特許第5980176号(P5980176)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980176
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】即時給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24D 17/00 20060101AFI20160818BHJP
   F24H 1/10 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   F24D17/00 P
   F24H1/10 301F
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-151346(P2013-151346)
(22)【出願日】2013年7月22日
(65)【公開番号】特開2015-21681(P2015-21681A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2015年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島田 茂輝
(72)【発明者】
【氏名】弓削 愛
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−013241(JP,A)
【文献】 特開平03−195859(JP,A)
【文献】 特開2000−205651(JP,A)
【文献】 特開平04−039539(JP,A)
【文献】 特開2004−286397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 17/00
F24H 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が上水道に接続され、他端が出湯栓に接続された第1往き管と、
前記第1往き管の一端と他端間を連通する戻り管と、
前記第1往き管の途中に接続されて、前記第1往き管を流通する湯水を加熱する第1加熱部と、前記第1往き管と前記戻り管から成る循環回路内の湯水を循環させる循環ポンプとを備えた第1給湯器と、
前記第1往き管の前記第1給湯器の上流側と下流側を連通した第2往き管と、
前記第2往き管の途中に接続されて、前記第2往き管を流通する湯水を加熱する第2加熱部と、前記第2往き管から流入する湯水の流量を検出する第2流量センサとを備えた第2給湯器と、
前記第2往き管から前記第2給湯器への通水を可能にし、前記第2給湯器から前記第2往き管への通水を不能にする逆止弁と、
前記第2流量センサの検出流量が所定の給湯検知流量未満であるときは、前記循環ポンプを作動させた状態で、前記第1加熱部を作動させる循環保温運転を実行し、前記第2流量センサの検出流量が前記給湯検知流量以上であるときには、前記循環ポンプを停止した状態で、前記第1加熱部と前記第2加熱部とのうちの少なくともいずれか一方を作動させる給湯運転を実行する制御部と
を備えたことを特徴とする即時給湯システム。
【請求項2】
請求項1に記載の即時給湯システムにおいて、
前記第2給湯器は、前記第2往き管から前記第2加熱部への通水が可能な通水可能状態と、前記第2往き管から前記第2加熱部への通水が不能な通水不能状態とを切換える第2通水切換弁を備え、
前記第2給湯器と前記第2往き管とを有する第2給湯ユニットを複数備えて、
前記制御部は、前記複数の第2給湯器のうちの少なくとも1台を前記第2通水切換弁により通水可能状態として、前記循環保温運転を実行し、前記循環保温運転の実行中に、該通水可能状態とした第2給湯器の前記第2流量センサの検出流量が前記給湯検知流量以上になったときに、前記循環保温運転を終了して前記給湯運転を実行し、
前記給湯運転の実行中に、通水可能状態である前記第2給湯器の前記第2流量センサの検出流量の総量に応じて、通水可能状態とする前記第2給湯器の台数を変更することを特徴とする即時給湯システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の即時給湯システムにおいて、
前記第1給湯器は、前記第1往き管から流入する湯水の流量を検出する第1流量センサと、前記第1往き管から前記第1加熱部への通水が可能な通水可能状態と、前記第1往き管から前記第1加熱部への通水が不能な通水不能状態とを切換える第1通水切換弁とを備え、
前記第1給湯器と前記第1往き管とを有する第1給湯ユニットを複数備えて、
