特許第5980190号(P5980190)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980190
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】穿頭孔プラグ構造
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/10 20160101AFI20160818BHJP
【FI】
   A61B19/00 510
【請求項の数】17
【全頁数】62
(21)【出願番号】特願2013-232416(P2013-232416)
(22)【出願日】2013年11月8日
(62)【分割の表示】特願2010-531300(P2010-531300)の分割
【原出願日】2008年10月24日
(65)【公開番号】特開2014-87655(P2014-87655A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2013年12月9日
【審判番号】不服2015-15866(P2015-15866/J1)
【審判請求日】2015年8月27日
(31)【優先権主張番号】60/983,099
(32)【優先日】2007年10月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507213592
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック ニューロモデュレイション コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】レーン コートニー
(72)【発明者】
【氏名】ジェロイ ジェシー
(72)【発明者】
【氏名】マコーズ ジム
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトハースト トッド
(72)【発明者】
【氏名】フラワーズ マット
(72)【発明者】
【氏名】バーカー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ファーレル テリー
(72)【発明者】
【氏名】スウォイヤー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】シュライハー ブレット
(72)【発明者】
【氏名】ガニョン ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】ディジオレ アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ガライ エリス
(72)【発明者】
【氏名】ジャークス クリステン
(72)【発明者】
【氏名】カルブナル ラファエル
【合議体】
【審判長】 内藤 真徳
【審判官】 高木 彰
【審判官】 関谷 一夫
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2002/0052610(US,A1)
【文献】 米国特許第7004948(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0182420(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0216040(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭蓋穿頭孔プラグであって、
頭蓋穿頭孔の周りに取り付けられるよう構成されたプラグベースを有し、前記プラグベースは、前記穿頭孔から出ている複数の細長い医療器具を挿通させることができる孔を有し、
前記プラグベースの前記孔内に取り付けられるよう構成されたリテーナを有し、前記リテーナは、第1及び第2の摺動可能なクランプ機構体であって、前記プラグベースの前記孔の複数の弦のうちの任意の1つに沿って、前記医療器具を前記第1及び前記第2の摺動可能なクランプ機構体相互間に選択的に固定するよう構成されている第1及び第2の摺動可能なクランプ機構体と、リテーナ支持体と、前記リテーナ支持体に形成されていて、前記医療器具を受け入れるスロットとを有し、前記第1及び第2のクランプ機構体は、前記スロット内に受け入れられている前記医療器具を固定するよう前記リテーナ支持体に側方に摺動可能に係合する、穿頭孔プラグ。
【請求項2】
前記プラグベースの前記孔は、円形である、請求項1記載の穿頭孔プラグ。
【請求項3】
前記孔の最も大きな寸法は、25mm以下である、請求項1記載の穿頭孔プラグ。
【請求項4】
前記リテーナは、前記プラグベースの前記孔内に取り外し可能に取り付けられるよう構成されている、請求項1記載の穿頭孔プラグ。
【請求項5】
前記プラグベースは、前記プラグベースの前記孔内に取り付けられると、前記リテーナを支持するよう構成されている少なくとも1つの内側環状棚部を有する、請求項1記載の穿頭孔プラグ。
【請求項6】
前記1つの弦は、オフセンタ弦である、請求項1記載の穿頭孔プラグ。
【請求項7】
前記リテーナ支持体は、ディスクである、請求項1記載の穿頭孔プラグ。
【請求項8】
前記第1及び前記第2のクランプ機構体の各々は、クランプバーと、前記クランプバーを側方に摺動させて前記スロット内に受け入れられている前記医療器具を固定するよう前記リテーナ支持体に摺動可能に係合する摺動可能なフランジとを有する、請求項1記載の穿頭孔プラグ。
【請求項9】
前記第1及び前記第2のクランプバーのうちの少なくとも一方は、凹凸特徴部を備えたクランプ面を有する、請求項8記載の穿頭孔プラグ。
【請求項10】
前記第1及び前記第2のクランプ機構体の各々は、前記医療器具が固定されると、それぞれの前記クランプバーを前記リテーナ支持体に対してロックするよう構成されたロック要素を有する、請求項8記載の穿頭孔プラグ。
【請求項11】
前記リテーナは、前記スロットの互いに反対側の側部で前記リテーナ支持体に形成された第1及び第2の凹部を有し、前記第1及び前記第2のクランプ機構体の前記摺動可能なフランジは、それぞれの前記凹部内に摺動可能に嵌め込まれる、請求項8記載の穿頭孔プラグ。
【請求項12】
前記リテーナは、第1及び第2の対をなすC字形チャネルを有し、各対は、それぞれの前記凹部の互いに反対側の側部に設けられ、各摺動可能なフランジの1対の互いに反対側の縁部は、それぞれ、それぞれの前記C字形チャネル内に受け入れられる、請求項11記載の穿頭孔プラグ。
【請求項13】
前記スロットは、前記医療器具を側方から受け入れるよう構成されている、請求項1記載の穿頭孔プラグ。
【請求項14】
前記プラグベースを患者の頭蓋に固着するよう構成された締結具を更に有する、請求項1記載の穿頭孔プラグ。
【請求項15】
前記リテーナを覆って前記プラグベースに取り付けられるよう構成されたキャップを更に有する、請求項1記載の穿頭孔プラグ。
【請求項16】
前記プラグベースは、前記医療器具をそれぞれ嵌入させるよう構成された複数個の出口溝を有し、前記キャップは、前記キャップが前記プラグベースに取り付けられると、前記出口溝内の前記医療器具をしっかりと固定するよう構成されている、請求項14記載の穿頭孔プラグ。
【請求項17】
前記第1及び第2の摺動可能なクランプ機構体は、複数の異なる位置のうちの1つに選択的にロックされるよう構成されている、請求項1に記載の穿頭孔プラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細長い医療器具、例えばカテーテル又はリードを頭蓋穿頭孔内に固定する器械に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の脳内への電気刺激リードの植え込みを含む深部脳刺激(DBS)及び他の関連手技が、障害、例えばパーキンソン病、ジストニー(異緊張症)、本態性振戦発作、肥満症、うつ病、運動制御の回復及び他の消耗性疾患を1つ又は2つ以上の標的部位の刺激による電気刺激によって治療するためにますます用いられており、かかる標的部位としては、腹側外側の視床、淡蒼球の内節、黒質網様部、視床下核(STN)又は淡蒼球の外節が挙げられる。DBSは、多くの障害に関する屈指の治療オプションになっている。というのは、DBSは、病変化の安全且つ可逆性の代替手段だからである。例えば、DBSは、進行したパーキンソン病の治療のための最も頻繁に実施されている外科手技である。世界中には、DBS手術を受けたほぼ30,000人の患者が存在している。その結果、DBS治療オプションにおける技術進歩から恩恵を受ける多数の患者が存在する。
【0003】
DBS手技の際、患者の頭蓋を貫通して、下に位置する脳組織を損傷させないよう最新の注意を払って少なくとも1つの穿頭孔を切断形成し、大型定位ターゲッティング器械を患者の頭蓋に取り付け、カニューレを脳内の標的部位に向かって注意深く位置決めする。次に、刺激リードをカニューレに通して穿頭孔から脳の実質中に導入し、リードに設けられている1つ又は2つ以上の電極を患者の脳内の標的部位に戦略的に配置する。リードをいったん正しく位置決めすると、穿頭孔から出ているリードの部分を患者の頭皮の下で、穿頭孔から見て遠くに位置する部位(例えば、患者の肩甲部又は胸部)のところで患者の体内に植え込まれている植え込み型パルス発生器(IPG)まで皮下的に引き回す。DBSを用いた病気の治療を説明したそれ以上の細部は、米国特許第6,845,267号明細書、同第6,845,267号明細書及び同第6,950,707号明細書に開示されている。
【0004】
効能のある治療を連続的に達成するためには、リード位置の適正な配置場所及び維持を達成することが非常に重要である。これは、DBS用途に関して特にそうであり、この場合、電気刺激向きの1つの標的部位(又は複数の標的部位)は、ほぼエンドウ豆のサイズであり、患者の脳内に深く配置される。かくして、1ミリメートル未満のリード変位量は、患者の治療に対して有害な影響を及ぼす場合がある。したがって、リードの電極を標的部位に正確に位置決めすること及びかかる電極をリードの植え込み中及び植え込み後、標的部位に固定的に維持することが重要である。加うるに、感染又は脳脊髄液の漏れを阻止するよう穿頭孔を刺激リードの周りで封止することが重要である。
【0005】
これら課題を解決するため、植え込み手技の際、頭蓋穿頭孔プラグ(栓)を穿頭孔内に取り付けて刺激リードを定位置に保持すると共に穿頭孔を封止する。典型的には、穿頭孔プラグは、多くのコンポーネントで構成されており、かかるコンポーネントとしては、リング形ベース、リテーナ及びキャップが挙げられ、これらは、穿頭孔プラグを形成するよう互いに一体化される。
【0006】
具体的に説明すると、刺激リードを穿頭孔から導入する前に、リング形プラグベースを穿頭孔の周りに配置し、次に、従来型手段、例えばねじを用いてこのプラグベースを患者の頭蓋に永続的に取り付ける。次に、刺激リードをプラグベースに通して脳の実質中に導入する。特に、穿頭孔から出ているリードの部分の変位の結果として、脳内に位置決めされている電極が標的部位に対して並進し、その結果、リードを再位置決めする必要があり、これは、時間のかかるプロセスである。
【0007】
かくして、リードを組織部位にいったん正しく位置決めすると、リテーナをプラグベース内に取り付け(典型的には、締り嵌め関係をなして、例えばスナップ嵌め関係をなして)リードを一時的に固定し、それにより次のリードの近位端部の操作の際及びキャップの取り付けの際、標的部位に対するリードの移動を阻止する。例示の一形態では、リテーナは、リードを受け入れるスロットを備えたディスク及びクランプ機構体を有し、このクランプ機構体は、ディスクに設けられている嵌合面に向かってスロット内で回転可能であり、それにより受け入れられているリードがクランプ機構体と嵌合面との間で摩擦の作用でクランプされる。
【0008】
クランプ機構体は、クランプ機構体の回転を阻止するようディスクに設けられている相補形ロック機構体に係合し又はこれから離脱することができる1つ又は2つ以上のロック機構体を有する場合がある。次に、リテーナから出ている刺激リードの部分をディスクの平面に向かって下方に折り曲げてプラグベースに形成されている凹部内に入れるのが良く、リテーナを覆ってキャップをプラグベースに取り付けてリードを凹部内に永続的に固定すると共に穿頭孔を封止するのが良い。これらの形式の穿頭孔プラグに関するそれ以上の詳細は、米国特許出願公開第2002/0156372号明細書に開示されている。
【0009】
かくして、上記のことから理解できるように、穿頭孔プラグは、DBSシステムのためのプラットホームとしての役目を果たし、従って、このコンポーネントは、頑丈であり、適切に設計され、そして使いやすいことが重要である。重要なこととして、穿頭孔プラグは、リードの移動が穿頭孔プラグの取り付け中、最小限に抑えられるよう設計されていることが必要である。先行技術の穿頭孔プラグは、DBSとの関連において有用であることが判明しているが、依然として行うことができる改良点が存在する。
【0010】
一例として、先行技術の穿頭孔プラグは、典型的には、生体適合性且つ非腐食性材料、例えばプラスチック(例えば、ポリプロピレン又はポリカーボネート)で構成され、プラスチックは、他の材料よりも耐久性が低いが、MRIと適合性があり、又、チタンとは異なり、MRIを歪曲することはない。穿頭孔プラグが穿頭孔内へのその取り付けの際十分に耐久性があるようにするため、プラグベースは、典型的には、閉じられたアーキテクチャ(閉鎖リング)を有する。このために、更に、リードの近位端部のところにリード案内機器が配置されるので、プラグベースは、穿頭孔中への刺激リードの送り込みに先立って、穿頭孔内又はその周りに取り付けられなければならない。これは、それ自体、問題を引き起こすことはないが、プラグベースが穿頭孔に配置される前にリードが不注意に患者の脳内に送り込まれた場合、リードを後退させて穿頭孔から引き出す必要があり、リード送り込みプロセスを再び開始する必要がある。また、先行技術のプラグベースは、単一品で構成されているので、プラグベースが患者の頭蓋にしっかりと固着されている場合、特に、プラグベースの底面が頭蓋の曲率にマッチしていない場合、プラグベースが破損する恐れがある。
【0011】
プラグベース内に取り付けられたリテーナも又、プラスチック材料で構成されるので、リテーナは、典型的には、プラグベース内へのその取り付けの際及びリードを安定化させるクランプ機構体の操作の際、幾分変形することになる。加うるに、クランプ機構体は、刺激リードに対してクランプされたときその長さに沿って幾分変形するので、不均等な力がクランプ機構体に沿って加えられる場合があり、それにより、リードに加えられる保持力が弱くなる。また、リテーナの組成物が比較的弱いので、リテーナとディスクの嵌合面との間に働くクランプ力が制限され、それによりクランプ機構体のリード保持力が制限される。さらに、下向きの力を加えることが典型的にはクランプ機構体をロック解除し、そしてクランプ機構体がディスクに対して回転することができるようにするのに必要なので、かかる下向きの力により、クランプ機構体が過剰に遠く下方に曲げられる場合があり、それにより、クランプ機構体に永久歪が生じ又はクランプ機構体が破断することがある。加うるに、穿頭孔プラグは、代表的には、特に湿潤された場合極めて減摩性が高い生体適合性ポリマーで構成されているので、クランプ機構体の保持面並びにディスクの嵌合面の摩擦係数は、比較的低い場合がある。その結果、リードは、中位の大きさの引張力をリードに加えただけで移動する場合がある。
【0012】
先行技術の穿頭孔プラグの問題の別の例として、リテーナは、プラグベース内で回転する場合があり、その結果、標的部位からの刺激リードの偶発的な移動が生じる可能性がある。リテーナ機構体のかかる回転は、典型的には、クランプ機構体の操作並びに特にクランプ機構体に加えられて、クランプ機構体が取り付けられている保持ディスクとプラグベースとの部分的離脱を生じさせる下向きの力及びクランプ機構体に加えられて、離脱状態のディスクをプラグベース内で回転させる横向きの力に応答して生じる場合がある。
【0013】
さらに別の例として、多くのDBSシステムは、単一リード(一方向)システムから二重リード(両方向)システムに技術的発展を遂げ、例えば、STN刺激を実施するために一方のリードが用いられ、視床刺激を実施するために別のリードが用いられる。他のDBSシステムは、脳内信号を記録する記録用リードを用いる場合があり、脳内信号は、次に、刺激リードによって標的部位に及ぼされる刺激を制御するためにIPGにフィードバックされる。しかしながら、先行技術の穿頭孔プラグは、一度に2本以上の刺激リードを安定化させるようには設計されていない。これは、ディスク内のスロットがディスクの外周部に沿って穿頭孔から出るリードを固定することができるに過ぎないからである。ただし、リードは、外周部からオフセットしている場合がある。かくして、リードにより刺激されると共に/或いは記録される標的部位が互いに隣接している場合があるにもかかわらず、各々が刺激リード及び穿頭孔プラグを収容した多数の穿頭孔が、多数本の刺激リードを用いる場合に患者の頭蓋に形成されるのが通例である。多数の穿頭孔を作ることにより、患者に対する危険、手術室内での時間(これは又、患者の危険を増大させる)、手術室内で必要な物資及びスタッフ並びにこの手技の費用が全て増大するので、1つの穿頭孔を通る多数本のリードに対応することができる穿頭孔プラグの採用が好ましい。
【0014】
さらに別の例として、穿頭孔から出ている刺激リードの部分を保持ディスクの平面に向かって下方に曲げたときにかかる部分を保持ディスクのスロットの長さ方向に対して垂直の角度をなして配置してリードがこれをぴんと張ったときにスロットに沿って動くことがないようにすることが好ましい。しかしながら、リードが納められているプラグベースの凹部は、スロットに対して斜めに(これに垂直ではなく)設けられているので、リード支持機構体がプラグベースに対して申し分なく差し向けられてはいない場合、リードをベース凹部に向かってスロットに対し垂直に曲げることは困難な場合がある。加うるに、リードがベース凹部内に納められている状態でリード支持機構体をベースに対して回転させると、リードが標的部位から変位する場合がある。
【0015】
さらに別の例では、プラグベースは、これをねじにより頭蓋に固着する間、定位置にしっかりと保持されなければならない。リテーナは又、保持ディスクがリードの位置を乱さないでプラグベース内に適切に納められるようにプラグベース内に取り付けられなければならない。しかしながら、穿頭孔プラグコンポーネントのサイズが非常に小さいので、これら穿頭孔プラグコンポーネントは、位置決めしたり操作したり取り扱うことが困難である。このことと、ターゲッティング器械と穿頭孔との間の作業空間が制限されていることが相まって、プラグを視覚化してこれを穿頭孔内に正しく取り付けてリードを安定化させることは、極めて困難になる。外科医が穿頭孔プラグのコンポーネントを取り付けている間、異物(ねじ、ツール、屑片等)が露出状態の穿頭孔内に落下する恐れ並びに穿頭孔内にツールが滑り込む恐れがある。穿頭孔を覆うと共にプラグベースを固着するために用いられるねじの保持/位置合わせを行いながらプラグベースを安定化させる先行技術のツールを利用する場合がある。しかしながら、ねじは、これらツールから偶発的に飛び出る場合があり、しかも、かかるねじは、常に正確な角度で頭蓋中に螺入するとは限らない。
【0016】
かくして、リードの位置を乱さないで穿頭孔プラグを取り付けることは、プラグベースを患者の頭蓋に固着しながらプラグベースを心出しすると共にリテーナをプラグベースにしっかりと保持して取り付けることができるツール及び/又は穿頭孔プラグを特殊化しなければ、ほぼ実現不可能な作業である。典型的には、外科医は、リテーナに係合する特殊なツールを用いる場合があり、この特殊なツールをナビゲートしてプラグベース内に位置決めし、次に、下方に押し下げてこれをプラグベース中にスナップ嵌めするようにすることができる。しかしながら、この取り付けツールは、保持ディスクに一箇所で係合するに過ぎない。かくして、ディスクをプラグベース内に取り付けようとしている間にディスクが斜めになり又は傾斜状態になる場合があり、もっと悪いことに、ディスクに蓄えられているばね力が所与の場合、ディスクが手術部位から放出される場合がある。
【0017】
