(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0013】
〔ベーパ回収装置の概略構成〕
図1は本発明によるベーパ回収装置の実施の形態を示す概略構成図である。
図1に示されるように、ベーパ回収装置10は、地下タンク(揮発性液体貯蔵タンク)20、給油装置30、通気管40を有する給油所に設置される。地下タンク20は、給油装置30からの給油配管32、通気管40の下端、及び荷卸しを行うための注油管50が挿通されている。また、地下タンク20には、液面高さを検出する液面センサ160が設けられている。液面センサ160により検出された液面高さ検出値は、液面表示ユニット162に保存される。
【0014】
注油管50は、上端にタンクローリ車60の荷卸しホース62の先端が接続される注油口52が設けられている。タンクローリ車60の運転者は、地下タンク20に貯蔵される揮発性液体(液体燃料)の種別(油種)が一致するハッチの吐出口に荷卸しホース62の一端を接続し、荷卸しホース62の他端を当該種別(油種)の注油口52に接続した後、タンクローリ車60の吐出弁を開弁させる。これにより、タンクローリ車60のハッチに積み込まれた揮発性液体(液体燃料)が地下タンク20に荷卸しされる。
【0015】
地下タンク20の上部空間は、通気管40に連通されており、通気管40の上端には脱圧弁(ブリーザー弁)42が設けられている。脱圧弁42は、通気管40の圧力(地下タンク20の圧力)が所定の開弁圧力以上に達した場合に開弁する構成であり、通気管40の圧力(地下タンク20の圧力)が所定の開弁圧力未満の場合には閉弁している。従って、タンクローリ車60による荷卸し開始当初は、脱圧弁42が閉弁しているため、地下タンク20に荷卸しされた揮発性液体(液体燃料)によって液面が上昇すると共に、地下タンク20内のベーパを含む気体が通気管40から分岐されたベーパ導入経路70を介してベーパ回収装置10に供給される。
【0016】
ベーパ回収装置10は、ベーパ導入経路70と、吸着槽80と、回収経路90と、制御装置100とを有する。ベーパ導入経路70は、タンク側圧力センサ110と、吸着用弁(ベーパ導入側電磁弁)120と、ベーパ吸引手段130と、吸着槽側圧力センサ140とが設けられている。
【0017】
ベーパ導入経路70は、一端が通気管40に接続され、他端が吸着槽80に連通されている。また、吸着槽80は、円筒形状の容器からなり、内部には粒状の吸着剤82が充填されている。吸着剤82は、不燃性で吸着時の発熱の少ない疎水性シリカゲルまたは合成ゼオライトなどからなり、地下タンク20との圧力差によりベーパ成分を分子レベルで吸着する。
【0018】
吸着槽側圧力センサ140は、吸着槽80の圧力を検出しており、検出圧力値を制御装置100に出力する。制御装置100は、タンク側圧力センサ110により検出された地下タンク20のタンク内圧力と吸着槽側圧力センサ140により検出された吸着槽圧力とを比較し、吸着工程または脱着工程が可能かを判定する。
【0019】
また、吸着槽80は、ベーパ導入経路70の連通箇所と180度反対側となる箇所に排気管150が連通されている。排気管150は、排気用弁152が配設され、先端が上方に延在形成されている。排気用弁152は、電磁弁からなり、吸着工程時に開弁され、吸着槽80内においてベーパが除去された空気が排気管150を介して大気中に排気される。尚、排気管150及び排気用弁152から排気される流量は、排気管150及び排気用弁152の口径(内径)により吸着槽80の内部圧力をベーパ吸着に必要な圧力に保つように供給される流量よりも絞られている。
【0020】
回収経路90は、一端がベーパ導入経路70に連通され、他端が通気管40に連通されている。すなわち、回収経路90は、吸着槽80の吸着剤82から脱着してえられた揮発性液体(液体燃料)を地下タンク20に戻すための配管であって、回収用弁92と、脱着工程用の真空ポンプ94とが配されている。回収用弁92は、電磁弁からなり、吸着工程、排気工程のときは閉弁され、吸着剤82から揮発性液体(液体燃料)を脱着するときに開弁される。また、真空ポンプ94は、脱着工程のときに駆動され、吸着槽80内を真空(大気圧以下)にして吸着剤82から揮発性液体(液体燃料)を脱着し、通気管40を介して回収した揮発性液体(液体燃料)を地下タンク20に戻す。
