特許第5980108号(P5980108)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社大矢根利器製作所の特許一覧

<>
  • 特許5980108-シート切断装置 図000002
  • 特許5980108-シート切断装置 図000003
  • 特許5980108-シート切断装置 図000004
  • 特許5980108-シート切断装置 図000005
  • 特許5980108-シート切断装置 図000006
  • 特許5980108-シート切断装置 図000007
  • 特許5980108-シート切断装置 図000008
  • 特許5980108-シート切断装置 図000009
  • 特許5980108-シート切断装置 図000010
  • 特許5980108-シート切断装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980108
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】シート切断装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/08 20060101AFI20160818BHJP
   B26D 7/08 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   B26D1/08
   B26D7/08 C
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-265240(P2012-265240)
(22)【出願日】2012年12月4日
(65)【公開番号】特開2014-108502(P2014-108502A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】391063754
【氏名又は名称】株式会社大矢根利器製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100088823
【弁理士】
【氏名又は名称】神戸 真
(74)【代理人】
【識別番号】100118348
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 佳代子
(72)【発明者】
【氏名】大矢根 裕一
【審査官】 石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−017279(JP,A)
【文献】 特開2003−019693(JP,A)
【文献】 特開2004−298989(JP,A)
【文献】 特開平04−217491(JP,A)
【文献】 特開2000−190280(JP,A)
【文献】 特許第3833784(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/08
B26D 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタに装着され、可動刃と固定刃の相対する側面が摺接し、可動刃を、その先端の刃先が固定刃先端の刃先と交差するごとく摺動して固定刃刃先と可動刃刃先の間に通したシートを切断するギロチン式のシート切断装置において、
前記シートは、糊の付いたラベル紙であり、
可動刃及び/又は固定刃の相互に摺接する側面に溝を形成すると共に、該溝内に非粘着材充填されており、
前記非粘着材が、シリコーンオイル、又はスポンジなどの多孔質基材にシリコーンオイルを含浸させたものであり、
前記溝の深さが0.1〜0.4mmで、かつ、該溝を形成している部分の刃厚の1/2以下であることを特徴とするシート切断装置。
【請求項2】
前記溝と、可動刃及び/又は固定刃の刃先までの距離が0.5〜2mmである請求項に記載のシート切断装置。
【請求項3】
前記溝の幅が0.5〜3mmである請求項1または2に記載のシート切断装置。
【請求項4】
前記溝は、前記溝が形成されている前記可動刃及び/又は前記固定刃の刃先に対して非平行に、多数形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のシート切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに装着され、糊の付いたラベル紙を切断する、いわゆるギロチン式のシート切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
糊の付いたシートに適した切断装置は、例えば、下記特許文献1に開示されているように、可動刃及び固定刃の相対する側面にフッ素樹脂系のコーティング、セラミックコーティング、熱硬化性ケイ素系ポリマーのコーティングなどのコーティングを施し、刃側面に非粘着性を付与してシートの糊が付着しにくくすることが提案されている。
【0003】
また、下記特許文献2に示すように、可動刃及び固定刃の相対する側面に糊溜まり用の溝を形成し、該糊溜まり用溝に糊が溜まるようにすることで、刃側面に付着する糊を少なくすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−190280号公報
【特許文献2】特許第3833784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記可動刃及び固定刃の相対する側面にコーティングを施したシート切断装置は、コーティング被膜を硬化させたものであるので、コーティング被膜の非粘着性が弱く、刃側面にシートの糊を付着しにくくする効果が不十分であった。
【0006】
前記、可動刃及び固定刃の相対する側面に糊溜まり用の溝を形成したシート切断装置は、刃側面に過度に付着した糊を除去することはできるが、刃側面に糊が付着しにくくする作用はなく、糊による動作不良などのトラブルを解決することはできない。
【0007】
本発明は、可動刃及び固定刃の相対する摺接面の非粘着性を高め、糊が刃側面に付着することによるトラブルを解消することを解消とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、プリンタに装着され、可動刃と固定刃の相対する側面が摺接し、可動刃を、その先端の刃先が固定刃先端の刃先と交差するごとく摺動して固定刃刃先と可動刃刃先の間に通したシートを切断するギロチン式のシート切断装置において、
前記シートは、糊の付いたラベル紙であり、
可動刃及び/又は固定刃の相互に摺接する側面に溝を形成すると共に、該溝内に非粘着材充填されており、
