(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された従来の方法では、居住者がエネルギー使用状況を示すデータを確認する際に、どのデータをどのような観点で確認すればよいのかが分からないという課題があった。また、建物の管理者と居住者との間で、エネルギー使用状況を通じたコミュニケーションツールがなく、何を行えば効果的な省エネが行えるのかなどのやり取りができないという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、居住者に対してエネルギー使用状況を理解しやすくすることが可能なエネルギー使用量管理装置およびエネルギー使用量管理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエネルギー使用量管理装置は、所定エリアで計測されたエネルギーデータを取得するエネルギーデータ取得手段と、エネルギーデータ取得手段により取得されたエネルギーデータに基づくエネルギー使用状況を示す複数のデータのうち、おすすめするデータの条件および当該データに関するコメントを設定するおすすめ設定手段と、エネルギー使用状況を示すデータを選択するための表示メニューの表示が要求された場合に、要求状況に関する情報を取得する要求状況取得手段と、エネルギーデータ取得手段により取得されたエネルギーデータおよび要求状況取得手段により取得された情報に基づいて、表示メニューを作成する表示メニュー作成手段と、おすすめ設定手段により設定された条件および要求状況取得手段により取得された情報に基づいて、表示メニュー作成手段により作成された表示メニュー上の選択項目のうち、該当する選択項目におすすめであることを示すマークを付加するおすすめマーキング手段と、おすすめマーキング手段により付加されたマークが選択された場合に、おすすめ設定手段により設定された該当するコメントを表示するコメント表示手段とを備えたものである。
【0007】
また、この発明に係るエネルギー使用量管理方法は、
エネルギーデータ取得手段が、所定エリアで計測されたエネルギーデータを取得するエネルギーデータ取得ステップと、
おすすめ設定手段が、エネルギーデータ取得ステップにおいて取得したエネルギーデータに基づくエネルギー使用状況を示す複数のデータのうち、おすすめするデータの条件および当該データに関するコメントを設定するおすすめ設定ステップと、
要求状況取得手段が、エネルギー使用状況を示すデータを選択するための表示メニューの表示が要求された場合に、要求状況に関する情報を取得する要求状況取得ステップと、
表示メニュー作成手段が、エネルギーデータ取得ステップにおいて取得したエネルギーデータおよび要求状況取得ステップにおいて取得した情報に基づいて、表示メニューを作成する表示メニュー作成ステップと、
おすすめマーキング手段が、おすすめ設定ステップにおいて設定した条件および要求状況取得ステップにおいて取得した情報に基づいて、表示メニュー作成ステップにおいて作成した表示メニュー上の選択項目のうち、該当する選択項目におすすめであることを示すマークを付加するおすすめマーキングステップと、
コメント表示手段が、おすすめマーキングステップにおいて付加したマークが選択された場合に、おすすめ設定ステップにおいて設定した該当するコメントを表示するコメント表示ステップとを有するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、上記のように構成したので、建物の居住者に対してエネルギー使用状況を理解しやすくすることができ、省エネ活動を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量管理装置の構成を示す図である。
【
図2】この発明の実施の形態1におけるエネルギーデータの計測例を示す図である。
【
図3】この発明の実施の形態1におけるおすすめ設定手段による設定画面の一例を示す図である。
【
図4】この発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】この発明の実施の形態1における表示メニューの一例を示す図である。
【
図6】この発明の実施の形態1におけるコメントの一例を示す図である。
【
図7】この発明の実施の形態1におけるコメントの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエネルギー使用量管理装置の構成を示す図である。
エネルギー使用量管理装置は、建物のエネルギー使用量を管理するものであり、インターネットやイントラネットなどのネットワークを介して居住者のパソコンやスマートフォンなどのWeb画面表示端末が接続されることで、居住者が建物のエネルギー使用状況を確認することができるものである。このエネルギー使用量管理装置は、