【0021】
制御装置100は、液面センサ160から出力された液面高さ検出値に基づいて荷卸し開始を判定する荷卸し開始判定手段と、荷卸し開始時に吸着用弁120を開弁して吸着工程を設定する吸着工程設定手段と、タンク側圧力センサ110によって検出された地下タンク20のタンク内圧力が脱圧弁42の開弁圧力以上か否かを判定する判定手段と、吸着工程を行う際に圧力センサにより検出された圧力値が脱圧弁が開弁する所定圧力よりも低い所定の設定圧力に達した場合、ベーパ吸引手段130によるベーパの吸引を開始させるベーパ吸引量制御手段と、を有する。
【0022】
タンク側圧力センサ110は、ベーパ導入経路70の通気管40との接続部付近に設けられ、地下タンク20からベーパ導入経路70に導入されたタンク内圧力を検出し、検出した圧力値を制御装置100に出力する。尚、タンク側圧力センサ110は、地下タンク20の圧力を検出するため、ベーパ導入経路70に限らず、地下タンク20あるいは通気管40に設けても良い。
【0023】
ベーパ吸引手段130は、例えば空気を一方向に送出する羽根車を回転駆動するブロワ(送風機)からなり、通気管40の空気を吸引して吸着槽80へ供給する。また、ベーパ吸引手段130は、地下タンク20の圧力変化に応じて制御(駆動・停止)されるため、タンク内圧力が所定圧力(脱圧弁42の開弁圧力以下の所定圧力)以上になると停止から駆動に切り替えられる。尚、ベーパ吸引手段130としては、駆動時に地下タンク20内のベーパを含む気体を吸引し、停止時には地下タンク20と吸着槽80との圧力差によって地下タンク20で発生したベーパが吸着槽80に供給されるような構成のものであればブロワ以外のものでも良い。
【0024】
〔制御装置の制御処理〕
制御装置100は、吸着槽80における吸着工程、脱着工程の制御処理を実行するが、ここでは吸着工程の制御処理について説明し、脱着工程の制御処理の説明は省略する。
【0025】
図2はベーパ回収装置の制御装置が実行する吸着工程制御処理を説明するためのフローチャートである。
図2のS11において、制御装置100は、タンクローリ車60による荷卸しが開始されたか否かを判定する。荷卸し開始の判定基準としては、例えば液面センサ160から出力された液面高さ検出値が増加している場合に荷卸し開始と判定する。また、これ以外にも、タンク側圧力センサ110により検出された地下タンク20の圧力が上昇(液面上昇による圧力上昇)した場合、あるいはタンク側圧力センサ110により検出された地下タンク20の圧力が上昇率が液面上昇による上昇率と近い場合に荷卸し開始と判定しても良い。
【0026】
上記S11において、荷卸し開始が検出された場合(YESの場合)、S12に進み、吸着用弁120及び排気用弁152を開弁させる。このとき、地下タンク20では、タンクローリ車60からの荷卸しにより圧力が上昇している。そのため、吸着用弁120及び排気用弁152の開弁と共に地下タンク20の上部空間のベーパを含む気体が通気管40及びベーパ導入経路70に導入される。さらに、ベーパ導入経路70を通過したベーパを含む気体は、吸着槽80に流入する。
【0027】
次のS13では、タンク側圧力センサ110により検出された地下タンク20のタンク内圧力PTを読み込んで当該タンク圧力PTと予め設定された設定圧力PB(ブロワ起動圧力)とを比較する。S13において、タンク内圧力PTが設定圧力PB(ブロワ起動圧力)より小さい場合(NOの場合)は、S14に進み、荷卸し終了が検出されたか否かを判定する。S14において、荷卸し終了が検出されない場合(NOの場合)、上記S13の処理に戻る。
【0028】