さらに別の例では、先行技術の穿頭孔プラグは、サイズが1種類の刺激リードと共に用いられるよう設計されている。すなわち、クランプ器具がロック位置にあるときのクランプ装置の保持面とディスクの嵌合面との間の寸法は、リードの直径よりも僅かに小さいように設計されている。穿頭孔プラグと共に用いられる実際のリードの直径がこの意図した直径よりも小さい場合、クランプ機構体によりリードに加えられる保持力は、十分ではないことになる。穿頭孔プラグと共に用いられる実際のリードの直径がこの意図した直径よりも大きい場合、クランプ機構体をロック位置内に配置するためにはリードに加えられる必要のある力が大きすぎることになり、それにより、リテーナ及び/又はリードが損傷する恐れがある。
【0018】
さらに別の例として、プラグベースをねじにより患者の頭蓋にいったん取り付けると、プラグベースの位置を調節することは、これが望ましい場合であっても困難である。また、定位ターゲッティング装置のサイズが比較的大きいので、プラグベースを患者の頭蓋に固着するためにターゲッティング装置と穿頭孔との間で利用できる作業空間が僅かである場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第6,845,267号明細書
【特許文献2】米国特許第6,950,707号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0156372号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
かくして、改良型設計の穿頭孔プラグが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によれば、頭蓋穿頭孔プラグが提供される。穿頭孔プラグは、頭蓋穿頭孔の周りに取り付けられるよう構成されたプラグベースを有する。プラグベースは、頭蓋孔から出ている細長い医療器具を挿通させることができる孔を有する。プラグベース孔は、適当な形状(例えば、円形)及び適当な寸法(例えば、25mm以下)を有する。一実施形態では、プラグベースは、医療器具を側方から受け入れるよう構成された開放スロットを有する。
【0022】
穿頭孔プラグは、医療器具を固定するようプラグベースの孔内に取り付けられるよう構成されたリテーナを更に有する。一実施形態では、リテーナは、プラグベースの孔内に取り外し可能に取り付けられるよう構成されている。別の実施形態では、プラグベースは、プラグベースの孔内に取り付けられると、リテーナを支持するよう構成されている少なくとも1つの内側環状棚部を有する。更に別の実施形態では、リテーナは、リテーナ支持体(例えばディスク)と、リテーナ支持体に形成されていて、医療器具を受け入れるスロットと、クランプ力をスロット内に受け入れられた医療器具に加えるよう構成されたクランプ機構体とを更に有する。クランプ機構体は、医療器具に係合するよう構成されたクランプバーと、医療器具が固定されると、クランプバーをリテーナ支持体に対してロックするよう構成されたロック要素とを有するのが良い。
【0023】
穿頭孔プラグは、プラグベース及びリテーナに加えて他のコンポーネントを有するのが良い。例えば、穿頭孔プラグは、プラグベースを患者の頭蓋に固着するよう構成された締結具及びリテーナを覆ってプラグベースに取り付けられるよう構成されたキャップを有するのが良い。プラグベースは、医療器具を嵌入させるよう構成された出口溝を有するのが良く、この場合、キャップは、キャップがプラグベースに取り付けられると、医療器具を出口溝内にしっかりと固定するよう構成されるのが良い。
【0024】
本発明によれば、患者に対して医療手技を実施する方法が提供される。この方法は、細長い医療器具(例えば、電気リード)を患者の頭蓋穿頭孔から患者の脳組織中に導入するステップを有する。この方法は、プラグベースを頭蓋穿頭孔の周りに取り付けて医療器具がプラグベースの孔を貫通するようにするステップを更に有する。一方法では、プラグベースは、開放スロットを有し、この場合、この方法は、医療器具をスロット内に側方から導入するステップを更に有するのが良い。この場合、プラグベースは、医療器具を穿頭孔から患者の脳組織中に導入した後、頭蓋穿頭孔周りに取り付けられるのが良い。この方法は、リテーナをプラグベースの孔の中に取り付けるステップ及びリテーナを作動させて医療器具を固定するステップを更に有する。
【0025】
図面は、本発明の好ましい実施形態の設計及び有用性を示しており、図中、互いに類似した要素は、共通の参照符号により示されている。本発明の上述の利点及び目的並びに他の利点及び目的がどのように達成されるかを良く理解することができるようにするために、概要を上述した本発明の特定の説明をその特定の実施形態を参照して行い、これら特定の実施形態は、添付の図面に示されている。これら図面が本発明の代表的な実施形態のみを示し、従って、本発明の範囲を限定するものと見なされてはならないことを理解した上で、本発明を添付の図面の使用により追加の具体性及び詳細につき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に従って構成された深部脳刺激(DBS)システムの平面図であり、DBSシステムが患者の体内に植え込まれた状態で具体的に示されている図である。
図2図1のDBSシステムに使用することができる穿頭孔プラグの第1の実施形態の分解組立て斜視図である。
図3図2の穿頭孔プラグの平面側斜視図である。
図4図2の穿頭孔プラグの底面側斜視図である。
図5図2の穿頭孔プラグの平面図である。
図6図2の穿頭孔プラグの側面図である。
図7図2の穿頭孔プラグの断面図である。
図8図2の穿頭孔プラグに用いられるプラグベースの平面側斜視図である。
図9図8のプラグベースの底面側斜視図である。
図10図1のDBSシステムに使用することができる穿頭孔プラグの第2の実施形態の底面側斜視図である。
図11図10の穿頭孔プラグの側面図である。
図12図10の穿頭孔プラグに用いることができる別のプラグベースの平面側斜視図である。
図13図12のプラグベースの底面側斜視図である。
図14図8のプラグベースの拡大底面図である。
図15図2の穿頭孔プラグの拡大平面図である。
図16図2の穿頭孔プラグに用いることができる更に別のプラグベースの平面図である。
図17図2の穿頭孔プラグに用いることができる更に別のプラグベースの平面側一体化斜視図である。
図18図17のプラグベースの平面側分解組立て斜視図である。
図18a図2の穿頭孔プラグに用いることができる更に別のプラグベースの平面側斜視図である。
図18b図2の穿頭孔プラグに用いることができる更に別のプラグベースの平面側斜視図である。
図19図2の穿頭孔プラグに用いることができるプラグベースの更に別の変形実施形態の平面側斜視図である。
図20図19のプラグベースの断面図であり、特に、プラグベースを穿頭孔内に取り付けるための機構体の一実施形態を示す図である。
図21図19のプラグベースの断面図であり、特に、プラグベースを穿頭孔内に取り付けるための機構体の一実施形態を示す図である。
図22図19のプラグベースの断面図であり、特に、プラグベースを穿頭孔内に取り付けるための機構体の別の実施形態を示す図である。
図23図19のプラグベースの断面図であり、特に、プラグベースを穿頭孔内に取り付けるための機構体の別の実施形態を示す図である。
図24図19のプラグベースの断面図であり、特に、プラグベースを穿頭孔内に取り付けるための機構体の更に別の実施形態を示す図である。
図25図19のプラグベースの断面図であり、特に、プラグベースを穿頭孔内に取り付けるための機構体の更に別の実施形態を示す図である。
図26図19のプラグベースの断面図であり、特に、プラグベースを穿頭孔内に取り付けるための機構体の更に別の実施形態を示す図である。
図27図19のプラグベースの断面図であり、特に、プラグベースを穿頭孔内に取り付けるための機構体の更に別の実施形態を示す図である。
図28図2の穿頭孔プラグに用いられるリテーナの平面側斜視図である。
図29図28のリテーナの底面側斜視図である。
図30図28のリテーナの平面図であり、特に、クランプ機構体を開放位置で示す図である。
図31図28のリテーナの底面図であり、特に、クランプ機構体を開放位置で示す図である。
図32図28のリテーナの平面図であり、特に、クランプ機構体を閉鎖位置で示す図である。
図33図28のリテーナの底面図であり、特に、クランプ機構体を閉鎖位置で示す図である。
図34図28のリテーナに用いられるリテーナ支持体の底面側斜視図である。
図35図28のリテーナに用いられるクランプ機構体の平面側斜視図である。
図36図35のクランプ機構体の底面側斜視図である。
図37図28のリテーナの平面側拡大斜視図であり、特に、クランプ機構体を閉鎖位置で示す図である。
図38図28のリテーナの平面側拡大斜視図であり、特に、クランプ機構体を開放位置で示す図である。
図39A】クランプ機構体と図28のリテーナのリテーナ支持体が相互作用してクランプ機構体をロックしたりこれをリテーナ支持体からロック解除したりする技術を示す平面図である。
図39B】クランプ機構体と図28のリテーナのリテーナ支持体が相互作用してクランプ機構体をロックしたりこれをリテーナ支持体からロック解除したりする技術を示す平面図である。
図39C】クランプ機構体と図28のリテーナのリテーナ支持体が相互作用してクランプ機構体をロックしたりこれをリテーナ支持体からロック解除したりする技術を示す平面図である。
図39D】クランプ機構体と図28のリテーナのリテーナ支持体が相互作用してクランプ機構体をロックしたりこれをリテーナ支持体からロック解除したりする技術を示す平面図である。
図39E】クランプ機構体と図28のリテーナのリテーナ支持体が相互作用してクランプ機構体をロックしたりこれをリテーナ支持体からロック解除したりする技術を示す平面図である。
図40】クランプ機構体と図28のリテーナのリテーナ支持体が相互作用してクランプ機構体をロックしたりこれをリテーナ支持体からロック解除したりする別の技術を示す平面図である。
図41】クランプ機構体と図28のリテーナのリテーナ支持体が相互作用してクランプ機構体をロックしたりこれをリテーナ支持体からロック解除したりする更に別の技術を示す平面図である。
図42A図35のクランプ機構体に用いることができる種々の凹凸面を示す斜視図である。
図42B図35のクランプ機構体に用いることができる種々の凹凸面を示す斜視図である。
図42C図35のクランプ機構体に用いることができる種々の凹凸面を示す斜視図である。
図42D図35のクランプ機構体に用いることができる種々の凹凸面を示す斜視図である。
図42E図35のクランプ機構体に用いることができる種々の凹凸面を示す斜視図である。
図42F図35のクランプ機構体に用いることができる種々の凹凸面を示す斜視図である。
図42G図35のクランプ機構体に用いることができる種々の凹凸面を示す斜視図である。
図42H図35のクランプ機構体に用いることができる種々の凹凸面を示す斜視図である。
図42I図35のクランプ機構体に用いることができる種々の凹凸面を示す斜視図である。
図42J図35のクランプ機構体に用いることができる種々の凹凸面を示す斜視図である。
図42K図35のクランプ機構体に用いることができる種々の凹凸面を示す斜視図である。
図42L図35のクランプ機構体に用いることができる種々の凹凸面を示す斜視図である。
図42M図35のクランプ機構体に用いることができる種々の凹凸面を示す斜視図である。
図42N図35のクランプ機構体に用いることができる種々の凹凸面を示す斜視図である。
図43図35のクランプ機構体に用いることができるインターロック式凹凸構造体の平面図である。
図44図2の穿頭孔プラグに用いることができるリテーナの変形実施形態の平面側斜視図である。
図45図2の穿頭孔プラグに用いることができるリテーナの別の変形実施形態の平面側斜視図である。
図45a図2の穿頭孔プラグに用いることができるリテーナの更に別の変形実施形態の平面図である。
図45b図2の穿頭孔プラグに用いることができるリテーナの更に別の変形実施形態の平面図である。
図45c図2の穿頭孔プラグに用いることができるリテーナの更に別の変形実施形態の平面図である。
図45d図2の穿頭孔プラグに用いることができるリテーナの更に別の変形実施形態の平面図である。
図45e図2の穿頭孔プラグに用いることができるリテーナの更に別の変形実施形態の平面図である。
図45f図2の穿頭孔プラグに用いることができるリテーナの更に別の変形実施形態の平面図である。
図46】刺激リードを図45のリテーナによってクランプできる方向を示す種々の弦を示す略図である。
図47】刺激リードを図45のリテーナによってクランプできる方向を示す別の弦を示す略図である。
図48図2の穿頭孔プラグに用いることができ、特にクランプ解除位置で示されたリテーナの更に別の変形実施形態の平面側斜視図である。
図49】特にクランプ位置で示された図48のリテーナの平面側斜視図である。
図50図2の穿頭孔プラグに用いることができ、特にクランプ解除位置で示されたリテーナの更に別の変形実施形態の平面側斜視図である。
図51】特にクランプ位置で示された図50のリテーナの平面側斜視図である。
図52図2の穿頭孔プラグに用いられるキャップの平面側斜視図である。
図53図52のキャップの底面側斜視図である。
図54図8のプラグベースを穿頭孔内に取り付けるために使用できるプラグベース保持ツールの平面図である。
図55】特に図8のプラグベースに係合した状態で示された図54のプラグベース保持ツールの側面図である。
図56】特に図8のプラグベースから離脱状態で示された図54のプラグベース保持ツールの側面図である。
図57図8のプラグベースを穿頭孔内に取り付けるために使用できる別のプラグベース保持ツールの平面図である。
図58】特に図8のプラグベースに係合した状態で示された図57のプラグベース保持ツールの側面図である。
図59図8のプラグベースを穿頭孔内に取り付けるために使用できる更に別のプラグベース保持ツールの平面側斜視図であり、特に、ツールをプラグベースから離脱させた状態で示す図である。
図60図59のプラグベース保持ツールの平面側斜視図であり、特にツールをプラグベースに係合させた状態で示す図である。
図61図60のプラグベース保持ツール及びプラグベースの断面図である。
図62図59のプラグベース保持ツールのねじ位置合わせ機構体の平面側斜視図である。
図63図62のねじ位置合わせ機構体に用いられるインサートの平面側斜視図である。
図64図62のねじ位置合わせ機構体に用いられるカラーの平面側斜視図である。
図65図59のプラグベース保持ツールに使用できる別のねじ位置合わせ機構体の平面側拡大斜視図である。
図66図65のねじ位置合わせ機構体の拡大断面図である。
図67図59のプラグベース保持ツールに使用できる別の変形例としてのねじ位置合わせ機構体の断面図である。
図68図67のねじ位置合わせ機構体の平面側斜視図である。
図69図67のねじ位置合わせ機構体の平面側斜視図であり、特に、ねじをカラー内に設けられた状態で示す図である。
図70】リテーナに係合したリテーナ保持ツールの一実施形態の平面側斜視図である。
図71図70のリテーナ保持ツールの側面図である。
図72】リテーナに係合したリテーナ保持ツールの1つの脚部の断面図である。
図73】リテーナ保持ツールの別の実施形態の斜視図である。
図74図73のリテーナ保持ツールのリテーナ保持機構体の斜視図である。
図75図73のリテーナ保持ツールの拡大斜視図であり、特に、図28のリテーナを図8のプラグベースに取り付けた状態を示す図である。
図76図74のリテーナ保持機構体の斜視図であり、特に、リテーナ保持機構体を想像線で示す図である。
図77図73のリテーナ保持ツールの切れ味の鈍い先端部の拡大図である。
図78】リテーナ保持ツールの更に別の変形実施の斜視図である。
図79図78のリテーナ保持ツールの拡大図である。
図80図78のリテーナ保持ツールの一部分を想像線で示す拡大図である。
図81】穿頭孔内に取り付けられた図8のプラグベースの側面図である。
図82】穿頭孔内に取り付けられた図12のプラグベースの側面図である。
図83図81の取り付け状態のプラグベースの斜視図であり、特に、プラグベースの孔を貫通して設けられた刺激リードを示す図である。
図84】穿頭孔内への取り付けに先立つ図16のプラグベースの斜視図であり、特に、プラグベースの孔を貫通して設けられた刺激リードを示す図である。
図85】穿頭孔内に取り付けられた図17のプラグベースの一部分の斜視図である。
図86】穿頭孔内に取り付けられた図17のプラグベースの残りの部分の斜視図である。
図87図83に示されたプラグベース内に取り付けられた図28のリテーナの斜視図であり、特に、クランプ機構体を開放位置で示す図である。
図88図83に示されたプラグベース内への取り付けに先立つ図48のクランプ機構体の斜視図であり、特に、クランプ機構体をクランプ解除位置で示す図である。
図89図83に示されているプラグベース内への取り付けに先立つ図48のクランプ機構体の斜視図であり、特に、クランプ機構体をクランプ位置で示す図である。
図90図83に示されているプラグベース内に取り付けられた図28のリテーナの斜視図であり、特に、クランプ機構体を閉鎖位置で示す図である。
図91図83に示されたプラグベース内に取り付けられている図58のリテーナの保持ディスクの斜視図である。
図92図91に示された保持ディスクに取り付けられている図58のリテーナのクリップの斜視図である。
図93図83に示されたプラグベース内に取り付けられている図45のリテーナの斜視図である。
図94図83に示されたプラグベース内に取り付けられている図28のリテーナの斜視図であり、特に、クランプ機構体を閉鎖位置で示す図である。
図95図83に示されたプラグベースに取り付けられている図52のキャップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
先ず図1を参照すると、本発明の一実施形態に従って構成された例示のDBSシステム10が、消耗性疾患、例えばパーキンソン病、ジストニー、本態性振戦、発作、肥満症、うつ病等の治療のために患者の体内に植え込まれた状態で示されている。システム10は、刺激リード12の遠位端部によって支持された電極14を標的組織領域3、例えば患者1の深部脳構造体(例えば、腹側外側の視床、淡蒼球の内節、黒質網様部、視床下核又は淡蒼球の外節)に隣接して位置決めするために患者1の脳2の実質内に植え込まれた刺激リード12を有する。かくして、電気刺激エネルギーを電極14から標的組織領域3に送って病気を治療することができる。理解できるように、刺激リード12は患者1の頭蓋6に形成された穿頭孔5を介して患者1の頭部4内に導入される。変形実施形態では、多数本の刺激リード(図示せず)を用いることができ、これら全ては、以下に更に詳細に説明するように、同一の穿頭孔5を経て患者1の頭部4内に配置可能である。
【0028】
1本の刺激リード12(又は複数本の刺激リード)を固定すると共に感染及び脳脊髄液の漏れを阻止するため、システム10は、患者1の穿頭孔5の周りで頭蓋6に取り付けられた穿頭孔プラグ16を更に有する。刺激リード12は、穿頭孔5から穿頭孔プラグ16を通って頭蓋6の外部の場所まで延びている。穿頭孔プラグ16の種々の実施形態の構造及び機能に関する詳細な説明を以下に行う。
【0029】
DBSシステム10は、神経刺激器17、例えば植え込み型パルス発生器(IPG)、高周波(RF)受信器型刺激器又は刺激リード12に結合されていて、電気刺激エネルギーを制御されると共に治療的な仕方で刺激リード12に送り出すことができる任意他の装置を更に有する。神経刺激器17は、一般に、患者の胴(例えば、胸部又は肩甲部)に外科的に作られたポケット内に植え込まれるのが良い。神経刺激器17は、当然のことながら、患者の体の他の場所にも植え込み可能である。DBSシステム10は、リード延長部19を更に有し、このリード延長部を刺激リード12の近位端部に適切に接続することができ、そして患者1の頭皮7の下で神経刺激器植え込み部位まで皮下的に前進させることができ、それにより神経刺激器17を刺激リード12の出口箇所(即ち、穿頭孔5)から遠ざけて配置することが容易になる。変形実施形態では、神経刺激器17は、米国特許第6,920,359号明細書に記載されているように、患者1の頭蓋上に又はこの中に直接植え込み可能である。この場合、リード延長部19は、不要な場合がある。植え込み後、神経刺激器17を用いて治療効果のある刺激を患者1の制御下で提供する。システム10は、外部コンポーネント、例えば患者用手持ち形プログラマ、臨床医プログラミングステーション及び外部充電器(これら全て図示されていない)を有するのが良く、これらの細部については、説明が煩雑になるのを避けるために本明細書においては説明しない。