前記制御部は、前記給湯運転の実行中に、通水可能状態である前記第1給湯器の前記第1流量センサの検出流量の総量に応じて、通水可能状態とする前記第1給湯器の台数を変更することを特徴とする即時給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出湯栓が開けられたときに、直ちに湯が供給される機能を備えた即時給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一端が上水道に接続されると共に他端が出湯栓に接続された往き管の途中に、往き管を流通する湯水を加熱する複数台の給湯器を接続し、これらの給湯器をバイパスして往き管を連通した戻り管と、往き管及び戻り管から成る循環回路内の湯水を循環させる循環ポンプとを備えた即時給湯システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された即時給湯システムにおいては、出湯栓が閉じられて給湯が停止しているときに、循環ポンプを作動させて循環回路内の湯水を循環させながら、給湯器を流通する湯水を加熱する循環保温運転を行っている。このように、循環保温運転を行って循環回路内の湯水を設定温度付近に維持することにより、使用者が出湯栓を開けたときに、出湯栓から直ちに湯が供給されるようにしている。
【0004】
また、前記即時給湯システムにおいては、出湯栓から湯が供給されているとき(給湯状態であるとき)に、循環ポンプを停止するようにしている。そのため、給湯状態になったことを検知するために、往き管を流れる湯水の流量を検出する第1流量センサと、戻り管を流れる湯水の流量を検出する第2流量センサと、給水管と戻り管との合流箇所に設けた第3温度センサとを備えている。
【0005】
そして、(a)第3温度センサの検出温度が急速に低下したとき、及び(b)第1流量センサの検出流量と第2流量センサの検出流量との差が所定流量以上になったときに、循環ポンプを停止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−286397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来の即時給湯システムにおいては、給湯状態であるときに循環ポンプの作動を停止するのが一般的である。そして、給湯状態であることを検知するために、前記即時給湯システムにように、戻り管を流れる湯水の流量を検出する第2流量センサと、戻り管と給水管の合流箇所に設けた第3温度センサとを、専用に備えた場合には、構成部品の増加により、システムの構成が複雑になると共にシステムのコストが増大するという不都合がある。
【0008】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、専用のセンサを備えることなく、給湯状態であることを検知可能な即時給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、本発明の即時給湯システムは、
一端が上水道に接続され、他端が出湯栓に接続された第1往き管と、
前記第1往き管の一端と他端間を連通する戻り管と、
前記第1往き管の途中に接続されて、前記第1往き管を流通する湯水を加熱する第1加熱部と、前記第1往き管と前記戻り管から成る循環回路内の湯水を循環させる循環ポンプとを備えた第1給湯器と、
前記第1往き管の前記第1給湯器の上流側と下流側を連通した第2往き管と、
前記第2往き管の途中に接続されて、前記第2往き管を流通する湯水を加熱する第2加熱部と、前記第2往き管から流入する湯水の流量を検出する第2流量センサとを備えた第2給湯器と、
前記第2往き管から前記第2給湯器への通水を可能にし、前記第2給湯器から前記第2往き管への通水を不能にする逆止弁と、
前記第2流量センサの検出流量が所定の給湯検知流量未満であるときは、前記循環ポンプを作動させた状態で、前記第1加熱部を作動させる循環保温運転を実行し、前記第2流量センサの検出流量が前記給湯検知流量以上であるときには、前記循環ポンプを停止した状態で、前記第1加熱部と前記第2加熱部とのうちの少なくともいずれか一方を作動させる給湯運転を実行する制御部と
を備えたことを特徴とする。
【0010】
かかる本発明によれば、前記循環保温運転が実行されているときに、前記第2給湯器については、循環ポンプによる前記第2加熱部への湯水の吸い込みは行われず、また、前記逆止弁により前記第2往き管の下流側から前記第2給湯器への湯水の流入が禁止される。そのため、前記出湯栓が閉栓されていれば、第2流量センサの検出流量は前記給湯検知流量未満になる。
