(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記隔壁の、前記直線部よりも下流側に位置する冷却通路を形成する表面と、前記直線部の表面との成す角度が10度に設定され、前記半円部の半径を前記隔壁の前記膨出部を含まない部分の板厚で除した値が1に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のタービン用翼。
前記隔壁の、前記直線部よりも下流側に位置する冷却通路を形成する表面と、前記直線部の表面との成す角度が5度に設定され、前記半円部の半径を前記隔壁の前記膨出部を含まない部分の板厚で除した値が2から3までの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のタービン用翼。
前記隔壁を貫通して前記上流側に位置する冷却通路と前記下流側に位置する冷却通路とを連通し、前記隔壁の前記上流側に位置する冷却通路を形成する表面に第1の開口を有し、前記直線部の表面に第2の開口を有する第1の連通路を少なくとも一つ以上備え、前記第1の開口が前記第2の開口よりも翼先端の近くに位置することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のタービン用翼。
前記サーペンタイン流路を2系統以上備え、互いに隣接した一方のサーペンタイン流路と他方のサーペンタイン流路とを仕切るリブの先端部に、一方のサーペンタイン流路と他方のサーペンタイン流路とを連通する第2の連通路が少なくとも一つ以上設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のタービン用翼。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたタービン用翼の冷却通路には、冷却性能を向上させるという観点から、サーペンタイン流路が採用されている。
しかしながら、サーペンタイン流路のUターン部(反転部)では、上流側の冷却通路と下流側の冷却通路とを仕切る隔壁の先端部における下流側の冷却通路を形成する面の近傍、および、Uターン部の隅部(角部)に流体(冷却媒体)の剥離が生じ、圧力損失が増大するとともに、冷却性能が低下してしまうといった問題点があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、サーペンタイン流路のUターン部における剥離および圧力損失を低減させることができ、冷却性能を向上させることができるタービン用翼を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係るタービン用翼は、翼根部から供給された冷却媒体を翼の内部に導くサーペンタイン流路を備えたタービン用翼であって、前記サーペンタイン流路のUターン部よりも上流側に位置する冷却通路と、下流側に位置する冷却通路とを仕切る隔壁の先端部に、前記Uターン部に向かって突出する半円部と、下流側に位置する冷却通路内に向かって突出するとともに、下流側に位置する冷却通路の流路断面積および流路幅を徐々に増加させる直線部とを有してなる膨出部を備え、前記半円部の上流端は、前記上流側に位置する冷却通路に面する前記隔壁の一面の下流端と接続されており、前記半円部の下流端は、前記直線部の上流端と接続されており、前記膨出部は、前記半円部の上流端における流路断面積に対する前記半円部の下流端における流路断面積の比率が
0.7以上かつ1.0よりも小さくなるように形成されている。
【0007】
本発明に係るタービン用翼によれば、Uターン部の上流側に位置する冷却通路を隔壁に沿って流れてきた冷却媒体は、膨出部を備えていない従来のタービン用翼の隔壁のように急激に転回されることなく、半円部および直線部の表面にガイドされて(半円部および直線部の表面に沿って)Uターン部の下流側に位置する冷却通路に滑らかに流入していくことになるので、Uターン部における剥離および圧力損失を低減させることができ、冷却性能を向上させることができる。
【0008】
上記タービン用翼において、前記隔壁の、前記直線部よりも下流側に位置する冷却通路を形成する表面と、前記直線部の表面との成す角度が5度から10度までの範囲内に設定され、前記半円部の半径を前記隔壁の前記膨出部を含まない部分の板厚で除した値が1から3までの範囲内に設定されてい
る。
また、上記タービン用翼において、前記隔壁の、前記直線部よりも下流側に位置する冷却通路を形成する表面と、前記直線部の表面との成す角度が10度に設定され、前記半円部の半径を前記隔壁の前記膨出部を含まない部分の板厚で除した値が1に設定されているとさらに好適である。
