特許第5980033号(P5980033)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980033
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】電気機器の筺体構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20160818BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20160818BHJP
   G08B 17/06 20060101ALI20160818BHJP
   G08B 21/16 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   H05K5/02 Z
   G08B17/00 G
   G08B17/06 K
   G08B21/16
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-168725(P2012-168725)
(22)【出願日】2012年7月30日
(65)【公開番号】特開2014-27230(P2014-27230A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2014年12月19日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】上野 泰正
【審査官】 遠藤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−251466(JP,A)
【文献】 特開平02−137622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
G08B 17/00
G08B 17/06
G08B 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の外形を形成する筺体に形成された開口部と、
当該開口部の一部を覆い、前記開口部の端縁に対して破断可能な連結部によって連結される除去可能片と、を備えた電気機器の筺体構造において、
前記除去可能片は、前記開口部が形成された前記筺体の構成面に沿う第一面、および、前記第一面に対して交差してそれぞれが対向する二つの第二面を備え、
前記第一面に、前記除去可能片を回転操作によって除去する操作具によって把持される操作突起を備え、
少なくとも前記第二面における前記開口部の端縁側に前記連結部を備え
前記第一面および前記対向する二つの第二面に囲まれた空間に前記操作突起を備えた電気機器の筺体構造。
【請求項2】
前記回転操作が前記第一面に交差する軸芯に対して行なわれるように、前記操作突起を上面視で矩形状に形成してある請求項に記載の電気機器の筺体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば壁面に設置される防災用又は防犯用の電気機器の筺体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、電気機器の筺体に形成した開口部に、当該開口部を覆うように切り取り除去が可能な除去可能片が設けられた構造が記載してある。当該除去可能片は、開口部の端縁から突出した薄肉の連結部によって開口部に連結している。このような構成により、当該除去可能片を除去しない場合には開口部を閉塞した状態とすることができ、必要な場合に当該除去可能片を除去すれば、当該開口部を開口させて所望の部材を開口部から出現させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−238976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の筺体構造では、除去可能片は開口部に平面的に取り付けられていたため、比較的容易に複数の連結部を切断して除去可能片を除去することが可能であった。
そのため、不意に他物が除去可能片と接触することで、当該連結部のいくつかが破壊されて、除去可能片が除去され易くなるという問題点があった。
【0005】
薄肉の連結部を厚肉にすれば、不意に他物が除去可能片と接触したとしても、当該連結部は破壊され難くなるが、この場合、厚肉の連結部を破壊するのに、より多くの労力を要することとなり、除去可能片を除去し難くなる。
【0006】
従って、本発明の目的は、不意に除去可能片が除去されるのを未然に防止でき、かつ、簡便に除去可能片を除去できる電気機器の筺体構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る電気機器の筺体構造は、電気機器の外形を形成する筺体に形成された開口部と、当該開口部の一部を覆い、前記開口部の端縁に対して破断可能な連結部によって連結される除去可能片と、を備えた電気機器の筺体構造であって、その第一特徴構成は、前記除去可能片は、前記開口部が形成された前記筺体の構成面に沿う第一面、および、前記第一面に対して交差してそれぞれが対向する二つの第二面を備え、前記第一面に、前記除去可能片を回転操作によって除去する操作具によって把持される操作突起を備え、少なくとも前記第二面における前記開口部の端縁側に前記連結部を備え、前記第一面および前記対向する二つの第二面に囲まれた空間に前記操作突起を備えた点にある。
