(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態を以下の順序で説明する。
A.実施形態:
A−1.装置構成:
A−2.入金処理:
A−3.出金処理:
A−4.ジャム発生時処理:
A−5.精査処理:
B.変形例:
【0011】
A.実施形態:
A−1.装置構成:
図1は、本発明の一実施形態としての紙幣取扱装置100の構成を示す概略図である。本実施形態において、紙幣取扱装置100は銀行の本店や支店に設置されている。紙幣取扱装置100は、利用者の操作に従い、例えば、金融機関の提供する現金出納のサービスを自動で提供する装置である。
【0012】
紙幣取扱装置100は、ホストコンピュータHCと、インターネットNWを介して接続されている。このため、紙幣取扱装置100とホストコンピュータHCとは、互いにデータの送受信が可能である。ホストコンピュータは、後述する紙幣取扱装置100に記録された取引情報を表示することができる。
【0013】
紙幣取扱装置100は、本体制御部200と、紙幣取扱部110と、通帳取扱装置130と、明細票発行装置140と、カード取扱装置150と、表示操作部160と、カメラ170と、を備える。
【0014】
本体制御部200は、紙幣取扱装置100全体を制御する。本体制御部200は、CPU212と記憶装置210とを有する。CPUが記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各種処理・取引を行う。記憶装置210は、プログラムやデータを記憶する。
【0015】
紙幣取扱部110は、紙幣の入出金の処理を行う。紙幣取扱部110については、後に詳述する。通帳取扱装置130は、利用者の通帳を受入れ、印字し、100外に放出する機能を有する。明細票発行装置140は、取引や係員処理などで使用する明細票を、印字や、放出や、回収を行う機能を有する。
【0016】
カード取扱装置150は、利用者のカードを処理する。カード取扱装置150は、自動取引に必要な利用者情報や係員のID情報が記録された磁気カードおよびICカードを受入れ、放出し、もしくは、回収する。また、カード取扱装置150は、カードからの情報の読みとりや、カードへの書きこみや、カード表面の画像取得を行う機能を有する。
【0017】
表示操作部160は、液晶ディスプレイに画像を表示する機能やタッチパネルにより入力する機能を有するユーザインターフェースである。表示操作部160は、利用者や係員による操作のために使用される。
【0018】
カメラ170は、取引する顧客の取引動作を示す画像を撮影する映像手段である。本実施形態では、カメラ170としては、CCDカメラが用いられる。
【0019】
図2は、紙幣取扱部110の構成を示す概略図である。紙幣取扱部110は、紙幣識別部120と、シャッタ311と、紙幣投入口312と、紙幣排出口314と、一時保管庫316と、紙幣搬送路350と、紙幣保管庫373と、回収庫376と、を備える。紙幣取扱部110の各部は本体制御部200と接続されており、本体制御部200の制御の基で各種の動作を行う。
【0020】
紙幣識別部120は、紙幣の金種を判別する判別機能と、紙幣固有の記番号を読み取る機能を有する。「金種」とは、額面に応じて定められる紙幣の種類をいう。紙幣の判別は、紙幣の幅や厚みや、紙幣をスキャンして得られる画像データや、紙幣表面の凹凸形状や、紙幣の磁気特性や、紫外線に対する光学特性などの情報を利用して行われる。
【0021】
紙幣投入口312は、入金時に利用者が紙幣を投入する部分である。紙幣排出口314は、利用者への返却紙幣が集積する部分である。防犯のため、入金時や出金時以外において、紙幣投入口312や紙幣排出口314はシャッタ311により閉じられている。
【0022】
紙幣保管庫373は、紙幣取扱部110が取り扱う紙幣を金種ごとに分けて収納している。紙幣保管庫373は、紙幣搬送路350への紙幣の送り出しと、紙幣搬送路350からの紙幣の受入れを実現可能なように、紙幣搬送路350と接続されている。
【0023】
回収庫376は、入金取引の返却紙幣や出金取引の出金紙幣を利用者が取り忘れた場合に、それらの紙幣を収納するために設けられている。一時保管庫316は、紙幣投入口312からの投入後、紙幣識別部120で識別された紙幣を一時的に保持するために設けられている。
【0024】
