特許第5980109号(P5980109)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980109
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】誤接続防止装置及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 35/00 20060101AFI20160818BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20160818BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   F16L35/00 A
   F16L57/00 C
   F23K5/00 301A
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-272808(P2012-272808)
(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公開番号】特開2014-118991(P2014-118991A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100128901
【弁理士】
【氏名又は名称】東 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】萩原 伸一
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−167351(JP,A)
【文献】 特開2010−164135(JP,A)
【文献】 特開2009−287684(JP,A)
【文献】 特開2011−157983(JP,A)
【文献】 特開2013−181558(JP,A)
【文献】 特開2010−133516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 35/00
F16L 57/00
F23K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグの接続部に、ホースの一端に設けられる継手部材を接続する接続構造に使用する誤接続防止装置であって、
前記プラグの接続部に装着可能であると共に、一対の連結部材を連結して構成される筒状部材が設けられ、
一対の前記連結部材のうち、一の前記連結部材には係合部が設けられると共に、他の前記連結部材には前記係合部に係合する被係合部が設けられ、
前記被係合部を備えた前記連結部材は、連結部材本体と、当該連結部材本体と一部で一体化され、他部が当該連結部材本体に対して揺動自在に構成される係合解除用弾性変形部とを有して構成され、
前記筒状部材の前記プラグの接続部への装着状態において、前記係合解除用弾性変形部に、前記筒状部材の内径側へ突出するとともに、前記継手部材の挿入に伴う前記継手部材の当接により外径側へ揺動して、前記係合部と前記被係合部との係合を解除する係合解除部が設けられ、
前記装着状態において、前記筒状部材の内周面のうち、少なくとも前記係合解除部に対向する部位に、筒状部材先端側から筒状部材基端側へ向かうに従って内径側への突出量が増加する対向傾斜部が設けられ、
プラグ軸方向で筒状部材先端側から筒状部材基端側への前記継手部材の挿入に伴って、前記対向傾斜部にて前記継手部材が前記係合解除部の側へ移動し、前記係合解除部に前記継手部材が当接して前記係合解除用弾性変形部が揺動変形し、前記係合部と前記被係合部との係合が解除される誤接続防止装置。
【請求項2】
前記係合解除部は、筒状部材先端側から筒状部材基端側に向かうに従って内径側突出量が増加する傾斜面を備える請求項1に記載の誤接続防止装置。
【請求項3】
前記対向傾斜部は、当該対向傾斜部が設けられる前記連結部材の内周面全体に亘って設けられると共に、当該連結部材が、相手側の連結部材とともに前記筒状部材を形成している筒形成状態において、筒状部材先端側から筒状部材基端側へ向けて内径を減少させる請求項1又は2に記載の誤接続防止装置。
【請求項4】
前記プラグの基端側に径方向外側へ突出する突出部を備えたプラグを装着対象とし、
前記筒状部材は、前記装着状態において、筒状部材基端側に、前記プラグの前記突出部が嵌り込む切欠溝を備え、前記突出部の前記切欠溝への嵌り込みにより前記筒状部材が前記プラグの軸心周りで位置決めされる請求項1〜3の何れか一項に記載の誤接続防止装置。
【請求項5】
ガスが供給されるガス機器の壁面に備えられるプラグを装着対象とし、
前記筒状部材は、前記係合部及び前記被係合部を前記ガス機器の壁面側に位置させた状態で、前記プラグの軸心周りに位置決めされる請求項4に記載の誤接続防止装置。
【請求項6】
前記係合部が係合爪として、前記被係合部が係合孔として構成され、
前記係合解除用弾性変形部は、前記連結部材本体の前記一部側に、前記係合解除部を備えるとともに、前記他部側に、前記係合孔を備えている請求項1〜5の何れか一項に記載の誤接続防止装置。
【請求項7】
前記一の連結部材に設けられる前記係合解除用弾性変形部の他部側端部は、前記一部側から前記他部側へ向けて膨出する膨出部を備え、
