特許第5980183号(P5980183)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980183
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】画像処理装置、ログ管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/30 20060101AFI20160818BHJP
   G06F 11/34 20060101ALI20160818BHJP
   G06F 21/55 20130101ALI20160818BHJP
【FI】
   G06F11/30 182
   G06F11/30 140D
   G06F11/34 176
   G06F21/55 320
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-182239(P2013-182239)
(22)【出願日】2013年9月3日
(65)【公開番号】特開2015-49792(P2015-49792A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2015年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】後藤 和紀
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勝
(72)【発明者】
【氏名】宮井 俊也
(72)【発明者】
【氏名】菊池 正城
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 淳平
(72)【発明者】
【氏名】岡村 恵次
(72)【発明者】
【氏名】保井 徹
(72)【発明者】
【氏名】有延 良太
【審査官】 多賀 実
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−008691(JP,A)
【文献】 特開2011−159170(JP,A)
【文献】 特開2007−241540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F11/30−11/34
G06F 3/12
G06F12/14
G06F21/00−21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置で実行されるジョブに関するログを記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
前記画像処理装置、前記ジョブ、又は前記ログに関する予め設定された複数の対象項目と前記対象項目各々に対応して予め設定された重み付け条件とに基づいて前記ログの重要度を設定する設定制御手段と、
前記記憶手段に記憶された前記ログ各々の自動削除の順番を前記設定制御手段により設定される前記重要度に基づいて判断する削除制御手段と、
前記ジョブの処理対象の画像データに含まれる文字情報を認識する文字認識手段と、
を備え
前記対象項目が、少なくとも前記画像処理装置のユーザー、又は前記画像処理装置のユーザーが属するグループを含み、
前記重み付け条件が、前記対象項目の内容と前記対象項目の内容に対応する重み値との対応関係を定める情報であり、
前記設定制御手段が、前記画像処理装置のユーザーにより実行された前記ジョブの処理対象の画像データに予め設定された特定文字が含まれている頻度に応じて、前記画像処理装置のユーザーに対応する前記重み値又は前記画像処理装置のユーザーが属するグループに対応する前記重み値を変更し、複数の前記対象項目の内容に対応する前記重み値に基づいて前記ログの重要度を算出して設定する画像処理装置。
【請求項2】
前記対象項目が、前記ジョブの内容、前記ジョブにおける処理対象の画像データの内容、前記ログの保存期間、前記ログの閲覧回数、ユーザー操作により設定される前記ジョブのセキュリティーレベル、又は前記画像処理装置の設置場所を含む請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記設定制御手段が、複数の前記対象項目に基づいて前記ログの重要度を設定した後、前記ログの保存期間及び前記ログの閲覧回数のいずれか一方又は両方に応じて前記ログの重要度を変更する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
画像処理装置で実行されるジョブに関するログを記憶手段に記憶させる記憶ステップと、
前記画像処理装置、前記ジョブ、又は前記ログに関する予め設定された複数の対象項目と前記対象項目各々に対応して予め設定された重み付け条件とに基づいて前記ログの重要度を設定する設定ステップと、
前記記憶手段に記憶された前記ログ各々の自動削除の順番を前記設定ステップにより設定される前記重要度に基づいて判断する削除ステップと、
前記ジョブの処理対象の画像データに含まれる文字情報を認識する文字認識ステップと、
を含むログ管理方法であって、
前記対象項目が、少なくとも前記画像処理装置のユーザー、又は前記画像処理装置のユーザーが属するグループを含み、
前記重み付け条件が、前記対象項目の内容と前記対象項目の内容に対応する重み値との対応関係を定める情報であり、
前記設定ステップでは、前記画像処理装置のユーザーにより実行された前記ジョブの処理対象の画像データに予め設定された特定文字が含まれている頻度に応じて、前記画像処理装置のユーザーに対応する前記重み値又は前記画像処理装置のユーザーが属するグループに対応する前記重み値が変更され、複数の前記対象項目の内容に対応する前記重み値に基づいて前記ログの重要度が算出されて設定されるログ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョブに関するログを記憶部に記憶させる画像処理装置及びログ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター又はスキャナー等の画像処理装置では、プリントジョブ又はスキャンジョブなどの各種のジョブに関するログが記憶部に蓄積して記憶される。また、ログには、ジョブにおける処理対象の画像データに基づいて生成されるイメージログが含まれることがある(例えば、特許文献1参照)。この種の画像処理装置では、ログが記憶される記憶部の記憶容量が一定量以下に達した場合に、記憶部のログが古いログから順に削除されることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−330677号公報
