特許第5980008号(P5980008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980008
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20160818BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20160818BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20160818BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20160818BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61K8/73
   A61K8/891
   A61K8/894
   A61K8/898
   A61K8/87
   A61K8/41
   A61K8/19
   A61K8/34
   A61K8/49
   A61Q5/06
   A61Q5/12
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-142608(P2012-142608)
(22)【出願日】2012年6月26日
(65)【公開番号】特開2014-5239(P2014-5239A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】100078064
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 鐵雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115901
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 英樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 尚人
(72)【発明者】
【氏名】竹中 梢美
(72)【発明者】
【氏名】堀井 嗣哲
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−179338(JP,A)
【文献】 特開2007−015951(JP,A)
【文献】 特開2006−335649(JP,A)
【文献】 特開昭63−313714(JP,A)
【文献】 特開2006−069981(JP,A)
【文献】 特開2011−102243(JP,A)
【文献】 特開2011−251953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カルボキシビニルポリマー、
(B)カチオン化セルロース、
(C)ジメチルポリシロキサン、フェニル変性シリコーン、揮発性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンおよびアミノ変性シリコーンよりなる群から選ばれる1種または2種以上のシリコーン、
(D)上記(A)および上記(B)以外のセット樹脂であって、重合性ビニルモノマーをモノマーとするアニオン性、両性もしくはノニオン性の重合体または共重合体、およびウレタン系樹脂よりなる群から選ばれる1種または2種以上のセット樹脂、
(E)アルカリ剤、
(F)防腐剤、および
(G)水
が配合されてなり、
(A)カルボキシビニルポリマーの配合量が0.1〜1質量%であり、(B)カチオン化セルロースの配合量が0.01〜1質量%であり、(C)シリコーンの配合量が35.5質量%以上であり、(D)セット樹脂の配合量が0.1〜5質量%であることを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項2】
(C)シリコーンとして、ジメチルポリシロキサン、フェニル変性シリコーンおよび揮発性シリコーンが配合されたものである請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
粘度が3〜20Pa.sである請求項1または2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
(E)アルカリ剤として、有機アルカリおよび無機アルカリが配合されたものである請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
(F)防腐剤として、フェノキシエタノールおよび2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンが配合されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に良好な束感とやわらかさとを付与し得る毛髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、トリートメント剤やスタイリング剤などの毛髪化粧料には、適用する毛髪の状態の改善を図るための有効成分などとして、種々の樹脂(ポリマー)を配合することが行われている(特許文献1、2など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平11−500463号公報
【特許文献2】特開2011−37741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
毛髪化粧料には、処理後の毛髪にある程度のまとまり(束感)を付与するために、こうした樹脂の一つとしてセット樹脂と称される樹脂が適用されることがある(なお、本明細書でいう「束感」とは、毛髪が、その長さ方向の中央付近から毛先にかけてまとまりを持った状態であることを意味している)。