さらに、上記タービン用翼において、前記隔壁の、前記直線部よりも下流側に位置する冷却通路を形成する表面と、前記直線部の表面との成す角度が5度に設定され、前記半円部の半径を前記隔壁の前記膨出部を含まない部分の板厚で除した値が2から3までの範囲内に設定されているとさらに好適である。
【0009】
このようなタービン用翼によれば、Uターン部における剥離および圧力損失をさらに低減させることができ、冷却性能をさらに向上させることができる。
【0010】
上記タービン用翼において、前記直線部の背側に位置して、前記隔壁の、前記上流側に位置する冷却通路を形成する表面に、断面視円弧状の凹みが設けられているとさらに好適である。
【0011】
このようなタービン用翼によれば、膨出部を設けたことによる隔壁の肉厚の増加を最小限にすることができるので、膨出部の熱容量を小さくでき、膨出部を設けたことによるホットスポットの発生を低減させることができる。また、ホットスポットを冷却するために冷却媒体量を増やす必要性が軽減され、冷却性能をさらに向上させることができる。
【0012】
上記タービン用翼において、前記隔壁を貫通して前記上流側に位置する冷却通路と前記下流側に位置する冷却通路とを連通し、前記隔壁の前記上流側に位置する冷却通路を形成する表面に第1の開口を有し、前記直線部の表面に第2の開口を有する第1の連通路を少なくとも一つ以上備え、前記第1の開口が前記第2の開口よりも翼先端の近くに位置しているとさらに好適である。
【0013】
このようなタービン用翼によれば、第1の連通路の一端に位置する第1の開口が、第1の連通路の他端に位置する第2の開口よりも翼先端に近いので、動翼が回転することによってはたらく翼根部から翼先端方向への遠心力により生じるポンピング効果によって、下流側に位置する冷却通路を形成し第2の開口を有する直線部の表面に沿って流れる冷却媒体の一部が第1の連通路を介して、すなわち、第2の開口から第1の連通路に流入して第1の連通路を通った後、第1の開口から流出して、上流側に位置する冷却通路内に導かれ(吸い出され)ることになるので、Uターン部における剥離および圧力損失をさらに低減させることができ、冷却性能をさらに向上させることができる。
【0014】
上記タービン用翼において、前記半円部および前記直線部の表面に、ディンプルが少なくとも一つ以上設けられているとさらに好適である。
【0015】
このようなタービン用翼によれば、Uターン部における剥離および圧力損失をさらに低減させることができ、冷却性能をさらに向上させることができる。
【0016】
上記タービン用翼において、前記サーペンタイン流路を2系統以上備え、互いに隣接した一方のサーペンタイン流路と他方のサーペンタイン流路とを仕切るリブの先端部に、一方のサーペンタイン流路と他方のサーペンタイン流路とを連通する第2の連通路が少なくとも一つ以上設けられているとさらに好適である。
【0017】
このようなタービン用翼によれば、リブの先端部、すなわち、Uターン部の隅部(角部)に、一方のサーペンタイン流路から他方のサーペンタイン流路へ、または他方のサーペンタイン流路から一方のサーペンタイン流路への冷却媒体の流れが第2の連通路を介して形成されることになるので、Uターン部の隅部におけるホットスポットの発生を低減させることができると共に、ホットスポットを冷却するために冷却媒体量を増やす必要性が軽減され、冷却性能をさらに向上させることができる。また、Uターン部の隅部における剥離および圧力損失をさらに低減させることができ、冷却性能をさらに向上させることができる。
【0018】
本発明に係るガスタービンは、サーペンタイン流路のUターン部における剥離および圧力損失を低減させることができ、冷却性能を向上させることができるタービン用翼を具備している。
【0019】
本発明に係るガスタービンによれば、タービン用翼における冷却性能の向上により、冷却通路に流入する冷却空気量を減少させることができ、ガスタービンの性能を向上させることができる。
また、タービン用翼の内部を通過してタービン用翼を冷却した冷却媒体(蒸気等)を回収するタイプのガスタービンでは、タービン用翼における圧力損失が低減することにより、コンバインド・サイクル効率が向上することになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るタービン用翼によれば、サーペンタイン流路のUターン部における剥離および圧力損失を低減させることができ、冷却性能を向上させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るタービン用翼の第1実施形態について、
図1から
図4を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係るタービン用翼の縦断面図、
図2は
図1の要部を拡大した図、
図3は
図1の要部を拡大した図であって、
図2と同様の図、
図4は本実施形態に係るタービン用翼を用いて行った実験の結果を示す図表である。