【特許文献2】特開2007−166175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ログの重要度は、そのログの新旧だけではなく、例えばジョブにおける処理対象の画像データの内容又は画像処理装置のユーザーなどによっても異なる。そのため、単純に古いログから順に削除するだけでは、有用性の高いログが有用性の低いログよりも先に削除されるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、ログの重要度を多面的に判断して有用性の高いログを残すことが可能な画像処理装置及びログ管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る画像処理装置は、記憶制御手段、設定制御手段、及び削除制御手段を備える。前記記憶制御手段は、画像処理装置で実行されるジョブに関するログを記憶手段に記憶させる。前記設定制御手段は、前記画像処理装置、前記ジョブ、又は前記ログに関する予め設定された複数の対象項目と前記対象項目各々に対応して予め設定された重み付け条件とに基づいて前記ログの重要度を設定する。前記削除制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記ログ各々の自動削除の順番を前記設定制御手段により設定される前記重要度に基づいて判断する。
【0007】
本発明の他の局面に係るログ管理方法は、記憶ステップ、設定ステップ、及び削除ステップを備える。前記記憶ステップは、画像処理装置で実行されるジョブに関するログを記憶手段に記憶させる。前記設定ステップは、前記画像処理装置、前記ジョブ、又は前記ログに関する予め設定された複数の対象項目と前記対象項目各々に対応して予め設定された重み付け条件とに基づいて前記ログの重要度を設定する。前記削除ステップは、前記記憶手段に記憶された前記ログ各々の自動削除の順番を前記設定制御ステップにより設定される前記重要度に基づいて判断する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ログの重要度を多面的に判断して有用性の高いログを残すことが可能な画像処理装置及びログ管理方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の概略構成を示す模式図。
図2】本発明の実施の形態に係る画像処理装置のシステム構成を示すブロック図。
図3】本発明の実施の形態に係る画像処理装置で使用される重み情報の一例を示す図。
図4】本発明の実施の形態に係る画像処理装置で実行されるログ管理処理の手順の一例を示すフローチャート。
図5】本発明の実施の形態に係る画像処理装置で実行される削除制御処理の手順の一例を示すフローチャート。
図6】本発明の実施の形態に係る画像処理装置で使用される重み情報及び重み変更情報の一例を示す図。
図7】本発明の実施の形態に係る画像処理装置で実行されるログ管理処理の手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0011】
<画像処理装置10の概略構成>
まず、図1及び図2を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る画像処理装置10の概略構成について説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、前記画像処理装置10は、ADF1、画像読取部2、画像形成部3、給紙部4、制御部5、操作表示部6、記憶部7、及び通信I/F8などを備える複合機である。なお、本発明に係る画像処理装置の他の例には、プリンター、コピー機、スキャナー、及びファクシミリーなどの画像形成装置又は画像読取装置が含まれる。
【0013】
前記ADF1は、搬送ローラー12各々を駆動させることにより、原稿載置部11にセットされた原稿を前記画像読取部2による画像読取位置を通過させて排紙トレイ13まで搬送させる原稿自動送り装置である。
【0014】
前記画像読取部2は、原稿台21、光源ユニット22、ミラー23、24、光学レンズ25、及びCCD(Charge Coupled Device)26などを備える画像読取手段である。前記原稿台21は、前記画像読取部2の上面に設けられた原稿の載置部である。前記読取ユニット22は、LED光源221及びミラー222を備え、不図示のモーターによって副走査方向2Aに移動可能である。前記LED光源221は、前記副走査方向2Aに垂直な主走査方向に沿って配列された多数の白色LEDを備える。前記ミラー222は、前記LED光源221から照射されて前記原稿台21上の読取位置にある前記原稿の表面で反射した後の光を前記ミラー23に向けて反射させる。そして、前記ミラー222で反射した光は、前記ミラー23、24によって前記光学レンズ25に導かれる。前記光学レンズ25は、入射した光を集光して前記CCD26に入射させる。前記CCD26は、前記光学レンズ25から入射される光の受光量に応じた電気信号を前記原稿の画像データとして前記制御部5に入力する光電変換素子などを有する。
【0015】
前記画像形成部3は、前記画像読取部2で読み取られた画像データ、又は外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力された画像データに基づいて画像形成処理(印刷処理)を実行する電子写真方式の画像形成手段である。具体的に、前記画像形成部3は、搬送部30、感光体ドラム31、帯電装置32、露光装置(LSU)33、現像装置34、転写ローラー35、クリーニング装置36、定着ローラー37、加圧ローラー38、及び排紙トレイ39などを備える。
