個数A´,B´の選択可能な組合せを特定する選択番号である。
【0081】
図3に示されるように、例えば、A,Bの各グループの計量皿数ka,kbが等しい(ka=kb=5)組合せは、選択番号C=1〜4まで4通りある。選択番号C=1では、Aグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´=2、Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´=1であり、選択番号C=2では、Aグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´=3、Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´=2であり、選択番号C=3では、Aグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´=3、Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´=1であり、選択番号C=4では、Aグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´=4、Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´=1である。
【0082】
また、Aグループの計量皿数ka=4、Bグループの計量皿数kb=6である組合せは、選択番号C=5〜8まで4通りあり、Aグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´及びBグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´は、選択番号C=1〜4と同様である。
【0083】
更に、Aグループの計量皿数ka=3、Bグループの計量皿数kb=7である組合せは、選択番号C=9〜12まで4通りあり、Aグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´及びBグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´は、選択番号C=1〜4と同様である。
【0084】
以下同様に、計量皿数R=10、組合せ個数M=5のときには、選択番号C=1〜20に示されるように20通りの被計量物の載せ方があり、いずれかを選択することができる。
【0085】
図4は、計量皿数R=10、組合せ個数M=5が設定されたときの被計量物の載せ方等の選択情報を生成するための処理を示すフローチャートである。
【0086】
先ず、作業者が、計量皿数R=10、組合せ個数M=5を操作設定表示部7から設定し、選択番号Cが1に初期化される(ステップn1)。次に、Aグループの計量皿数kaが、上述のka=R/2によって算出され(ステップn2)、更に、Bグループの計量皿数kbが、上述のkb=R−kaによって算出される(ステップn3)。
【0087】
次に、Aグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´を最小値である2とし(ステップn4)、Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´を、A´−1によって算出し(ステップn5)、上述のA´+B´・m=Mによって、Bグループから選択される計量皿2の選択数であるmを求める(ステップn6)。
【0088】
次に、A,Bグループの計量皿数ka,kb、A,Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´,B´、Bグループの計量皿2の選択数mを、選択番号Cに対応させてメモリ10に登録する(ステップn7)。
【0089】
次に、選択番号Cをイクリメントし(ステップn8)、Aグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´を1個増やし(ステップn9)、この載置個数A´が組合せ個数M以上になったか否かを判断し(ステップn10)、組合せ個数M以上でないときには、Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´を、A´−1によって算出し(ステップn11)、Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´が2になったか否かを判断する(ステップn12)。
【0090】