【0023】
本実施形態に係るタービン用翼1は、例えば、燃焼用空気を圧縮する圧縮部(図示せず)と、この圧縮部から送られてきた高圧空気中に燃料を噴射して燃焼させ、高温燃焼ガスを発生させる燃焼部(図示せず)と、この燃焼部の下流側に位置し、燃焼部を出た燃焼ガスにより駆動されるタービン部(図示せず)とを主たる要素として構成されたガスタービンの、タービン部における動翼(例えば、1段動翼)に適用され得るものである。
【0024】
図1において、符号2は翼根部、3はプラットフォームである。タービン用翼1の内部には、冷却通路4a、および、冷却通路5a,5b,5c,6a,6b,6cからなるサーペンタイン冷却流路が形成されている。翼根部2には冷却通路4,5,6、7がそれぞれ独立して設けられている。冷却通路4は前縁側(
図1において左側)に位置し、翼内の冷却通路4aに連通している。冷却通路4には冷却空気10がロータ側から流入し、冷却通路4aを通過する過程で翼の前縁部を冷却した後、冷却孔19から流出して前縁部をシャワーヘッドフィルム冷却する。冷却通路5には冷却空気11が流入し、翼内の冷却通路5aを通り、タービン外径側(
図1において上方)のUターン部15で180°転回して冷却通路5bに流入する。そして、タービン内径側(
図1において下方)のUターン部16で再び上方に転回して冷却通路5cに流入し、翼先端部より流出する。この過程において冷却穴(図示せず)より翼表面へ流出してフィルム冷却を行う。
【0025】
冷却通路6には冷却空気12が、冷却通路7には冷却空気13がそれぞれ流入し、合流して冷却通路6aを流れる。そして、外径側のUターン部17にて180°転回した後、冷却通路6bに入り、そして、内径側のUターン部18にて再び上方に転回して冷却流路6cに流入する。この過程において冷却穴(図示せず)より翼表面に流出してフィルム冷却を行い、残りの空気は翼後縁20に至る領域をピンフィン冷却した後、排出孔21より流出する。
【0026】
さて、本実施形態に係るタービン用翼1には、冷却通路5aと冷却通路5bとを仕切る隔壁(仕切壁)31の先端部(翼先端側の端部)、および冷却通路6aと冷却通路6bとを仕切る隔壁(仕切壁)32の先端部(翼先端側の端部)に、膨出部33,34が設けられている。
図1に示すように、膨出部33は、Uターン部15に向かって突出するとともに、下流側に位置する冷却通路5b内に向かって突出する膨らみであり、膨出部34は、Uターン部17に向かって突出するとともに、下流側に位置する冷却通路6b内に向かって突出する膨らみである。
膨出部33と膨出部34とは、
図1において左右対称を成す同一の構成要素からなるものであるので、以下、膨出部34のみを説明する。
【0027】
図2に示すように、膨出部34は、Uターン部17に向かって突出する半円部35と、下流側に位置する冷却通路6b内に向かって突出する直線部36とを備えている。
半円部35の上流端は、冷却通路6aに面する隔壁32の一面32aの下流端と接続され、半円部35の下流端は、直線部36の上流端と接続されており、直線部36の下流端は、冷却通路6bに面する隔壁32の他面32bの上流端と接続されている。
【0028】
半円部35および直線部36は、5度≦θ≦10度の式、および1≦R/T≦3の式を満たすように形成されている。ここで、θは隔壁32の他面32bと直線部36の表面との成す角度(傾斜角度)、Rは半円部35の半径、Tは隔壁32の板厚(一面32aと他面32bとの間の距離)である。
また、半円部35および直線部36は、A
2/A
1=0.4〜1.8、A
3/A
1=0.4〜1.0、L
2/L
1=1.0〜1.5、およびL
3/L
1=0.6〜1.0となるように形成されている。ここで、A
1およびL
1は
図3中に符号101で示す場所の流路断面積および流路幅(半円部35の上流端と、この上流端に対向する面37との間の距離)、A
2およびL
2は
図3中に符号102で示す場所の流路断面積および流路幅(半円部35の頂点と、この頂点に対向する面38との間の距離)、A
3およびL
3は
図3中に符号103で示す場所の流路断面積および流路幅(半円部35の下流端と、この下流端に対向する面39との間の距離)である。
【0029】
そして、A
2/A
1=1.0、A
3/A
1=0.7〜1.0、L
2/L
1=1.0、L
3/L
1=0.7〜1.0とし、θ=5°として、R/T=1,2,3のときの圧力損失係数と、A
2/A
1=1.0、A
3/A
1=0.7〜1.0、L
2/L
1=1.0、L
3/L
1=0.7〜1.0とし、θ=10°として、R/T=1,2,3のときの圧力損失係数とを実験で求め、
図4に示す実験結果を得た。なお、
図4中に示す「ベースケース」とは、本実施形態に係る半円部35および直線部36からなる膨出部34を備えていない従来のタービン用翼(R/T=1.0)を用いて行った実験結果であり、
