(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筐体フレーム内を区画に分割するための仕切り板を設け、前記アースバーは前記仕切り板に設置されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のモジュール式無停電電源装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
実施の形態1は、複数の無停電電源モジュールと、アースバーと、複数の無停電電源モジュールとアースバーを収納する筐体フレームとを備え、複数の無停電電源モジュールの各アース線をアースバーに接続した構成のモジュール式無停電電源装置に関するものである。
以下、本願発明の実施の形態1の構成、動作について、モジュール式無停電電源装置の概略構成図である
図1に基づいて説明する。
【0011】
まず、モジュール式無停電電源装置1の構成について説明する。
図1において、モジュール式無停電電源装置1は、3台の無停電電源モジュール110、120、130と、各無停電電源モジュール110、120、130のアース線111、121、131と、アースバー140と、これらを収納する筐体フレーム1000とから構成される。
外部からの交流入力は、モジュール式無停電電源装置1に入力線101を経由して入力され、モジュール式無停電電源装置1で電力変換された出力は、出力線102を経由して出力される。
3台の無停電電源モジュール110、120、130は、入力線101および出力線102で並列に接続されている。
【0012】
無停電電源モジュール110、120、130のアース線111、121、131は、例えば銅板のアースバー140に接続される。アースバー140は、筐体フレーム1000と導通しない構造で設置され、大地アースに接続されている。
アースバー140は銅板のような良好な伝導体で形成する必要があり、特に筺体フレーム金属より高周波でのインピーダンスが低い必要がある。インピーダンスが低ければ、電気的な観点からのアースバー形状は限定されない。
また、アースバー140と筐体フレーム1000間の浮遊容量は、小さいが望ましく、高周波でも筐体フレーム1000と完全絶縁が理想的である。もしこの浮遊容量が大きい場合は、アースバー140の高周波ノイズ電流が筐体フレーム1000へ伝播する可能性がある。
【0013】
筐体フレーム1000は、アースバー140とは別に大地アースに接続されており、筺体フレームアースを構成している。
また、無停電電源モジュール110、120、130と筺体フレーム1000の間には、それぞれ無停電電源モジュールと筐体フレーム間の浮遊容量119、129、139が存在する。
【0014】
無停電電源モジュール110、120、130は、図示しない電力変換器、すなわちコンバータ、インバータ、チョッパ、および平滑コンデンサ、さらに制御回路を内部に備えている。
【0015】
次に、モジュール式無停電電源装置1の動作について説明する。
無停電電源モジュール110、120、130を稼動させると、内部の電力変換器が駆動し、電力変換が行われる。このとき、電力変換器は高周波ノイズ電流を発生させる。
この発生した高周波ノイズ電流は、無停電電源モジュール110、120、130のアース線111、121、131を経由し、アースバー140を伝播し、大地アースに到達する。
ここで、無停電電源モジュール110、120、130→アース線111、121、131→アースバー140→大地アースの経路は、無停電電源モジュール110、120、130→無停電電源モジュールと筐体フレーム間の浮遊容量119、129、139→筺体フレーム1000→大地アースの経路と比較し、特にMHz以上の高周波域で同等以下の低いインピーダンス特性を持つようにする。
【0016】
実施の形態1では、3台の無停電電源モジュール110、120、130を並列接続して使用するモジュール式無停電電源装置について説明したが、無停電電源モジュールの台数は1台であってもよいし、負荷設備容量に応じて4台以上であってもよい。
また、実施の形態1では、無停電電源モジュール110、120、130の内部構成機器を電力変換器、平滑コンデンサ、制御回路としたが、蓄電池を内蔵して瞬停対策を強化することができる。
また、筐体フレーム1000は、金属製の筺体フレームを想定しているが、例えば、筺体フレーム自体は非金属製として、金属板や導電性材料を筺体フレーム内部に張り付ける構成とすることもできる。
【0017】
以上説明したように、実施の形態1に係るモジュール式無停電電源装置1は、複数の無停電電源モジュールと、アースバーと、複数の無停電電源モジュールとアースバーを収納する筐体フレームとを備え、複数の無停電電源モジュールの各アース線をアースバーに接続した構成としているため、無停電電源モジュールから発生する高周波ノイズ電流はアースバーを選択的に伝播し、筐体フレームアースへの伝播は抑制され、筐体フレームより発生する放射ノイズを低減でき、電磁環境適合性を向上させることができる。
【0018】
実施の形態2.