ステップn12において、Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´が2になっていないときには、A´+B´・m=Mによって、Bグループの計量皿2の選択数mを求め(ステップn13)、mが1以上であるか否かを判断し(ステップn14)、1以上でないときには、ステップn16に移り、Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´から1個を減算し、ステップn13に戻る。
【0091】
ステップn14において、mが1以上であるときには、選択番号Cに対応させて、A,Bグループの計量皿数ka,kb、A,Bグループの計量皿への被計量物の載置個数A´,B´、Bグループの計量皿2の選択数mをメモリ10に登録する(ステップn15)。
【0092】
ステップn12において、Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´が、2であるときには、A´+B´・m=Mによって、Bグループの計量皿2の選択数mを求め(ステップn17)、mが1以上であるか否かを判断し(ステップn18)、1以上であるときには、選択番号Cに対応させて、A,Bグループの計量皿数ka,kb、A,Bグループの計量皿への被計量物の載置個数A´,B´、Bグループの計量皿2の選択数mをメモリ10に登録し(ステップn19)、選択番号Cをインクリメントして、ステップn21に移る。ステップn18において、Bグループの計量皿2の選択数mが1以上でないときには、ステップn21に移る。
【0093】
ステップn21では、Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´から1個を減算し、A´+B´・m=Mによって、Bグループの計量皿2の選択数mを求め(ステップn22)、ステップn15に移る。
【0094】
ステップn10において、Aグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´が、組合せ個数M以上であるときには、Aグループの計量皿数kaから1を減算し(ステップn23)、Aグループの計量皿数kaが正であるか否かを判断し(ステップn24)、正であるときには、ステップn3に戻り、正でないときには、完了し、後述の各選択番号Cにおける選択組合せ数を演算して終了する(ステップn25)。
【0095】
以上の処理によって、計量皿数R=10、組合せ個数M=5が設定された場合のA,Bの各グループの計量皿数ka,kb、A,Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´,B´、Bグループから選択する計量皿の選択数であるmを含む選択情報が生成される。
【0096】
図5は、この選択情報を選択表として操作設定表示部7に表示した例を示している。
【0097】
この
図5では、各選択番号C=1〜20についてのA,Bの各グループの計量皿数ka,kb、A,Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´,B´、Bグループから選択する計量皿の選択数であるmに加えて、ハンドリング回数、及び、後述の選択組合せ数Vc及び組合せ成立確率の指標Qcを併せて表示している。
【0098】
各選択番号C=1〜20のA,Bの各グループの計量皿数ka,kb、A,Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´,B´までは、上述の
図3の内容と同様である。
図5では、Bグループから選択する計量皿の選択数であるm及びAグループから選択する計量皿の選択数1にmを加えた値をハンドリング回数として表示している。ハンドリング回数とは、A,Bグループの計量皿2から被計量物を降ろすために手で扱う回数をいう。
【0099】
この
図5の選択表によって、計量皿数R=10、組合せ個数M=5を設定した場合に、選択可能な計量皿2への被計量物の載せ方、すなわち、各グループの計量皿数ka,kb、各グループの計量皿2への被計量物の載置個数A´,B´、Bグループから選択する計量皿の選択数であるmの選択可能な組合せは、選択番号C=1〜20までの20通りあることが分かる。
【0100】
各選択番号C=1〜20の内、例えば、選択番号C=1では、A,Bの各グループの計量皿数ka,kbが共に5皿であり、Aグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´=2、Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´=1である。この場合、組合せ個数M=5とするために、Aグループの計量皿2は、5皿の内、上述のように1皿のみが選択され、Bグループの計量皿2は、5皿の内、m=3、すなわち、3皿が選択されることが分かる。したがって、組合せ演算が成立したときには、Aグループの1皿から被計量物が降ろされ、Bグループの3皿から被計量物が降ろされるので、ハンドリング回数は4となる。
【0101】