【0016】
前記給紙部4は、前記画像処理装置10に対して着脱可能な給紙カセット41に収容された紙などのシートを前記画像形成部3に供給する。そして、前記画像形成部3に供給されたシートは、前記搬送部30により前記感光体ドラム31及び前記転写ローラー35を経て前記定着ローラー37及び前記加圧ローラー38を通過した後、排紙トレイ39に排出される。このとき、前記画像形成部3では、前記給紙部4から供給されて前記搬送部30により搬送されるシートに画像を形成する画像形成処理が以下の手順で実行される。
【0017】
まず、前記帯電装置32によって前記感光体ドラム31が所定の電位に一様に帯電される。次に、前記露光装置33により前記感光体ドラム31の表面に画像データに基づく光が照射される。これにより、前記感光体ドラム31の表面に画像データに対応する静電潜像が形成される。そして、前記感光体ドラム31上の静電潜像は前記現像装置34によって磁性トナーにより現像(可視像化)される。なお、前記現像装置34には、前記画像形成部3に着脱可能なトナーコンテナ34Aから磁性トナーが補給される。続いて、前記感光体ドラム31に形成されたトナー像は前記転写ローラー35によってシートに転写される。その後、シートに転写されたトナー像は、そのシートが前記定着ローラー37及び前記加圧ローラー38の間を通過する際に前記定着ローラー37で加熱されて溶融定着する。なお、前記画像形成部3による前記画像形成処理後に前記感光体ドラム31の表面に残存する前記磁性トナーは前記クリーニング装置36によって除去される。
【0018】
前記制御部5は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有するコンピューターである。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶手段である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性の記憶手段であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。
【0019】
そして、前記制御部5は、前記ROMに予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより前記画像処理装置10を統括的に制御する。なお、前記制御部5は、集積回路(ASIC、DSP)などの電子回路で構成されたものであってもよく、前記画像処理装置10を統括的に制御するメイン制御部と別に前記画像形成部3などに設けられたエンジン制御部であってもよい。
【0020】
前記操作表示部6は、前記画像処理装置10の外面に設けられている。前記操作表示部6は、前記制御部5からの制御指示に応じて各種の情報を表示する液晶ディスプレイなどの表示部を有する。また、前記操作表示部6は、ユーザー操作に応じて前記制御部5に各種の情報を入力するハードキー又はタッチパネルなどの操作部を有する。
【0021】
前記記憶部7は、各種の情報を記憶するEEPROM、ハードディスク、又はSSDなどの記憶手段である。前記制御部5は、前記記憶部7への情報の記憶及び前記記憶部7からの情報の読み出しが可能である。
【0022】
前記通信I/F8は、前記画像処理装置10を有線又は無線でインターネット又はLAN等のネットワークに接続し、前記ネットワークを介して外部装置との間でデータ通信を実行する通信インターフェースである。
【0023】
このように構成された前記画像処理装置10では、前記制御部5により、前記画像処理装置10で実行されるプリントジョブ、スキャンジョブ、及びデータ送信ジョブなどのジョブの記録及び削除が行われる。具体的に、図2に示すように、前記制御部5は、記憶制御部51、設定制御部52、削除制御部53、及び文字認識部54を含む。ここに、前記制御部5は、前記CPUにより前記制御プログラムに従った各種の処理を実行することにより、前記記憶制御部51、前記設定制御部52、前記削除制御部53、及び前記文字認識部54として機能する。前記記憶制御部51、前記設定制御部52、前記削除制御部53、及び前記文字認識部54として機能するときの前記制御部5が、記憶制御手段、設定制御手段、削除制御手段、及び文字認識手段の一例である。なお、前記制御部5が電子回路である場合、前記記憶制御部51、前記設定制御部52、前記削除制御部53、及び前記文字認識部54は、それぞれの機能を実現する回路モジュールである。
【0024】
前記記憶制御部51は、前記画像処理装置10で実行される前記ジョブに関するログを前記記憶部7に記憶させる記憶ステップを実行する。具体的に、前記記憶部7には、ログを記憶するログ記憶部71が設けられており、前記記憶制御部51は、前記ログ記憶部71に前記ログを記憶させる。前記ログには、前記ジョブの内容、前記ジョブの実行日時、前記ジョブの実行者、前記ログの保存指定期間、前記ログのセキュリティーレベル、及びイメージログなどの情報が含まれる。前記イメージログは、前記ジョブの処理対象であった画像データの解像度を低減した情報、又は前記画像データのサイズを縮小した画像である。
【0025】
前記設定制御部52は、前記画像処理装置10、前記ジョブ、又は前記ログに関する予め設定された複数の対象項目と前記対象項目各々に対応して予め設定された重み付け条件とに基づいて前記ログの重要度を設定する設定ステップを実行する。前記対象項目には、前記ジョブの内容、前記ジョブにおける処理対象の画像データの内容、前記ログの保存期間、前記ログの閲覧回数、ユーザー操作により設定される前記ジョブのセキュリティーレベル、前記画像処理装置の設置場所、前記画像処理装置のユーザー、又は前記画像処理装置のユーザーが属するグループなどが含まれる。
【0026】
具体的に、前記記憶部7には、前記重み付け条件の内容を示す重み情報D10を記憶する重み情報記憶部72が設けられている。前記設定制御部52は、前記重み情報D10に記憶された前記重み付け条件に従って前記ログの重要度を設定する。そして、前記設定制御部52は、前記ログの重要度を前記ログ記憶部71に記憶された前記ログ各々に対応付けた状態で前記ログ記憶部71に記憶させる。
