特許第5980201号(P5980201)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5980201針および医療用コンポーネントのための挿入誘導システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980201
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】針および医療用コンポーネントのための挿入誘導システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/06 20060101AFI20160818BHJP
   A61B 10/02 20060101ALI20160818BHJP
   A61B 8/00 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   A61B5/06
   A61B10/02 300A
   A61B8/00
【請求項の数】19
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2013-512046(P2013-512046)
(86)(22)【出願日】2011年5月27日
(65)【公表番号】特表2013-526959(P2013-526959A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】US2011038391
(87)【国際公開番号】WO2011150358
(87)【国際公開日】20111201
【審査請求日】2014年5月26日
(31)【優先権主張番号】61/349,771
(32)【優先日】2010年5月28日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】バーンサイド,エディ・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】パワーズ,ケリー・ビー
(72)【発明者】
【氏名】メサリー,シェイン
(72)【発明者】
【氏名】ジョー,ジアイェ・ズィー
(72)【発明者】
【氏名】ハマタケ,ブレット
【審査官】 福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−068989(JP,A)
【文献】 特開2006−338526(JP,A)
【文献】 特開2007−000226(JP,A)
【文献】 特表2001−524339(JP,A)
【文献】 特表2001−514533(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0033283(US,A1)
【文献】 特表2011−504766(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/070616(WO,A2)
【文献】 西独国特許出願公開第02919024(DE,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06
A61B 8/00
A61B 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像技術に関連して患者の体内に医療用コンポーネントを挿入するための誘導システムにおいて、
プローブを備え、体内部分の標的の画像を生成する撮像デバイスと、
前記プローブとは独立に移動可能な前記医療用コンポーネントに関係する検出可能な特性を検知する前記プローブに付属する少なくとも1つのセンサと、
少なくとも2つの空間次元における前記医療用コンポーネントの位置を判定するために前記少なくとも1つのセンサによって検知された前記検出可能な特性に関係するデータを使用するプロセッサと、
前記標的の前記画像とともに前記標的に関する前記医療用コンポーネントの前記位置を示すディスプレイとを備え、
前記撮像デバイスは超音波撮像デバイスであり、前記プローブは超音波プローブを含み、前記少なくとも1つのセンサは前記超音波プローブに組み込まれた複数の磁気センサを含み、前記医療用コンポーネントは針を含み、前記検出可能な特性は前記針に関連する磁気要素の磁場であり、前記磁場は前記磁気センサによって検知されることが可能であり、
前記針の長さは、前記針の前記磁気要素の磁場強度の測定結果を利用して判定される、
誘導システム。
【請求項2】
前記磁気要素は、前記針のハブに永久的に、または取り外し可能に取り付けられた磁石を備えた請求項1に記載の誘導システム。
【請求項3】
前記磁気センサのうちの1つまたは複数は、3つの空間次元内の前記針の前記磁気要素の位置ならびに前記磁気要素のピッチおよびヨー姿勢の判定を可能にするように直交検知コンポーネントを備えた請求項1に記載の誘導システム。
【請求項4】
前記誘導システムの使用中に前記針を保持するための手持ち式ニードルホルダをさらに備え、前記ニードルホルダは前記針を選択的に前進させるように構成され、前記磁気要素は前記ニードルホルダに付属する請求項1に記載の誘導システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサは、前記プローブまたは前記撮像システムの他のコンポーネントに取り付け可能なセンサモジュール内に備えられた請求項1に記載の誘導システム。
【請求項6】
撮像技術を利用して、プローブとは独立に移動可能な医療用コンポーネントを誘導して患者の体内に挿入するためのシステムを制御する方法において、
(a)前記プローブに設けられた撮像手段が、前記体内の標的を撮像するステップと、
(b)前記プローブに設けられた検知手段が、前記医療用コンポーネントに関係する検出可能な特性を検知するステップと、
(c)第1の判定手段が、前記検知された検出可能な特性に関係するデータによって少なくとも2つの空間次元における前記医療用コンポーネントの位置を判定するステップと、
(d)表示手段が、前記標的の前記画像とともに前記標的に関する前記医療用コンポーネントの前記位置を表示するステップとを含み、
前記撮像手段は超音波撮像デバイスであり、前記プローブは超音波プローブを含み、前記検知手段は、前記超音波プローブに組み込まれた複数の磁気センサを含み、前記医療用コンポーネントは針を含み、
前記ステップ(b)において、前記検出可能な特性は前記針に関連する磁気要素の磁場であり、前記磁場が前記磁気センサによって検知され、前記ステップ(c)は、第2の判定手段が前記針の前記磁気要素の磁場強度の測定結果を利用して前記針の長さを判定することを含む、
方法。
【請求項7】
前記位置を表示するステップは、前記表示手段が、前記標的の前記画像とともに前記医療用コンポーネントの前記位置を表す画像を表示するステップをさらに含む請求項に記載の誘導するための方法。
【請求項8】
前記医療用コンポーネントの前記位置を判定するステップは、前記第1の判定手段が、3つの空間次元における前記医療用コンポーネントの前記位置ならびにピッチおよびヨー配向のうちの少なくとも1つを判定するステップをさらに含む請求項に記載の誘導するための方法。
【請求項9】
前記方法は、較正手段が、前記検知可能な特性を検出する前に前記少なくとも1つの磁気センサのキャリブレーションを行って周囲磁場をなくすステップをさらに含む請求項に記載の誘導するための方法。
【請求項10】
前記標的に関する前記医療用コンポーネントの移動を追跡するために段階(b)、(c)、および(d)が前記検知手段、前記第1の判定手段、および前記表示手段によって反復的に繰り返すステップをさらに含む請求項に記載の誘導するための方法。
【請求項11】
前記医療用コンポーネントの前記位置を判定するステップは、前記超音波撮像デバイスのプロセッサによって実行される請求項に記載の誘導するための方法。
【請求項12】
計算手段が、表示する前記標的で前記針を遮る確率の領域を計算するステップをさらに含む請求項に記載の誘導するための方法。
【請求項13】
前記位置を表示するステップは、前記表示手段が、前記標的の前記画像とともに前記医療用コンポーネントの前記位置を3次元で表示するステップをさらに含む請求項に記載の誘導するための方法。
【請求項14】
患者の体内への針の挿入を誘導するための誘導システムにおいて、
体内部分の標的を超音波で撮像するための超音波プローブを備えた超音波撮像デバイスと、
前記プローブと独立に移動可能な前記針に付属する磁気要素と、
それぞれが前記針の前記磁気要素の磁場を検知する前記プローブに付属する複数の磁気センサと、
3つの空間次元における前記針の位置を判定するために前記センサによって検知された磁場データを受信するプロセッサと、
前記標的の前記画像とともに前記針の前記判定された位置を表示するディスプレイとを備え、
前記複数の磁気センサは、前記プローブに組み込まれており、前記針の長さが、前記針の前記磁気要素の磁場強度の測定結果を利用して判定される、
誘導システム。
【請求項15】
前記磁気要素は、前記針のハブ内に配置された永久磁石を備え、前記磁気要素と前記磁気センサとの間に物理的接続が存在しない請求項14に記載の誘導システム。
【請求項16】
前記針は、前記誘導システムが前記針の長さを識別することを可能にするカラーコーディング、バーコード、およびRFIDチップのうちの1つをさらに備え、前記磁気センサは、前記プローブ内にアーチ形に分散される請求項14に記載の誘導システム。
【請求項17】
前記磁気要素は、前記針のカニューレが受けられて通る孔を画定する永久磁石を備え、
前記永久磁石の形状は、正方形、五角形、三角形、長方形、卵形、八角形、および角錐のうちの1つを画定する請求項14に記載の誘導システム。
【請求項18】
前記磁気要素は、前記針のハブ内に備えられた複数の永久磁石を備えた請求項14に記載の誘導システム。
【請求項19】
前記磁気要素は、前記針のカニューレの縦軸に直交する形で配置された少なくとも1つの棒磁石を備えた請求項14に記載の誘導システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2008年11月25日に出願した米国特許出願12/323,273号、名称「Integrated System for Intravascular Placement of a Catheter」の一部継続出願である。本出願は、2010年5月28日に出願した米国仮特許出願第61/349,771号、名称「Needle Insertion Guidance System」の利益も主張する。前述の出願のそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の目的は、カテーテルを患者の血管系内に正確に配置することのできる誘導システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0002]簡単に要約すると、本発明の実施形態は、カテーテルを患者の血管系内に正確に配置するように構成された、統合型カテーテル配置システムを対象とする。統合システムは、カテーテル配置精度を改善するために、少なくとも2つのモダリティを採用しており、1つは、1)患者の血管系内にカテーテルを導入するための超音波補助誘導(ultrasound-assisted guidance)であり、もう1つは、2)先端位置特定システム(「TLS」)、すなわち前進中のいかなる先端位置異常をも検出してその修正を容易にするための、血管系内を前進中の、磁気に基づく(例えば、永久磁石(複数可)または電磁石(複数可)を介した)カテーテル先端の追跡である。
【0004】
[0003]一実施形態では、統合システムは、制御プロセッサ、患者の体の一部への一時的配置のための先端位置センサ、および超音波プローブを含む、システムコンソールを備える。先端位置センサは、カテーテルが血管系内に配置されているときに、カテーテルの内腔内に配置されるスタイレットの磁場を検知する。超音波プローブは、カテーテルの血管系内導入に先立って、血管系の一部を超音波撮像する。それに加えて、超音波プローブは、超音波モードでは超音波プローブの使用を、先端位置特定モードでは先端位置センサの使用を制御するための、ユーザー入力制御部を備える。
【0005】
[0004]別の実施形態では、ECG信号を発する患者の心臓の結節に関する所望の位置へのカテーテル先端の誘導を可能にするために、第3のモダリティ、すなわちECG信号に基づくカテーテル先端誘導機能が、システムに含まれている。
【0006】
[0005]それに加えて、本開示の実施形態は、針または他の医療用コンポーネントを患者の体内に挿入するのを補助するための誘導システムも対象とする。誘導システムは、超音波撮像または他の好適な撮像技術を利用する。
【0007】
[0006]一実施形態では、誘導システムは、例えば、皮下血管などの、体内部分の標的を撮像するためのプローブを含む撮像デバイスを備える。1つまたは複数のセンサがプローブに付属する。センサは、針に付属する磁石の磁場などの、針に関係する検出可能な特性を検知する。
【0008】
[0007]システムは、3つの空間次元における針の位置および/または配向を決定するためにセンサによって検知された検出可能な特性に関係するデータを使用するプロセッサを備える。システムは、標的の像とともに針の位置および/または配向を表示するためのディスプレイを備える。
【0009】
[0008]磁石に基づく検出に加えて、医療用コンポーネントを検出するための他のモダリティが開示され、これは、光学に基づく、電磁信号に基づくシステムを含む。
【0010】
[0009]本実施形態のこれらおよび他の特徴は、以下の説明および付属の請求項からより完全に明らかとなり、または以下に記載される本発明の実施形態の実施によって学ばれることが可能である。
【0011】
[00010]本開示のより具体的な記述は、添付図面に示されるその具体的な実施形態を参照してなされる。これらの図面は本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、これらの図面は本発明の範囲を制限するとみなすべきでないことを理解されたい。本発明の例示的な実施形態は、付属の図面を使用することでさらに具体的に、また詳細に記述され、説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】[00011]本発明の例示的な一実施形態による、カテーテルの血管内配置のための統合システムのさまざまな要素を示すブロック図である。
図2】[00012]患者と、図1の統合システムの助けを借りて体内に挿入されるカテーテルとの簡略図である。
図3A】[00013]図1の統合システムのプローブの図である。
図3B図1の統合システムのプローブの図である。
図4】[00014]図1の統合システムのディスプレイに示されるような超音波画像のスクリーンショットである。
図5】[00015]患者の血管系内にカテーテルを配置する際に図1のシステムと接続して使用されるスタイレットの斜視図である。
図6】[00016]カテーテル先端配置処置中に図5のスタイレットの遠位端の位置を示す、図1の統合システムのディスプレイに示されるようなアイコンである。