また、例えば、選択番号C=5では、Aグループの計量皿数ka=4、Bグループの計量皿数kb=6であり、Aグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´=2、Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´=1である。
【0102】
組合せ個数M=5とするために、Aグループの計量皿2は、4皿の内、上述のように1皿のみが選択され、Bグループの計量皿2は、6皿の内、3皿(m=3)が選択されることが分かる。したがって、組合せ演算が成立したときには、Aグループの1皿から被計量物が降ろされ、Bグループの3皿から被計量物が降ろされるので、ハンドリング回数は4となる。
【0103】
また、例えば、選択番号C=10では、Aグループの計量皿数ka=3、Bグループの計量皿数kb=7であり、Aグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´=3、Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´=2である。組合せ個数M=5とするために、Aグループの計量皿2は、3皿の内、上述のように1皿のみが選択され、Bグループの計量皿2は、7皿の内、1皿(m=1)が選択されることが分かる。したがって、組合せ演算が成立したときには、Aグループの1皿から被計量物が降ろされ、Bグループの1皿から被計量物が降ろされるので、ハンドリング回数は2となる。
【0104】
更に、例えば、選択番号C=14では、Aグループの計量皿数ka=2、Bグループの計量皿数kb=8であり、Aグループの計量皿2への被計量物の載置個数A´=3、Bグループの計量皿2への被計量物の載置個数B´=2である。組合せ個数M=5とするために、Aグループの計量皿2は、2皿の内、上述のように1皿のみが選択され、Bグループの計量皿2は、8皿の内、1皿(m=1)が選択されることが分かる。したがって、組合せ演算が成立したときには、Aグループの1皿から被計量物が降ろされ、Bグループの1皿から被計量物が降ろされるので、ハンドリング回数は2となる。
【0105】
このように操作設定表示部7に表示される選択表によって、作業者は、計量皿数R=10、組合せ個数M=5の場合に、10皿の計量皿2をどのように二つのグループA,Bに区分し、区分した各グループA,Bの各計量皿2への被計量物の載置個数を何個にし、組合せ演算が成立したときに、何皿の計量皿から被計量物を降ろす必要があるかを把握することができる。
【0106】
なお、Aグループから選択される計量皿2の選択数は、上述のように1皿のみであり、Bグループから選択される計量皿2の選択数は、mであるので、このmの値からハンドリング回数は、m+1となる。このようにmの値によってハンドリング回数の大小を知ることができるので、ハンドリング回数の表示は省略してもよい。また、この実施形態では、Aグループから選択される計量皿2の選択数は1皿のみで固定しているので、表示していないが、Aグループから選択される計量皿2の選択数も表示してもよい。
【0107】
計量皿数R及び組合せ個数Mは、上述のR=10、M=5に限らず、上述のように操作設定表示部7を操作して設定することができ、例えば、計量皿数R=8、組合せ個数M=5を選択した場合には、上述の
図4において、R=8、M=5として処理することにより、
図6に示される選択表を作成して表示することができる。この場合は、選択番号C=1〜16までの16通りの被計量物の載せ方を選択することが可能である。
【0108】
同様に、例えば、計量皿数R=10、組合せ個数M=4を選択した場合には、
図7に示される選択表を作成することができ、この場合は、選択番号C=1〜10までの10通りの被計量物の載せ方を選択することが可能である。また、例えば、計量皿数R=10、組合せ個数M=3を選択した場合には、
図8に示される選択表を作成することができ、この場合は、選択番号C=1〜5までの5通りの被計量物の載せ方を選択することが可能である。
【0109】
再び、
図5を参照して、各選択番号C=1〜20の選択可能な被計量物の各載せ方において、A,Bの各グループの計量皿2の数ka,kb及び各グループからの選択する計量皿2の選択数は分かるので、その選択組合せの数が何通りあるか、すなわち、組合せ重量値の選択組合せ数を容易に算出できる。
【0110】
すなわち、各選択番号C=1〜20における組合せ重量値の選択組合せ数Vcは、Aグループの計量皿kaの中から1皿、Bグループの計量皿kbの中からm皿が選択されて組合されるので、選択される組合せ重量の組合せの数Vcは、
Vc=
kaC
1・
kbC
m
となる。
【0111】
例えば、選択番号C=1では、Aグループは、5皿の計量皿2の内の1皿を選択するので、
5C
