(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの反射検知素子は、少なくとも1つの分配光カプラによって分配バスに光学的に結合され、少なくとも1つのリターン光カプラおよび少なくとも1つの分配光カプラによってリターンバスに光学的に結合される、請求項1に記載の光学装置。
少なくとも1つの反射検知素子は、少なくとも1つのリターン光カプラによってリターンバスに光学的に結合され、少なくとも1つの分配光カプラおよび少なくとも1つのリターン光カプラによって分配バスに光学的に結合される、請求項1に記載の光学装置。
少なくとも1つの光バスは少なくとも1つの光サーキュレータを含み、前記少なくとも1つの光サーキュレータは、少なくとも1つの反射検知素子を分配バスおよびリターンバスに光学的に結合する、請求項1に記載の光学装置。
少なくとも1つの光バスは、入力光信号の部分が少なくとも1つの反射検知素子によって受信される前に増幅されるように位置決めされた少なくとも1つの光増幅器を備える、請求項1に記載の光学装置。
少なくとも1つの光バスは、少なくとも1つの光増幅器と、入力光信号の部分が少なくとも1つの光増幅器を2回通過するように構成された少なくとも1つの光反射板とを備える、請求項1に記載の光学装置。
少なくとも1つの光バスは、少なくとも1つの光増幅器と、反射された部分が少なくとも1つの光増幅器を2回通過するように構成された少なくとも1つの光反射板とを備える、請求項1に記載の光学装置。
少なくとも1つの光バスは、反射された部分が、少なくとも1つの光検出器によって受信される前に少なくとも1つの光学フィルタを通過するように位置決めされる少なくとも1つの光学フィルタを備える、請求項1に記載の光学装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
近年開発された光センサは反射モードで動作する、すなわち、センサに光信号を送達するのと同じファイバがまた、変調された信号をセンサから検出器に向かって移送する。例として、米国特許出願第11/414,506号(2006年4月28日に出願)、第11/604,673号(2006年11月27日に出願)および第11/971,714号(2008年1月9日に出願)に記載され、その各々が全体として引用によりこの明細書中に援用されている小型のファブリーペロー(FP)干渉計が挙げられる。異なるファイバ上で入出力信号を送達するセンサのためのいくつかの装置および方法が開示されてきた。たとえば、引用により全体がこの明細書中に援用されている米国特許第6,034,924号、米国特許第6,084,233号および米国特許第6,097,486号を参照されたい。この明細書中に記載されるいくつかの実施例は、反射モードで動作する光センサを利用する装置および方法を記載する。
【0009】
図1Aは、この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従った、反射モードで動作するセンサを利用する例示的な光学装置10を概略的に示す。いくつかの実施例における装置10は少なくとも1つの光バス100を含む。少なくとも1つの光バス100は、入力光信号の少なくとも1つの源110、少なくとも1つの光検出器120および複数の反射検知素子200に光学的に結合されるよう構成される。少なくとも1つの光バス100は、少なくとも1つの源110から複数の反射検知素子200に入力光信号を送信する。複数の反射検知素子200のうち少なくとも1つの反射検知素子200(1)は、入力光信号の一部を受信して、受信された部分のうち少なくとも一部を反射する。少なくとも1つの光バス100は、反射された部分を少なくとも1つの光検出器120に送信する。
【0010】
いくつかの実施例においては、光学装置10は光センサアレイであり、その一例が
図1Aに概略的に示される。いくつかの実施例の光学装置10は、入力光信号の少なくとも1つの源110、少なくとも1つの光検出器120、複数の反射検知素子200、および少なくとも1つの光バス100を含む。少なくとも1つの光バス100は、入力光信号の少なくとも1つの源110、少なくとも1つの光検出器120、および複数の反射検知素子200に光学的に結合される。少なくとも1つの光バス100は、入力光信号を少なくとも1つの源110から複数の反射検知素子200に送信する。複数の反射検知素子200の反射検知素子200(1)、200(2)、…200(n)は各々、入力光信号の一部を受信し、受信された部分のうち少なくとも一部を反射する。次いで、少なくとも1つの光バス100は、反射された部分を少なくとも1つの光検出器120に送信する。
【0011】
この明細書中に記載されるいくつかの実施例と互換性のある源の例として、単色源(たとえばレーザ、レーザダイオード)、広帯域源(たとえば白熱電球、発光ダイオード)および調整可能な源(たとえば波長可変レーザ)が含まれるが、これらに限定されない。しかしながら、当該技術において周知であるかまたはまだ発明されていない如何なる源であってもよい。
【0012】
いくつかの実施例においては、入力光信号の少なくとも1つの源110はレーザ信号源である。これは、たとえば、狭線幅のレーザダイオードであってもよく、加えて、パルスレーザ源または連続波レーザ源であってもよく、この後に光変調器が続き、少なくとも1つの光バス100に供給されるべきパルス状入力信号を発生させるようにする。
【0013】
いくつかの実施例においては、少なくとも1つの光検出器120は当該技術において周知のさまざまな光検出器のうちの1つであってもよいが、但し、まだ発明されていない検出器が用いられてもよい。いくつかの実施例においては、光ゲートまたは電気ゲートを(たとえばアレイの出力において)少なくとも1つの光検出器120よりも前に用いて、(たとえば復調を目的とした)特定の検知素子200に対応するパルス列から特定の光パルスを選択することができる。ゲートは、装置10への入力において(たとえば、源110においてまたは源110の直後に)入力強度変調器と同期させることができる。
【0014】
図1Bに概略的に示されるように、少なくとも1つの反射検知素子200(1)は少なくとも1つのセンサ300(1)を含む。少なくとも1つのセンサ300(1)は、小型のファブリーペロー(FP)干渉計、または反射モードで動作する如何なるセンサであってもよい。少なくとも1つのセンサ300(1)は入力光信号の少なくとも一部を受信する。入力光信号の少なくとも一部は測定量によって変調されるが、この測定量に対して、上記少なくとも1つのセンサ300(1)はその感度が高くなるよう設計されている。少なくとも1つのセンサ300(1)は、反射された部分が情報搬送信号となるように、受信された部分のうち少なくとも一部を反射する。この情報搬送用の反射された部分は、少なくとも1つの光バス100を介して少なくとも1つの光検出器120に供給される。
【0015】
いくつかの実施例においては、少なくとも1つの光バス100は、少なくとも1つの従来の光ファイバ(たとえば、ニューヨーク州コーニングにあるCorning, Inc.から入手可能なSMF−28(登録商標)光ファイバなどの単一モードのファイバ)を含む。いくつかの他の実施例においては、光バス100は、少なくとも1つの空心の光ファイバ(たとえば、デンマークのビルケロッド(Birkerod)にあるCrystal Fibre A/Sから入手可能なHC−1550−02光ファイバなどの中空芯のフォトニックバンドギャップファイバ)を含む。いくつかの実施例においては、空心の光ファイバは、有利には、従来の光ファイバと比較して、カー効果、ファラデー効果およびシュッペ(熱)効果のうち1つ以上の低減をもたらす。たとえば、米国特許出願公開番号第2008/0030741A1号、ならびに、H.K. Kim、V. Dangui、M. DigonnetおよびG. Kinoによる「空心のフォトニックバンドギャップファイバを用いた光ファイバジャイロスコープ」("Fiber-optic gyroscope using an air-core photonic-bandgap fiber"(Proceedings of the SPIE, vol. 5855, no. 1, pp. 198-201, 2005))を参照されたい。その各々の全体が引用によりこの明細書中に援用されている。
【0016】
図2に示されるいくつかの実施例においては、少なくとも1つの光バスは分配バス115およびリターンバス116を含む。分配バス115は、いくつかの実施例においては、少なくとも1つの源110および複数の反射検知素子200に光学的に結合されるよう構成される。リターンバス116は、いくつかの実施例においては、少なくとも1つの光検出器120および複数の反射検知素子200に光学的に結合されるよう構成される。
【0017】
図2〜