【0030】
理解されるべきこととして、本発明は、DBS用途に十分に役立つが、本発明は、その最も広い観点において、そのように制限されることはない。例えば、1本の刺激リード12(又は複数本の刺激リード)を深部脳構造体以外の脳の領域内に、例えば、大脳皮質内に又は大脳皮質の表面上に送り込むことができる。加うるに、刺激リード以外の電気リードを患者1の頭部4内に送り込むことができる。例えば、穿頭孔5を通って電気記録用リードを患者1の頭部4内に送り込んで脳内信号を単独で又は刺激リードと関連して検出することができる。さらに、電気リード以外の細長い医療器具、例えば薬物送達カテーテル又は針を穿頭孔5から患者1の頭部4内に送り込むことができる。かくして、理解できるように、本明細書において説明する穿頭孔プラグは、任意の治療目的及び/又は診断目的で穿頭孔を通って患者1の頭蓋6内に送り込まれるようになった細長い医療器具と併用できる。
【0031】
次に図2図7を参照して穿頭孔プラグ16の一実施形態について説明する。穿頭孔プラグ16は、主要構成要素として、穿頭孔の周りに固定的に取り付けられるよう構成されたプラグベース(又はシェル)18と、プラグベース18内に取り付けられると共に穿頭孔を通って延びる刺激リードを一時的に固定するよう構成されたリテーナ20と、穿頭孔を封止しながら刺激リードを永続的に固定するためにリテーナ20を覆ってプラグベース18に取り付けられるよう構成されたキャップ22とを有する。穿頭孔プラグ16は、プラグベース18を患者1の頭蓋6に取り付ける複数個の締結具、この場合、1対のねじ14を更に有している。
【0032】
さらに図8及び図9を参照すると、プラグベース18は、閉鎖リング形の本体24及び穿頭孔から出ている刺激リードを挿通させることができる孔26を有している。リング形本体24は、適当な硬質生体適合性材料、例えば、チタン、ステンレス鋼、合金又は硬質ポリマーで構成されている。リング形本体24の側面の厚みは、好ましくは、プラグベース18が患者の頭皮の下で頭蓋から目立つほどには突き出ないようにできるだけ最小限に抑えられている。図6に最も良く示されているように、リング形本体24の頂面28は又、患者の頭皮の下における穿頭孔プラグ16の視認性を一段と減少させるようテーパしているのが良い。リング形本体24の底面30は、オプションとして、代表的な頭蓋の曲率にマッチするために凹状(図示せず)であるのが良い。プラグベース孔26は、好ましくは、穿頭孔の寸法形状にマッチしている。例えば、孔26は、形状が円形であるのが良く、その最も大きな寸法は、25mm以下であるのが良い。かくして、理解できるように、リング形本体24を穿頭孔の周りに配置して孔26が穿頭孔と合致又は符合し、その真上に位置するようにするのが良い。
【0033】
リング形本体24を穿頭孔に対して心出しするようにするため、プラグベース18は、穿頭孔内に延びるよう構成された複数個の自動調心タブ32を更に有する。図示の実施形態では、タブ32は、刺激リードがプラグベース孔26を通過するのをタブ32が邪魔しないようリング形本体24の底面30に設けられている。特に、タブ32は、連続円筒形フランジとは対照的に、独立して撓むことができるので、プラグベース18をタブ32によって定められた周囲よりも僅かに小径の穿頭孔内に心出しすることができる。かくして、プラグベース18を種々のサイズの穿頭孔に用いることができる。
【0034】
プラグベース18は、好ましくは、心出し機能を最大限発揮するために、孔26の周りに等間隔を置いて設けられた少なくとも3つのタブ32を有する。タブ32は、好ましくは、これらタブが穿頭孔の周囲の内面にぴったりと嵌着して穿頭孔内に対するプラグベース18の動きを阻止するような仕方で配置されている。この場合、タブ32は、プラグベースの孔26と符合する(孔26は、穿頭孔と同一の寸法形状のものであるということを仮定している)。タブ32は、タブ32が植え込み後穿頭孔内に配置されたままであるようにリング形本体24に永続的に設けられるよう設計されている。タブ32は、例えばタブ32と本体24を一体設計物として成形することによりリング形本体24に適切に設けられるのが良い。重要なこととして、自動調心タブ32は、特殊な心出しツールの助けなしに、プラグベース18を穿頭孔に対して好都合に且つ迅速に心出しすることができる。
【0035】
図示の実施形態では、プラグベース18は、患者の頭蓋に永続的に固着される。この目的のため、プラグベース18は、リング形本体24内に形成され、固着用締結具、例えばねじ、ピン、スパイク、タブ又はボタンをそれぞれ受け入れる2つの締結用穴34を有している。変形例として、プラグベース18を患者の頭蓋に固着する他の手段、例えば接着を利用しても良い。凹凸構造体(図示せず)をリング形本体24の底面30及びタブ32の外面に追加的に設けて頭蓋への永続的な固着に先立つ、プラグベース18と穿頭孔との間の回転運動を阻止するのが良い。かかる凹凸構造体としては、例えば、粗いサンドペーパー様表面、切欠き、隆起部、水平若しくは垂直リブ又はねじ山等が挙げられる。
【0036】
プラグベース18は、刺激リードを嵌入させるよう構成された複数個のリード出口溝36(この場合、4つの等間隔に設けられた溝)を更に有する。特に、プラグベース18の孔26を通って穿頭孔から出ている刺激リードの部分(即ち、刺激リードの遠位端部)を垂直の角度に下に曲げてプラグベース18のリード出口溝36のうちの1つの中に嵌入させて、刺激リードの近位端部が全体として頭蓋の外面に平行に位置するようにするのが良い。以下に詳細に説明するように、刺激リードは、キャップ22がプラグベース18に取り付けられると、選択された出口溝36内にしっかりと固定される。
【0037】
プラグベース18は、孔26に隣接してリング形本体24の内縁部40のところに設けられたキャップ飛び出し凹部38及び複数個のキャップロック凹部42(この場合、1対の互いに反対側に設けられたロック用凹部)を更に有する。以下に詳細に説明するように、ツールをキャップ飛び出し凹部38内に挿入して先に取り付けられているキャップ22をプラグベース18から取り外すことができ、そして、キャップロック用凹部42は、プラグベース18へのキャップ22の取り付けを容易にするために対応のキャップロックタブ(以下に説明する)を受け入れることができる。プラグベース18は、リテーナ20がプラグベース孔26内に取り付けられると、リテーナ20を支持するよう構成された少なくとも1つの内側環状棚部44(この場合、3つの等間隔を置いた環状棚部)を更に有する。この目的のため、環状棚部44は、孔26を包囲したリング形本体24の内面46(図14に最も良く示されている)に設けられており、それにより、リテーナ20は、孔26内に取り付けられたときに、穿頭孔内に過度に遠くまで下降するのが阻止される。図10図13に示された変形実施形態では、プラグベース57は、これがリング形本体24の底面30の下に環状棚部44からそれぞれ延びる少なくとも1つの環状フランジ45(この場合、1つ)を有している点を除き、プラグベース18とほぼ同一である。かくして、理解できるように、環状フランジ45により、環状棚部44の頂面は、プラグベース本体24の底面30と面一をなすことができ、その結果、リテーナ20を穿頭孔内に更に下方に引っ込めることができる(図11のリテーナの配置状態を図6と比較参照されたい)。
【0038】
図8及び図9に戻ってこれらを参照すると共に更に図14及び図15を参照すると、プラグベース18は、プラグベース孔26内におけるリテーナ20の回転を阻止し又は少なくとも妨害した状態でリテーナ20を定位置にロックする複数個の機構体を更に有している。特に、プラグベース18は、環状棚部44の真上でリング形本体24の内面46の周りに設けられた複数個の傾斜部48(図15には1つしか示されていない)を有する。傾斜部48は、頂部から底部に内方にテーパしており、その結果、リテーナ20を孔26内に下方に押し込めると、リテーナ20の縁部は、傾斜部48に摺動可能に係合し、次に傾斜部48を通過して、ついには、リテーナ20が環状棚部44と傾斜部48の支承面50(底面)(図14に最も良く示されている)との間に嵌められ、それにより、リテーナ20をプラグベース孔26内にロックする締り嵌め状態が形成されている。好ましくは、傾斜部48の支承面50と環状棚部44との間の垂直距離は、リテーナ20の厚さにほぼ同じであり、従って、リテーナ20は、これがいったん定位置にロックされると、孔26内で上下に動くことができないようになっている。リテーナ20が傾斜部48の支承面50と環状棚部44との間にいったん配置されると、傾斜部48は又、リテーナ20が孔26内で回転したときに、リテーナ20の上面に設けられている対応の日時計の刻み目(以下において説明する)に係合し、それにより以下に詳細に説明するように、リテーナ20の回転及びかくして刺激リードの偶発的な移動が制限される。
【0039】
図8及び図9に示されている実施形態では、リング形本体24は、閉じられており、それにより、プラグベース18の耐久性が最大になっている。変形例として、スロット付きプラグベース58が、図16に示されているように開放リング形本体64を有しても良い。特に、開放リング形本体64は、これが刺激リードを側方から受け入れるよう構成された開放スロット66を有する点を除き、閉鎖リング形本体24とほぼ同じである。これにより、刺激リードを穿頭孔から脳組織中に挿入した後、プラグベース58を定位置に動かしたときに刺激リードをスロット66中に単に滑らせることによりプラグベース58を穿頭孔の周りで頭蓋に取り付けることができる。特に、リング形本体64の開放アーキテクチャは、本来的にその構造を弱めているので、リング形本体64は、好ましくは、極めて耐久性の高い材料、例えばチタンで構成され、それにより、開放リング形本体に本来的に生じる問題、例えば過度の曲げが解決される。特に有利な一実施形態では、リング形本体64は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)で構成され、この材料は、極めて耐久性があり且つ生体適合性があるだけでなく、MRI適合性があり、又、重要なこととして、MRIを歪曲しない。変形例として、リング形本体64は、ナイロン、シリコーン、Utlem(登録商標)、 Elasthane(商標)、Tecothane(登録商標)及び/又はBionate(登録商標)で構成されても良い。
【0040】
変形実施形態では、図17及び図18に示されている割り型プラグベース78を用いても良い。プラグベース78は、これが複数個の環状本体部分、特にプラグベース78(図18)を分離するよう互いに取り外され、プラグベース78(図17)を一体化するよう互いに嵌め合わされるよう構成されている第1の環状本体部分80と第2の環状本体部分82を有している点を除き、図8及び図9に示されているプラグベース18とほぼ同じである。プラグベース78は又、これが頭蓋穿頭孔内に嵌まり込む連続環状フランジ79(自動調心タブ32ではなく)を有している点において、プラグベース18とは異なっている。プラグベース78は、キャップ飛び出し凹部38、キャップロック凹部42又は傾斜部48を備えているものとしては示されていない。
【0041】
図示の実施形態では、第1の環状本体部分80の互いに反対側の端部84,86は、それぞれ、雌型結合要素92及び雄型結合要素94を有し、第2の環状本体部分82の互いに反対側の端部88,90は、それぞれ、雄型結合要素96及び雌型結合要素98を有している。雄型及び雌型要素92〜98は、互いに嵌まり合い、第2の環状本体部分82の雄型結合要素96を第1の環状本体部分80の雌型結合要素92中に嵌入することにより環状本体部分80、82の端部84,88を互いに嵌合させることができ、第1の環状本体部分80の雄型結合要素94を第2の環状本体部分82の雌型結合要素98中に嵌入することにより環状本体部分80,82の端部86,90を互いに嵌合させることができるようになっている。変形例として、雄型結合要素94,96の両方を第1の環状本体部分80の互いに反対側の端部84,86に設けても良く、雌型結合要素92,98の両方を第2の環状本体部分82の互いに反対側の端部88,90に設けても良く、或いは逆の関係にしても良く、ほぼ同じ結果が得られる。
【0042】
図17及び図18に示されている実施形態では、雄型及び雌型結合要素92〜98は、第2の環状本体部分82を第1の環状本体部分80の頂部上に下降させることにより環状本体部分80,82を互いに嵌合させることができるように構成されている。特に、第1の環状本体部分80の雌型及び雄型結合要素92,94は、それぞれ、第1の環状本体部分80の上面に設けられた矩形凹部及び矩形ボスの形態をしており、第2の環状本体部分82の雄型及び雌型結合要素96,98は、それぞれ、第2の環状本体部分82の上面から側方に延びる矩形の突起及びC字形チャネルの形態をしている。かくして、第2の環状本体部分82を第1の環状本体部分80上に下降させると、第2の環状本体部分82の側方に延びる突起96は、第1の環状本体部分80の凹部92によって受け取られ、第1の環状本体部分のボス94は、第2の環状本体部分82のC字形チャネル98により受け取られることになる。
【0043】
かくして、理解できるように、環状本体部分80,82を互いに取り外すと、穿頭孔を通って既に導入されている刺激リードを受け入れることができ、次に、これら環状本体部分を互いに結合すると、プラグベース18を一体化することができ、このプラグベースを次に、患者の頭蓋に固着することができる。また、理解されるべきこととして、プラグベース18が互いに動くことができる数個の別個独立のコンポーネントで構成されているので、プラグベース78を患者の頭蓋に固着する際プラグベース78を破損させる恐れが少ない。
【0044】
プラグベース78がたとえ2つの部品に分離されるよう設計されていても、変形例として、例えば穿頭孔からの刺激リードの導入に先立って、プラグベース18を患者の頭蓋に取り付けようとする場合、プラグベース78を単一品として(即ち、先行技術のプラグベースとして)維持することが依然として望ましい場合がある。この目的のため、プラグベース78は、環状本体部分80,82を互いにしっかりと結合する追加の結合要素を有する。図示の実施形態では、これら結合要素は、互いにしっかりと係合する相補ピン100と凹部(図示せず)の形態をしており、従って、嵌合状態の第1及び第2の環状本体部分80,82は、これらを意図的に分離するまで一体設計品として働くようになっている。環状本体部分80,82を互いにいったん取り外すと、ピン100を折り取ることができ又は違ったやり方で取り外すことができ、その結果、第2の環状本体部分82と第1の環状本体部分80をピン100から邪魔されることなく互いに嵌合する場合、第2の環状本体部分82を第1の環状本体部分80上に下降させることができるようになっている。変形例として、結合要素は、単純に、環状本体部分80,82を互いに取り外すよう容易に壊すことができる結合材料又は他の連結部の形態をしていても良い。
【0045】
変形実施形態では、相補する本体部分80,82は、ツールを用いて互いに接合できる。例えば、図18aを参照すると、互いに相補する本体部分80,82は、ロッド104を用いて互いに一体化でき、このロッドにより、本体部分80,82は、直線状に互いに摺動することができる(両方向を指し示す矢印によって示されている)。本体部分80,82の両方を一時的にロッド104に接合することができ、従って、これら本体部分を互いに嵌合させた後、ロッド104を本体部分80,82から取り外すことができるようになっている。図18bを参照すると、互いに相補する本体部分80,82は、ねじ山付き部材106、例えばねじを用いて互いに一体化でき、かかるねじ山付き部材を回して本体部分80,82を次第に互いに直線状に摺動させる。
【0046】
次に図19図21を参照して、別の変形実施形態としてのプラグベース108について説明する。プラグベース108は、患者の頭蓋に永続的に固着されるのではなく、穿頭孔に取り外し可能に固着でき(即ち、頭蓋に穿頭孔以外の穴を残さないでプラグベースを固着でき)、他方永続的に固着されたプラグベース18の利点を依然としてもたらす。特に、プラグベース108は、主要構成要素として、上側リング形プラグ本体110、下側リング形プラグ本体112及びプラグ本体110,112相互間に設けられたリング形シール114(この場合、Oリング)を有する。シール114は、生体適合性且つ軟質材料、例えばシリコーンで構成されるのが良い。上側リング形プラグ本体110は、シール114が収納される外側環状凹部120を備えた下面116を有し、下側リング形プラグ本体112は、シール114が取り付けられた外側環状ボス122を備える上面118を有している。プラグベース108は、上側リング形プラグ本体110に設けられた特徴部(図示せず)、例えば、リテーナ20を支持する環状棚部、リテーナ20の回転を阻止するロック機構体又は刺激リードを嵌入させるリード出口溝を有するのが良い。
【0047】
プラグ本体110,112の外径は、穿頭孔の直径に実質的に等しく、従って、プラグベース108を穿頭孔内に全体的に収納することができるようになっている。シール114の外径は、非圧縮時(図20)、穿頭孔の直径に実質的に等しい。シール114が垂直方向に圧縮されると(図21)(これは、プラグ本体110,112を互いに向かって変位させることにより達成できる)、シール114の外径は、増大し、それにより穿頭孔の表面にしっかりと係合し、その結果、穿頭孔が封止されるようになる。この目的のため、プラグベース108は、プラグ本体110,112を貫通して形成されたねじ山付き穴126内にねじ込まれる締結具、特にねじ124を有している。
【0048】
かくして、理解できるように、ツール、例えばねじ回しを用いてねじ124を一方向に回転させると、プラグ本体110,112は、互いに向かって変位し、それにより、下側プラグ本体112の環状ボス122は、上側プラグ本体110の環状凹部120内に動いてシール114を垂直方向に圧縮し、それによりシール114を水平方向に拡張してプラグベース108を穿頭孔内に密封的に取り付ける。ねじ124を逆方向に回転させると、プラグ本体110,112は、互いから遠ざかって変位し、それにより、下側プラグ本体112の環状ボス122は、上側プラグ本体110の環状凹部120から出てシール114が垂直方向に拡張することができ、それによりシール114は、水平方向に縮んでプラグベース18を穿頭孔内から解除する。ねじ124が2つしか示されていないが、3つ以上のねじ(例えば、4個)を用いてシール114のその周囲周りの実質的に一様な圧縮を行うことができる。
【0049】
変形実施形態では、図22及び図23に示されているプラグベース128は、これが環状凹部及びボスを備えていない上側及び下側リング形プラグ本体130,132を有している点を除き、上述のプラグベース108とほぼ同じである。それどころか、プラグ本体130,132は、それぞれ、平らな下面134及び平らな上面136を有し、シール114は、この下面と上面との間に配置される。ねじ138が、プラグ本体130,132を貫通すると共にシール114を貫通して形成されたねじ山付き穴140内にねじ込まれる。かくして、理解できるように、ツール、例えばねじ回しを用いてねじ138を一方向に回転させると、プラグ本体130,132は、互いに向かって変位し、それにより、上面134及び下面136は、シール114を垂直方向に圧縮し、それによりシール114を水平方向に拡張してプラグベース128を穿頭孔内に密封的に取り付ける。ねじ138を逆方向に回転させると、プラグ本体130,132は、互いから遠ざかって変位してシール114が垂直方向に拡張することができ、それによりシール114が水平方向に縮んでプラグベース128を穿頭孔内から解除する。
【0050】
上側及び下側プラグ本体を変位させてシールを圧縮する締結具をねじとして説明したが、他形式の締結具、例えば、締り嵌め関係をなして互いに嵌め合わされる互いに相補する結合要素を用いても良い。例えば、図24及び図25に示されているように、ラッパ形142を上側プラグ本体132の下面134に設け、これにマッチするラッパ形凹部144を下側プラグ本体132の上面136に設けるのが良い。かくして、ラッパ形ピン142は、それぞれ、シール114の穴146を通って導入されてラッパ形凹部144内にスナップ嵌めでき、それにより下面134及び上面136は、シール114(図25)を垂直方向に圧縮し、それによりシール114を水平方向に拡張してプラグベース128を穿頭孔内に密封的に取り付ける。ラッパ形ピン142がラッパ形凹部144内にスナップ嵌めされた状態で、下側プラグ本体132を定位置に保持するためにツール(図示せず)を用いるのが良い。上側プラグ本体130を変位させて下側プラグ本体132から離脱させ、それによりラッパ形ピン142をラッパ形凹部144から取り外してシール114が垂直方向に拡張することができ(図24)、それによりシール114は、水平方向に縮んでプラグベース128を穿頭孔から解除することができる。