【0027】
前記削除制御部53は、前記ログ記憶部51に記憶された前記ログ各々の自動削除の順番を前記設定制御部52により設定される前記重要度に基づいて判断する削除ステップを実行する。具体的に、前記削除制御部53は、前記ログ記憶部71の記憶可能容量(空き容量)が予め設定された第1設定量以下になった場合に前記重要度の低いログから順に削除することにより、前記ログ記憶部71におけるログの記憶容量を確保する。
【0028】
前記文字認識部54は、前記画像データに含まれた文字を認識する文字認識処理を実行する。これにより、前記制御部5は、前記文字認識部54で認識された前記画像データに含まれる文字から任意の文字を検索することが可能である。なお、前記文字認識処理については、例えばパターン認識などの従来周知の各種の手法を用いればよいためここでは説明を省略する。
【0029】
[重み情報の一例]
ここに、図3は、前記重み情報D10の一例を示す図である。図3に示す前記重み情報D10では、前記対象項目として、セキュリティーレベル、検知数、閲覧頻度、及び保存期間が含まれる。前記重み情報D10では、前記対象項目の内容と前記対象項目の内容に対応する重み値との対応関係が重み付け条件として定められている。
【0030】
前記セキュリティーレベルは、前記画像処理装置10へのジョブの実行要求時に、ユーザーによる外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置又は前記操作表示部6に対する操作入力に応じて前記制御部5が設定する情報である。具体的に、前記セキュリティーレベルは、「低(又は未設定)」、「中」、「高」、及び「最高」の4段階で設定可能であり、前記重み情報D10では、それぞれについて「1」、「2」、「3」、及び「4」が重み値として対応付けられている。即ち、前記セキュリティーレベルに対応する前記重み値は、前記セキュリティーレベルの設定値が高いほど大きくなるように設定されている。
【0031】
前記検知数は、前記画像処理装置10で実行される前記ジョブの処理対象の画像データに含まれる予め設定された特定文字の数を示す。具体的に、前記制御部5は、前記ジョブのログを記録する際に、前記文字認識部54により認識される前記画像データに含まれる前記特定文字の数を検知する。前記特定文字は、例えば「社外秘」、「重要」、又は「機密」などのように前記画像データの重要性を示す情報である。なお、前記制御部5は、前記操作表示部6のユーザー操作に応じて前記特定文字を予め登録可能である。前記検知数の値N1は、「0」、「1以上5未満」、「5以上10未満」、及び「10以上」の4段階に分類されており、それぞれについて「1」、「2」、「3」、及び「4」が重み値として対応付けられている。即ち、前記検知数に対応する前記重み値は、前記検知数の値N1が多いほど大きくなるように設定されている。
【0032】
前記閲覧頻度は、前記画像処理装置10で前記ログ記憶部71にログが記憶された後、前記ログが閲覧された1ヶ月の平均回数(回/月)を示す。前記閲覧頻度は、前記制御部5により、前記ログ各々に対応付けて前記ログ記憶部71に記憶され、前記操作表示部6の操作により前記ログの詳細が閲覧されたときに更新される。前記閲覧頻度の値N2は、「0」、「1」、「2」、及び「3以上」の4段階に分類されており、それぞれについて「1」、「2」、「3」、及び「4」が重み値として対応付けられている。即ち、前記閲覧頻度に対応する前記重み値は、前記閲覧回数の値N2が多いほど大きくなるように設定されている。
【0033】
前記保存期間は、前記画像処理装置10で前記ログ記憶部71にログが記憶された後、前記ログが保存されている期間を示す日数である。前記保存期間は、前記制御部5により、前記ログとして記憶されたジョブ実行日時から現在の日時までの経過日数として算出され、前記ログ各々に対応付けて前記ログ記憶部71に記憶される。なお、前記ログ記憶部71に記憶される前記保存期間は、前記画像処理装置10のシステムクロックの日付が変わったとき等に更新される。そして、前記保存期間の値N3は、「90以上」、「30以上90未満」、「7以上30未満」、及び「7未満」の4段階に分類されており、それぞれについて「1」、「2」、「3」、及び「4」が重み値として対応付けられている。即ち、前記保存期間に対応する前記重み値は、前記保存期間の値N3が短いほど大きくなるように設定されている。
【0034】
[ログ管理処理]
以下、図4及び図5を参照しつつ、前記制御部5によって実行されるログ管理処理の手順の一例について説明する。なお、ここでは、前記画像処理装置10で前記重み情報D10(図3参照)が予め設定されて前記重み情報記憶部72に記憶されている場合を例に挙げて説明する。
【0035】
<ステップS1>
ステップS1において、前記制御部5は、前記画像処理装置10でプリントジョブ、スキャンジョブ、及びデータ送信ジョブなどのジョブが実行されたか否かを判断する。ここで、前記制御部5は、前記ジョブが実行されたと判断すると(S1のYes側)、処理をステップS2に移行させる。一方、前記制御部5は、前記ジョブが実行されていなければ(S1のNo側)、処理をステップS11に移行させる。
【0036】
<ステップS2>
ステップS2において、前記制御部5は、前記セキュリティーレベルに対応する前記重み値を特定する。具体的に、前記制御部5は、前記ジョブの実行要求時に設定された前記セキュリティーレベルと前記重み情報D10とに基づいて前記重み値を特定する。なお、前記セキュリティーレベルが設定されていない場合には、「未設定」に対応する「1」が前記重み値として特定される。
【0037】
<ステップS3>
ステップS3において、前記制御部5は、前記ジョブの処理対象の画像データに含まれた前記特定文字の検知数に対応する前記重み値を特定する。具体的に、前記制御部5は、前記文字認識部54により前記画像データに含まれる文字を認識し、前記文字に含まれる前記特定文字の数を検知する。そして、前記制御部5は、前記特定文字の検知数と前記重み情報記憶部72に記憶されている前記重み情報D10とに基づいて前記重み値を特定する。
【0038】