尚、荷卸し終了の判定条件としては、例えば(a)地下タンク20のタンク内圧力PTがタンク密閉状態で荷卸しを行っている際に生じうる圧力であり、且つ脱圧弁42の第1設定圧力PB(ブロワ起動圧力)以下の圧力に低下した場合、(b)地下タンク20が密閉状態で荷卸しを行っている際に生じうるタンク内圧力PTの上昇率がゼロになった場合、(c)地下タンク20の液面上昇が停止し、液面センサ160の検出値が一定になった場合、(d)荷卸し開始から所定時間(通常の荷卸しに要する時間を超える時間)が経過した場合に荷卸し終了と判定する。
【0029】
また、上記S13において、タンク内圧力PTが第1設定圧力PB(ブロワ起動圧力)より大きい場合(YESの場合)は、タンク側圧力センサ110により検出された地下タンク20のタンク内圧力PTが脱圧弁42の開放圧力P0より低い所定の設定圧力に達したものと判定してS15に進み、ベーパ導入経路70に配されたベーパ吸引手段130を駆動する。これにより、地下タンク20の上部空間に溜ったベーパを含む気体は、通気管40及びベーパ導入経路70を通って強制的に吸着槽80に導入される。そのため、ベーパ導入経路70の配管抵抗あるいは吸着槽80内の流体抵抗などによりベーパの供給量が減少して地下タンク20のタンク内圧力PTが荷卸しと共に上昇し、タンク内圧力PTが脱圧弁42が開弁する開放圧力P0より低い設定圧力に達した場合でも、地下タンク20のベーパを含む気体を吸着槽80に供給することが可能になる。これにより、荷卸し中に脱圧弁42が開弁せず、ベーパが大気中に放出されることを防止できる。
【0030】
続いて、S16に進み、タンク側圧力センサ110により検出された地下タンク20のタンク内圧力PTが第2設定圧PL以上か否かを判定する(PB<PL)。S16において、タンク内圧力PTが第2設定圧PL未満の場合(NOの場合)、S17に進み、ベーパ吸引手段130を低速運転(例えば、高速運転の1/3の回転数でブロワを駆動)で制御する。そのため、タンク内圧力PTが第2設定圧PL未満と低い圧力の場合、ベーパ吸引手段130の駆動により吸着槽80に供給されるベーパ量が低流量となる。
【0031】
続いて、S18では、タンク側圧力センサ110により検出された地下タンク20のタンク内圧力PTが第4設定圧(下限圧力)P0以上か否かを判定する。S18において、タンク内圧力PTが第4設定圧(下限圧力)P0未満の場合(NOの場合)、地下タンク20の上部空間の圧力が十分に低下しているため、S19に進み、ベーパ吸引手段130を停止させる(PL<PM<P0)。そして、上記S13の処理に戻る。
【0032】
また、上記S18において、タンク内圧力PTが第4設定圧(上限圧力)P0以上の場合(YESの場合)、上記S16の処理に戻る。上記S16において、タンク内圧力PTが第2設定圧PL以上の場合(YESの場合)、S20に進み、タンク側圧力センサ110により検出された地下タンク20のタンク内圧力PTが第3設定圧PM以上か否かを判定する(PB<PL<PM<P0)。S20において、タンク側圧力センサ110により検出された地下タンク20のタンク内圧力PTが第3設定圧PM未満の場合(NOの場合)、地下タンク20の圧力が上限圧力に達していないので、S21に進み、ベーパ吸引手段130を中速運転(例えば、高速運転の2/3の回転数でブロワを駆動)で制御する。そのため、タンク内圧力PTが第3設定圧PM未満の場合、ベーパ吸引手段130の駆動により吸着槽80に供給されるベーパ量が低流量よりも多い中流量となる。この後は、上記S16の処理に戻り、S16以降の処理を行う。
【0033】
また、上記S20において、タンク側圧力センサ110により検出された地下タンク20のタンク内圧力PTが第3設定圧PM以上の場合(YESの場合)、地下タンク20の圧力が上限圧力に達しているので、S22に進み、ベーパ吸引手段130を高速運転(例えば、低速回転数の3倍、または中速回転数の1.5倍の高速回転数でブロワを駆動)で制御する。そのため、タンク内圧力PTが第3設定圧PM以上の場合、ベーパ吸引手段130の高速運転により吸着槽80に供給されるベーパ量が中流量よりも多い高流量となる。この後は、上記S16に戻り、S16以降の処理を行う。