実施の形態2のモジュール式無停電電源装置は、実施の形態1のモジュール式無停電電源装置1にパワー経路を切り替える切替スイッチ部を追加した構成としたものである。
以下、本願発明の実施の形態2の構成、動作について、モジュール式無停電電源装置2の概略構成図である
図2に基づいて説明する。
実施の形態2に係るモジュール式無停電電源装置2と実施の形態1に係るモジュール式無停電電源装置1との違いは、切替スイッチ部の追加であるため、この差異部を中心に説明する。
【0019】
まず、モジュール式無停電電源装置2の構成について説明する。
図2において、モジュール式無停電電源装置2は、3台の無停電電源モジュール210、220、230と、切替スイッチ部250と、無停電電源モジュール210、220、230のアース線211、221、231と、切替スイッチ部のアース線254と、アースバー240と、これらを収納する筐体フレーム2000とから構成される。
外部からの交流入力は、モジュール式無停電電源装置2に第1の入力線201と第2の入力線202を経由して入力され、モジュール式無停電電源装置2で電力変換された出力は、出力線204を経由して出力される。なお、後述するバイパスする場合交流入力はそのまま、出力線204を経由して出力される。
切替スイッチ部250は、第1の切替スイッチ251、第2の切替スイッチ252および第1の切替スイッチ251、第2の切替スイッチ252に電源を供給する電源253から構成される。
3台の無停電電源モジュール210、220、230は、第1の入力線201および内部出力線203で並列に接続されている。
【0020】
無停電電源モジュール210、220、230のアース線211、221、231および切替スイッチ部250のアース線254は、例えば銅板のアースバー240に接続される。アースバー240は、筐体フレーム2000と導通しない構造で設置され、大地アースに接続されている。
アースバー240に要求される条件は、実施の形態1のアースバー140と同じであるため説明は省略する。
【0021】
筐体フレーム2000は、アースバー240とは別に大地アースに接続されており、筺体フレームアースを構成している。
また、無停電電源モジュール210、220、230および切替スイッチ部250と筺体フレーム2000の間には、それぞれ無停電電源モジュール、切替スイッチ部と筐体フレーム間の浮遊容量219、229、239、259が存在する。
【0022】
切替スイッチ部250は、パワー経路切替機能、すなわちバイパス機能を有し、通常モードでは無停電電源モジュール210、220、230の出力を外部に出力線204を経由して出力する。しかし、無停電電源モジュール210、220、230に故障が発生した場合、また保守が必要な場合、無停電電源モジュール210、220、230をバイパスする。すなわち、第2の入力線202からの交流入力を、無停電電源モジュール210、220、230を通さずにバイパスして、そのまま出力線204に出力する。
すなわち、モジュール式無停電電源装置2で電力変換して出力する通常モードの場合は、第1の切替スイッチ251がオン、第2の切替スイッチ252がオフとなる。交流入力を直接出力するバイパス動作モードでは、第1の切替スイッチ251がオフ、第2の切替スイッチ252がオンとなる。
【0023】
無停電電源モジュール210、220、230の内部構成機器は、実施の形態1の無停電電源モジュール110、120、130と同じであるため、説明を省略する。
【0024】
次に、モジュール式無停電電源装置2の動作について説明する。
無停電電源モジュール210、220、230を稼動させると、内部の電力変換器が駆動し、電力変換が行われる。このとき、電力変換器は高周波ノイズ電流を発生させる。
この発生した高周波ノイズ電流は、無停電電源モジュール210、220、230のアース線211、221、231を経由し、アースバー240を伝播し、大地アースに到達する。
ここで、無停電電源モジュール210、220、230→アース線211、221、231→アースバー240→大地アースの経路は、無停電電源モジュール210、220、230→無停電電源モジュールと筐体フレーム間の浮遊容量219、229、239→筐体フレーム2000→大地アースの経路と比較し、特にMHz以上の高周波域で同等以下の低いインピーダンス特性を持つようにする。
