特許第5980001号(P5980001)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5980001格子状シート材を用いたブラインド、格子状シート材を用いたバッグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980001
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】格子状シート材を用いたブラインド、格子状シート材を用いたバッグ
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/24 20060101AFI20160818BHJP
   A45C 3/04 20060101ALI20160818BHJP
   A45C 3/00 20060101ALI20160818BHJP
   B65D 65/02 20060101ALI20160818BHJP
   B32B 3/12 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   E06B9/24 Z
   A45C3/04 Z
   A45C3/00 Z
   B65D65/02 D
   B32B3/12 B
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-137370(P2012-137370)
(22)【出願日】2012年6月18日
(65)【公開番号】特開2014-226(P2014-226A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年4月13日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年3月2日泉ガーデンギャラリーにおいて開催された多摩美術大学プロダクトデザイン専攻 卒業制作展2012で発表
(73)【特許権者】
【識別番号】512160221
【氏名又は名称】ケイアールエム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】國吉 里沙
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 実開平5−94115(JP,U)
【文献】 特開2002−371773(JP,A)
【文献】 特開2009−213504(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第0940517(EP,A1)
【文献】 登録実用新案第3030633(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0122590(US,A1)
【文献】 実開昭57−148319(JP,U)
【文献】 特開2012−61926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 1/00−15/08
B65D 30/06、65/02
B60J 3/00
E06B 9/24−9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延在し所定の間隔でスリットが形成された複数の第1の帯体と、前記第1の方向に交差する第2の方向に延在し所定の間隔でスリットが形成された複数の第2の帯体とを、起立した状態で互いに交差させることで格子が形成された起立状態を初期状態とする格子状シート材であって
前記第1の帯体及び前記第2の帯体は、両帯体の交差部で互いに形成されたスリットで係止しあい、
前記交差部毎に、前記第1の帯体及び前記第2の帯体の縁辺から延びるスリットの方向が交互に入れ替わるように構成され、
作用する外力に応じて、前記交差部における前記第1の帯体と前記第2の帯体との交差角度を変化させて、前記起立状態から、前記第1の帯体及び前記第2の帯体が倒れた状態まで変化する、物品を構成するシート材として用いられる、格子状シート材と、
前記格子状シート材を吊持する吊下げ部と、
を備えることを特徴とするブラインド
【請求項2】
前記第1の帯体及び前記第2の帯体は布製である、又は、前記第1の帯体及び前記第2の帯体は前記交差角度が連続的に変化するように弾性変形可能なようにその厚みが決定された金属材料から構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のブラインド。
【請求項3】