【0034】
また、上記S14において、荷卸し終了が検出された場合(YESの場合)、S23に進み、吸着用弁120及び排気用弁152を閉弁させる。これで、吸着工程の制御処理が終了する。
【0035】
このように、タンク側圧力センサ110により検出された地下タンク20のタンク内圧力PTに応じてベーパ吸引手段130の回転速度を3段階(低速運転、中速運転、高速運転)の何れかに切り替えるため、荷卸し時に変化する地下タンク20の圧力に応じたベーパの吸引量を適宜制御して吸着槽80におけるベーパ吸着効率を高められる。
【0036】
〔変形例の構成〕
図3はベーパ回収装置の変形例を示す概略構成図である。
図3に示されるように、ベーパ回収装置10Aは、3つの地下タンク(揮発性液体貯蔵タンク)20A〜20Cで発生したベーパを吸着処理するように構成されている。また、給油所には、地下タンク20A〜20C、給油装置30A〜30C、通気管40A〜40Cが設けられている。
【0037】
地下タンク20A〜20Cは、それぞれ同じ種別の揮発性液体を貯蔵している。また、各地下タンク20A〜20Cには、給油装置30A〜30Cからの給油配管32A〜32C、通気管40A〜40Cの下端、及び荷卸しを行うための注油管50A〜50Cが挿通されている。さらに、各地下タンク20A〜20Cには、液面高さを検出する液面センサ160A〜160Cが設けられている。各液面センサ160A〜160Cにより検出された液面高さ検出値は、液面表示ユニット162に保存される。
【0038】
注油管50A〜50Cは、上端にタンクローリ車60の荷卸しホース62の先端が接続される注油口52A〜52Cが設けられている。
【0039】
地下タンク20A〜20Cの上部空間は、通気管40A〜40Cに連通されており、通気管40A〜40Cの上端には脱圧弁(ブリーザー弁)42A〜42Cが設けられている。脱圧弁42A〜42Cは、通気管40A〜40Cの圧力(地下タンク20A〜20Cの圧力)が所定の開弁圧力以上に達した場合に開弁する構成であり、通気管40A〜40Cの圧力(地下タンク20A〜20Cの圧力)が所定の開弁圧力未満の場合には閉弁している。従って、タンクローリ車60による荷卸し開始当初は、脱圧弁42A〜42Cが閉弁しているため、各地下タンク20A〜20Cに荷卸しされた揮発性液体(液体燃料)によって液面が上昇すると共に、各地下タンク20A〜20C内のベーパを含む気体が各通気管40A〜40Cから分岐されたベーパ導入経路70A〜70Cを介して吸着槽80に供給される。
【0040】
ベーパ回収装置10Aは、ベーパ導入経路70A〜70Dと、吸着槽80と、回収経路90と、制御装置100Aとを有する。ベーパ導入経路70A〜70Cは、タンク側圧力センサ110A〜110Cと、吸着用弁(ベーパ導入側電磁弁)120A〜120Cとが設けられている。また、共通ベーパ導入経路70Dには、ベーパ吸引手段130と、ベーパ供給弁170と、吸着槽側圧力センサ140とが設けられている。
【0041】
各ベーパ導入経路70A〜70Cは、一端が各通気管40A〜40Cに並列接続され、他端が共通ベーパ導入経路70Dを介して吸着槽80に連通されている。
【0042】
制御装置100Aは、各地下タンク20A〜20Cへの荷卸し開始が検出されると、対応する吸着用弁120A〜120Cの何れかを開弁すると共に、共通ベーパ導入経路70Dに配されたベーパ供給弁170を開弁して吸着槽80にベーパを含む気体を供給するベーパ供給手段と、吸着工程を行う際にタンク側圧力センサ110A〜110Cにより検出された各地下タンク20A〜20Cのタンク内圧力値が脱圧弁42A〜42Cが開弁する所定圧力(開放圧力P0)よりも低い所定の設定圧力に達した場合、ベーパ吸引手段130によるベーパの吸引を開始させ、各地下タンク20A〜20Cのタンク圧力に応じてベーパ吸引手段130を駆動制御してベーパを吸着槽80へ供給するベーパ吸引量制御手段とを有する。