紙幣搬送路350は、紙幣を搬送するためのローラ、ベルトなどの搬送機構(図示せず)や、紙幣の搬送先を切り換えるための切換ゲート356や、紙幣の通過を検知する紙幣通過センサ355が設けられている。紙幣通過センサ355は、搬送される紙幣の有無、搬送路上の紙幣の位置、搬送される紙幣の数など、紙幣の搬送状態を検知する。本体制御部200は、紙幣通過センサ355からの検知信号を監視して、紙幣の通過や搬送異常を検知する。
【0025】
A−2.入金処理:
図3は、本実施形態における入金処理の流れを示すフローチャートである。入金処理は、本体制御部200(
図1)が、紙幣取扱部110の各部を制御することにより実行する。
【0026】
入金処理のステップS100では、利用者による取引があるまで本体制御部200は待機する(ステップS100:NO)。カード取扱装置150へのカードの挿入、通帳取扱装置130への通帳の挿入があった場合に、本体制御部200は取引開始と判断する。
【0027】
ステップS100において取引開始と判断された場合(ステップS100:YES)、本体制御部200は、利用者による操作を判読する(ステップS102)。操作とは、利用者が表示操作部160を介して入金取引や出金取引などのうちの入金取引を選択する操作をいう。
【0028】
次に、本体制御部200は、カード取扱装置150に挿入されたカード、もしくは通帳取扱装置130に挿入された通帳から、利用者の特定を行う(ステップS104)。
【0029】
利用者の特定の後(ステップS104)、本体制御部200は、利用者による入金を受けるためシャッタ311を開く(ステップS106)。
【0030】
紙幣投入口312に紙幣が入ったことを紙幣投入口312内のセンサ(図示せず)により確認した後、本体制御部200は、シャッタ311を閉鎖する。シャッタ311の閉鎖を確認後、本体制御部200は、紙幣搬送路350を通じて入金紙幣を1枚ずつ紙幣識別部120へ輸送する。紙幣識別部120へ輸送された紙幣は、紙幣識別部120により紙幣情報を読み取られる(ステップS108)。なお、紙幣情報は、例えば、紙幣の記番号や、金種などの情報をいう。
【0031】
本体制御部200は、紙幣識別部120により金種が確定し、真紙幣と判断された紙幣を、紙幣搬送路350を通じて一時保管庫316に搬送させる(ステップS110)。一方、紙幣識別部120により金種が判別できなかった紙幣や、真紙幣と識別できない紙幣や、汚れた紙幣や、複数枚重なった紙幣などは、本体制御部200により紙幣搬送路350を通じて紙幣排出口314に排出される(ステップS110)。
【0032】
ステップS108とステップS110は、紙幣投入口312内のセンサ(図示せず)により、紙幣投入口312内のすべての紙幣がなくなるまで行われる(ステップS112:NO)。
【0033】
紙幣投入口312内の紙幣が全て無くなったことが紙幣投入口312内のセンサ(図示せず)により検出されると(ステップS112:YES)、本体制御部200は、表示操作部160を介して、利用者に入金確定指示を要求する(ステップS114)。本実施形態において、本体制御部200は、以下の選択肢(1)および(2)を表示操作部160に表示し、いずれか一方の選択を求める。
(1)入金を確定する。
(2)入金をキャンセルする。
【0034】
利用者が表示操作部160を介して上記(1)の入金確定を選択した場合(S114:YES)、本体制御部200は、一時保管庫316に収納された紙幣を金種に応じて紙幣保管庫373に収納する(ステップS116)。これを、入金収納処理という。一方、利用者が表示操作部160を介して上記(2)の入金キャンセルを選択した場合(S114:NO)、本体制御部200は、一時保管庫316に収納された紙幣を紙幣排出口314に搬送し、利用者に返却する(ステップS118)。これを、入金返却処理という。
【0035】
入金収納処理(ステップS116)もしくは入金返却処理(ステップS118)が確定した後、本体制御部200は、取引情報を記憶装置210に記録し(ステップS120)、取引は終了する。
【0036】
A−3.出金処理:
図4は、本実施形態における出金処理の流れを示すフローチャートである。出金処理は、本体制御部200(
図1)が、紙幣取扱部110の各部を制御することにより実行する。
【0037】
出金処理のステップS150では、利用者による取引があるまで本体制御部200は待機する(ステップS150:NO)。カード取扱装置150へのカードの挿入、通帳取扱装置130への通帳の挿入があった場合に、本体制御部200は取引開始と判断する。
【0038】