【0025】
切替スイッチ部250でも内部の電源253を稼動させると、高周波ノイズ電流が発生する。この高周波ノイズ電流は切替スイッチ部250のアース線254を経由し、アースバー240を伝播し、大地アースに到達する。
ここで切替スイッチ部250→アース線254→アースバー240→大地アースの経路は、切替スイッチ部250→切替スイッチ部と筐体フレーム間の浮遊容量259→筐体フレーム2000→大地アースの経路と比較し、特にMHz以上の高周波域で同等以下の低いインピーダンス特性を持つようにする。
【0026】
以上説明したように、実施の形態2に係るモジュール式無停電電源装置2は、複数の無停電電源モジュールと、切替スイッチ部と、アースバーと、複数の無停電電源モジュールと切替スイッチ部とアースバーを収納する筐体フレームとを備え、複数の無停電電源モジュール、切替スイッチ部の各アース線をアースバーに接続した構成としているため、無停電電源モジュール、切替スイッチ部から発生する高周波ノイズ電流はアースバーを選択的に伝播し、筐体フレームアースへの伝播は抑制され、筐体フレームより発生する放射ノイズを低減でき、電磁環境適合性を向上させることができる。
【0027】
実施の形態3.
実施の形態3のモジュール式無停電電源装置は、実施の形態2のモジュール式無停電電源装置2にノイズ電流を除去するノイズフィルタを追加した構成としたものである。
以下、本願発明の実施の形態3の構成、動作について、モジュール式無停電電源装置3の概略構成図である
図3に基づいて説明する。
実施の形態3に係るモジュール式無停電電源装置3と実施の形態2に係るモジュール式無停電電源装置2との違いは、ノイズフィルタの追加であるため、この差異部を中心に説明する。
【0028】
まず、モジュール式無停電電源装置3の構成について説明する。
図3において、モジュール式無停電電源装置3は、3台の無停電電源モジュール310、320、330と、切替スイッチ部350と、ノイズフィルタ360と、無停電電源モジュール310、320、330のアース線311、321、331と、切替スイッチ部のアース線354と、ノイズフィルタのアース線361と、アースバー340と、これらを収納する筐体フレーム3000とから構成される。
外部からの交流入力は、モジュール式無停電電源装置3に第1の入力線301と第2の入力線302を経由して入力され、モジュール式無停電電源装置3で電力変換された出力は、またはバイパス動作の場合交流入力はそのまま、出力線304を経由して出力される。
切替スイッチ部350は、第1の切替スイッチ351、第2の切替スイッチ352および第1および第2の切替スイッチ351、352に電源を供給する電源353から構成される。
3台の無停電電源モジュール310、320、330は、第1の入力線301および内部出力線303で並列に接続されている。
【0029】
ノイズフィルタ360は、図示しない入力側ノイズフィルタと出力側ノイズフィルタから構成される。入力側ノイズフィルタは第1の入力線301に設置され、出力側ノイズフィルタは出力線304に設置される。入力側および出力側ノイズフィルタは、各々アース線361に接続されている。
【0030】
無停電電源モジュール310、320、330のアース線311、321、331、切替スイッチ部350のアース線354およびノイズフィルタ360のアース線361は、例えば銅板のアースバー340に接続される。アースバー340は、筐体フレーム3000と導通しない構造で設置され、大地アースに接続されている。
アースバー340に要求される条件は、実施の形態1のアースバー140と同じであるため説明は省略する。
【0031】
筐体フレーム3000は、アースバー340とは別に大地アースに接続されており、筺体フレームアースを構成している。
また、無停電電源モジュール310、320、330、切替スイッチ部350およびノイズフィルタ360と筺体フレーム3000の間には、それぞれ無停電電源モジュール、切替スイッチ部、ノイズフィルタと筐体フレーム間の浮遊容量319、329、339、359、369が存在する。
【0032】