図7A】[00017]カテーテル先端配置処置中に図1の統合システムのディスプレイに示される可能性のある、アイコンの例である。
図7B】カテーテル先端配置処置中に図1の統合システムのディスプレイに示される可能性のある、アイコンの例である。
図7C】カテーテル先端配置処置中に図1の統合システムのディスプレイに示される可能性のある、アイコンの例である。
図7D】カテーテル先端配置処置中に図1の統合システムのディスプレイに示される可能性のある、アイコンの例である。
図7E】カテーテル先端配置処置中に図1の統合システムのディスプレイに示される可能性のある、アイコンの例である。
図8A】[00018]カテーテル先端配置処置中に図1の統合システムのディスプレイに示される画像のスクリーンショットである。
図8B】カテーテル先端配置処置中に図1の統合システムのディスプレイに示される画像のスクリーンショットである。
図8C】カテーテル先端配置処置中に図1の統合システムのディスプレイに示される画像のスクリーンショットである。
図9】[00019]本発明の例示的な別の実施形態による、カテーテルの血管内配置のための統合システムのさまざまな要素を示すブロック図である。
図10】[00020]患者と、図9の統合システムの助けを借りて体内に挿入されるカテーテルとの簡略図である。
図11】[00021]患者の血管系内にカテーテルを配置する際に図9の統合システムと接続して使用されるスタイレットの斜視図である。
図12A】[00022]図11のスタイレットの部分の図である。
図12B図11のスタイレットの部分の図である。
図12C図11のスタイレットの部分の図である。
図12D図11のスタイレットの部分の図である。
図12E図11のスタイレットの部分の図である。
図13A】[00023]図9の統合システムとともに使用されるフィンコネクタアセンブリの図である。
図13B図9の統合システムとともに使用されるフィンコネクタアセンブリの図である。
図13C図9の統合システムとともに使用されるフィンコネクタアセンブリの図である。
図13D図9の統合システムとともに使用されるフィンコネクタアセンブリの図である。
図14A】[00024]スタイレットテザーおよびフィンコネクタと図9の統合システムのセンサとの接続を示す図である。
図14B】スタイレットテザーおよびフィンコネクタと図9の統合システムのセンサとの接続を示す図である。
図14C】スタイレットテザーおよびフィンコネクタと図9の統合システムのセンサとの接続を示す図である。
図15】[00025]図14Cに示される、スタイレットテザー、フィンコネクタ、およびセンサの接続部の断面図である。
図16】[00026]患者のECGトレースの簡略図である。
図17】[00027]カテーテル先端配置処置中に図9の統合システムのディスプレイに示される画像のスクリーンショットである。
図18】[00028]一実施形態による、針および医療用コンポーネントのための超音波に基づく誘導システムのさまざまな要素を示すブロック図である。
図19】[00029]患者と、体内に挿入されるカテーテルとの簡略図であり、図18の誘導システムが実行されうる1つの可能な環境を示す図である。
図20】[00030]図18の誘導システムの超音波プローブの上面図である。
図21A】[00031]一実施形態による、図18の誘導システムとともに使用するための針の側面図である。
図21B】[00032]図21Aの針の端面図である。
図22A】[00033]患者の体内の血管に向けて針を誘導するために使用される誘導システムの超音波プローブの簡略図である。
図22B】患者の体内の血管に向けて針を誘導するために使用される誘導システムの超音波プローブの簡略図である。
図23A】[00034]一実施形態による針の位置および配向を示す、誘導システムのディスプレイ上に示すための可能なスクリーンショットを示す図である。
図23B】一実施形態による針の位置および配向を示す、誘導システムのディスプレイ上に示すための可能なスクリーンショットを示す図である。
図24】[00035]一実施形態による患者の体内の所望の標的に針を誘導するための方法のさまざまな段階を示す図である。
図25】[00036]一実施形態による、超音波プローブおよび関連するディスプレイに取り付けるためのセンサアレイを示す図である。
図26】[00037]一実施形態による、図18の誘導システムとともに使用するためのニードルホルダガンの簡略図である。
図27】[00038]一実施形態による、光学誘導システムの要素を含む超音波プローブおよび針の簡略図である。
図28】[00039]一実施形態による、図27の超音波プローブおよび針の動作を示す図である。
図29】[00040]一実施形態による、電磁信号に基づく誘導システムの要素を含む超音波プローブおよび針の簡略図である。
図30】[00041]別の実施形態による、電磁信号に基づく誘導システムの要素を含む超音波プローブおよび針の簡略図である。
図31A】[00042]一実施形態による、針誘導システムとともに使用するための針および関連するコンポーネントの図である。
図31B】一実施形態による、針誘導システムとともに使用するための針および関連するコンポーネントの図である。
図31C】一実施形態による、針誘導システムとともに使用するための針および関連するコンポーネントの図である。
図31D】一実施形態による、針誘導システムとともに使用するための針および関連するコンポーネントの図である。
図32】[00043]一実施形態による、針誘導システムとともに使用するための針の側面図である。
図33A】[00044]一実施形態による、針誘導システムとともに使用するための針の図である。
図33B】一実施形態による、針誘導システムとともに使用するための針の図である。
図34A】[00045]一実施形態による、針誘導システムとともに使用するためのさまざまな形状の磁気要素の図である。
図34B】一実施形態による、針誘導システムとともに使用するためのさまざまな形状の磁気要素の図である。
図34C】一実施形態による、針誘導システムとともに使用するためのさまざまな形状の磁気要素の図である。
図34D】一実施形態による、針誘導システムとともに使用するためのさまざまな形状の磁気要素の図である。
図34E】一実施形態による、針誘導システムとともに使用するためのさまざまな形状の磁気要素の図である。
図34F】一実施形態による、針誘導システムとともに使用するためのさまざまな形状の磁気要素の図である。
図34G】一実施形態による、針誘導システムとともに使用するためのさまざまな形状の磁気要素の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[00046]ここで図面が参照されるが、類似の構造には類似の参照記号が付される。図面は、本発明の例示的な実施形態の線図および概略図であって、限定的ではなく、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないことは、理解されたい。
【0014】
[00047]わかりやすくするために、「近位」という言い回しは、本明細書で説明されるデバイスを使用する臨床医に比較的近い方向を指し、「遠位」という言い回しは、臨床医から比較的遠い方向を指すことは理解されるであろう。例えば、患者の体内に配置された針の端部は、針の遠位端と考えられ、体外に残っている針の端部は、針の近位端である。また、請求項を含めて、本明細書で使用されているような、「含む(including)」、「有する(has、having)」という言い回しは、「備える、含む(comprising)」という言い回しと同じ意味を有するものとする。
【0015】
I.補助カテーテル配置
[00048]本発明の実施形態は、全体として、カテーテルを患者の血管系内に正確に配置するように構成された、カテーテル配置システムを対象とする。一実施形態において、カテーテル配置システムは、カテーテル配置精度を改善するために、少なくとも2つのモダリティを採用しており、1つは、1)患者の血管系内にカテーテルを導入するための超音波補助誘導であり、もう1つは、2)先端位置特定/ナビゲーションシステム(「TLS」)、すなわち前進中のいかなる先端位置異常をも検出してその修正を容易にするための、蛇行した血管系経路内を前進中の、磁気に基づくカテーテル先端の追跡である。一実施形態による本システムの超音波誘導および先端位置特定の機能は、カテーテルを配置する臨床医による使用のため、統合されて単一のデバイスとなっている。これら2つのモダリティを単一のデバイスに統合することによって、カテーテル配置処置を簡素化し、その結果カテーテル配置処置が比較的速くなる。例えば、統合型カテーテル配置システムは、超音波およびTLS活動を統合システムの単一のディスプレイから見ることができるようにする。また、統合デバイスの超音波プローブに配置されている制御部は、そのプローブがカテーテル配置中に患者の滅菌領域内に保持され、システムの機能を制御するために使用することができ、したがって、システムを制御するために臨床医が滅菌領域の外へ手を伸ばす必要がなくなる。
【0016】
[00049]別の実施形態では、ECG信号を発する患者の心臓の結節に関する所望の位置へのカテーテル先端の誘導を可能にするために、第3のモダリティ、すなわちECG信号に基づくカテーテル先端誘導機能が、統合システムに含まれている。このようなECGによる位置決め補助は、本明細書内では「先端確認」とも呼ばれる。
【0017】
[00050]一実施形態による上記の3つのモダリティの組合せによって、カテーテル配置システムは、比較的高精度な患者の血管系内のカテーテル配置、つまりカテーテルの遠位端を所定の望ましい位置に配置することを、容易にすることができる。さらに、カテーテル先端のECGに基づく誘導のため、確認用のX線を必要とせずに、正確な先端配置を確認することができる。これにより、結果的に、有害となる可能性のあるX線への患者の曝露、患者をX線科へ、またX線科から搬送するための費用および時間、高価で面倒なカテーテルの再配置処置、などが減少する。
【0018】
[00051]まず最初に図1および図2を参照して、本発明の例示的な一実施形態に従って構成された、全体として参照符号10で表示されている、カテーテル配置システム(「システム」)のさまざまなコンポーネントを示す。図示されているように、システム10は、一般に、コンソール20、ディスプレイ30、プローブ40、およびセンサ50を備え、これらのそれぞれは以下でさらに詳細に説明される。
【0019】
[00052]図2は、皮膚挿入部位73を通じて患者の血管系内にカテーテル72を配置する処置中の、患者70に対するこれらのコンポーネントの全体的な関係を示す。図2は、カテーテル72が、一般に、患者の外部に残る近位部74、および配置が完了した後に患者の血管系内に存在する遠位部76を含むことを示す。システム10は、患者の血管系内の所望の位置にカテーテル72の遠位先端76Aを最終的に位置決めするために利用される。一実施形態では、カテーテル遠位先端76Aの所望の位置は、上大静脈(「SVC」)の下3分の1(1/3)部分など、患者の心臓の近位である。もちろん、システム10は別の場所にカテーテル遠位先端を配置するために利用されてもよい。カテーテル近位部74は、カテーテル72の1つまたは複数の内腔の間に流体的連通をもたらすハブ74A、およびハブから近位方向に延在する1つまたは複数の延長脚74Bをさらに備える。
【0020】
[00053]コンソール20の実装例が図8Cに示されているが、コンソールは、さまざまな形態のうちの1つをとりうることは理解される。例えば、EEPROMなどの不揮発性メモリを備える、プロセッサ22は、システム10の動作中、システム機能を制御するために、コンソール20に含まれており、したがって制御プロセッサとして機能する。デジタルコントローラ/アナログインターフェース24は、コンソール20にも付属し、プローブ40、センサ50、および他のシステムコンポーネントの間のインターフェース動作を管理するために、プロセッサ22および他のシステムコンポーネントの両方と連通する。
【0021】
[00054]システム10は、センサ50、およびプリンタ、記憶媒体、キーボードなどを含むオプションコンポーネント54と接続するための、ポート52をさらに備える。一実施形態のポートは、USBポートであるが、このインターフェース接続および本明細書で説明されている他のインターフェース接続には、他のポートタイプまたはポートタイプの組合も使用されうる。外部電源58との動作可能な接続を可能にするため、電源接続部56がコンソール20に付属する。外部電源を使っても使わなくても、内部電池60も利用されうる。電力使用および分配を制御するために、パワーマネジメント回路59がコンソールのデジタルコントローラ/アナログインターフェース24に付属している。
【0022】
[00055]本実施形態のディスプレイ30は、コンソール20と一体化されており、カテーテル配置処置中に臨床医に対して情報を表示するために使用される。別の実施形態では、ディスプレイはコンソールから分離されていてもよい。後でわかるように、ディスプレイ30によって示される内容は、カテーテル配置システムがUS、TLS、または別の実施形態ではECG先端確認のどのモードであるかに応じて変化する。一実施形態では、コンソールボタンインターフェース32(図1図8C参照)およびプローブ40上に備えられているボタンが、配置処置を補助するために臨床医によってディスプレイ30に所望のモードを直ちに呼び出すために使用されうる。一実施形態では、TLSおよびECGなど、複数のモードからの情報は、図17に示されているように、同時に表示されてもよい。このように、システムコンソール20の単一のディスプレイ30は、患者の血管系内に入るための超音波誘導、カテーテルが血管系内を前進する間のTLS誘導、および(後述の実施形態に示すように)患者の心臓の結節に対するカテーテル遠位先端配置のECGに基づく確認に、利用されうる。一実施形態では、ディスプレイ30は、LCDデバイスである。
【0023】
[00056]図3Aおよび図3Bは、一実施形態によるプローブ40の特徴を示す。プローブ40は、カテーテル72の血管系内への挿入に備えて、上述の第1のモダリティ、つまり、血管などの脈管の超音波(「US」)に基づく可視化に関連して採用される。このような可視化は、患者の血管系内にカテーテルを導入するためのリアルタイム超音波誘導機能を提供し、不注意による動脈穿刺、血腫、気胸などを含む、そのような導入に典型的に関連する合併症を減少させるのに役立つ。
【0024】
[00057]手持ち式プローブ40は、予想される挿入部位73(図2)に近接する患者の皮膚に当たるようにヘッドが置かれたときに、超音波パルスを発生させ、患者の体による反射の後にそのエコーを受信するための、圧電アレイを収容するヘッド80を備える。プローブ40は、ボタンパッド82上に備えることができる、複数の制御ボタン84をさらに備える。本実施形態において、システム10のモダリティは、制御ボタン84によって制御することができ、したがって、コンソールボタンインターフェース32を使用してモードを変更するために、カテーテル配置に先立って患者の挿入部位の周辺に設けられた滅菌領域から、臨床医が手を伸ばす必要がなくなる。
【0025】