【0005】
ところが、セット樹脂を配合した毛髪化粧料で処理した毛髪では、やわらかさが大きく損なわれる虞がある。このようなことから、セット樹脂を配合した毛髪化粧料においては、毛髪へやわらかさを付与する機能も確保することの要請がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、毛髪に良好な束感とやわらかさとを付与し得る毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成し得た本発明の毛髪化粧料は、(A)カルボキシビニルポリマー、(B)カチオン化セルロース、(C)シリコーン、(D)上記(A)および上記(B)以外のセット樹脂〔以下、単に「(D)セット樹脂」、「(D)成分」および「セット樹 脂」という場合がある〕、(E)アルカリ剤、(F)防腐剤、および(G)水が配合されてなり、(C)シリコーンの配合量が20質量%以上であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、毛髪に良好な束感とやわらかさとを付与し得る毛髪化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の毛髪化粧料は、上記の(A)成分から(G)成分を配合し、かつ(C)成分であるシリコーンを、上記のように高い配合量として構成したものであり、それにより、(D)成分であるセット樹脂による毛髪への束感の付与機能と共に、毛髪へのやわらかさの付与機能も確保したものである。
【0010】
また、上記の通り、本発明の毛髪化粧料は、例えば、油成分に該当する(C)シリコーンと(F)水とを配合したものであり、本質的には乳化物であるが、例えば、本発明の毛髪化粧料をポンプ式の容器に充填し、この容器から吐出した時点では、比較的粘度の高い状態が維持されているが、吐出後の毛髪化粧料を手で毛髪に塗布するに際し、手で伸ばしやすく(操作性が良好であり)、塗布時に毛髪表面に広がりやすくなる。よって、本発明の毛髪化粧料は、容器から取り出しやすく、かつ毛髪への塗布性が優れている。
【0011】
本発明の毛髪化粧料において、上述した特長が生じる理由は定かではないが、(A)カルボキシビニルポリマーと(B)カチオン化セルロースとの中に取り込まれた(C)シリコーンが、手で伸ばした際に外に出てきやすい構造を取っているためであると推測される。
【0012】
毛髪化粧料における(A)成分であるカルボキシビニルポリマーの配合量は、その使用による上記の各効果を良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましい。ただし、毛髪化粧料における(A)成分の量が多すぎると、毛髪化粧料が固くなりすぎて、操作性(特に毛髪への塗布時の操作性)が低下する傾向がある。よって、毛髪化粧料における(A)成分の配合量は、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。
【0013】
(B)成分であるカチオン化セルロースの具体例としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、塩化O−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、複数種を用いてもよい。上記例示のカチオン化セルロースの中でも、本発明の毛髪化粧料における上記の各効果をより良好に確保し得ることから、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリドが、より好ましい。
【0014】
毛髪化粧料における(B)成分であるカチオン化セルロースの配合量は、その使用による上記の各効果を良好に確保する観点から、0.01質量%以上であることが好ましく、0.02質量%以上であることがより好ましい。ただし、毛髪化粧料における(B)成分の量が多すぎると、毛髪化粧料が固く(粘度が高く)なりすぎて、操作性(特に毛髪への塗布時の操作性)が低下する傾向がある。よって、毛髪化粧料における(B)成分の配合量は、1質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下であることがより好ましい。
【0015】
(C)成分であるシリコーンの具体例としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(後記の揮発性シリコーンに含まれるもの以外のジメチルポリシロキサン)、フェニル変性シリコーン(メチルフェニルポリシロキサン、トリメチルペンタフェニルシロキサンなど)、揮発性シリコーン(デカメチルシクロペンタシロキサンなどの環状シリコーン、25℃での粘度が2mm/s以下のジメチルポリシロキサンなど)、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン〔アモジメチコン、(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマー、アミノプロピルジメチコンなど〕などが挙げられる。上記のポリエーテル変性シリコーンの具体例としては、例えば、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体(より具体的には、PEG/PPG−19/19ジメチコンなど)、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・ブチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体(より具体的には、PEG−12ジメチコン、PEG−10メチルエーテルジメチコンなど)、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体などが挙げられる。シリコーンには、上記例示のもののうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