また、前記制御部5が、前記特定文字の検知ごとに前記セキュリティーレベルが高くなるように自動的に前記セキュリティーレベルを1つ上げることにより、前記特定文字の検知数を前記重要度に反映させることも考えられる。また、前記制御部5は、前記特定文字が検知された場合に、前記セキュリティーレベルが設定を予め設定された特定のセキュリティーレベルに変更することも考えられる。
【0039】
<ステップS4>
ステップS4において、前記制御部5は、前記ログの保存期間に対応する前記重み値を特定する。具体的に、前記制御部5は、前記ログの保存期間と前記重み情報D10とに基づいて前記重み値を特定する。この時点では、前記ログの保存期間は「0」であるため、前記制御部5は、前記ログの保存期間が「0」である場合に対応する「1」を前記重み値として特定する。
【0040】
なお、ここでは、前記ログが記憶された後から起算される前記ログの保存期間に基づいて前記重み値が特定される場合を例に挙げて説明する。一方、前記ジョブの実行時に前記ログを保存するべき期間として保存指定期間が設定される場合には、前記保存指定期間が長いほど前記重み値が大きくなるように設定されていることも考えられる。
【0041】
<ステップS5>
ステップS5において、前記制御部5は、前記ログの閲覧回数に対応する前記重み値を特定する。具体的に、前記制御部5は、前記ログの閲覧回数と前記重み情報D10とに基づいて前記重み値を特定する。この時点では、前記ログの閲覧回数は「0」であるため、前記制御部5は、前記ログの閲覧回数が「0」である場合に対応する「1」を前記重み値として特定する。
【0042】
<ステップS6>
そして、ステップS6において、前記制御部5は、前記ステップS2〜S5で特定された4つの前記重み値に基づいて前記ログの重要度を算出して設定する。このように、前記ログ管理処理において前記ログの重要度を設定するときの前記制御部5が前記設定制御部52である。
【0043】
具体的に、前記制御部5は、前記ステップS2〜S5で特定された前記重み値の積を前記重要度として算出する。例えば、前記セキュリティーレベルに対応する重み値が「2」、前記検知数に対応する重み値が「3」、前記ログの保存期間及び前記ログの閲覧回数に対応する重み値がそれぞれ「1」である場合、前記ログの重要度は「6」になる。なお、前記制御部5は、前記操作表示部6のユーザー操作に応じて、前記セキュリティーレベル、前記検知数、前記ログの保存期間、及び前記ログの閲覧回数のうち前記重要度の算出に使用する情報を予め設定可能である。
【0044】
また、前記制御部5が、前記重み値の積が予め設定された複数の範囲のいずれに属するかに応じて重要度を設定することも考えられる。例えば、前記重み値の積が「16」未満の場合は重要度が「低」であり、「17」以上「32」未満の場合は重要度が「中」であり、「33」以上「64」未満の場合は重要度が「高」であり、「64」以上の場合は重要度が「高」であることが考えられる。なお、前記重み値に基づく前記重要度の算出手法は、前記重み値の積に限らず、前記重み値の和であってもよく、その他の予め設定された演算式に基づいて行われてもよい。
【0045】
<ステップS7>
そして、ステップS7において、前記制御部5は、前記ジョブのログを前記ステップS6で設定された前記重要度と共に前記ログ記憶部71に記憶させる。また、前記制御部5は、前記セキュリティーレベル及び前記特定文字の検知数も、前記ログと共に前記ログ記憶部71に記憶させる。なお、前記制御部5が、前記セキュリティーレベル及び前記特定文字の検知数に代えてこれらに対応する前記重み値を前記ログと共に前記ログ記憶部71に記憶させることも考えられる。
【0046】
これにより、前記制御部5は、前記ログごとに対応する前記重要度、前記セキュリティーレベル、及び前記検知数などの情報を前記ログ記憶部71から読み出すことが可能になる。例えば、前記重要度、前記セキュリティーレベル、及び前記検知数などの情報は、前記ログの情報の一部として記憶される。また、前記重要度、前記セキュリティーレベル、及び前記検知数などの情報は、前記ログを識別するための情報と共に前記ログとは異なる情報として前記ログ記憶部71に記憶されてもよい。
【0047】
<ステップS11>
一方、前記ジョブの実行を待ち受けている間(S1のNo側)、ステップS11において、前記制御部5は、前記ログの重要度が設定された後、前記ログ記憶部71に記憶された前記ログ各々の前記重要度の更新タイミングが到来したか否かを判断する。具体的に、前記制御部5は、予め設定された更新条件が満たされた場合に、前記更新タイミングが到来したと判断する。例えば、前記更新条件は、前記画像処理装置10のシステムクロックの日付が変わったこと、前回の前記重要度の更新から予め設定された所定期間が経過したこと、前記ログ記憶部71の記憶可能容量が予め設定された容量以下になったこと、及び前記ログ記憶部71に記憶された前記ログの詳細情報がユーザー操作によって閲覧されたこと等である。
【0048】
ここで、前記制御部5は、前記ログの重要度が設定された後、前記ログの重要度の更新タイミングが到来したと判断すると(S11のYes側)、処理をステップS12に移行させる。そして、前記ステップS12以降では、前記制御部5により前記ログの重要度を変更する更新処理が実行される。なお、前記更新処理も前記制御部5の前記設定制御部52により実行される。一方、前記制御部5は、前記ログの重要度の更新タイミングが到来していない場合(S11のNo側)、処理を前記ステップS1に移行させる。
【0049】
<ステップS12>
ステップS12において、前記制御部5は、前記ログ記憶部71に記憶された前記ログ各々について前記ログ記憶部71から前記ログの保存期間を読み出し、前記保存期間に対応する前記重み値を特定する。なお、前記ログの保存期間は、前記ステップS12で前記制御部5によって算出されてもよい。
【0050】
<ステップS13>
ステップS13において、前記制御部5は、前記ログ記憶部71に記憶された前記ログ各々について前記ログ記憶部71から前記ログの閲覧回数を読み出し、前記閲覧回数に対応する前記重み値を特定する。
【0051】
<ステップS14>