[00058]そのようなものとして、一実施形態では、適切な挿入部位を判断して、針またはイントロデューサの後にカテーテルを使用するなどして血管系内にアクセスするために、臨床医は第1の(US)モダリティを用いる。次いで、臨床医は、滅菌領域の外へ手を伸ばす必要なく、プローブボタンパッド82上でのボタン押下によって、継ぎ目なく第2の(TLS)モダリティに切り替えることができる。次いで、TLSモードは、血管系内を目的の部位に向けてカテーテル72を前進させるのに役立てるために使用されうる。
【0026】
[00059]図1は、プローブ40が、ボタンおよびプローブの動作を管理するためのボタンおよびメモリコントローラ42をさらに備えることを示す。一実施形態において、ボタンおよびメモリコントローラ42は、EEPROMなどの、不揮発性メモリを備えることができる。ボタンおよびメモリコントローラ42は、コンソール20のプローブインターフェース44と動作可能に連通し、プローブインターフェース44は、プローブ圧電アレイとインターフェースするための圧電入出力コンポーネント44A、ならびにボタンおよびメモリコントローラ42とインターフェースするためのボタンおよびメモリ入出力コンポーネント44Bを備える。
【0027】
[00060]図4は、システム10が第1の超音波モダリティである間、ディスプレイ30に示されるような、例示的なスクリーンショット88を示す。患者70の皮下領域の画像90が示され、これは血管92の断面を示している。画像90は、プローブ40の圧電アレイが動作することで作成される。ディスプレイのスクリーンショット88にさらに含まれるのは、画像90の患者皮膚の下の深さに関する情報を提供する深度目盛りインジケータ94、標準カテーテル内腔サイズに対する血管92のサイズに関する情報を提供する内腔寸法目盛り96、および、例えば一時停止、画像テンプレート、データ保存、画像印刷、電源状態、画像明度など、システム10の状態または実行される可能性のある動作に関する情報を提供する、別の指標98である。
【0028】
[00061]血管が画像90に示されている間、他の実施形態では、別の体腔または部位を画像表示することができることに留意されたい。また、必要に応じて、図4に示されているUSモードを、TLSモードなどの他のモードと一緒に、ディスプレイ30に同時に示されうることにも留意されたい。画像ディスプレイ30に加えて、ブザー音、発信音などのような聴覚情報も、カテーテル配置中に臨床医を補助するために、システム10によって使用されうる。さらに、プローブ40およびコンソールボタンインターフェース32の上に備えられているボタンは、スライドスイッチ、トグルスイッチ、電子またはタッチセンサ式パッドなど、ボタンに加えてユーザー入力制御部を使用することを含めて、さまざまな方法で構成されうる。それに加えて、USおよびTLSの両方の活動が、システム10の使用中に、同時または排他的に発生しうる。
【0029】
[00062]上述のように、手持ち式超音波プローブ40は、カテーテルの経皮的導入に備えて、患者の末消血管系のUS可視化を可能にするために、統合型カテーテル配置システム10の一部として利用される。しかし、例示的な本実施形態では、以下で説明されるような血管系内の所望の目的部位に向けてカテーテルを誘導するときに、システム10のTLS部分、つまり第2のモダリティの機能を制御するためにも、プローブが使用される。ここでもまた、患者の滅菌領域内でプローブ40が使用されるので、この特徴は、完全に滅菌領域内からTLS機能を制御することを可能にする。このように、プローブ40は、滅菌領域からシステム10のUSおよびTLSの両方の機能の制御を都合よく可能にする2つの目的を有する装置である。一実施形態では、以下でさらに詳細に記述されているように、プローブは、カテーテル配置システム10の部分的または全部のECG関連機能、つまり第3のモダリティを制御するためにも使用されうる。
【0030】
[00063]カテーテル配置システム10は、上述の第2のモダリティ、つまり、磁気に基づくカテーテルTLS、または先端位置特定システムをさらに備える。TLSによって、臨床医は、患者70の血管系内への初期配置および前進の際に、末梢挿入中心静脈カテーテル(「PICC」)、中心静脈カテーテル(「CVC」)、または他の適切なカテーテルなどの、カテーテル72の位置および/または配向を、迅速に特定し、確認することができる。特に、TLSモダリティは、一実施例によればカテーテル72の縦方向に画定された内腔の内部に向けて予め実装されている、磁気要素搭載の先端位置特定スタイレットによって発生する磁場を検出し、これにより、臨床医は、患者の体内のカテーテル先端の全体的な位置および配向を確定することができる。一実施形態では、米国特許第5,775,322号、米国特許第5,879,297号、米国特許第6,129,668号、米国特許第6,216,028号、および米国特許第6,263,230号のうち1つまたは複数の教示を利用して、磁気アセンブリを追跡することができる。上述の米国特許の内容は、参照により本明細書に組み込まれている。TLSも、カテーテル先端が指している方向を表示し、そのため、正確なカテーテル配置にさらに役立つ。TLSは、所望の静脈経路から別の血管内に先端がずれてしまった場合など、カテーテル先端の位置異常が発生した場合を臨床医が判断するのにも役立つ。
【0031】
[00064]上述のように、TLSは、血管系内での前進中にカテーテル72の遠位端を追跡できるようにするために、スタイレットを利用する。図5は、近位端100Aおよび遠位端100Bを含む、そのようなスタイレット100の一例を示す。ハンドルがスタイレットの近位端100Aのところに備えられ、そこから遠位方向に心線104が延在する。心線104の遠位には、磁気アセンブリが配置される。磁気アセンブリは、スタイレットの遠位端100Bの近位で相互に隣接して配置され、管108に封入された、1つまたは複数の磁気要素106を備える。一実施形態では、複数の磁気要素106が備えられ、各要素は他の磁気要素と末端同士で積層された、中実の円柱形の強磁性体を含む。接着先端110は、磁気要素106の遠位にある、管108の遠位先端を充填することができる。
【0032】
[00065]他の実施形態では、磁気要素は、形状だけでなく、組成、数、寸法、磁気の種類、およびスタイレットの遠位区画における位置に関して、設計と異なっていてもよいことに留意されたい。例えば、一実施形態では、複数の強磁性磁気要素の代わりに、センサによる検出のための磁場を発生させる、電磁コイルなどの、電磁アセンブリを使用する。本明細書で使用可能なアセンブリの別の例は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,099,845号、名称「Medical Instrument Location Means」にある。TLSモダリティとともに利用可能な磁気要素を含むスタイレットのさらに別の例は、参照により本明細書に組み込まれている2006年8月23日に出願した米国特許出願第11/466,602号、名称「Stylet Apparatuses and Methods of Manufacture」にある。したがって、これら、および他の変形形態は、本発明の実施形態によって企図される。本明細書で使用されているような「スタイレット」は、患者の血管系内の所望の部位にカテーテルの遠位端を配置するのに役立つ、カテーテルの内腔の内部へ取り外し可能に配置できるように構成された、さまざまなデバイスのいずれか1つを含むものとしてよいことは理解されるであろう。
【0033】
[00066]図2は、その近位部が、カテーテル内腔からハブ74Aを通って延長脚74Bのうちの選択された1つから出るように近位に延在するように、カテーテル72の内腔の実質的内部のスタイレット100の配置を示す。カテーテルの内腔内にこのように配置されているため、スタイレット100の遠位端100Bは、スタイレットの遠位端のTLSによる検出がカテーテルの遠位端の位置をしかるべく示すように、カテーテル遠位端76Aと実質的に同じ位置に末端を有する。
【0034】
[00067]TLSセンサ50は、スタイレット100の磁気要素106によって発生する磁場を検出するためのTLS動作の際に、システム10によって使用される。図2に示されているように、TLSセンサ50は、カテーテル挿入中に、患者の胸部に配置される。患者の血管系を通じてカテーテルを通過させる間、上述のようにカテーテル72内に配置されたスタイレットの磁気要素106の磁場を検出できるようにするため、TLSセンサ50は、体の外部の目印を使用してなど、患者の胸部の所定の位置に配置される。ここでもまた、スタイレットの磁気アセンブリの磁気要素106がカテーテル72の遠位端76Aと実質的に同じ位置に末端を有するので(図2)、磁気要素の磁場のTLSセンサ50による検出は、その通過中にカテーテル遠位端の位置および方向に関して、臨床医に情報を提供する。
【0035】
[00068]より詳細には、TLSセンサ50は、図1に示されているように、1つまたは複数のポート52を介して、システム10のコンソール20に動作可能に接続されている。TLSセンサとシステムコンソールとの間の他の接続スキームも限定されることなく使用可能であることに留意されたい。上記のように、患者の胸部に配置されたTLSセンサ50に関してカテーテル遠位端76A(図2)の位置を観察可能にするために、スタイレット100内において磁気要素106が利用される。スタイレットの磁気要素106のTLSセンサ50による検出は、TLSモードのときにコンソール20のディスプレイ30にグラフィックで表示される。このようにして、カテーテルを配置する臨床医は、TLSセンサ50に関する患者の血管系内のカテーテルの遠位端76Aの位置を一般的に判定することができ、望ましくない血管にそったカテーテルの前進など、カテーテルの位置異常が発生しつつあるときにそのことを検出することができる。
【0036】
[00069]図6および図7A乃至図7Eは、TLSセンサ50によるスタイレットの磁気要素106の検出を示すために、コンソールディスプレイ30によって使用されうるアイコンの例を示す。特に、図6は、磁気要素がTLSセンサの下に位置しているときにTLSセンサ50によって検出されるような磁気要素106を含む、スタイレット100の遠位部を示すアイコン114を示す。スタイレットの遠位端100Bが、カテーテル72の遠位端76Aと実質的に同じ位置に末端を有するので、アイコンはカテーテルの遠位端の位置および配向を示す。図7Aから図7Eは、スタイレット100の磁気要素106がTLSセンサ50の一部分の直下に位置せず、しかし近辺に検出されるときにコンソールディスプレイ30に示される可能性のある、さまざまなアイコンを示す。アイコンは、TLSセンサ50に対するスタイレットの磁気アセンブリ、つまり、本実施形態では磁気要素106の位置に応じて表示される、1/2アイコン114Aおよび1/4アイコン114Bを含むことができる。
【0037】
[00070]図8A乃至図8Cは、TLSモードの間にシステム10のディスプレイ30から得られたスクリーンショットを示しており、これはスタイレット100の磁気アセンブリがどのように示されるかを示している。図8Aのスクリーンショット118は、TLSセンサ50の代表的な画像120を示す。深度目盛りインジケータ124、状態/動作指標126、およびコンソール20上に含まれるボタンインターフェース32に対応するアイコン128を含む、他の情報がディスプレイのスクリーンショット118上に提供される(図8C)。本実施形態のアイコン128は、ボタンインターフェース32の対応するボタンの目的を特定する際にユーザーを誘導するための単なるインジケータであるが、別の実施形態では、アイコン自体がボタンインターフェースとして機能することができ、システムのモードに応じて変化できるように、ディスプレイをタッチセンサ式にすることができる。
【0038】
[00071]挿入後の患者の血管内におけるカテーテルの前進の初期段階には、末端が実質的に同位置にあるスタイレットの遠位端100Bを有するカテーテル72の遠位端76Aは、TLSセンサ50から比較的離れている。そのようなものとして、ディスプレイのスクリーンショットは、スタイレットの磁気アセンブリからの磁場が検出されていないことを示す、「信号なし」を表示する。図8Bでは、スタイレットの遠位端100Bに近接する磁気アセンブリは、まだセンサの下にはないものの、それによって検出されるのに十分なほどTLSセンサ50の近くまで進んでいる。これは、センサ画像120の左にある1/2アイコン114Aによって示されており、スタイレットの磁気アセンブリが患者の視点からTLSセンサ50の右側に位置していることを表している。
【0039】
[00072]図8Cにおいて、スタイレットの遠位端100Bに近接する磁気アセンブリは、それに対応する自身の位置および配向がTLSセンサによって検出されるように、TLSセンサ50の下を前進してきている。これはセンサ画像120のアイコン114によって示されている。ボタンアイコン128が、コンソールボタンインターフェース32の対応するボタンを押下することによって実行可能な動作を示していることに留意されたい。そのようなものとして、ボタンアイコン128は、システム10がどのモダリティであるかに応じて変化することができ、したがってボタンインターフェース32が柔軟に使用できる。また、プローブ40のボタンパッド82(図3A図3B)はボタンインターフェース32のボタンのいくつかを模倣したボタン84を含むので、ディスプレイ30上のボタンアイコン128は、滅菌領域にありながら、プローブボタン84によって臨床医がシステム10を制御するための誘導機能を提供することに留意されたい。例えば、臨床医がTLSモードを終了してUS(超音波)モードに戻る必要がある場合、プローブボタンパッド82の上にある適切な制御ボタン84が押下され、USモードが直ちに呼び出され、図4に示されるようなUS機能に必要な視覚情報に対応できるように、ディスプレイ30が更新されうる。これは、臨床医が滅菌領域の外へ手を伸ばす必要なく遂行される。
【0040】
[00073]次に図9および図10を参照しつつ、別の例示的な実施形態による統合型カテーテル配置システム10を説明する。前と同様、統合システム10は、上述のように、コンソール20、ディスプレイ30、US機能のためのプローブ40、および先端位置特定機能のためのTLSセンサ50を備える。図9および図10に示されているシステム10は、多くの点で図1および図2に示されているシステムと類似していることに留意されたい。そのようなものとして、選択された違いのみが以下で説明される。図9および図10のシステム10は、患者70の洞房(「SA」)または心臓の他の電気的インパルス発生結節に関するカテーテル遠位先端76Aの接近の判断がなされうる付加的な機能を備え、それによって結節に近い所望の位置にカテーテル遠位先端を正確に配置する能力を高める。本明細書で「ECG」または「ECGに基づく先端確認」とも称される、システム10のこの第3のモダリティは、カテーテル遠位先端を患者の血管系内の所望の位置に配置するために、SA結節からのECG信号の検出を可能にする。US、TLS、およびECGモダリティは、本発明のシステム10の中に継ぎ目なく組み込まれ、協調してまたは個別に、カテーテル配置を補助するために利用することができることに留意されたい。