図1に示すように、エネルギーデータ取得手段1、おすすめ設定手段2、要求状況取得手段3、表示メニュー作成手段4、おすすめマーキング手段5およびコメント表示手段6から構成されている。
【0011】
なお、エネルギーデータは、建物内の所定エリア(部屋単位やテナント単位など)ごとに計測され、不図示のサーバに記録されている。例えば
図2では、建物内の部屋(会議室A〜Dや共用部)ごとに種別(コンセント電力量、照明電力量、空調熱量や給湯熱量)ごとのエネルギーデータを計測する場合を示している。
【0012】
エネルギーデータ取得手段1は、サーバに記録されているエネルギーデータを取得するものである。
【0013】
おすすめ設定手段2は、エネルギーデータ取得手段1により取得されたエネルギーデータに基づくエネルギー使用状況を示す複数のデータ(グラフや数値データなど)のうち、おすすめするデータの条件および当該データに対するコメントを設定するものである。ここで、おすすめするデータとは、データを確認する居住者にとって、よりエネルギー使用状況を把握しやすいデータのことである。そして、おすすめするデータの条件としては、例えば、データを確認する居住者、確認する時間帯(昼、夜など)や期間(夏、冬、中間期など)、特別な省エネ活動による結果などが挙げられる。また、コメントとして、おすすめする理由や省エネ提案などを設定する。なお、このおすすめ設定は、建物やテナントの管理者により設定される(テナント管理者は自テナントのみ設定可能とする)。また、おすすめにするかどうかは、予めスケジューリングしておくようにしてもよいし、随時設定するようにしてもよい。
【0014】
要求状況取得手段3は、ネットワークを介して居住者により、所望のエネルギー使用状況を示すデータを選択するための表示メニューの表示が要求された場合に、要求状況に関する情報を取得するものである。この要求状況に関する情報としては、例えば、要求した居住者、要求した時間帯や期間などが挙げられる。
【0015】
表示メニュー作成手段4は、エネルギーデータ取得手段1により取得されたエネルギーデータおよび要求状況取得手段3により取得された情報に基づいて、所望のエネルギー使用状況を選択するための表示メニューを作成するものである。この表示メニュー作成手段4により作成された表示メニューはネットワークを介して要求元である居住者のWeb画面表示端末のモニタ上に表示される。
【0016】
おすすめマーキング手段5は、おすすめ設定手段2により設定された情報および要求状況取得手段3により取得された情報に基づいて、表示メニュー作成手段4により作成された表示メニューの選択項目のうち、該当する選択項目に対しておすすめであることを示すマークを付加するものである。
【0017】
コメント表示手段6は、おすすめマーキング手段5により付加されたマークが選択された場合に、おすすめ設定手段2により設定された該当するコメントを表示するものである。
【0018】
次に、おすすめ設定手段2によるおすすめ設定について、
図3を参照しながら説明する。
建物やテナントの管理者がおすすめ設定を行う場合、おすすめ設定手段2は、まず、
図3(a)に示すような第1の設定画面を表示する。
図3(a)に示す例では、第1の設定画面上に、おすすめするデータの条件として、テナントを選択する項目(対象テナント)と、エネルギー使用状況を示すデータの種別を選択する項目(対称データ種別)とが設けられている。そして、対象テナントとして「全テナント」または「選択テナント」が選択可能となっている。なお、「選択テナント」を選択した場合には、その後に、具体的なテナントの選択/入力を行う。また、対象データ種別として「全体エネルギー使用量」、「電力エネルギー使用量」や「空調設定状態」などが選択可能となっている。
【0019】
この第1の設定画面において、対象テナントおよび対象データ種別の選択が行われると、おすすめ設定手段2は、次に
図3(b)に示すような第2の設定画面を表示する。
図3(b)に示す例では、第2の設定画面上に、おすすめするデータの条件として、時間帯を選択する項目と、期間を選択する項目と、有効期限を選択する項目が設けられている。さらに、このおすすめするデータに対するコメントを入力する項目が設けられている。そして、時間帯として「xx:xx〜xx:xx」または「全日」が選択可能となっている。また、期間として、「xx/xx〜xx/xx」または「年中」が選択可能となっている。また、有効期限として「xxxx年xx月xx日まで」または「期限なし」が選択可能となっている。さらに、コメント欄には、おすすめするデータに対するおすすめする理由や省エネ提案などが入力可能となっている。
【0020】
次に、上記のように構成されたエネルギー使用量管理装置の動作について、