そして、ステップS14において、前記制御部5は、前記ログ記憶部71に記憶されている前記ログの重要度を更新して設定する。具体的に、前記制御部5は、前記ログの保存期間及び前記ログの閲覧回数と、前記ログ記憶部71に記憶された前記ログに対応する前記セキュリティーレベル及び前記特定文字の検知数とに基づいて前記ログの重要度を再度算出し、前記ログ記憶部71に記憶された前記ログの重要度を更新する。このように、前記制御部5は、複数の前記対象項目に基づいて前記ログの重要度を設定した後、前記ログの保存期間及び前記ログの閲覧回数に応じて前記ログの重要度を変更する。もちろん、前記制御部5は、前記ログの保存期間及び前記ログの閲覧回数のいずれか一方に応じて前記ログの重要度を変更してもよい。
【0052】
なお、前記制御部5が、前記ログ記憶部71に記憶されている前記ログ各々について予め設定された一定期間の保存期間が経過するごとに前記ログのセキュリティーレベルを1つ下げることも考えられる。また、前記制御部5が、前記ログ記憶部71に記憶されている前記ログ各々について予め設定された一定期間の閲覧回数が予め設定された回数以上である場合に前記セキュリティーレベルを1つ上げることが考えられる。同じく、前記制御部5が、前記ログの前記一定期間の閲覧回数が予め設定された回数未満である場合に前記セキュリティーレベルを1つ下げることも考えられる。また、このように前記セキュリティーレベルを自動的に変更する場合でも、前記制御部5が、前記セキュリティーレベルが「最高」である前記ログについては、予め設定された管理者による削除操作又は変更操作が行われるまで、前記セキュリティーレベルを低下させないことが考えられる。
【0053】
[削除制御処理]
続いて、図5を参照しつつ、前記制御部5によって実行される削除制御処理の手順の一例について説明する。なお、本発明は、前記画像処理装置10において前記ログ管理処理及び前記削除制御処理の各ステップを実行するログ管理方法の発明として捉えてもよい。
【0054】
<ステップS21>
まず、ステップS21において、前記制御部5は、前記ログ記憶部71の記憶可能容量が第1設定量以下であるか否かを判断する。前記第1設定量は、前記ログ記憶部71の空き容量が少なくなっていることを判断するために予め設定された値である。なお、前記第1設定量は0であることも考えられる。
【0055】
ここで、前記制御部5は、前記記憶可能容量が前記第1設定量以下であると判断すると(S21のYes側)、処理をステップS22に移行させる。また、前記制御部5は、前記第1設定量以下ではないと判断すると(S21のNo側)、処理をステップS23に移行させる。
【0056】
<ステップS22>
ステップS22において、前記制御部5は、前記ログ記憶部71に記憶されている前記ログを前記重要度の低いログから順に自動的に削除し、予め設定された第2設定量以上の記憶可能容量を前記ログ記憶部71に確保する。即ち、前記制御部5は、前記ステップS21〜S22において実行される前記ログの自動削除の順番を、前記ログ管理処理において前記設定制御部52により設定される前記重要度に基づいて判断する。従って、前記ログ記憶部71には、前記重要度が高く有用性が高い前記ログが蓄積されることになる。なお、前記第2設定量は、前記第1設定量よりも大きい値である。また、前記制御部5が、前記ログ記憶部71の前記ログのうち前記重要度の低い方から順に予め設定された所定数だけ削除することも考えられる。なお、前記ログの削除には、前記ログ記憶部71に記憶されている前記ログの「消去」だけでなく「上書き」も含まれる。
【0057】
また、前記制御部5は、前記ジョブが実行された場合に、前記ジョブのログの情報量を前記第1設定量及び前記第2設定量として設定することが考えられる。これにより、前記画像処理装置10における前記ジョブの実行時に、前記ジョブのログを記憶するための記憶可能容量が前記ログ記憶部71に確保されていない場合、前記ログ記憶部71に記憶されている前記ログが自動的に削除されて、前記ジョブのログを記憶するための記憶可能容量が確保される。
【0058】
<ステップS23>
ステップS23において、前記制御部5は、前記ログ記憶部71に記憶された前記ログ各々について、予め設定された削除条件が充足したか否かを判断する。前記削除条件は、例えば前記ログの保存期間が予め設定された一定期間に達したこと、前記セキュリティーレベルが「1」の状態で一定期間を経過したこと、又は前記セキュリティーレベルが「1」であり前記ログの閲覧回数が予め設定された一定数以下であること等である。
【0059】
ここで、前記制御部5は、前記削除条件が充足したと判断すると(S23のYes側)、処理をステップS24に移行させる。また、前記制御部5は、前記削除条件が充足していないと判断すると(S23のNo側)、処理を前記ステップS21に移行させる。
【0060】
<ステップS24>
ステップS24において、前記制御部5は、前記ステップS23で前記削除条件が充足した前記ログの削除の要否を確認する旨のメッセージ及び要否の操作キーを前記操作表示部6に表示させる。また、前記削除条件を充足する前記ログが複数存在する場合には、前記ログ各々がリスト表示される。なお、前記制御部5は、前記操作表示部6のユーザー操作に応じて、前記ステップS24における表示の有無を予め設定可能である。
【0061】
<ステップS25>
そして、ステップS25において、前記制御部5は、前記操作表示部6に表示された前記ログを削除する旨の操作キーが操作されると(S25のYes側)、処理をステップS26に移行させる。また、前記ステップS25において、前記制御部5は、前記操作表示部6に表示された前記ログを削除しない旨の操作キーが操作されると(S25のNo側)、処理を前記ステップS21に移行させる。
【0062】
<ステップS26>
ステップS26において、前記制御部5は、前記削除条件を充足した前記ログを前記ログ記憶部71から削除する。これにより、前記ログ記憶部71では、次に前記ログを記憶させるための記憶可能容量が確保される。
【0063】