【0041】
[00074]図9および図10は、本実施形態に基づいて構成されたスタイレット130のシステム10への追加を示す。概して、カテーテルスタイレット130は、挿入部位73を介して患者70の体内に挿入されるカテーテル72の内腔の中に取り外し可能に事前配置されている。スタイレット130は、磁気によるTLSモダリティのための磁気アセンブリを含むほかに、その遠位端に近接して、SA結節によって生成されるECG信号を検知するためのカテーテル先端の遠位端と同じ位置に末端を有する部分を含む、ECGセンサアセンブリも備える。前の実施形態とは対照的に、スタイレット130は、TLSセンサ50に動作可能に接続するその近位端から延在するテザー134を備える。後でさらに詳しく説明されるように、スタイレットのテザー134は、ECG信号による先端確認モダリティの一部としてのカテーテル先端位置の確認中に、スタイレット130の遠位部上に含まれるECGセンサアセンブリによって検出されるECG信号がTLSセンサ50に送られるようにする。基準および接地ECGリード/電極対158は、患者70の体に付着し、システムが心臓のSA結節の電気的活動と無関係の高レベル電気的活動を除去できるようにするために、TLSセンサ50に動作可能に取り付けられ、そうしてECGによる先端確認機能が可能になる。患者の皮膚上に配置されたECGリード/電極対158から受信された基準および接地信号とともに、スタイレットのECGセンサアセンブリによって検知されたECG信号も、患者の胸部に配置されたTLSセンサ50によって受信される(図10)。TLSセンサ50および/またはコンソールのプロセッサ22は、後述するように、ディスプレイ30上の心電図波形を生成するために、ECG信号データを処理することができる。TLSセンサ50がECG信号データを処理する場合、目的の機能を実行するために、プロセッサが中に備えられる。コンソール20がECG信号データを処理する場合、データを処理するために、プロセッサ22、コントローラ24、または他のプロセッサがコンソール内で使用されうる。
【0042】
[00075]したがって、患者の血管系内を前進するにつれて、上述のようなスタイレット130を備えるカテーテル72は、図10に示すように患者の胸部に配置されたTLSセンサ50の下を前進することができる。これにより、TLSセンサ50は、患者の血管系内に位置するようなカテーテルの遠位先端76Aと実質的に同じ位置に末端を有する、スタイレット130の磁気アセンブリの位置を検出することが可能になる。スタイレットの磁気アセンブリのTLSセンサ50による検出は、ECGモードのときにディスプレイ30上に示される。ディスプレイ30は、ECGモードのときに、スタイレット130のECGセンサアセンブリによって検知されるような患者の心臓の電気的活動の結果として生成されたECG心電図波形を、さらに示す。より詳細には、SA結節のECG電気的活動は、P波の波形を含み、スタイレットのECGセンサアセンブリ(後述)によって検出され、TLSセンサ50およびコンソール20に送られる。次いで、ディスプレイ30上に表示するため、ECG電気的活動が処理される。次いで、カテーテルを配置する臨床医は、一実施形態におけるSA結節の近位など、カテーテル72の遠位先端76Aの最適な配置を決定するために、ECGデータを観察することができる。一実施形態では、コンソール20は、スタイレットのECGセンサアセンブリによって検出された信号を受信および処理するのに必要な、プロセッサ22(図9)などの電子部品を備える。別の実施形態では、TLSセンサ50は、ECG信号を処理する必須の電子部品を備えることができる。
【0043】
[00076]すでに説明されているように、カテーテル配置処理中に臨床医に対して情報を表示するために、ディスプレイ30が使用される。ディスプレイ30の内容は、カテーテル配置システムがUS、TLS、またはECGのどのモードであるかに応じて変化する。3つのモードのうちいずれかが臨床医によってディスプレイ30上に直ちに呼び出され、場合によってはTLSとECGなど、複数のモードからの情報が同時に表示されうる。一実施形態では、前と同様に、システムのモードは手持ち式プローブ40に含まれる制御ボタン84によって制御され、これにより、モードを変更するために臨床医が滅菌領域の外へ手を伸ばす(コンソール20のボタンインターフェース32に触れるなど)必要がなくなる。こうして、本実施形態では、プローブ40は、システム10の一部または全部のECG関連機能を制御するためにも利用される。ボタンインターフェース32または他の入力構成も、システム機能を制御するために使用することができることに留意されたい。また、画像ディスプレイ30に加えて、ブザー音、発信音などのような聴覚情報も、カテーテル配置中に臨床医を補助するために、システムによって使用されうる。
【0044】
[00077]次に、図11乃至図12Eを参照しつつ、カテーテル72の中に取り外し可能に実装され、患者の血管系内の所望の位置にカテーテルの遠位先端76Aを位置決めするために挿入中に利用されるスタイレット130の一実施形態のさまざまな詳細を説明する。図示されているように、カテーテルから抜去されたスタイレット130は、近位端130Aおよび遠位端130Bを画定する。近位スタイレット端130Aにはコネクタ132が備えられ、テザー134はコネクタから遠位に延在してハンドル136に取り付けられる。心線138は、ハンドル136から遠位に延在する。スタイレット130は、遠位端130Bが遠位端76Aにあるカテーテル開口部と実質的に同一平面上にあるか、または同じ位置に末端を有するように(図10)、ならびに心線138の近位部、ハンドル136、およびテザー134が延長管74Bのうち選択された1つから近位に延在するように、一実施形態ではカテーテル72の内腔内に事前に実装されている。本明細書ではスタイレットと記載されているが、他の実施形態では、誘導線または他のカテーテル誘導装置が、本明細書で説明されている実施形態の原理を含むことが可能であることに留意されたい。
【0045】
[00078]心線138は細長い形状を画定し、一実施形態では、ステンレス鋼、または一般に「ニチノール」という頭字語で知られているニッケルおよびチタン含有合金などの記憶材料を含む、適切なスタイレット材からなる。本明細書には示されていないが、一実施形態におけるニチノールからの心線138の製造では、カテーテル72の遠位部を類似の湾曲構成にするように、スタイレットの遠位区画に対応する心線の部分は事前整形された湾曲構成を有することが可能である。他の実施形態では、心線は事前整形を含まない。さらに、ニチノール構造は、心線138にトルク性を付与して、カテーテル72の内腔内に配置されながらスタイレット130の遠位区画を操作できるようにし、さらにカテーテル挿入中にカテーテルの遠位部が血管系内を誘導されるようにすることが可能である。
【0046】
[00079]カテーテル72に対するスタイレットの挿入/抜去を可能にするため、ハンドル136が設けられている。スタイレットの心線138がトルクを有する実施形態において、このハンドル136は、心線がカテーテル72の内腔内で回転され、患者70の血管系内でカテーテル遠位部を誘導するのを補助することも可能にする。
【0047】
[00080]ハンドル136は、テザー134の遠位端に取り付けられている。本実施形態では、テザー134は、上で参照されているECGセンサアセンブリとして働く心線138、およびテザーコネクタ132の両方に電気的に接続される1つまたは複数の導線を収容する柔軟な遮蔽ケーブルである。したがって、テザー134は、心線138の遠位部からスタイレット130の近位端130Aにあるテザーコネクタ132まで続く導電経路を形成する。後に説明されるように、テザーコネクタ132は、患者の血管系内の所望の位置までのカテーテル遠位先端76Aの誘導を補助するために、患者の胸部のTLSセンサ50に動作可能に接続するように構成される。
【0048】
[00081]図12B乃至図12Dに示されているように、心線138の遠位部は、接合点142から遠位に段階的に細く、すなわち直径が小さくなっている。スリーブ140は、減径心線部の上を摺動する。ここでは直径が比較的大きめだが、別の実施形態のスリーブは、スタイレットの心線の近位部の直径と実質的に一致するサイズであってもよい。スタイレット130は、TLSモードの間に使用するその遠位端130Bの近位に配置された磁気アセンブリをさらに備える。図示されている実施形態の磁気アセンブリは、減径心線138の外面とスタイレット遠位端130Bの近位のスリーブ140の内面との間に介在する、複数の磁気要素144を備える。本実施形態では、磁気要素144は、図2のスタイレット100と類似の方法で末端同士で積層された、中実の円柱形の強磁性体を20個備える。しかし、他の実施形態では、磁気要素(複数可)は、形状だけでなく、組成、数、寸法、磁気の種類、およびスタイレットにおける位置に関して、設計とは異なっていてもよい。例えば、一実施形態では、磁気アセンブリの複数の磁石の代わりに、TLSセンサによる検出のための磁場を発生させる、1つの電磁コイルを使用する。したがって、これら、および他の変形形態は、本発明の実施形態によって企図される。
【0049】
[00082]磁気素子144は、患者の胸部に配置されたTLSセンサ50に関してスタイレットの遠位端130Bの位置を観察可能にするために、スタイレット130の遠位部で利用される。すでに言及されているように、TLSセンサ50は、スタイレットが患者の血管内を通じてカテーテル72を前進させる際に、磁気要素144の磁場を検出するように構成されている。このようにして、カテーテル72を配置する臨床医は、患者の血管系内のカテーテル遠位端76Aの位置を一般的に判定することができ、例えば、望ましくない血管にそったカテーテルの前進など、カテーテルの位置異常が発生しつつあるときにそのことを検出することができる。
【0050】
[00083]一実施形態によれば、スタイレット130は、前述のECGセンサアセンブリをさらに備える。ECGセンサアセンブリは、挿入中にカテーテル72の内腔内に配置されたスタイレット130が、患者の心臓のSAまたは他の結節によって発生した心房内ECG信号を検出するために利用できるようにし、それによってカテーテル72の遠位先端76Aを患者の心臓に近接する血管内の所定の位置まで誘導できるようにする。こうして、ECGセンサアセンブリは、カテーテル遠位先端76Aの適切な配置を確認するための補助としての役割を果たす。
【0051】
[00084]図11乃至図12Eに図示されている実施形態において、ECGセンサアセンブリは、スタイレットの遠位端130Bの近位に配置された心線138の遠位部を含む。心線138は、導電性を有し、これにより、ECG信号は心線の遠位端によって検出され、心線にそって近位に送信されうる。導電性エポキシ樹脂などの導電体146は、心線の遠位端と導電的に連通するように、心線138の遠位終端に隣接したスリーブ140の遠位部を充填する。したがって、ECG信号を検出する能力を改善するように、スタイレット130の遠位端130Bの導電面が増大する。
【0052】
[00085]カテーテル配置の前に、スタイレット130は、カテーテル72の内腔内に実装される。スタイレット130は、製造元からカテーテル内腔に事前実装された状態で納品されてもよく、あるいはカテーテル挿入に先立って臨床医によってカテーテル内に実装されてもよいことに留意されたい。スタイレット130は、スタイレット130の遠位端130Bがカテーテル72の遠位先端76Aと実質的に同じ位置に末端を有するように、カテーテル内腔に配置され、その結果スタイレットとカテーテルの両方の遠位先端を実質的に相互に位置を揃えて配置する。カテーテル72とスタイレット130が同じ位置に末端を有することにより、磁気アセンブリはTLSモードでTLSセンサ50とともに機能して、前述のように、患者の血管系内を前進する際に、カテーテル遠位先端76Aの位置を追跡することが可能となる。しかし、システム10の先端確認機能に関して、スタイレット130の遠位端130Bは、カテーテル遠位端76Aと同じ位置に末端を有する必要がないことに留意されたい。むしろ、要求されることは、患者の心臓のSA結節またはその他の結節の電気的インパルスが検出されることができるように、血管系とECGセンサアセンブリとの間の導電経路、この場合は心線138が確立されることだけである。一実施形態のこの導電経路は、食塩水、血液などをはじめとする、さまざまな要素を含むことができる。
【0053】
[00086]一実施形態では、カテーテル72が挿入部位73を通じて患者の血管内に導入された後(図10)、カテーテル遠位先端76AをSA結節付近の目的の部位に向けて前進させるために、前に述べたように、システム10のTLSモードを利用することができる。心臓の領域に接近すると、システム10は、SA結節によって発信されるECG信号を検出できるようにするために、ECGモードに切り替えられうる。スタイレット実装カテーテルが患者の心臓に向かって前進すると、心線138の遠位端および導電体146を含む導電性ECGセンサアセンブリは、SA結節によって生成される電気的インパルスの検出を開始する。そのようなものとして、ECGセンサアセンブリは、ECG信号を検出するための電極としての役割を果たす。心線遠位端に近接する細長い心線138は、SA結節によって生成されECGセンサアセンブリによって受信される電気的インパルスをテザー134に伝達するための、導電経路としての役割を果たす。
【0054】
[00087]テザー134は、一時的に患者の胸部に配置されたTLSセンサ50にECG信号を伝達する。テザー134は、テザーコネクタ132、または他の好適な直接もしくは間接接続構成を介して、TLSセンサ50に動作可能に接続される。次いで、前述のように、ECG信号は処理されて、システムディスプレイ30上に示される(図9図10)。TLSセンサ50によって受信されディスプレイ30によって表示されるECG信号の監視によって、臨床医は、カテーテル遠位先端76AがSA結節に向かって前進する際の信号における変化を観察し、分析することが可能になる。受信されたECG信号が所望のプロファイルと一致したとき、臨床医は、カテーテル遠位先端76AがSA結節に関する所望の位置に到達したと判断することができる。前述のように、一実施形態では、この所望の位置は、SVCの下3分の1(1/3)部分の範囲内にある。
【0055】