1通りの組合せがあり、Bグループは、5皿の計量皿2の内の3皿を選択するので、
5C
3通りの組合せがあり、したがって、全体の選択組合せの数Vcは、
Vc=
5C
1*
5C
3=50
となる。
【0112】
選択組合せ数Vcが多いほど、組合せ選択された重量が、許容重量範囲に入る確率は高いから、選択組合せ数Vcの値は、組合せ演算の成立に関する情報である。
【0113】
そこで、この実施形態では、
図5に示すように、選択組合せ数Vcの値を算出して選択表に併せて表示するようにしている。
【0114】
したがって、作業者は、操作設定表示部7に表示される選択表に含まれる選択組合せ数Vcの値に基づいて、組合せ演算の成立性を考慮して、いずれかの選択番号Cの被計量物の載せ方を選択することができる。
【0115】
更に、この実施形態では、組合せ重量値が、予め設定された上述の下限値WL(g)及び上限値WU(g)で規定される組合せ重量の許容重量範囲に存在する確率を求めるようにしている。
【0116】
本発明の他の実施形態として、個別の被計量物の重量値が正規分布するものとして、正規分布の条件に応じて所定の個数の乱数を発生させ、各選択番号Cに応じた組合せ演算をシミュレーションして組合せ演算の成立の確率を求める方法もあるが、結果の信頼性を得るには数多くの乱数を必要とし、しかも種々の選択番号Cの全て実施する場合、及び、組合せ重量の許容重量範囲を種々に変更して行う場合には、例えば、数分程度といった比較的長い時間を要する。
【0117】
これに対して、この実施形態では、理論計算によって簡易に短時間で組合せ重量値が、許容重量範囲に存在する確率を求めるものである。
【0118】
先ず、個別の被計量物の重量は正規分布とする。この正規分布する被計量物の重量分布は、例えば、被計量物の平均重量値wa(g)及び被計量物の重量ばらつきの標準偏差σ1=s(g)によって特定される。
【0119】
この実施形態では、個別の被計量物の平均重量値waおよび標準偏差σ1=sは、上述のように、設定情報として操作設定表示部7を操作して設定されている。なお、他の実施形態として、個別の被計量物の平均重量値waおよび標準偏差σ1を予め設定することなく、実際に組合せ計量の稼動運転中に計量した被計量物の重量値から求めるようにしてもよい。この場合には、後述の組合せ成立に関する指標Qcは、組合せ計量の稼動運転が開始されて、個別の被計量物の平均重量値waおよび標準偏差σ1が得られた後に求めるようにすればよい。
【0120】
正規分布する被計量物を所定の組合せ個数Mずつ組合せた組合せ重量値も、正規分布する。そして、標準偏差値σ1である被計量物をM個集めたとき、M個の被計量物の重量ばらつきの標準偏差σは、
σ=M
1/2・σ1 …(1)
となる。
【0121】
したがって、M個の被計量物の組合せ重量の標準偏差値Sは、
S=M
1/2・s(g)である。
【0122】
また、1個の被計量物の平均重量値はwaであるからM個の組合せ重量の平均値Waは、
Wa=M・wa(g) …(2)
である。
【0123】
ここで、例えば、
図9に示すように、組合せ重量の許容重量範囲を規定する下限重量値WL(g)と上限重量値WU(g)が、それぞれ平均重量値Wa(g)を中心にして設定されたとすると、下限重量値WLと上限重量値WUとで挟まれた斜線及び横線で示される領域が、下限重量値WLと上限重量値Wuとによって規定される許容重量範囲内に、最適組合せ候補が存在する確率、つまり最適組合せの成立確率Pを表す。
【0124】
そこで、下限重量値WL及び上限重量値WUのそれぞれについて、組合せ重量値の平均値Waからの偏差を求める。
【0125】
w1=Wa−WL (g)
w2=WU−Wa (g)
次に、組合せ重量の標準偏差値S=σで割って規準化すると、
k1=w1/S、k2=w2/Sとなり、
したがって、上述の偏差は、規準化されて
w1=k1・σ
w2=k2・σ …(3)
となる。
【0126】
この規準化された偏差w1,w2のそれぞれを、メモリ10に格納された
図10に示す標準正規分布表と照合することで、下限重量値WL(=Wa−k1・σ)から組合せ重量値の平均値Waまでの範囲内に入る組合せ重量値が存在する確率P1と、組合せ重量値の平均値Waから上限重量値WU(=Wa+k2・σ)までの範囲内に入る組合せ重量値が存在する確率P2とを求める。
【0127】
例えば、下限重量値WLから組合せ重量値の平均値Waまでの規準化偏差k1がk1=0.02であり、組合せ重量値の平均値Waから上限重量値WUまでの規準化偏差k2がk2=0.1であるとすると、これらの値のそれぞれを
図10の標準正規分布表における変数Zに代入することで、下限重量値WLから組合せ重量値の平均値Waまでの範囲についての存在確率P1として、P1=0.008を求め、組合せ重量値の平均値Waから上限重量値WUまでの範囲についての存在確率P2としてP2=0.0398という値を求めることができる。