図4はこのベースケースの圧力損失係数を1.0としたときの各々の実験結果を相対値として示している。
図4からθ=5°、R/T=2のときに圧力損失係数が最も小さくなり、R/T=2,3のとき、すなわち、半円部35のRが大きいときには、θを小さくすると圧力損失係数が小さくなることがわかる。
ここで、圧力損失係数は、ΔP/((1/2)×ρ×V
2)であらわすことができる。なお、ΔPは、半円部35の上流端と、この上流端に対向する面37との間を通過する流体(本実験では室温の空気)の圧力P
1(
図3参照)と、直線部36の下流端よりも下流側に位置する隔壁32の他面32bと、この他面32bに対向する面39との間を通過する流体の圧力P
2(
図3参照)との差(P
1−P
2)である。また、ρは、空気の粘性計数、Vは半円部35の上流端と、この上流端に対向する面37との間を通過する流体の速度である。
【0030】
本実施形態に係るタービン用翼1によれば、Uターン部17の上流側に位置する冷却通路6aを隔壁32に沿って流れてきた冷却媒体は、膨出部34を備えていない従来のタービン用翼の隔壁のように急激に転回されることなく、半円部35および直線部36の表面にガイドされて(半円部35および直線部36の表面に沿って)Uターン部17の下流側に位置する冷却通路6bに滑らかに流入していくことになるので、Uターン部17における剥離および圧力損失を低減させることができ、冷却性能を向上させることができる。
【0031】
本発明に係るタービン用翼の第2実施形態について、
図5を参照しながら説明する。
図5は本実施形態に係るタービン用翼の要部を拡大した図であって、
図2および
図3と同様の図である。
本実施形態に係るタービン用翼51は、直線部36の裏側(背側)に位置する隔壁32の一面32aに、断面視円弧状の凹み(窪み)52が設けられているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0032】
図5に示すように、凹み52は、直線部36の裏側において冷却通路6aの流路断面積および流路幅を徐々に増加させた後、徐々に減少させて、隔壁32の一面32aと直線部36の表面との距離(すなわち、膨出部34における隔壁32の板厚)をタービン用翼51の翼厚方向(
図5において紙面に直交する方向)に沿って、上述した第1実施形態のものよりも減少させる凹所であり、直線部36の下流端裏側近傍から半円部35の上流端近傍にかけて形成されている。
また、凹み52の上流端および下流端における接線と、隔壁32の一面32aとの成す角度θ2は、おおよそ5°以下になるように、すなわち、凹み52の上流端および下流端に剥離が生じないように設定されている。
【0033】
本実施形態に係るタービン用翼51によれば、膨出部34を設けたことによる隔壁32の肉厚の増加を最小限にすることができるので、膨出部34の熱容量を小さくでき、膨出部34を設けたことによるホットスポットの発生を低減させることができる。また、ホットスポットを冷却するために冷却媒体量を増やす必要性が軽減され、冷却性能をさらに向上させることができる。
【0034】
本発明に係るタービン用翼の第3実施形態について、
図6を参照しながら説明する。
図6は本実施形態に係るタービン用翼の要部を拡大した図であって、
図2および
図3と同様の図である。
本実施形態に係るタービン用翼61は、隔壁32を貫通して上流側に位置する冷却通路6aと下流側に位置する冷却通路6bとを連通し、隔壁32の上流側に位置する冷却通路6aを形成する表面32aに第1の開口63を有し、直線部36の表面に第2の開口64を有する第1の連通路62を少なくとも一つ以上備え、第1の開口63が第2の開口64よりも翼先端の近くに位置しているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0035】
図6に示すように、第1の連通路62は、その中心軸線(延在方向)が、冷却通路6aを流れる流体の向きと鋭角を成すように形成された孔状またはスリット状のものであり、タービン用翼61の翼厚方向(
図6において紙面に直交する方向)に沿って少なくとも一つ以上形成されている。
なお、中心軸線と流体の向きとが成す角度は鋭角に限定されるものではなく、第1の開口63が第2の開口64よりも翼先端の近くに位置しておれば、直角でも鈍角でも構わない。
【0036】
本実施形態に係るタービン用翼61によれば、第1の連通路62の一端に位置する第1の開口63が、第1の連通路62の他端に位置する第2の開口64よりも翼先端に近いので、動翼61が回転することによってはたらく翼根部2から翼先端方向への遠心力により生じるポンピング効果によって、下流側に位置する冷却通路6bを形成し第2の開口64を有する直線部36の表面に沿って流れる冷却媒体の一部が第1の連通路62を介して、すなわち、第2の開口64から第1の連通路62に流入して第1の連通路62を通った後、第1の開口63から流出して、上流側に位置する冷却通路6a内に導かれ(吸い出され)ることになるので、Uターン部17における剥離および圧力損失をさらに低減させることができ、冷却性能をさらに向上させることができる。