【0051】
図26及び図27に示されている別の変形実施形態を参照して、穿頭孔内に非侵襲的に取り付け可能な別のプラグベース148について説明する。プラグベース148は、これがシール114に設けられている穴154を貫通したスタンドオフ152を介して下側プラグ本体132の上面160に取り付けられたねじ山付きカラー150を有している点を除き、プラグベース108とほぼ同じである。この場合、上側プラグ本体130は、上側プラグ本体130を下側プラグ本体132に対して変位させるようねじ山付きカラー150に係合するねじ山付き外面156を有している。かくして、理解できるように、上側プラグ本体130を一方向に回転させると、プラグ本体130,132は、互いに向かって変位し、それにより、上面134及び下面136は、シール114(図27)を垂直方向に圧縮し、それによりシール114を水平方向に拡張してプラグベース148を穿頭孔内に密封的に取り付ける。上側プラグ本体130を逆方向に回転させると、プラグ本体130,132は、互いから遠ざかって変位してシール114が垂直方向に拡張する(図26)ことができ、それによりシール114が水平方向に縮んでプラグベース148を穿頭孔内から解除することができる。
【0052】
次に、図28図37を参照して、リテーナ20の細部について説明する。リテーナ20は、主要構成要素として、プラグベース孔26内に取り付けられるよう構成された保持支持体160及び保持支持体160に取り付けられていて、クランプ力を刺激リードに加えるよう構成されたクランプ機構体162を有している。刺激リードに加えられたクランプ力は、キャップ22をプラグベース18に取り付ける前に刺激リードを固定し、そして、プラグベース18へのキャップ22の取り付け中、刺激リードを一層しっかりと固定する。リテーナ20のコンポーネントは、上述したプラグベース18と同一の材料、即ち、適当な硬質生体適合性材料、例えばチタン、ステンレス鋼、合金又は硬質ポリマーで構成されるのが良い。変形例として、リテーナ20のコンポーネントは、以下に詳細に説明するように、或る特定の構造上の利点を提供するようPEEKで構成されても良い。
【0053】
図示の実施形態では、保持支持体160は、ディスク164及びディスク164に形成されていて、刺激リードを側方から受け入れる開放リードスロット166を有し、それにより、刺激リードを穿頭孔から導入した後、リテーナ20をプラグベース孔26内に取り付けることができる。図7及び図15に最も良く示されているように、リテーナ20及び特にディスク164は、傾斜部48とリング形本体24の内面46に設けられた環状棚部44との間に締り嵌め関係をなすのが良い。図示の実施形態では、ディスク164の周囲に沿って環状リップ168が設けられ、この環状リップは、傾斜部48とリング形本体24の環状棚部44との間に締り嵌め関係をなし、ディスク164は、クランプ機構体162を堅固な仕方で収容するために環状棚部44の下に延びる厚い中央部分170を更に有している。
【0054】
環状棚部44は、プラグベース18の頂面から、リテーナ20及び特にディスク164の少なくとも一部分がリング形プラグ本体24の下面30の下に延びるようにする寸法だけずらされている。その結果、ディスク164の少なくとも一部分は、プラグベース18内に取り付けられると、穿頭孔内に引っ込められ、それにより、穿頭孔よりも上の穿頭孔プラグ16の部分の側面の厚さが減少する。図10図13に示されているように環状フランジ45が設けられている場合、ディスク164は、穿頭孔内に一段と引っ込められることになる。リテーナ20は、プラグベース孔26内に取り外し可能に取り付けられるよう構成されている。この目的のため、リテーナ支持体160は、ディスク164の周囲に設けられたリテーナ飛び出し切欠き172を更に有している。飛び出し切欠き172は、リテーナ20をプラグベース18から飛び出させるよう操作できる(即ち、傾斜部48とプラグベース18の環状棚部44との間の締り嵌め状態に打ち勝つことにより)ツールを受け入れることができる。変形例として、リテーナ20をプラグベース18から飛び出させるツールを受け入れる穴、フック又はアイレットをディスク内に又はディスク上に単に設けても良い。
【0055】
上述したように、リテーナ20及び特にリテーナ支持体160は、傾斜部48に係合し、それによりプラグベース孔26内でのリテーナ20の回転を制限する複数個の日時計刻み目174を有している。この場合、日時計刻み目174は、ディスク164の頂面171の周囲に沿ってぐるりと分布して設けられた半径方向に延びるリブの形態をしている。特に、日時計刻み目174相互間の円周方向距離が減少すると、プラグ本体24の孔26内におけるリテーナ20の回転運動は、同じ程度まで小刻みに減少する。この図示の実施形態では、日時計刻み目174相互間の円周方向間隔は、約24°であり、従って、リテーナ20の回転は、24°に制限される。
【0056】
リテーナ支持体160は、リードスロット166の一方の側部に隣接してディスク164の内縁部に設けられた固定状態のクランプバー176を有している。クランプ機構体162は、以下に詳細に説明するように、固定クランプバー176と関連して動作して刺激リードをこれらの間に固定する。図34に最も良く示されているように、リテーナ支持体160は、以下に説明するように、ディスク164に形成された凹部178、凹部178の互いに反対側の側部に設けられていて、クランプ機構体162を受け入れる1対のC字形チャネル180及び凹部178内に設けられていて、クランプ機構体162のロック要素を受け入れる凹み停止部182を更に有している。ディスク164は、オプションとして、ディスクをリードスロット166に沿って曲げることができる「一体ヒンジ」を有するのが良く、それにより、組み立て中におけるディスク164内へのクランプ機構体162の挿入が容易になる。
【0057】
クランプ機構体162は、可動クランプバー184及び可動クランプバー184をディスク164に対して側方に摺動させ、リードスロット166内に受け入れられている刺激リードの固定又はリードスロット166内に受け入れられている刺激リードの解除を選択的に行うようディスク164に摺動可能に係合するフランジ186を有している。可動クランプバー184は、ディスク164の固定クランプバー176に対抗してリードスロット166に平行に延び、可動クランプバー184のクランプ面188が、刺激リードをクランプバー176のクランプ面190にクランプするよう構成されている。図示の実施形態では、クランプバー184及びクランプバー176のそれぞれのクランプ面188,190は、刺激リードの局所的掴みを提供し、それによりリード保持力を増大させるためにリブ付きである。クランプ機構体162は、可動クランプバー184の端部のところに設けられていて、刺激リードがクランプ機構体162とスロット166の端部との間で潜在的にくさび止めできるスロット166の端部のところで刺激リードが可動クランプバー184を越えて位置するのを阻止する曲げフランジ192を更に有している。
【0058】
図示の実施形態では、フランジ186は、U字形であり、このフランジは、リードスロット166から遠ざかって可動クランプバー184から垂直に延びる1対の脚部194及び全体としてリードスロット166に平行な方向で脚部194相互間に延びるクロスバー196を有する。U字形フランジ186は、脚部194の外面に沿って延びるレール198を更に有している。クランプ機構体162のフランジ186とリテーナ支持体160のディスク164との間の摺動構造は、U字形フランジ186の脚部194とリテーナ支持体160のC字形チャネル180との間に設けられている。特に、U字形フランジ186は、このフランジ186のレール198がC字形チャネル180内に厳密な許容誤差関係をなして摺動可能に受け入れられた状態で凹部178内に受け入れられ、その結果、フランジ186及びかくして可動クランプバー184を側方に(即ち、リードスロット166に垂直に)前後にスムーズに動かすことができるようになっている。
【0059】
クランプ機構体162は、クランプ機構体162をディスク164に対して自由に摺動させることができるロック解除(又は開放)位置(図30図31及び図38)と、クランプ機構体162を更に操作しなければ、クランプ機構体162をリテーナ支持体160に対して自由に摺動させることができないロック(又は閉鎖)位置(図32図33及び図37)との間に配置されるよう構成されている。この目的のため、クランプ機構体162は、U字形フランジ186の脚部194相互間で可動クランプバー184から垂直に延びる弾性アーム200及び弾性アーム200の端部のところに設けられたロック要素、特にタブ202を更に有している。ロックタブ202は、刺激リードを固定したときに、可動クランプバー184をディスク164に対してロックするようディスク164に設けられている相補形ロック要素、特に凹み停止部182に係合するよう構成されている。特に、図34図38に最も良く示されているように、ロックタブ202は、クランプ機構体162がロック解除位置にあるとき、凹み停止部182の支承面206に沿って摺動するよう構成された支承面204及びクランプ機構体162がロック位置にあるとき、凹み停止部182の当接面210に当接する当接面208を有している。ロックタブ202が設けられているアーム200の弾性により、当然のことながら、ロックタブ202は、ロックタブ202が凹み停止部182の端に到達すると、凹み停止部182の支承面204から凹み停止部182の当接面208に移行することになる。
【0060】
かくして、ロックタブ202が凹み停止部182の端に達するまで(図39B)ロックタブ202の支承面204が凹み停止部182の当接面206に沿って摺動しているときに、U字形フランジ186及びかくして可動クランプバー184を固定クランプバー176に向かってディスク164に対して摺動させることによりクランプ機構体162をロック解除位置(又は開放位置)(図39A)からロック位置(図39C)に移行させることができ、その後、アーム200の弾性により、ロックタブ202の当接面208は、凹み停止部182の当接面210に当接する(図39C)。
【0061】
下向きの力を弾性アーム200に加えてロックタブ202及び凹み停止部182のそれぞれの当接面208,210を互いに離脱させ(図39D)、U字形フランジ186及びかくして可動クランプバー184を固定クランプバー176から遠ざけてディスク164に対して摺動させ、ついには、ロックタブ202の当接面204が凹み停止部182の当接面206に沿って摺動するようにする(図39E)ことにより、クランプ機構体162をロック位置(図39C)からロック解除位置に移行させることができる。
【0062】
重要なこととして、弾性アーム200とロックタブ202と凹み停止部182との間の相対寸法は、刺激リードが可動クランプバー184のクランプ面188と固定クランプバー176のクランプ面190との間で固定状態になると、ロックタブ202の当接面208が凹み停止部182の当接面210と符合状態になるよう選択される。このように、刺激リードのしっかりとしたクランプは、刺激リードを損傷させることなく保証される。
【0063】
ディスク164に対するクランプ機構体162の操作を容易にするため、クランプ機構体162は、ロックタブ202の当接面204に形成されていて、クランプ機構体162をロック位置からロック解除位置に移行させるために弾性アーム200を撓ませるよう使用できるツールを受け入れる凹部212を有している。ツールは又、凹部212内に受け入れ可能であり、それにより、可動クランプバー184を固定クランプバー176に向かって又はこれから遠ざけるよう摺動させ、刺激リードを固定し又は解除する。注目されるべきこととして、凹部212は、ディスク164の周囲よりもディスク164の中心の近くに位置する。かくして、凹部212に加えられる下向きの力、もしそうでなければディスク164の頂面171の日時計刻み目174をリング形プラグ本体24の内面46の傾斜部48から離脱させ又はこれら相互間の係合状態を弱めるディスク164の周囲に加えられる力は、最小限に抑えられ又は減少する。
【0064】
ロック位置からロック解除位置へのクランプ機構体162の移行を一段と容易にするため、ロックタブ202の当接面204及びかくして凹部212は、ディスク164の平面に対して傾けられているのが良く(図35に最も良く示されているように)、その結果、ツールによって凹部212に加えられた下向きの力の一部分は、スロット166から遠ざかる方向でディスク164の平面に沿って伝達されるようになる。このように、可撓性アーム200を撓ませているときに、ロックタブ202及び凹み停止部182のそれぞれの停止面208,210が互いにいったん離脱すると、ロックタブ202の当接面204は、当然のことながら、凹み停止部182の当接面206に沿って摺動することになる。図39A図39Eに示されている実施形態では、ロックタブ202及び凹み停止部182の当接面208,210は、ディスク164の平面に対して垂直であり、それにより、クランプ機構体162のロック係合具合が最大になる。しかしながら、図40に示されている変形実施形態では、ロックタブ202及び凹み停止部182の当接面208,210は、ディスク164の平面に対してテーパしており(即ち、斜めに角度がつけられており)、それにより、ロック位置からロック解除位置へのクランプ機構体162の移行が容易になる。
【0065】
弾性アーム200が疲労し又は破断するのを阻止するため、クランプ機構体162は、図35及び図36に最も良く示されているように、弾性アーム200が或る特定の箇所を越えて曲がるのを阻止するためにU字形フランジ186に取り付けられている停止部214を更に有する。図示の実施形態では、停止部214は、脚部194相互間でU字形フランジ186の中央に配置されており、弾性アーム200の底面216は、下向きの力がロックタブ202に加えられると、停止部214の上面218に当接するようになっている。
【0066】
変形実施形態では、リテーナ支持体160は、クランプ機構体のロック要素が選択的に係合するように構成されている複数の相補形ロック機構体を有し、可動クランプバー184は、ディスク164に対して種々の位置に配置されるよう構成されている。例えば、図41に示されているように、リテーナ支持体160は、歯222を備えたラチェット220を備えるのが良く、弾性アーム200のロックタブ202は、これら歯のうちどれかに係合することができる。かくして、U字形フランジ186をリードスロット166に向かって摺動させることができ、ロックタブ202の当接面208は、ラチェット214に沿って摺動するようになる。U字形フランジ186の運動が停止すると、弾性アーム200の端部は、ラチェット220の歯222のうちの1つに係合する。このように、種々のサイズのリードを穿頭孔プラグ16と共に用いることができる。
【0067】
特に、リテーナ支持体160及びクランプ機構体162は、刺激リードに加えられるクランプ力を最大にする追加の特徴部を有するのが良い。例えば、リテーナ支持体160及びクランプ機構体162を含むリテーナ20は、PEEKで構成されるのが良く、それにより、リテーナ支持体160の開放アーキテクチャを考慮した場合でも、リテーナ20の耐久性が実質的に向上する。可動クランプバー184の変形がPEEK構成材料によって実質的に減少するので、クランプ力は、可動クランプバー184に沿って一様に分布することになり、それにより、刺激リードは、より確実に固定される。また、U字形フランジ186及びディスク164の変形の減少により、クランプ機構体162は、確実且つ堅固な仕方でリテーナ支持体160に対して摺動することができる。
【0068】
加うるに、可動クランプバー184及び/又は固定クランプバー176のクランプ面188,190は、種々の凹凸特徴部のうちの任意の1つを備えるのが良い。例えば、凹凸特徴部としては、水平隆起部又はバー(図42A)、ディンプル又は隆起部(図42B)、水平セレーション(図42C)、垂直波部(図42D)、トレッドプレート(図42E)、ローレットパターン(図42F)、ばね(図42G)、棘(図42H)、グリット仕上げ(噴射仕上げ、めっき仕上げ、モールド仕上げ)(図42I)、非スキッド面(図42J)、スパイク又は歯(図42K)、水平チャネル(図42L)、撓み棘(図42M)、上述の任意の組み合わせ、例えば水平隆起部とディンプル又は隆起部(図42N)が挙げられる。
【0069】
上述の凹凸特徴部は、摩擦係数を変えることにより、圧縮度を増大させることにより、リード中に「食い込む」ことにより、リードを捕捉するエッジを形成することにより、表面積を増大させることにより、クランプ力を局所的に増大させることにより、表面凹部内へのリードの変形を行うこと等することにより、可動クランプバー184及び/又は固定クランプバー176の保持力を増大させる。可動クランプバー184及び/又は固定クランプバー176の多方向における凹凸特徴部の組み合わせは、リードが多方向に(例えば、リード軸線に沿って、リード軸線に垂直な可動クランプバー184及び/又は固定クランプバー176の面に沿って)動くのを阻止することができる。凹凸構造体を可動クランプバー184と固定クランプバー176の両方のクランプ面188,190に設けても良く、これら凹凸構造体は、刺激リードをくびれさせ又は違ったやり方で刺激リードのための曲がりくねった経路を提供するよう互いに組み合わせ状態で働く。例えば、クランプ面188,190の凹凸特徴部を互い違いにし又はインターロック状態(図43)にして刺激リードをくびれさせ又は刺激リードのための曲がりくねった経路を造るようにするのが良い。
【0070】
図2図7に示されている穿頭孔プラグ16は、プラグベース18に設けられたリード出口溝36を提供しているが、これに代えて、有利には、リード出口溝をリテーナに設けることができる。次に、例えば、図44を参照して、プラグベース18の孔26内に取り付けることができる別のリテーナ230について説明する。リテーナ230は、これが刺激リードを穿頭孔の軸線に対して90°の角度に曲げたときに、刺激リードを嵌入させるよう構成された複数個のリード出口溝232(この場合、2つ)を有し、従って刺激リードがプラグベース18に向かって半径方向に差し向けられるようになっている点を除き、図28図33に示されているリテーナ20とほぼ同じである。この場合、プラグベース18は、リード出口溝を備える必要はない。図示の実施形態では、出口溝232は、互いの反対側の側部に設けられており、これら出口溝は、リードスロット166及びかくして可動クランプバー184に垂直に円周方向に差し向けられている。すなわち、各出口溝232からディスク164の中心に向かって引かれた想像線は、可動クランプバー184に垂直である。このように、刺激リードを下方に曲げて出口溝232のうちの1つの中に嵌入させたとき、刺激リードに加えられる引張力は、リードスロット166の配向方向に垂直な角度に差し向けられ、かくして、可動クランプバー184及び固定クランプバー176の頂縁部と刺激リードとの間に働く保持力によって打ち消される。
【0071】
2つの出口溝232が設けられているので、刺激リードがリテーナ230から出る方向を選択することができる。変形実施形態では、複数個の締結用出口溝(図示せず)をクランプスロット166の各側に設けても良く、その結果、刺激リードをクランプスロット166に沿って多くの場所に配置して下方垂直に曲げることができるようになっている。別の変形実施形態では、各締結用出口溝232をクランプスロット166に平行な方向に前後に摺動させることができ、その結果、刺激リードをクランプスロット166に沿う多くの場所に配置し、下方垂直に曲げることができるようになっている。
【0072】