前記他の連結部材は、前記係合部と前記被係合部との係合状態において、前記膨出部を受け入れる受入部を備え、
前記受入部及び前記膨出部は、前記受入部が前記膨出部を受け入れる受け入れ状態において、前記係合解除用弾性変形部の弾性変形を抑制する弾性変形抑制機構として働く請求項1〜6の何れか一項に記載の誤接続防止装置。
【請求項8】
前記筒状部材の前記プラグの接続部への装着状態で、前記筒状部材の筒状部材先端側からの断面視において、
前記係合解除部の前記プラグの軸方向での筒状部材基端側部位と、それに対向する前記対向傾斜部の前記プラグの軸方向での筒状部材基端側部位との距離が、端部に継手部材を設けることなく使用されるホースの外径より大きく、前記継手部材の外径より小さく構成されている請求項1〜7の何れか一項に記載の誤接続防止装置。
【請求項9】
前記筒状部材を構成する一対の連結部材は、一体成型されている請求項1〜8の何れか一項に記載の誤接続防止装置。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載の誤接続防止装置の使用方法であって、
前記誤接続防止装置が、前記プラグが設けられるガス機器の出荷時に前記プラグの接続部に取り付けられる使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグの接続部に、ホースの一端に設けられる継手部材を接続する接続構造に使用する誤接続防止装置及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス機器等に設けられるプラグは、当該プラグに継手部材が接続された正常接続状態で使用可能となるものであり、継手部材と一体に備えられているホースを介してガス機器等へ都市ガス等の燃料ガスが供給可能に構成されている。
以下、まず、当該技術の前提となる継手部材の構成、プラグの構成、プラグへの継手部材の接続動作、プラグから継手部材の分離動作を、図面に基づいて説明する。
【0003】
図14(a)は、プラグ40と継手部材20との非接続状態を示しており、図14(b)は、プラグ40と継手部材20との接続状態を示している。
尚、図14(b)では、ホース10、継手部材20、プラグ40に渡って流体流路22が形成され、ホース10側からガス機器(図示せず)の側への燃料ガスの供給が可能な状態となっている。この状態では、継手部材20は、その先端からの流体の流出が許容される開放状態となっている。
【0004】
(継手部材の構成)
図14(a)に示すように、継手部材20は、ホース10が接続されるコネクタ11と、コネクタ11に連結される筒状本体21と、筒状本体21の内側で軸方向(図14(a)で矢印Xに沿う方向)に移動自在な作動部材33と、筒状本体21の外周部位で軸方向に移動自在なスリーブ部材34と、筒状本体21の継手部材先端側(図14(a)で矢印Xの先端側)に位置されスリーブ部材34の内径面により径方向の位置が規制されるロック用ボール35と、当該ロック用ボール35を継手部材先端側から位置決めする先端部材24と、筒状本体21の継手部材基端側(図14(a)で矢印Xの基端側)の外周部位で筒状本体21に固定されているカバー部材23とを備えて構成されている。
【0005】
コネクタ11と作動部材33との間には、コネクタ11に対して作動部材33を継手部材先端側(図14(a)で矢印Xの先端側)に付勢する第1コイルバネ31が設けられ、カバー部材23とスリーブ部材34との間には、カバー部材23に対してスリーブ部材34を継手部材先端側に付勢する第2コイルバネ32が設けられている。
【0006】
スリーブ部材34は、継手部材20が閉止状態(図14(a)に示す状態)にある場合、その継手部材先端側(図14(a)で矢印Xの先端側)の端面が、先端部材24の端面と同じ位置となる引退位置に位置し、継手部材20が開放状態(図14(b)に示す状態)にある場合、その継手部材先端側の端面が、先端部材24に対して、継手部材先端側に突出する突出位置に位置する。
【0007】
スリーブ部材34の継手部材先端側(図14(a)で矢印Xの先端側)の部位には、ロック用ボール35を外径側部位に規制する第1規制面25が設けられ、当該第1規制面25より継手部材基端側(図14(a)で矢印Xの基端側)には、ロック用ボール35を内径側部位に規制する第2規制面26が設けられている。
ロック用ボール35は、スリーブ部材34が引退位置(図14(a)に示す状態)に位置する場合、ロック用ボール35とスリーブ部材34との位置関係から、第1規制面25により径方向位置を規制される。このとき、作動部材33は、継手部材先端側に位置して流体流路22が閉止され、流体流路22における燃料ガスの流通が禁止される。即ち、継手部材20は、閉止状態となる。
一方、ロック用ボール35は、スリーブ部材34が突出位置(図14(b)に示す状態)に位置する場合、ロック用ボール35とスリーブ部材34との位置関係から、第2規制面26により径方向位置を規制される。このとき、作動部材33は、継手部材基端側に位置して流体流路22が開放され、流体流路22における燃料ガスの流通が許容される。即ち、継手部材20は、開放状態となる。
以上の如く構成することにより、継手部材20は、その閉止状態と開放状態の間で、その内部を流れる燃料ガスの流れ状態を切替自在に構成されている。
【0008】
〔プラグの構成〕