そのため、変形例においても、ベーパ導入経路70A〜70Dの配管抵抗あるいは吸着槽80内の流体抵抗などによりベーパの供給量が減少して地下タンク20A〜20Cのタンク内圧力PTが荷卸しと共に上昇し、タンク内圧力PTが脱圧弁42A〜42Cが開弁する開放圧力P0より低い設定圧力に達した場合には、ベーパ吸引量制御手段により地下タンク20のベーパを含む気体を吸着槽80に供給することが可能になる。これにより、荷卸し中に脱圧弁42が開弁せず、ベーパが大気中に放出されることを防止できる。
【0043】
〔変形例の制御装置の制御処理〕
図4は変形例の制御装置が実行する吸着工程制御処理を説明するためのフローチャートである。
図4に示されるように、制御装置100Aは、S31で各吸着用弁120A〜120Cが全て閉弁しているか否かを判定する。S31において、全ての吸着用弁120A〜120Cが閉弁している場合(YESの場合)、S32に進み、タンク側圧力センサ110Aにより検出された地下タンク20Aのタンク内圧力PTが第1設定圧P1以上か否かを判定する。
【0044】
S32において、タンク側圧力センサ110Aにより検出された地下タンク20Aのタンク内圧力PTが第1設定圧P1以上の場合(YESの場合)、地下タンク20Aで荷卸しが開始されたものと判定してS33に進み、吸着用弁120Aを開弁する。続いて、S34に進み、ベーパ供給弁170及び排気用弁152を開弁する。これにより、地下タンク20Aのベーパを含む気体は、通気管40A及びベーパ導入経路70Aから共通ベーパ導入経路70Dを介して吸着槽80に流入する。次のS35では、制御対象を地下タンク20Aのタンク側圧力センサ110Aに設定する。続いて、S36では、タイマT1を計時スタートさせる。
【0045】
また、上記S32において、タンク側圧力センサ110Aにより検出された地下タンク20Aのタンク内圧力PTが第1設定圧P1未満の場合(NOの場合)、S37に進み、タンク側圧力センサ110Bにより検出された地下タンク20Bのタンク内圧力PTが第1設定圧P1以上か否かを判定する。
【0046】
S37において、タンク側圧力センサ110Bにより検出された地下タンク20Bのタンク内圧力PTが第1設定圧P1以上の場合(YESの場合)、地下タンク20Bで荷卸しが開始されたものと判定してS38に進み、吸着用弁120Bを開弁する。続いて、S39に進み、ベーパ供給弁170及び排気用弁152を開弁する。これにより、地下タンク20Bのベーパを含む気体は、通気管40B及びベーパ導入経路70Bから共通ベーパ導入経路70Dを介して吸着槽80に流入する。次のS40では、制御対象を地下タンク20Bのタンク側圧力センサ110Bに設定する。続いて、S36では、タイマT1を計時スタートさせる。
【0047】
また、上記S37において、タンク側圧力センサ110Bにより検出された地下タンク20Bのタンク内圧力PTが第1設定圧P1未満の場合(NOの場合)、S41に進み、タンク側圧力センサ110Cにより検出された地下タンク20Cのタンク内圧力PTが第1設定圧P1以上か否かを判定する。
【0048】
S41において、タンク側圧力センサ110Cにより検出された地下タンク20Cのタンク内圧力PTが第1設定圧P1以上の場合(YESの場合)、地下タンク20Cで荷卸しが開始されたものと判定してS42に進み、吸着用弁120Cを開弁する。続いて、S43に進み、ベーパ供給弁170及び排気用弁152を開弁する。これにより、地下タンク20Cのベーパを含む気体は、通気管40C及びベーパ導入経路70Cから共通ベーパ導入経路70Dを介して吸着槽80に流入する。次のS44では、制御対象を地下タンク20Cのタンク側圧力センサ110Cに設定する。続いて、S36では、タイマT1を計時スタートさせる。
【0049】
また、上記S41において、タンク側圧力センサ110Cにより検出された地下タンク20Cのタンク内圧力PTが第1設定圧P1未満の場合(NOの場合)、前述したS31に戻り、S31以降の処理を繰り返す。