前記非粘着材が、シリコーンオイル、又はスポンジなどの多孔質基材にシリコーンオイルを含浸させたものであり、
前記溝の深さが0.1〜0.4mmで、かつ、該溝を形成している部分の刃厚の1/2以下であることを特徴とするシート切断装置である。
【0009】
可動刃が固定刃に対し摺動してシートの切断が行われる度に、刃側面(摺接面)が非粘着材に接触して非粘着性が付与されるので、刃側面は常に非粘着性を保持し、糊が刃側面に付着することによるトラブルを解消することができる。溝の深さが浅すぎると非粘着材の消費が早くなり、深すぎると刃の強度が弱くなり、また刃側面に過度の非粘着材が付着するおそれもある。
【0010】
溝は、可動刃のみ、又は固定刃のみに形成しても良いが、双方の刃に形成することが望ましい。溝はエンドミル等の機械加工の他、レーザー加工によって形成することができる。
【0011】
非粘着材は、刃側面(摺接面)に接触することで非粘着性を付与する。
【0012】
可動刃及び/又は固定刃に形成する溝と、可動刃及び/又は固定刃の刃先までの距離は0.5〜2mmが適当である。0.5mmよりも短いと、刃先の強度が弱くなり、2mmよりも長いと刃先付近に糊が付着しやすくなる。
【0014】
可動刃及び/又は固定刃に形成する溝の幅は0.5〜3mmが適当である。幅が狭すぎると刃側面に付与される非粘着性が不十分になるおそれがあり、幅が広すぎると刃側面に過度の非粘着材が付着するおそれがある。
【発明の効果】
【0015】
本発明のシート切断装置は、可動刃が固定刃に対して摺動しシートの切断が行われる度に、刃側面が非粘着材に接触して非粘着性が付与されるので、刃側面(摺接面)は常に非粘着性を保持し、糊が刃側面(摺接面)に付着することによるトラブルを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】シート切断装置1Aの略正面図及びXX線断面図である。
図2】シート切断装置1Aの切断時の略正面図及びXX線断面図である。
図3】溝と刃先の位置関係を説明する断面図である。
図4】シート切断装置1Bの略正面図及びXX線断面図である。
図5】シート切断装置1Cの略称面図である。
図6】シート切断装置1Dの略称面図である。
図7】シート切断装置1Eの略称面図である。
図8】シート切断装置1Fの略称面図である。
図9】シート切断装置1Gの略称面図である。
図10】シート切断装置1Hの略称面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、図面では、可動刃と固定刃のみを示し、ホルダ、可動刃の駆動機構などその他の部材は省略して表しているが、これら省略部分は従来周知のギロチン式シート切断装置と同じ構成でよい。
【0018】
図1、2はシート切断装置1Aに関し、図1はシート切断前の状態、図2は可動刃が下方に摺動してシートを切断した状態である。
シート切断装置1Aは、可動刃2と固定刃4を有する。可動刃2は、刃先2aが逆V字形をなしている。固定刃4は刃先4aが直線状で、刃先4a付近の可動刃2と相対する側面(摺接面)に溝5が形成されている。溝5は刃先4aと平行である。刃先4aの両端部にはガイド4bが突出形成されている。なお、ガイドは固定刃ではなく可動刃に設けることもできる。
【0019】
図3は、溝5と刃先4aの位置関係を説明する断面図である。溝5内には、非粘着材6が充填されている。
溝5の幅aは0.5〜3mm、深さbは0.1〜0.4mmで固定刃4の厚みtの1/2以下、溝5と刃先4aの距離cは0.5〜2mmである。
このa〜cの数値は、溝が刃先に平行でない場合も同じであり、また、溝が可動刃に形成されている場合も同じである。
【0020】
図1の状態から可動刃2が下降して図2の状態になるときに、溝5内の非粘着材6が可動刃2の摺接面と接触して可動刃2の摺接面に非粘着材が付着し、また、図2から可動刃2が上昇して図1の状態になるときに、可動刃2の摺接面に付着した非粘着材が固定刃4の摺接面に付着し、この結果、可動刃2及び固定刃4の摺接面が非粘着性になり、糊の付着が防止される。
【0021】
図4のシート切断装置1Bは、可動刃2に溝3を設けた例である。可動刃2と固定刃4の基本形状は図1のシート切断装置1Aと同じであるが、溝3は固定刃ではなく可動刃2の摺接面の刃先2a付近に設けられている。溝3は可動刃2の刃先2aと平行に、逆V字形をなしている。溝3の内部には非粘着材(図示せず)が充填されている。
【0022】
シート切断装置1Bも、シート切断装置1Aと同様に、可動刃が摺動することによって、非粘着材が可動刃と固定刃の摺接面に付着し、摺接面が非粘着性になり、糊の付着が防止される。
【0023】
図5のシート切断装置1Cは、固定刃4に溝5が設けられている点は前記図1のシート切断装置1Aと同じであるが、溝5が刃先4aに対して非平行に、多数形成されていることで異なっている。溝5の内部には非粘着材(図示せず)が充填されており、可動刃が摺動することによって、非粘着材が可動刃と固定刃の摺接面に付着し、摺接面が非粘着性になり、糊の付着が防止される。
【0024】
図6のシート切断装置1Dは、可動刃2に溝3が設けられている点は前記図4のシート切断装置1Bと同じであるが、溝3が刃先2aに対して非平行に、多数形成されていることで異なっている。溝3の内部には非粘着材(図示せず)が充填されており、可動刃が摺動することによって、非粘着材が可動刃と固定刃の摺接面に付着し、摺接面が非粘着性になり、糊の付着が防止される。
【0025】
図7図10は、可動刃と固定刃の双方の摺接面に溝が形成されている例である。
図7のシート切断装置1Eは、固定刃4には図1のシート切断装置1Aと同じ溝5が形成され、可動刃2には図6のシート切断装置1Dと同じ溝3が形成されている。
【0026】
図8のシート切断装置1Fは、固定刃4には図5のシート切断装置1Cと同じ溝5が形成され、可動刃2には図4のシート切断装置1Bと同じ溝3が形成されている。
【0027】
図9のシート切断装置1Gは、固定刃4には図5のシート切断装置1Cと同じ溝5が形成され、可動刃2には図6のシート切断装置1Dと同じ溝3が形成されている。
【0028】
図10のシート切断装置1Hは、固定刃4には図5のシート切断装置1Cと同じ溝5が形成され、可動刃2には図6のシート切断装置1Dの溝の傾きを逆にした溝3が形成されている。
【符号の説明】
【0029】
1A、1B、1C、1D、1F、1G、1H シート切断装置
2 可動刃
2a 刃先
3 溝
4 固定刃
4a 刃先
4b ガイド
5 溝
6 非粘着材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10