図4は、この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従った、反射モードで動作するセンサを利用する光学装置10の例を概略的に示す。たとえば、
図2は(たとえば光増幅器を備えない)例示的なパッシブアレイを示し、
図4は(たとえば光増幅器を備えた)例示的なアクティブアレイを示す。これらの実施例においては、少なくとも1つの光バスは複数の光カプラ130を含む。いくつかの実施例においては、複数の反射検知素子200のうち少なくとも1つの反射検知素子200(1)は、複数の光カプラ130のうち少なくとも1つの光カプラ130(1)によって分配バス115に光学的に結合される。複数の反射検知素子200のうち少なくとも1つの反射検知素子200(1)もまた、複数の光カプラ130のうち少なくとも1つの光カプラ130(2)によってリターンバス116に光学的に結合される。いくつかの実施例においては、光学装置10は複数の光遅延線を含み得る。各々の光遅延線は、分配バス115に沿った連続した光カプラ(たとえば連続した光カプラ130(1))間に位置決めされ得るか、または、リターンバス116に沿った連続した光カプラ(たとえば連続した光カプラ130(2))間に位置決めされ得る。たとえば、
図10Bは、分配バス115に沿った光遅延線を含む例示的な装置10を概略的に示す。これらの光遅延線は、(たとえば時分割多重化のために)光パルスの一時的なオーバーラップを防ぐように、連続した光カプラ間に伝搬する光パルスに遅延を加えるよう構成することができる。
【0018】
この明細書中に記載されるいくつかの実施例においては、
図2に図示のとおり、反射検知素子200(1)が光カプラ130(1)によって分配バス115に光学的に結合される。反射検知素子200(1)もまた、2つの光カプラ130(1)および130(2)によってリターンバス116に光学的に結合される。分配バス115における入力光信号の一部が、光カプラ130(1)によって反射検知素子200(1)に向けられる。反射検知素子200(1)は、受信された部分のうち少なくとも一部を反射する。受信された部分のうち反射された部分は、光カプラ130(1)によって光カプラ130(2)を介してリターンバス116に向けられる。
【0019】
分配バス115上の入力光信号のうち反射検知素子200(1)に向けられない部分は、光カプラ130(1)によって別の光カプラ130(1)に向けられ、第2の反射検知素子200(2)に光信号を供給するのに用いられる。このようにして、入力光信号の部分が、検知素子200(1)、200(2)、…200(n)に供給される。同様に、検知素子200(1)、200(2)、…200(n)からの反射信号は、光カプラ130(1)によって光カプラ130(2)を介してリターンバス116に向けられる。
【0020】
いくつかの実施例においては、
図3および
図4に図示のとおり、反射検知素子200(1)は光カプラ130(2)によってリターンバス116に光学的に結合され、また、2つの光カプラ130(1)および130(2)によって分配バス115にも光学的に結合される。これらの実施例においては、入力光信号のうちの一部が、反射検知素子200(1)から反射される前に、2つの光カプラ130(1)および130(2)によって方向付けされる。検知素子200(1)によって変調された後、受信された部分のうち少なくとも一部は、単一の光カプラ130(2)を通過することによってリターンバスに供給される。
【0021】
分配バス115上の入力光信号のうち反射検知素子200(1)に向けられない部分は、光カプラ130(1)によって別の光カプラ130(1)に向けられ、光信号を光カプラ130(2)を介して第2の反射検知素子200(2)に供給するのに用いられる。このようにして、入力光信号の部分が検知素子200(1)、200(2)、…200(n)に供給される。同様に、検知素子200(1)、200(2)、…200(n)からの反射信号が光カプラ130(2)を介してリターンバス116に供給される。
【0022】
図3においては、検知素子200(1)からの反射信号は単一の光カプラ130(2)によって光検出器120に分配され、検知素子200(n)からの反射信号が複数の光カプラ130(2)によって光検出器120に分配される。対照的に、
図4においては、検知素子200(1)からの反射信号が複数の光カプラ130(2)によって光検出器120に分配され、検知素子200(n)からの反射信号が単一の光カプラ130(2)によって光検出器120に分配される。
【0023】
図5は、この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従った、反射モードで動作するセンサを利用する装置の別の例を概略的に示す。
図5においては、光バスは少なくとも1つの光サーキュレータ140を含む。反射検知素子200(1)は、光サーキュレータ140および光カプラ130(1)によって分配バス115に光学的に結合され、光サーキュレータ140および光カプラ130(2)によってリターンバス116に光学的に結合される。この実施例においては、源110からの入力光信号のうち一部が、光カプラ130(1)によって光サーキュレータ140を介して反射検知素子200(1)に向けられる。反射された部分は、光サーキュレータ140によって光カプラ130(2)を経由してリターンバス116に向けられる。
【0024】
分配バス115上の入力光信号のうち反射検知素子200(1)に向けられない部分は、光カプラ130(1)によって別の光カプラ130(1)に向けられ、光信号を別の光サーキュレータ140を介して反射検知素子200(2)に供給するのに用いられる。こうして、入力光信号の部分が、検知素子200(1)、200(2)、…200(n)に供給される。同様に、検知素子200(1)、200(2)、…200(n)からの反射信号が、対応する光サーキュレータ140によって方向付けされ、対応する光カプラ130(2)によってリターンバス116に供給される。
【0025】
この実施例の利点は、信号が光カプラを通過する回数を減らし、これによって損失を低減させることである。源110からの入力光信号のうち反射検知素子200(1)に向けられる部分は、光カプラ130(1)を一回通過し、反射検知素子200(1)からの反射信号は、光カプラ130(2)を一回通過する。他方で、
図2においては、入力光信号のうち源110からの部分は光カプラ130(1)を通過し、反射検知素子200(1)からの反射信号も光カプラ130(1)を通過する。
図3においては、入力光信号のうち源110からの部分が光カプラ130(2)を通過し、反射検知素子200(1)からの反射信号も光カプラ130(2)を通過する。
【0026】
しかしながら、当業者であれば、たとえば
図5のようないくつかの実施例における光サーキュレータが、いくつかの実施例においては、光カプラと置換可能であることを認識するだろう。
【0027】
上述しかつ
図1Bに示したとおり、反射検知素子200(1)は少なくとも1つのセンサ300(1)を含み得る。いくつかの他の実施例においては、たとえば
図6に図示のとおり、反射検知素子200(1)は、分割カプラ150と、分割カプラ150に光学的に結合された複数のセンサ300とを含む。いくつかの他の実施例においては、
図6にも図示のとおり、少なくとも1つの反射検知素子200(1)は複数の遅延素子160を含む。遅延素子160は、分割カプラ150および対応するセンサ300に光学的に結合される。たとえば、
図6においては、遅延素子160(1)は、分割カプラ150および対応するセンサ300(1)に光学的に結合される。
【0028】
この明細書中に記載されるいくつかの実施例においては、分割カプラ150は、いくつかのセンサ300(1)、300(2)、…300(n)を多重化するのに用いられるスターカプラである。いくつかの実施例においては、遅延素子160(1)、160(2)、…160(n)は、反応がオーバーラップしないようにするのに、異なるセンサからの反応の間に時間遅延が望まれるかどうかに応じて、用いられてもよいし、用いられなくてもよい。これらの実施例においては、分割カプラ150は波長分割マルチプレクサであってもよく、遅延素子160は導波路の長さであってもよい。
図6は、検知素子が単一のセンサを含むものとしてこの明細書中に記載された実施例が分割カプラ150および複数のセンサ300を組込むよう変更可能であることを示す。
図7はこのような一実施例を示す。
【0029】
図7においては、分割カプラ150および遅延素子160は、分割カプラ150が光カプラ130(1)によって分配バス115に光学的に結合されるように、
