特許第5980031号(P5980031)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5980031蓄電素子を直列接続した蓄電装置の電荷転送回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980031
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】蓄電素子を直列接続した蓄電装置の電荷転送回路
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20160818BHJP
【FI】
   H02J7/02 H
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-162653(P2012-162653)
(22)【出願日】2012年7月23日
(65)【公開番号】特開2014-23385(P2014-23385A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】513148532
【氏名又は名称】南通江海電容器股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】伊東 孝彦
(72)【発明者】
【氏名】毛利 忠晴
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 章雄
【審査官】 緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−005630(JP,A)
【文献】 特開平07−322491(JP,A)
【文献】 特開2004−236486(JP,A)
【文献】 特開2002−010510(JP,A)
【文献】 特開2008−271708(JP,A)
【文献】 特開2005−080469(JP,A)
【文献】 特開2004−328868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
n個の蓄電素子C1〜Cnの直列回路と、コアとn+1個の巻線L1〜Ln+1を有するトランスと、n個のスイッチ素子S1〜Snとを備え、
各巻線L1〜Lnと各スイッチ素子S1〜Snを直列接続した各直列回路を、各蓄電素子C1〜Cnにそれぞれ並列接続すると共に、
各巻線L2〜Ln+1に発生した電圧を各蓄電素子C1〜Cnに印加するためのn個のダイオードD1〜Dnと、
スイッチ素子S1〜Snのいずれかを選択的に繰り返しオンオフする制御回路と、
を設けたことを特徴とする蓄電素子を直列接続した蓄電装置の電荷転送回路。
【請求項2】
前記制御回路は、各蓄電素子C1〜Cnの電圧をモニタし最も電圧の高い蓄電素子に対応するスイッチ素子を選択的に繰り返しオンオフすることを特徴とする請求項1記載の蓄電素子を直列接続した蓄電装置の電荷転送回路。
【請求項3】
n個の蓄電素子C1〜Cnの直列回路と、コアとn+1個の巻線L1〜Ln+1を有するトランスと、n個の第1スイッチ素子S1〜Snとを備え、
各巻線L1〜Lnと各第1スイッチ素子S1〜Snを直列接続した各直列回路を、各蓄電素子C1〜Cnにそれぞれ並列接続すると共に、
各巻線L2〜Ln+1に発生した電圧を各蓄電素子C1〜Cnに印加するためのn個の第2スイッチ素子S21〜S2nと、
前記第1スイッチ素子S1〜Snのいずれかを繰り返しオンオフすると共に、オフ期間に電荷移動先の蓄電素子に対応する第2スイッチ素子を選択的に通電状態にする制御回路と、
を設けたことを特徴とする蓄電素子を直列接続した蓄電装置の電荷転送回路。
【請求項4】
前記制御回路は、各蓄電素子C1〜Cnの電圧をモニタし最も電圧の高い蓄電素子に対応する第1スイッチ素子を選択的に繰り返しオンオフすると共に、最も電圧の低い蓄電素子に対応する第2スイッチ素子をオフ期間に選択的に通電状態にすることを特徴とする請求項3記載の蓄電素子を直列接続した蓄電装置の電荷転送回路。
【請求項5】
前記トランスは電圧検出用巻線をさらに備え、前記制御回路は、前記n個の第1スイッチ素子S1〜Snのいずれかをオンしたのちにオフし、オフの期間に前記電圧検出用巻線に誘起される電圧に基づきオンオフした第1スイッチ素子に接続されるキャパシタの電圧を測定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の蓄電素子を直列接続した蓄電装置の電荷転送回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタ、電池などの蓄電素子を直列接続した蓄電装置に関し、特に各蓄電素子の電圧を均等化することのできる電荷転送回路に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の蓄電素子を直列接続した蓄電装置では、電力の有効活用や長寿命化を図るために各蓄電素子の電圧を均等化する必要がある。直列接続された各蓄電素子の電圧を均等化するために最も簡便な方法として、各蓄電素子と並列にバランス抵抗を接続することが採用されるが、この場合、抵抗による電力の消費が大きく、発生損失が大きくなるという問題がある。
