特許第5980135号(P5980135)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980135
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】道路標識目隠し具
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/00 20160101AFI20160818BHJP
【FI】
   E01F9/00
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-15145(P2013-15145)
(22)【出願日】2013年1月30日
(65)【公開番号】特開2014-145220(P2014-145220A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】509077200
【氏名又は名称】株式会社ネクスコ・メンテナンス東北
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(74)【代理人】
【識別番号】100083437
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 實
(72)【発明者】
【氏名】千葉 政志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘毅
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3042731(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3078361(JP,U)
【文献】 特開2006−219816(JP,A)
【文献】 特開平09−107816(JP,A)
【文献】 特開平09−298958(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3086301(JP,U)
【文献】 特開2003−096722(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3107148(JP,U)
【文献】 特開2002−229463(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0145145(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00−11/00
A01G 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路標識の標識部分を目隠しする目隠しカバーと、この目隠しカバーを道路標識にかける取付具とを備え、
前記目隠しカバーは、道路標識の標識部分を覆うカバー本体と、カバー本体の一面側上方に設けられ、道路標識にかけるための第1の袋状部と、カバー本体の他面側上方に設けられ、前記取付具を挿入するための第2の袋状部とを有し、
前記取付具は、棒状の把持部材と、この把持部材の一方の端部側に配設された棒状の複数の支持部材とを有し、
前記複数の支持部材は、それぞれ、基端側を前記把持部材の側とし、基端側よりも先端側の方が互いの間隔が広くなるように配設されており、
前記複数の支持部材の先端側を前記第2の袋状部に挿入し、前記取付具を持ち上げて、前記第1の袋状部を道路標識にかぶせることにより、道路標識に目隠しをすることが可能である
ことを特徴とする道路標識目隠し具。
【請求項2】
前記支持部材は、先端側における互いの間隔を接近又は離間させるように変位可能とされていることを特徴とする請求項1記載の道路標識目隠し具。
【請求項3】
前記把持部材は、伸縮可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の道路標識目隠し具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路標識を目隠しするための道路標識目隠し具に関する。
【背景技術】
【0002】
道路工事等により車両の交通規制を行う場合には、通常、速度制限を行う。例えば、高速道路であれば、最高速度を80km/hから50km/hに制限する。しかし、道路に設置されている速度規制標識には、法定速度が表示されているので、交通規制中は、道路標識の標識部分をカバーで覆い、表示内容が見えないように目隠しをすることが行われている。従来は、例えば、作業員が標識支柱に登って標識部分にカバーをかけることにより目隠し作業が行われていた。しかしながら、道路標識の標識部分は高い位置に設置されており、標識支柱の高さは3mから5m程度であるので、作業には非常に手間がかかり、また、作業員が滑落又は転落する危険性もあるという問題があった。
【0003】
なお、特許文献1には、ポリプロピレン製の板状体の周縁部の複数箇所にスリットを形成し、既設標識の表示板の周縁部の一部をスリットに嵌め込むことによって板状体を既設標識の表示板に取り付けるように構成した道路標識用カバーが記載されている。