前記格子状シート材の表面に力を加えると、力を加えられた範囲の前記第1の帯体及び前記第2の帯体は、起立した状態から倒れた状態に変化し、倒れた状態がそのまま保持されることを特徴とする請求項1又は2に記載のブラインド。
【請求項4】
前記第1の帯体及び前記第2の帯体の幅は10mm、前記第1の帯体及び前記第2の帯体に形成された前記スリットの幅は1.5mm、並びに前記第1の帯体及び前記第2の帯体に形成された前記スリットの間隔は10mmであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のブラインド。
【請求項5】
第1の方向に延在し所定の間隔でスリットが形成された複数の第1の帯体と、前記第1の方向に交差する第2の方向に延在し所定の間隔でスリットが形成された複数の第2の帯体とを、起立した状態で互いに交差させることで格子が形成された起立状態を初期状態とする格子状シート材であって、
前記第1の帯体及び前記第2の帯体は、両帯体の交差部で互いに形成されたスリットで係止しあい、
前記交差部毎に、前記第1の帯体及び前記第2の帯体の縁辺から延びるスリットの方向が交互に入れ替わるように構成され、
作用する外力に応じて、前記交差部における前記第1の帯体と前記第2の帯体との交差角度を変化させて、前記起立状態から、前記第1の帯体及び前記第2の帯体が倒れた状態まで変化する、物品を構成するシート材として用いられる、格子状シート材を用いたバッグであり、
前記格子状シート材を展開すると、少なくとも2箇所に突出した部分を有し、
一方の前記突出した部分を構成する前記第1の帯体あるいは前記第2の帯体と、他方の前記突出した部分を構成する前記第1の帯体あるいは前記第2の帯体とが組み上げられて、手提部が構成されていることを特徴とするバッグ。
【請求項6】
前記第1の帯体及び前記第2の帯体は布製である、前記第1の帯体及び前記第2の帯体は前記交差角度が連続的に変化するように弾性変形可能な合成樹脂から構成されている、又は、前記第1の帯体及び前記第2の帯体は前記交差角度が連続的に変化するように弾性変形可能なようにその厚みが決定された金属材料から構成されていることを特徴とする請求項5に記載のバッグ。
【請求項7】
前記第1の帯体及び前記第2の帯体の幅は10mm、前記第1の帯体及び前記第2の帯体に形成された前記スリットの幅は1.5mm、並びに前記第1の帯体及び前記第2の帯体に形成された前記スリットの間隔は10mmであることを特徴とする請求項5に記載のバッグ。
【請求項8】
前記第1の帯体及び前記第2の帯体は布製である、又は、前記第1の帯体及び前記第2の帯体は前記交差角度が連続的に変化するように弾性変形可能な合成樹脂から構成されていることを特徴とする請求項7に記載のバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の物品を構成するために用いられる格子状シート材、並びにこの格子状シート材を用いたブラインド及びバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、バッグ、ブラインド等を構成する材料として、新規な機能を有するシート材の開発が望まれている。新規なシート材は、その機能に適した種々の物品に使用することができ、新たな物品の開発や製品化につなげることができる。
【0003】
特許文献1には、包装容器等の内部に配され、収容する物品を仕切るための仕切体が開示されている。この仕切体は、各仕切板を起立させた起立状態と、各仕切り板を倒した偏平状態との切替えが可能である。そのため、不使用時には偏平状態にすることで、輸送や保管を効率よく行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−94115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、包装容器等の内部に配される仕切り板に関するものである。そのため、この仕切り板を各種物品を構成する材料として、また、新たな機能を有するシート材として使用することを全く意図していない。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、新たな機能を有する格子状シート材を提供すること、並びにこの格子状シート材を用いたブラインド及びバッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る格子状シート材は、第1の方向に延在し所定の間隔でスリットが形成された複数の第1の帯体と、前記第1の方向に交差する第2の方向に延在し所定の間隔でスリットが形成された複数の第2の帯体とを、起立した状態で互いに交差させることで格子が形成された起立状態を初期状態とする格子状シート材において、前記第1の帯体及び前記第2の帯体は、両帯体の交差部で互いに形成されたスリットで係止しあい、前記交差部毎に、前記第1の帯体及び前記第2の帯体の縁辺から延びるスリットの方向が交互に入れ替わるように構成され、作用する外力に応じて、前記交差部における前記第1の帯体と前記第2の帯体との交差角度を変化させて、前記起立状態から、前記第1の帯体及び前記第2の帯体が倒れた状態まで変化する、物品を構成するシート材として用いられることを特徴とする。