ステップS150において取引開始と判断された場合(ステップS150:YES)、本体制御部200は、利用者による操作を判読する(ステップS152)。操作は、利用者が表示操作部160を介して入金取引や出金取引などのうちの出金取引を選択する操作をいう。
【0039】
次に、本体制御部200は、カード取扱装置150に挿入されたカード、もしくは通帳取扱装置130に挿入された通帳から、利用者の特定を行う(ステップS154)。
【0040】
利用者の特定の後(ステップS154)、本体制御部200は、表示操作部160を介して、利用者に出金指示を要求する(ステップS156)。本実施形態においては、本体制御部200は、以下の選択肢(1)および(2)を表示操作部160に表示し、いずれか一方の選択を求める。
(1)出金金額を入力し、出金金額を確定する。
(2)出金をキャンセルする。
【0041】
利用者が表示操作部160を介して上記(1)の出金金額確定を選択した場合(ステップS156:YES)、本体制御部200により、紙幣を紙幣保管庫373から繰り出し、紙幣識別部120で紙幣情報の読み取りを行い、紙幣排出口314に放出される(ステップS158)。
【0042】
出金金額に応じた紙幣の搬送処理が終了した場合(ステップS158)、もしくは利用者が表示操作部160を介して上記(2)の出金キャンセルをした場合(ステップS156:NO)、本体制御部200は、取引情報を記憶装置210に記録し(ステップS160)、取引は終了する。
【0043】
なお、紙幣取扱装置100の初期状態として、紙幣取扱装置100内の紙幣の記番号は、記憶装置210に記憶されている。
【0044】
A−4.ジャム発生時処理:
図5は、本実施形態におけるジャム発生時の処理を示すフローチャートである。ジャム発生時処理においても、本体制御部200(
図1)が、紙幣取扱部110の各部を制御することにより実行される。なお、「ジャム」とは、紙幣取扱装置100内の紙幣のつまりをいう。以下、「ジャム」は、「紙幣の搬送エラー」ともいう。
【0045】
入金時や出金時などの紙幣が搬送される際に、紙幣通過センサ355により紙幣の搬送エラーを検出した場合、本体制御部200により紙幣の搬送が停止される(ステップS200)。搬送停止の後、本体制御部200は、搬送エラーが生じた旨及び係員を呼んでくる旨を表示操作部160に表示する(ステップS202)。なお、係員を呼んでくる旨の表示に加えて、搬送エラーが生じた旨をインターネットNWを通じてホストコンピュータHCに送信するようにしてもよい。
【0046】
次に、カード取扱装置150に係員がIDカードを挿入することにより、本体制御部200は、動作モードを係員対応モードに切り換える(ステップS204)。このとき、カード取扱装置150で読み取られた係員IDは、本体制御部200により記憶装置210に記録される。係員IDを記録することで、ジャム処理を行った係員を後に特定することができる。
【0047】
その後、本体制御部200により、表示操作部160にジャム紙幣を除去すべき旨が表示される。係員が指示に従い紙幣搬送路350からジャム紙幣を取り除き、本体制御部200により紙幣通過センサ355を介してジャム紙幣が取り除かれたと判断すると、本体制御部200は、表示操作部160に紙幣搬送エラー処理画面を表示する(ステップS207、S208)。
【0048】
紙幣搬送エラー処理画面は、ジャムの起きた時により異なる。
図6は、入金処理時において入金確定(
図3のステップS114)前に表示される紙幣搬送エラー処理画面である。この紙幣搬送エラー処理画面を、第1の紙幣搬送エラー処理画面という。
図7は、
図6の場合以外の場合に表示される紙幣搬送エラー処理画面である。この紙幣搬送エラー処理画面を、第2の紙幣搬送エラー処理画面という。
【0049】
入金処理時において入金確定前の紙幣は利用者の紙幣である。一方、それ以外の紙幣は紙幣取扱装置100に帰属する紙幣である。このため場面により画面が異なる。入金処理時かつ入金確定時前にジャムが発生した場合(ステップS206:YES)、
図6の紙幣搬送エラー処理画面が表示される(ステップS207)。一方、上記以外の場合(ステップS206:NO)、
図7の紙幣搬送エラー処理画面が表示される(ステップS208)。
【0050】
ジャム紙幣のうち、ジャム発生以前に紙幣識別部120を通過し、紙幣の識別が行われた紙幣については、本体制御部200により紙幣搬送エラー処理画面(
図6、7)に、紙幣記番号と枚数が表示される。
【0051】