図4を参照しながら説明する。なお以下では、エネルギーデータ取得手段1によりエネルギーデータが取得されているものとする(エネルギーデータ取得ステップ)。また、おすすめ設定手段2により予めおすすめ設定が行われているものとする(おすすめ設定ステップ)。
【0021】
そして、居住者によりネットワークを介して、所望のエネルギー使用状況を示すデータを選択するための表示メニューの表示が要求されると、エネルギー使用量管理装置では、
図4に示すように、まず、要求状況取得手段3が、要求状況に関する情報(要求した居住者、要求した時間帯や期間など)を取得する(ステップST1、要求状況取得ステップ)。
【0022】
次いで、表示メニュー作成手段4は、エネルギーデータ取得手段1により取得されたエネルギーデータおよび要求状況取得手段3により取得された情報に基づいて、表示メニューを作成する(ステップST2、表示メニュー作成ステップ)。この際、例えば
図5に示すように、要求した居住者に応じた表示メニューを作成する(表示メニュー上の選択項目として、当該居住者が在室している部屋に関するエネルギー使用状況を示す各データの種別を表示する)。
【0023】
また、おすすめマーキング手段5は、おすすめ設定手段2により設定された情報および要求状況取得手段3により取得された情報に基づいて、表示メニュー作成手段4により作成された表示メニューに表示されている選択項目のうち、該当する項目に対して「おすすめ」マークを付加する(ステップST3、おすすめマーキングステップ)。
図5に示す例の場合、表示メニュー画面の表示を要求した際の要求状況(要求した居住者、要求した時間帯や期間など)を考慮すると、全体エネルギー使用量を示すデータよりも、電力エネルギー使用量を示すデータや空調設定状態を示すデータの方がよりエネルギー使用状況が把握しやすいことを示している。
【0024】
そして、居住者により、表示メニュー上の「おすすめ」マークが選択された場合には、コメント表示手段6は、おすすめ設定手段2により設定された該当するコメントを表示する(ステップST4、コメント表示ステップ)。例えば、
図5に示す表示メニューにおいて、電力エネルギー使用量の「おすすめ」マークが選択された場合には、
図6に示すようなコメントが表示される。なお、
図6では、表示を要求した時間帯が「昼」の場合を想定している。また、
図5に示す表示メニューにおいて、空調設定状態の「おすすめ」マークが選択された場合には、
図7に示すようなコメントが表示される。なお、
図7では、表示を要求した期間が「夏季」の場合を想定している。
【0025】
以上のように、この実施の形態1によれば、エネルギー使用状況を示すデータを選択するための表示メニューを表示する際に、その要求状況に応じて、居住者にとってエネルギー使用状況を理解しやすいデータに対して「おすすめ」マークを付加するように構成したので、居住者に対してエネルギー使用状況を理解しやすくすることができ、省エネ活動を促すことができるため、省エネ効果が期待できる。また、居住者の省エネ意識を高めることができるため、建物全体の省エネ活動への理解を得やすくなることも期待できる。
【0026】
なお、実施の形態1では、表示メニュー上の「おすすめ」マークが選択された場合に、該当するコメントを表示するように構成したが、これに限るものではなく、例えば、表示メニュー上に最初からコメントを表示するようにしてもよい。また、表示メニュー上のデータ種別が選択されて該当するデータを表示した際に、同時に該当するコメントを表示するようにしてもよい。また、表示メニュー上に「おすすめ」マークを表示し、この「おすすめ」マークが選択された場合に、該当するデータとともにコメントを表示するようにしてもよい。
【0027】
また、エネルギー使用量管理装置に、居住者からの問い合わせなどを双方向でやり取りできる機能(コミュニケーション手段)を追加するようにしてもよい。このように、おすすめ設定手段2により設定を行う者(建物やテナントの管理者)と、エネルギー使用状況を示すデータを確認する者(居住者)との間での、エネルギー使用状況を通じたコミュニケーションツールを設けることで、より円滑に省エネ活動を促すことができる。
【0028】
また、おすすめ設定を行う際に、おすすめする度合いに応じて優先度を付加し、表示メニュー上には、優先度が最も高いデータに対してのみ「おすすめ」マークを付加するようにしてもよい。
【0029】
また、実施の形態1では、表示メニュー上の該当する選択項目に対して「おすすめ」マークを付加するように構成したが、これに限るものではなく、例えば、「おすすめ」マークが付加されたデータのみを集めた表示メニューを作成するようにしてもよい。
また、「おすすめ」するデータがあることを該当する居住者の電子メールアドレスに送信したり、ポータルサイトにリンクを作成するようにしてもよい。
【0030】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。