【0128】
なお、k1,k2を小数点3位以下まで算出する場合は標準正規分布表において線形補間で計算すればよい。
【0129】
そして、これらの存在確率P1及びP2を互いに足し合わせることによって、下限重量値WLから上限重量値WUまでの許容重量範囲に、組合せ重量値が存在する確率Pを求める。
【0130】
P=P1+P2
従って、上述のP1=0.008及びP2=0.0398の場合には、組合せ重量値が存在する確率PはP=0.0478となる。
【0131】
これは、標準偏差σ1、平均重量値がwaの個別の被計量物を5個集めて作った組合せによる組合せ重量値の任意の1組が上記の許容重量範囲に入る確率が、P=0.0478であることを意味する。
【0132】
したがって、選択表の各選択番号Cにおける組合せ品の成立確率に関する指標Qcは、
A、Bグループの計量皿2による選択組合せ数Vcと組合せ品が許容重量範囲に入る確率Pとによって、
Qc=P*Vc
と表される。
【0133】
この組合せ成立に関する指標Qcの値も組合せ演算の成立に関する指標であり、この指標Qcの値が大きい程、組合せ演算が成立して下限値に近接した最適組合せが選択される可能性が高くなる。
図5では、この指標Qcも選択番号Cに対応させて選択表に表示される。
【0134】
この実施形態では、操作設定表示部7には、例えば、
図5に示される選択表が表示されるので、作業者は、計量皿2をどのように二つのグループA,Bに区分し、区分した各グループA,Bの各計量皿2への被計量物の載置個数を何個にすることができ、組合せ演算が成立したときに、何皿の計量皿から被計量物を降ろす必要があるか、更に、組合せ演算の成立の度合いが異なる選択番号Cの間でそれぞれどの程度であるかなどを相互比較の上で把握することができる。
【0135】
したがって、作業者は、被計量物の種類等に応じた作業性や組合せ演算の成立性などを考慮して、被計量物の載せ方を容易に選択することができる。選択は、操作設定表示部7を操作して選択番号Cを指定することによって行う。
【0136】
なお、
図5では、選択組合せ数Vc及び組合せ成立確率に関する指標Qcを表示したけれども、本発明の他の実施形態として、選択組合せ数Vc及び組合せ成立確率に関する指標Qcの少なくともいずれか一方の表示を省略してもよい。組合せ成立確率に関する指標Qcを省略する場合や組合せ個数を直接設定する場合には、上述の個別の被計量物の平均重量wa、被計量物の重量ばらつきの標準偏差σ1=s、組合せ重量の許容重量範囲を規定する下限値WL、前記許容重量範囲を規定する上限値WUの設定は不要となる。また、下限値WL及び上限値WUを設定しない場合には、組合せ計量の稼動運転に際しては、例えば、組合せ目標重量値と上限値とを設定する。
【0137】
次に、選択番号Cを指定した後の計量皿2のグループA,B毎の設定と各グループA,Bに属する計量皿2の識別について説明する。
【0138】
作業者は、選択番号Cを指定した後、操作設定表示部7を操作して、指定した選択番号Cに対応するように、例えば10皿の計量皿2を二つのグループA,Bに区分して設定する。この設定は、例えば、予め登録されている各計量皿2の皿番号及びA,Bいずれかのグループを指定することによって行う。
【0139】
これによって、組合せ秤1の制御ユニット4は、選択された選択番号Cの被計量物の載せ方によって組合せ計量が行われ、各計量皿2が、各グループA,Bにそれぞれどのように区分されたかを認識することができる。
【0140】
このように作業者は、各グループA,Bの計量皿2の区分を選択番号Cに応じて任意に設定できるので、その時々の作業者の数、取り扱う被計量物の種類や性状などを考慮し、いずれの計量皿2をA、Bグループのいずれに属させるかについて選択することができる。例えば、載置個数が多いAグループに属する計量皿2を作業者の手前に位置するように区分し、被計量物のハンドリング作業をし易くするといったことが可能となる。
【0141】
なお、制御ユニット4は、作業者による計量皿2の各グループA,Bの区分の設定と、選択された選択番号Cのグループ分けとが一致していない場合には、組合せランプ5を赤色に点滅させて設定エラーを報知する。
【0142】
計量皿2を二つのグループA,Bに区分する設定を行った作業者は、更に、各グループA,Bの計量皿2の内の一方のグループの計量皿2を、例えば、色の異なる計量皿、あるいは、サイズの異なる計量皿と交換する。これによって、作業者は、各グループA,Bの計量皿2を色やサイズによって識別することができる。
【0143】