プラグ40は、図14(a)に示すように、継手部材20が接続される接続部48を備えて構成されており、当該接続部48の外周部位には、プラグ先端側からプラグ基端側への方向(図14(a)で矢印Xの方向)へ向けて、第1環状部41、ロック用ボール35を受け入れるロック溝部42、及び第2環状部43を順に備えている。接続部48の内部には、軸方向(図14(a)で矢印Xに沿う方向)に沿って、プラグ先端側からプラグ基端側に亘って、内部流体流路46が設けられている。
図14(a)に示す例では、第1環状部41と第2環状部43と略同径に構成されており、ロック溝部42は、断面視において、プラグ40の径方向で径外から径内へ向けて徐々に幅狭となる略三角形状の溝として構成されている。
尚、当該プラグ40には、第2環状部43よりプラグ基端側において、第2環状部43より大径の大径部44が設けられている。
プラグ40の接続部48のプラグ基端側には、当該プラグ40の径方向外側へ突出する突出部49が設けられている。
【0009】
〔プラグへの継手部材の接続動作〕
プラグ40への継手部材20の接続動作に際しては、作業者は、継手部材20のカバー部材23を保持し、プラグ40を継手部材20の内部へ挿入させる。挿入前の状態では、継手部材20は、閉止状態(図14(a)に示す状態)にある。挿入操作において、プラグ40のプラグ先端側(図14(a)で矢印Xの基端側)の端面47は、作動部材33の継手部材先端側(図14(a)で矢印Xの先端側)の先端に当接し、作動部材33を継手部材基端側(図14(a)で矢印Xの基端側)へ押し込む。これにより、ホース10、継手部材20、及びプラグ40に亘って、流体流路22が形成される。
当該プラグ40の継手部材20への挿入に伴って、ロック用ボール35がロック溝部42に嵌り込むと共に、ロック用ボール35によるスリーブ部材34の継手部材基端側(図14(a)で矢印Xの基端側)への位置保持が解除され、継手部材先端側に付勢されているスリーブ部材34が継手部材先端側へ突出する。
これにより、継手部材20は、図14(a)に示す閉止状態から図14(b)に示す開放状態へ切り替えられることとなる。
【0010】
〔プラグから継手部材の分離動作〕
プラグ40から継手部材20の分離動作に際しては、作業者は、継手部材20のスリーブ部材34を持って、このスリーブ部材34を継手部材基端側(図14(a)で矢印Xの基端側)に移動させる。移動前の状態において、継手部材20は、図14(b)に示す開放状態にある。移動操作において、作業者が、スリーブ部材34を、第2コイルバネ32の付勢力に抗して継手部材基端側に移動されることで、スリーブ部材34の第1規制面25が軸方向(図14(a)で矢印Xに沿う方向)のロック用ボール35に相対する位置に移動し、ロック用ボール35がロック溝部42から脱離される。
これにより、スリーブ部材34が、ロック用ボール35により継手部材基端側に位置保持されて、継手部材20は、図14(b)に示す開放状態から図14(a)に示す閉止状態へ切り替えられることとなる。
【0011】
これまで説明したように、従来のガス機器(図示せず)等に設けられるプラグ40には、継手部材20を介してホース10が接続されることで、プラグ40に対して継手部材20が確実に接続され、ガス漏洩等を防止できる正常接続状態を実現できるようになっている。
【0012】
ここで、特許文献1に開示の技術では、プラグ40の接続部48に対し、ゴムホース80(このホースは先端に継手部材を備えず、一般にゴムホースと呼ばれるため、以下、継手部材を備えないホースを単に「ゴムホース」と呼ぶ)が直接接続される誤接続状態を防止すべく、プラグ40の周囲を外囲する外囲部材を設けている。当該外囲部材は、ゴムホース80がプラグ40に直接接続される際、ゴムホース80の周囲をクリップにより挟持することを防止するように設けられている。
尚、上記ゴムホース80は、継手部材20と一体に設けられているホース10とは、別のものを意味するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平11−063344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1に開示の技術では、プラグ40に対し直接ゴムホース80が接続される誤接続状態において、当該ゴムホース80をクリップにより挟持することは防止できる。しかしながら、プラグ40に対し直接ゴムホース80が接続される誤接続状態において、クリップによりゴムホース80が挟持されていない状態で、使用される虞があり、改善の余地があった。
【0015】
本発明は、ガス機器(図示せず)に設けられるプラグ40に継手部材20を介してホース10が接続される正常接続状態と、プラグ40に直接ゴムホース80が接続される誤接続状態とが発生する点に鑑みてなされたものであり、その目的は、プラグ40に本願にいう誤接続防止装置を装着しておくことにより、誤接続状態の発生を積極的に防止できながらも、正常接続状態を円滑に実現できる誤接続防止装置及びその使用方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するための本願の誤接続防止装置は、
プラグの接続部に、ホースの一端に設けられる継手部材を接続する接続構造に使用する誤接続防止装置であって、その特徴構成は、