【0008】
前記第1の帯体及び前記第2の帯体は布製であってもよい。
【0009】
前記第1の帯体及び前記第2の帯体は、前記交差角度が連続的に変化するように弾性変形可能な合成樹脂から構成されてもよい。
【0010】
前記第1の帯体及び前記第2の帯体は、前記交差角度が連続的に変化するように弾性変形可能なようにその厚みが決定された金属材料から構成されてもよい。
【0011】
前記第1の帯体及び前記第2の帯体の幅は10mm、前記第1の帯体及び前記第2の帯体に形成された前記スリットの幅は1.5mm、並びに前記第1の帯体及び前記第2の帯体に形成された前記スリットの間隔は10mmであってもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係るブラインドは、前記格子状シート材と、前記格子状シート材を吊持する吊下げ部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
前記格子状シート材の表面に力を加えると、力を加えられた範囲の前記第1の帯体及び前記第2の帯体は、起立した状態から倒れた状態に変化し、倒れた状態がそのまま保持されてもよい。
【0014】
また、前記ブラインドが備える前記格子状シート材の前記第1の帯体及び前記第2の帯体の幅は10mm、前記第1の帯体及び前記第2の帯体に形成された前記スリットの幅は1.5mm、並びに前記第1の帯体及び前記第2の帯体に形成された前記スリットの間隔は10mmであってもよい
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係るバッグは、前記格子状シート材を用いたバッグであり、前記格子状シート材を展開すると、少なくとも2箇所に突出した部分を有し、一方の前記突出した部分を構成する前記第1の帯体あるいは前記第2の帯体と、他方の前記突出した部分を構成する前記第1の帯体あるいは前記第2の帯体とが組み上げられて、手提部が構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、新たな機能を有する格子状シート材、並びにこの格子状シート材を用いたブラインド及びバッグを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る格子状シート材の一部を拡大した分解斜視図。
図2】本発明の実施形態に係る格子状シート材の一部を拡大した図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中の矢視b−bから見た図、(c)は縦帯及び横帯の交差角度を変えた状態を示した図。
図3】本発明の実施形態に係る格子状シート材を用いたブラインドの平面図。
図4】本発明の実施形態に係る格子状シート材を用いたブラインドを示した図であり、(a)は一部に遮光部が形成されたブラインドの平面図、(b)は(a)中の“b”で示した遮光部の拡大平面図。
図5】本発明の実施形態に係る格子状シート材を用いたブラインドを示した図であり、端部が引っ張られて遮光部が元の状態に戻った様子を示した平面図。
図6】本発明の実施形態に係る格子状シート材を用いたバッグの写真を加工した図。
図7】(a)はバッグを構成する本発明の実施形態に係る格子状シート材の展開図、(b)は、格子状シート材を構成する縦帯あるいは横帯の一部を拡大した平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る格子状シート材を図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る格子状シート材の一部を拡大した分解斜視図、図2は、本発明の実施形態に係る格子状シート材の一部を拡大した図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中の矢視b−bから見た図、(c)は縦帯及び横帯の交差角度を変えた状態を示した図である。
【0019】
[格子状シート材の基本構成]