なお、作業者が、計量皿2のグループ毎の区分の設定を行わない場合には、制御ユニット4は、選択された選択番号Cに対応するA,B各グループの計量皿数ka,kbとなるように、予め定めた規定に従って自動的に区分するようにしてもよい。この場合、Aグループに所属させる計量皿2は、対応する組合せランプ5を緑色に点灯させ、Bグループに所属させる計量皿2は、対応する組合せランプ5を赤色に点灯させて作業者に認識させるようにするのが好ましい。これによって、作業者は、上述と同様に、一方のグループの計量皿2を、色やサイズ等の異なる計量皿に交換して識別できるようにする。
【0144】
次に、選択番号Cで選択した被計量物の載せ方に従って組合せ計量の稼動運転を開始した場合の組合せ演算について説明する。
【0145】
制御ユニット4の演算制御部9において、各計量皿2で計量された重量値には、所属するA,B何れかのグループを表すコードが付される。
【0146】
作業者は、選択した選択番号Cに応じて、各グループA,Bの計量皿2に、選択番号Cに応じた個数の被計量物を載置する。
【0147】
例えば、選択モードC=1が選択されている場合には、作業者は、Aグループの5皿の計量皿2に被計量物を2個ずつ載せる一方、Bグループの5皿の計量皿2に被計量物を1個ずつ載せる。
【0148】
制御ユニット4は、Aグループに属する5皿の計量皿2から出力された重量値の中からいずれか1皿の重量値と、Bグループに属する5皿の計量皿の中からいずれか3皿を選択し、それらによる全ての組合せの重量値を作成し、許容重量範囲に入る組合せ重量の中で最適な組合せ重量、例えば、下限値重量値に等しい、又は、最も近い組合せ重量値を選択し、選択した重量値を構成する計量皿2に対して組合せランプ5を緑色に点灯させる。この場合、実際の組合せ選択作業ではBグループからの選択皿数を必ずしも3皿と限定しなくてもよい。成立する確率が低いので、作業性の良否を作業の前段階で判定する選択表の作成にあたって考慮する必要はないが、例えばBグループからの選択皿数が2の場合の組合せ重量が最も下限重量値に近い場合は、その組合せをもって最適組合せとし、選択した重量値を構成する計量皿2に対して組合せランプ5を緑色に点灯させるようにしてもよい。すなわち、作業性の良否を判定する選択表を作成するために、被計量物の組合せ個数Mを定め、これに基づいて、Bグループからの選択皿数が規定されるが、実際の組合せ演算では、組合せ個数を限定する必要がない場合があり、かかる場合には、組合せ個数を組合せ演算の成立条件に入れる必要がなく、したがって、必ずしもBグループからの選択皿数を3皿と限定しなくてもよい。
【0149】
作業者は、緑色に点灯した組合せランプの計量皿2から被計量物を降ろして5個の被計量物のパックを作成することができる。被計量物が降ろされた計量皿2の組合せランプ5は、消灯し、作業者は、被計量物を降ろした計量皿2に被計量物を規定の個数ずつそれぞれ載せて作業を続ける。
【0150】
このように選択した選択番号Cに応じて、作業者が被計量物の計量皿2への載せ降ろしを行う一方、制御ユニット4は、選択番号Cに応じた組合せ演算を行う。
【0151】
この組合せ計量の稼動運転中にも、計量皿2で計量された全ての被計量物の平均重量値wa及び標準偏差σ1を求めておき、被計量物が所定の個数以上に達すれば、あるいは、作業者が指定した時点になると、自動的に、新たに求められた計量物の平均重量値wa及び標準偏差σ1に基づいて、組合せ個数Mの組合せ重量の平均値Wa、標準偏差S(g)を求め、上述の組合せの成立に関する指標Qcを更新し、操作設定表示部7に表示できるようにしてもよい。
【0152】
或いは、より直接的に、稼動運転中に成立したM個の組合せ重量を集計し、平均重量値Waと標準偏差値σ=S(g)を求め、組合せの成立に関する指標Qcを更新するようにしてもよい。
【0153】
また、組合せ計量の稼動運転によって得た組合せ重量の平均値Waと標準偏差値σ=S(g)は運転実績値としてメモリ10に記憶させておき、次回の運転開始時に使用して選択表を作成し、組合せの成立に関する指標Qcを算出してもよい。
【0154】
このように組合せ計量の稼動運転中においても、最適組合せの成立に関する指標Qcをバックグラウンドで更新することができ、したがって、作業者は、更新された指標Qcを、操作設定表示部7へ呼び出し、現在の重量分布に応じて運転のための操作条件を見直すことができる。
【0155】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、各グループの計量皿を識別できるように、計量皿の色やサイズ等を異ならせたけれども、グループ識別用のランプ等を計量皿の近傍に設置して識別できるようにしてもよい。
【0156】
上述の実施形態では、グループ数は二つであったけれども、三つ以上のグループとしてもよい。
【0157】
上述の選択表には、各グループの計量皿の載置個数が同数となる被計量物の載せ方を併せて表示するようにしてもよい。
【0158】
上述の実施形態では、選択情報を表にして表示したけれども、表に限らず、例えば、計量皿を模式的に示した図等を用いて表示するようにしてもよい。