前記プラグの接続部に装着可能であると共に、一対の連結部材を連結して構成される筒状部材が設けられ、
一対の前記連結部材のうち、一の前記連結部材には係合部が設けられると共に、他の前記連結部材には前記係合部に係合する被係合部が設けられ、
前記被係合部を備えた前記連結部材は、連結部材本体と、当該連結部材本体と一部で一体化され、他部が当該連結部材本体に対して揺動自在に構成される係合解除用弾性変形部とを有して構成され、
前記筒状部材の前記プラグの接続部への装着状態において、前記係合解除用弾性変形部に、前記筒状部材の内径側へ突出するとともに、前記継手部材の挿入に伴う前記継手部材の当接により外径側へ揺動して、前記係合部と前記被係合部との係合を解除する係合解除部が設けられ、
前記装着状態において、前記筒状部材の内周面のうち、少なくとも前記係合解除部に対向する部位に、筒状部材先端側から筒状部材基端側へ向かうに従って内径側への突出量が増加する対向傾斜部が設けられ、
プラグ軸方向で筒状部材先端側から筒状部材基端側への前記継手部材の挿入に伴って、前記対向傾斜部にて前記継手部材が前記係合解除部の側へ移動し、前記係合解除部に前記継手部材が当接して前記係合解除用弾性変形部が弾性変形し、前記係合部と前記被係合部との係合が解除される点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、筒状部材の内周面のうち、係合解除部に対向する部位に、筒状部材先端側から筒状部材基端側へ向かうに従って内径側への突出量が増加する対向傾斜部が設けられているから、プラグ軸方向で筒状部材先端側から筒状部材基端側へ継手部材が挿入されるに伴って、継手部材が対向傾斜部に沿って摺動移動することにより係合解除部へ当接し、係合解除用弾性変形部が弾性変形(揺動変形)し、係合部と被係合部との係合を解除できる。
即ち、当該対向傾斜部を備えることにより、異なる外径の継手部材が挿入される場合にも、当該継手部材の挿入に伴って、当該継手部材を係合解除部に当接させることができるから、様々な外径の継手部材に対応可能な誤接続防止装置を実現できる。
さらに、この構成では、後に、図7〜9、図10〜12を使用して説明するように、継手部材の挿入に従って、対向傾斜部が継手部材を係合解除部側へ押されるため、継手部材が比較的大径の部材である場合、比較的小径の部材である場合、ともに、係合解除部近傍において、継手部材に当接することなく近接を許容する形状(例えば、係合解除部以外の内周形状を、継手部材の外径より大きな径の円弧状に形成する)とすることにより、違和感なく挿入操作(係合解除操作)を行うことができる。
【0018】
本発明の誤接続防止装置の更なる特徴構成は、
前記係合解除部は、筒状部材先端側から筒状部材基端側に向かうに従って内径側突出量が増加する傾斜面を備える点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、係合解除部が、筒状部材先端側から筒状部材基端側に向かうに従って内径側突出量が増加する傾斜面を備えているから、継手部材の筒状部材への挿入に伴って、当該筒状部材が傾斜面に当接し易くなる。
【0020】
本発明の誤接続防止装置の更なる特徴構成は、
前記対向傾斜部は、当該対向傾斜部が設けられる前記連結部材の内周面全体に亘って設けられると共に、当該連結部材が、相手側の連結部材とともに前記筒状部材を形成している筒形成状態において、筒状部材先端側から筒状部材基端側へ向けて内径を減少させる点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、対向傾斜部は、係合解除部に対向する部位を含み、当該対向傾斜部が設けられる連結部材の内周面全体に渡って設けられ、筒状部材先端側から筒状部材基端側へ向けて筒状部材の内径を減少させるものであるから、継手部材の筒状部材への挿入に伴って、継手部材を適切に係合解除部の側へ導くことができる。
【0022】
本発明の誤接続防止装置の更なる特徴構成は、
前記プラグの基端側に径方向外側へ突出する突出部を備えたプラグを装着対象とし、
前記筒状部材は、前記装着状態において、筒状部材基端側に、前記プラグの前記突出部が嵌り込む切欠溝を備え、前記突出部の前記切欠溝への嵌り込みにより前記筒状部材が前記プラグの軸心周りで位置決めされる点にある。
【0023】
本願の誤接続防止装置の装着対象のプラグには、その接続部の基端側に径方向外側へ突出する突出部を有するものがある。
本発明にあっては、筒状部材のプラグの接続部への装着状態において、筒状部材が、筒状部材基端側に、プラグの突出部が嵌り込む切欠溝を備えているから、筒状部材のプラグ軸心周りでの回転を防止できる。これにより、筒状部材に設けられる係合部及び被係合部を、使用者が直接操作し難い方向、例えば、鉛直下方方向や、プラグが設けられるガス機器の裏面側へ向けて位置決めすることができ、係合部と被係合部との係合を、使用者の直接操作(例えば、係合部を指で直接変形操作する)により解除され難い装着状態を維持できる。
【0024】
本発明の誤接続防止装置の更なる特徴構成は、
ガスが供給されるガス機器の壁面に備えられるプラグを装着対象とし、
前記筒状部材は、前記係合部及び前記被係合部を前記ガス機器の壁面側に位置させた状態で、前記プラグの軸心周りに位置決めされる点にある。
【0025】