図2に示される構成に適用される。分割カプラ150は、センサ300(1)、300(2)、…300(n)に光学的に結合されるそれぞれの遅延素子160(1)、160(2)、…160(n)に光学的に結合される。センサ300(1)、300(2)、…300(n)は、遅延素子160(1)、160(2)、…160(n)、分割カプラ150、ならびに2つの光カプラ130(1)および130(2)によってリターンバス116に光学的に結合される。分配バス115上の入力光信号の一部は、光カプラ130(1)によって分割カプラ150に向けられ、当該信号の部分が、遅延素子160(1)、160(2)、…160(n)を介してセンサ300(1)、300(2)、…300(n)に分配される。センサ300(1)、300(2)、…300(n)によって変調された後、受信された部分のそれぞれの部分が遅延素子160(1)、160(2)、…160(n)に供給される。遅延素子160(1)、160(2)、…160(n)は、反射された部分が光検出器120に同時に到達するのを防ぐために、対応する時間遅延を導入する。反射された部分は、分割カプラ150および光カプラ130(1)によって光カプラ130(2)を介してリターンバス116に向けられる。
【0030】
分配バス115上の入力光信号のうち分割カプラ150に向けられない部分が、光カプラ130(1)によって別の光カプラ130(1)に向けられ、遅延素子160(1)、160(2)、…160(n)およびセンサ300(1)、300(2)、…300(n)の別のグループに光学的に結合された第2の分割カプラ150に光信号を供給するのに用いられる。
【0031】
この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従うと、たとえば、
図2、
図3、
図5、
図8、
図9および
図10に図示のとおり、少なくとも1つの光バスをレーザポンプ源170に光学的に結合することができる。いくつかの実施例においては、レーザポンプ源170は当該技術において周知のさまざまなレーザポンプ源のうちの1つであってもよいが、但し、まだ発明されていない源が用いられてもよい。
【0032】
この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従うと、たとえば
図8、
図9および
図10に図示のとおり、少なくとも1つの光バスは1つ以上の光増幅器180をさらに含む。たとえば、多数のセンサを多重化するいくつかの実施例は、光増幅器、たとえばエルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA:erbium-doped fiber amplifiers)を利用する。これらの実施例においては、光増幅器は、センサからの帰還信号が適度な信号対雑音比(SNR:signal-to-noise ratio)を示すように構成することができる。光増幅器を用いることにより、雑音指数性能を実質的に改善させることができる。いくつかの実施例においては、入力信号のうち1つ以上、反射信号のうち1つ以上または、入力信号および反射信号の両方のうち1つ以上が1つ以上の増幅器によって増幅される。
【0033】
いくつかの実施例はまた、レージングの問題および不安定性を防ぐためにアイソレータを利用することもできる。たとえば
図8、
図9および
図10を参照されたい。分配バスおよびリターンバスを備えることで、アイソレータを光増幅器とともに用いることが可能となる。装置の全体にわたる損失、たとえばスプライス損失、信号経路を通るすべての素子についての挿入損失、分割損失は、光増幅器によって補償することができる。
【0034】
この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従うと、
図8は、
図2の構成において、複数の光増幅器180が分配バス115に光学的に結合され、複数の光増幅器180がリターンバス116に光学的に結合された状態を示す。源110からの入力光信号は、光カプラ130(1)によって反射検知素子200(1)に向けられる前に光増幅器180によって増幅される。反射検知素子200(1)は、受信された部分のうち少なくとも一部を反射する。受信された部分のうち反射された部分は、光カプラ130(1)によって光カプラ130(2)を介してリターンバス116に向けられる。この場合、信号は、光検出器120によって受信される前に少なくとも1つの他の光増幅器180によって増幅される。
【0035】
分配バス115上の入力光信号のうち反射検知素子200(1)に向けられない部分が別の光増幅器180によって増幅され、別の光カプラ130(1)が、光信号のうち増幅された部分を第2の反射検知素子200(2)に供給するのに用いられる。検知素子200(2)からの反射信号は、2つの光カプラ130(1)および130(2)によってリターンバス116に向けられた後、別の光増幅器180によって増幅される。この信号は、リターンバス116を介して光検出器120へと伝搬しつつ1つ以上の他の光増幅器180によって再度増幅され得る。このようにして、入力光信号の部分が、検知素子200(1)、200(2)、…200(n)によって受信される前に増幅される。同様に、検知素子200(1)、200(2)、…200(n)からの反射信号は、光検出器120によって受信される前に増幅される。
【0036】
この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従うと、
図9は、
図3の構成において、複数の光増幅器180が分配バス115に光学的に結合され、複数の光増幅器180がリターンバス116に光学的に結合された状態を示す。源110からの入力光信号は、2つの光カプラ130(1)および130(2)によって反射検知素子200(1)に向けられる前に、光増幅器180によって増幅される。反射検知素子200(1)は、受信された部分のうち少なくとも一部を反射する。受信された部分のうち反射された部分は、光カプラ130(2)によってリターンバス116に向けられる。この場合、信号は、光検出器120によって受信される前に少なくとも1つの光増幅器180によって増幅される。
【0037】
分配バス115上の入力光信号のうち反射検知素子200(1)に向けられない部分は、別の光増幅器180によって増幅され、別の2つの光カプラ130(1)および130(2)は、光信号のうち増幅された部分を第2の反射検知素子200(2)に供給するのに用いられる。検知素子200(2)からの反射信号は、光カプラ130(2)によってリターンバス116に向けられた後、別の光増幅器180によって増幅される。この信号は、リターンバス116を通って光検出器120へと伝搬しつつ1つ以上の光増幅器180によって再度増幅され得る。この態様で、入力光信号の部分が、検知素子200(1)、200(2)、…200(n)によって受信される前に増幅される。同様に、検知素子200(1)、200(2)、…200(n)からの反射信号は、光検出器120によって受信される前に増幅される。
【0038】
この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従うと、
図10Aは、
図5の構成において、複数の光増幅器180が分配バス115に光学的に結合され、複数の光増幅器180がリターンバス116に光学的に結合された状態を示す。源110からの入力光信号は、光カプラ130(1)および光サーキュレータ140によって反射検知素子200(1)に向けられる前に光増幅器180によって増幅される。反射検知素子200(1)は、受信された部分のうち少なくとも一部を反射する。受信された部分のうち反射された部分は、光サーキュレータ140によって光カプラ130(2)を介してリターンバス116に向けられる。この場合、信号は、光検出器120によって受信される前に少なくとも1つの光増幅器180によって増幅される。
図10Bが示す
図10Aの構成の特定の例では、レーザ信号源110はレーザダイオード(1550nm)を含み、レーザポンプ源170は、対応する波分割マルチプレクサによって分配バス115およびリターンバス116に結合された1対のポンプレーザ(980nm)を含み、検出器120は1GHz光検出器を含み、光カプラ130はカプラ(60%で1550nm;0%で980nm)を含み、光増幅器180は5dBのゲインを有するEDFAを含む。
【0039】
分配バス115上の入力光信号のうち反射検知素子200(1)に向けられない部分は別の光増幅器180によって増幅され、別の光カプラ130(1)および光サーキュレータ140は、光信号のうち増幅された部分を第2の反射検知素子200(2)に供給するのに用いられる。検知素子200(2)からの反射信号は、光サーキュレータ140および光カプラ130(2)によってリターンバス116に向けられた後、別の光増幅器180によって増幅される。この信号は、リターンバス116を通って光検出器120へと伝搬しつつ1つ以上の光増幅器180によって再度増幅することができる。こうして、入力光信号の部分が、検知素子200(1)、200(2)、…200(n)によって受信される前に増幅される。同様に、検知素子200(1)、200(2)、…200(n)からの反射信号は、光検出器120によって受信される前に増幅される。