図1に示すように、本実施形態に係る格子状シート材1は、所定の方向(第1の方向X)に延在する複数の縦帯10と、この縦帯10の延在方向に交差する方向(第2の方向Y)に延在する複数の横帯20とが、格子状に組み立てられて構成されている(図2(a)参照)。図1においては、説明のためにそれぞれ4本の縦帯10及び横帯20を示しているが、格子状シート材1の大きさに応じた本数が用いられる。したがって、縦帯10及び横帯20の本数については、特に限定されるものではない。
【0020】
縦帯10のそれぞれには、上縁から下方に伸びる上スリット11a、11b、及び、下縁から上方に伸びる下スリット12a、12bが形成されている。上スリット11a、11b及び下スリット12a、12b(これらを特に区別しない場合、以下、単にスリットと記載する)は、縦帯10の長さ方向に所定の間隔aで交互に形成されている。なお、スリットは、縦帯10の幅W1の略中央に到達する程度の長さWd1を有している。また、縦帯10に形成されたスリットの形成位置は、隣接する縦帯10で同じであるが、その種類は異なる。より具体的には、縦帯10の長さ方向に同じ位置にあるスリットは、一方の縦帯10に下スリットが形成されていると、隣接する他方の縦帯10には上スリットが形成されている。
【0021】
横帯20も、縦帯10と同様に、上縁から下方に伸びる上スリット21a、21b、及び、下縁から上方に伸びる下スリット22a、22bが横帯20の長さ方向に所定の間隔bで交互に形成されている。また、縦帯10と同様に、横帯20の長さ方向に同じ位置にあるスリットは、隣接する横帯20でその種類は異なっている。すなわち、本実施形態に係る格子状シート材1は、第1の方向X及び第2の方向Yに異なるスリットが交互に配置されている。また、横帯20に形成されたスリットは、横帯の幅W2の略中央に到達する程度の長さWd2を有している。
【0022】
次に、スリットが形成された縦帯10及び横帯20の組み立て方について説明する。横帯20aの下スリット22aは、縦帯10aの上スリット11aに上方から位置合わせがされ、互いのスリット11a、22aは縦帯10a及び横帯20aに挿着される。また、横帯の20aの上スリット21aは、縦帯10bの下スリット12aに下方から挿入される。そして、互いのスリット12a、21aは、縦帯10b及び横帯20aに挿着される。同様に、横帯20aの下スリット22bは、縦帯10cの上スリット11bに上方から挿入されるとともに、横帯20aの上スリット21bは、縦帯10dの下スリット12bに下方から挿入される。このように、スリット位置毎に縦帯10及び横帯20を互い違いにして、縦帯10及び横帯20を組み立てる。そして、全ての縦帯10及び横帯20を組み立てることで、格子状シート材1が組み立てられる。
【0023】
このようにして組み立てられた格子状シート材1を図2(a)に示す。縦帯10及び横帯20の交差部毎にスリット11a、11b、12a、12b、21a、21b、22a、22bが形成されており、これらのスリットは他方の帯体を挿着した状態となっている。そのため、縦帯10及び横帯20のスリット間隔は、格子状シート材1の目合い寸法を決定づけることとなる。
【0024】
また、格子状シート材10は、縦帯10及び横帯20に形成されたスリット毎に、縦帯10及び横帯20が互い違いになるように構成されている。そのため、縦帯10及び横帯20が組み合わされた状態は、容易に外れることがない。
【0025】
このような構成を有する格子状シート材1において、縦帯10及び横帯20を種々の材料から選択したり、縦帯10及び横帯20の寸法(幅、厚み、長さ)やスリットの間隔等を適切に設定したりすることにより、様々な機能を有するシート材とすることができる。図2(b)に示すように、本実施形態に係る格子状シート材においては、縦帯10dに形成されたスリット11cの幅は、交差する横帯20bの厚みより広い(このことは、横帯20のスリットと縦帯10の厚みとの関係も同様である)。そのため、横帯20bは、縦帯10dに形成されたスリット11c内で自在にその向き(交差角度)を変えられる(図2(c))。なお、変えることのできる交差角度とは、図2(c)に示すように、格子状シート材を平面視したときの縦帯10dと横帯20bとの交差角度を意味するだけでなく、縦帯10dと横帯20bとがスリット位置でねじれを生じるような3次元的に変化する交差角度を含むものとする。以下、本実施形態に係る格子状シート材1を種々の物品に使用した実施例について説明する。
【0026】
[実施例1]