上述のリテーナ20,230は、単一の摺動可能なクランプ機構体を有するが、本発明に従って構成されるリテーナは、2つ以上の摺動可能なクランプ機構体を有することができる。次に、例えば、図45を参照して、プラグベース18の孔26内に取り付けることができる別のリテーナ240について説明する。上述のリテーナ20と同様、リテーナ240は、ディスク244及びディスク244に形成されていて、刺激リードを側方から受け入れる開放スロット246を備えた保持支持体242を有し、それにより、刺激リードを穿頭孔から導入した後、リテーナ240をプラグベース孔26内に取り付けることができる。リテーナ240は、ディスク244に設けられた他の特徴部、例えば飛び出し切欠き、日時計刻み目及びリード出口溝(図示せず)を有するのが良い。
【0073】
リテーナ240は、これが2つの摺動可能なクランプ機構体252を有し、各クランプ機構体が可動クランプバー254及び可動クランプバー254をディスク244に対して側方に摺動させ、リードスロット246内に受け入れられている刺激リードの固定又はリードスロット246内に受け入れられている刺激リードの解除を選択的に行うようディスク244に摺動可能に係合するフランジ256を有している点において、リテーナ20とは異なっている。可動クランプバー254は、互いに向かい合った状態でリードスロット246に平行に延びており、クランプバー254のそれぞれのクランプ面258(1つしか示されていない)は、刺激リードを互いにクランプするよう構成されている。リテーナ20に関して上述したクランプバー184及びクランプバー176のそれぞれのクランプ面188,190と同様、クランプバー254のクランプ面258は、リブ付きであるのが良く又は他の凹凸特徴部(図示せず)を有するのが良く、それにより、リード保持力が増大する。加うるに、各クランプ機構体252は、変形例として、リテーナ20に関して上述したU字形フランジ186、弾性アーム200、ロックタブ202及びアーム停止部220とほぼ同じU字形フランジ、弾性アーム、ロックタブ及びアーム停止部(全て示されていない)を有しても良い。
【0074】
リテーナ240は、ディスク244に形成されていて、摺動可能なクランプ機構体252を受け入れる特徴部を有するのが良い。例えば、リテーナ支持体242は、リテーナ20に関して上述した凹部178及び互いに反対側に位置するC字形チャネル180とほぼ同じ凹部及び互いに反対側に位置するC字形チャネル(図示せず)を有するのが良い。リテーナ支持体242は、リテーナ20に関して上述した凹み停止部182とほぼ同じであり、クランプ機構体252のロック要素をそれぞれ受け入れる凹み停止部(図示せず)を更に有するのが良い。好ましくは、クランプ機構体252のクランプバー254は、例えば図41に示されているようにラチェット220を利用することにより種々の位置に可変的にロックできる。
【0075】
かくして、理解できるように、刺激リードを摺動可能なクランプバーと固定クランプバーとの間に固定するのではなく、摺動可能なクランプ機構体252の両方をディスク244に対して摺動させて刺激リードを可動クランプバー254相互間に固定しても良い。重要なこととして、両方のクランプ機構体252は、ディスク244に対して摺動可能なので、複数本の刺激リードを図46に示されているように、プラグベース孔26の複数の互いに異なる弦C1〜C4のうちの任意の1つに沿って固定することができる。特に、リテーナ240を任意の回転向きでプラグベース孔26内に取り付けることができるので、刺激リードがクランプ機構体252によって固定される方向としての弦C1〜C4も又、図47に示されているように、互いに異なる回転向きの状態であっても良い。かくして、任意の本数の刺激リードが単一の弦に沿って配置されている場合(例えば、任意の対をなすリード)、リテーナ240は、刺激リードを同時に固定することができ、それにより、別々の穿頭孔を設ける必要はなく、患者に対する危険性が低くなり、手技時間が短くなり、患者に対するコストが減少する等する。
【0076】
リテーナ240は、2つの摺動可能なクランプ機構体を有するが、本発明に従って構成されるリテーナは、3つ以上の摺動可能なクランプ機構体を有することができる。例えば、次に、図45a及び図45bを参照してプラグベース18の孔26内に取り付け可能な別のリテーナ241について説明する。上述のリテーナ240と同様、リテーナ241は、ディスク245及びディスク245に形成されていて、刺激リードを側方から受け入れる開放スロット247を備えた保持支持体243を有し、それにより、刺激リードを穿頭孔から導入した後、リテーナ241をプラグベース孔26内に取り付けることができる。リテーナ241は、ディスク245に設けられた他の特徴部、例えば飛び出し切欠き、日時計刻み目及びリード出口溝(図示せず)を有するのが良い。リテーナ241は、これが3つの摺動可能なクランプ機構体249を有し、各クランプ機構体が凹状先端部253を備えたフランジ251を有している点において、リテーナ240とは異なっている。図45c及び図45dに示されている別の実施形態では、リテーナ241は、4つの摺動可能なクランプ機構体249を有するのが良い。
【0077】
いずれの実施形態においても、各フランジ251は、凹状先端部253をディスク245に対して半径方向内方に側方に摺動させてリードスロット247内に受け入れられた刺激リード(図45b及び図45d)を固定するか、凹状先端部253をディスク245に対して半径方向外方に側方に摺動させてリードスロット247内に受け入れられた刺激リード(図45a及び図45c)を解除するかのいずれかを選択的に行うようディスク245に摺動可能に係合する。凹状先端部253は、刺激リードをこれらの間にクランプするよう互いに向かい合っている。変形例として、各クランプ機構体253は、変形例として、リテーナ20に関して上述したU字形フランジ186、弾性アーム200、ロックタブ202及びアーム停止部220とほぼ同じU字形フランジ、弾性アーム、ロックタブ及びアーム停止部(全て示されていない)を有しても良い。
【0078】
図50及び図51に示されている変形実施形態では、多数の向かい合った組をなす摺動可能なクランプ機構体255を互いに対して別個独立に摺動させることができ、それによりリードスロット内に受け入れられている多数本の刺激リード(図45f)の固定又はリードスロット内に受け入れられている刺激リード(図45e)の解除を選択的に行うことができる。
【0079】
上述のリテーナ20,230,240は、刺激リードを受け入れる固定状態の開放リードスロットを有するが、リテーナは、変形例として、開閉するリードスロットを有しても良い。例えば、図48及び図49に示されているように、次に、ヒンジ式リテーナ260について説明する。リテーナ260は、これが1対の半球形ディスク部分264、1対の摺動可能なクランプ機構体266及びディスク部分264に結合されたヒンジ268を有する保持支持体262を有している点を除き、図45に示されているリテーナ240とほぼ同じであり、その結果、ディスク部分264を交互に、ヒンジ式に開放して(図48)刺激リードを側方から受け入れるリードスロット270を開放し、そしてヒンジ式に閉鎖して(図49)リードスロット270を刺激リードの周りで閉鎖することができる。このように、リテーナ260は、刺激リードを穿頭孔から導入した後、典型的には、周囲に沿って完全に閉鎖されたディスクと関連した構造的一体性を犠牲にしないで、プラグベース孔26内に依然として取り付け可能である。リテーナ240は、ディスク部分264のうちの一方の端部のところに設けられた突起及び他方のディスク部分264の端部のところに設けられた対応の凹部(図示せず)の形態をしたロック機構体272(図48に最も良く示されている)を更に有し、従って、リードスロット270は、クランプ機構体266を操作する際、閉鎖状態のままである。クランプ機構体266は、上述したクランプ機構体252と同一の仕方で機能し、リードスロット268内に受け入れられた刺激リードの固定又はリードスロット268内に受け入れられた刺激リードの解除を選択的に行うようになっている。
【0080】
他形式のリードリテーナも又、本発明の範囲に含まれる。例えば、図50及び図51を参照すると、別のリードリテーナ280が、プラグベース18の孔内に取り付けられるよう構成された保持支持体282及び保持支持体282と嵌合又は結合するよう構成されたクリップ284を有している。図示の実施形態では、保持支持体282は、半円形フランジ286、半円形フランジ286の直径部に設けられた固定クランプバー288及び半円形フランジ286の周囲に沿って延びる互いに反対側に位置する環状C字形チャネル290を有している。リテーナ280は、半円形フランジ286に設けられた他の特徴部、例えば飛び出し切欠き、日時計刻み目及びリード出口溝(図示せず)を有するのが良い。
【0081】
クリップ284は、横方向部材292及び横方向部材292に設けられたクランプバー294を有している。かくして、クリップ294を保持支持体292と嵌合させると、刺激リードは、保持支持体282(特に、固定クランプバー288)のクランプ面296とクリップ284(特に、可動クランプバー294)のクランプ面298との間に固定されることになる。クリップ284は、締り嵌め関係をなして保持支持体282と嵌合するよう構成されている。この目的のため、クリップ284は、横方向部材292から延びる1対の互いに反対側に位置する弾性アーム300を有している。アーム300は、半円形フランジ286に設けられているC字形チャネル290にそれぞれ摺動可能に係合するよう構成されている。かくして、クリップ284のアーム300をそれぞれC字形チャネル290内に挿入することによりクリップ284を保持支持体282に嵌合させることができる。特に、アーム300の弾性により、アームは、これらをC字形チャネル290内に挿入しているときに外方に撓むことができ、いったん完全に挿入されると、これらアームは、撓み状態から通常の形状に戻ってC字形チャネル290を掴む。
【0082】
クリップ284は、アーム300の端部にそれぞれ設けられた1対のロック要素、特に1対のタブ302を更に有し、アーム300をC字形チャネル290内に完全に挿入すると、タブ302は、互いに反対側に位置するC字形チャネル290の端部に係合してクリップ284を保持支持体282に対してロックするようになっている。アーム300をC字形チャネル290から遠ざかって互いに向かって変位させるとロックタブ302を互いに反対側に位置するC字形チャネル290から離脱させることができ、それにより、クリップ284を保持支持体282から取り外すことができる。クリップ284は、横方向部材292とそれぞれの弾性アーム300との間に設けられていて、クリップ284を保持支持体282と嵌合させると、固定クランプバー288及びC字形チャネル290の前部に当接する1対の停止部304を更に有している。このように、クリップ284のクランプバー294は、或る特定の箇所を越えて動くのが阻止され、それにより、刺激リードの損傷が阻止される。
【0083】
次に、図52及び図53を参照してキャップ22の細部について説明する。キャップ22は、リテーナ20を覆ってプラグベース18に取り付けられるよう構成されており、それにより、刺激リードを固定すると共に穿頭孔を閉鎖する。キャップ22は、適当な硬質又は軟質の生体適合性材料、例えばチタン、硬質ポリマー、軟質ポリマー、シラスチック、エラストマー又はこれらの任意他の組み合わせで構成されるのが良い。キャップ22は、PEEKで構成されるのがよいが、キャップ22の耐久性は、穿頭孔プラグ16の他のコンポーネントと同じほど重要ではない場合がある。
【0084】
キャップ22は、プラグベース孔26内に配置されるような寸法形状になっていて、保持ディスク164に載るリム312を備えた円形の蓋型本体310を有する。プラグベース本体24の内面46に設けられたロック傾斜部48を収容するため、キャップ22は、リム312の外面に設けられた複数個の凹部314を有している。凹部314の個数及び円周方向間隔は、ロック傾斜部48の数及び間隔にマッチしており、その結果、各傾斜部48は、キャップ22がプラグベース18に取り付けられると、対応の凹部314内に受け入れられるようになっている。
【0085】
キャップ22は、複数個のウイング付きタブ316(この場合、2つ)を更に有し、これらタブは、締り嵌め関係をなして、特にスナップ嵌め関係をなしてプラグベース本体24(図8に示されている)に設けられている対応のロック凹部42内に受け入れられるよう構成されており、それにより、キャップ22の回転が阻止されると共にキャップ22がプラグベース18にしっかりと取り付けられるようになる。変形例として、他のロック機構体、例えばスナップ、フック、グリップ、棚部等又は任意他の機械的構造を用いてキャップ22を定位置にロックすることができる。キャップ22は、キャップ本体310のリム312に形成されている複数の飛び出し切欠き318(この場合、2つ)を更に有し、その結果、キャップ22がプラグベース18に取り付けられてこれに固定されると、飛び出し切欠き318のうちの1つがリング形プラグ本体24(図8に示されている)の内縁部40のところに設けられている飛び出し凹部38と対応するようになっている。かくして、ツールを飛び出し凹部38内に挿入し、そしてキャップ22の対応の飛び出し切欠き318内に挿入することによりキャップ22をプラグベース18から楽に取り外すことができる。
【0086】
キャップ22は、キャップ22の底面に設けられていて、リム312を貫通して延びる複数のリードクランプ溝320(この場合、4つ)を更に有している。リードクランプ溝320の数及び円周方向間隔は、プラグベース18(図8に示されている)に設けられているリード出口溝36の数及び間隔にマッチしており、その結果、リードクランプ溝320は、リード出口溝36と円周方向に整列すると共にこれにすぐ隣接して半径方向に位置するようになる。このように、キャップ22をプラグベース18に取り付けると、刺激リードは、選択されたリードクランプ溝320内にしっかりと嵌入される。かくして、選択されたリードクランプ溝320は、下向きの圧力を刺激リードに加え、それにより、対応のリード出口溝36が刺激リードへの上向きの圧力に対抗し、それにより、刺激リードとリード出口及びリードクランプ溝36,320との間の確実な摩擦嵌め状態が得られる。
【0087】
穿頭孔プラグ16を説明したが、次に、穿頭孔プラグを穿頭孔中に取り付けるために使用できる種々のツールについて説明する。図54図56を参照して、プラグベース18を患者の頭蓋に取り付けるのを助けるようプラグベース18を保持するよう構成されたプラグベース保持ツール330の一実施形態について説明する。プラグベース保持ツール330は、主要構成要素として、穿頭孔カバー332、穿頭孔カバー332に取り付けられた取っ手334及び取っ手334から互いに逆方向に延びる1対のねじホルダアーム336を有する。ツール330は、適当な硬質且つ頑丈な材料、例えばステンレス鋼又は耐久性のあるプラスチック、例えばポリプロピレン、ポリカーボネート又は変形が非常に少ないことが望ましい場合にはPEEKで構成されるのが良い。ツール330又は少なくともツールの構造的部分は、単体構造設計のものであるのが良く、それによりツール330の強度及び頑丈さが増大する。
【0088】
穿頭孔カバー332は、プラグベース18の孔26(この場合、円形)と幾何学的にほぼ同じ孔を備えた蓋の形をしており、プラグベース孔26内に嵌まり込んでこれを完全に覆うよう寸法決めされている。穿頭孔カバー332の蓋は、リテーナが上述した環状棚部に載るのと同じ仕方でプラグベース18の環状棚部に載るのが良い。このように、屑片、例えばねじがプラグベース孔26を通って穿頭孔内に落下する恐れ又は穿頭孔内へのツール、例えばねじ回しの偶発的な滑り込みが最小限に抑えられる。オプションとしての実施形態では、穿頭孔カバー332は、孔26内の穿頭孔カバー332を固定する仕方でプラグベース18に係合すると共にプラグベース18を患者の頭蓋に固着した後、穿頭孔カバー332をプラグベース18から取り外すことができるようにする特徴部、例えばスナップ、キー溝、止めねじ、接着剤、吸引ポート、ねじ山等を有する。変形例として、ツール330は、ツール330がこれをプラグベース18に締結しないで、平らな表面上に位置したままであるように(即ち、このツールが倒れないように)その重心を位置決めする仕方で形作られても良い。プラグベース18が自動調心タブを備えていない場合、ツール330は、プラグベース18を穿頭孔に対して心出しするためにカバー332からプラグベース18の孔26を通って穿頭孔内に下方に延びる心出しタブ(図示せず)を有するのが良い。
【0089】
取っ手334は、穿頭孔に対するプラグベース18の配置、視覚化、位置合わせ及び固着を邪魔しないよう穿頭孔カバー332及びかくして穿頭孔から遠ざかって側方に延びている。取っ手334は、より人間工学的に外科医が取っ手を掴むことができるようにするよう形作られている。例えば、取っ手334の輪郭は、取っ手334が穿頭孔カバー332から側方に遠ざかるにつれて外方に広がっていて、取っ手334を容易に掴むことができるようになっている。加うるに、取っ手334は、取っ手334の掴みを容易にする凹凸特徴部(この場合、あや目の溝)を有しており、かかる凹凸特徴部は、滑りやすい環境(例えば、外科医が濡れた状態の手袋を着用している環境)では重要な場合がある。図57及び図58に示されている変形実施形態では、互いに反対側に位置する取っ手334が、穿頭孔カバー332から互いに逆方向に側方に延びており、それにより、外科医には、2つの互いに異なる側部からツール330を保持するオプションを与えることができる(例えば、外科医が穿頭孔の一方の側に接近することができない場合)。外科医に追加の掴みオプションを提供するよう追加の取っ手(図示せず)を設けるのが良い(例えば、2つの互いに反対側に位置する取っ手が、取っ手334から90°の間隔を置いて位置する)。
【0090】
図示の実施形態では、側方に延びるねじホルダアーム336を収容するために穿頭孔カバー332の上面には、1対の凹部338が形成されている。ねじホルダアーム336は、互いに間隔を置いて設けられたカラー340を有し、これらカラーは、穿頭孔カバー332がプラグベース孔26内に取り付けられたとき、プラグベース18に設けられているねじ穴34とそれぞれ整列するようになっている。かくして、ねじ15は、カラー340を通って正確に挿入されてプラグベース18のねじ穴34(図8に示されている)と整列可能であり、その結果、ねじ15を患者の頭蓋中に楽にねじ込むことができるようになっている。好ましくは、カラー340の孔は、ねじ頭の直径よりも僅かに大きく、従って、ねじ頭をカラー340内に引っ込めることができ、それにより、ツールを取り外すことなく、ねじ15を頭蓋中に完全にねじ込むことができる。ねじ15をプラグベース18のねじ穴34に整列させることに加えて、カラー340は又、ねじ回しの滑りを万が一これが生じた場合でも制限する。
【0091】
図59図61を参照して、プラグベース18を患者の頭蓋に取り付けるのを助けるようプラグベース18に取り付けられるよう構成されたプラグベース保持ツール350の別の実施形態について説明する。プラグベース保持ツール350は、主要構成要素として、穿頭孔カバー352、穿頭孔カバー352に取り付けられた取っ手354及び取っ手354から互いに逆方向に延びる1対のねじホルダ機構体356を有する。ツール350は、適当な硬質且つ頑丈な材料、例えばステンレス鋼又は耐久性のあるプラスチック、例えばポリプロピレン、ポリカーボネート又は変形が非常に少ないことが望ましい場合にはPEEKで構成されるのが良い。ツール350又は少なくともツールの構造的部分は、単体構造設計のものであるのが良く、それによりツール350の強度及び頑丈さが増大する。
【0092】
穿頭孔カバー352は、プラグベース18の孔26(この場合、円形)の直径と実質的に同一の直径を備えた円筒形の形をしており、プラグベース孔26を覆うよう寸法決めされている。このように、屑片、例えばねじがプラグベース孔26を通って穿頭孔内に落下する恐れ又は穿頭孔内へのツール、例えばねじ回しの偶発的な滑り込みが最小限に抑えられる。ツール350は、穿頭孔カバー352から下方に延びる複数個の心出しタブ358を有し、これら心出しタブ358は、穿頭孔カバー352をプラグベース孔26内に取り付けたとき、プラグベース18の内面46に当たるようになっている。図示の実施形態では、2つの対をなす心出しタブ358(1対しか図示されていない)が、互いに反対側に円周方向に配置されている。
【0093】