【0040】
加えて、光カプラ130が分配バス115に光学的に結合される結合比とリターンバス116に光学的に結合される結合比とは、互いに同じであっても異なっていてもよい。これらの結合比は、最良の雑音指数性能を達成するかまたはセンサからの帰還信号パワーを最大限にするよう最適化され得る。たとえば、
図2を参照すると、光カプラ130の結合比は、検知素子200間での信号対雑音の均等化を改善するよう選択または調整することができる。
【0041】
図11〜
図17は、この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従った反射モードで動作するセンサを利用した光学装置の他の例を示す。増幅器180のうち1つ以上は、たとえば、
図13および
図15に見られるように、入力光信号のうち一部が少なくとも1つの検知素子200によって受信される前に当該入力光信号のうち一部が増幅され得るように、位置決めされ得る。増幅器180のうち1つ以上は、
図11および
図16におけるように、反射された部分を増幅するよう位置決めすることができる。増幅器180のうち1つ以上は、
図12、
図14および
図17におけるように、入力信号の部分および反射された部分の両方を増幅するよう位置決めすることができる。
【0042】
この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従うと、
図11は、
図2の構成において、反射検知素子200からの反射信号が光カプラ130(1)によって方向付けされた後、但し、光カプラ130(2)によってリターンバス116に向けられる前に光増幅器180によって増幅されるように、光増幅器180が位置決めされている状態を示す。
図11の光増幅器180は、検知素子200へと伝搬する入力信号を増幅しない。対照的に、
図12は、
図2の構成において、入力光信号の部分が光カプラ130(1)によって方向付けされた後に光増幅器180によって増幅され、かつ検知素子200からの反射された部分が、光カプラ130(1)および130(2)によってリターンバス116に向けられる前に光増幅器180によって増幅されるように、光増幅器180が位置決めされている状態を示す。
【0043】
この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従うと、
図13は、
図3の構成において、入力光信号の部分が、光カプラ130(1)によって方向付けされた後、但し光カプラ130(2)によって反射検知素子200に向けられる前に光増幅器180によって増幅されるように、光増幅器180が位置決めされている状態を示す。
図13の光増幅器180は、検知素子200からの反射部分を増幅しない。対照的に、
図14は、
図3の構成において、入力光信号の部分が、光カプラ130(1)および130(2)によって方向付けされた後に光増幅器180によって増幅され、検知素子200からの反射された部分が光カプラ130(2)によってリターンバス116に向けられる前に光増幅器180によって増幅されるように、光増幅器180が位置決めされている状態を示す。
【0044】
この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従うと、
図15は、
図5の構成において、入力光信号の部分が、光カプラ130(1)によって方向付けされた後、但し光サーキュレータ140によって反射検知素子200に向けられる前に光増幅器180によって増幅されるように、光増幅器180が位置決めされている状態を示す。
図15の光増幅器180は、検知素子200からの反射部分を増幅しない。この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従うと、
図16は、
図5の構成において、反射信号が光サーキュレータ140によって方向付けされた後、但し光カプラ130(2)によってリターンバス116に向けられる前に光増幅器180によって増幅されるように、光増幅器180が位置決めされている状態を示す。
図16の光増幅器180は、検知素子200へと伝搬する入力信号を増幅しない。
【0045】
この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従うと、
図17は、
図5の構成において、入力光信号の部分が光カプラ130(1)および光サーキュレータ140によって方向付けされた後、但し反射検知素子200によって受信される前に光増幅器180によって増幅され、検知素子200からの反射された部分も、光サーキュレータ140および光カプラ130(2)によってリターンバス116に向けられる前に光増幅器180によって増幅されるように、光増幅器180が位置決めされている状態を示す。
【0046】
いくつかの実施例においては、装置は、増幅器毎に2つ以上のセンサを多重化し得る。
図7において、少なくとも1つの反射検知素子200が、上述のとおり、分割カプラ150および複数のセンサ300を含む例を見ることができる。このように、いくつかの実施例においては、すべてのセンサ300の前または後に増幅器を組込む必要があるわけではない。各々の増幅器180の位置およびゲインは、所望の応用例および規格に応じて選択されてもよい。たとえば、
図7の構成は、分配バス115に沿った各対の連続した光カプラ130間と、リターンバス116に沿った各対の連続した光カプラ130間とに光増幅器180を含むが、いくつかの実施例は、分配バス115またはリターンバス116に沿った各々の連続した対の光カプラ130間に光増幅器180を備えない。いくつかのこのような実施例は、選択された光カプラ130間においてのみ(たとえば、1対おきの光カプラ130間、または分配バス115およびリターンバス116のうちの一方の光カプラ130間においてのみ)光増幅器180を含む。
【0047】
図4は、さまざまな検知素子200についての信号対雑音比が実質的に互いに等しくなり得る構成を示す。
図4の構成においては、各々の検知素子200に対応する信号のための増幅の全体量が実質的に互いに等しくなるように、光がシステムを通って伝搬する。この明細書中に記載されるいくつかの実施例においては、たとえば、
図4を参照すると、入力光信号の第1の部分が、第1の因子で(たとえば、分配バス115の1つの増幅器180を通って伝搬することによって)増幅される。入力光信号の第1の部分は検知素子200(1)によって受信される。検知素子200(1)からの反射されたそれぞれの部分は、光検出器120によって受信される前に第2の因子で(たとえば、リターンバス116の複数の増幅器180を通って伝搬することによって)増幅される。入力光信号のうち検知素子200(1)に向けられない部分が、検知素子200(2)によって受信される前に第3の因子で(たとえば、分配バス115の2つの増幅器180を通って伝搬することによって)増幅される。検知素子200(2)からの反射されたそれぞれの部分は、光検出器120によって受信される前に第4の因子で(たとえば、リターンバス116の1つ少ない数の増幅器180を通って伝搬することによって)増幅される。装置は、第1の因子および第2の因子の合計が第3の因子および第4の因子の合計と実質的に等しくなるように構成することができる。いくつかのこのような実施例においては、検知素子200(1)からの反射信号についての信号対雑音比は、検知素子200(2)からの反射信号についての信号対雑音比と実質的に等しい。
【0048】
一例として、
図4に示される実施例においては、各々の光増幅器180が同じ割合のゲインだけ(たとえばゲインgだけ)増幅した場合、第1の因子はgになるだろう。というのも、入力光信号は、反射検知素子200(1)によって受信される前に分配バス115のうちの1つの光増幅器180によって増幅されるからである。検知素子200(1)からの反射信号が光検出器120によって受信される前にリターンバス116のn個の光増幅器180によって増幅されるので、第2の因子は(n×g)になるだろう。入力光信号の部分が反射検知素子200(2)によって受信される前に分配バス115の2つの光増幅器180によって増幅されるので、第3の因子は(2×g)になるだろう。検知素子200(2)からの反射信号が光検出器120によって受信される前にリターンバス116の(n−1)個の光増幅器180によって増幅されるので、第4の因子は[(n−1)×g]になるだろう。この実施例においては、第1の因子および第2の因子の合計[g+(n×g)=(n+1)×g]は、第3の因子および第4の因子の合計[(2×g)+(n−1)×g=(n+1)×g]と等しい。(たとえば、検知素子200の両側にある対応する光カプラ130(1)と130(2)との間にあり、これら対応する光カプラ130(1)および130(2)を含む)各々の段において損失があるいくつかの実施例においては、各々の光増幅器180は、光増幅器180からのゲインが対応する段における損失と等しくなり、出力における正味のゲインがなくなるように構成することができる。