切替スイッチ部350は、パワー経路切替機能、すなわちバイパス機能を有し、通常モードでは無停電電源モジュール310、320、330の出力を外部に出力線304を経由して出力する。しかし、無停電電源モジュール310、320、330に故障が発生した場合、また保守が必要な場合、無停電電源モジュール310、320、330をバイパスする。すなわち、第2の入力線302からの交流入力を、無停電電源モジュール310、320、330を通さずにバイパスして、そのまま出力線304に出力する。
すなわち、モジュール式無停電電源装置3で電力変換して出力する通常モードの場合は、第1の切替スイッチ351がオン、第2の切替スイッチ352がオフとなる。交流入力を直接出力するバイパス動作モードでは、第1の切替スイッチ351がオフ、第2の切替スイッチ352がオンとなる。
【0033】
無停電電源モジュール310、320、330の内部構成機器は、実施の形態1の無停電電源モジュール110、120、130と同じであるため、説明を省略する。
【0034】
次に、モジュール式無停電電源装置3の動作について説明する。
無停電電源モジュール310、320、330を稼動させると、内部の電力変換器が駆動し、電力変換が行われる。このとき、電力変換器は高周波ノイズ電流を発生させる。
この発生した高周波ノイズ電流は、無停電電源モジュール310、320、330のアース線311、321、331を経由し、アースバー340を伝播し、大地アースに到達する。
ここで、無停電電源モジュール310、320、330→アース線311、321、331→アースバー340→大地アースの経路は、無停電電源モジュール310、320、330→無停電電源モジュールと筐体フレーム間の浮遊容量319、329、339→筐体フレーム3000→大地アースの経路と比較し、特にMHz以上の高周波域で同等以下の低いインピーダンス特性を持つ。
【0035】
切替スイッチ部350でも内部の電源353を稼動させると、高周波ノイズ電流が発生する。この高周波ノイズ電流は切替スイッチ部350のアース線354を経由し、アースバー340を伝播し、大地アースに到達する。
ここで切替スイッチ部350→アース線354→アースバー340→大地アースの経路は、切替スイッチ部350→切替スイッチ部と筐体フレーム間の浮遊容量359→筐体フレーム3000→大地アースの経路と比較し、特にMHz以上の高周波域で同等以下の低いインピーダンス特性を持つ。
【0036】
ノイズフィルタ360から発生する高周波ノイズ電流は、アース線361よりアースバー340に伝播し、大地アースに到達する。
ここでノイズフィルタ360→アース線361→アースバー340→大地アースの経路は、ノイズフィルタ360→ノイズフィルタと筐体フレーム間の浮遊容量369→筺体フレーム3000→大地アースの経路と比較し、特にMHz以上の高周波域で同等以下の低いインピーダンス特性を持つようにする。
【0037】
さらに、ノイズフィルタ360から発生するノイズ電流の内、低周波ノイズ電流は、主としてノイズフィルタ360の出力側ノイズフィルタから発生する。このノイズ電流は、出力側ノイズフィルタ→出力側ノイズフィルタ用アース線361→アースバー340→入力側ノイズフィルタ用アース線361→入力側ノイズフィルタと伝搬する。
なお、図ではノイズフィルタ360のアース線361は、1本で描いているが、実際には複数本あり、入力側ノイズフィルタ用アース線361と出力側ノイズフィルタ用アース線361は、別の線であり、それぞれアースバー340に接続されている。
このように、筺体フレーム3000の内部で循環させることができるため、外部への漏洩を抑制できる。
【0038】
以上説明したように、実施の形態3に係るモジュール式無停電電源装置3は、複数の無停電電源モジュールと、切替スイッチ部と、ノイズフィルタと、アースバーと、複数の無停電電源モジュールと切替スイッチ部とノイズフィルタとアースバーを収納する筐体フレームとを備え、複数の無停電電源モジュール、切替スイッチ部、ノイズフィルタの各アース線をアースバーに接続した構成としているため、無停電電源モジュール、切替スイッチ部、ノイズフィルタから発生する高周波ノイズ電流はアースバーを選択的に伝播し、筐体フレームアースへの伝播は抑制され、筐体フレームより発生する放射ノイズを低減でき、電磁環境適合性を向上させることができる。
【0039】
また、ノイズフィルタから発生する低周波ノイズ電流は、筺体フレームの内部で循環させることができるため、外部への漏洩を抑制できる。
【0040】
実施の形態4.