ガスが供給されるガス機器の壁面(例えば裏面)に備えられるプラグを装着対象とする場合、その係合部及び被係合部をガス機器の壁面側に位置させた状態で、筒状部材をプラグの軸心周りに位置決めすることで、係合部及び被係合部に対向する位置にガス機器の壁面が存在することになるから、例えば、使用者が係合部及び被係合部を外部から操作して、誤接続防止装置を、取り外してしまうことを防止できる。
ここで、係合部及び被係合部とガス機器の壁面との距離は、使用者の指が入らない程度とすることが好ましい。
【0026】
本発明の誤接続防止装置の更なる特徴構成は、
前記係合部が係合爪として、前記被係合部が係合孔として構成され、
前記係合解除用弾性変形部は、前記連結部材本体の前記一部側に、前記係合解除部を備えるとともに、前記他部側に、前記係合孔を備えている点にある。
【0027】
上記特徴構成によれば、係合解除用弾性変形部には、弾性変形の変形支点である一部側に係合解除部を備え、弾性変形の変形移動側である他部側に係合孔を備えているから、係合解除部が継手部材に押圧され、係合解除用弾性変形部が変形したときの、他部側の係合孔の移動量を大きくとることができ、当該係合孔への係合爪の係合を解除し易くできる。
つまり、これにより、継手部材が筒状部材に挿入された場合には、容易に脱離する誤接続防止装置を実現できる。
【0028】
本発明の誤接続防止装置の更なる特徴構成は、
前記一の連結部材に設けられる前記係合解除用弾性変形部の他部側端部は、前記一部側から前記他部側へ向けて膨出する膨出部を備え、
前記他の連結部材は、前記係合部と前記被係合部との係合状態において、前記膨出部を受け入れる受入部を備え、
前記受入部及び前記膨出部は、前記受入部が前記膨出部を受け入れる受け入れ状態において、前記係合解除用弾性変形部の弾性変形を抑制する弾性変形抑制機構として働く点にある。
【0029】
上記特徴構成によれば、係合解除用弾性変形部の他部側端部に設けられた膨出部は、係合部と被係合部との係合状態において、被係合部が備えられた他の連結部材に設けられる受入部に受け入れられ、係合解除用弾性変形部の弾性変形を抑制する弾性変形抑制機構として働くから、例えば、使用者が、筒状部材への継手部材の挿入を行わずに、プラグの接続部から筒状部材を取り外すことを、より適切に抑制できる。
【0030】
本発明の誤接続防止装置の更なる特徴構成は、
前記筒状部材の前記プラグの接続部への装着状態で、前記筒状部材の筒状部材先端側からの断面視において、
前記係合解除部の前記プラグの軸方向での筒状部材基端側部位と、それに対向する前記対向傾斜部の前記プラグの軸方向での筒状部材基端側部位との距離が、端部に継手部材を設けることなく使用されるホースの外径より大きく、前記継手部材の外径より小さく構成されている点にある。
【0031】
上記特徴構成によれば、筒状部材に継手部材が挿入された場合には、筒状部材をプラグの接続部から適切に脱離するとともに、筒状部材にプラグの接続部からのゴムホースが挿入された場合には、筒状部材の脱離を抑制することができる。
【0032】
本発明の誤接続防止装置の更なる特徴構成は、
前記筒状部材を構成する一対の連結部材は、一体成型されている点にある。
【0033】
上記特徴構成によれば、筒状部材を構成する一対の連結部材が一体成型されているから、容易に製造することができる。
また、一対の連結部材が、プラグの接続部から脱離した際に、一対の連結部材を一体として脱離させることができる。結果、脱離後に、使用者が、容易に一体の連結部材を回収できる。
【0034】
本発明の誤接続防止装置の使用方法の特徴は、
上述した誤接続防止装置が、前記プラグが設けられるガス機器の出荷時に前記プラグの接続部に取り付けられる点にある。
【0035】
上記特徴構成によれば、ガス機器の出荷時に誤接続防止装置が取り付けられるので、ガス機器を購入した使用者が、ガス機器の使用開始時において、ホースがプラグの接続部へ直接接続されることを防止できるとともに、継手部材をプラグの接続部へ良好に接続することができる。これにより、特に、誤接続状態が発生し易いガス機器の使用開始時において、誤接続の発生を良好に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】誤接続防止装置の係合部と被係合部とが係合状態にある場合の斜視図
図2】誤接続防止装置の係合部と被係合部とが非係合状態(係合解除状態)にある場合の斜視図
図3】誤接続防止装置を装着したプラグに継手部材を挿入する前の状態を示す斜視図
図4】誤接続防止装置を装着したプラグに継手部材を挿入したことにより非係合状態へ移行したときの状態を示す斜視図
図5】誤接続防止装置が非係合状態においてプラグに係止している状態を示す斜視図
図6】誤接続防止装置がプラグから脱離した状態を示す斜視図
図7】(a)誤接続防止装置を装着したプラグに大径の継手部材を接続する場合のプラグの軸心での一部断面図、(b)(a)のVIIb断面図
図8】(a)誤接続防止装置を装着したプラグに大径の継手部材を接続する場合のプラグの軸心での一部断面図、(b)(a)のVIIIb断面図
図9】(a)誤接続防止装置を装着したプラグに大径の継手部材を接続する場合のプラグの軸心での一部断面図、(b)(a)のIXb断面図