【0050】
次のS45では、各吸着用弁120A〜120Cが全て開弁しているか否かを判定する。S45において、吸着用弁120A〜120Cのうち一つでも閉弁しており、全ての吸着用弁120A〜120Cが開弁していない場合(NOの場合)、S46に進み、吸着用弁120Aが閉弁しているか否かを判定する。S46において、吸着用弁120Aが閉弁している場合(YESの場合)、S47に進み、タンク側圧力センサ110Aにより検出された地下タンク20Aのタンク内圧力PTが第1設定圧P1以上か否かを判定する。S47において、タンク側圧力センサ110Aにより検出された地下タンク20Aのタンク内圧力PTが第1設定圧P1以上の場合(YESの場合)、地下タンク20Aの圧力が第1設定圧P1以上に上昇しているため、S48に進み、吸着用弁120Aを開弁する。この後は、
図5に示すS55に進む。
【0051】
また、上記S46において、吸着用弁120Aが開弁している場合(NOの場合)、あるいは上記S47でタンク側圧力センサ110Aにより検出された地下タンク20Aのタンク内圧力PTが第1設定圧P1未満の場合(NOの場合)、地下タンク20Aで荷卸しが行われていないと判定し、S49に進み、吸着用弁120Bが閉弁しているか否かを判定する。S49において、吸着用弁120Bが閉弁している場合(YESの場合)、S50に進み、タンク側圧力センサ110Bにより検出された地下タンク20Bのタンク内圧力PTが第1設定圧P1以上か否かを判定する。S50において、タンク側圧力センサ110Bにより検出された地下タンク20Bのタンク内圧力PTが第1設定圧P1以上の場合(YESの場合)、地下タンク20Bの圧力が第1設定圧P1以上に上昇しているため、S51に進み、吸着用弁120Bを開弁する。この後は、
図5に示すS55に進む。
【0052】
また、上記S49において、吸着用弁120Bが開弁している場合(NOの場合)、あるいは上記S50でタンク側圧力センサ110Bにより検出された地下タンク20Bのタンク内圧力PTが第1設定圧P1未満の場合(NOの場合)、地下タンク20Bで荷卸しが行われていないと判定し、S52に進み、吸着用弁120Cが閉弁しているか否かを判定する。S52において、吸着用弁120Cが閉弁している場合(YESの場合)、S53に進み、タンク側圧力センサ110Cにより検出された地下タンク20Cのタンク内圧力PTが第1設定圧P1以上か否かを判定する。S53において、タンク側圧力センサ110Cにより検出された地下タンク20Cのタンク内圧力PTが第1設定圧P1以上の場合(YESの場合)、地下タンク20Cの圧力が第1設定圧P1以上に上昇しているため、S54に進み、吸着用弁120Cを開弁する。この後は、
図5に示すS55に進む。
【0053】
また、上記S52において、吸着用弁120Cが開弁している場合(NOの場合)、各吸着用弁120A〜120Cが全て開弁されていると判定し、あるいは上記S53でタンク側圧力センサ110Cにより検出されたタンク内圧力PTが第1設定圧P1未満の場合(NOの場合)、地下タンク20Cで荷卸しが行われていないと判定し、
図5に示すS55に進む。
【0054】
図5のS55では、ベーパ吸引手段130の回転速度(ベーパ吸引速度、ベーパ排出速度)がゼロか否かを判定する。S55において、ベーパ吸引手段130の回転速度がゼロの場合(YESの場合)、S56に進み、地下タンク20A〜20Cのうち制御対象に設定された地下タンクのタンク内圧力PTが予め設定された所定の設定圧P21以上か否かを判定する。S56において、制御対象に設定された当該地下タンクのタンク内圧力PTが予め設定された所定の設定圧P21以上の場合(YESの場合)、S57に進み、ベーパ吸引手段130の回転速度(ベーパ吸引速度、ベーパ排出速度)を速度1(低速制御)に設定する。この後は、S58に進む。
【0055】