実施の形態4のモジュール式無停電電源装置は、実施の形態3のモジュール式無停電電源装置において、例えば無停電電源モジュールの筺体フレームを、アースバーに接続するアース線とは分離した他の接地系とする構成としたものである。
以下、本願発明の実施の形態4の構成、動作について、モジュール式無停電電源装置4の概略構成図である
図4に基づいて説明する。
実施の形態4に係るモジュール式無停電電源装置4と実施の形態3に係るモジュール式無停電電源装置3との違いは、例えば無停電電源モジュールの筺体フレームを、アースバーに接続するアース線とは分離した他の接地系としたことであるため、この差異部を中心に説明する。
【0041】
まず、モジュール式無停電電源装置4の構成について説明する。
図4において、モジュール式無停電電源装置4は、3台の無停電電源モジュール410、420、430と、切替スイッチ部450と、ノイズフィルタ460と、無停電電源モジュール410、420、430のアース線411、421、431と、切替スイッチ部450のアース線454と、ノイズフィルタ460のアース線461と、アースバー440と、これらを収納する筐体フレーム4000とから構成される。
外部からの交流入力は、モジュール式無停電電源装置4に第1の入力線401と第2の入力線402を経由して入力され、モジュール式無停電電源装置4で電力変換された出力は、またはバイパス動作の場合交流入力はそのまま、出力線404を経由して出力される。
切替スイッチ部450は、第1の切替スイッチ451、第2の切替スイッチ452および第1および第2の切替スイッチ451、452に電源を供給する電源453から構成される。
3台の無停電電源モジュール410、420、430は、第1の入力線401および内部出力線403で並列に接続されている。
【0042】
ノイズフィルタ460は、図示しない入力側ノイズフィルタと出力側ノイズフィルタから構成される。入力側ノイズフィルタは第1の入力線401に設置され、出力側ノイズフィルタは出力線404に設置される。入力側および出力側ノイズフィルタは、各々アース線461に接続されている。
【0043】
また、モジュール式無停電電源装置4は、無停電電源モジュール410、420、430の他の接地系412、422、432、切替スイッチ部450の他の接地系455、およびノイズフィルタ460の他の接地系462を有する。
ここで、他の接地系について、無停電電源モジュール410を例として説明する。無停電電源モジュール410の他の接地系とは、無停電電源モジュール410の筺体フレームを無停電電源モジュール410のアース線411と導通しない構造とし分離した場合の無停電電源モジュール410の筺体フレームアースをいう。
【0044】
無停電電源モジュール410、420、430のアース線411、421、431、切替スイッチ部450のアース線454およびノイズフィルタ460のアース線461は、例えば銅板のアースバー440に接続される。アースバー440は、筐体フレーム4000と導通しない構造で設置され、大地アースに接続されている。
アースバー440に要求される条件は、実施の形態1のアースバー140と同じであるため説明は省略する。
【0045】
無停電電源モジュール410、420、430、切替スイッチ部450、およびノイズフィルタ460の他の接地系412、422、432、455、および462は、筺体フレームアースを構成する筐体フレーム4000に接続されており、この筐体フレーム4000は、アースバー440とは別に大地アースに接続されている。
また、無停電電源モジュール410、420、430、切替スイッチ部450およびノイズフィルタ460と筺体フレーム4000の間には、それぞれ無停電電源モジュール、切替スイッチ部、ノイズフィルタと筐体フレーム間の浮遊容量419、429、439、459、469が存在する。
【0046】