【0049】
アクティブアレイ(その一例が
図4によって概略的に示される)を備えたいくつかの実施例においては、分配バス115およびリターンバス116上の光カプラ130は、パワーの一部を信号波長(たとえば所与の入力されたパワーバジェットについての信号対雑音のために最適化された結合比)で結合することができる。いくつかの実施例においては、光カプラ130はポンプ波長で0パーセントを結合することができ、また、実質的にすべてのパワーをポンプ波長で送信してポンプパワーバジェットを最小限にすることができる。
【0050】
当業者であれば、各々の光増幅器180についてのゲインの割合がすべての光増幅器180に対して同じである必要がないこと、ならびに、第1の因子および第2の因子の合計を第3の因子および第4の因子の合計に実質的に等しくするために、各々の反射検知素子200のための光増幅器180の数が同じである必要がないことを認識するだろう。当業者は、この明細書中に記載される開示を考慮して、この結果を達成するために増幅器の適正な数および増幅器のゲインの割合を選択することができる。
【0051】
図18は、この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従った単一の光バスを利用する装置の例を概略的に示す。いくつかのこのような実施例は、入力光信号の分配および戻ってくる反射光信号の送信のために用いられるファイバが1つだけでよいという利点を有する。これらの実施例は、
図18によって概略的に示されるように、光バスの前端において少なくとも1つの光源110および少なくとも1つの光検出器120を含むよう構成することができる。
【0052】
いくつかの実施例においては、たとえば
図18においては、レーザポンプ源170からのポンプおよびレーザ信号源110からの非変調信号が装置を通って移動し、光サーキュレータ140(1)および光カプラ130(1)によって反射検知素子200(1)に向けられる。検知素子200(1)からの反射信号は、光カプラ130(1)および光サーキュレータ140(1)によって光検出器120に向けられる。入力光信号のうち反射検知素子200(1)に向けられない部分は、光サーキュレータ140(2)によって光増幅器180および反射板195に向けられる。反射板195は、信号のうち少なくとも一部を光増幅器180を介して反射し返し、光サーキュレータ140(2)によって光カプラ130(2)へと向けられて、信号を検知素子200(2)に向ける。検知素子200(2)からの反射された部分は、光カプラ130(2)によって光サーキュレータ140(2)に戻される。光サーキュレータ140(2)は、反射信号を光カプラ130(1)に戻す。光カプラ130(1)は、光サーキュレータ140(1)を介して反射信号を光検出器120に向ける。
【0053】
この態様で、入力光信号の部分が、光サーキュレータ140および光カプラ130によって反射検知素子200(1)、200(2)、…200(n)に向けられる。光サーキュレータ140および光カプラ130はまた、未変調の入力光信号の部分を光増幅器180および反射板195に向ける。信号は光増幅器180を通過し、次いで反射板195によって反射されることによって、光増幅器180を再度通過する。信号が光増幅器を2回通過するので、この実施例では、所与のゲインを達成するのに用いられる光増幅器180のサイズ(たとえば長さ)を減じることができる。反射板195から反射された非変調信号は、装置における残りの検知素子200を精査する問合せ信号として、装置の残りの部分へと供給される。他方で、この実施例においては、検知素子200からの反射された部分は、光検出器120および他の受信電子機器が存在する前端(たとえば入力信号がシステムに投入される端部)の方にしか向けることができない。
【0054】
装置からの応答信号を前端において光検出器120に結合するのに用いられる光サーキュレータ140(1)を光アイソレータおよび光カプラの組合せと置換えることができる。当業者であれば、カプラの分割損失に起因する付加的な損失のコストを認識するだろう。さらに、ポンプ波長の信号が検知素子に達するのを防ぐために、システムのうち検知素子を含む部分において光アイソレータを利用することができる。
【0055】
当業者であれば、検知素子からの反射された部分のうち少なくとも一部が増幅器を2回通過するように反射板によって反射され得るように、装置のいくつかの実施例に変更を加えることができることを認識するだろう。
【0056】
いくつかの実施例においては、光学フィルタは、反射された部分が光検出器によって受信される前にフィルタを通過するように光バスに位置決めされる。フィルタはホワイトノイズを除去することができる。
【0057】
図19は、この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従った、光バスを複数の反射検知素子に光学的に結合するよう構成するための例示的な方法500を示すフローチャートである。方法500は、
図19の動作ブロック510に示されるように、少なくとも1つの光バス100を備えるステップを含む。光バス100は複数の光カプラ130を含む。少なくとも1つの光バス100は、複数の光カプラ130によって、入力光信号の少なくとも1つの源110、少なくとも1つの光検出器120および複数の反射検知素子200に光学的に結合されるよう構成される。複数の反射検知素子200のうち少なくとも1つの反射検知素子200(1)が入力光信号の一部を受信し、受信された部分のうち少なくとも一部を反射するように、少なくとも1つの光バス100が、入力光信号を少なくとも1つの源110から複数の反射検知素子200に送信する。少なくとも1つの光バス100は、反射された部分を少なくとも1つの光検出器120に送信する。方法500はまた、
図19の動作ブロック520に示されるように、少なくとも1つの反射検知素子200(1)の雑音指数を減じるよう複数の光カプラ130の結合比を選択するステップを含む。
【0058】
図20は、この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従った、光バスを複数の反射検知素子に光学的に結合するよう構成するための方法600の別の実施例を示すフローチャートである。方法600は、この明細書中に記載されるように、動作ブロック510および520を含む。方法600は、動作ブロック610に示されるように、少なくとも1つの光バス100における損失を補償するよう入力光信号の部分を増幅するステップをさらに含む。
【0059】
図21は、この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従った、光バスを複数の反射検知素子に光学的に結合するよう構成するための方法650の別の実施例を示すフローチャートである。方法650は、この明細書中に記載されるように、動作ブロック510および520を含む。方法650は、動作ブロック660に示されるように、少なくとも1つの光バス100における損失を補償するよう、反射された部分を増幅するステップをさらに含む。
【0060】
この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従って光バスを複数の反射検知素子に光学的に結合するよう構成するための方法700の別の実施例が、
図22のフローチャートに示される。方法700は、この明細書中に記載されるように、動作ブロック510および520を含む。方法700はさらに、動作ブロック710において第1の因子で入力光信号の第1の部分を増幅するステップと、動作ブロック720において第1の検知素子200(1)によって入力光信号の第1の部分を受信するステップと、動作ブロック730において第1の検知素子200(1)からのそれぞれの反射された部分を第2の因子で増幅するステップと、動作ブロック740において入力光信号の第2の部分を第3の因子で増幅するステップと、動作ブロック750において第2の検知素子200(2)によって入力光信号の第2の部分を受信するステップと、動作ブロック760において第2の検知素子200(2)からの反射された部分を第4の因子で増幅するステップとを含む。第1の因子および第2の因子の合計は、第3の因子および第4の因子の合計に実質的に等しい。
【0061】
図23は、この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従った、光バスを複数の反射検知素子に光学的に結合するよう構成するための方法800の別の実施例を示すフローチャートである。方法800は、この明細書中に記載されるように、動作ブロック510および520を含む。方法800はさらに、動作ブロック810において光増幅器180によって入力光信号の部分を増幅するステップと、動作ブロック820において光反射板195によって入力光信号の部分のうち少なくとも一部を反射するステップと、動作ブロック830において、入力光信号の部分のうち光の反射板195によって反射された部分を光増幅器180によって再度増幅するステップとを含む。