また、上記S55において、ベーパ吸引手段130の回転速度がゼロでない場合(NOの場合)、あるいは、上記S56において、制御対象に設定された地下タンクのタンク内圧力PTが予め設定された所定の設定圧P21未満の場合(NOの場合)、S57の処理を省略してS58に進む。
【0056】
次のS58では、ベーパ吸引手段130の回転速度(ベーパ吸引速度、ベーパ排出速度)が速度1(低速制御)か否かを判定する。S58において、ベーパ吸引手段130の回転速度が速度1(低速制御)の場合(YESの場合)、S59に進み、地下タンク20A〜20Cのうち制御対象に設定された地下タンクのタンク内圧力PTが予め設定された所定の設定圧P22(>P21)以上か否かを判定する。S59において、制御対象に設定された当該地下タンクのタンク内圧力PTが予め設定された所定の設定圧P22以上の場合(YESの場合)、当該地下タンクで荷卸しが行われているものと判定してS60に進み、ベーパ吸引手段130の回転速度(ベーパ吸引速度、ベーパ排出速度)を速度2(中速制御)に設定する。この後は、S63に進む。
【0057】
また、上記S59において、制御対象に設定された地下タンクのタンク内圧力PTが予め設定された所定の設定圧P22未満の場合(NOの場合)、S61に進み、地下タンク20A〜20Cのうち制御対象に設定された地下タンクのタンク内圧力PTがゼロ以下か否かを判定する。S61において、制御対象に設定された当該地下タンクのタンク内圧力PTがゼロ以下の場合(YESの場合)、当該地下タンクの荷卸しが終了したものと判定してS62に進み、ベーパ吸引手段130の回転速度(ベーパ吸引速度、ベーパ排出速度)をゼロに設定する。すなわち、当該制御対象の地下タンクにおける荷卸しが行われていないものと判定してベーパ吸引手段130を停止させる。この後は、S63に進む。また、上記S58において、ベーパ吸引手段130の回転速度が速度1(低速制御)でない場合(NOの場合)、あるいは、S61において、制御対象に設定された当該地下タンクのタンク内圧力PTがゼロを超える場合(NOの場合)、当該地下タンクの荷卸しが継続しているものと判定してS63に進む。
【0058】
次のS63では、ベーパ吸引手段130の回転速度(ベーパ吸引速度、ベーパ排出速度)が速度2(中速制御)か否かを判定する。S63において、ベーパ吸引手段130の回転速度が速度2(中速制御)の場合(YESの場合)、S64に進み、地下タンク20A〜20Cのうち制御対象に設定された地下タンクのタンク内圧力PTが予め設定された所定の設定圧P23(>P22)以上か否かを判定する。S64において、制御対象に設定された当該地下タンクのタンク内圧力PTが予め設定された所定の設定圧P23以上の場合(YESの場合)、当該地下タンクで荷卸しが行われているものと判定してS65に進み、ベーパ吸引手段130の回転速度(ベーパ吸引速度、ベーパ排出速度)を速度3(高速制御)に設定する。この後は、S68に進む。
【0059】
また、上記S64において、制御対象に設定された地下タンクのタンク内圧力PTが予め設定された所定の設定圧P23未満の場合(NOの場合)、S66に進み、地下タンク20A〜20Cのうち制御対象に設定された地下タンクのタンク内圧力PTが予め設定された所定の設定圧P22以下か否かを判定する。S66において、制御対象に設定された当該地下タンクのタンク内圧力PTが予め設定された所定の設定圧P22以下の場合(YESの場合)、荷卸しによるベーパ発生量が低下したものと判定してS67に進み、ベーパ吸引手段130の回転速度(ベーパ吸引速度、ベーパ排出速度)を速度1(低速制御)に設定する。すなわち、当該制御対象の地下タンクにおけるベーパ発生量に応じた回転速度(ベーパ吸引速度、ベーパ排出速度)でベーパ吸引手段130を駆動させる。この後は、S68に進む。また、S63において、ベーパ吸引手段130の回転速度が速度2(中速制御)でない場合(NOの場合)、あるいは、上記S66において、制御対象に設定された地下タンクのタンク内圧力PTが所定の設定圧P22を超える場合(NOの場合)、当該地下タンクの荷卸しが継続しているものと判定してS68に進む。