[00088]ECGセンサアセンブリおよび磁気アセンブリは、臨床医が血管系内にカテーテルを配置するのを補助するために協調して動作することができる。一般に、スタイレット130の磁気アセンブリは、患者の心臓の主な領域にカテーテル72の遠位端76Aを配置するように、一般的にカテーテルの初期挿入から血管系を誘導する際に、臨床医を補助する。次いで、ECGセンサアセンブリは、スタイレットのECGセンサアセンブリがSA結節に接近する際に心臓によって生成されるECG信号の変化を臨床医が観察できるようにすることで、カテーテル遠位端76AをSVC内の所望の位置に誘導するために利用することができる。ここでもまた、好適なECG信号プロファイルが観察されると、臨床医は、スタイレット130とカテーテル72との両方の遠位端が患者の心臓に対する所望の位置に到達したと判断することができる。望み通りに位置決めされた後、カテーテル72は、所定位置に固定されてもよく、またスタイレット130は、カテーテル内腔から抜去されてもよい。ここで、スタイレットは、本明細書内に明記されているものに加えて、さまざまな構成のうちの1つを含んでもよいことに留意されたい。一実施形態では、スタイレットは、TLSセンサを経由する間接取り付けの代わりに、コンソールに直接取り付けることができる。別の実施形態では、それのTLSおよびECG関連機能を可能にするスタイレット130の構造は、カテーテル構造自体に統合されてもよい。例えば、磁気アセンブリおよび/またはECGセンサアセンブリは、一実施形態では、カテーテルの壁部に組み込まれてもよい。
【0056】
[00089]図13A乃至図15は、本実施形態による、スタイレットのテザー134から患者の胸部に配置されたTLSセンサ50へのECG信号データの経路に関するさまざまな詳細を示している。特に、この実施形態は、スタイレット130およびテザー134を含む、カテーテル72および挿入部位73を囲む滅菌領域、ならびにTLSセンサが位置する患者の胸部などの非滅菌領域からの、ECG信号データの経路に関する。このような経路は、その滅菌性が損なわれないように、滅菌領域を分断すべきではない。カテーテルの挿入処置中に患者70の上に位置する滅菌ドレープは、滅菌領域の大部分を画定し、ドレープの上の領域は滅菌されており、下の領域(挿入部位とすぐ周辺の領域を除く)は滅菌されていない。後でわかるように、以下の説明は、少なくともスタイレット130に関連する第1の連通ノード、およびTLSセンサ50に関連する第2の連通ノードを備え、これらは相互にECG信号データをやり取りできるようにするため動作可能に互いに接続している。
【0057】
[00090]滅菌領域の滅菌性を損なわずに滅菌領域から非滅菌領域へのECG信号データ経路を扱う一実施形態は、「サメの鰭」実装とも呼ばれる「貫通ドレープ」実装を示す、図13A乃至図15に示されている。特に、図14Aは、カテーテル挿入処置中の患者の胸部に配置するための上述のようなTLSセンサ50を示す。TLSセンサ50はその上面に、3つの電気的ベースコンタクト154が配置されているチャネル152Aを画定するコネクタベース152を備える。図13A乃至図13Dにも示されるフィンコネクタ156は、図14Bおよび図15に示されているように、コネクタベース152のチャネル152Aによって摺動可能に受容される寸法を有している。2つのECGリード/電極対158は、肩、胴体、またはその他の好適な患者の体の外側の位置への配置のため、フィンコネクタ156から延在している。ドレープ穿刺テザーコネクタ132は、スタイレット120から滅菌領域を通ってTLSセンサ50までの導電経路を完成させるために、さらに以下で説明されるように、フィンコネクタ156の一部分と摺動的に結合するように構成されている。
【0058】
[00091]図13A乃至図13Dは、フィンコネクタ156のさらなる態様を示している。特に、フィンコネクタ156は、コネクタベース152のチャネル152Aに受容される寸法を有する下部バレル部160を画定する(図14B図15)。中心錐体164によって囲まれた孔162は、上部バレル部166の後端上に含まれる。上部バレル部166は、テザーコネクタ132のチャネル172の内部に延在しているピンコンタクト170(図15)がフィンコネクタ156の孔162の中に着座するまで中心孔によって誘導され、これによりテザーコネクタをフィンコネクタと相互接続させるように、スタイレット130(図14C図15)のテザーコネクタ132を受容する寸法を有している。図13Cおよび図13Dに示されている係合機能169などの係合機能は、2つの部品の結合の維持を補助するためにテザーコネクタ132の対応する機能と係合するために、フィンコネクタ156上に含まれるものとしてよい。
【0059】
[00092]図13Dは、フィンコネクタ156が複数の電気的コンタクト168を備えることを示している。本実施形態では、3つのコンタクト168が含まれ、最前の2つのコンタクトはそれぞれECGリード158のうちの1つの末端側終端と電気的に接続し、後部のコンタクトは、テザーコネクタ132がフィンコネクタ156と結合するときにテザーコネクタ132のピンコンタクト170と電気的に接続するように(図15)、孔162の軸近辺まで延在している。フィンコネクタ156のそれぞれのコンタクト168の底部は、TLSセンサのコネクタベース152のベースコンタクト154のうちの対応する1つと電気的に接続するように位置決めされる。
【0060】
[00093]図14Bは、コネクタベースチャネル152Aとフィンコネクタの下部バレル部160との摺動的係合によってフィンコネクタ156がTLSセンサのコネクタベース152と取り外し可能に結合している、第1の接続段階を示す。この係合は、コネクタベースコンタクト154を、対応するフィンコネクタ168と電気的に接続させる。
【0061】
[00094]図14Cは、テザーコネクタチャネル172のフィンコネクタの上部バレル部166との摺動的係合によってテザーコネクタ132がフィンコネクタ156と取り外し可能に結合している、第2の接続段階を示す。この係合は、図15を見ると最もよくわかるように、テザーコネクタのピンコンタクト170を、フィンコネクタ156の後部コンタクト168と電気的に接続させる。本実施形態において、フィンコネクタ156に対するテザーコネクタ132の水平摺動は、フィンコネクタがセンサのコネクタベースチャネル152Aと摺動可能に嵌合しているとき(図14B)と同じ係合方向になっている。一実施形態において、スタイレット130/テザーコネクタ132およびフィンコネクタ156のうちの1つまたは両方が、使い捨てタイプである。また、一実施形態のテザーコネクタは、フィンコネクタがTLSセンサに嵌合された後でフィンコネクタに嵌合されることが可能だが、別の実施形態では、テザーコネクタは、フィンコネクタがTLSセンサに嵌合される前に、最初に外科用ドレープを通じてフィンコネクタと嵌合されることが可能である。
【0062】
[00095]図14Cに示される接続スキームでは、スタイレット130は、テザーコネクタ132を通じてTLSセンサ50に動作可能に接続され、それによってスタイレットのECGセンサアセンブリがTLSセンサにECG信号を伝達することが可能になる。それに加えて、ECGリード/電極対158は、TLSセンサ50に動作可能に接続される。したがって、一実施形態では、テザーコネクタ132は、スタイレット130の第1の連通ノードと称され、フィンコネクタ156は、TLSセンサ50の第2の連通ノードと称される。
【0063】
[00096]スタイレットとTLSセンサとの間で動作可能な連通を確立するために、さまざまな他の接続スキームおよび構造を採用できることに留意されたい。例えば、ドレープを穿刺するために、テザーコネクタはピンコンタクトの代わりにスライスコンタクトを使用することができる。または、フィンコネクタは、TLSセンサと一体に形成されうる。したがって、これらの構成および他の構成は、本開示の実施形態の範囲内に包含される。
【0064】
[00097]図15に示されているように、滅菌領域を確立するためにカテーテル配置中に使用される滅菌ドレープ174は、テザーコネクタ132とフィンコネクタ156との相互接続の間に挟装される。上述のように、テザーコネクタ132は、2つのコンポーネントが嵌合しているときにドレープ174を穿刺するように構成されたピンコンタクト170を備える。この穿刺は、滅菌ドレープ174にピンコンタクト170で占有される小さな孔、または穿孔175を形成し、これによりピンコンタクトによるドレープ穿孔の大きさを最小限にする。さらに、テザーコネクタ132とフィンコネクタ156との間をぴったり合わせて、ピンコンタクト170を穿刺することによって設けられた滅菌ドレープの穿孔がテザーコネクタチャネル172によって囲まれ、それによりドレープの滅菌性を保持して、それによって確立された滅菌領域を損なう可能性のあるドレープの破損を防止するようにする。テザーコネクタチャネル172は、フィンコネクタ156の孔162の近位に配置されるまでピンコンタクトがドレープを穿刺しないように、ピンコンタクト170による穿刺前に滅菌ドレープ174を折り畳むように構成されている。ここで、テザーコネクタ132およびフィンコネクタ156は、不透明な滅菌ドレープ174を介しての目に見えない、つまり両コンポーネントの臨床医による視覚に頼らない触診を通じての、位置合わせを容易にするように構成されていることに留意されたい。
【0065】
[00098]図15に示されているようなフィンコネクタ156のフィンコンタクト168が、フィンコネクタをセンサベースチャネル152Aと係合した状態で保持するのに役立つような方法でセンサベースコンタクト154と結合するように構成されていることにさらに留意されたい。したがって、フィンコネクタ156をTLSセンサ50に固定するための追加装置の必要性が減じる。
【0066】
[00099]図16は、P波およびQRS群を含む、代表的なECG波形176を示す。一般的に、P波の振幅は、波形176を発生させる、SA結節からのECGセンサアセンブリの距離に応じて変化する。カテーテル先端がいつ心臓付近に適切に配置されるかを判断するために、臨床医はこの関係を利用することができる。例えば、一実装では、すでに説明されているように、カテーテル先端は、望ましくは上大静脈の下3分の1(1/3)の範囲内に配置される。スタイレット130のECGセンサアセンブリによって検出されたECGデータは、ECGモードのときにシステム10のディスプレイ30上に表示するため、波形176などの波形を再生するのに使用される。
【0067】
[000100]次に、図17を参照しつつ、一実施形態により、システム10がECGモード、つまり、上で述べた第3のモダリティであるときの、ディスプレイ30上のECG信号データの表示態様を説明する。ディスプレイ30のスクリーンショット178は、TLSセンサ50の表示画像120を含む、TLSモダリティの要素を含み、また患者の血管系内を移動中のスタイレット130の遠位端の位置に対応するアイコン114も含みうる。スクリーンショット178は、スタイレット130のECGセンサアセンブリによって取得されシステム10によって処理される現在のECG波形が表示される、ウィンドウ180をさらに含む。ウィンドウ180は、新しい波形が検出されるときに継続的に更新される。
【0068】
[000101]ウィンドウ182は、最も新しく検出されたECG波形の連続表示を含み、また波形が検出されるとそれらを更新するために横方向に移動する、更新バー182Aを含む。ウィンドウ184Aは、臨床医が所望のカテーテル先端位置が達成されたときを判断するのを補助するための比較目的のため、ECGセンサアセンブリがSA結節に近づく前に取得された、基準ECG波形を表示するために使用される。ウィンドウ184Bおよび184Cは、ユーザーがプローブ40またはコンソールボタンインターフェース32の所定のボタンを押したときに、ユーザーによって選択された検出ECG波形別にファイリングできる。ウィンドウ184Bおよび184Cの波形は、ボタン押下または他の入力によるユーザーの選択の結果として、新しい波形によって上書きされるまで残る。前のモードと同様に、深度目盛り124、状態/動作指標126、およびボタンアイコン128が、ディスプレイ30上に表示される。ECGリード/電極対158がTLSセンサ50に動作可能に接続されているかいないかを指示するために、完全性インジケータ186もディスプレイ30上に表示される。
【0069】
[000102]したがって、上に示されているように、ディスプレイ30は、一実施形態において、単一の画面上でTLSおよびECGの両方のモダリティの要素を同時に示し、それにより臨床医はカテーテル遠位先端を所望の位置に配置するのを補助するための豊富なデータを利用できる。一実施形態では、適切なカテーテル配置を文書に記録できるように、スクリーンショットのプリントアウトまたは選択されたECGあるいはTLSデータが、システム10によって保存、印刷、または他の方法で保管されうることにさらに留意されたい。
【0070】
[000103]本明細書で説明されている実施形態は、PICCまたはCVCなどの、カテーテルの特定の構成に関係しているが、このような実施形態は単なる例にすぎない。したがって、本発明の原理は、多くの異なる構成および設計のカテーテルに拡大適用されうる。
【0071】
II.針/医療用コンポーネントの補助誘導
[000104]本明細書で説明されている本発明の実施形態は、一般に、例えば患者の皮下血管への針によるアクセスのため超音波に基づく、または他の好適な処置において針または他の医療用コンポーネントを配置し、誘導するための誘導システムを対象とする。一実施形態では、誘導システムにより、針の位置、配向、および前進を血管の超音波画像の上にリアルタイムで重ねて表示することができ、このため、臨床医は意図された標的まで針を正確に誘導することができる。さらに、一実施形態では、誘導システムは、x、y、およびz空間座標空間、針のピッチ、および針のヨーの5つの運動の自由度で針の位置を追跡する。そのような追跡により、針は比較的高い精度で誘導され、配置されうる。
【0072】
[000105]まず最初に図18および図19を参照して、本発明の一実施形態に従って構成された、全体として参照符号1110で指示されている、超音波に基づく針誘導システム(「システム」)のさまざまなコンポーネントを示す。図示されているように、システム1110は、一般に、コンソール1120、ディスプレイ1130、およびプローブ1140を備える超音波(「US」)撮像部を具備し、これらのそれぞれは以下でさらに詳細に説明される。システム1110は、一実施形態において、いくつかのコンポーネントに関して図1に示されているシステム10と類似していることに留意されたい。しかし、超音波撮像部は、本明細書で示され、説明されているものに加えて、さまざまな方法のうちの1つで構成されうることに留意されたい。
【0073】
[000106]システム1110の超音波撮像部は、標的にアクセスするために針または他のデバイスを皮下挿入する前に患者の体内の標的とする部分を撮像するために使用される。以下で説明されているように、一実施形態では、針の挿入は、患者の静脈または血管系の他の部分をその後挿入する前に実行される。しかし、患者の体内への針の挿入は、さまざまな医療目的を伴って実行されうることは理解されるであろう。
【0074】
[000107]図19は、一実施形態により、皮膚挿入部位1173を通じて患者の血管系内にカテーテル1172を最終的に配置する処置のときの、患者1170に対する上述のコンポーネントの全体的な関係を示す。図19は、カテーテル1172が、一般に、患者の外部に残る近位部1174、および配置が完了した後に患者の血管系内に存在する遠位部1176を含むことを示す。システム1110は、患者の血管系内の所望の位置にカテーテル1172の遠位先端1176Aを最終的に位置決めするために利用される。一実施形態では、カテーテル遠位先端1176Aの所望の位置は、上大静脈(「SVC」)の下3分の1(1/3)部分など、患者の心臓の近位である。もちろん、システム1110は別の場所にカテーテル遠位先端を配置するために利用されてもよい。