切替スイッチ部450は、パワー経路切替機能、すなわちバイパス機能を有し、通常モードでは無停電電源モジュール410、420、430の出力を外部に出力線404を経由して出力する。しかし、無停電電源モジュール410、420、430に故障が発生した場合、また保守が必要な場合、無停電電源モジュール410、420、430をバイパスする。すなわち、第2の入力線402からの交流入力を、無停電電源モジュール410、420、430を通さずにバイパスして、そのまま出力線404に出力する。
すなわち、モジュール式無停電電源装置4で電力変換して出力する通常モードの場合は、切替スイッチ451がオン、切替スイッチ452がオフとなる。交流入力を直接出力するバイパス動作モードでは、切替スイッチ451がオフ、切替スイッチ452がオンとなる。モジュール式無停電電源装置4で電力変換して出力する場合は、切替スイッチ451がオフ、切替スイッチ452がオンとなる。
【0047】
無停電電源モジュール410、420、430の内部構成機器は、実施の形態1の無停電電源モジュール110、120、130と同じであるため、説明を省略する。
【0048】
次に、モジュール式無停電電源装置4の動作について説明する。
無停電電源モジュール410、420、430を稼動させると、内部の電力変換器が駆動し、電力変換が行われる。このとき、電力変換器は高周波ノイズ電流を発生させる。
この発生した高周波ノイズ電流は、無停電電源モジュール410、420、430のアース線411、421、431を経由し、アースバー440を伝播し、大地アースに到達する。
ここで、無停電電源モジュール410、420、430→アース線411、421、431→アースバー440→大地アースの経路は、無停電電源モジュール410、420、430→無停電電源モジュールと筐体フレーム間の浮遊容量419、429、439→筐体フレーム4000→大地アースの経路と比較し、特にMHz以上の高周波域で同等以下の低いインピーダンス特性を持つ。
【0049】
切替スイッチ部450でも内部の電源453を稼動させると、高周波ノイズ電流が発生する。この高周波ノイズ電流は切替スイッチ部450のアース線454を経由し、アースバー440を伝播し、大地アースに到達する。
ここで切替スイッチ部450→アース線454→アースバー440→大地アースの経路は、切替スイッチ部450→切替スイッチ部と筐体フレーム間の浮遊容量459→筐体フレーム4000→大地アースの経路と比較し、特にMHz以上の高周波域で同等以下の低いインピーダンス特性を持つ。
【0050】
ノイズフィルタ460より発生する高周波ノイズ電流は、アース線461よりアースバー440に伝播し、大地アースに到達する。
ここでノイズフィルタ460→アース線461→アースバー440→大地アースの経路は、ノイズフィルタ460→ノイズフィルタと筐体フレーム間の浮遊容量469→筐体フレーム4000→大地アースの経路と比較し、特にMHz以上の高周波域で同等以下の低いインピーダンス特性を持つ。
【0051】
さらに、ノイズフィルタ460より発生するノイズ電流の内、低周波ノイズ電流は、主としてノイズフィルタ460の出力側ノイズフィルタから発生する。このノイズ電流は、出力側ノイズフィルタ→出力側ノイズフィルタ用アース線461→アースバー440→入力側ノイズフィルタ用アース線461→入力側ノイズフィルタと伝搬する。このように、筺体フレーム4000の内部で循環させることができるため、外部への漏洩を抑制できる。
【0052】
以上説明したように、実施の形態4に係るモジュール式無停電電源装置4は、複数の無停電電源モジュールと、切替スイッチ部と、ノイズフィルタと、アースバーと、複数の無停電電源モジュールと切替スイッチ部とノイズフィルタとアースバーを収納する筐体フレームとを備え、複数の無停電電源モジュール、切替スイッチ部、ノイズフィルタの各アース線をアースバーに接続した構成としているため、無停電電源モジュール、切替スイッチ部、ノイズフィルタから発生する高周波ノイズ電流はアースバーを選択的に伝播し、筐体フレームアースへの伝播は抑制され、筐体フレームより発生する放射ノイズを低減でき、電磁環境適合性を向上させることができる。
【0053】
また、ノイズフィルタから発生する低周波ノイズ電流は、筺体フレームの内部で循環させることができるため、外部への漏洩を抑制できる。
【0054】
実施の形態5.
