【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、不織布からなる透液性の表面シートと、裏面シートとの間に吸収体が介在された吸収性物品において、
前記表面シートは、吸収性物品の幅方向に所定の間隔を空けて、吸収性物品の長手方向に連続する畝状の凸部を有し、前記各凸部の両側に吸収性物品の長手方向に間隔を空けて右側隣接位置と左側隣接位置とに交互に点状の凹エンボスが
設けられるとともに、前記凹エンボスは全体的に千鳥状に配置とされ
、前記凹エンボスを通る幅方向横断面において、前記凸部に対して近接している側の凹エンボスとの間の傾斜面が相対的に急勾配の傾斜面とされ、前記凸部に対して遠隔している側の凹エンボスとの間の傾斜面が相対的に緩勾配の傾斜面とされ、前記凸部の横断面形状が左右非対称形状を成していることを特徴とする吸収性物品が提供される。
【0010】
上記請求項1記載の発明では、表面シートは吸収性物品の幅方向に所定の間隔を空けて、吸収性物品の長手方向に連続する畝状の凸部を有するが、表面シートを固定するための凹エンボス(接合部)は、前記各凸部の両側に吸収性物品の長手方向に間隔を空けて右側隣接位置と左側隣接位置とに交互に点状の凹エンボスが付与され、前記凹エンボスは全体的に千鳥状に配置とされているものである。
【0011】
従って、長手方向に連続する前記凸部によって空気の通り道ができ蒸れを低減することができる。また、表面シートを固定するための凹エンボスは、前記各凸部の両側に吸収性物品の長手方向に間隔を空けて右側隣接位置と左側隣接位置とに交互に点状に千鳥状に配置されているため、体液の流路は各凹エンボスを繋いだジグザグ状の流路となるため伝い漏れを防止することが可能となる。
【0012】
更には、表面シートを通過して前記凸部内を流れた体液があっても、この凸部内の流路は流路幅を交互に拡大、縮小させた流路となっているため体液が流れづらく吸収体側に吸収され易くなるため体液の伝い漏れを防止することができるようになる。
【0013】
また、前記凸部の断面形状に関し、凸部に対して近接している側の凹エンボスとの間の傾斜面が相対的に急勾配の傾斜面とされ、前記凸部に対して遠隔している側の凹エンボスとの間の傾斜面が相対的に緩勾配の傾斜面とされ、前記凸部の横断面形状が頂部を境に左右非対称形状を成している。
【0014】
従って、肌との接触面積を低減し得るとともに、表面側から体圧を受けた際、前記凸部の横断形状が頂部を境に左右非対称形状を成し、凸部の両壁が抵抗する左右対称形状よりも圧力に対して抵抗力が小さく潰れ易いため肌への当りが柔らかいものとなる。
【0015】
請求項
2に係る本発明として、前記凸部の頂部での高さが1〜3mm、前記緩勾配の傾斜面の中間点位置での高さが0.5〜2mmとされる請求項
1記載の吸収性物品が提供される。
【0016】
上記請求項
2記載の発明は、前記表面シートの凸部の高さ寸法を規定したものである。具体的には前記凸部の頂部での高さが1〜3mm、前記緩勾配の傾斜面の中間点位置(頂部と凹エンボス間距離の1/2点)での高さが0.5〜2mmとするのが望ましい。
【0017】
請求項
3に係る本発明として、前記凹エンボスは、吸収性物品の長手方向寸法が0.3〜4mm、吸収性物品の幅方向寸法が0.3〜3mmであり、吸収性物品の長手方向間隔及び幅方向間隔が2〜15mmとされる請求項1
、2いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0018】
上記請求項
3記載の発明は、前記表面シートの凹エンボスの寸法を規定したものである。具体的には前記凹エンボスの吸収性物品の長手方向寸法が0.3〜4mm、吸収性物品の幅方向寸法が0.3〜3mmであり、吸収性物品の長手方向間隔及び幅方向間隔が2〜15mmとするのが望ましい。