一方、ジャム発生以前に紙幣の識別が行われていない紙幣は、紙幣記番号欄に「―――」と、枚数欄に「未確定」と表示される。未確定紙幣がある場合、本体制御部200は、未確定紙幣の記番号が印字されている側をカメラ170で撮影する旨を、表示操作部160に表示する。この表示が、紙幣取扱装置100に投入されたが紙幣保管庫373に収納されない非収納紙幣について記録をすべき旨の出力として機能する。また、本体制御部200は、表示操作部160にシャッターボタンを表示する。係員は、指示に従い紙幣の撮影を行う。撮影は、カメラ170に未確定紙幣をかざして、表示操作部160に表示されたシャッターボタンをタッチして行われる。この画像は、本体制御部200により記憶装置210に記憶される。なお、未確定紙幣か否かの判断は、係員により表示操作部160に表示された記番号を参照して行われる。
【0052】
入金確定前の紙幣は、原則として利用者に返却される。利用者に返却された紙幣の情報は、係員により表示操作部160に入力される。入力法は、表示されている記番号のうち、返却した記番号が記載される部分をタッチし、その後、返却実施ボタンをタッチする方法である。
【0053】
一方、折れ曲がりや破れがある紙幣は、顧客に返却されず、特別管理がされる。特別管理をするか否かの判断は、係員が行う。特別管理を行う紙幣の情報は、係員により表示操作部160に入力される。入力は、利用者への紙幣返却後に、特別管理ボタンをタッチすることで行われる。入力の結果、利用者へ返却した紙幣以外は特別管理紙幣となる。「特別管理」とは、紙幣取扱装置100に収納されている紙幣とは別に管理することをいう。本実施形態においては、紙幣取扱装置100の外に設けられた特別管理庫に紙幣を収納する。
【0054】
紙幣搬送エラー処理画面として、
図7が表示された場合、ジャム紙幣は、原則として紙幣取扱装置100に入金される。入金は係員により行われ、紙幣投入口312に紙幣を入れ、係員入金ボタンをタッチすることで完了する。係員入金された紙幣が紙幣識別部120を通過し、金種に応じた紙幣保管庫373に収納されることで、係員入金欄に「済み」と表示される。一方、折れ曲がりや破れがある紙幣は、特別管理がされる。
【0055】
すべてのジャム紙幣について、「返却実施」もしくは、「特別管理」もしくは、「係員入金」が完了した場合、各紙幣の情報は、本体制御部200により記憶装置210に記録される(ステップS220)。これを、終了処理という。
【0056】
図8は、記憶装置210に記録された情報を示す図である。取引記録ごとに取引NO(ナンバー)が設けられる。取引NOごとに、取引記録の名称が付される。「取引記録の名称」とは、取引の種類を表す名称である。取引記録の名称としては、例えば、係員入金や、特別管理がある。各取引記録は、取引記録に関係する紙幣の金種、紙幣情報、枚数、およびその取引を行った係員IDと関連付けられている。紙幣情報については、記番号が紙幣識別部120により読み取られた紙幣については記番号が記録され、記番号が不明な紙幣に関しては、その紙幣の画像が記録される。記憶装置210への記録が終了することで、ジャム処理は終了する。
【0057】
A−5.精査処理:
図9は、本実施形態における精査処理を示すフローチャートである。精査処理においても、本体制御部200(
図1)が、紙幣取扱装置100の各部を制御することにより実行される。「精査処理」とは、紙幣取扱装置100内の紙幣の保有量を把握するために、装置内の紙幣枚数を金種ごとに特定する処理である。
【0058】
カード取扱装置150に係員がIDカードを挿入することで(ステップS400)、本体制御部200は、動作モードを係員対応モードに切り換える(ステップS402)。このとき、カード取扱装置150から読み取られた係員IDは、本体制御部200により記憶装置210に記憶される。係員IDを記録することで、精査処理を行った係員を特定することができる。
【0059】
その後、表示操作部160を介して精査処理を行う旨を紙幣取扱装置100に係員が指示することで、本体制御部200は精査処理を行う(ステップS404)。本実施形態において、精査処理は、紙幣を収納するすべての紙幣保管庫373について、紙幣保管庫373内に収納された紙幣を計数しつつ空いている紙幣保管庫373に移動した後に、再びもとの紙幣保管庫373に紙幣を戻すことにより実行する。この方法としては、例えば、特開2001−101483にも示されている。
【0060】
紙幣保管庫373に再び紙幣が戻された後、特別管理紙幣が特別管理庫にある場合(ステップS405:YES)、本体制御部200は、表示操作部160に特別管理紙幣を精査において処理すべき旨を表示する(ステップS406)。なお、特別管理庫に収納された紙幣がない場合(ステップS405:NO)、精査処理は終了する。