【0037】
本発明に係るタービン用翼の第4実施形態について、
図7を参照しながら説明する。
図7は本実施形態に係るタービン用翼の要部を拡大した図であって、
図2および
図3と同様の図である。
本実施形態に係るタービン用翼71は、半円部35および直線部36の表面に、ディンプル72が少なくとも一つ以上設けられているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0038】
図7に示すように、ディンプル72は、断面視半円状(または円弧状)の凹み(窪み)であり、タービン用翼71の翼厚方向(
図7において紙面に直交する方向)に沿って多数形成されているとともに、半円部35上流端近傍から直線部36の下流端近傍にかけても少なくとも一つ以上形成されている。
【0039】
本実施形態に係るタービン用翼71によれば、ディンプル72によっても剥離および圧力損失が低減されることになるので、Uターン部17における剥離および圧力損失をさらに低減させることができ、冷却性能をさらに向上させることができる。
【0040】
本発明に係るタービン用翼の第5実施形態について、
図8を参照しながら説明する。
図8は本実施形態に係るタービン用翼の要部を拡大した図であって、
図2および
図3と同様の図である。
本実施形態に係るタービン用翼81は、サーペンタイン流路を2系統以上備え、互いに隣接した一方のサーペンタイン流路と他方のサーペンタイン流路とを仕切るリブ82の先端部に、一方のサーペンタイン流路と他方のサーペンタイン流路とを連通する第2の連通路83が少なくとも一つ以上設けられているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0041】
図8に示すように、第2の連通路83は、一方のサーペンタイン流路を形成する冷却通路5aと他方のサーペンタイン流路を形成する冷却通路6aを仕切るリブ82の先端部に位置し、冷却通路6aを形成する面37の翼先端側の隅部85と、この裏側(背側)に位置して冷却通路5aを形成する面84の翼先端側の隅部86とを連通する孔状またはスリット状のものであり、タービン用翼81の翼厚方向(
図8において紙面に直交する方向)に沿って少なくとも一つ以上形成されている。
【0042】
本実施形態に係るタービン用翼81によれば、リブ82の先端部、すなわち、Uターン部15,17の隅部(角部)85,86に、一方のサーペンタイン流路から他方のサーペンタイン流路へ、または他方のサーペンタイン流路から一方のサーペンタイン流路への冷却媒体の流れが第2の連通路83を介して形成されることになるので、Uターン部15,17の隅部85,86近傍におけるホットスポットの発生を低減させることができると共に、ホットスポットを冷却するために冷却媒体量を増やす必要性が軽減され、冷却性能をさらに向上させることができる。また、Uターン部の隅部における剥離および圧力損失をさらに低減させることができ、冷却性能をさらに向上させることができる。
【0043】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更・変形が可能である。
例えば、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせて実施したり、第2実施形態または第3実施形態と第4実施形態とを組み合わせて実施したり、第2実施形態から第4実施形態のいずれかと第5実施形態とを組み合わせて実施することもできる。
【0044】
また、本発明は1系統のサーペンタイン流路を有するタービン用翼1に設けられた隔壁の先端部1箇所においてのみ適用されるものではなく、2系統以上のサーペンタイン流路を有するタービン用翼1に設けられた少なくとも一つ以上の隔壁における少なくとも1箇所以上の先端部においても適用することができる。
また、本発明は翼先端側(チップ側)に位置するUターン部15,17においてのみ適用され得るものではなく、翼根元側(ハブ側)に位置するUターン部16,18においても適用することができる。
さらに、上述した実施形態では、タービン部における動翼(例えば、1段動翼)に適用したものを一具体例として説明したが、本発明はタービン部における動翼(例えば、1段動翼)のみに適用され得るものではなく、その他の段の動翼にも適用することができる。
さらにまた上述した第1実施形態、第2実施形態、第4実施形態、および第5実施形態については、タービン部における静翼にも適用することができる。