【0003】
一方、バランス抵抗に代えて、半導体素子を用いたバイパス回路を各蓄電素子と並列に接続し、所定の電圧になった蓄電素子についてはバイパス回路を動作させ、電圧を維持しつつ充電電流をバイパスする方法も提案されている。
【0004】
しかしながら、バイパス回路を用いる場合であっても、バイパスしている期間にバイパス回路で電力が消費されて熱が発生するため、やはり損失が発生することは避けられないという問題がある。
【0005】
さらに、インダクタンスとスイッチング素子を組み合わせ、低損失で均等化を行わせる技術が特開平7−322516号公報(特許文献1)の図5に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−322516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1記載の従来技術によれば、インダクタンスとスイッチング素子を組み合わせることにより、複数個の蓄電素子の電圧を低損失で均等化させることが可能ではあるものの、例えば4個の蓄電素子の電圧を均等化させるためには、6個の半導体スイッチング素子及び6個のダイオードが必要になる。このような従来技術では、蓄電素子の個数以上の半導体スイッチング素子およびダイオードが必要になるため、回路構成が複雑かつ大型化するという問題があった
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため請求項1記載の本発明にかかる蓄電素子を直列接続した蓄電装置の電荷転送回路は、n個の蓄電素子C1〜Cnの直列回路と、コアとn+1個の巻線L1〜Ln+1を有するトランスと、n個のスイッチ素子S1〜Snとを備え、各巻線L1〜Lnと各スイッチ素子S1〜Snを直列接続した各直列回路を、各蓄電素子C1〜Cnにそれぞれ並列接続すると共に、各巻線L2〜Ln+1に発生した電圧を各蓄電素子C1〜Cnに印加するためのn個のダイオードD1〜Dnと、スイッチ素子S1〜Snのいずれかを選択的に繰り返しオンオフする制御回路とを設けたことを特徴としている。
【0009】
また、請求項3記載の本発明にかかる本発明にかかる蓄電素子を直列接続した蓄電装置の電荷転送回路は、n個の蓄電素子C1〜Cnの直列回路と、コアとn+1個の巻線L1〜Ln+1を有するトランスと、n個の第1スイッチ素子S1〜Snとを備え、各巻線L1〜Lnと各第1スイッチ素子S1〜Snを直列接続した各直列回路を、各蓄電素子C1〜Cnにそれぞれ並列接続すると共に、各巻線L2〜Ln+1に発生した電圧を各蓄電素子C1〜Cnに印加するためのn個の第2スイッチ素子S21〜S2nと、前記第1スイッチ素子S1〜Snのいずれかを繰り返しオンオフすると共に、オフ期間に電荷移動先の蓄電素子に対応する第2スイッチ素子を選択的に通電状態にする制御回路とを設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回路構成が複雑かつ大型化することなく直列接続された複数個の蓄電素子の電圧を低損失で均等化することのできる電荷転送回路が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る電荷転送回路の一実施形態の例を示す図である。
図2図1の実施形態例の動作を説明するための波形図である。
図3】本発明に係る電荷転送回路の別の実施形態の例を示す図である。
図4】本発明に係る電荷転送回路のさらに別の実施形態の例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る蓄電素子を直列接続した蓄電装置の電荷転送回路の一実施形態の例を示す図である。図1において、C1〜C4は直列接続された同一容量のn個(本例ではn=4)のキャパシタであり、入出力端子T1−T2を介して図示しない充電回路及び放電回路(負荷)に接続される。キャパシタとしては、例えば電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等の大容量キャパシタが用いられる。
【0013】
1はコアであり、そこに巻回されるn+1個(本例では5個)の同一規格の巻線L1〜L5と共に、1つのトランスを構成する。各巻線L1〜L4には、それぞれスイッチ素子S1〜S4が直列接続され、各巻線L1〜L4と各スイッチ素子S1〜S4の直列回路は、各キャパシタC1〜C4にそれぞれ並列に接続されている。各スイッチ素子S1〜S4がオンになると、各キャパシタC1〜C4と各巻線L1〜L4とが並列接続される。
【0014】