ツール350は、穿頭孔カバー352を孔26内に固定する仕方でプラグベース18に係合すると共にプラグベース18を患者の頭蓋に固着した後、穿頭孔カバー352をプラグベース18から取り外すことができるようにする種々の特徴部を更に有する。具体的に説明すると、ツール350は、上側掴みタブ360及び下側掴みタブ362を有し、これら掴みタブは、ツール350をプラグベース18の孔26内に配置すると、プラグベース18の厚さが掴みタブ360,362相互間に納まり、プラグベース18を上下から掴むような仕方で配置されており、即ち、上側掴みタブ360は、プラグベース18の頂面28を摩擦の作用で掴む下面を有し、下側掴みタブ362は、プラグベース18の底面30を摩擦の作用で掴む上面を有している。下側掴みタブ362の上面は、プラグベース18の僅かに凹状の底面30とぴったりと嵌合するよう僅かに凸状であるのが良い。
【0094】
図示の実施形態では、穿頭孔カバー352の外面から半径方向に延びると共にこの外面の互いに反対側の側部に円周方向に配置された2つの上側掴みタブ360(1つしか示されていない)が設けられると共にそれぞれの対をなす心出しタブ358から半径方向に延びると共にこれらタブの互いに反対側の側部に円周方向に配置された2つの対をなす下側掴みタブ362(1対しか示されていない)が設けられている。下側掴みタブ362の各対は、これらの間のプラグベース18の円周方向部分にしっかりと係合するようそれぞれの上側掴みタブ360を円周方向に跨いでいる。かくして、理解できるように、掴みタブ360,362により、ツール350は、プラグベース18を掴んでピックアップすることができると共にツール350が患者の頭蓋へのプラグベース18の固着時にプラグベース18から分離するのを阻止することができる。
【0095】
ツール350は、ねじホルダ機構体356をプラグベース18の締結用穴34に回転的に位置合わせすると共にツール350がプラグベース18の孔26内で回転し又はスピンするのを阻止するために、穿頭孔カバー352の外面から半径方向に延びる複数個の回転位置合わせタブ364を更に有している。図示の実施形態では、2つの回転位置合わせタブ364は、互いに反対側で円周方向に配置されていて、プラグベース18のキャップロック凹部42内にぴったりと配置されるような寸法形状になっている。変形例として、ツール350は、プラグベース18のリード出口溝36内にぴったりと配置されるような寸法形状の回転位置合わせタブ(図示せず)を有しても良い。
【0096】
取っ手354は、プラグベース18が患者の頭蓋に固着されているときに、外科医がこの取っ手を人間工学的に掴んでツール350及びプラグベース18が動くのを阻止することができるよう形作られている。取っ手354は、種々の形状のうちの任意の1つを有して良い。図59図61に示されている実施形態では、取っ手354は、蝶の形をしており、それにより、外科医が下向きの力をプラグベース18に加えるための広いベースが提供されている。取っ手354が対称なので、下向きの力をプラグベース18の各側に均等に加えることができ、それにより、ツール350及びプラグベース18が前後に揺動するのが阻止される。また、取っ手354が蝶の形をしているので、外科医の手がプラグベース18の締結用穴34、ねじ位置合わせ機構体356又はねじ回しの邪魔又は障害物にならないようになっている。
【0097】
さらに図62図64を参照すると、ねじ位置合わせ機構体356は、それぞれ、2つのアーム366及びアーム366の端部のところに設けられた2つのカラー368を有している。カラー368は、互いに間隔を置いて設けられていて、これらカラーは、それぞれ、穿頭孔カバー352がプラグベース孔26内に取り付けられたときに、プラグベース18に設けられている締結用穴34と整列するようになっている。かくして、ねじ15は、カラー368を通って正確に挿入されてプラグベース18の締結用穴34と整列可能であり、その結果、ねじ15を患者の頭蓋中に楽にねじ込むことができるようになっている。各カラー368は、上側大径ボア370及び上側ボア370と連通状態にある下側小径ボア372を有している。下側ボア372の直径は、ねじ15の頭の外径に等しく、従って、ねじ15は、ねじ15の頭がボア372を通過しているとき、プラグベース18の締結用穴34に常時心出しされた状態のままであるようになっている。
【0098】
各ねじ位置合わせ機構体356は、カラー368の上側ボア370内に配置されたインサート374を有している。インサート374は、軟質且つ柔軟性の材料、例えばシリコーンで構成されている。インサート374は、それぞれのねじ15をしっかりと保持し、これをカラー368内に心出しするリング又はガスケット状構造の形態をしている。特に、図61及び図63に最も良く示されているように、インサート374は、外側リング376及び外側リング376内に同心状に設けられた内側リング378を有している。かくして、インサート374は、上側ボア370の直径を効果的に減少させ、それにより、ねじ15の頭が下側ボア372内に入る前に、それぞれのねじ15の心出しが容易になる。インサート374の柔軟性により、内側リング378の内径よりも大きな直径を有するねじ15の頭が内側リング378を通過することができる。インサート374は又、これを下側ボア372内に導入する際とこれを取り出して下側ボア372内に再び入れる際の両方においてねじ回し(図示せず)を心出しする。後者の場合、これにより、ねじ回しをねじ15の頭に位置合わせするのが容易になる。オプションとして、プラスチックが削り取られるのを阻止するためにカラー368内に金属インサート(図示せず)を設けるのが良い。
【0099】
図63及び図64に最も良く示されているように、各カラー368は、上側ボア370と下側ボア372との間に位置する棚部380及び棚部380を貫通して形成された1対の円周方向反対側のスロット382を有し、それぞれのインサート374は、外側リング376の底部から延びる1対の円周方向反対側の保持タブ384を有している。各タブ384は、外側リング376の底部から下方に延び、次に半径方向外方に延びている。かくして、インサート374を上側ボア370内に取り付けると、インサート374のタブ384は、それぞれ、カラー368の棚部380のスロット382を貫通して配置され、それにより、インサート374が上側ボア370内にしっかりと保持される。
【0100】
図65及び図66に示された変形実施形態では、ツール350は、カラー388を有するねじ位置合わせ機構体386を有し、カラー388を貫通して一様な直径のボア390が延びている。ねじ位置合わせ機構体386は、上述のインサート374と同様、軟質且つ柔軟性の材料、例えばシリコーンで構成されたインサート392を更に有している。インサート392は、上側環状フランジ394、下側環状フランジ396及び上側環状フランジ394と下側環状フランジ396との間に延びる小径円筒形部分398を有している。インサート392は、カラー388内に取り付けられるよう構成されており、円筒形部分398は、カラー388のボア390内に配置され、上側環状フランジ394及び下側環状フランジ396は、それぞれ、円筒形部分398をボア390内にしっかりと保持するようカラー368の上面及び下面に設けられている。
【0101】
図66に最も良く示されているように、インサート392は、円筒形部分398の長さに沿って同心状に設けられた複数個の内側リング400(この場合、2つ)を有している。かくして、内側リング400の内径は、ねじ15の外径に等しく、それにより、カラー388のボア390内におけるそれぞれのねじ15の心出しが容易になる。インサート392の柔軟性により、内側リング400の内径よりも大きな直径を有するねじ15の頭が内側リング400を通過することができる。インサート392は又、これをボア390内に導入する際とこれを取り出してボア390内に再び入れる際の両方においてねじ回し(図示せず)を心出しする。後者の場合、これにより、ねじ回しをねじ15の頭に位置合わせするのが容易になる。
【0102】
図67及び図68に示されている別の変形実施形態では、ツール350は、上述したカラー388及びカラー388の内周部に沿って半径方向内方にボア390内に延びる複数個のタブ又はフランジ408を備えたねじ位置合わせ機構体406を有している。半径方向タブ408は、カラー388と一体の単体構造体として形成されるのが良く、しかも十分に薄く、その結果、半径方向タブ408は、ねじ15がカラー388のボア390を通過しているときに、破断することなく曲がるようになっている。変形例として、半径方向タブ408は、カラー368の構成材料よりも軟質であり又は柔軟な材料で構成されても良い。理解できるように、半径方向タブ408は、カラー368のボア390の直径を効果的に減少させ、それにより、ボア390内におけるそれぞれのねじ15の心出しが容易になる。半径方向タブ408の柔軟性により、ねじ15の頭は、ボア390を通過することができる。半径方向タブ408も又、上述したインサート392の内側リング400と同一の仕方でねじ回し(図示せず)を心出しすることができる。図示の実施形態では、半径方向タブ408は、カラー368の長さに沿ってボア390内に内方に延びる数個の層(この場合、各々が4つのタブから成る2つの層)の状態に配置されている。
【0103】
次に、図70及び図71を参照して、リテーナ20をプラグベース18(図8に示されている)の孔26内に取り付けるよう構成されたリテーナ保持ツール430の一実施形態について説明する。リテーナ保持ツール430は、主要構成要素として、取っ手432及び取っ手432から延びていて、保持ディスク164の頂面171に設けられている連結箇所436に係合するよう構成された複数個のフィンガ434を有している。ツール430は、適当な硬質且つ頑丈な材料、例えばステンレス鋼又は耐久性のあるプラスチック、例えばポリプロピレン、ポリカーボネート又は変形が非常に少ないことが望ましい場合にはPEEKで構成されるのが良い。取っ手432は、狭い空間内でのリテーナ20の操作、ナビゲーション及び配置を容易にするためにフィンガ434に対して傾けられており、例えば、取っ手が支持するリテーナ20の平面に対するその角度に起因して、取っ手432の運動は、穿頭孔の真上の機器によって妨害されることはない。
【0104】
フィンガ434の遠位端部及びかくして保持ディスク164の頂面171の接触箇所436は、保持ディスク164がプラグベース孔26内に取り付けられたときに、ツール430によって加えられた下向きの力を保持ディスク164の平面全体に実質的に分布させる仕方で互いに間隔を置いて設けられている。図70及び図71に示されている実施形態では、3つのフィンガ434の遠位端部は、保持ディスク164の頂面171に形成された接触箇所436、特に、小径凹部又は場合によっては穴に係合している。ツール430のフィンガ434は、締り嵌め状態をなして、例えばスナップ嵌め状態をなして凹部436に係合するよう形作られている。以下に詳細に説明するように、ツール430のフィンガ434とリテーナ20との間の保持力は、ツール430をプラグベース18内に取り付けられたときのリテーナ20から容易に取り外すことができるようリテーナ20とプラグベース18との間の保持力よりも小さいことが必要である。
【0105】
好ましくは、この締り嵌め状態は、ツール430とリテーナ20との間にしっかりとした係合関係を提供するのに十分であるが、リテーナ20をプラグベース18内に取り付けた後は、リテーナ20をプラグベース18内にしっかりと取り付けたままにした状態でツール430をリテーナ20から容易に取り外すことができるようかかる締り嵌め状態に打ち勝つことができなければならない。例えば、図72に示されているように、凹部436は、保持ディスク164の厚さを完全に貫通して形成されるのが良く、フィンガ434の遠位端部は、凹部436を貫通して保持ディスク164の底面に係合する棘部438を有するのが良い。棘部438のサイズは、これら棘部がリテーナ20の通常の操作、ナビゲーション及び配置中、凹部436内に位置したままであるよう設計されるべきであるが、ツール430をリテーナ20から取り外すとき、凹部436を通って変位可能であることが必要であり、即ち、凹部436を通って棘部438を引くのに必要な上向きの力は、しっかりと取り付けられたリテーナ20をプラグベース18から取り外すのに必要な上向きの力よりも小さいことが必要である。凹部436の上方のフィンガ434の部分は、下向きの力を保持ディスク164の頂面171全体にわたって一様に分布させる安定性のあるベースを提供するようラッパ状に広げられ又は拡径されるのが良い。
【0106】
好ましい一実施形態では、フィンガ434は、これらが保持ディスク164の凹部436に係合したときにばね力を蓄えるよう弾性的に可撓性である。この場合、横向きの力が存在しない場合、フィンガ434の遠位端部相互間の間隔は、保持ディスク164の凹部436相互間の間隔よりも僅かに小さい。このように、フィンガ434は、凹部436と係合したとき、付勢状態のばねとして働き、それにより、リテーナ20との係合を強化する追加の掴み力を提供する。すなわち、フィンガ434は、凹部436内に配置されたとき、僅かに広がり、それにより、ばね力を生じさせ、このばね力は、フィンガ434を凹部436内で側方内方に押圧し又は付勢してフィンガ434と凹部436との間の係合を容易にする摩擦力を生じさせる。フィンガ434並びに取っ手432は、適当な弾性材料、例えばポリプロピレン、ポリカーボネート等で構成されるのが良い。変形例として、ツール430は、図71に示されているように、フィンガ434相互間に係合する別個のばね状機構体440を備えても良い。変形実施形態では、ツール430の近位端部は、別の機能を実施し、例えば、クランプ機構体162を動かし又はリテーナ20をプラグベース18から飛び出させるよう設計されていても良い。
【0107】
次に、図73〜75を参照して、リテーナ20をプラグベース18の孔26内に取り付けるよう構成された別のリテーナ保持ツール450について説明する。保持ツール450は、リテーナ20をプラグベース孔26内に取り付ける際に刺激リードの邪魔にならないように特別に設計されている。具体的に説明すると、保持ツール450は、主要構成要素として、取っ手452、C字形フランジ454及びC字形フランジ454から下方に延びるペグ456を有している。ツール450は、適当な硬質且つ頑丈な材料、例えばステンレス鋼又は耐久性のあるプラスチック、例えばポリプロピレン、ポリカーボネート又は変形が非常に少ないことが望ましい場合にはPEEKで構成されるのが良い。
【0108】
図示の実施形態では、2つのペグ456がC字形フランジ454に設けられており、一方のペグは、C字形フランジ454の一端部に設けられ、他方のペグは、C字形フランジ454の中央の近くに設けられている。オプションとして、第3のペグ(図示せず)をC字形フランジ454の他端部に設けるのが良い。ペグ456は、これらが保持ディスク164の頂面171に形成された接触箇所、特に対応の凹部又は穴458(図75には1つしか示されていない)に係合するよう互いに間隔を置いて設けられている。ツール430のペグ456は、凹部458に締り嵌め状態で、例えば摩擦嵌め状態で係合するよう形作られている。ツール430のペグ456とリテーナ20との間の保持力は、ツール450をプラグベース18内に取り付けられたときのリテーナ20から容易に取り外すことができるようリテーナ20とプラグベース18との間の保持力よりも小さいことが必要である。上述したフィンガ434の場合と同様、ペグ456相互間の間隔は、ペグ456と凹部458との間の摩擦力を増大させるよう凹部458相互間の間隔よりも僅かに小さいのが良く、即ち、ペグ456を凹部458との係合時に内方に押圧するばね力がペグ456に蓄えられる。オプションとして、締り嵌め状態を強化するため、ペグ456は、棘部(図示せず)を有するのが良く、凹部458は、ツール430に関して上述したのと同一の仕方でディスク164の厚さを完全に貫通して形成されるのが良い。
【0109】
図75から理解できるように、C字形フランジ454は、穿頭孔から出ている刺激リードを受け入れる。すなわち、C字形フランジ454は、これがクランプスロット166を妨害することなく、ディスク164の外周部に沿って又はその近くに延びるような寸法形状のものであり、対応の凹部458は、ディスク164の外周部に又はその近くに同様に設けられている。ツール450は、ペグ456と反対側でC字形フランジ454の端部に設けられた支持タブ460を更に有しており、それにより、ディスク164がツール450によってプラグベース孔26内に取り付けられたときにディスク164に一様な圧力が加わりやすいようにする。オプションとしての実施形態では、U字形フランジ454は、取っ手452の軸線回りに回転する(図74に矢印で示されている)よう構成されている。
【0110】
この目的のため、図76に最も良く示されているように、ツール450は、C字形フランジ454(想像線で示されている)に垂直に取り付けられたカラー462(想像線で示されている)を更に有し、取っ手452は、カラー462内に受け入れられた縮径ボス464を有し、カラー462及びかくしてC字形フランジ454は、取っ手452を中心として回転することができるようになっている。取っ手452の縮径ボス464は、カラー462内に締り嵌め関係をなすよう構成されており、その結果、ペグ456をディスク164の対応の凹部458から取り外したときにカラー462とC字形フランジ454が互いに分離しないようになっている。この目的のため、ツール450は、カラーの側壁内に設けられた可動ピン466を更に有し、縮径ボス464は、ピン466を受け入れる環状凹部468を有している。ピン466は、適当な材料、例えばステンレス鋼で構成できる。理解できるように、ピン466は、環状凹部468内で摺動することができ、それにより、カラー462及びかくしてC字形フランジ454は、取っ手452の軸線回りに回転することができる。しかしながら、ピン466は、環状凹部468内にしっかりと嵌め込まれているので、相当大きな軸方向力を用いなければ、C字形フランジ454を取っ手452から取り外すことができない。特に、ピン466は、C字形フランジ454が自由にスピンしないように環状凹部468に摩擦係合しており、即ち、例えば手で回すことにより力をC字形フランジに故意に加えなければ、C字形フランジ454は、取っ手452に対して回転することはない。
【0111】
特に、取っ手452は、狭い空間内でのリテーナ20の操作、ナビゲーション及び配置を容易にするためにC字形フランジ454に対して傾けられている。すなわち、取っ手が支持するリテーナ20の平面に対するその角度に起因して、取っ手452の運動は、穿頭孔の真上の機器によって妨害されることはない。この目的のため、カラー462が取り付けられている取っ手452の遠位端部は、C字形フランジ454に対する取っ手452の傾斜を達成するために曲がり部(例えば、カラー462と取っ手452との間の45°又は60°の曲がり部)を有する。取っ手452の遠位端部は、オプションとして、外科医がリテーナ20をプラグベース孔26内に挿入するのに最適な角度を生じさせることができるよう展性を備えるよう作られるのが良い。ツール450の近位端部は、別の機能を実施し、例えば、クランプ機構体162をロックし若しくはロック解除し、或いはリテーナ20をプラグベース18から飛び出させるよう設計されているのが良い。例えば、図77に示されているように、テーパした切れ味の鈍い先端部470を取っ手452の近位端部に形成するのが良い。
【0112】
次に、図78図80を参照して、リテーナ20をプラグベース18(図75に示されている)の孔26内に取り付けるよう構成された更に別のリテーナ保持ツール480について説明する。上述したツール450と同様、ツール480は、適当な硬質且つ頑丈な材料、例えばステンレス鋼又は耐久性のあるプラスチック、例えばポリプロピレン、ポリカーボネート又は変形が非常に少ないことが望ましい場合にはPEEKで構成されるのが良い。ツール480は、取っ手452とほぼ同じ構造の取っ手482及び図75に示されている保持ディスク164の頂面171に形成されている凹部458のうちの任意の1つの中に挿入可能な半径方向圧縮性/弾性先端部484を有している。先端部484の外側半径は、各凹部458の半径よりも僅かに大きく、その結果、先端部484を凹部458内に挿入すると、先端部484は、半径方向に圧縮される。先端部484の弾性により、半径方向外向きの力が凹部458の内壁に加えられ、それにより、リテーナ20をツール480に取り付けた状態に保持する摩擦締り嵌め状態が生じる。
【0113】