図10】(a)誤接続防止装置を装着したプラグに小径の継手部材を接続する場合のプラグの軸心での一部断面図、(b)(a)のXb断面図
図11】(a)誤接続防止装置を装着したプラグに小径の継手部材を接続する場合のプラグの軸心での一部断面図、(b)(a)のXIb断面図
図12】(a)誤接続防止装置を装着したプラグに小径の継手部材を接続する場合のプラグの軸心での一部断面図、(b)(a)のXIIb断面図
図13】誤接続防止装置を装着したプラグにゴムホースを挿入する場合の一部断面図
図14】プラグの接続部への継手部材の非接続状態と接続状態とを示す一部断面図
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、ガス機器に設けられるプラグ40の接続部48への継手部材20の接続構造に関し、プラグ40に本発明の誤接続防止装置100を備えた場合の実施形態を、図面に基づいて説明する。尚、プラグ40の構成、継手部材20の構成、プラグ40への継手部材20の接続動作、及びプラグ40からの継手部材20の分離動作のうち、背景技術において図7に基づいて説明したものと同様の構成、及び同様の動作については、同様の符号を付すこととし、その説明を割愛することがある。
【0038】
本発明の誤接続防止装置100は、特に、ゴムホース80が直接接続される誤接続状態を防止しながらも、プラグ40の接続部48へ継手部材20が正常に接続される正常接続状態を円滑に実行できるものである。
特に、プラグ40の接続部48へ当該誤接続防止装置100が装着されている装着状態において、プラグ40の接続部48へ継手部材20を接続させる場合に、継手部材20が様々な外径を有する場合にも、その接続を円滑に実行させるべく、誤接続防止装置100を、積極的にプラグ40から脱離するように構成している。
【0039】
誤接続防止装置100は、図1、2に示すように、一対の連結部材60が一体成型されて成り、プラグ40に装着された装着状態で筒状となる筒状部材50として構成されている。
筒状部材50は、図1、2に示すように、一の連結部材60bと他の連結部材60aとの間を、ヒンジ部60cにて連結する状態で一体成型されており、当該ヒンジ部60cを回転中心として、一の連結部材60bと他の連結部材60aとが互い対して回動自在、即ち、他端側が自由端となるように構成されている。
一方、当該他端側の自由端には、一の連結部材60bに係合部61が設けられるとともに、他の連結部材60aには係合部61が係合する被係合部62が設けられている。
一の連結部材60bと他の連結ぶ60bとは、図3に示すように、係合部61と被係合部62とが係合する係合状態において、プラグ40の接続部48の軸心周りを外囲する円筒形状を有する筒状部材50を構成する。
【0040】
筒状部材50は、プラグ40の接続部48に装着される装着状態を維持すべく、図5に示すように、プラグ基端側(図5で矢印Xの基端側)でプラグ40の大径部44の外径部位に嵌合すると共に、プラグ軸方向(図3、5で矢印Xに沿う方向)でプラグ40のプラグ基端側部位49aに当接する当接部位50aを有する。
【0041】
さらに、筒状部材50は、図4に示すように、当接部位50aの基端側に、プラグ40の大径部44のプラグ基端側部位49aの外径部位に沿う環状部位83が設けれ、当該環状部位83の一部に、筒状部材基端側(図4で矢印Xの基端側)から切り欠かれる切欠溝83aが設けられている(図1(a)参照)。
図4に示すように、本願の誤接続防止装置100が、プラグ40の基端側の環状部位83に、径方向外側へ突出する突出部49bを備えたものを装着対象とし、筒状部材50のプラグ40の接続部48への装着状態において、当該突出部49bに筒状部材50の切欠溝83aが嵌り込みにより、筒状部材50がプラグ40の軸心周りで位置決めされる。
これにより、図3に示すように、プラグ40がガス機器200の裏面200aに設けられるプラグに、筒状部材50の係合部61及び被係合部62を、当該ガス機器200の裏面200a側に向けた状態で位置決めし、使用者に係合部61及び被係合部62を外部から直接操作され難い装着状態を実現する。
ここで、係合部61及び被係合部62と、ガス機器200の裏面200aとの距離は、使用者の指が入らない適度の距離に設定される。
【0042】
筒状部材50は、装着状態をより安定にすべく、図5、6に示すように、一の連結部材60b及び他の連結部材60aの内周部位に、接続部48のロック溝部42にその周方向に沿って嵌り込む円弧状嵌合部71を備えている。 さらに、筒状部材50は、図2、5〜12に示すように、一の連結部材60b及び他の連結部材60aの内周部位で、上記円弧状嵌合部71より筒状部材先端側(図2、5〜12で、矢印Xの先端側)に、筒状部材先端側の外部から、プラグ40の接続部48を隔離する隔離壁85を備えている。これにより、筒状部材50のプラグ40の接続部48への装着状態において、筒状部材先端側の外部から、プラグ40の接続部48を隔離することができ、接続部48にゴムホース80が直接接続されることを防止できる。また、プラグ40の接続部48に塵埃が付着することを防止できる。
【0043】
〔筒状部材の脱離に係る構成〕