以上説明したように、前記画像処理装置10では、前記画像処理装置10で実行される前記ジョブに関する前記ログの重要度を多面的に判断して有用性の高いログを残すことができる。また、前記画像処理装置10では、前記ログの重要度を算出するための算出式に、ユーザーにより任意に設定されるセキュリティーレベルが含まれているため、ユーザーの意思を前記ログの重要性に反映することも可能である。
【0064】
[他の実施形態]
以下では、図6及び図7を参照しつつ、前記画像処理装置10の他の実施形態について説明する。なお、前記画像処理装置10について前記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0065】
具体的に、当該他の実施形態に係る前記画像処理装置10では、図3に示した前記重み情報D10に代えて、図6(A)〜図6(D)に示す重み情報D11〜D14が前記重み情報記憶部72に記憶されている。図6(A)〜図6(D)に示す前記重み情報D11〜D14では、前記対象項目として、前記画像処理装置10の設置場所、前記画像処理装置10のユーザーが属するグループ(部門)、前記画像処理装置10のユーザー、及び前記ジョブの内容が含まれる。また、前記重み情報記憶部72には、図6(E)に示す重み変更情報D21が記憶されている。そして、前記画像処理装置10では、前記制御部5により、図4に示した前記ログ管理処理に代えて、図7に示すログ管理処理が実行される。
【0066】
図6(A)に示す前記重み情報D11は、前記画像処理装置10の設置場所に対応する重み値を示す。前記設置場所は、前記画像処理装置10がどのような状況で使用されるかについて重み付けするための情報であり、前記画像処理装置10の初期設定時などに設定される。
【0067】
図6(B)に示す前記重み情報D12は、前記画像処理装置10のユーザーが属するグループとして予め設定された部門及び部門コードに対応する重み値を示す。また、図6(C)に示す前記重み情報D13は、前記画像処理装置10のユーザー及びユーザーIDに対応する重み値を示す。なお、前記重み情報D12及び前記重み情報D13は、前記画像処理装置10におけるユーザー管理及び部門管理に用いられる登録情報の一部として記憶されている。そのため、前記重み情報D13には、前記ユーザーが属する部門名、及び前記ユーザーのログインに用いられるパスワード等の情報がユーザーごとに対応付けて記憶されている。
【0068】
図6(D)に示す前記重み情報D14は、前記ジョブがデータ送信を伴うファクシミリー送信、ネットワークスキャン、又はメール送信などである場合に、前記データ送信の宛先が内部であるか外部であるかに対応する重み値を示す。なお、前記内部とは、前記画像処理装置10が設置される会社又はグループの範囲内である場合を示し、前記外部とは、前記画像処理装置10が設置される会社又はグループの範囲外である場合を示す。また、前記ジョブが前記データ送信を伴わない場合には前記内部と同じ重み値が対応付けられている。
【0069】
図6(E)に示す前記重み変更情報D21は、前記重み情報D12における前記ユーザーに対応する重み値を変更するための指標として用いられる情報である。具体的に、前記重み変更情報D21は、前記画像処理装置10で実行されるジョブの処理対象の画像データに含まれる前記特定文字の検知頻度の値N4に対応する重み値を示す。前記画像処理装置10では、前記制御部5が、前記画像処理装置10で実行されたジョブの回数及び前記ジョブの処理対象の画像データに前記特定文字が含まれている回数をユーザーごとにカウントして前記記憶部7に記憶させる。これにより、前記制御部5は、ユーザーごと又は前記ユーザーが属する部門ごとに前記特定文字の検知頻度の値N4を算出することが可能である。なお、前記重み変更情報D21において、前記検知頻度の値N4は、「5未満」、「5以上10未満」、「10以上15未満」、及び「15以上」の4段階に分類されており、それぞれについて「1」、「2」、「3」、及び「4」が重み値として対応付けられている。即ち、前記検知頻度に対応する前記重み値は、前記検知頻度の値N4が高いほど大きくなるように設定されている。
【0070】
[ジョブ管理処理]
続いて、図7を参照しつつ、前記他の実施形態に係る前記画像処理装置10において、前記制御部5により実行される前記ジョブ管理処理の手順の一例について説明する。なお、前記制御部5は、前記ジョブ管理処理と並行して前記削除制御処理(図5参照)を実行する。
【0071】
<ステップS31>
ステップS31において、前記制御部5は、前記画像処理装置10で前記ジョブが実行されたか否かを判断する。ここで、前記制御部5は、前記ジョブが実行されたと判断すると(S31のYes側)、処理をステップS32に移行させる。一方、前記制御部5は、前記ジョブが実行されていなければ(S31のNo側)、処理を前記ステップS31で待機させる。
【0072】
<ステップS32>
ステップS32において、前記制御部5は、前記画像処理装置10の設置場所に対応する前記重み値を特定する。具体的に、前記制御部5は、前記画像処理装置10の初期設定時などに設定された前記画像処理装置10の設置場所と前記重み情報D11とに基づいて前記重み値を特定する。
【0073】
<ステップS33>
ステップS33において、前記制御部5は、前記画像処理装置10に前記ジョブを要求したユーザーが属する前記部門に対応する前記重み値を特定する。具体的に、前記制御部5は、前記画像処理装置10に現在ログイン中の前記ユーザーの部門と前記重み情報D12とに基づいて前記重み値を特定する。
【0074】
<ステップS34>
ステップS34において、前記制御部5は、前記画像処理装置10に前記ジョブを要求したユーザーに対応する前記重み値を特定する。具体的に、前記制御部5は、前記画像処理装置10に現在ログイン中の前記ユーザーと前記重み情報D13とに基づいて前記重み値を特定する。
【0075】
<ステップS35>
ステップS35において、前記制御部5は、前記ジョブの内容に対応する前記重み値を特定する。具体的に、前記制御部5は、前記ジョブが前記データ送信を伴う場合に、前記データ送信の送信先と前記重み情報D14とに基づいて前記重み値を特定する。例えば、前記データ送信の送信先が前記内部又は前記外部のいずれであるかについての情報は、前記画像処理装置10のアドレス帳に予め登録されていることが考えられる。