【0062】
いくつかの実施例においては、光バスを複数の反射検知素子に光学的に結合するよう構成するための方法900が
図24のフローチャートに示される。方法900は、この明細書中に記載されるように、動作ブロック510および520を含む。方法900はさらに、動作ブロック910において、反射された部分を光増幅器180によって増幅するステップと、動作ブロック920において、反射された部分のうち少なくとも一部を光反射板195によって反射するステップと、動作ブロック930において、反射された部分のうち少なくとも一部を光増幅器180によって再度増幅するステップとを含む。
【0063】
図25は、この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従った、光バスを複数の反射検知素子に光学的に結合するよう構成するための方法1000の別の実施例を示すフローチャートである。方法1000は、この明細書中に記載されるように、動作ブロック510および520を含む。方法1000は、動作ブロック1010に示されるように、ホワイトノイズを除去するステップをさらに含む。
【0064】
例
図10Bは、この明細書中に記載されるいくつかの実施例に従った、時分割多重化(TDM:time-division multiplexing)を利用する例示的な装置10を概略的に示す。分配バス115およびリターンバス116は、各々が1つの検知素子200を含む一連の段によって(たとえば光カプラ130(1)と光カプラ130(2)との間で)互いに結合される。
図26は、フォトニック結晶膜の走査電子顕微鏡画像を示しており、検知素子200として
図10Bの例示的な装置10に用いることができフォトニック結晶膜を用いたファブリーペロー(FP)干渉計センサを概略的に示す。FPセンサは、センサに入射する音波に応答して逸れるよう構成された第1の反射板(たとえば、およそ1.55ミクロンの広帯域反射板である450nm厚の単結晶シリコンフォトニック結晶ダイアフラム)と、第1の反射板から約25ミクロン空けて配置されたおよび第2の反射板(たとえば、単一モードSMF−28ファイバの裂開された先端)とを含む。このような検知素子200は、O. C. Akkayaらによる「熱的に安定した高感度で再現可能な音響センサのモデリングおよび実証」("Modeling and Demonstration of Thermally Stable high-Sensitivity Reproducible Acoustic Sensors"(J. of Microelectromechanical Systems, vo. 21, no. 6, 2012))に記載される。光信号源110は、線幅が15kHzである低雑音の1550nmレーザダイオードを備え、この後に続いて、光アイソレータと、80kHzの繰返し率(たとえば1.6%のデューティサイクル)で200nsパルスを生成する2.5−Gb/s LiNbO
3強度変調器とを備える。
【0065】
パルスが分配ファイバ115に入射されると、このパルスは第1の段においてカプラ130(1)に衝突し、光サーキュレータ140を介してこの段に位置する第1の検知素子200(1)にパルスエネルギのごく一部を結合する。検知素子200(1)においては、パルスは、検知素子200(1)に入射する音圧によって変調された振幅である。検知素子200(1)によって反射された振幅変調済みパルスは、同じサーキュレータ140(1)によって段の下部に向けられ、そこで、第2のカプラ130(2)がこの振幅変調済みパルスをリターンファイバ116上で結合する。分配ファイバ115上では、入力パルスのうち第1のカプラ130(1)によって送信される部分が第2の段に移動し、そのエネルギのごく一部が第2の段に結合され、そこで第2の検知素子200(2)が精査される。入力パルスがアレイの端部に到着し、すべての検知素子200が問合せされてしまうまでこのプロセスが続く。したがって、所与の入力パルスに関して、アレイは一連のN個の帰還パルスを発生させる。その各々は特定の検知素子200を精査したものである。第1の入力パルスがアレイの端部に到達し、検出器120に戻ると、第2の入力パルスはアレイに入射可能となり、これにより、検知素子200が(たとえば、可能な限り頻繁に)問合せされることとなる。帰還パルスは、リターンファイバ116の端部に配置された単一の光検出器120を用いて前端において検出される。
【0066】
カプラ130(1)および130(2)は、信号波長について60%の結合比と名目上同一であった。光サーキュレータは、一方向のみのパルスの送達を可能にし、検知素子200から分配ファイバ115へと反射し返されたパルスの再結合を防止し、これにより、付加的な光アイソレータの使用を回避し、装置10のコストおよび複雑さを抑制する。光遅延線(たとえば長さ100メートルのファイバコイル)を各段の間に位置決めして、480nsの隣接する帰還パルス間に遅延をもたらして帰還パルス間の一時的なオーバーラップを回避することができる。
【0067】
図10Bの例示的な装置10は、各々の検知素子200に等しい光パワーが入射されるよう、かつ、すべての検知素子200の反応のために同様の出力信号雑音比(SNR)を有するよう設計された。パッシブアレイにおいては、不可避の損失により、結果として、パルスが例示的な装置10を通過するのに応じて減衰され得る。たとえば、カプラ130(〜4dB)における分割損失、カプラ130(〜0.5dB)の挿入損失およびスプライス損失(〜0.01dB/スプライス)により、総損失が〜5dB/段となり、これにより、多数の検知素子200が多重化されたときに出力SNRが実質的に劣化する可能性がある。10個のセンサのパッシブアレイにおいては、この損失は、入射された信号が10番目のセンサにおいて第1のセンサよりも〜50dB低くなるであろうことを示唆する。この著しい減衰により、このようなTDMシステムにおいて多重化することのできる検知素子200の数を制限することができる。
【0068】
これらの損失を補償するために、複数の低ゲイン光増幅器180(たとえばEDFA)を用いることができる。当該複数の低ゲイン光増幅器180は、たとえば
図10Bに図示のとおり、分配ファイバ115およびリターンファイバ116の両方に沿って、各々のファイバカップラ130(1)および130(2)よりも前に位置している。これらの増幅器180は、レーザポンプ源170で遠隔でポンピングすることができ、パルスが例示的な装置10を通過するのに応じてこれらパルスの全光増幅を可能にし得る。ポンプパワーを節約するために、カプラ130はWDMカプラであってもよく、このWDMカプラは、ポンプパワーを分配ファイバ115またはリターンファイバ116から逸らさないように、ポンプ波長(たとえば980nm)で無視できるほどの結合を呈するものである。増幅器180は、強いポンプ飽和下で動作させることができるため、1つの増幅器180によっては吸収されないポンプパワーがファイバを下り続けて下流の増幅器180をポンピングすることとなる。
【0069】
すべての段から戻ってくるパルス中の等しいパワー、または各ファイバに沿った信号波長での同等にほぼ均一な送信のために、各増幅器180のゲインは損失と等しくなるよう設定される。たとえば、ゲインは以下の式を満たし得る。
【0071】
この場合、Γ
Erは単一モードファイバとEr添加ファイバ(EDF)との間のスプライスの損失であり、Γ
δはカプラ130における過剰なパワー損失であり、Cは信号波長での結合比である。〜45cmの長さの商用EDFを用いて増幅器180毎に約5dBのゲインを達成することができる。増幅器180は、前端に位置する2つの980nmレーザダイオード(たとえば、各々が1−A電流源によって駆動される2つの〜450mWレーザダイオード)でポンピングすることができ、ポンプパワーは、最後の増幅器180がポンプ飽和されるように十分なパワー(たとえば〜100mW)を受信することを確実にするよう選択可能であり、これにより、ポンプパワー変動に対するゲインの依存性を最小限にする。
【0072】
信号波長での結合比が高ければ高いほど、より高い信号が各々の検知素子200に入力され、すべての検知素子200に対するSNRがより高くなる。しかしながら、結合比が高ければ高いほど分割損失も大きくなり、このような損失に対処するために各々の増幅器に用いられるゲインがより高くなることにより、各々の増幅器が発生させる雑音がより高くなり、ポンプパワーバジェットがより高くなる可能性がある。