しかし、特許文献1に記載の道路標識用カバーにおいても、作業員が標識支柱に登って作業しなければならならず、危険であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−96722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、簡単かつ安全に道路標識に目隠しをすることができる道路標識目隠し具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の道路標識目隠し具は、道路標識の標識部分を目隠しする目隠しカバーと、この目隠しカバーを道路標識にかける取付具とを備え、目隠しカバーは、道路標識の標識部分を覆うカバー本体と、カバー本体の一面側上方に設けられ、道路標識にかけるための第1の袋状部と、カバー本体の他面側上方に設けられ、取付具を挿入するための第2の袋状部とを有し、取付具は、棒状の把持部材と、この把持部材の一方の端部側に配設された棒状の複数の支持部材とを有し、複数の支持部材は、それぞれ、基端側を把持部材の側とし、基端側よりも先端側の方が互いの間隔が広くなるように配設されており、複数の支持部材の先端側を第2の袋状部に挿入し、取付具を持ち上げて、第1の袋状部を道路標識にかぶせることにより、道路標識に目隠しをすることが可能なものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の道路標識目隠し具によれば、カバー本体の一面側上方に道路標識にかけるための第1の袋状部が設けられ、カバー本体の他面側上方に取付具を挿入するための第2の袋状部が設けられた目隠しカバーと、棒状の把持部材の一方の端部側に棒状の複数の支持部材が設けられ、複数の支持部材は基端側よりも先端側の方が互いの間隔が広くなるように配設された取付具とを備えるようにしたので、複数の支持部材の先端側を第2の袋状部に挿入し、取付具を持ち上げて、第1の袋状部を道路標識にかぶせることにより、標識支柱に登ることなく、簡単かつ安全に道路標識に目隠しをすることができる。
【0008】
また、支持部材の先端側における互いの間隔を接近又は離間させるように変位可能とするようにすれば、持ち運ぶときには支持部材の先端側を閉じ、目隠しカバーを道路標識にかける際には支持部材の先端側を広げることができる。よって、容易に持ち運びすることができると共に、容易に道路標識を目隠しすることができる。
【0009】
更に、把持部材を伸縮可能とするようにすれば、持ち運ぶときには把持部材を縮め、目隠しカバーを道路標識にかける際には伸ばすことができる。よって、容易に持ち運びすることができると共に、容易に道路標識を目隠しすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る道路標識目隠し具の構成を表す図である。
図2図1に示した道路標識目隠し具を用いる道路標識の構成例を表す図である。
図3図1に示した道路標識目隠し具の一部を拡大して表す図である。
図4図1に示した道路標識目隠し具を用いて道路標識に目隠しをする手順を表す図である。
図5図4に続く手順を表すものである。
図6図5に続く手順を表すものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る道路標識目隠し具1の全体構成を表すものであり、(A)は一面側からみた構成を表し、(B)は他面側から見た構成を表している。図2は、図1に示した道路標識目隠し具1により目隠しをする道路標識の一構成例を表すものである。図3は、図1に示した道路標識目隠し具1の一部を拡大して表すものである。この道路標識目隠し具1は、道路標識Mの標識部分M1を目隠しする目隠しカバー10と、この目隠しカバー10を道路標識Mにかける取付具20とを備えている。なお、道路標識Mは、例えば、図2に示したように、標識部分M1を有する円板状の標識板M2が標識支柱M3の上方に配設され、標識板M2の上方に庇M4が設けられた構造を有している。
【0013】
目隠しカバー10は、道路標識Mの標識部分M1を覆うカバー本体11を有している。カバー本体11の上方の形状は、例えば、道路標識Mの庇M4の形状に合わせた円弧状とされている。カバー本体11の下方は、道路標識Mの標識部分M1を十分に覆うことができる長さに形成されている。カバー本体11の一面側上方には、道路標識M(例えば、庇M4)にかけるための第1の袋状部12が設けられている。カバー本体11の他面側上方には、取付具20を挿入するための第2の袋状部13が設けられている。
【0014】
第1の袋状部12及び第2の袋状部13は、例えば、カバー本体11の上方に沿って三日月状に形成されている。また、第1の袋状部12及び第2の袋状部13の下側、すなわち、道路標識M又は取付具20を挿入する側は、カバー本体11の対応する位置の長さよりも長く構成され、カバー本体11との間に緩みが形成されていることが好ましい。道路標識M又は取付具20を挿入しやすくするためである。カバー本体11、第1の袋状部12、及び、第2の袋状部13を構成する材料としては、例えば、ビニールシートなどのプラスチックシート、布、又は、布の表面をビニールでコーティングした複合シートが挙げられる。
【0015】
カバー本体11の下側には、例えば、カバー本体11を標識支柱M3に対して固定する紐状の固定部材14が取り付けられている。固定部材14を構成する材料としては、例えば、ゴム紐、布紐、又は、ビニール紐が挙げられる。
【0016】
取付具20は、棒状の把持部材21と、この把持部材21の一方の端部側に配設された棒状の複数の支持部材22とを有している。把持部材21は、例えば、アルミニウムにより構成されており、長さ方向に伸縮可能とされていることが好ましい。高い位置まで取付具20を伸ばすことができ、かつ、持ち運びを容易とすることができるからである。把持部材21の長さは、例えば、伸ばした状態で4mから5m程度が好ましく、縮めた状態で2mから3m程度が好ましい。
【0017】
各支持部材22は、それぞれ、基端側を把持部材21の側とし、基端側よりも先端側の方が互いの間隔が広くなるように配設されている。なお、図面では支持部材22が4本の場合を示している。各支持部材22は、例えば、基端側がアルミニウム又はステンレスなどの金属により構成され、先端側が繊維強化プラスチックにより構成されることが好ましい。目隠しカバー10を傷つけないようにするためである。
【0018】