【0075】
[000108]カテーテル近位部1174は、カテーテル1172の1つまたは複数の内腔の間に流体的連通をもたらすハブ1174A、およびハブから近位方向に延在する1つまたは複数の延長脚1174Bをさらに備える。述べたように、挿入部位1173において患者の血管系内に針を配置するのは、典型的には、カテーテルの挿入前に実行されるが、他の配置方法も使用されうることは理解されるであろう。さらに、上の説明は、システム1110を使用するための一例にすぎないことも理解され、実際、上記のようなカテーテルの挿入の準備としての針の配置、他に使用するための針の挿入、またはx線または超音波マーカ、生検シース、アブレーションコンポーネント、膀胱走査コンポーネント、大静脈フィルターなどを含む、患者の体内への他の医療用コンポーネントの挿入などのさまざまな使用目的に使用されうる。
【0076】
[000109]さらに詳しく言うと、コンソール1120は、システム1110のさまざまなコンポーネントを収納し、コンソールは、さまざまな形態のうちの1つをとりうることは理解される。例えば、EEPROMなどの不揮発性メモリを備える、プロセッサ1122は、システム1110の動作中、システム機能を制御し、さまざまなアルゴリズムを実行するために、コンソール1120に含まれており、したがって制御プロセッサとして機能する。デジタルコントローラ/アナログインターフェース1124は、コンソール1120にも付属し、プローブ1140、および他のシステムコンポーネントの間のインターフェース動作を管理するために、プロセッサ1122および他のシステムコンポーネントの両方と通信する。
【0077】
[000110]システム1110は、プリンタ、記憶媒体、キーボードなどを含むオプションコンポーネント1154などの追加コンポーネントと接続するためのポート1152をさらに備える。一実施形態のポートは、USBポートであるが、このインターフェース接続および本明細書で説明されている他のインターフェース接続には、他のポートタイプまたはポートタイプの組合も使用されうる。外部電源1158との動作可能な接続を可能にするため、電源接続部1156がコンソール1120に付属する。外部電源を使っても使わなくても、内部電池1160も利用されうる。電力使用および分配を制御するために、パワーマネジメント回路1159がコンソールのデジタルコントローラ/アナログインターフェース1124に付属している。
【0078】
[000111]本実施形態のディスプレイ1130は、コンソール1120と一体化されており、配置処置中に臨床医に対して、プローブ1140が達する標的とする体内部分の超音波画像などの情報を表示するために使用される。別の実施形態では、ディスプレイはコンソールから分離されていてもよい。一実施形態では、コンソールボタンインターフェース1132およびプローブ1140上に備えられている制御ボタン1184(図19)が、配置処置を補助するために臨床医によってディスプレイ1130に所望のモードを直ちに呼び出すために使用されうる。一実施形態では、ディスプレイ1130は、LCDデバイスである。
【0079】
[000112]図19は、挿入部位1173を介して患者の血管系への初期アクセスを行うために使用される針1200をさらに示している。以下でさらに詳しく説明されるように、針1200は、システムが超音波に基づく配置処置中に針の位置、配向、および前進を検出することを可能にする際に、システム1110と連係動作するように構成されている。
【0080】
[000113]図20は、一実施形態によるプローブ1140の特徴を示す。プローブ1140は、針1200および/またはカテーテル1172の血管系内への挿入に備えて、血管などの脈管の超音波に基づく可視化に関連して採用される。このような可視化は、リアルタイム超音波誘導機能を提供し、不注意による動脈穿刺、血腫、気胸などを含む、そのような導入に典型的に関連する合併症を減少させるのに役立つ。
【0081】
[000114]手持ち式プローブ1140は、予想される挿入部位1173(図19)に近接する患者の皮膚に当たるようにヘッドが置かれたときに、超音波パルスを発生させ、患者の体による反射の後にそのエコーを受信するための、圧電アレイを収容するヘッド1180を備える。システム1140は、システムを制御するために複数の制御ボタン1184(図19)をさらに備え、これにより、システム1110を制御するために、挿入部位の確定に先立って患者の挿入部位の周辺に設けられた滅菌領域から、臨床医が手を伸ばす必要がなくなる。
【0082】
[000115]したがって、一実施形態では、臨床医は、血管系内を目的の部位に向けて最終的に前進させるためにカテーテル1172を導入する前に、好適な挿入部位を判断して、針1200を使用するなどして血管系内にアクセスするためにシステム1110の超音波撮像部を使用する。
【0083】
[000116]図18は、プローブ1140が、ボタンおよびプローブの動作を管理するためのボタンおよびメモリコントローラ1142をさらに備えることを示す。一実施形態において、ボタンおよびメモリコントローラ1142は、EEPROMなどの、不揮発性メモリを備えることができる。ボタンおよびメモリコントローラ1142は、コンソール1120のプローブインターフェース1144と動作可能に通信し、プローブインターフェース1144は、プローブ圧電アレイとインターフェースするための圧電入出力コンポーネント1144A、ならびにボタンおよびメモリコントローラ1142とインターフェースするためのボタンおよびメモリ入出力コンポーネント1144Bを備える。
【0084】
[000117]図20に示されているように、プローブ1140は、上で説明されているような、超音波撮像処置中に針1200の位置、配向、および移動を検出するためのセンサアレイ1190を備える。以下でさらに詳しく説明されるように、センサアレイは、プローブのハウジング内に埋め込まれた複数の磁気センサ1192を備える。センサ1192は、針1200に関連する磁場を検出し、システム1110が針を追跡することを可能にするように構成される。ここでは磁気センサとして構成されているが、センサ1192は、以下で説明されるように、他の種類および構成のセンサであってもよい。また、図20にはプローブ1140に付属するように示されているが、センサアレイ1190のセンサ1192は、個別の手持ち式デバイスなどの、プローブから分離したコンポーネント内に収納できる。本実施形態では、センサ1192は、プローブ1140の上面1182の下に平面状構成で配置されているが、これらのセンサは、アーチ形または半円形の配置構成などの他の構成で配置されうることは理解される。
【0085】
[000118]本実施形態では、センサ1192のそれぞれは、3つの空間次元における磁場の検出を可能にするため3つの直交センサコイルを備える。このような3次元(「3D」)磁気センサは、例えば、Honeywell Sensing and Control社(ニュージャージー州モリスタウン所在)から購入することができる。さらに、本実施形態のセンサ1192は、ホール効果センサとして構成されているが、他の種類の磁気センサも使用することが可能である。さらに、1D、2D、または3D検出機能を実現するために、3Dセンサの代わりに、複数の1次元磁気センサが、必要に応じて備えられ、配置構成されうる。
【0086】
[000119]本実施形態では、5個のセンサ1192がセンサアレイ1190内に備えられ、これにより、針1200の検出が3つの空間次元(つまり、X、Y、Z座標空間)だけでなく、針それ自体のピッチおよびヨー配向でも可能になる。一実施形態では、センサ1192のうちの2つまたはそれ以上のセンサの直交検知コンポーネントにより、磁気要素1210、したがって針1200のピッチおよびヨー姿勢を判定することが可能になることに留意されたい。
【0087】
[000120]他の実施形態では、センサアレイで使用されうるセンサの数は加減できる。より一般的に、センサアレイの中のセンサの数、寸法、種類、および配置は、ここに明示的に示されているものと異なる場合があることは理解される。
【0088】
[000121]図21Aおよび図21Bは、一実施形態により、図19に示されているように、患者の標的とする体内部分にアクセスする際に誘導システム1110に関連して使用されうる針1200の一例を詳細に示している。特に、針1200は、近位端1202Aおよび遠位端1202Bを画定する、中空カニューレ1202を備える。ハブ1204は、カニューレ1202の近位端1202Aに取り付けられ、本実施形態において、さまざまなデバイスと接続するためのコネクタとして構成された開放端1204を備える。実際、ハブ1204の開放端1204Aは、誘導線、スタイレット、または他のコンポーネントがハブを通してカニューレ内に入るように中空カニューレ1202と連通している。
【0089】
[000122]図21Aおよび図21Bに示されているように、磁気要素1210は、ハブ1204に付属する。図21Bから最もよくわかるように、本実施形態における磁気要素1210は、例えば、強磁性体を含む、永久磁石であり、また中空カニューレ1202と位置を揃えた孔1212を画定するようにリング形状をとる。こうして構成された磁気要素1210は、以下でさらに詳しく説明されているように、針1200の位置、配向、および移動がシステム1110によって追跡できるように、超音波プローブ1140のセンサアレイ1190によって検出可能である磁場を発生する。
【0090】
[000123]他の実施形態では、多くの他の種類、数、および寸法の磁気要素が、針1200または他の医療用コンポーネントとともに使用され、本発明の誘導システムによるその追跡が可能になるものとしてよいことは理解される。
【0091】
[000124]次に、患者の皮膚表面1220を通して挿入し体内の標的部分にアクセスする準備が整っている、適所にあるシステム1110および針1200の超音波プローブ1140を示す図22Aおよび図22Bを参照する。特に、患者の皮膚表面1220の下の血管1226の一部を超音波撮像するためにヘッド1180を患者の皮膚にあてがい、超音波ビーム1222を発生する、プローブ1140が図示されている。血管1226の超音波画像は、システム1110のディスプレイ1130上に示されうる(図19)。
【0092】
[000125]上で述べたように、本実施形態におけるシステム1110は、上述の針1200の位置、配向、および移動を検出するように構成されている。特に、プローブ1140のセンサアレイ1190は、針1200に付属する磁気要素1210の磁場を検出するように構成される。センサアレイ1190のセンサ1192のそれぞれは、3次元空間内で磁気要素1210を空間的に検出するように構成される。したがって、システム1110の動作中、センサ1192のそれぞれによって検知される針の磁気要素1210の磁場強度データが、磁気要素1210の位置および/または配向をリアルタイムで計算する、コンソール1120(図18)のプロセッサ1122などのプロセッサに転送される。
【0093】
[000126]特に、また図22Aおよび図22Bに示されているように、センサアレイ1192に関するX、Y、およびZ座標空間内の磁気要素1210の位置は、センサ1192によって検知された磁場強度データを使用してシステム1110によって判定されうる。さらに、図22Aは、磁気要素1210のピッチも判定されうることを示しており、図22Bは、磁気要素のヨーが判定されうることを示している。システムのプローブ1140、コンソール1120、または他のコンポーネントの好適な回路は、そのような位置/配向に必要な計算を行うことができる。一実施形態では、米国特許第5,775,322号、米国特許第5,879,297号、米国特許第6,129,668号、米国特許第6,216,028号、および米国特許第6,263,230号のうち1つまたは複数の教示を利用して、磁気要素210を追跡することができる。上述の米国特許の内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0094】
[000127]システムによって認識されるか、またはシステムに入力されるような遠位針先端に関するカニューレ1202の長さおよび磁気要素1210の位置とともに、システム1110によって決定される上記の位置および配向情報を利用することで、システムは、センサアレイ1190に関する針1200の全長の配置および配向を正確に決定することができる。適宜、磁気要素1210と遠位針先端との間の距離は、システム1110によって認識されるか、またはシステム1110に入力される。次いで、これにより、システム1110は、針1200の画像をプローブ1140の超音波ビーム1222によって生成される画像上に重ねて表示することができる。図23Aおよび図23Bは、超音波画像上への針のこのような重ね合わせ表示の例を示している。特に、図23Aおよび図23Bは、それぞれ、例えば、ディスプレイ1130(図19)上に示されうるスクリーンショット1230を示している。図23Aには、超音波1232が示されており、これは患者の皮膚表面1220、および皮下血管1226の表示を含む。超音波画像1232は、例えば図22Aおよび図22Bに示されている超音波ビーム1222によって撮像される像に対応する。
【0095】
[000128]スクリーンショット1230は、上で説明されているようなシステム1110によって決定された実際の針1200の位置および配向を表す針の画像1234をさらに示す。システムは、センサアレイ1190に関して針1200の配置および配向を決定することができるので、システムは、超音波画像1232に関して針1200の位置および配向を正確に決定し、それを上に重ね合わせて、ディスプレイ1130上に針の画像1234として示すことができる。超音波画像1232上の針の画像1234の位置決めの調整は、プロセッサ1122またはシステム1110の他の好適なコンポーネントによって実行される好適なアルゴリズムによって実施される。
【0096】
[000129]センサ1192は、システム1110の動作中に針1200の磁気要素1210の磁場を連続的に検出するように構成される。これにより、システム1110は、ディスプレイ1130上に示すために針の画像1234の位置および配向を連続的に更新することができる。そこで、針1200の前進または他の移動は、ディスプレイ1130上の針の画像1234によってリアルタイムで示される。システム1110は、プローブ1140および針1200の移動が配置処置または他の活動の最中に生じるときに超音波画像1232と針の画像1234との両方を連続的に更新することができることに留意されたい。
【0097】