図10Bにおける10個のセンサの例示的な装置の場合、ゲインの上昇による雑音の増加は無視できるほどであった。したがって、ポンプパワーは最適な結合比を決定する際の重要な制約となった。60%の結合比が選択された。なぜなら、この結合比が各ファイバ上での450mWのポンプパワーについての最大値であったからである。
【0073】
この例示的な装置10の時間領域動作が
図27に示される。S
in(t)は、装置10に入力された信号パワーを表わし、S
rは受信機に帰還するパルスの各々における信号パワーである(r=1、2、…10)。受信端においては、光ゲートが1つの特定の検知素子200からのパルスを選び出す。これは、入力において強度変調器を駆動するRFパルス発生器によってトリガされるRF遅延発生器を適切に設定することによって選択することができる。こうして、光ゲートは、可変遅延を用いて80kHzの繰返し率で一連の〜220nsパルスを発生させる。
図27に示されるS
3から帰還するパルスなどの遅延を変えることによって、S
rにおける個々の各センサの反応を一度に1センサずつ選択および分析することができる。光ゲートの後にEDFAモジュールが続き、パルスを予め増幅し、ゲートの挿入損失を補償する。このEDFAの後に、〜1nm帯域幅の光バンドパスフィルタ(BPF:band-pass filter)が続く。このフィルタは、EDFAによって生成される増幅自然放出(ASE:amplified spontaneous emission)のうち信号帯域幅の範囲外となる部分を受付けず、これにより実質的にパルスSNRが改善される。BPFの出力は、1GHzのInGaAs PINフォトダイオードによって検出される。フォトダイオード信号は、24dBの電圧利得および2.9dBの雑音指数で電圧増幅器によって増幅される。電圧増幅器出力は、信号を分析するために動的信号分析器(DSA:dynamic signal analyzer)に供給される。
【0074】
図10Bの例示的な装置10は一度に1段ずつ組立てられたものであった。次の段を組立てる前に、アレイ出力を監視して、マルチパス干渉または擬似的な反射による変動がなかったことを確認した。最後に設置された段から帰還する信号パルスの雑音と、その段を通過するポンプパワーも、例示的な装置10の性能を監視するために測定された。
【0075】
個々の検知素子200の音響特性化は、〜0.1mWの平均的な光信号パワーを例示的な装置10に入射することによって実行された。10個のすべての検知素子200は例示的な装置10に接続され、特性化すべき検知素子200は反射防止壁で音響的に隔離されたエンクロージャに配置された。このエンクロージャによって、特に低周波測定に影響を及ぼすであろう環境雑音が最小限にされた。チャンバの内部に位置する音響源は、固定周波数で動作させた。エンクロージャの反射防止壁は、壁からの反射による音響共振を抑制して、定在波の形成を防止し、チャンバ内の音圧をほぼ均一にした。RF発生器上の遅延を調整することによって、テスト中の特定の検知素子200の出力パルスが選択され、この検知素子200の反応のSNRがDSAで分析された。
【0076】
入力パルス列S
in(t)は、幅ζの一時的なパワー分配Rect(t/DT)、繰返周期TおよびデューティサイクルD=ζ/Tである周期的な一連の方形波である。これは、無限の周期的な一連のディラック関数Λおよび方形パルスの時間領域において畳み込みとして数学的に記載することができる。
【0078】
ここで、zは測定窓(measurement window)の期間である。式2のフーリエ変換を採用することにより、このパルス列の周波数領域表現は以下のように計算することができる。
【0080】
これは、包絡線がsinc(DTf)によって変調されている一連のディラックデルタ関数である。このようなパルス列上のパルスに適用された振幅変調により、信号の周波数スペクトルZ
in(f)に側波帯が導入される。これらの側波帯は、出力信号を復調し、かつ出力パルスシーケンスから音響信号を回復するために用いられた。較正は、テスト中にエンクロージャの内部において検知素子200から約1cm離れたところに配置された較正済み基準マイクロホンを介して実際の入射音圧を測定することによって実行された。検知素子反応のSNRは、音響信号の周波数でノイズフロアに対して側波帯の振幅を比較することによって特徴付けられた。最小検出可能圧力(MDP:minimum-detectable-pressure)は、μPa/√Hzでは、SNRによって(基準マイクロホンで測定された)音圧を分割することによって得られた。
【0081】
式3によって証明されるように、信号の振幅はデューティサイクルに応じて直線的に縮小拡大する。というのも、変調されているパルスのエネルギがパルス幅に比例しており、雑音に対するデューティサイクルの影響が
図10Bの例示的な装置10の場合と同様に、光検出器の熱雑音によって制限される場合には最小限になるからである。したがって、これらの実験条件下では、SNRは、Dに応じて直線的にスケーリングする。この点を実験的に確認するために、(例示的な装置10に光学的に接続された)特定のセンサが音響エンクロージャに挿入され、例示的な装置10の他のすべての検知素子200を光学的に遮断した。(繰返周期を80kHzで一定に維持しつつ)パルス幅が高くなると、反応のSNRが測定された。結果を
図28に示す。図に示される直線回帰は0.9の傾斜を有する。デューティサイクルが0.4%〜100%に変化したとき、測定されたSNRがデューティサイクルに応じてほぼ直線的に増加し、傾斜が1の期待値に近くなることが分かった。
【0082】
式3に関連した上述の復調技術は10個の検知素子200の各々に対して個々に行われ、すべての検知素子200は例示的な装置10において接続された。これらの測定中に、テスト中の検知素子200が音響源(12.5kHzで100mPa)に晒される一方で、他の9個の検知素子200が(音響エンクロージャ外部の)音響信号から分離された。測定されたSNRの分配を
図29に示す。この周波数での10個のすべての検知素子200についての平均SNRは43.83dB Hz
1/2となるよう測定され、検知素子200同士の標準偏差は0.67dB Hz
1/2、最大偏差は±0.95dB Hz
1/2であった。SNRのこのわずかな偏差は、例示的な装置10における多数のFP干渉計検知素子200の多重化に対して有用であった。
【0083】
検知素子反応間のクロストークを特性化するために、上述のSNR特性化手順が繰返されたが、音響源によって変調されたものに隣接している9つの残りのパルスの各々に対する出力光ゲートは、1つずつ切替えられた。このようにして、隣接するチャネルによって拾い上げられた音響周波数での如何なる不所望な信号も、たとえば、変調器の有限消光比、パルス間の一時的なわずかなオーバーラップなどの結果として起こり得るものとして、識別が要求された。ノイズフロア(−22dB)を上回る信号は9個の非励起の検知素子200のいずれにも観察されず、
図10Bの例示的な装置10のクロストークが−22dBよりも良好になるという結論に達した。上述したように、サンプリング周期における1パルスが、変調された振幅である場合、周波数領域復調方策により、出力信号の復調が可能となる。すべての検知素子200を同時に励起しつつ、たとえば、1周期におけるすべてのパルスを振幅変調しつつ出力信号を復調するために、入力強度変調器および出力光ゲートの消光比を高くなる(たとえば、>50dB)よう選択することができる。たとえば、消光比についてのこの条件は、直列に接続され互いに同期して駆動される2つの変調器を用いることによって達成され得る。
【0084】
例示的な装置10が偏光の影響を受けないことを証明するために、偏光制御器が第5の段上で検知素子200と光サーキュレータ140との間に挿入され、その特定の検知素子反応についてのSNRが、偏光制御器の多数の設定(たとえば、本質的にあらゆる可能な偏光の入力状態(SOPs:states of polarization))に関してテストされた。偏光状態が変化してもSNRの変動は観察されなかった。実用化する際に、検知素子200上に入射する入力SOPは、外部の温度変化のせいでランダムに変動する可能性があり、このテストは、
図10Bの例示的な装置10がこのような変動に影響されないことを示す。
【0085】
アレイ出力パルスに対する主要な雑音寄与およびこれらの寄与に影響を及ぼすパラメータを理解するために、各々の検知素子から帰還する信号とこれに伴う雑音とをモデル化することができる。式1に記載されるように、均一な送信をもたらすようゲインが選択された場合、すべての検知素子から帰還するパルスピークパワーP
sが等しくなり、以下のとおりとなる。
【0087】
この場合、P
INはアレイに入力されたパルスのピークパワーであり、Г
γは各サーキュレータにおける過剰なパワー損失であり、L
Sはセンサ損失である。センサに入射した光パワーがP
iであれば、最も高い感度波長での反射パワーがP
i/4となる。したがって、センサ損失がL