以上の構成により、筒状部材50は、プラグ40の接続部48に対しその接続状態を良好に維持可能に構成されているのであるが、本願の誤接続防止装置100では、以下に詳述するように、筒状部材50の内周部位に内径側への突出量が、筒状部材先端側から筒状部材基端側(図1、2で矢印Xの先端側から基端側)へ向けて増加する対向傾斜部81及び係合解除部86を備えることにより、異なる外径の継手部材20が使用される場合であっても、筒状部材50への継手部材20の挿入により、円滑にプラグ40の接続部48から脱離するように構成されている。
【0044】
図1図2に示すように、一の連結部材60bには係合部61として係合爪61aが設けられると共に、他の連結部材60aには係合部61に係合する被係合部62として係合孔62aが設けられている。当該被係合部62を備えた他の連結部材60aには、連結部材本体60eと一部で一体化され、他部が連結部材本体60eに対して揺動自在に構成されている係合解除用弾性変形部62bが設けられている。
当該係合解除用弾性変形部62bには、図2、3に示すように、筒状部材50のプラグ40の接続部48への装着状態において、筒状部材50の内径側へ突出するとともに、継手部材20の挿入に伴う継手部材20の当接により外径側へ揺動して、係合爪61aと係合孔62aとの係合を解除する係合解除部86が設けられている。
当該係合解除部86は、筒状部材先端側から筒状部材基端側(図2、3で矢印Xの矢示方向と逆側)へ向かうに従って、内径側への突出量が増加する傾斜面となっている。
一方、係合解除部86が設けられている連結部材の内周で、前記係合解除部86以外の内面は、継手部材20の係合解除部86側への移動において、現状で使用される継手部材の先端径が最大のもの(最大継手部材)でも、直接当接しない形状に保たれている。
【0045】
一方、図2、5、6に示すように、筒状部材50の内周面のうち、少なくとも、係合解除部86に対向する部位、好ましくは、係合解除部86が設けられる一の連結部材60bに対向する他の連結部材60aの内周面全体に亘る部位に、筒状部材先端側から筒状部材基端側(図2、5、6で矢印Xの矢示方向と逆側)へ向かうに伴って、内径側への突出量が増加する対向傾斜部81を備えている。
即ち、当該対向傾斜部81が設けられることにより、筒状部材50の筒状部材先端側からの断面視(図7(a)のVIIb断面視である図7(b))において、筒状部材50の内径は、係合解除部86と対向傾斜部81とを結ぶ軸を短軸とする略楕円形状を有することになる。
当該構成により、図7(a)、図8(a)、図9(a)に状態遷移を示すように、筒状部材50のプラグ40の接続部48への装着状態において、継手部材20が筒状部材50へ挿入される場合、継手部材20が、対向傾斜部81に沿って摺動することで、係合解除部86へ近づき当接し、係合爪61aと係合孔62aとの係合が解除される。
図7(a)、図8(a)、図9(a)は、先に説明した最大継手部材の例である。
【0046】
尚、係合解除用弾性変形部62bにおいては、その一部側(連結部材本体60eと一体化されている側)に、上述した係合解除部86が設けられ、その他部側に係合孔62aが設けられており、係合解除部86に継手部材20が当接したときに、係合孔62aと係合爪61aとの係合が解除され易い配置となっている。
【0047】
係合解除用弾性変形部62bの他部側端部には、図2に示すように、一部側(連結側)から他部側(図2で矢印Yの矢示側で、周方向で本体から離間する側の揺動端側)へ向けて膨出する膨出部82(当該実施形態では2つ)が設けられている。一方、係合孔62aが設けられた他の連結部材60aは、図5、6に示すように、係合爪61aと係合孔62aとの係合状態において、膨出部82を受け入れる受入部87(当該実施形態では2つ)が設けられている。
当該膨出部82及び受入部87は、受入部87が膨出部82を受け入れる受け入れ状態において、係合解除用弾性変形部62bの弾性変形(揺動変形)を抑制する弾性変形抑制機構として働く。
【0048】
<係合解除部と対向傾斜部の位置関係>
図7〜9に示すように、一の連結部材60bと他の連結部材60aとが筒状部材50を形成している状態、即ち、装着状態で、当該筒状部材50の軸方向(図7〜9で矢印Xに沿う方向)で、対向傾斜部81の筒状部材先端側の端部は、係合解除部86の筒状部材基端側の端部よりも、筒状部材先端側に位置している。これにより、継手部材20は、その筒状部材50への挿入により、係合解除部86の側へ導かれることとなる。
【0049】
<筒状部材の内径、継手部材の外径、ホースの外径の関係>
本発明にあっては、図7(a)(b)に示すように、筒状部材50のプラグ40の接続部48への装着状態で、筒状部材50の筒状部材先端側からの断面視(図7(a)のVIIb断面で、図7(b))において、係合解除部86のプラグ40の軸方向の筒状部材基端側部位と、それに対向する対向傾斜部81のプラグ40の軸方向での筒状部材基端側部位との距離L1が、継手部材20の外径L2aより小さく構成されている。
これにより、継手部材20のプラグ40の接続部48への接続動作において、以下に示すように、プラグ40の接続部48から誤接続防止装置100が適切に脱離し、接続動作が実行できるようになっている。
【0050】
<プラグへの継手部材の接続動作>
次に、本願の誤接続防止装置100をプラグ40の接続部48へ装着している場合に、プラグ40の接続部48への継手部材20の接続動作の各段階における、誤接続防止装置100の働きを、図面に基づいて説明する。