図示の実施形態では、先端部484は、1対の平行なアーム486を備えたばね機構体、特に、ばねクリップの形態をしており、これらアーム486は、圧縮力に応答して弛緩位置から圧縮位置に互いに近づき、圧縮力が除かれると、圧縮位置から弛緩位置に互いに遠ざかる。ツール480は、取っ手482の遠位端部のところに形成されていて、先端部484を保持するカラー488を有している。特に、カラー488は、先端部484のアーム486を締り嵌め状態で受け入れる受け口490を有している。具体的に説明すると、カラー488は、先端部484のアーム486をそれぞれ受け入れる1対の互いに反対側の環状フランジ492を形成するよう分割され又はフォーク状になっている。先端部484は、受け口490の遠位孔494を貫通して通すことができるインサートとして構成されているのが良い。受け口490内にいったん挿入されると、先端部484の弾性により、アーム486は、互いに半径方向外方に押し離されてそれぞれの環状フランジ492にしっかりと接触し、それにより、先端部484を取っ手482に取り付ける。この状態では、先端部484は、部分的に半径方向に圧縮される。先端部484を保持ディスク164の凹部486内に挿入すると、先端部484は、凹部486内で更に半径方向に圧縮されて上述の摩擦嵌め状態が得られる。先端部484がかかる圧縮中、軸方向に動いて受け口490から出るのを阻止するため、先端部484は、アーム484の端部にそれぞれ形成された1対の半径方向外向きのタブ496を更に有している。取っ手482の遠位端部は、タブ496を受け入れてこれらを保持する対応の凹部498を更に有している。
【0114】
穿頭孔プラグ16及び穿頭孔プラグを穿頭孔中に取り付けるために用いられるツールの構造及び機能を説明したが、次に、穿頭孔プラグ16を穿頭孔中に取り付ける方法について説明する。先ず最初に、図81を参照すると、プラグベース18を患者の頭蓋6の頂部上に置く。特に、プラグベース18に設けられている心出しタブ32を穿頭孔5内に配置するのが良く、それにより、プラグベース18を穿頭孔5の周りに心出しする。図10図13に示されている引っ込みプラグベース57を用いる場合、環状フランジ45も又、図82に示されているように穿頭孔5中に引っ込めてリテーナ20を穿頭孔中に更に下方に引っ込めるのが良い。図81に戻ってこれを参照すると、次に、プラグベース18のねじ穴34中に導入されたねじ15を用いてプラグベース18を頭蓋6に固着する。プラグベース固着ツール300(図54図58),350(図59図68)又は410(図69)のうちの任意のものを用いて、プラグベース18の孔26を覆った状態でねじ15をねじ穴34に位置合わせすることができ、自動調心タブがプラグベース18に設けられていない場合、かかるツールは、プラグベース18を穿頭孔5に対して心出しするのを助けることができる。
【0115】
次に、図83に示されているように、刺激リード12をプラグベース孔26に通し、穿頭孔5から脳組織中に導入し、刺激リード12の電極(図示せず)が標的部位に隣接して位置するようにする。図16に示されているスロット付きプラグベース58を用いる場合、先ず最初に、刺激リード12を穿頭孔5から導入し、刺激リード12を図84に示されているように、プラグベース58のスロット66内に側方に導入するのが良く、次に、プラグベース58を図81を参照して上述したのと同一の仕方で頭蓋6上に載せてこれに固着するのが良い。図17及び図18に示されている割り型プラグベース78を用いる場合、先ず最初に、刺激リード12を穿頭孔5から導入し、第1のプラグベース部分80を刺激リード12の一方の側部に隣接して配置し、第2のプラグベース部分82を刺激リード12の他方の側に隣接して配置し、次に、第1のプラグベース部分80と第2のプラグベース部分82を互いに嵌合させてプラグベース78を一体化するのが良い。これは、第1のプラグベース部分80を図85に示されているように刺激リード12の一方の側部に隣接して頭蓋6上に配置し、次に、第2のプラグベース部分82を図86に示されているように刺激リード12の他方の側に隣接して第1のプラグベース部分80上に配置することによって達成できる。互いに相補するピン100と凹部102を用いて第1のプラグベース部分80と第2のプラグベース部分82を最初に互いに結合する場合、ベース部分80,82を互いに嵌合させる前に、ピン100を切断するのが良い。ベース部分80,82を互いに嵌合させた後、次に、一体化されたプラグベース78を、図81を参照して上述したのと同一の仕方で頭蓋6に固着するのが良い。当然のことながら、スロット付きプラグベース58又は割り型プラグベース78を頭蓋6に固着し、その後に刺激リード12をプラグベース18と関連して上述したのと同一の仕方で穿頭孔5から導入しても良い。
【0116】
プラグベース18を頭蓋6に固着し、刺激リード12を穿頭孔5から導入して標的部位に隣接して正しく配置した後、リテーナ20を図87に示されているようにプラグベース孔26内に取り付ける。リテーナ20をプラグベース18に取り付けているとき、刺激リード12を保持ディスク164に形成されているスロット166内に側方に導入するのが良い。図48及び図49に示されているヒンジ式リテーナ260を用いる場合、第1及び第2のディスク部分264を図88に示されているように刺激リード12を側方から受け入れるようヒンジ式に開き、次に、図89に示されているように刺激リード12を包囲するようヒンジ式に閉じるのが良い。リテーナ配置ツール430(図70図72),450(図73図77)又は480(図78図80)のうちの任意のものを用いてリテーナ20(又はリテーナ260)をプラグベース孔26内に配置して取り付けることができる。
【0117】
リテーナ20(又はリテーナ230)がプラグベース孔26内にいったんしっかりと取り付けられると、リテーナ20を作動させて刺激リード12を図90に示されているようにプラグベース孔26内に固定する。特に、クランプ機構体162をディスク164に対して摺動させて可動クランプバー184をディスク164の固定クランプバー176に向かって側方に摺動させ、それによりスロット166内に受け入れられている刺激リード12を固定し、そして、特に、刺激リード12をディスク164の可動クランプバー184と固定クランプバー176との間にクランプする。刺激リード12をいったん固定すると、クランプ機構体162のロック要素を作動させて可動クランプバー184をディスク164に対してロックするのが良い。特に、可動クランプバー184を固定クランプバー176に向かって摺動させるのが良く、ついには、ロックタブ202が引っ込み停止部182に当接するようになる。クランプ機構体162を作動させて、例えば、ツールを介して下向きの力をロックタブ202の凹部212に加えることにより弾性アーム202を撓ませることによって、可動クランプバー184をディスク164に対してロック解除するのが良い。
【0118】
特に、図50及び図51に示されているリテーナ280を用いる場合、保持支持体282を図91に示されているようにプラグベース18の孔26内に取り付けるのが良く、次に、クリップ284のアーム300を半円形フランジ286に設けられているC字形チャネル290内に滑り込ませるのが良く、ついには、ロックタブ302がC字形チャネル290の端部に係合して刺激リード12を図92に示されているようにクランプバー296,298相互間に固定する。複数本の刺激リード12を固定しようとする場合、図45に示されているリテーナ240を上述のリテーナ20と同様な仕方でプラグベース孔26内に取り付けるのが良い。次に、クランプ機構体252を摺動させて刺激リード12を図93に示されているようにクランプバー254相互間に固定するのが良い。図示のように、刺激リード12をプラグベース孔26のオフセンタ弦に沿って固定する。
【0119】
1本の刺激リード12(又は複数本の刺激リード)をプラグベース孔26内に固定した後、刺激リード12を穿頭孔5の軸線に対して角度をなして(例えば、これに垂直に)曲げ、刺激リード12を図94に示されているようにプラグベース18に設けられているリード出口溝36のうちの1つの中に嵌入させることにより刺激リード12をプラグベース18の方へ半径方向に差し向ける。図44に示されているリテーナ230を用いる場合、刺激リード12をリード出口溝232のうちの1つの中に嵌入させるのが良い。次に、リテーナ20を覆ってキャップ22をプラグベース18に取り付け、刺激リード12が図95に示されているようにプラグベース18とキャップ22との間に固定されるようにする。特に、キャップ22のリードクランプ溝320は、刺激リード12を捕捉し、これに下向きの圧力を及ぼして刺激リード12をプラグベース18の出口溝36内に摩擦の作用で固定する。
【0120】
本発明の特定の実施形態を図示すると共に説明したが、本発明を好ましい実施形態に限定するものではないことは理解されるべきであり、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の変更及び改造を行うことができるということは当業者には明らかである。かくして、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲に含まれる変形例、改造例及び均等例を包含するものである。
【0121】
本発明は、以下のような態様であってもよい。
(1)頭蓋穿頭孔プラグであって、
プラグベースを有し、前記プラグベースは、頭蓋穿頭孔の周りに取り付けられるよう構成されたフランジ、前記頭蓋孔から出ている細長い医療器具を挿通させることができる孔、及び前記プラグベースを前記頭蓋穿頭孔に対して心出しするよう前記頭蓋穿頭孔内に延びるよう構成された複数個のタブを有し、
前記医療器具を固定するよう前記プラグベースの前記孔内に取り付けられるよう構成されたリテーナを有する、穿頭孔プラグ。
(2)
前記プラグベースの前記孔は、円形である、(1)記載の穿頭孔プラグ。
(3)
前記孔の最も大きな寸法は、25mm以下である、(1)記載の穿頭孔プラグ。
(4)
前記プラグベースは、前記医療器具を側方から受け入れるよう構成された開放スロットを有する、(1)記載の穿頭孔プラグ。
(5)
前記複数個のタブは、少なくとも3つのタブから成る、(1)記載の穿頭孔プラグ。
(6)
前記タブは、前記プラグベースフランジの底面に設けられている、(1)記載の穿頭孔プラグ。
(7)
前記タブは、前記孔と合致している、(1)記載の穿頭孔プラグ。
(8)
前記リテーナは、前記プラグベースの前記孔内に取り外し可能に取り付けられるよう構成されている、(1)記載の穿頭孔プラグ。
(9)
前記プラグベースは、前記プラグベースの前記孔内に取り付けられると、前記リテーナを支持するよう構成されている少なくとも1つの内側環状棚部を有する、(1)記載の穿頭孔プラグ。
(10)
前記リテーナは、リテーナ支持体と、前記リテーナ支持体に形成されていて、前記医療器具を受け入れるスロットとを更に有する、(1)記載の穿頭孔プラグ。
(11)
前記リテーナは、クランプ力を前記スロット内に受け入れられた前記医療器具に加えるよう構成されたクランプ機構体を有する、(10)記載の穿頭孔プラグ。
(12)
前記クランプ機構体は、前記医療器具に係合するよう構成されたクランプバーと、前記医療器具が固定されると、前記クランプバーを前記リテーナ支持体に対してロックするよう構成されたロック要素とを有する、(11)記載の穿頭孔プラグ。
(13)
前記リテーナ支持体は、ディスクである、(10)記載の穿頭孔プラグ。
(14)
前記プラグベースを患者の頭蓋に固着するよう構成された締結具を更に有する、(1)記載の穿頭孔プラグ。
(15)
前記リテーナを覆って前記プラグベースに取り付けられるよう構成されたキャップを更に有する、(1)記載の穿頭孔プラグ。
(16)
前記プラグベースは、前記医療器具を嵌入させるよう構成された出口溝を有し、前記キャップは、前記キャップが前記プラグベースに取り付けられると、前記医療器具を前記出口溝内にしっかりと固定するよう構成されている、(14)記載の穿頭孔プラグ。
(17)
患者に対して医療手技を実施する方法であって、
フランジ、孔、及び複数個のタブを有するプラグベースを用意するステップと、
プラグベースを頭蓋穿頭孔内に配置して前記フランジが前記頭蓋穿頭孔周りに配置されると共に前記タブが前記穿頭孔内に配置されて前記プラグベースを前記頭蓋穿頭孔に対して心出しするようにするステップと、
前記プラグベースを前記頭蓋穿頭孔に対して固着するステップと、
細長い医療器具を前記頭蓋穿頭孔から患者の前記脳組織中に導入し、前記医療器具が前記プラグベースの前記孔を通って前記頭蓋穿頭孔から出るようにするステップと、
リテーナを前記プラグベースの前記孔内に取り付けるステップと、
前記リテーナを作動させて前記医療器具を固定するステップとを有する、方法。
(18)
前記タブは、前記頭蓋穿頭孔の周囲に沿って等間隔を置いて設けられている、(17)記載の方法。
(19)
前記タブは、前記プラグベースフランジの底面に設けられている、(17)記載の方法。
(20) 前記医療器具は、電気リードである、(17)記載の方法。
(21) 前記プラグベースは、前記プラグベースフランジに形成された開放スロットを有し、前記方法は、前記医療器具を前記スロット内に側方から導入するステップを更に有する、(17)記載の方法。
(22) 前記プラグベースは、前記医療器具を前記穿頭孔から前記患者の前記脳組織中に導入した後、前記頭蓋穿頭孔周りに取り付けられる、(21)記載の方法。
(23) 前記リテーナを覆ってキャップを前記プラグベースに取り付けるステップを更に有する、(17)記載の方法。
(24) 頭蓋穿頭孔プラグであって、
頭蓋穿頭孔の周りに取り付けられるよう構成されたフランジ及び前記頭蓋孔から出ている細長い医療器具を挿通させることができる孔を有するプラグベースと、
前記医療器具を固定するよう前記プラグベースの前記孔内に取り付けられるよう構成されたリテーナとを有し、前記リテーナは、少なくとも部分的に前記穿頭孔内に引っ込められるようになっている、穿頭孔プラグ。
(25) 前記プラグベースの前記孔は、円形である、(24)記載の穿頭孔プラグ。
(26) 前記孔の最も大きな寸法は、25mm以下である、(24)記載の穿頭孔プラグ。
(27) 前記プラグベースは、前記医療器具を側方から受け入れるよう構成された開放スロットを有する、(24)記載の穿頭孔プラグ。
(28) 前記フランジは、底面を有し、前記リテーナは、前記フランジの前記底面の下に延びるよう構成されている、(24)記載の穿頭孔プラグ。
(29) 前記プラグベースは、前記プラグベースを前記頭蓋穿頭孔に対して心出しするよう前記頭蓋穿頭孔内を延びるよう構成された複数個のタブを有する、(24)記載の穿頭孔プラグ。
(30) 前記タブは、前記プラグベースフランジの底面に設けられている、(24)記載の穿頭孔プラグ。
(31) 前記タブは、前記孔と合致している、(24)記載の穿頭孔プラグ。
(32) 前記リテーナは、前記プラグベースの前記孔内に取り外し可能に取り付けられるよう構成されている、(24)記載の穿頭孔プラグ。
(33) 前記プラグベースは、前記プラグベースの前記孔内に取り付けられると、前記リテーナを支持するよう構成されている少なくとも1つの内側環状棚部を有する、(24)記載の穿頭孔プラグ。
(34) 前記プラグベースは、前記少なくとも1つの内側環状棚部から前記フランジの底面の下に延びる少なくとも1つの環状フランジを有する、(33)記載の穿頭孔プラグ。
(35) 前記リテーナは、リテーナ支持体と、前記リテーナ支持体に形成されていて、前記医療器具を受け入れるスロットとを更に有する、(24)記載の穿頭孔プラグ。
(36) 前記リテーナは、クランプ力を前記スロット内に受け入れられた前記医療器具に加えるよう構成されたクランプ機構体を有する、(35)記載の穿頭孔プラグ。
(37) 前記クランプ機構体は、前記医療器具に係合するよう構成されたクランプバーと、前記医療器具が固定されると、前記クランプバーを前記リテーナ支持体に対してロックするよう構成されたロック要素とを有する、(36)記載の穿頭孔プラグ。
(38) 前記リテーナ支持体は、ディスクである、(35)記載の穿頭孔プラグ。
(39) 前記プラグベースを患者の頭蓋に固着するよう構成された締結具を更に有する、(24)記載の穿頭孔プラグ。
(40) 前記リテーナを覆って前記プラグベースに取り付けられるよう構成されたキャップを更に有する、(24)記載の穿頭孔プラグ。
(41) 前記プラグベースは、前記医療器具を嵌入させるよう構成された出口溝を有し、前記キャップは、前記キャップが前記プラグベースに取り付けられると、前記医療器具を前記出口溝内にしっかりと固定するよう構成されている、(40)記載の穿頭孔プラグ。
(42) 患者に対して医療手技を実施する方法であって、
プラグベースを頭蓋穿頭孔周りに取り付けるステップを有し、前記プラグベースは、フランジ及び孔を有し、
細長い医療器具を前記頭蓋穿頭孔から前記患者の脳組織中に導入し、前記医療器具が前記プラグベースの前記孔を通って前記頭蓋穿頭孔から出るようにするステップを有し、
リテーナを前記プラグベースの前記孔内に取り付けて、前記リテーナが少なくとも部分的に前記穿頭孔内に引っ込められるようにするステップを有し、
前記リテーナを作動させて前記医療器具を固定するステップを有する、方法。
(43) 前記医療器具は、電気リードである、(42)記載の方法。
(44) 前記プラグベースは、前記プラグベースフランジに形成された開放スロットを有し、前記方法は、前記医療器具を前記スロット内に側方から導入するステップを更に有する、(42)記載の方法。
(45) 前記プラグベースは、前記医療器具を前記穿頭孔から前記患者の前記脳組織中に導入した後、前記頭蓋穿頭孔周りに取り付けられる、(44)記載の方法。
(46) 前記リテーナを覆ってキャップを前記プラグベースに取り付けるステップを更に有する、(42)記載の方法。
(47) 頭蓋穿頭孔プラグであって、
頭蓋穿頭孔周りに取り付けられるよう構成された割り型プラグベースを有し、前記プラグベースは、前記穿頭孔から出ている細長い医療器具を挿通させることができる孔及び前記プラグベースを分離するよう互いに取り外されたり前記プラグベースを一体化するよう互いに嵌め合わされたりするよう構成された複数個のベース部分を有し、
前記医療器具を固定するよう前記プラグベースの前記孔内に取り付けられるよう構成されたリテーナを有する、穿頭孔プラグ。
(48)
前記プラグベースの前記孔は、円形である、(47)記載の穿頭孔プラグ。
(49)
前記孔の最も大きな寸法は、25mm以下である、(47)記載の穿頭孔プラグ。
(50) 前記複数個のベース部分は、2つのベース部分のみから成る、(47)記載の穿頭孔プラグ。
(51) 前記ベース部分の各々は、環状である、(47)記載の穿頭孔プラグ。
(52) 前記ベース部分は、締り嵌め関係をなして互いに嵌め合わされる、(47)記載の方法。
(53) 前記ベース部分のうちの1つは、凹部であり、前記ベース部分のうちの別の1つは、前記ベース部分を互いに嵌め合わすよう前記凹部内に配置されるよう構成された突起を有する、(47)記載の穿頭孔プラグ。
(54) 前記凹部は、前記1つのベース部分の上面に設けられ、前記突起は、前記別のベース部分から側方に延びる、(53)記載の穿頭孔プラグ。
(55) 前記プラグベースは、前記ベース部分を互いにしっかりと結合する少なくとも1つの要素を有する、(47)記載の穿頭孔プラグ。
(56) 前記少なくとも1つの要素は、前記ベース部分を互いに取り外した後、剪断変形して切れるよう構成されている、(55)記載の穿頭孔プラグ。
(57) 前記リテーナは、前記プラグベースの前記孔内に取り外し可能に取り付けられるよう構成されている、(47)記載の穿頭孔プラグ。
(58) 前記プラグベースは、前記プラグベースの前記孔内に取り付けられると、前記リテーナを支持するよう構成されている少なくとも1つの内側環状棚部を有する、(47)記載の穿頭孔プラグ。
(59) 前記リテーナは、リテーナ支持体と、前記リテーナ支持体に形成されていて、前記医療器具を受け入れるスロットとを更に有する、(47)記載の穿頭孔プラグ。
(60) 前記リテーナは、クランプ力を前記スロット内に受け入れられた前記医療器具に加えるよう構成されたクランプ機構体を有する、(59)記載の穿頭孔プラグ。
(61) 前記クランプ機構体は、前記医療器具に係合するよう構成されたクランプバーと、前記医療器具が固定されると、前記クランプバーを前記リテーナ支持体に対してロックするよう構成されたロック要素とを有する、(60)記載の穿頭孔プラグ。
(62) 前記リテーナ支持体は、ディスクである、(59)記載の穿頭孔プラグ。
(63) 前記プラグベースを患者の頭蓋に固着するよう構成された締結具を更に有する、(47)記載の穿頭孔プラグ。