【0011】
そして、前記出湯栓が開栓されると、前記第2往き管から前記第2給湯器を経由して前記出湯栓に湯水が流れるようになるため、前記第2流量センサの検出流量が前記給湯検知流量以上になる。そのため、前記循環保温運転の実行中に、前記第2流量センサの検出流量が前記給湯検知流量以上になったときに、前記出湯栓が開栓されて給湯状態になったと判断することができる。
【0012】
そして、前記第2流量センサは、前記第2給湯器において湯水が流通していない状態での第2加熱部による加熱を禁止するために、一般的に備えられるものである。そのため、専用のセンサを設けることなく、給湯状態であることを検知して、前記制御部により前記給湯運転を実行することができる。
【0013】
また、前記第2給湯器は、前記第2往き管から前記第2加熱部への通水が可能な通水可能状態と、前記第2往き管から前記第2加熱部への通水が不能な通水不能状態とを切換える第2通水切換弁を備え、
前記第2給湯器と前記第2往き管とを有する第2給湯ユニットを複数備えて、
前記制御部は、前記複数の第2給湯器のうちの少なくとも1台を前記第2通水切換弁により通水可能状態として、前記循環保温運転を実行し、前記循環保温運転の実行中に、該通水可能状態とした第2給湯器の前記第2流量センサの検出流量が前記給湯検知流量以上になったときに、前記循環保温運転を終了して前記給湯運転を実行し、
前記給湯運転の実行中に、通水可能状態である前記第2給湯器の前記第2流量センサの検出流量の総量に応じて、通水可能状態とする前記第2給湯器の台数を変更することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、前記給湯運転の実行中に、通水可能状態である前記第2給湯器の前記第2流量センサの検出流量の総量に応じて、通水可能状態とする前記第2給湯器の台数を変更することによって、湯の使用流量に応じて効率の良い給湯運転を行うことができる。
【0015】
また、前記第1給湯器は、前記第1往き管から流入する湯水の流量を検出する第1流量センサと、前記第1往き管から前記第1加熱部への通水が可能な通水可能状態と、前記第1往き管から前記第1加熱部への通水が不能な通水不能状態とを切換える第1通水切換弁とを備え、
前記第1給湯器と前記第1往き管とを有する第1給湯ユニットを複数備えて、
前記制御部は、前記給湯運転の実行中に、通水可能状態である前記第1給湯器の前記第1流量センサの検出流量の総量に応じて、通水可能状態とする前記第1給湯器の台数を変更することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、前記給湯運転の実行中に、通水可能状態である前記第1給湯器の前記第1流量センサの検出流量の総量に応じて、通水可能状態とする前記第1給湯器の台数を変更することによって、湯の使用流量に応じて効率の良い給湯運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】即時給湯システムの構成図(循環保温運転状態)。
図2】即時給湯システムの構成図(給湯運転状態)。
図3】循環保温運転のフローチャート。
図4】給湯運転のフローチャート。
図5】各給湯器の優先度の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、図1図5を参照して説明する。図1を参照して、本実施形態の即時給湯システム1は連結給湯型であり、5台の給湯器10,20,30,40,50と、各給湯器10,20,30,40,50と通信可能に接続された連結コントローラ60と、連結コントローラ60と通信可能に接続されたリモコン70とを備えている。
【0019】
また、即時給湯システム1は、一端が上水道に接続されると共に他端が出湯栓9に接続された第1往き管2と、第1往き管2の出湯栓9との接続箇所及び第1往き管2と上水道との接続箇所間を連通した戻り管4と、戻り管4に設けられて戻り管4から第1往き管2への通水を可能にすると共に第1往き管2から戻り管4への通水を不能とする逆止弁5とを備えている。
【0020】
給湯器10は、第1往き管2の途中に接続された第1熱交換器11と、第1熱交換器11を加熱する第1バーナ12と、第1往き管2の開度を調節する第1水量サーボ13(本発明の第1通水切換弁の機能を含む)と、第1往き管2から供給される湯水の流量を検出する第1流量センサ14と、第1往き管2に流出する湯水の温度を検出する第1温度センサ15と、第1往き管2から湯水を吸入して第1往き管2と戻り管4から成る循環回路内の湯水を循環させる循環ポンプ16と、給湯器10の作動を制御する第1給湯コントローラ17とを備えている。