実施の形態5のモジュール式無停電電源装置は、実施の形態3のモジュール式無停電電源装置に対して、筺体フレームを仕切り板で分割し、無停電電源モジュールとは別の区画に蓄電池を追加して、仕切り板にアースバーを設置する構成としたものである。
以下、本願発明の実施の形態5の構成、動作について、モジュール式無停電電源装置5の概略構成図である
図5に基づいて説明する。
実施の形態5に係るモジュール式無停電電源装置5と実施の形態3に係るモジュール式無停電電源装置3との違いは、仕切り板で分割した別区画に蓄電池を追加し、仕切り板にアースバー設けたことであるため、この差異部を中心に説明する。
【0055】
まず、モジュール式無停電電源装置5の構成について説明する。
図5において、モジュール式無停電電源装置5は、3台の無停電電源モジュール510、520、530と、切替スイッチ部550と、ノイズフィルタ560と、蓄電池570と、無停電電源モジュール510、520、530のアース線511、521、531と、切替スイッチ部のアース線554と、ノイズフィルタのアース線561と、アースバー540と、これらを収納する筐体フレーム5000とから構成される。
外部からの交流入力は、モジュール式無停電電源装置5に第1の入力線501と第2の入力線502を経由して入力され、モジュール式無停電電源装置5で電力変換された出力は、またはバイパス動作の場合交流入力はそのまま、出力線504を経由して出力される。
切替スイッチ部550は、第1の切替スイッチ551、第2の切替スイッチ552および第1および第2の切替スイッチ551、552に電源を供給する電源553から構成される。
3台の無停電電源モジュール510、520、530は、第1の入力線501および内部出力線503で並列に接続されている。
【0056】
筐体フレーム5000は、仕切り板5001で第1の区画5002と第2の区画5003に分割されている。
第1の区画5002には、無停電電源モジュール510、520、530、切替スイッチ部550、ノイズフィルタ560が設けられている。第2の区画5003には、蓄電池570が設けられている。また、仕切り板5001にアースバー540が設けられている。
【0057】
蓄電池570は、無停電電源モジュール510、520、530に内蔵されている各平滑用コンデンサに接続されており、入力電源の喪失時や瞬停時においても、モジュール式無停電電源装置5は負荷設備に正常な電源を供給することができる。
【0058】
切替スイッチ部550は、第1の切替スイッチ551、第2の切替スイッチ552および第1および第2の切替スイッチ551、552に電源を供給する電源553から構成される。
ノイズフィルタ560は、図示しない入力側ノイズフィルタと出力側ノイズフィルタから構成される。入力側ノイズフィルタは第1の入力線501に設置され、出力側ノイズフィルタは出力線504に設置される。入力側および出力側ノイズフィルタは、各々アース線561に接続されている。
【0059】
無停電電源モジュール510、520、530のアース線511、521、531、切替スイッチ部550のアース線554およびノイズフィルタ560のアース線561は、仕切り板5001に設けられた、例えば銅板のアースバー540に接続される。アースバー540は、筐体フレーム5000と導通しない構造で設置され、大地アースに接続されている。
アースバー540に要求される条件は、実施の形態1のアースバー140と同じであるため説明は省略する。
【0060】
筐体フレーム5000は、アースバー540とは別に大地アースに接続されており、筺体フレームアースを構成している。
また、無停電電源モジュール510、520、530、切替スイッチ部550およびノイズフィルタ560と筺体フレーム5000の間には、それぞれ無停電電源モジュール、切替スイッチ部、ノイズフィルタと筐体フレーム間の浮遊容量519、529、539、559、569が存在する。