入出力端子T1を高圧側、T2を低圧側とする時、巻線L5の一端は入出力端子T1に接続され、巻線L5の他端に発生した電圧がキャパシタC4に印加されるよう、ダイオードD4が巻線L5の他端とキャパシタC4の高圧側端子の間に接続されている。
【0015】
さらに巻線L2に発生した電圧がキャパシタC1に印加されるよう、ダイオードD1が巻線L2とスイッチ素子S2との接続点とキャパシタC1の高圧側端子の間に接続されている。
【0016】
同様に、巻線L3に発生した電圧がキャパシタC2に印加されるよう、ダイオードD2が巻線L3とスイッチ素子S3との接続点とキャパシタC2の高圧側端子の間に接続され、巻線L4に発生した電圧がキャパシタC3に印加されるよう、ダイオードD3が巻線L4とスイッチ素子S4との接続点とキャパシタC3の高圧側端子の間に接続される。
【0017】
2は制御回路であって、各キャパシタC1〜C4の端子間電圧を個別に測定するための配線を備えると共に、その測定結果に基づき各スイッチ素子S1〜S4を個別にオンオフするための制御信号を発生し、各スイッチ素子S1〜S4の制御入力端子に送る。
【0018】
上記構成において、制御回路2は、各キャパシタの端子間電圧を常時あるいは所定の時間間隔でモニタする。均等化が指令されると、モニタ結果に基づいて最も端子間電圧の高いキャパシタにつながるスイッチ素子を繰り返しオンオフする。
【0019】
ここで、各キャパシタC1〜C4の端子間電圧VC1〜VC4が例えば、VC1=VC2=3V、VC3=2.2V、VC4=3.7Vとした場合について、動作説明を行う。
【0020】
制御回路2は、均等化が指令されると、測定した各キャパシタの端子間電圧VC1〜VC4に基づき、端子間電圧が最も高いキャパシタC4に接続されるスイッチ素子S4に、図2(a)に示すような断続信号を送り、スイッチ素子S4を所定の周期で繰り返しオンオフする。
【0021】
その結果、スイッチ素子S4がオンの期間キャパシタC4から巻線L4に電流が流れ、オフになるとオンの期間にコイルに蓄えられたエネルギーが逆起電力として巻線L4に発生する。それと同時に、巻線L4と磁気結合しているその他の巻線、L1〜L3、L5にも起電力が誘導される。図2(b)は、L1〜L5に発生する電圧VL1〜VL5の波形を示し、オンの期間とオフの期間で逆極性の電圧が発生している。
【0022】
オフの期間に巻線L2、L3、L4、L5に誘起された電圧は、各巻線に接続されているダイオードD1〜D4を介して各キャパシタC1〜C4に印加される。オンの期間に誘起された電圧は、ダイオードによって阻止される。
【0023】
図2(c)は、キャパシタC4に流れる電流Ic4を示す。オンの期間に負方向(放電方向)に電流が流れ、オフの期間にはゼロとなる。
【0024】
図2(d)は、キャパシタC3に流れる電流Ic3を示す。オンの期間には電流は流れず、オフの期間に正方向(充電方向)に電流が流れ充電されることが分かる。
【0025】
図2(e)は、キャパシタC1、C2に流れる電流Ic1、Ic2を示す。キャパシタC3に流れる電流Ic3に比べて小電流であるが、オフの期間に正方向(充電方向)に電流が流れ充電されることが分かる。
【0026】
このように、オンの期間にキャパシタC4から巻線L4に蓄えられたエネルギーは、オフの期間に、最も端子間電圧が低いキャパシタC3に集中的に充電される。この動作を継続することにより、キャパシタC4からはエネルギーの放電が続いて端子間電圧は低下し、その放電エネルギーが集中的に供給されて充電されるキャパシタC3の端子間電圧は徐々に上昇する。キャパシタC3よりも端子間電圧の高いキャパシタC1、C2にもわずかに充電が行われるが、電圧の上昇は顕著には表れない。
【0027】
集中的な充電の結果、キャパシタC3の電圧が上昇してキャパシタC1、C2の電圧に近づくと、キャパシタC3に流れる電流Ic3が減少する一方でキャパシタC1、C2に流れる電流Ic1、Ic2が上昇する。そして、キャパシタC1、C2、C3の電圧が同等になると、電流Ic1、Ic2、Ic3はほぼ等しくなり、キャパシタC4から放電されたエネルギーはキャパシタC1、C2、C3に均等に振り分けられ、キャパシタC1、C2、C3の電圧は同じペースで上昇を続けることになる。
【0028】
このようにして、キャパシタC4の電圧が放電により低下する一方で、キャパシタC1、C2、C3の電圧は上昇し、やがてすべてのキャパシタの電圧は同等となり、均等化が完了する。
【0029】
図3は、本発明の第2の実施例の構成を示す図である。本実施例は、図1に示された実施例1のダイオードD1〜D4をスイッチ素子S21〜S24に置き換えた構成を有する。制御回路2は、実施例1と同様に各キャパシタC1〜C4の端子間電圧を個別に測定するための配線を備え、その測定結果に基づき各スイッチ素子S1〜S4を個別にオンオフするための制御信号を発生し、各スイッチ素子S1〜S4の制御入力端子に送ると共に、各スイッチ素子S21〜S24を個別にオンオフするための制御信号を発生し、各スイッチ素子S21〜S24の制御入力端子に送る。
【0030】