【0021】
なお、第1熱交換器11と第1バーナ12とにより、本発明の第1加熱部が構成される。また、第1給湯コントローラ17は、図示しないCPU、メモリ等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持された給湯器10の制御用プログラムをCPUで実行することによって、給湯器10の作動を制御する機能を果たす。また、第1往き管2と、給湯器10とにより、本発明の第1給湯ユニットが構成される。
【0022】
給湯器20は、第1往き管2から分岐して給湯器10の上流側と下流側とを連通した分岐管29の途中に接続されている。給湯器20は、給湯器10と同様に、第1熱交換器21と、第1バーナ22と、第1水量サーボ23(本発明の第1通水切換弁の機能を含む)と、第1流量センサ24と、第1温度センサ25と、循環ポンプ26と、給湯コントローラ27とを備えている。
【0023】
なお、第1熱交換器21と第1バーナ22とにより、本発明の第1加熱部が構成される。また、給湯コントローラ27は、図示しないCPU、メモリ等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持された給湯器20の制御用プログラムをCPUで実行することによって、給湯器20の作動を制御する機能を果たす。また、分岐管29(本発明の第1往き管に相当する)と、給湯器10とにより、本発明の第1給湯ユニットが構成される。
【0024】
また、以下では、循環ポンプ16,26を備えた給湯器10,20をP給湯器(ポンプ有り給湯器、本発明の第1給湯器に相当する)10,20という。
【0025】
次に、給湯器30は、第1往き管2から分岐して、P給湯器10,20の上流側と下流側を連通する第2往き管3の途中に接続されている。給湯器30は、第2往き管3の途中に接続された第2熱交換器31と、第2熱交換器31を加熱する第2バーナ32と、第2往き管の開度を変更する第2水量サーボ33(本発明の第2通水切換弁の機能を含む)と、第2往き管3から流入する湯水の流量を検出する第2流量センサ34と、第2往き管3に流出する湯水の温度を検出する第2温度センサ35と、給湯器30の作動を制御する第2給湯コントローラ37とを備えている。第2往き管3には、第2往き管3から給湯器30への通水を可能にすると共に、給湯器30から第2往き管3への通水を不能にする逆止弁6が設けられている。
【0026】
なお、第2熱交換器31と第2バーナ32とにより、本発明の第2加熱部が構成される。また、第2給湯コントローラ37は、図示しないCPU、メモリ等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持された給湯器30の制御用プログラムを実行することによって、給湯器30の作動を制御する機能を果たす。また、第2往き管3と給湯器30とにより、本発明の第2給湯ユニットが構成される。
【0027】
給湯器40は、第2往き管3から分岐して給湯器30の上流側と下流側とを連通した分岐管49の途中に接続されている。給湯器40は、給湯器30と同様に、第2熱交換器41と、第2バーナ42と、第2水量サーボ43(本発明の第2通水切換弁の機能を含む)と、第2流量センサ44と、第2温度センサ45と、第2給湯コントローラ47とを備えている。
【0028】
なお、第2熱交換器41と第2バーナ42とにより、本発明の第2加熱部が構成される。また、第2給湯コントローラ47は、図示しないCPU、メモリ等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持された給湯器40の制御用プログラムを実行することによって、給湯器40の作動を制御する機能を果たす。また、分岐管49(本発明の第2往き管に相当する)と、給湯器40とにより、本発明の第2給湯ユニットが構成される。
【0029】
給湯器50は、第2往き管3から分岐して給湯器30,40の上流側と下流側とを連通した分岐管59の途中に接続されている。給湯器50は、給湯器30,40と同様に、第2熱交換器51と、第2バーナ52と、第2水量サーボ53(本発明の第2通水切換弁の機能を含む)と、第2流量センサ54と、第2温度センサ55と、給湯コントローラ57とを備えている。
【0030】