[000130]図23Aは、一実施形態において、システム1110が針の画像1234によって示されているような針1200の現在の位置および配向に基づき投影された経路1236を示しうることをさらに示している。投影された経路1236は、ディスプレイ1130上に針の画像1234によって示されるような、針1200の現在の配向の結果、ここで示されている血管1226などの、所望の体内部分の標的に達するかどうかを臨床医が判定するのを補助する手段となる。ここでもまた、針の画像1234の配向および/または位置が変化すると、投影された経路1236は、それに応じて、システム1110によって修正される。投影された経路1236が超音波画像1232の平面と交差する点を示す、標的1238も、システム1110によってディスプレイ1130に表示されうる。図23Aに示されているように、本例では、標的1238は、超音波画像1232に示される血管1226内に配置される。ディスプレイ1130上の標的1238の位置も、針1200および/または超音波画像1232が調整されるときに修正されうることに留意されたい。スクリーンショット1230は、ここではボックスとして示されている、確率の領域1239も含み、これは針の長さ、針の剛性および柔軟性、磁気要素の磁場強度、磁気干渉、磁気要素の磁気軸と針の縦軸との位置合わせの可能な食い違い、超音波撮像平面に関するセンサアレイの配向などによるシステムの可能な誤差の範囲を示す。
【0098】
[000131]図23Bは、超音波画像1232および針の画像1234が3次元の態様で表示される配向となるように構成されうることを示している。これにより、針の画像1234によって示されているように、針1200の角度および配向を確認し、超音波画像1232によって撮像される意図された標的と比較することができる。スクリーンショット1230は、表示用にシステム1110によって生成される可能な指示の例にすぎないことに留意すべきであり、実際、他の視覚的指示も使用することができる。撮像される身体の特定の領域も一例にすぎないことにさらに留意すべきであり、システムは、さまざまな身体部分を超音波で撮像するために使用することができ、添付図面に明示的に示されているものに限定されるべきでない。さらに、本明細書で図示され、説明されているようなシステムは、必要ならばより大きなシステムのコンポーネントとして備えられうるか、またはスタンドアロンのデバイスとして構成されうる。また、画像ディスプレイ1130に加えて、ブザー音、発信音などのような聴覚情報も、針を患者体内に位置決めし挿入しているときに臨床医を補助するために、システム1110によって使用されることもできることは理解される。
【0099】
[000132]上述のように、一実施形態では、システム1110が針1200の全長およびその上の磁気要素1210の配置を認識し、針の画像1234ならびに図23Aおよび図23Bのスクリーンショット1230の他の特徴を正確に示すことができるようにする必要がある。システム1110に対して、針に付けられているか、または針に伴うバーコードのシステムによる走査、システムによる走査のために無線ICタグ(「RFID」)チップを針とともに組み込むこと、針のカラーコーディング、臨床医がパラメータを手動でシステムに入力することなどを含む、さまざまな方法でこれらおよび/または他の関連するパラメータを通知することができる。例えば、RFIDチップ1354は、図33Aに示されている針1200上に備えられる。システム1110のプローブ1140または他のコンポーネントは、RFIDリーダーを備えることができ、これにより、針1200の種類または長さなどの、RFIDチップ1354に入っている情報を読み取ることができる。したがって、針のパラメータをシステム1110に入力するか、またはパラメータを検出するためのこれらの手段および他の手段が企図されている。
【0100】
[000133]一実施形態では、針の長さ(または医療用コンポーネントの他の態様)は、その磁場強度などの、磁気要素の特性のプローブ/システムによる測定によって決定されうる。例えば、一実施形態では、針の磁気要素は、プローブから所定の距離のところに、またはプローブに関して所定の配置で位置決めされうる。磁気要素がそのように位置決めされると、プローブのセンサアレイは、磁気要素の磁場強度を検出し、測定する。システムは、測定された磁場強度を針の異なる長さに対応する可能な磁場強度の格納されているリストと比較することができる。システムは、これら2つの強度を照合して、針の長さを決定することができる。次いで、針の配置およびその後の針の挿入は、本明細書で説明されているように進行することができる。別の実施形態では、磁気要素を所定の場所に固定して保持する代わりに、磁場強度の複数の読み取りがプローブによって行われるように磁気要素がプローブの周りを移動されうる。異なる磁場強度を一連の磁気要素に付与するように修正されうる態様は、磁気要素の寸法、形状、および組成を含む。
【0101】
[000134]一実施形態による、患者の標的とする体内部分(「標的」)の超音波撮像に関連して針もしくは他の医療用デバイスを誘導する際にシステム1110を使用することについてさらに詳しく述べる。磁気要素を装着した針1200がセンサアレイ1190を含む超音波プローブ1140から好適な距離(例えば、61cm(2フィート)以上)だけ離れたところに位置決めされた場合、システム1110のディスプレイ1130に示すことを目的として、経皮的刺入を介して針が交差することが意図されている患者体内の標的を超音波で撮像するためにプローブが使用される。次いで、システム1110のキャリブレーションが開始され、その際に、コンソール1120のプロセッサ1122によって、処置が実行される場所の近くで周囲磁場に対するベースラインを決定するアルゴリズムが実行される。システム1110は、上で説明されているように、針1200の全長、および/またはユーザー入力、自動検出、もしくは別の好適な方法などによる遠位針先端に関する磁気要素の位置の通知も受ける。
【0102】
[000135]次いで、プローブ1140のセンサアレイ1190のセンサ1192の範囲内に針1200が移動される。センサ1192のそれぞれは、針1200の磁気要素1210に関連する磁場強度を検出し、このデータはプロセッサ1122に転送される。一実施形態では、そのようなデータは、プロセッサに必要になるまでの間メモリに格納しておくことができる。センサ1192が磁場を検出すると、プローブと関係する空間内の予測される点で針1200の磁気要素1210の磁場強度を計算するために、好適なアルゴリズムがプロセッサ1122によって実行される。次いで、プロセッサ1122は、センサ1192によって検出された実際の磁場強度データを計算された磁場強度値と比較する。このプロセスは、上に示されている米国特許によってさらに説明されていることに留意されたい。このプロセスは、予測される点に対する計算値が測定データと一致するまで繰り返し実行されうる。この一致が生じた後、磁気要素1210は、3次元空間内に位置決めされ配置されている。センサ1192によって検出された磁場強度データを使用して、磁気要素1210のピッチおよびヨー(つまり、配向)も決定されうる。針1200の知られている長さおよび磁気要素に関する針の遠位先端の位置と合わせて、これにより、針の位置および配向の正確な表現が可能になり、またこれは、システム1110によって行うことができ、ディスプレイ1130上に仮想モデル、つまり、針の画像1234として示すことができる。予測値および実際の検出値は、針の表示を行えるようにシステム1110に対する一実施形態の所定の許容差または信頼水準の範囲内で一致しなければならないことに留意されたい。
【0103】
[000136]上述のような針1200の仮想的な針の画像1234の表示は、ディスプレイ1130の超音波画像1232上に針の画像を重ねることによって本実施形態において実行される(図23A図23B)。プロセッサ1122または他の好適なコンポーネントによって実行されるようなシステム1110の好適なアルゴリズムにより、投影された経路1236、標的1238、および確率の領域1239(図23A図23B)を決定し、ディスプレイ1130上で標的の超音波画像1232の上に表示することができる。針1200の移動をリアルタイムで追跡し続けるために、上記の予測、検出、比較、および表示プロセスが繰り返し実行される。
【0104】
[000137]前記に照らし、図24を参照すると、一実施形態において針または他の医療用コンポーネントを誘導するための方法1240は、さまざまな段階を含むことが理解される。段階1242で、患者の標的とする体内部分が、例えば超音波撮像デバイスなどの、撮像システムによって撮像される。
【0105】
[000138]段階1244で、針などの医療用コンポーネントの検出可能な特性は、撮像システムに付属する1つまたは複数のセンサによって検知される。本実施形態では、針の検出可能な特性は、針1200に付属する磁気要素1210の磁場であり、センサは、超音波プローブ1140に付属するセンサアレイ1190に備えられている磁気センサである。
【0106】
[000139]段階1246で、標的とする体内部分に関する医療用コンポーネントの位置は、検出可能な特性の検知を介して少なくとも2つの空間次元内で判定される。上で説明されているように、コンソール1120のプロセッサ1122によって本実施形態においてそのような判定が行われる。
【0107】
[000140]段階1248で、医療用コンポーネントの位置を表す画像は、ディスプレイ上に示す標的とする体内部分の画像と組み合わされる。段階1250は、例えば、血管1226(図23A図23B)への針1200の皮下刺入など、撮像された標的に関する医療用コンポーネントの前進もしくは他の移動を示すために段階1244乃至段落1248が反復的に繰り返されうることを示している。
【0108】
[000141]プロセッサ1122または他の好適なコンポーネントは、ディスプレイ1130に示すために確率の領域1239および標的1238(図23A図23B)を含む、追加の態様を計算することができることは理解される。
【0109】
[000142]一実施形態では、センサアレイは、超音波撮像デバイス内に固有のものとして組み込まれる必要はないが、他の方法でそれに付属するものであってよいことは理解される。図25はこれの一例を示しており、そこでは、センサアレイ1190のセンサ1192を含む取り付け可能なセンサモジュール1260が超音波プローブ1140に取り付けられているように示されている。そのような構成により、本明細書で説明されているような針の誘導は、標準の超音波撮像デバイス、つまり、超音波プローブ内に一体化されたセンサアレイまたは上述のように針を配置し、追跡するように構成されたプロセッサおよびアルゴリズムを備えていないデバイスに関連して達成されうる。したがって、一実施形態のセンサモジュール1260は、針もしくは他の医療用コンポーネントを配置し、追跡するのに適した、また超音波画像の上に重ねるために針の仮想的画像をディスプレイ上に表示するのに適したプロセッサおよびアルゴリズムを備える。一実施形態では、センサモジュール1260は、針の追跡を示すためにモジュールディスプレイ1262に付属するものとしてよい。したがって、誘導システムのこれらの構成および他の構成が企図される。
【0110】
[000143]図26は、すでに説明されているようにシステム1110によって実行される音波撮像および針誘導処置の間に針1200を保持し、前進させるためにニードルホルダが使用されうることを示している。図示されているように、ニードルホルダ1270は、ピストル形をしており、トリガーを押した後にホルダのバレルから縦方向に針を遠ざけることによって針1200または他の好適な医療用コンポーネントを選択的に前進させるためのトリガー1272を備える。こうして構成されているため、ニードルホルダ1270を使用することで、臨床医は片方の手で針を扱い、もう片方の手で超音波プローブ1140を掴んで操作することを容易に行える。それに加えて、ニードルホルダ1270は、モーター、ラッチ機構、油圧/空気圧駆動装置などを介して、針の移動/回転を補助することができる。さらに、ニードルホルダ1270にクロッキング機能を備えることで、針1200の遠位先端の配向を判定することを補助し、針の回転を円滑にすることができる。
【0111】
[000144]一実施形態では、ニードルホルダ1270は、針カニューレ1202の遠位端1202Bが標的とする体内部分に到達するか、または針が超音波平面を遮ったときにニードルホルダによる前進が自動的に停止するようにシステム1110に動作可能に接続されうる。さらに別の実施形態では、磁気要素は、針それ自体の代わりに、ニードルホルダに付属するものとしてよい。したがって、針は、ニードルホルダに一時的に取り付けられたときに、磁気要素を針に直接取り付けることなく誘導システムによって配置され、誘導されうる。
【0112】
[000145]図27Aおよび図28は、別の実施形態による誘導システム1110のコンポーネントを示しており、そこでは、針の追跡および誘導を可能にするためにプローブ1140と針1200との間の光学的な相互作用が使用される。特に、プローブ1140は、LED1280などの光学系/光源、およびプローブ表面に位置決めされた光検出器1282を備える。光源および検出器は、可視光線、赤外線などを含むさまざまな範囲の光信号を発生し、検出するように構成されうることは理解される。
【0113】
[000146]針のハブ1204は、LED 1280が発生する光およびそこへの入射光を反射することができる反射面1286を備える。図28に示されているように、LED 1280によって放射される光は、針1200の反射面1286によって反射され、その一部は、光検出器1282によって受信され、検知される。前の実施形態と同様に、光検出器1282の検知データを受信し、針1200の位置および/または配向を計算するために、システムコンソール1120のプロセッサ1122が使用されうる。前述のように、針1200の長さおよび/または針1200の遠位端に関する反射面の位置は、システム1110に入力されるか、または他の方法で検出可能であるか、または認識される。反射面は、針の他の場所に含まれていてもよいことに留意されたい。
【0114】
[000147]上記に照らして、本実施形態において、針1200の検出可能な特性は、前の実施形態の磁気要素1210の磁場特性とは対照的に反射面1286の反射性を含み、センサは、前の実施形態の磁気センサ1192とは対照的に、光検出器1282を備える。一実施形態では、上で説明されている構成は反転させることができ、その場合、光源は針もしくは医療用コンポーネントに付属することは理解されるであろう。この場合、光は針から放射され、プローブ1140に付属する光検出器1282によって検出され、これにより、針の配置および追跡が可能になる。針の光源に電力を供給するために、時計用電池または同様のものなどの電源が、針に付属してもよい。
【0115】
[000148]より一般的に、針もしくは医療用コンポーネントは、患者の体内の標的に向けて針を追跡し、誘導することが可能になるようにこれら、または他の検出可能な特性のうちの1つまたは複数の特性を含みうることは理解される。他の検出可能な特性モダリティの非限定的な例として、電磁気または高周波(「RF」)(例えば、以下の図29乃至図30を参照)、ならびに放射線が挙げられる。RFモダリティに関して、1つまたは複数の同期もしくは非同期パルス周波数源が針に付属するようにし、好適なセンサ(複数可)によるその検出を可能にすることができることは理解される。または、第1のRF源は、第2の供給源としての受動磁石と結合されうる。