制御回路2は、各キャパシタの端子間電圧を常時あるいは所定の時間間隔でモニタする。均等化が指令されると、モニタ結果に基づいて最も端子間電圧の高いキャパシタにつながるスイッチ素子(S1〜S4のいずれか)を繰り返しオンオフする。
【0031】
そして、そのオフの期間に電荷移動先のキャパシタ(通常は最も電圧が低いキャパシタが自動的に選択される)に対応するスイッチ素子(S21〜S24のいずれか)をオンにするように制御を行う。
【0032】
これにより、スイッチ素子(S1〜S4のいずれか)を繰り返しオンオフさせたキャパシタから放電させた電荷を、スイッチ素子(S21〜S24のいずれか)をオンにしたキャパシタに移動させることが可能となる。移動先のキャパシタは1つに限らず、スイッチ素子(S21〜S24)のうち2つまたは3つを同時にオンさせても良い。ただし、その場合には、同時にオンになっても、端子間電圧が最も低いキャパシタに優先的に電荷が移動することになる。
【0033】
なお、本実施例の回路は、本質的には電荷移送回路であって、低い電圧のキャパシタから高い電圧のキャパシタへの電荷の移送も可能であるし、スイッチ素子(S1〜S4のいずれか)を指定することにより放電させるキャパシタを指定し、スイッチ素子(S21〜S24のいずれか)を指定することにより転送先のキャパシタを任意に指定して電荷を転送することが可能である。例えば、定格電圧の異なるキャパシタを直列接続したようなケースで、定格電圧の低いキャパシタから定格電圧の高いキャパシタへ電荷を移送することもできる。さらに、容量の異なるキャパシタを直列接続したケースでも、任意のキャパシタから他の任意のキャパシタに電荷を移送することができる。
【0034】
第1実施例では、オフ期間(充電時)にダイオードD1〜D4の順方向電圧(オン抵抗)によるロスが少なからず発生するが、本実施例では、スイッチ素子S21〜S24として例えばMOSFETが用いられた場合、MOSFETのオン抵抗がダイオードに比べて極めて小さいため、ロスを大幅に低減することができる。
【0035】
また、第1実施例では、ダイオードD1〜D4のオフ抵抗が小さいと、放置時に流れる逆電流(キャパシタにとってはリーク電流)によるキャパシタのリークが大きくなり、満充電にしておいたキャパシタが数週間で空になるようなことも起こりうる。しかしながら、オフ抵抗の大きなダイオードは一般に高価であり、コスト面で不利となる。この点、本実施例では、スイッチ素子S21〜S24を構成するMOSFETのオフ抵抗が、一般にダイオードに比べて極めて大きいため、高価な素子を使用することなく放置時のリークを大幅に低減することができる。
【0036】
図4は、本発明の第3の実施例の構成を示す図である。本実施例は、各キャパシタの電圧を測定するための構成が図1に示された実施例と異なっている。図4において、コア1に各キャパシタの端子間電圧を測定するための6番目の巻線L6が追加され、巻線L6に誘起される電圧を制御回路2が測定出るように構成されている。また、各キャパシタの電圧を測定するための各キャパシタと制御回路2とをつなぐ配線が取り除かれている。
【0037】
上記構成において、制御回路2は、電圧測定に当たり、各キャパシタに接続されるスイッチ素子S1〜S4を順次1つずつオンオフさせる。その時の各素子をオンさせた直後のオフの期間に巻線L6に誘起される電圧の波高値は、各キャパシタの端子電圧に対応するため、その波高値を制御回路2で測定することにより、各キャパシタの端子電圧を測定することが可能となる。なお、巻線L6を追加せずに巻線L5で兼用することも可能である。
【0038】
本実施例によれば、各キャパシタの電圧を測定するための各キャパシタと制御回路2とをつなぐ配線が不要となり、特に直列接続するキャパシタの数が多い場合に有利である。
【0039】
以上説明したように、図1の構成を採用することにより、直列接続されたキャパシタの内、最も電圧の高いキャパシタに接続されるスイッチ素子を断続するだけで、電荷を最も電圧の低いキャパシタに集中的に移動させることができ、均等化を簡単な構成で実行することができる電荷転送回路が実現される。
【0040】
また、図3の構成を採用することにより、任意のキャパシタから任意のキャパシタへ電荷を移動させることが可能な電荷転送回路が実現される。また、電荷転送時のロスの低減および放置時のリークの低減も可能となる。
【0041】
なお、上記実施の形態例では蓄電素子としてキャパシタを用いたが、例えばリチウムイオン電池などの他の蓄電素子を直列接続したものについても適用可能である。更に、異なる種類の蓄電素子、例えばキャパシタとリチウムイオン電池を直列接続した構成についても本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1:コア、2:制御回路、C1〜C4:キャパシタ、L1〜L5:巻線、S1〜S4:スイッチ素子、T1,T2:入出力端子、S21〜S24:スイッチ素子
図1
図2
図3
図4