【0008】
本構成によれば、除去可能片を第一面および第二面によってコの字状の態様に形成でき、第一面および第二面に囲まれた空間に操作突起を備えることができる。当該除去可能片を除去するには、ラジオペンチなどの操作具によって操作突起を把持し、この状態で当該操作具を回転操作する。これによって連結部が破断され、除去可能片を筺体から除去することができる。
【0009】
本構成において除去可能片を除去するためには、操作具で操作突起を把持して除去可能片を回転させる必要がある。そのため、不意に他物が除去可能片と接触したとしても除去可能片は回転操作されないため、当該連結部は破壊され難い。よって、本構成であれば、不意に除去可能片が除去されるのを未然に防止できる。
【0010】
また、除去可能片の除去は、単に操作突起を把持した操作具を回転操作させるだけであるため、簡便に除去可能片を除去できる。
【0011】
本発明に係る電気機器の筺体構造は、前記第一面および前記対向する二つの第二面に囲まれた空間に前記操作突起を備える
【0012】
本構成によれば、不意に他物が除去可能片と接触したとしても、第一面および対向する二つの第二面に囲まれた空間に備えてある操作突起は回転操作されないため、当該連結部は破壊され難い。よって、本構成であれば、不意に除去可能片が除去されるのを確実に防止できる。
【0013】
本発明に係る電気機器の筺体構造の第二特徴構成は、前記回転操作が前記第一面に交差する軸芯に対して行なわれるように、前記操作突起を上面視で矩形状に形成した点にある。
【0014】
本構成によれば、除去可能片を除去する際には、例えば操作具が第一面に直交するような姿勢で操作具によって操作突起を把持し、この状態で操作具を回転操作すればよいため、簡便な操作で除去可能片を除去することができる。
また、操作突起を上面視で矩形状に形成してあると、操作具によって操作突起を把持し易くなるため、当該回転操作を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】電気機器の概要を示す斜視図である。
図2】電気機器の分解斜視図である。
図3】電気機器の分解斜視図である。
図4】筺体の要部拡大図である。
図5】操作具によって除去可能片を除去操作するときの概要を示した図
図6】除去可能片を除去した後に信号線を電気機器の背面側に導出したときの概要を示した図
図7】電気機器および取付手段の概要を示す斜視図である。
図8】電気機器および取付手段を係合させたときの概要を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明は、例えば壁面に設置される防災用又は防犯用の電気機器の筺体構造に関するものである。
【0019】
電気機器は、壁面に設置する態様であればどのような機器であってもよい。当該壁面に設置する電機機器としては、例えば防災用又は防犯用の警報器が挙げられる。本実施形態では、電気機器Xとして、可燃性ガス(LPガス)の漏洩を検知するガス警報器を屋内の壁面に設置する態様について説明する。当該電気機器の形状は特に限定されるものではないが、本実施形態では上面視で矩形状であり、厚板状(例えば12×7×2.5cm)の形状を呈するものを例示する。
【0020】
図1〜3に示したように、電気機器Xは、電気機器Xの外形を形成する筺体10に封止体20を組み付けて形成してある。
【0021】
図4に示したように、当該電気機器Xは、電気機器Xの外形を形成する筺体10に形成された開口部13と、当該開口部13の一部を覆い、開口部13の端縁13aに対して破断可能な連結部14によって連結される除去可能片15と、を備える。
【0022】
当該除去可能片15は、開口部13が形成された筺体10の構成面に沿う第一面15a、および、第一面15aに対して交差してそれぞれが対向する二つの第二面15bを備える。また、当該第一面15aに、除去可能片15を回転操作によって除去する操作具Yによって把持される操作突起15cを備え、少なくとも第二面15bにおける開口部13の端縁側に連結部14を備える。
【0023】
筺体10は回路基板30を収容するものであり、底面11と側面12とを一体に形成して構成されている。即ち、底面11および側面12とで囲まれた空間に回路基板30が収容される。側面12の端部(封止体20の側)には、封止体20と重ね配置される本体周縁端部12aが形成してある。
本実施形態では、筺体10に封止体20を組み付けた際、本体周縁端部12aと封止端部21とが重ね配置されたときに、本体周縁端部12aが内側に位置する場合について説明する。
筺体10および封止体20は、例えば公知の樹脂製とすることができるが、これに限られるものではない。
【0024】
封止体20は、筺体10の少なくとも一部を覆う部材である。本実施形態では、封止体20は、筺体10の全体を覆う第一封止体20a、および、第一封止体20aの封止体開口部22を覆う第二封止体20bを有する。
第一封止体20aには、スイッチ40を露出させるスイッチ開口部23、警報音を外部に伝えるスピーカ開口部24が形成してある。
【0025】
回路基板30には、例えばガス検知部31、報知部32、端子台33などの部品が配設してある。回路基板30には、電源コード34が接続してある。また、回路基板30には、基板開口部35が形成してある。
【0026】