本実施例は、本発明の実施形態に係る格子状シート材をブラインドに適用したものである。図3は、本発明の実施形態に係る格子状シート材を用いたブラインドの平面図、図4は、本発明の実施形態に係る格子状シート材を用いたブラインドを示した図であり、(a)は一部に遮光部が形成されたブラインドの平面図、(b)は(a)中の“b”で示した遮光部の拡大平面図である。また、図5は、本発明の実施形態に係る格子状シート材を用いたブラインドを示した図であり、端部が引っ張られて遮光部が元の状態に戻った様子を示した平面図である。
【0027】
このブラインド100は、格子状シート材101と、格子状シート材101の一辺を吊持する吊下げ部130とを有しており、窓枠等に設置されて外光の入射量や通気量を調整する。格子状シート材101は、縦帯110及び横帯120が、例えば、ポリエチレン製の織布(メッシュ200)から構成されている。縦帯110の幅W1及び横帯120の幅W2(図1)はともに10mmであり、縦帯110に形成されたスリット間隔a、及び横帯120に形成されたスリット間隔bはともに10mmである。
【0028】
図3に示す格子状シート材101は、縦帯110及び横帯120が起立した状態にある。本明細書で縦帯及び横帯が起立した状態とは、図2(a)に示すように、縦帯10の幅W1方向及び横帯20の幅W2方向が上下方向を向き、平面視して格子状シート材1の格子区画140が明確に形成された状態をいう。すなわち、図3に示した格子状シート材101は、縦帯110及び横帯120の幅方向が紙面に対して垂直である。そして、縦帯110及び横帯120で区切られた格子区画140を介して透光するとともに通気する。
【0029】
図4(a)は、表面が手でなぞられて格子状シート材101に遮光部150が形成されたブラインド100を示している。前述したように、格子状シート材101はポリエチレン製の織布から構成されており、柔らかく、軽い。そのため、格子状シート材101の表面を手でなぞると、なぞられた範囲の縦帯110及び横帯120は、起立した状態から倒れた状態へ変化する(図4(a))。なお、本明細書で縦帯110及び横帯120が倒れた状態とは、縦帯110及び横帯120の幅方向が格子状シート材101の平面方向を向いて、平面的に重なった状態(図4(b))のことを言う。なお、縦帯110及び横帯120の柔軟性が優っているため、手でなぞられて倒れた状態から元の起立した状態に戻ろうとする復元弾性力は弱い。そのため、手でなぞられた領域の縦帯110及び横帯120は倒れたままの状態で保持される。このように、縦帯110及び横帯120が倒れた状態では、図4(b)に示すように、縦帯110及び横帯120が格子状シート材101に形成された格子区画140を塞ぐことになる。
【0030】
このように、縦帯110及び横帯120が倒れた状態にある遮光部150は、外光の光の入射を遮るとともに、通気を遮る非通気部としても機能する。また、遮光部150の周囲は、縦帯110及び横帯120が起立した領域であり、外光の光を透過させる透光部として機能するとともに、通気を許容する通気部として機能する。
【0031】
格子状シート材101の一部に遮光部150が形成された状態で、図5の矢印で示すように端部を引っ張ると、縦帯110及び横帯120は緊張し、倒れていた縦帯110及び横帯120を起立させることができる。これにより、図4(a)で示した遮光部の領域は、元の格子状の状態に戻り、全ての縦帯110及び横帯120を起立させた状態に戻すことができる。
【0032】
このように、本実施形態に係る格子状シート材101を用いたブラインド100は、格子状シート材101を手でなぞるなどして縦帯110及び横帯120を倒すことにより、所望の範囲(一部あるいは全部)に遮光部150(あるいは非通気部)を形成することが可能である。また、外光を遮光する状態から透光する状態にする(通気を許容する状態から通気を遮る状態にする)場合には、格子状シート材101の端部を引っ張るだけでよい。そのため、本実施形態に係る格子状シート材101を用いたブラインド100は、従来のブラインドと比べてその操作性に優れている。
【0033】
[実施例2]