【0019】
請求項
4に係る本発明として、請求項1〜
3いずれかに記載の吸収性物品を製造するための方法であって、
前記表面シートは、対面配置で一対の第1凹凸ロールと第2凹凸ロールとの間を挿通させることにより前記凸部及び凹エンボスが形成され、
前記第1凹凸ロールは、ライン幅方向に間隔を空けてライン方向に連続する凸条部が形成されるとともに、この凸条部は平面視で左側に突出する左凸状曲部と、右側に突出する右凸状曲部とが交互に繰り返された波状の凸条部とされ、前記左凸状曲部の内面側及び前記右凸状曲部の内面側は弧状曲線部とされ、
前記第2凹凸ロールは、前記第1凹凸ロールの左凸状曲部の内面側弧状曲線部に対応する位置にドット状凸部を有するとともに、前記右凸状曲部の内面側弧状曲線部に対応する位置にドット状凸部を有し、これらドット状凸部が全体的に千鳥状配置とされ、
前記表面シートは、前記第1凹凸ロールと第2凹凸ロールとの間を挿通した後、前記第1凹凸ロールから離脱し、第2凹凸ロール側に保持された状態で周回した後、前記第2凹凸ロールと対面配置で設けられたフラットロールとの間に導入されるとともに、これら前記第2凹凸ロールとフラットロールとの間にセカンドシート不織布が導入され、前記表面シートと前記セカンドシート不織布とが前記第2凹凸ロールのドット状凸部に対応する位置で接合され、
その後の組立工程で、裏面シートの上面に吸収体が載置されるとともに、その上面に前記セカンドシート不織布が下面側に一体的に積層された表面シートが重ねられることを特徴とする吸収性物品の製造方法が提供される。
【0020】
上記請求項
4記載の発明は、本吸収性物品の製造方法に係り、特に好適な表面シートの製造方法を規定したものである。
【0021】
具体的には、対面配置で一対の第1凹凸ロールと第2凹凸ロールとの間を挿通させる過程で前記凸部及び凹エンボスを付与するようにする点は一般的な方法であるが、本製造方法では、前記第1凹凸ロールは、ライン幅方向に間隔を空けてライン方向に連続する凸条部が形成されるとともに、この凸条部は平面視で左側に突出する左凸状曲部と、右側に突出する右凸状曲部とが交互に繰り返された波状の凸条部とされ、前記左凸状曲部の内面側及び前記右凸状曲部の内面側は弧状曲線部とされる。
【0022】
一方、前記第2凹凸ロールは、前記第1凹凸ロールの左凸状曲部の内面側弧状曲線部に対応する位置、具体的には前記内面側弧状曲線部のほぼ中心位置にドット状凸部を有するとともに、前記右凸状曲部の内面側弧状曲線部に対応する位置、具体的には前記内面側弧状曲線部のほぼ中心位置にドット状凸部を有し、これらドット状凸部が全体的に千鳥状配置とされる。
【0023】
表面シートの凸部を形成するための前記第1凹凸ロールの凸条部は、直線状に形成するのではなく、平面視で左側に突出する左凸状曲部と、右側に突出する右凸状曲部とが交互に繰り返された波状凸部とされ、前記左凸状曲部の内面側及び前記右凸状曲部の内面側は弧状曲線部とされ、前記表面シートの凹エンボスを形成するための前記第2凹凸ロールのドット状凸部は、前記弧状曲線部で囲まれたほぼ中心位置とされている。
【0024】
従って、前記第1凹凸ロールの弧状曲線部に囲まれたほぼ中心位置に第2凹凸ロールのドット状凸部が位置し、このドット状凸部から前記第1凹凸ロールの弧状曲線部までの距離がほぼ均等になっているため、凹エンボスを付与する際に、表面シートの切れを効果的に防止することができる。
【0025】
なお、前記第1凹凸ロールの凸条部は波状の凸条部とされているが、製品状態で表面シートに形成された畝状の凸部は、不織布の復元性によってほぼ直線状に形成されている。