また、各支持部材22は、例えば、先端側における互いの間隔が接近又は離間するように変位可能とされていることが好ましい。各支持部材22の基端側は、例えば、把持部材21の一方の端部側に設けられた一対の配設板23の間に挿入され、その対向面に沿って回動可能に、一対の配設板23に対して取り付けられている。
【0019】
配設板23の上方には、例えば、各支持部材22の接近又は離間を制御するための棒状の中心部材24が、把持部材21を延長するように設けられている。中心部材24には、例えば、中心部材24に沿って移動可能な移動部材25が設けられており、移動部材25と各支持部材22とは、それぞれ各接続部材26により個別に接続されている。各接続部材26は、例えば、移動部材25及び各支持部材22に対してそれぞれ回動可能に接続されており、移動部材25が中心部材24に沿って移動することにより、各接続部材26の傾きが変化し、各支持部材22の先端側が接近又は離間するようになっている。
【0020】
移動部材25と配設板23との間には、例えば、移動部材25を配設板23から離間させる方向に付勢するばねなどの付勢部材27が配設されている。これにより、平常時は、例えば、図3(A)に示したように、移動部材25が配設板23から離間され、各接続部材26と中心部材24との間の角度が小さくなり、各支持部材22が中心部材24に向かって互いに接近して閉じた状態となっている。
【0021】
また、移動部材25には、例えば、紐状部材28が取り付けられている。紐状部材28を引くことにより、例えば、図3(B)に示したように、移動部材25を配設板23の側に移動させ、各接続部材26と中心部材24との間の角度が大きくなり、各支持部材22が中心部材24から離れる方向に互いに離間して広がった状態とすることができるようになっている。なお、移動部材25を配設板23の側に移動させた状態に保持する保持機構、及び、この保持機構を解除する解除機構を備えるようにしてもよい。
【0022】
図4から図6は、道路標識目隠し具1を用いて道路標識Mを目隠しする手順を表すものである。この道路標識目隠し具1は、例えば、次のようにして用いられる。まず、道路標識Mに目隠しカバー10を取り付けるときには、例えば、図4に示したように、取付具20の把持部材21を伸ばし、紐状部材28を引いて、各支持部材22の先端側が互いに離間するように広げ、各支持部材22の先端側を目隠しカバー10のカバー本体11と第2の袋状部13との間に挿入する。次いで、例えば、図5に示したように、取付具20を持ち上げて、目隠しカバー10のカバー本体11と第1の袋状部12との間に道路標識Mの庇M4を挿入し、第1の袋状部12を道路標識Mにかぶせる。続いて、例えば、図6に示したように、各支持部材22の先端側を第2の袋状部13から抜き、目隠しカバー10の固定部材14を標識支柱M3に固定する。取付具20は、各支持部材22を第2の袋状部13から抜く際に、紐状部材28を戻し、各支持部材を閉じるようにしてもよく、各支持部材22を第2の袋状部13から抜いたのちに、閉じるようにしてもよい。そののち、把持部材21を縮める。
【0023】
また、目隠しカバー10を道路標識Mから取り外すときには、まず、例えば、目隠しカバー10の固定部材14を標識支柱M3から取外し、取付具20の把持部材21を伸ばし、紐状部材28を引いて、各支持部材22の先端側を広げ、各支持部材22の先端側を目隠しカバー10のカバー本体11と第2の袋状部13との間に挿入する。次いで、例えば、取付具20を持ち上げることにより目隠しカバー10を持ち上げ、道路標識Mから目隠しカバー10を取り外す。そののち、各支持部材22を第2の袋状部13から抜いて閉じ、又は、各支持部材22を閉じて第2の袋状部13から抜き、把持部材21を縮める。
【0024】
このように本実施の形態によれば、カバー本体11の一面側上方に道路標識Mにかけるための第1の袋状部12が設けられ、カバー本体11の他面側上方に取付具20を挿入するための第2の袋状部13が設けられた目隠しカバー10と、棒状の把持部材21の一方の端部側に棒状の複数の支持部材22が設けられ、複数の支持部材22は基端側よりも先端側の方が互いの間隔が広くなるように配設された取付具20とを備えるようにしたので、複数の支持部材22の先端側を第2の袋状部13に挿入し、取付具20を持ち上げて、第1の袋状部12を道路標識Mにかぶせることにより、標識支柱M3に登ることなく、簡単かつ安全に道路標識Mに目隠しをすることができる。
【0025】
また、支持部材22の先端側における互いの間隔を接近又は離間させるように変位可能とするようにすれば、持ち運ぶときには支持部材22の先端側を閉じ、目隠しカバー10を道路標識Mにかける際には支持部材22の先端側を広げることができる。よって、容易に持ち運びすることができると共に、容易に道路標識Mを目隠しすることができる。
【0026】
更に、把持部材21を伸縮可能とするようにすれば、持ち運ぶときには把持部材21を縮め、目隠しカバー10を道路標識Mにかける際には伸ばすことができる。よって、容易に持ち運びすることができると共に、容易に道路標識Mを目隠しすることができる。
【0027】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、各構成要素について具体的に説明したが、全ての構成要素を備えていなくてもよく、また、他の構成要素を備えていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
道路標識の目隠しに用いることができる。
【符号の説明】
【0029】
1…道路標識目隠し具、10…目隠しカバー、11…カバー本体、12…第1の袋状部、13…第2の袋状部、14…固定部材、20…取付具、21…把持部材、22…支持部材、23…配設板、24…中心部材、25…移動部材、26…接続部材、27…付勢部材、28…紐状部材、M…道路標識、M1…標識部分、M2…標識板、M3…標識支柱、M4…庇
図1
図2
図3
図4
図5
図6