なお、第2熱交換器51と第2バーナ52とにより、本発明の第2加熱部が構成される。また、給湯コントローラ57は、図示しないCPU、メモリ等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持された給湯器50の制御用プログラムを実行することによって、給湯器50の作動を制御する機能を果たす。また、分岐管59(本発明の第2往き管に相当する)と給湯器50とにより、本発明の第2給湯ユニットが構成される。
【0031】
また、以下では、循環ポンプを備えていない給湯器30,40,50をN給湯器(ポンプ無し給湯器、本発明の第2給湯器に相当する)30,40,50という。
【0032】
連結コントローラ60は、図示しないCPU、メモリ等を備えた電子回路ユニットであり、各給湯器10,20,30,40,50の第1給湯コントローラ17,27及び第2給湯コントローラ37,47,57との間で通信を行って、各給湯器10,20,30,40,50に対する作動の指示と、各給湯器10,20,30,40,50の状態の検知を行う。
【0033】
連結コントローラ60にはリモコン70が接続されており、使用者はリモコン70を操作することによって、出湯栓9から供給される湯の温度(目標給湯温度)、循環保温運転を実行する時間帯(循環保温時間帯)等を設定することができる。
【0034】
以下、図3図4に示したフローチャートに従って、連結コントローラ60による「循環保温運転」と「給湯運転」の実行手順について説明する。なお、連結コントローラ60が「循環保温運転」と「給湯運転」を実行する構成は、本発明の制御部に相当する。
【0035】
図3は「循環保温運転」のフローチャートである。連結コントローラ60は、STEP1で、各給湯器10,20,30,40,50の優先度を、循環保温運転用に設定する。連結コントローラ60は、各給湯器10,20,30,40,50の優先度を、図5(a)に示した設定表に従って設定する。
【0036】
図5(a)に示したように、本実施形態では、連結コントローラ60の接続コネクタNo.1〜No.5に対して、No.4にP給湯器10が接続され、No.5にP給湯器20が接続され、No.1にN給湯器30が接続され、No.2にN給湯器40が接続され、No.3にN給湯器50が接続されている。
【0037】
そして、連結コントローラ60は、図5(a)の設定表に従って、給湯運転時は、優先順位を、P給湯器10→P給湯器20→N給湯器30→N給湯器40→N給湯器50の順に優先順位を高くして設定する(給湯運転用の優先順位)。
【0038】
また、連結コントローラ60は、循環保温運転時には、優先順位を、P給湯器10,20→N給湯器30→N給湯器40→N給湯器50の順に優先順位を高くして設定する(循環保温運転用の優先順位)。この場合は、P給湯器10,20は同じ優先順位となる。
【0039】
続くSTEP2で、連結コントローラ60は、優先順位に応じて、P給湯器10,20については、第1水量サーボ13,23の開弁を指示する制御を送信する。さらに、連結コントローラ60は、N給湯器40,50に対して、第2水量サーボ43,53の閉弁を指示する制御信号を送信する。
【0040】
これにより、図1及び図5(a)に示したように、P給湯器10,11及びN給湯器30については、第1水量サーボ13,23及び第2水量サーボ33が開弁した状態(通水可能状態、図1,2では白抜きの三角で示している)になる。また、N給湯器40,50については、第2水量サーボ43,53が閉弁した状態(通水不能状態、図1,2では黒抜きの三角で示している)になる。
【0041】
次のSTEP3で、連結コントローラ60は、P給湯器10,20の第1給湯コントローラ17,27に対して、循環開始を指示する制御信号を送信する。この制御信号を受信した第1給湯コントローラ17,27は、循環ポンプ16,26の作動を開始し、これにより、図1に示したように、第1往き管2及び分岐管29と戻り管4から成る循環回路内の湯水の循環が開始される。
【0042】
第1給湯コントローラ17は、第1流量センサ14の検出流量が給湯検知流量(点火流量)以上であるときに、第1温度センサ15の検出温度が目標給湯温度となるように、第1バーナ12の火力を制御する。同様に、給湯コントローラ27は、第1流量センサ24の検出流量が給湯検知流量以上であるときに、第1温度センサ25の検出温度が目標給湯温度となるように、第1バーナ22の火力を制御する。
【0043】
これにより、第1往き管2及び分岐管29と戻り管4から成る循環回路内の湯水が、P給湯器10,20で加熱されながら循環する「循環保温運転」が開始される。
【0044】