【0061】
図10は、特別管理紙幣の情報を表示した画面である。この画面には、(i)取引NOと、その取引により発生した特別管理紙幣の(ii)紙幣情報と(iii)枚数と、(iv)その取引NOの取引を処理した係員IDが表示される。この表示がされることにより、精査処理を行う係員が、紙幣取扱装置100外の紙幣を管理することができる。また、この表示がされることにより、紙幣取扱装置100内に入っていない紙幣の記番号などの紙幣情報が把握できる。
【0062】
係員は、紙幣取扱装置100の外に設けられた特別管理庫から紙幣を回収する。係員は、回収した紙幣と表示操作部160に表示された紙幣情報とが同じ紙幣情報が記載される部分をすべてタッチし、その後、確定ボタンをタッチする(ステップS408)。画面に表示される紙幣情報の部分がすべてタッチされた場合は、すべての特別管理紙幣が回収された旨を、本体制御部200は記憶装置210に記憶する。一方、確定ボタンが押された時点でタッチされない紙幣情報の部分が存在する場合は、その紙幣情報に関する紙幣は、精査処理時に回収されなかった旨を、本体制御部200は記憶装置210に記憶する。記憶の終了により、精査処理は終了する。特別管理紙幣を明確に管理しておかないと、紙幣取扱装置の現金精査時に、紙幣取扱装置によって記録された管理情報に基づいて計算された金額と、紙幣取扱装置に実際に収納されている金額とが不一致となる。しかし、精査処理時に特別管理紙幣を係員に通知することで、特別管理紙幣と紙幣取扱装置100内の紙幣とを管理することが可能となる。
【0063】
なお、課題を解決するための手段における「詰まり検出部」は、本実施形態における「紙幣通過センサ355」に相当する。「出力部」は、「表示操作部160」に相当する。
【0064】
精査処理の後、係員は、紙幣保管庫373、回収庫376に保管された紙幣と特別管理紙幣とを銀行本店へ搬送する。銀行本店では紙幣枚数確認者が、再び紙幣枚数の確認作業を行う。確認作業としては、インターネットNWを通じて紙幣取引装置100から入手した
図8の情報をホストコンピュータ画面に表示させることにより、特別管理された紙幣が銀行本店に確かに持ち込まれたかについて確認を行う。
【0065】
B.変形例:
変形例1:
本実施形態において、IDカードを使用しているが、本発明はこれに限られない。係員の認証は、指静脈認証装置や、指紋認証装置を用いてもよく、表示操作部160による入力でもよく、カメラ170により顔の情報を認識してもよい。
【0066】
変形例2:
本実施形態においては、紙幣を特定することができる特定画像情報として、紙幣に印刷されている記番号を採用したが、それに限らず、各紙幣を判別可能な情報であれば、種々の情報を採用することができる。例えば、各紙幣に固有の記号や、コード(バーコード)が印刷されている場合や、ICチップが埋め込まれている場合には、紙幣識別部120でこれらの情報を読み取って比較・照合を行うことによって、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
変形例3:
本実施形態において、出力部として表示操作部160を用いたが、本発明はこれに限られない。出力部は、特別管理庫内の紙幣を音声や光などで係員に認識させる態様であってもよいし、明細票発行装置160で印刷してもよい。
【0068】
変形例4:
紙幣通過センサ355により紙幣の搬送エラーを検出した場合(ステップS200)、ステップS207やステップS208を含むステップS202以下の処理が行われる。しかし、ステップS202以下の処理が行われる条件は、搬送エラーを検出したこと以外の他の条件を含んでもよい。他の条件としては、例えば、外部にエラー信号を送り、返信があったことを含んでもよく、ジャム後に自動的にジャム解消を行ったが不成功だったことを含んでもよい。
【0069】
変形例5:
本実施形態において、入金確定前の紙幣について利用者に返却するとしたが、本発明はこれに限られない。出金処理において取り忘れ回収された紙幣についても、利用者に返却することとしてもよい。
【0070】
変形例6:
本実施形態において、入金確定前の紙幣については利用者に返却することとしたが、本発明はこれに限られない。入金確定前の紙幣についても入金確定後の紙幣と同様の取扱とし、後日、利用者へ返却するとしてもよい。
【0071】
本発明は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。