【0076】
また、前記制御部5が、前記データ送信の送信先のメールアドレスのドメイン名が、前記画像処理装置10に予め設定されたドメイン名であるか否かに応じて前記送信先が前記内部又は前記外部のいずれかであるかを判断してもよい。さらに、前記制御部5が、前記データ送信が内線又は外線のいずれであるかに応じて前記送信先が前記内部又は前記外部のいずれであるかを判断することも考えられる。例えば前記制御部5は、前記データ送信の送信先が電話番号である場合に、その電話番号の先頭に外線発信番号を示す「0」などの情報が入力されたか否かに応じて、前記データ送信が前記内線又は前記外線のいずれであるかを判断することが可能である。
【0077】
<ステップS36>
そして、ステップS36において、前記制御部5は、前記ステップS32〜S35で特定された4つの前記重み値に基づいて前記ログの重要度を算出して設定する。このように、前記ログ管理処理において前記ログの重要度を設定するときの前記制御部5が前記設定制御部52である。
【0078】
具体的に、前記制御部5は、前記ステップS32〜S35で特定された前記重み値の積を前記重要度として算出する。例えば、前記設置場所に対応する重み値が「2」、前記部門に対応する重み値が「3」、前記ユーザーに対応する重み値が「4」、前記データ送信先に対応する重み値が「1」である場合、前記ログの重要度は「24」になる。なお、前記制御部5は、前記操作表示部6のユーザー操作に応じて、前記設置場所、前記部門、前記ユーザー、及び前記データ送信先のうち前記重要度の算出に使用する情報を予め設定可能である。
【0079】
また、前記制御部5が、前記重み値の積が予め設定された複数の範囲のいずれに属するかに応じて重要度を設定することも考えられる。例えば、前記重み値の積が「16」未満の場合は重要度が「低」であり、「17」以上「32」未満の場合は重要度が「中」であり、「33」以上「64」未満の場合は重要度が「高」であり、「64」以上の場合は重要度が「高」であることが考えられる。なお、前記重み値に基づく前記重要度の算出手法は、前記重み値の積に限らず、前記重み値の和であってもよく、その他の予め設定された演算式に基づいて行われてもよい。
【0080】
<ステップS37>
そして、ステップS37において、前記制御部5は、前記ジョブのログを前記ステップS36で設定された前記重要度と共に前記ログ記憶部71に記憶させる。これにより、前記制御部5は、前記ログごとに対応する前記重要度を前記ログ記憶部71から読み出すことが可能になる。例えば、前記重要度は、前記ログの情報の一部として記憶される。また、前記重要度は、前記ログを識別するための情報と共に前記ログとは異なる情報として前記ログ記憶部71に記憶されてもよい。
【0081】
<ステップS38>
その後、ステップS38において、前記制御部5は、前記重み情報D12に記憶されている前記部門に対応する重み値を前記ジョブの履歴に基づいて変更する。
【0082】
具体的に、前記制御部5は、前記ジョブが終了するごとに、前記文字認識部54により前記ジョブの処理対象の画像データにおける前記特定文字の有無を判断する。そして、前記制御部5は、前記画像処理装置10で実行されたジョブの回数及び前記ジョブの処理対象の画像データに前記特定文字が含まれている回数をユーザーごとにカウントして前記記憶部7に記憶させる。これにより、前記制御部5は、ユーザーごと又は前記ユーザーが属する部門ごとに前記特定文字の検知頻度を算出することが可能である。
【0083】
そして、前記制御部5は、前記ユーザーが属する部門に対応する前記特定文字の検知頻度を算出すると、前記検知頻度と前記重み変更情報D21とに基づいて、前記重み情報D12における前記部門の重み値を変更する。これにより、前記ジョブの処理対象の画像データに前記特定文字が含まれる頻度が高いユーザーが属する部門ほど前記重要度の算出結果の値が大きくなる。このように、前記部門に対応する前記重み値を、前記部門に属するユーザーにより実行された前記ジョブの処理対象の画像データに前記特定文字が含まれている頻度に応じて自動的に変更する処理も前記設定制御部52によって実行される。なお、前記部門に対応する前記重み値の自動的な変更の有無は、前記操作表示部6に対するユーザー操作に応じて前記制御部5が設定可能である。
【0084】
<ステップS39>
同じく、ステップS39において、前記制御部5は、前記重み情報D13に記憶されている前記ユーザーに対応する重み値を前記ジョブの履歴に基づいて変更する。具体的に、前記制御部5は、前記ユーザーに対応する前記特定文字の検知頻度を算出し、前記検知頻度と前記重み変更情報D21とに基づいて、前記重み情報D12における前記部門の重み値を変更する。これにより、前記ジョブの処理対象の画像データに前記特定文字が含まれる頻度が高いユーザーほど前記重要度の算出結果の値が大きくなる。このように、前記ユーザーに対応する前記重み値を、前記ユーザーにより実行された前記ジョブの処理対象の画像データに前記特定文字が含まれている頻度に応じて自動的に変更する処理も前記設定制御部52によって実行される。なお、前記ユーザーに対応する前記重み値の自動的な変更の有無は、前記操作表示部6に対するユーザー操作に応じて前記制御部5が設定可能である。
【0085】
以上説明したように、当該他の実施形態に係る前記画像処理装置10では、前記部門又は前記ユーザーに対応する前記重み値を前記部門又は前記ユーザーごとの前記ジョブの実行履歴に応じて自動的に更新することが可能である。従って、前記削除制御処理では、前記部門又は前記ユーザーにより実行される前記ジョブのログのうち重要である可能性が高いと推測されるログが残される。
【符号の説明】
【0086】
1 :ADF
2 :画像読取部
3 :画像形成部
4 :給紙部
5 :制御部
51:記憶制御部
52:設定制御部
53:削除制御部
54:文字認識部
6 :操作表示部
7 :記憶部
71:ログ記憶部
72:重み情報記憶部
8 :通信I/F
10:画像処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7