(C)成分には、上記例示のものの中でも、高重合(例えば、重合度が2000〜4000)のジメチルポリシロキサンと、フェニル変性シリコーンと、揮発性シリコーンとを組み合わせて使用することが好ましく、この場合には、毛髪化粧料の束感を付与する効果と、やわらかさを付与する効果とが、より高いレベルで両立できるようになる。
【0017】
毛髪化粧料における(C)成分であるシリコーンの配合量は、その使用による上記の各効果を確保する観点から、20質量%以上である。ただし、毛髪化粧料における(C)成分の量が多すぎると、毛髪化粧料を塗布した毛髪に油成分が多量に付着して、スタイル(髪型)が損なわれる虞がある。よって、毛髪化粧料における(C)成分の配合量は、85質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。
【0018】
また、(C)成分であるシリコーンに、ジメチルポリシロキサンと、フェニル変性シリコーンと、揮発性シリコーンとを組み合わせて使用する場合には、毛髪化粧料におけるジメチルポリシロキサンの配合量を1〜50質量%とすることが好ましく、フェニル変性シリコーンの配合量を1〜25質量%とすることが好ましく、揮発性シリコーンの配合量を1〜45質量%とすることが好ましい。ジメチルポリシロキサンと、フェニル変性シリコーンと、揮発性シリコーンとを、このような配合比率で使用することで、これらのシリコーンを組み合わせることによる上記の効果を、より良好に確保することができる。
【0019】
(D)成分であるセット樹脂には、例えば、アクリル基を有する重合性ビニルモノマー(アクリル酸、アクリル酸エステルなど)、メタクリル基を有する重合性ビニルモノマー(メタクリル酸、メタクリル酸エステルなど)、その他の重合性ビニルモノマー(ビニルピロリドン、酢酸ビニル、ビニルメチルエーテルなど)などをモノマーとするアニオン性、両性またはノニオン性の重合体もしくは共重合体;ウレタン系樹脂;などが使用できる。このようなセット樹脂の具体例としては、例えば、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸ブチル・アクリル酸メトキシメチル共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、アクリル酸・アクリル酸アミド・アクリル酸エチル共重合体、アクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体、アクリル酸ブチル・メタクリル酸ヒドロキシエチル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アルキルエステル・ジアセトンアクリルアミド・メタクリル酸共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸ブチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、アクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸エチル共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸ブチル共重合体、酢酸ビニル・クロトン酸共重合体、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、アクリレーツポリマー、アクリレーツコポリマーAMP、ポリウレタン−14などが挙げられ、これらのうちの1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
本発明の毛髪化粧料における(D)成分であるセット樹脂の配合量は、毛髪への束感の付与効果をより良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。ただし、毛髪化粧料における(D)成分の量が多すぎると、毛髪へのやわらかさ付与効果が小さくなる虞がある。よって、毛髪化粧料における(D)成分の配合量は、5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましい。
【0021】
(E)成分のアルカリ剤は、毛髪化粧料中において、(A)成分であるカルボキシビニルポリマーや、(D)成分であるセット樹脂のうちの酸型のポリマーを中和することで、例えば毛髪化粧料の粘度を高める作用を有しており、これにより、毛髪化粧料の操作性向上を図ることができる。
【0022】
(E)成分であるアルカリ剤の具体例としては、例えば、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アルギニンなどの有機アルカリ;アルカリ金属の水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)、アンモニア、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの無機アルカリ;が挙げられる。これらのアルカリは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、これらの中でも、その作用がより良好に発現することから、有機アルカリと無機アルカリとを併用することが好ましい。
【0023】