【0060】
次のS68では、ベーパ吸引手段130の回転速度(ベーパ吸引速度、ベーパ排出速度)が速度3(高速制御)か否かを判定する。S68において、ベーパ吸引手段130の回転速度が速度3(高速制御)の場合(YESの場合)、S69に進み、地下タンク20A〜20Cのうち制御対象に設定された地下タンクのタンク内圧力PTが予め設定された所定の設定圧P23以下か否かを判定する。S69において、制御対象に設定された当該地下タンクのタンク内圧力PTが予め設定された所定の設定圧P23以下の場合(YESの場合)、当該地下タンクでの荷卸しによる液面上昇率が減少しているものと判定してS70に進み、ベーパ吸引手段130の回転速度(ベーパ吸引速度、ベーパ排出速度)を速度2(中速制御)に設定する。この後は、
図6に示すS71に進む。
【0061】
また、S68において、ベーパ吸引手段130の回転速度が速度3(高速制御)でない場合(NOの場合)、あるいは、上記S69において、制御対象に設定された当該地下タンクのタンク内圧力PTが予め設定された所定の設定圧P23を超える場合(NOの場合)、当該地下タンクへの荷卸しが継続されているため、
図6に示すS71に進む。このように、タンク側圧力センサ110A〜110Cにより検出された各地下タンク20A〜20Cのタンク内圧力PTに応じてベーパ吸引手段130の回転速度を低速運転、中速運転、高速運転の何れかに切り替えるため、荷卸し時に変化する各地下タンク20A〜20Cの圧力に応じてベーパの吸引量を適宜制御して吸着槽80におけるベーパ吸着効率を高められる。
【0062】
さらに、ベーパ吸引手段130を駆動することにより、ベーパ導入経路70の配管抵抗あるいは吸着槽80内の流体抵抗などによりベーパの供給量が減少して地下タンク20のタンク内圧力PTが荷卸しと共に上昇し、タンク内圧力PTが脱圧弁42が開弁する開放圧力P0より低い設定圧力に達した場合でも、地下タンク20のベーパを含む気体を吸着槽80に供給することが可能になり、荷卸し中に脱圧弁42が開弁せず、ベーパが大気中に放出されることを防止できる。
【0063】
次に、
図6のS71では、前述したS36で計時開始したタイマT1のカウント値が予め設定された荷卸し時間(荷卸し開始から荷卸し終了までの経過時間)に達したか否かを判定する。S71において、タイマT1のカウント値が予め設定された荷卸し時間に達していない場合(NOの場合)、前述したS55の処理に戻り、S55以降の処理を繰り返す。
【0064】
上記S71において、タイマT1のカウント値が予め設定された荷卸し時間に達した場合(YESの場合)、S72に進み、各吸着用弁120A〜120C、ベーパ供給弁170及び排気用弁152を閉弁する。続いて、S73では、制御対象に設定された各設定データをクリアし、S74でベーパ吸引手段130の回転速度(ベーパ吸引速度、ベーパ排出速度)をゼロリセットする。これで、吸着工程の制御処理は、終了する。
【0065】
次のS75では、回収用弁92を開弁すると共に、脱着工程用の真空ポンプ94を駆動して吸着槽80の吸着剤82に吸着されたベーパを脱着する。吸着剤82から脱着された揮発性液体(ベーパが液化された液体燃料)は、回収経路90及び通気管40Cを介して地下タンク20Cに還流される。吸着槽80の脱着工程が終了すると、今回の制御処理は終了する。
【0066】
尚、本変形例では、各地下タンク20A〜20Cに貯蔵されている揮発性液体が同じため、各地下タンク20A〜20Cのベーパを1台の吸着槽80で吸着し、回収した揮発性液体を任意の地下タンク20Cに戻したが、他の地下タンク20A、または20Bに回収した揮発性液体を戻すようにしても良い。
【0067】
また、上記変形例では、3つの地下タンク20A〜20Cを設けた場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、2つ以上の複数の地下タンクが設置された給油所であれば、本発明を適用できるのは勿論である。