端子台33は、外部からの信号線の接続端子を接続できる態様であればよく、第一封止体20aの開口部22から露出するように回路基板30に配設してある。外部からの接続端子を端子台33に接続する場合には、例えば開口部22を覆う第二封止体20bを下方にスライド移動して端子台33を露出させればよい。
【0027】
除去可能片15は、破断可能な連結部14によって開口部13の端縁13aと連結され、筺体10に形成された開口部13の一部を覆うように配設される。本実施形態では、連結部14は、それぞれの第二面15bにおける開口部13の端縁13a側に二つずつ、第一面15aにおける開口部13の端縁13a側に一つ、配設してある場合について説明するが、この態様に限られるものではない。
【0028】
除去可能片15は第一面15aおよび第二面15bによってコの字状の態様に形成でき、第一面15aおよび第二面15bに囲まれた空間に操作突起15cを備えることができる。当該除去可能片15を除去するには、ラジオペンチなどの操作具Yによって操作突起15cを把持し(図5)、この状態で当該操作具Yを左回りに回転操作する。これによって全ての連結部14を破断することができるため、除去可能片15を筺体10から除去することができる。
操作具Yは、ラジオペンチに限らず、操作突起15cを把持できるものであればよい。
【0029】
本構成において除去可能片15を除去するためには、操作具Yで操作突起15cを把持して除去可能片15を回転させる必要がある。そのため、不意に他物が除去可能片15と接触したとしても、除去可能片15は回転操作されないため、当該連結部14は破壊され難い。よって、本構成であれば、不意に除去可能片15が除去されるのを未然に防止できる。
【0030】
本実施形態では、前記回転操作が第一面15aに交差する軸芯Zに対して行なわれるように、操作突起15cを上面視で矩形状に形成してある(図4)。
【0031】
これにより、除去可能片15を除去する際には、例えば操作具Yが第一面15aに直交するような姿勢で操作具Yによって操作突起15cを把持し、この状態で操作具Yを回転操作すればよいため、簡便な操作で除去可能片15を除去することができる。
また、操作突起15cを上面視で矩形状に形成してあると、操作具Yによって操作突起15cを把持し易くなるため、当該回転操作を容易に行なうことができる。
【0032】
連結部14は、上面視で、端縁13aおよび第二面15bに対して角度を持たせて配設してある。本実施形態では、連結部14は、端縁13aおよび第二面15bに対して、略45度の角度で配設してある。このように連結部14の設置角度を規定することで、操作者に操作具Yを回転させる方向を意識付けすることができるため、除去可能片15の回転操作をスムーズに行うことができる。
【0033】
除去可能片15を除去すると、筺体10に形成された開口部13、回路基板30に形成された基板開口部35および封止体に設けた封止体開口部22が連通するようなる。これにより、図6に示したように、端子台33に接続した信号線50を、封止体開口部22、基板開口部35および開口部13を介して電気機器Xの筺体10の背面側に導出することができる。このようにして導出された信号線50は、例えばマイコンメータやガスメータなどと接続させることができる。
【0034】
警報器Xを壁面に配設する場合、図7,8に示したように、予め当該壁面に固定してある取付金具などの取付手段60に、当該警報器Xを取り付ける場合がある。当該取付手段60は、例えば金属製とすることができるが、これに限られるものではない。
当該取付手段60は、警報器Xの筺体10の背面側に形成した係合部16と係合できる複数の取付突起部61を備える。本実施形態では、取付金具60の両サイドに二つの取付突起部61a、中央付近に一つの取付突起部61bを設けた場合について説明する。
取付突起部61aは、筺体10の背面側の周部に形成した係合凹部16aに係合する。また、取付突起部61bは、除去されていない状態の除去可能片15に係合する。当該取付突起部61bには、除去可能片15に係合する部位(取付突起部61bの両側)に、二つの微小凸部61cが形成してある。
【0035】
当該除去可能片15において、対向する二つの第二面15bは、電気機器Xを壁面に取り付ける取付手段60の取付突起部61bを挟んで圧接した状態で取付突起部61bと係合する寸法で形成される。
【0036】
即ち、対向する二つの第二面15bの間隔の寸法を、取付突起部61bの幅mの寸法に比べてやや短く設定する。このとき、対向する二つの第二面15bに取付突起部61bを例えば圧入させて係合させたときには、当該取付突起部61bを対向する二つの第二面15bに圧接された状態で保持することができる。取付突起部61bの幅mの寸法は、二つの微小凸部61cを含んだ寸法である。取付突起部61bが二つの第二面15bに圧接された状態で係合しているとき、微小凸部61cは第二面15bに圧入した状態となるため、取付突起部61bおよび二つの第二面15bは強固に係合することとなる。そのため、電気機器Xを強固に取付手段60に取付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の電気機器の筺体構造は、例えば壁面に設置される防災用又は防犯用の電気機器の筺体構造に利用できる。
【符号の説明】
【0038】
X 電気機器
Y 操作具
10 筺体
13 開口部
13a 端縁
14 連結部
15 除去可能片
15a 第一面
15b 第二面
15c 操作突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8