毛髪化粧料における(E)成分であるアルカリ剤の好適配合量は、(A)成分であるカルボキシビニルポリマーの配合量や、(D)成分であるセット樹脂の種類および配合量に応じて変動し、これらのポリマーを良好に中和し得る量とすればよいが、通常は、0.05〜2質量%とする。また、有機アルカリと無機アルカリとを併用する場合には、毛髪化粧料におけるこれらの配合量を、有機アルカリ:0.01〜1.9質量%、無機アルカリ:0.01〜1.9質量%とすることが好ましい。
【0024】
(F)成分である防腐剤は、毛髪化粧料の長期安定性を高める作用を有している。
【0025】
(F)成分である防腐剤の具体例としては、例えば、サリチル酸、ヒノキチオール、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、フェノキシエタノール、メチルクロロイソチアゾリノン・メチルイソチアゾリノン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンなどが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、毛髪化粧料の長期安定性を高める効果がより良好であることから、フェノキシエタノールと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを併用することがより好ましい。
【0026】
毛髪化粧料における(F)成分である防腐剤の配合量は、0.2質量%以上であることが好ましく、0.4質量%以上であることがより好ましく、また、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。そして、フェノキシエタノールと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを併用する場合には、毛髪化粧料におけるこれらの配合量を、フェノキシエタノール:0.4〜1質量%、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン:0.001〜0.01質量%とすることが好ましい。
【0027】
本発明の毛髪化粧料は、(G)成分である水を媒体として使用する。毛髪化粧料における(G)成分である水の配合量は、20〜60質量%であることが好ましい。
【0028】
本発明の毛髪化粧料には、前記の各成分以外にも、通常の毛髪化粧料に配合されている各種の材料を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。このような材料としては、例えば、界面活性剤(カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤)、エステル、動植物油脂、ロウ類、脂肪酸、有機酸、無機酸、エーテル、高級アルコール、低級アルコール、多価アルコール、糖類、粉体、色材、植物エキス、海藻エキス、アミノ酸、ペプチド、紫外線防御剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、香料などが挙げられる。
【0029】
本発明の毛髪化粧料は、粘度が3〜20Pa・sであることが好ましい。粘度が低すぎると安定性が低下する虞があり、高すぎると操作性が低下する虞がある。上記の(A)成分から(F)成分を上記の配合量で配合することで、毛髪化粧料の粘度を上記の範囲に調整することができる。
【0030】
本明細書でいう毛髪化粧料の粘度は、B型粘度計を使用し、4号ローターを用いて、25℃で12rpmの条件で測定して得られる値である。
【0031】
本発明の毛髪化粧料の剤型は、クリーム状であることが好ましい。上記の(A)成分から(F)成分を上記の配合量で配合することで、毛髪化粧料の剤型をクリーム状にすることができる。
【0032】
本発明の毛髪化粧料は、例えば、毛髪に塗布後に洗い流さないタイプのトリートメント剤やスタイリング剤として用いられる。よって、本発明の毛髪化粧料は、容器から適量手に取って毛髪に塗布するなどして使用することができる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。なお、以下の実施例などにおいて、「%」は「質量%」を意味している。また、毛髪化粧料の配合量としては、全体で100%となるように各成分の配合量を%で示し、後記の表1および表2中ではその%の表示を省略し、配合量を表す数値のみで表示する。
【0034】
実施例1〜9および比較例1〜2
実施例1〜9および比較例1〜2の毛髪化粧料を、表1および表2に示す組成で調製した。
【0035】
そして、実施例1〜9および比較例1〜2の毛髪化粧料によって処理した毛髪について、その束感およびやわらかさを、下記方法によって評価した。
【0036】
7名の専門の評価者が、長髪の女性パネラーの毛髪に、毛髪化粧料2gを手に取って伸ばしてから塗布し、その後の毛髪の束感とやわらかさとを5段階で評価した。評価に際しては、実施例1の毛髪化粧料で処理した毛髪の束感およびやわらかさを、それぞれ満点の5点とし、これを基準として各毛髪化粧料で処理した毛髪の束感およびやわらかさについて点数付けを行った。そして、全評価者の点数の平均値を求めて、各毛髪化粧料で処理した毛髪の束感およびやわらかさの評価とした。これらの結果を表1および表2に併記する。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