図6は、本発明の実施形態に係る格子状シート材を用いたバッグの写真を加工した図、図7(a)はバッグを構成する本発明の実施形態に係る格子状シート材の展開図、図7(b)は、格子状シート材を構成する縦帯又は横帯の一部を拡大した平面図である。図6に示すように、このバッグ200は、格子状シート材201の隅角部を形成するとともに紐状体等で結束された結束部230と、ユーザがバッグ200を手で持つための手提部240とを有している。このバッグ200は、図7(a)に示すように、1枚の格子状シート材201が折り曲げられて構成されている。縦帯210及び横帯220は、例えば、厚みが0.2mm、幅W3(図7(b))が10mmに切断されたポリプロピレンのシートから構成されている。また、図7(b)に示すように、スリット間隔pが10mm、スリット幅sが1.5mm、スリット長lが5mmに設定されたスリット250が、縦帯210及び横帯220に形成されている。そのため、厚さ0.2mmの縦帯210及び横帯220をスリットに挿入した場合、1.3mmのクリアランスが確保されている。そのため、縦帯210及び横帯220は、スリット250内で向きを変えることができる。これにより、格子状シート材201に力を加えると、縦帯210と横帯220との交差角度は変化し、格子状シート材201の形状を変えることができる。
【0034】
図7(a)に示すように、格子状シート材201において、2箇所の手提部240を構成する横帯220(上下4本ずつ)は、他の横帯220よりも長い。そのため、2箇所の手提部240は、格子状シート材201から突出するように形成されている。格子状シート材201をバッグ200に組み立てる場合、まず、格子状シート材201の角部を構成する2箇所の結束部230を近づけ、両者を紐状体等で結束する。上述のように、縦帯210及び横帯220は、その厚みがスリット幅sよりも小さい。そのため、縦帯210及び横帯220はスリット250で交差角度を変えることができ、その結果、格子状シート材201を自在に折り曲げることが可能である。このように、格子状シート材201を折り曲げることにより、その曲率に応じて縦帯210及び横帯220の交差角度は連続的に変化する。次に、2箇所の手提部240を重ね合わせて、一方の手提部240(図中右下)の横帯220を、他方の手提部240(図中左上)にある縦帯210のスリット250に挿着していく。すなわち、手提部240を構成する横帯220は、一部でラップした状態となる。これにより、2つの手提部240を一体化させることができる。以上により、図6に示すバッグ200が組み立てられる。
【0035】
なお、縦帯210及び横帯220を構成する板材の色やスリット間隔を適宜選択することにより、バッグ200に所望の模様を付加する事ができる。また、縦帯210及び横帯220の長さを適宜選択することにより、所望の形状のバッグ200を提供することができる。このように、ユーザが望む模様や形状のバック200を容易に提供することが可能となる。
【0036】
本発明は上記実施形態に限定されず、様々な変形や改良が可能である。上記実施例1で説明したブラインド100を構成する縦帯110及び横帯120は、ポリエチレン製の布体から構成されていると説明したが、他の材料を用いた布体から構成されてもよい。例えば、ナイロン、ポリエステル、アクリル等の合成繊維布を用いてもよい。また、木綿、麻、絹等の天然繊維布を用いてもよい。
【0037】
また、上記実施例2で説明したバッグ200を構成する縦帯210及び横帯220は、ポリプロピレン製のシート材から構成されていると説明したが、他の合成樹脂を用いてもよく、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等を用いることができる。また、ブラインドと同様に、縦帯210及び横帯220を布製としてもよい。
【0038】
また、上述のブラインド100及びバック200の構成材料に金属材料を採用することができる。例えば、種々の規格のアルミニウム材、ステンレス材、スチール材等である。このような金属材料から縦帯、横帯を構成する場合にも、容易に折り曲げることができるとともに、縦帯及び横帯の交差角度が連続的に変化するようにその厚みが決定される。また、金属材料は、上述した布体などに比べ遮光性が優れる。そのため、上述した布体から構成したブラインドと比べ、遮光性に優れたブラインドを提供することができる。
【0039】
また、金属材料からなる縦帯、横帯に塗装を施すことにより、ユーザの希望に沿った色の製品を提供することができる。また、縦帯、横帯ごとに異なる色を設定したり、縦帯、横帯の所定の長さごとに異なる色を設定したりすることで、配色に工夫を凝らした製品を提供することができる。
【0040】
また、材料や色の選択だけでなく、格子の間隔等を、ユーザの要望に沿って適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1、101、201 格子状シート材
10、110、210 縦帯
20、120、220 横帯
100 ブラインド
130 吊下げ部
140 格子区画
150 遮光部
200 バッグ
230 結束部
240 手提部
図1
図2
図3
図4
図5
図7
図6