(64) 前記リテーナを覆って前記プラグベースに取り付けられるよう構成されたキャップを更に有する、(47)記載の穿頭孔プラグ。
(65) 前記プラグベースは、前記医療器具を嵌入させるよう構成された出口溝を有し、前記キャップは、前記キャップが前記プラグベースに取り付けられると、前記医療器具を前記出口溝内にしっかりと固定するよう構成されている、(64)記載の穿頭孔プラグ。
(66) 患者に対して医療手技を実施する方法であって、
細長い医療器具を前記患者の頭蓋穿頭孔から前記患者の脳組織中に導入し、前記医療器具の露出部分が前記頭蓋穿頭孔から出るようにするステップと、
第1のプラグベース部分を前記医療器具の前記露出部分の一方の側部に隣接して配置するステップと、
第2のプラグベース部分を前記医療器具の前記露出部分の別の側部に隣接して配置するステップと、
前記第1のプラグベース部分と前記第2のプラグベース部分を互いに嵌め合わして前記医療器具の前記露出部分を挿通させる孔を備えたプラグベースを形成するステップと、
前記プラグベースを前記頭蓋穿頭孔の周りに取り付けるステップと、
リテーナを前記プラグベースの前記孔内に取り付けるステップと、
前記リテーナを作動させて前記医療器具を固定するステップとを有する、方法。
(67) 前記医療器具は、電気リードである、(66)記載の方法。
(68) 前記プラグベースを前記患者の頭蓋に固着するステップを更に有する、(66)記載の方法。
(69) 前記第1のプラグベース部分と前記第2のプラグベース部分は、前記第1のプラグベース部分が前記頭蓋穿頭孔の一方の側に配置されている間に互いに嵌め合わされる、(66)記載の方法。
(70) 前記第1のプラグベース部分と前記第2のプラグベース部分は、前記第2のプラグベース部分を前記第1のプラグベース部分上に配置することにより互いに嵌め合わされる、(66)記載の方法。
(71) 前記第1のプラグベース部分と前記第2のプラグベース部分は、締り嵌め関係をなして互いに嵌め合わされる、(66)記載の方法。
(72) 前記リテーナを覆ってキャップを前記プラグベースに取り付けるステップを更に有する、(66)記載の方法。
(73)
頭蓋穿頭孔プラグであって、
頭蓋穿頭孔の周りに取り付けられるよう構成されたプラグベースを有し、前記プラグベースは、前記穿頭孔から出ている細長い医療器具を挿通させることができる孔を有し、
前記プラグベースの前記孔内に取り付けられるよう構成されたリテーナを有し、前記リテーナは、リテーナ支持体と、前記リテーナ支持体に形成されていて、前記医療器具を受け入れるスロットと、及びクランプ機構体とを有し、前記クランプ機構体は、クランプバーと、前記クランプバーを側方に摺動させて前記スロット内に受け入れられている前記医療器具を固定するよう前記リテーナ支持体に摺動可能に係合する摺動可能なフランジとを有する、穿頭孔プラグ。
(74) 前記プラグベースの前記孔は、円形である、(73)記載の穿頭孔プラグ。
(75) 前記孔の最も大きな寸法は、25mm以下である、(73)記載の穿頭孔プラグ。
(76) 前記リテーナは、前記プラグベースの前記孔内に取り外し可能に取り付けられるよう構成されている、(73)記載の穿頭孔プラグ。
(77)
前記プラグベースは、前記プラグベースの前記孔内に取り付けられると、前記リテーナを支持するよう構成されている少なくとも1つの内側環状棚部を有する、(73)記載の穿頭孔プラグ。
(78) 前記リテーナ支持体は、ディスクである、(73)記載の穿頭孔プラグ。
(79) 前記リテーナは、前記リテーナ支持体に形成された凹部を有し、前記摺動可能なフランジは、前記凹部に沿って摺動可能に係合する、(73)記載の穿頭孔プラグ。
(80) 前記リテーナは、前記凹部の互いに反対側の側部に設けられた1対のC字形チャネルを有し、前記摺動可能なフランジの1対の互いに反対側の縁部は、それぞれ、前記C字形チャネル内に受け入れられる、(79)記載の穿頭孔プラグ。
(81) 前記クランプバーは、凹凸特徴部を備えたクランプ面を有する、(73)記載の穿頭孔プラグ。
(82) 前記スロットは、前記医療器具を側方から受け入れるよう構成された開放スロットである、(73)記載の穿頭孔プラグ。
(83) 前記リテーナ支持体は、第1の部分及び第2の部分を有し、前記リテーナは、前記第1及び前記第2のフランジ部分に結合されたヒンジを更に有し、前記第1のフランジ部分と前記第2のフランジ部分は、医療リードを前記スロット内に側方から受け入れるようヒンジ式に開放されたり前記医療リードを前記スロット内に包囲するようヒンジ式に閉鎖されたりすることが交互に可能である、(73)記載の穿頭孔プラグ。
(84) 前記リテーナ支持体は、前記クランプバーと反対側の前記スロットの一方の側に設けられた固定状態のクランプバーを有し、前記クランプバーは、前記医療リードを前記固定状態のクランプバーにクランプするよう構成されている、(73)記載の穿頭孔プラグ。
(85) 前記クランプ機構体は、前記医療器具が固定されると、前記クランプバーを前記リテーナ支持体に対してロックするよう構成されたロック要素を有する、(73)記載の穿頭孔プラグ。
(86) 前記リテーナ支持体は、前記クランプ機構体の前記ロック要素が係合するよう構成されている相補形ロック要素を有する、(85)記載の穿頭孔プラグ。
(87) 前記クランプ機構体は、前記ロック要素が取り付けられた弾性アームを有し、前記アームは、前記ロック要素を前記相補形ロック要素から解除するよう能動的に撓むよう構成されている、(86)記載の穿頭孔プラグ。
(88) 前記ロック要素は、タブであり、前記相補形ロック要素は、停止部であり、前記クランプ機構体は、前記タブを前記停止部に当接させることによりロック位置に配置されるよう構成され、前記クランプ機構体は、前記アームを撓ませて前記タブを前記停止部から離脱させることによりロック解除位置に配置されるよう構成されている、(87)記載の穿頭孔プラグ。
(89) 前記タブと前記停止部は、前記フランジの平面に対して傾けられている当接面を有する、(88)記載の穿頭孔プラグ。
(90) 前記クランプ機構体は、前記弾性アームを撓ませるツールの先端部を受け入れるよう構成された凹部を有する、(87)記載の穿頭孔プラグ。
(91) 前記凹部は、前記リテーナ支持体の平面に対して傾けられており、前記凹部に加えられた下向きの力の一部分が前記リテーナ支持体の前記平面に沿って前記スロットから遠ざかる方向に伝達されるようになっている、(90)記載の穿頭孔プラグ。
(92) 前記凹部は、前記リテーナ支持体の周囲よりも前記リテーナ支持体の中心の方の近くに設けられている、(90)記載の穿頭孔プラグ。
(93) 前記クランプ機構体は、前記摺動可能なフランジに取り付けられた停止部を有し、前記停止部は、前記弾性アームの撓みを制限するよう構成されている、(87)記載の穿頭孔プラグ。
(94) 前記リテーナ支持体は、前記クランプ機構体の前記ロック要素が選択的に係合するよう構成されている複数個の相補形ロック要素を有し、前記クランプバーは、前記リテーナ支持体に対して種々の位置でロックされるよう構成されている、(85)記載の穿頭孔プラグ。
(95) 前記プラグベースを患者の頭蓋に固着するよう構成された締結具を更に有する、(73)記載の穿頭孔プラグ。
(96) 前記リテーナを覆って前記プラグベースに取り付けられるよう構成されたキャップを更に有する、(73)記載の穿頭孔プラグ。
(97) 前記プラグベースは、前記医療器具を嵌入させるよう構成された出口溝を有し、前記キャップは、前記キャップが前記プラグベースに取り付けられると、前記医療器具を前記出口溝内にしっかりと固定するよう構成されている、(96)記載の穿頭孔プラグ。
(98) 患者に対して医療手技を実施する方法であって、
細長い医療器具を前記患者の頭蓋穿頭孔から前記患者の脳組織中に導入するステップを有し、
プラグベースを前記頭蓋穿頭孔の周りに取り付けて前記医療器具が前記プラグベースの孔を貫通するようにするステップを有し、
リテーナを前記プラグベースの前記孔内に取り付けるステップを有し、前記リテーナは、リテーナ支持体と、前記リテーナ支持体に形成されたスロットと、クランプバー及び前記リテーナ支持体に摺動可能に係合する摺動可能なフランジを有するクランプ機構体とを有し、
前記医療器具を前記スロット内に受け入れさせるステップを有し、
前記摺動可能なフランジを前記リテーナ支持体に対して摺動させて前記クランプバーを側方に摺動させ、それにより前記スロット内に受け入れられている前記医療器具を固定するステップを有する、方法。
(99) 前記医療器具は、電気リードである、(98)記載の方法。
(100) 前記医療器具は、前記スロット内に側方から受け入れられる、(98)記載の方法。
(101) 前記リテーナ支持体は、前記クランプバーと反対側の前記スロットの一方の側に設けられた固定状態のクランプバーを有し、前記クランプバーは、前記医療リードを前記固定状態のクランプバーにクランプするよう構成されている、(98)記載の方法。
(102) 前記クランプ機構体は、ロック要素を有し、前記方法は、前記医療器具が固定されると、前記ロック要素を作動させて前記クランプバーを前記リテーナ支持体に対してロックするステップを更に有する、(98)記載の方法。
(103) 前記医療器具が固定されると、前記ロック要素を作動させて前記クランプバーを前記リテーナ支持体に対してロック解除するステップを更に有する、(102)記載の方法。
(104) 前記クランプ機構体は、前記ロック要素が取り付けられた弾性アームを有し、前記方法は、前記医療器具が固定されると、前記弾性アームを能動的に撓ませて前記ロック要素を作動させ、それにより前記クランプバーを前記リテーナ支持体に対してロック解除するステップを有する、(103)記載の方法。
(105) 前記ロック要素を作動させて前記クランプバーを種々の位置でロックするステップを更に有する、(102)記載の方法。
(106) 前記リテーナを覆ってキャップを前記プラグベースに取り付けるステップを更に有する、(98)記載の方法。
(107) 頭蓋穿頭孔プラグであって、
頭蓋穿頭孔の周りに取り付けられるよう構成されたプラグベースを有し、前記プラグベースは、前記穿頭孔から出ている細長い医療器具を挿通させることができる孔を有し、
前記医療器具を固定するよう前記プラグベースの前記孔内に取り付けられるよう構成されたリテーナを有し、前記リテーナは、前記医療器具を嵌入させるよう構成された少なくとも1つの出口溝を有し、前記医療器具は、前記プラグベースに向かって半径方向に差し向けられるようになっている、穿頭孔プラグ。
(108) 前記プラグベースの前記孔は、円形である、(107)記載の穿頭孔プラグ。
(109)
前記孔の最も大きな寸法は、25mm以下である、(107)記載の穿頭孔プラグ。
(110) 前記リテーナを覆って前記プラグベースに取り付けられると共に前記医療器具を前記少なくとも1つの出口溝内にしっかりと固定するよう構成されたキャップを更に有する、(107)記載の穿頭孔プラグ。
(111) 前記少なくとも1つの出口溝は、前記リテーナに円周方向に分布して設けられた複数個の溝から成る、(107)記載の穿頭孔プラグ。
(112) 前記少なくとも1つの出口溝は、前記医療器具が前記穿頭孔の軸線に対して90°の角度に曲げられると、前記医療器具を嵌入させるよう構成されている(107)記載の穿頭孔プラグ。
(113) 前記リテーナは、前記プラグベースの前記孔内に取り外し可能に取り付けられるよう構成されている、(107)記載の穿頭孔プラグ。
(114) 前記プラグベースは、前記リテーナが前記プラグベースの前記孔内に取り付けられると、前記リテーナを支持するよう構成された少なくとも1つの内側環状棚部を有する、(107)記載の穿頭孔プラグ。
(115) 前記リテーナは、リテーナ支持体と、前記リテーナ支持体に形成されていて、前記医療器具を受け入れるスロットとを更に有する、(107)記載の穿頭孔プラグ。
(116) 前記リテーナは、クランプ力を前記スロット内に受け入れられた前記医療器具に加えるよう構成されたクランプ機構体を有する、(115)記載の穿頭孔プラグ。
(117)
前記クランプ機構体は、前記医療器具に係合するよう構成されたクランプバーと、前記医療器具が固定されると、前記クランプバーを前記リテーナ支持体に対してロックするよう構成されたロック要素とを有する、(116)記載の穿頭孔プラグ。
(118) 前記1つ又は2つ以上の出口溝のうちの少なくとも1つは、前記スロットに垂直に半径方向に差し向けられている、(115)記載の穿頭孔プラグ。
(119) 前記リテーナ支持体は、ディスクである、(115)記載の穿頭孔プラグ。
(120) 前記プラグベースを患者の頭蓋に固着するよう構成された締結具を更に有する、(107)記載の穿頭孔プラグ。
(121) 患者に対して医療手技を実施する方法であって、
細長い医療器具を前記患者の頭蓋穿頭孔から前記患者の脳組織中に導入するステップと、
プラグベースを前記頭蓋穿頭孔の周りに取り付けて前記医療器具が前記プラグベースの孔を貫通するようにするステップと、
リテーナを前記プラグベースの前記孔内に取り付けるステップと、
前記リテーナを作動させて前記医療器具を固定するステップと、
前記医療器具を前記リテーナの出口溝内に嵌入させることによって前記医療器具を前記プラグベースの方に半径方向に差し向けるステップと、
前記リテーナを覆ってキャップを前記プラグベースに取り付けるステップとを有し、前記医療器具は、前記プラグベースと前記キャップとの間に固定される、方法。
(122) 前記医療器具は、電気リードである、(121)記載の方法。
(123) 前記医療器具は、前記キャップが前記リテーナを覆って前記プラグベースに取り付けられると、前記出口溝内に固定される、(121)記載の方法。
(124) 前記医療器具を前記出口溝内に嵌入させる前に、前記医療器具を前記穿頭孔の軸線に対して角度をなして曲げるステップを更に有する、(121)記載の方法。
(125) 前記角度は、90°である、(124)記載の方法。
(126) 前記リテーナの複数個の出口溝のうちの1つを選択するステップを更に有し、前記医療器具は、前記選択された出口溝内に嵌入する、(121)記載の方法。
(127) 前記医療器具は、前記リテーナに形成されたスロット内に固定され、前記出口溝は、前記スロットに垂直に半径方向に差し向けられている、(121)記載の方法。
(128) 患者に対して医療手技を実施する方法であって、
細長い医療器具を前記患者の頭蓋穿頭孔から前記患者の脳組織中に導入するステップと、
プラグベースを前記頭蓋穿頭孔の周りに取り付けて前記医療器具が前記プラグベースの孔を貫通するようにするステップと、
第1及び第2のクランプ機構体を有するリテーナを前記プラグベースの前記孔内に取り付けるステップと、
前記第1及び前記第2のクランプ機構体を摺動させて前記少なくとも1つの医療器具を前記クランプ機構体相互間に固定するステップとを有する、方法。
(129) 前記少なくとも1つの医療器具の各々は、電気リードである、(128)記載の方法。
(130)
前記少なくとも1つの医療器具は、複数個の医療器具から成る、(128)記載の方法。
(131) 前記第1及び前記第2のクランプ機構体は、前記医療器具を前記プラグベースの前記孔のオフセンタ弦に沿って固定する、(130)記載の方法。
(132) 前記リテーナは、リテーナ支持体と、前記リテーナ支持体に形成されていて、前記医療器具を受け入れるスロットとを更に有し、前記方法は、前記少なくとも1つの医療器具を前記スロット内に受け入れさせるステップを更に有し、前記第1及び前記第2のクランプ機構体は、前記スロット内に受け入れられている前記少なくとも1つの医療器具を固定するよう前記リテーナ支持体に対して摺動される、(128)記載の方法。
(133) 前記リテーナを覆ってキャップを前記プラグベースに取り付けるステップを更に有する、(128)記載の方法。
(134) 頭蓋穿頭孔プラグであって、
頭蓋穿頭孔の周りに取り付けられるよう構成されたプラグベースを有し、前記プラグベースは、前記穿頭孔から出ている細長い医療器具を挿通させることができる孔を有し、
前記プラグベースの前記孔内に取り付けられるよう構成されたリテーナ支持体と、前記リテーナ支持体のクランプ面との間に前記医療器具を固定するよう前記リテーナ支持体と嵌合するよう構成されたクリップとを有するリテーナを有する、穿頭孔プラグ。
(135) 前記プラグベースの前記孔は、円形である、(134)記載の穿頭孔プラグ。
(136)
前記孔の最も大きな寸法は、25mm以下である、(134)記載の穿頭孔プラグ。
(137) 前記リテーナ支持体は、前記プラグベースの前記孔内に取り外し可能に取り付けられるよう構成されている、(134)記載の穿頭孔プラグ。
(138) 前記プラグベースは、前記プラグベースの前記孔内に取り付けられると、前記リテーナ支持体を支持するよう構成されている少なくとも1つの内側環状棚部を有する、(134)記載の穿頭孔プラグ。
(139) 前記リテーナ支持体は、半円形である、(134)記載の穿頭孔プラグ。
(140) 前記クリップは、締り嵌め関係をなして前記リテーナ支持体と嵌合するよう構成されている、(134)記載の穿頭孔プラグ。
(141) 前記リテーナ支持体は、1対のC字形チャネルを有し、前記クリップは、互いに反対側に位置する前記C字形チャネルに摺動可能に係合するよう構成された1対の弾性アームを有する、(134)記載の穿頭孔プラグ。
(142)
前記クリップは、それぞれ前記アームの端部に設けられた1対のタブを有し、前記タブは、前記クリップを前記リテーナ支持体に対してロックするよう前記互いに反対側のC字形チャネルの端部にそれぞれ係合するよう構成されている、(141)記載の穿頭孔プラグ。
(143) 前記アームは、前記タブを前記互いに反対側のC字形チャネルから離脱させるようレールから遠ざかって互いに向かって変位するよう構成されている、(142)記載の穿頭孔プラグ。
(144) 前記プラグベースを患者の頭蓋に固着するよう構成された締結具を更に有する、(134)記載の穿頭孔プラグ。
(145) 前記リテーナを覆って前記プラグベースに取り付けられるよう構成されたキャップを更に有する、(134)記載の穿頭孔プラグ。
(146) 前記プラグベースは、前記医療器具を嵌入させるよう構成された出口溝を有し、前記キャップは、前記キャップが前記プラグベースに取り付けられると、前記医療器具を前記出口溝内にしっかりと固定するよう構成されている、(145)記載の穿頭孔プラグ。
(147) 患者に対して医療手技を実施する方法であって、
細長い医療器具を前記患者の頭蓋穿頭孔から前記患者の脳組織中に導入するステップと、
プラグベースを前記頭蓋穿頭孔の周りに取り付けて前記医療器具が前記プラグベースの孔を貫通するようにするステップと、
リテーナ支持体を前記プラグベースの前記孔内に取り付けるステップと、
クリップを前記リテーナ支持体に嵌合させて前記医療器具を前記クリップと前記リテーナ支持体のクランプ面との間に固定するステップとを有する、方法。
(148) 前記医療器具は、電気リードである、(147)記載の方法。
(149) 前記クリップは、締り嵌め関係をなして前記リテーナ支持体と嵌合するよう構成されている、(147)記載の方法。
(150) 前記リテーナ支持体は、1対の互いに反対側に位置したC字形チャネルを有し、前記クリップは、1対の弾性アームを有し、前記クリップは、前記アームを前記C字形チャネル内で摺動させることにより前記リテーナ支持体と嵌合する、(147)記載の方法。
(151) 前記クリップは、前記アームの端部にそれぞれ設けられた1対のタブを有し、前記アームは、前記互いに反対側の字形チャネル内で摺動され、ついには、タブが前記互いに反対側のC字形チャネルの端部にそれぞれ係合し、それにより前記クリップを前記リテーナ支持体に対してロックするようになっている、(150)記載の方法。
(152) 前記アームを前記C字形チャネルから遠ざかって互いに向かって変位させて前記タブを前記互いに反対側のC字形チャネルから離脱させるステップを更に有する、(151)記載の方法。
(153) 前記リテーナを覆ってキャップを前記プラグベースに取り付けるステップを更に有する、(147)記載の方法。
図1
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図70
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図75
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図95