表1および表2における水の欄の「計100とする」とは、毛髪化粧料を構成する水以外の各成分の合計量に、水の量を加えて100%となるようにしたことを意味している(後述する処方例1〜3も同じである)。また、表1および表2中の「[B]」は、(B)成分には該当しないが、それに類似の材料であることを意味している。更に、表1および表2に記載の2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの配合量は、0.95%濃度の水溶液での量を表している。また、表1および表2に記載の高重合ジメチルポリシロキサンは、平均重合度が3500のものである。
【0040】
更に、表1および表2に記載のカチオン化セルロース(a)、カチオン化セルロース(b)、アミノ変性シリコーンおよびポリエーテル変性シリコーンは、以下の通りである。
カチオン化セルロース(a):ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、
カチオン化セルロース(b):塩化O−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロース、
アミノ変性シリコーン:アミノプロピルジメチコン、
ポリエーテル変性シリコーン:PEG−10メチルエーテルジメチコン。
【0041】
表1および表2から明らかなように、(A)成分から(F)成分を配合し、かつ(C)成分であるシリコーンを適正な量で配合した実施例1〜9の毛髪化粧料では、処理後の毛髪に良好な束感とやわらかさを付与できている。
【0042】
これに対し、(B)成分であるカチオン化セルロースに代えて他のセルロース類を使用した比較例1の毛髪化粧料で処理した毛髪は、(D)成分であるセット樹脂の作用によって処理後の毛髪の束感は良好であるが、やわらかさが劣っている。また、(D)成分であるセット樹脂を使用しなかった比較例2の毛髪化粧料で処理した毛髪は、やわらかさは良好であるが、束感が劣っている。
【0043】
更に、実施例1〜9の毛髪化粧料について、長期安定性を確認したところ、防腐剤に2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンのみを使用した実施例3の毛髪化粧料、およびフェノキシエタノールのみを使用した実施例4の毛髪化粧料に比べて、フェノキシエタノールと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを併用した実施例1、2、5〜9の毛髪化粧料では、長期安定性がより優れていることが判明した。
【0044】
更に、以下の処方例1〜3に示す毛髪化粧料によっても、処理後の毛髪の束感およびやわらかさを良好にし得る。
【0045】
<処方例1>
カルボキシビニルポリマー 0.5%、
ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド 0.5%、
ジメチルポリシロキサン(平均重合度2000) 2%、
メチルフェニルシロキサン 20%、
デカメチルシクロペンタシロキサン 20%、
ポリビニルピロリドン 1%、
2−アミノ−2−メチル1−プロパノール 0.5%、
水酸化カリウム 0.1%、
フェノキシエタノール 0.5%、
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.008%、
安息香酸ナトリウム 0.1%、
塩化ベンザルコニウム 0.01%、
ジプロピレングリコール 2.5%、
エタノール 1%、
N−ラウロイルサルコシンイソプロピル 0.5%、
(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解ケラチン 0.2%、
ポリオキシエチレン(40)セチルエーテル 0.2%、
水 計100とする。
【0046】
<処方例2>
カルボキシビニルポリマー 0.4%、
ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド 0.6%、
ジメチルポリシロキサン(平均重合度750) 4%、
メチルフェニルシロキサン 15%、
デカメチルシクロペンタシロキサン 30%、
アクリル酸・アクリルアミド・アクリル酸エチル共重合体 0.5%、
フェノキシエタノール 0.8%、
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.005%、
安息香酸ナトリウム 0.2%、
塩化ベンザルコニウム 0.02%、
ジプロピレングリコール 3%、
2−アミノー2−メチル1−プロパノール 0.8%、
水酸化ナトリウム 0.2%、
(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン 0.2%、
ミリストイルメチル−β−アラニン(フィトステリル/デシルテトラデシル) 0.2%、
水 計100とする。
【0047】
<処方例3>
カルボキシビニルポリマー 0.3%、
塩化O−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロース 0.5%、
ジメチルポリシロキサン(平均重合度3300) 2%、
メチルフェニルシロキサン 10%、
デカメチルシクロペンタシロキサン 10%、
ポリウレタン−14 0.5%、
アクリレーツコポリマーAMP 0.2%、
フェノキシエタノール 1%、
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.005%、
塩化ベンザルコニウム 0.03%、
ジプロピレングリコール 5%、
2−アミノ−2−メチル1−プロパノール 0.2%、
水酸化カリウム 0.1%、
エタノール 0.6%、
N−[2−ヒドロキシ−3−[3−(ジヒドロキシメチルシリル)プロポキシ]プロピル]加水分解シルク 0.2%、
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 0.2%、
モノステアリン酸デカグリセリル 0.2%、
水 計100とする。