【0061】
切替スイッチ部550は、パワー経路切替機能、すなわちバイパス機能を有し、通常モードでは無停電電源モジュール510、520、530の出力を外部に出力線504を経由して出力する。しかし、無停電電源モジュール510、520、530に故障が発生した場合、また保守が必要な場合、無停電電源モジュール510、520、530をバイパスする。すなわち、第2の入力線502からの交流入力を、無停電電源モジュール510、520、530を通さずにバイパスして、そのまま出力線504に出力する。
すなわち、モジュール式無停電電源装置4で電力変換して出力する通常モードの場合は、切替スイッチ551がオン、切替スイッチ552がオフとなる。交流入力を直接出力するバイパス動作モードでは、切替スイッチ551がオフ、切替スイッチ552がオンとなる。
【0062】
無停電電源モジュール510、520、530の内部構成機器は、実施の形態1の無停電電源モジュール110、120、130と同じであるため、説明を省略する。
【0063】
次に、モジュール式無停電電源装置5の動作について説明する。
無停電電源モジュール510、520、530および切替スイッチ部550の稼動時の動作およびノイズフィルタ560の動作は、実施の形態3の無停電電源モジュール310、320、330、切替スイッチ部350およびノイズフィルタ360の動作と同じであるため説明を省略する。
【0064】
本実施の形態5において、筺体フレーム5000は内部を仕切り板5001で分割する構造であり、筐体5000内の第1区画5002には無停電電源モジュール510、520、530、切替スイッチ部550、ノイズフィルタ560を収納している。また、第2区画5003には蓄電池570を収納する構成としているため、部品交換を容易にできる。
具体的には、蓄電池570を交換する場合、保守をする場合、第1区画5002を開ける必要がなく、独立して作業が行えるため、作業性が向上する。また、例えば、無停電電源モジュール510を交換する場合、第2区画5003を開ける必要がなく、独立して作業が行えるため、作業性が向上する。
【0065】
本実施の形態5において、アースバー540は仕切り板5001に設けている。このためアースバー540を支持する構造体を別途準備する必要がなく、開発工期の短縮、部品材料の低減となる。さらに組立においても仕切り板5001と同時に組立可能であり、作業性も向上する。
【0066】
以上説明したように、実施の形態5に係るモジュール式無停電電源装置5は、複数の無停電電源モジュールと、切替スイッチ部と、ノイズフィルタと、蓄電池と、アースバーと、複数の無停電電源モジュールと切替スイッチ部とノイズフィルタとアースバーを収納する筐体フレームとを備え、複数の無停電電源モジュール、切替スイッチ部、ノイズフィルタの各アース線をアースバーに接続した構成としているため、無停電電源モジュール、切替スイッチ部、ノイズフィルタから発生する高周波ノイズ電流はアースバーを選択的に伝播し、筐体フレームアースへの伝播は抑制され、筐体フレームより発生する放射ノイズを低減でき、電磁環境適合性を向上させることができる。
【0067】
また、ノイズフィルタから発生する低周波ノイズ電流は、筺体フレームの内部で循環させることができるため、外部への漏洩を抑制できる。
さらに、実施の形態5に係るモジュール式無停電電源装置5は、筺体フレームを仕切り板で分割し、無停電電源モジュールとは別の区画に蓄電池を設けて、仕切り板にアースバーを設置する構成としているため、部品交換の容易化、開発工期の短縮、部品材料の低減、組立作業性の向上を図ることができる。
【0068】
なお、モジュール式無停電電源装置に係る本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。