【0051】
図3図7(a)、図7(b)に示す継手部材20がプラグ40の接続部48へ接続される接続状態へ移行する前の状態において、筒状部材50は、プラグ40の接続部48の全周囲を外囲する状態で、プラグ40の接続部48に装着されている。このとき、プラグ40の接続部48には、ゴムホース80を接続する、所謂、誤接続状態となることはない。また、プラグ40の接続部48は、外部から完全に隔離される状態となるため、接続部48に塵埃が付着することを防止できる。
尚、このとき、図示は省略するが、一対の連結部材60a、60bのうち、一方の連結部材60bに設けられる切欠溝83aに、プラグ40の突出部49bが嵌り込んでおり、プラグ40の軸心周りでの筒状部材50の位置が固定されている。
【0052】
図4図8(a)、図8(b)に示す接続状態への移行過程において、継手部材20が筒状部材50に挿入されると、継手部材20が、筒状部材50の内周に形成される対向傾斜部81に沿って摺動することにより、当該対向傾斜部81に対向する位置に設けられる係合解除部86に近づいて当接し、係合解除用弾性変形部62bの弾性変形に伴って、係合爪61aの係合孔62aに対する係合が解除される。
【0053】
図4に示すように、一対の連結部材60a、60bのうち、一方の連結部材60bに設けられる切欠溝83aに、プラグ40の突出部49bが嵌り込んでいる。
このため、図5図9(a)、図9(b)に示す接続状態への移行過程において、一対の連結部材60a、60bのうち、他方の連結部材60bのみが、プラグ40の接続部48から脱離する。
【0054】
図6に示す継手部材20の接続状態への移行前において、使用者は、一方の連結部材60bの切欠溝83aへの突出部49bの嵌り込みを解除すべく、一方の連結部材60bを取り外した後、プラグ40の接続部48への継手部材20の接続を完了する。
【0055】
本願の誤接続防止装置100にあっては、筒状部材50の内周に対向傾斜部81を設けているから、図10〜12に示すように、その外径が小さい継手部材20(L2b<L2a)を用いる場合にも、当該誤接続防止装置100をプラグ40の接続部48から脱離させ、正常接続状態へ移行させることができる。継手部材20のプラグ40の接続部48への接続過程については、上述した外径が大きい継手部材20と同様であるため、ここではその詳細な説明を割愛する。このように比較的小径の継手部材20の場合は、係合解除部86側への移動量が大きくなるのみである。
【0056】
<プラグへのホースの誤った直接接続動作>
ゴムホース80は、継手部材20と一体に設けられているホース10とは、別のものを意味し、継手部材20を先端に備えることなく単体で使用されるホースであり、一般的にホース10の外径よりも大きい外径を有するものである(L3<L1)。本発明にあっては、当該ゴムホース80につき、以下の関係を満たすように構成されている。
ここで説明の都合上、図7(a)(b)を参酌し、筒状部材50のプラグ40の接続部48への装着状態で、筒状部材50の筒状部材先端側からの断面視(図7(a)のVIIb断面で、図7(b))において、係合解除部86のプラグ40の軸方向の筒状部材基端側部位と、それに対向する対向傾斜部81のプラグ40の軸方向での筒状部材基端側部位との距離L1が、ゴムホース80の外径L3よりも大きく構成されている。
【0057】
これにより、図13(a)から図13(b)へのゴムホース80の誤った直接接続動作において、ゴムホース80の外径が、係合解除部86に当接し難くなり、誤接続防止装置100のプラグ40の接続部48への装着状態が維持され、ゴムホース80の誤った直接接続動作が防止される。
【0058】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、一の連結部材60bと他の連結部材60aとが、ヒンジ部60cにて連結され、一体型に構成されている例を示した。
しかしながら、一の連結部材60bと他の連結部材60aとは、ヒンジ部60cにてr連結されていなくても良く、例えば、その部位が、上述した係合爪61aと係合孔62aとの係合状態により、連結されるような構成を採用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の誤接続防止装置及びその使用方法は、プラグに本願にいう誤接続防止装置を装着しておくことにより、誤接続状態の発生を防止しながらも、正常接続状態を円滑に実現できる誤接続防止装置及びその使用方法を提供する装置及び使用方法として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
20 :継手部材
48 :接続部
49a :プラグ基端側部位
49b :突出部
50 :筒状部材
60a :連結部材
60b :連結部材
60c :ヒンジ部
60e :連結部材本体
61 :係合部
61a :係合爪
62 :被係合部
62a :係合孔
62b :係合解除用弾性変形部
71 :円弧状嵌合部
80 :ホース
81 :対向傾斜部
82 :膨出部
83 :環状部位
83a :切欠溝
85 :隔離壁
86 :係合解除部
87 :受入部
100 :誤接続防止装置
200 :ガス機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図14