次のSTEP4で、連結コントローラ60は、各給湯器10,20,30,40,50の第1給湯コントローラ17,27及び第2給湯コントローラ37,47,57に対して、流量センサ(第1流量センサ14,24、第2流量センサ34,44,54)の検出流量のデータ送信を要求する制御信号を送信する。そして、第1給湯コントローラ17,27及び第2給湯コントローラ37,47,57から、流量センサ(第1流量センサ14,24、第2流量センサ34,44,54)の検出流量のデータを受信する。
【0045】
続くSTEP5で、連結コントローラ60は、「循環保温運転」の実行中に、循環保温条件が成立しているか否かを判断する。循環保温条件としては、以下の二つの条件の少なくともいずれかが満たされることが設定されている。
【0046】
(a)リモコン70により設定された循環保温時間帯である、
(b)リモコン70により循環保温の開始操作がなされた。
【0047】
循環保温条件が成立しているときはSTEP6に進み、連結コントローラ60は、N給湯器30の第2流量センサ34の検出流量が、給湯検知流量以上であるか否かを判断する。
【0048】
STEP6で、第2流量センサ34の検出流量が給湯検知流量未満であるときは、第2往き管3からN給湯器30に湯水が流入していない状態であるので、出湯栓9が閉栓されていると判断することができる。そのため、この場合はSTEP5に戻り、連結コントローラ60は、「循環保温運転」の制御を継続する。
【0049】
一方、STEP6で、第2流量センサ34の検出流量が給湯検知流量以上であるときには、第2往き管3からN給湯器30に湯水が流入している状態であるので、出湯栓9が開栓されていると判断することができる。
【0050】
そのため、この場合はSTEP7に進み、連結コントローラ60は、P給湯器10の第1給湯コントローラ17及びP給湯器20の第1給湯コントローラ27に対して、循環ポンプ16,26の停止を指示する制御信号を送信して、循環ポンプ16,26を停止させる。
【0051】
続くSTEP8で、連結コントローラ60は、各給湯器10,20,30,40,50の優先順位を、図5(a)に示した給湯運転用の優先順位に設定する。次のSTEP9で、連結コントローラ60は、優先順位に従って、優先順位が最も高いP給湯器10の第1給湯コントローラ17に対して、第1水量サーボ13の開弁を指示する信号を送信し、他の給湯器20,30,40,50の第1給湯コントローラ27及び第2給湯コントローラ37,47,57に対しては、水量サーボ23,33,43、53の閉弁を指示する制御信号を送信する。
【0052】
これにより、P給湯器10の第1水量サーボ13のみが開弁して、他の給湯器20,30,40,50の水量サーボ23,33,43,53が閉弁した状態となる。そして、続くSTEP9に進んで、連結コントローラ60は「循環保温運転」から「給湯運転」の制御に移行する。
【0053】
また、STEP5で循環保温運転が成立していなかったときにも、STEP7に分岐し、連結コントローラ60は、「循環保温運転」から「給湯運転」の制御に移行する。
【0054】
次に、図4を参照して、連結コントローラ60による「給湯運転」の実行手順について説明する。
【0055】
図4のSTEP20で、優先度1〜3のP給湯器10,20の第1給湯コントローラ17,27及びN給湯器30の第2給湯コントローラ37に対して、水量サーボ(第1水量サーボ13,23、第2水量サーボ33)の開弁を指示する信号を送信し、優先度4〜5のP給湯器40,50の第2給湯コントローラ47,57に対して水量サーボ(第2水量サーボ43,53)の閉弁を指示する制御信号を送信する。これにより、図2に示したように、P給湯器10,20の第1水量サーボ13,23及びN給湯器30の第2水量サーボ33が開弁し、P給湯器40,50の第2水量サーボ43,53が閉弁した状態となる。
【0056】
図2では、開弁状態にある第1水量サーボ13,23及び第2水量サーボ33を白抜きの三角で表し、閉弁状態にある第2水量サーボ43,53を黒抜きの三角で表している。図2の状態では、P給湯器10,20の第1熱交換器11,21及びN給湯器30の第2熱交換器31で加熱された湯が、出湯栓9から供給される。
【0057】
続くSTEP21で、連結コントローラ60は、P給湯器10,20及びN給湯器30,40,50の第1給湯コントローラ17,27及び第2給湯コントローラ37,47,57に対して、第1流量センサ14,24及び第2流量センサ34,44,54の検出流量のデータを要求する信号をそれぞれ送信する。
【0058】