S=6dBとなる。
【0088】
検出された信号中の総雑音は概して5個の主要な源、すなわちEDFA雑音、信号ショット雑音、光検出器の熱雑音、レーザ相対強度雑音(RIN:relative intensity noise)、およびセンサの熱力学的雑音を有する。ASE信号は連続波信号であるため、累積的であり、すべての検知素子反応に対して同じである。フォトダイオードにおいて検出される総ASEパワーは、2つのファイバ上のすべてのEDFAによって生成されるASEパワーの合計である。ASE信号は信号パルスと同じ経路を横断し、個々のファイバ上の正味のゲインまたは損失を被らない。これらASE信号は分配ファイバから分離し、検知素子において反射され、リターンファイバに結合されて検出器に送信される。検出器において蓄積されたASEパワーを計算するために、分配ファイバ上のこの段から上流に位置するすべてのEDFAから特定の段に結合される総ASEパワーが計算される。これらASE信号の各々は、段を下っていき、検知素子においていくらかのパワー損失を被り、残りの60%のASEパワーがカプラによって段の底においてリターンファイバに結合される。次いで、これらの10個のASE信号を、リターンファイバ上のすべてのEDFAによって生成される総ASEパワーに追加することができる。このプロセスによって計算される蓄積されたASEは以下のように表わすことができる。
【0090】
ここで、N
A=n
sp(G−1)であり、n
spは自然放出因子(1.5)であり、Mはモードの数(単一モードファイバの場合、2)であり、hはボルツマン定数であり、νは光周波数であり、Δνは光学帯域幅である。
【0091】
検出器においては、ASE信号が信号−自然放出(s−sp)ビート雑音、自然放出−自然放出(sp−sp)ビート雑音および自然放出ショット雑音を発生させる。W/√Hzで表わされるこれらの項の各々についての雑音等価パワー(NEP:noise equivalent powers)は以下のとおり記載することができる:
【0093】
ここで、D=τ/Tは信号のデューティサイクルであり、qは電子電荷であり、ρはフォトダイオード応答性である。入力信号の強度雑音は、(−140dB/Hzとして測定される)レーザのRINの項において表わされる。
【0095】
信号ショット雑音は、以下のとおり、検出された光パワーに関連する。
【0097】
高速の応用例の場合、光検出器の熱雑音は総雑音のかなりの割合をなす可能性がある。
図10Bにおいて用いられる1Gbit/sのInGaAsフォトダイオードは、製造業者によって規定されるように、20pW/√HzのNEPを有した。12.5kHzでの検知素子の熱力学的雑音は0.36pW/√Hzであった。これらの寄与の各々が統計的に相互に関連しないと想定すると、総雑音は、これらの雑音寄与の2乗の和の二乗根である。
【0098】
図30は、例示的な装置10についての検知素子200の数の関数として計算されたこれらの7つの雑音寄与を示す。一番上の曲線は総雑音を表わす。
図30は、入力パワー
【0100】
では、検知素子の熱力学的雑音およびレーザ強度雑音が無視できるほどであることを示す。同様に、信号ショット雑音およびASEショット雑音は、信号−自然放出および自然放出−自然放出ビート雑音の項と比較して、無視できるほどである。N<30の場合、検出器の熱雑音はノイズフロアに対して支配的な影響を及ぼす。さらに、雑音は、入力パワーおよびデューティサイクルとは無関係である。30<N<40の場合、信号−ASEのビート雑音が顕著となる。N>40の場合、ASE−ASEビート雑音が顕著になり始め、雑音が劣化しすぎる前に追加することのできる段の数に対する限定要因となる。幾つかの検知素子の後に、ASE−ASEビート雑音が装置10の信号−ASEビート雑音を上回る理由として、追加された各々の段によってEDFA(たとえばASE電源)の数が増えてしまうのに対して、信号パワーが一定であることが挙げられる。
【0101】
図10Bの10個の検知素子に関して、モデルにより、−108.1dBV/√Hz(
図30を参照)の総雑音が予測される。これは、−107.5dBV/√Hzという実験的に測定された値とほぼ一致している。この雑音は、音響源がオフである間にDSAでアレイ出力を分析することによって実験的に測定された。
【0102】
音響源がオンにされて0.1Paの圧力にされたとき、
図10Bの例示的な装置10の平均SNRは、12.5kHzでは43.83dB Hz
1/2であった。このSNRは、この〜640μPa/√Hzの周波数では平均MDPに対応しており、10個のすべての検知素子に関して最大偏差がわずかに±60μPa/√Hzとなる(MDP=P
acoustic/SNR)。この偏差は3つの因子から生じる。(1)先に述べた±0.3dBの個々の検知素子感度の変動;(2)EDFA間のゲインの変動;および(3)構成要素規格、特に結合比、挿入損失の変動;などである。例示的な装置10の外部で個々に作動させる10個の検知素子の平均MDPは同じ周波数で〜6.3μPa/√Hzとなるよう予め測定された。〜6.3μPa/√Hz(個々の検知素子)と〜640μPa/√Hz(例示的な装置10における検知素子)との差は3つの寄与に起因している可能性がある。まず第一に挙げられるのは、
図28において実験的に確認されたとおり、熱雑音限界での入力信号のデューティサイクルに比例したSNRの劣化である(1.6%、または−18dB)。第2の理由として、個々の検知素子の測定値と比較して、例示的な装置10において用いられるより低い入力光パワー(4倍または−6dB)が挙げられる。第3の相違点として、個々の検知素子の測定値においては、雑音がレーザRINによって制限され、これが例示的な装置10において用いられる検出器の熱雑音と比較して3dB倍だけ高かったことが挙げられる。これらの組合わされた寄与は合計で−21dBとなるか、またはSNRの125分の1に相当し、これは、測定されたMDPの100倍の増加と一致している。なお、この実現例においては、実用上の理由から、各々の段同士の間の遅延線が必要以上に長かったことに留意されたい。これらの長さを単に50%短くすることで、システムに他の何らかの変更を加えることなく、このバジェットを3dBだけ改善し、これにより、MDPを12.5kHzで〜320μPa/√Hzにまで低下させることとなるだろう。しかしながら、大規模センサアレイの応用例では、概して、各段において音響的に感度の低い基準反射板を用いて、関連する損失を監視して、隣接するセンサ間にパルスの2倍の幅を割当てる。
【0103】
図10Bの構成で多重化することのできる検知素子の最大数と最小検知可能圧力とを定量化するために、検知素子を例示的な装置10において動作させたときに例示的な装置10によって追加される雑音を計算することができる。特に、入力信号と出力信号とのSNRの比率として規定される例示的な装置10の雑音指数は理論的に分析することができる。雑音指数を決定するために、式4〜式8は、入力信号の関数として出力信号と、例示的な装置10の入出力の両方における雑音とを計算するために用いることができる。このシステム雑音は結果としてMDPを劣化させ、検知素子の数に応じて大きくなる。
【0104】
図31は、最適なデューティサイクルであると想定して、多重化された検知素子の数に対するMDP(10log
10規模)の依存性を示す。
図31によれば、350個のセンサが
図10Bのアーキテクチャで多重化されたときに、1nmのフィルタ帯域幅では、〜30mPa/√HzのMDPを達成することができることが明らかになる。検知素子の数がより多い場合、TDMに加えてWDMを組込むことができる。たとえば、適度な10チャネルのシステムの場合、多重化検知素子の数を石油探査産業の要件に近い最大〜3500まで増やすことができる。この図はまた、達成されたMDPに対するASEパワーの帯域幅の作用を定量化したものであり、検出器に到達するASEパワーの帯域幅を低減させるために、かつ、特に多数の検知素子を備えたシステムの場合に自然放出−自然放出ビート雑音を最小限にするために例示的な装置10の出力で光BPFを利用するという利点を実証している。
【0105】
この明細書中に記載されるいくつかの実施例は、時分割多重化方式に基づいたものであるかまたはこれを利用したものである。当業者であれば、時分割多重化に加えて、波長分割多重化を組込むことによって、この明細書中に記載されるいくつかの実施例で多重化することのできる検知素子の数を増やすこともできることを認識するだろう。
【0106】
本発明のさまざまな実施例を上述してきた。これらの特定の実施例に関してこの発明を説明してきたが、この説明は本発明を例示するよう意図したものであり、限定するよう意図したものではない。さまざまな変形例および応用例が、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の真の精神および範囲からから逸脱することなく当業者に想到され得る。