そして、連結コントローラ60は、第1給湯コントローラ17,27及び第2給湯コントローラ37,47,57から、第1流量センサ14,24及び第2流量センサ34,44,54の検出流量のデータをそれぞれ受信して、第1流量センサ14,24及び第2流量センサ34,44,54の検出流量を認識する。
【0059】
続くSTEP22で、連結コントローラ60は、第1流量センサ14,24及び第2流量センサ34,44,54の検出流量の総量が、水無し(検出流量の総量がゼロ)であるか否かを判断する。そして、検出流量の総流量が水無しでなかったときはSTEP23に進み、連結コントローラ60は、検出流量の総量に基づいて給湯能力が不足しているか否かを判断している。また、STEP22で、検出流量の総量が水無しであったときには、STEP30に分岐し、連結コントローラ60は、循環保温条件の成立の有無を判断する。
【0060】
具体的は、連結コントローラ60は、検出流量の総量が予め設定された複数段階の閾値を超えるごとに、給湯能力が不足していると判断してSTEP24に進む。そして、連結コントローラ60は、5台の給湯器10,20,30,40,50について、水量サーボ(第1水量サーボ13,23、第2水量サーボ33,43,53)が閉栓されている給湯器のうち、優先度が最も高い給湯器の水量サーボを開栓して、運転状態(流通する水の加熱を行う状態)である給湯器の台数を増加させて、STEP22に戻る。
【0061】
一方、STEP23で、給湯能力が不足してないと判断したときにはSTEP40に分岐し、連結コントローラ60は、給湯能力が過剰であるか否かを判断する。具体的には、連結コントローラ60は、第1流量センサ14,24及び第2流量センサ34,44,54の検出流量の総量が前記複数段階の閾値よりも少なくなるごとに、給湯能力が過剰であると判断してSTEP41に進む。
【0062】
そして、連結コントローラ60は、5台の給湯器10,20,30,40,50について、水量サーボ(第1水量サーボ13,23、第2水量サーボ33,43,53)が開栓されている給湯器(運転状態にある給湯器)のうち、優先度が最も低い給湯器の水量サーボを閉栓して、運転状態である給湯器の台数を減少させる。
【0063】
また、STEP40で給湯能力が過剰でないと判断したときにはSTEP40からSTEP22に進み、この場合は、運転状態にある給湯器の台数は変更されない。
【0064】
なお、本実施形態では、図5(a)に示したように、P給湯器10,20と、N給湯器30,40,50とに対して、連続して優先度を設定したが、図5(b)に示したように、P給湯器10,20とN給湯器30,40,50を区別して、優先順位を設定してもよい。
【0065】
この場合は、例えば、循環保温運転時に、循環負荷に応じてP給湯器10の循環ポンプ16のみを作動させる場合と、P給湯器10の循環ポンプ16及びP給湯器20の循環ポンプ26の双方を作動させる場合とを切換える制御を行うことができる。また、給湯運転時に、N給湯器30,40,50をP給湯器10,20よりも優先的に作動させて、各給湯器10,20,30,40,50の総稼働時間の均一化を図る制御を行うことができる。
【0066】
また、本実施形態では、連結コントローラ60を、給湯器10,20,30,40,50とは別に設けた例を示したが、連結コントローラ60の機能をいずれかの給湯器の給湯コントローラに持たせた構成としてもよい。この場合、リモコンは給湯コントローラに接続される構成となる。
【0067】
また、本実施形態ではP給湯器2台とN給湯器3台を備えた即時給湯システムを示したが、P給湯器とN給湯器を少なくとも1台ずつ備えた即時給湯システムであれば、本発明の適用が可能である。
【0068】
また、本実施形態では、バーナ(ガスバーナ、灯油バーナ等)を備えた給湯器を示したが、電気等の他の種類の熱源を使用する給湯器を用いてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…即時給湯システム、2…第1往き管、3…第2往き管、4…戻り管、5,6…逆止弁、29,39,49,59…分岐管、10,20…P(循環ポンプ有り)給湯器、17,27…第1給湯コントローラ、30,40,50…N(循環ポンプ無し)給湯器、11,12…第1熱交換器、12,22…第1バーナ、13,24…第1水量サーボ、14,24…第1流量センサ、15,25…第1温度センサ、16,26…循環ポンプ、31,41,51…第2熱交換器、32,42,52…第2バーナ、33,43,53…第2水量サーボ、34,44,54…第2流量センサ、37,47,57…第2給湯コントローラ、60…連結コントローラ、70…リモコン。
図1
図2
図3
図4
図5