【0116】
[000149]図29および図30は、一実施形態による誘導システムのコンポーネントを示しており、そこでは、針の追跡および誘導を可能にするためにプローブ1140と針1200との間のEM信号の相互作用が使用される。特に、図29では、針1200は、中に配置されているスタイレット1298を備える。スタイレット1298は、テザー1292を介してプローブ1140に動作可能に接続されているEMコイル1290を備える。このようにして、EMコイル1290は、動作中にEMコイルがEM信号を放射するようにプローブ1140またはシステムコンソール1120内に備えられている好適なコンポーネントによって駆動されうる。
【0117】
[000150]スタイレット1298のEMコイル1290によって放射されるEM信号を検出するのに適したセンサ1294は、プローブ1140内に備えられる。本実施形態では、センサ1294は、EM信号の対応する直交成分を検出する3軸センサであるが、他のコイルおよびセンサ構成も使用できる。こうして構成されているため、針1200の位置および配向は、EM信号の三角測量または他の好適なプロセスによって判定され、上ですでに説明されているのと類似の方法でシステムによって表示されうる。前の実施形態と同様に、EMセンサ1294の検知データを受信し、針1200の位置および/または配向を計算するために、システムコンソール1120(図18)のプロセッサ1122が使用されうる。前述のように、針1200の長さおよび/または針1200の遠位端に関するEMコイル1290の位置は、システムに入力されるか、または他の方法で検出可能であるか、または認識される。
【0118】
[000151]図30は、図29のEM構成の変更形態を示しており、そこでは、EMコンポーネントの各位置が逆転され、EMコイル1290は、プローブ1140内に備えられ、EMセンサ1294は、針1200内に配置されているスタイレット1298に付属する。図29および図30の実施形態では、テザー1292を介したEMコイル1290とEMセンサ1294との間の動作可能な接続により、スタイレット1298内に配置されているコンポーネントはシステム1110によって駆動されうることに留意されたい。また、これにより、特定のEM周波数/EMコイル1290によって放射され、EMセンサ1294によって検出された周波数を対応付けることも可能である。一実施形態では、図29に示されている構成を変えることができ、その場合、テザーはEMコイルとEMセンサとを動作可能に接続せず、むしろ、スタイレットのEMコイルは、プローブおよびそのEMセンサとは別のコンポーネントとして動作し、電池などの独立した電源によって給電される。この場合、プローブ/システムは、EMコイルによって放射されたEM信号を検出し、それを、針を配置するために必要なものとして処理するように構成された好適な信号処理コンポーネントを備える。
【0119】
[000152]EMコイルおよびEMセンサは、ここに示されているものと異なる場所に備えられうることに留意されたい。例えば、EMコイルは、針それ自体に、または針の近位端に取り付け可能であるコネクタ上に備えることができる。
【0120】
[000153]図31A乃至図31Dは、一実施形態により構成された針1200のさらなる詳細を示しており、そこでは、針はハブ1304を備え、カニューレ1202はそこから延在する。孔1312を画定する磁気要素1310は、ハウジング1314の空洞1314A内に備えられる。ハウジング1314は、針のハブ1304、または針もしくは医療用コンポーネントの他の好適なコンポーネントに螺合するようにねじ山を備える。このようにして、磁気要素1310は、ハウジング1314を介して針1200に取り外し可能に取り付け可能である。したがって、磁気要素1310は、針1200に永久的に固定される、または付属する必要はないが、むしろ、磁気に基づく針誘導が必要なくなったときにそこから取り外せる。それに加えて、これにより、磁気要素は多くの異なる種類および寸法の針に取り付けられうる。本実施形態では、針1200は、患者から針を取り出した後、針の遠位先端を安全に分離するための遠位に摺動可能な安全コンポーネント1320をさらに備えることに留意されたい。本明細書で明示的に示され、説明されているものに加えて、他の取り外し可能な磁気要素も使用できることにさらに留意されたい。
【0121】
[000154]図32乃至図33Bは、磁気要素を備える針1200のさらなる例を示している。図32では、2つの棒状磁気要素1340が、針1200のハブ1334から直角に延在するように配置されており、この磁気要素が針の縦軸に平行に配向される必要のないことを示している。図33A乃至図33Bにおいて、針のハブ1344には4つの磁気要素1350が備えられており、これは、複数の磁気要素が針に付属しうることを示している。そのような構成は、例えば、空間が制限されているため1つの磁気要素の使用が妨げられる場合に使用されうる。ここでの磁気要素の個数、形状、および配置は、多くの可能な構成の一例にすぎないことに留意されたい。
【0122】
[000155]図34A乃至図34Gは、中を貫通する針のカニューレを受けるための孔を画定する磁気要素1360のさまざまな構成例を示している。磁気要素1360の示されているさまざまな形状構成として、正方形(図34A)、六角形(図34B)、三角形(図34C)、長方形(図34D)、卵形(図34E)、八角形(図34F)、および四角錐(図34G)が挙げられる。添付図に示されている磁気要素は、磁気要素を画定するために使用されうる多数のある幾何学的および他の形状の単なる例にすぎず、実際、本明細書に明示的に示されていない他の形状も企図される。
【0123】
[000156]本発明の実施形態は、本開示の精神から逸脱することなく他の特定の形式で実現することができる。説明されている実施形態は、すべての点で、説明のみを目的としており、制限することを目的としていないとみなされるべきである。したがって、これらの実施形態の範囲は、上記の説明ではなく、付属の請求項により指示される。請求項の同等性の意味および範囲内にある変更はすべて、本発明の範囲に含まれるものとする。
[形態1] 撮像技術に関連して患者の体内に医療用コンポーネントを挿入するための誘導システムにおいて、
プローブを備え、体内部分の標的の画像を生成する撮像デバイスと、
前記医療用コンポーネントに関係する検出可能な特性を検知する前記プローブに付属する少なくとも1つのセンサと、
少なくとも2つの空間次元における前記医療用コンポーネントの位置を判定するために前記少なくとも1つのセンサによって検知された前記検出可能な特性に関係するデータを使用するプロセッサと、
前記標的の前記画像とともに前記標的に関する前記医療用コンポーネントの前記位置を示すディスプレイとを備えた誘導システム。
[形態2] 形態1に記載の誘導システムにおいて、前記撮像デバイスは超音波撮像デバイスであり、前記プローブは超音波プローブを含み、前記少なくとも1つのセンサは前記超音波プローブに組み込まれた複数の磁気センサを含み、前記医療用コンポーネントは針を含み、前記検出可能な特性は前記針に関連する磁気要素の磁場であり、前記磁場は前記磁気センサによって検知されうる、誘導システム。
[形態3] 形態2に記載の誘導システムにおいて、前記磁気要素は、前記針のハブに永久的に、または取り外し可能に取り付けられた磁石を備えた、誘導システム。
[形態4] 形態2に記載の誘導システムにおいて、前記磁気センサのうちの1つまたは複数は、3つの空間次元内の前記針の前記磁気要素の位置ならびに前記磁気要素のピッチおよびヨー姿勢の判定を可能にするように直交検知
コンポーネントを備えた、誘導システム。
[形態5] 形態2に記載の誘導システムにおいて、前記誘導システムの使用中に前記針を保持するための手持ち式ニードルホルダをさらに備え、前記ニードルホルダは前記針を選択的に前進させるように構成され、前記磁気要素
は前記ニードルホルダに付属する、誘導システム。
[形態6] 形態1に記載の誘導システムにおいて、前記少なくとも1つのセンサは、前記プローブまたは前記撮像システムの他のコンポーネントに取り付け可能なセンサモジュール内に備えられた、誘導システム。
[形態7] 形態1に記載の誘導システムにおいて、前記医療用コンポーネントの前記検出可能な特性は、放射線信号、高周波信号、および光信号のうちの少なくとも1つに関係する、誘導システム。
[形態8] 形態2に記載の誘導システムにおいて、前記針の長さは、前記針の前記磁気要素の磁場強度の測定結果を利用して判定される、誘導システム。
[形態9] 撮像技術を利用して医療用コンポーネントを誘導して患者の体内に挿入するための方法において、
(a)前記体内の標的を撮像するステップと、
(b)前記医療用コンポーネントに関係する検出可能な特性を検知するステップと、
(c)前記検知された検出可能な特性に関係するデータによって少なくとも2つの空間
次元における前記医療用コンポーネントの位置を判定するステップと、
(d)前記標的の前記画像とともに前記標的に関する前記医療用コンポーネントの前記
位置を表示するステップと、を含む方法。
[形態10] 形態9に記載の誘導するための方法において、前記位置を表示するステップは、前記標的の前記画像とともに前記医療用コンポーネントの前記位置を表す画像を表示するステップをさらに含む、方法。
[形態11] 形態9に記載の誘導するための方法において、前記医療用コンポーネントの前記位置を判定するステップは、3つの空間次元における前記医療用コンポーネントの前記位置ならびにピッチおよびヨー配向のうちの少なくとも1つを判定するステップをさらに含む、方法。
[形態12] 形態9に記載の誘導するための方法において、前記医療用コンポーネントの前記検出可能な特性は、磁場であり、前記検出可能な特性を検知するステップは、少なくとも1つの磁気センサによって実行され、前記方法は前記検知可能な特性を検出する前に少なくとも1つの磁気センサのキャリブレーションを行って周囲磁場をなくすステップをさらに含む、方法。
[形態13] 形態9に記載の誘導するための方法において、前記標的に関する前記医療用コンポーネントの移動を追跡するために段階(b)、(c)、および(d)を反復的に繰り返すステップをさらに含む、方法。
[形態14] 形態9に記載の誘導するための方法において、前記標的を撮像するステップは、超音波撮像デバイスによって実行され、前記医療用コンポーネントの前記位置を判定するステップは、前記超音波撮像デバイスのプロセッサによって実行される、方法。
[形態15] 形態9に記載の誘導するための方法において、前記医療用コンポーネントは、針であり、前記方法は、前記針の長さを判定するステップをさらに含む、方法。
[形態16] 形態15に記載の誘導するための方法において、表示する前記標的で前記針を遮る確率の領域を計算するステップをさらに含む、方法。
[形態17] 形態9に記載の誘導するための方法において、前記位置を表示するステップは、前記標的の前記画像とともに前記医療用コンポーネントの前記位置を3次元で表示するステップをさらに含む、方法。
[形態18] 患者の体内への針の挿入を誘導するための誘導システムにおいて、
体内部分の標的を超音波で撮像するためのプローブを備えた超音波撮像デバイスと、
前記針に付属する磁気要素と、
それぞれが前記針の前記磁気要素の磁場を検知する前記プローブに付属する複数の磁気センサと、
3つの空間次元における前記針の位置を判定するために前記センサによって検知された磁場データを受信するプロセッサと、
前記標的の前記画像とともに前記針の前記判定された位置を表示するディスプレイとを備えた誘導システム。
[形態19] 形態18に記載の誘導システムにおいて、前記磁気要素は、前記針のハブ内に配置された永久磁石を備え、前記磁気要素と前記磁気センサとの間に物理的接続が存在しない、誘導システム。
[形態20] 形態18に記載の誘導システムにおいて、前記針は、前記誘導システムが前記針の長さを識別することを可能にするカラーコーディング、バーコード、およびRFIDチップのうちの1つをさらに備え、前記磁気センサは、前記プローブ内にアーチ形に分散される、誘導システム。
[形態21] 形態18に記載の誘導システムにおいて、前記磁気要素は、前記針のカニューレが受けられて通る孔を画定する永久磁石を備え、前記永久磁石の形状は、正方形、五角形、三角形、長方形、卵形、八角形、および角錐のうちの1つを画定する、誘導システム。
[形態22] 形態18に記載の誘導システムにおいて、前記磁気要素は、前記針のハブ内に備えられた複数の永久磁石を備えた、誘導システム。
[形態23] 形態18に記載の誘導システムにおいて、前記磁気要素は、前記針のカニューレの縦軸に直交する形で配置された少なくとも1つの棒磁石を備えた、誘導システム。
[形態24] 患者の体内への医療用コンポーネントの挿入を誘導するための誘導システムにおいて、
体内部分の標的を撮像するためのプローブを備えた撮像デバイスと、
前記プローブおよび前記医療用コンポーネントのうちの第1のものに付属する電磁信号放射源と、
前記プローブおよび前記医療用コンポーネントのうちの第2のものに付属する電磁信号センサと、
少なくとも2つの空間次元における前記医療用コンポーネントの位置を判定するために前記センサによって検出された前記電磁信号に関係するデータを受信するプロセッサと、
前記標的の前記画像とともに前記医療用コンポーネントの前記判定された位置を表示するディスプレイとを備えた誘導システム。
[形態25] 形態24に記載の誘導システムにおいて、前記医療用コンポーネントは、針を含み、前記源は、前記針内に取り外し可能に受けられるスタイレットに付属し、前記センサは、前記プローブ内に備えられた、誘導システム。
[形態26] 形態25に記載の誘導システムにおいて、前記スタイレットの前記源を前記プローブの前記センサと動作可能に接続するテザーをさらに備えた、誘導システム。
[形態27] 患者の体内への医療用コンポーネントの挿入を誘導するための誘導システムにおいて、
体内部分の標的を撮像するためのプローブを備えた撮像デバイスと、
前記プローブに付属する光源と、
前記医療用コンポーネントに付属する前記光源からの光を反射する反射面と、
前記反射面から反射された光を検出する前記プローブに付属する検出器と、
少なくとも2つの空間次元における前記医療用コンポーネントの位置を判定するために前記検出器によって検出された前記反射光に関係するデータを受信するプロセッサと、
前記標的の前記画像とともに前記医療用コンポーネントの前記判定された位置を表示するディスプレイとを備える誘導システム。
[形態28] 患者の体内への医療用コンポーネントの挿入を誘導するための誘導システムにおいて、
体内部分の標的を撮像するためのプローブを備えた撮像デバイスと、
前記医療用コンポーネントに付属する光源と、
前記医療用コンポーネントの前記光源が発した光を検出する前記プローブに付属する検出器と、
少なくとも2つの空間次元における前記医療用コンポーネントの位置を判定するために前記検出器によって検出された光に関係するデータを受信するプロセッサと、
前記標的の前記画像とともに前記医療用コンポーネントの前記判定された位置を表示するディスプレイとを備えた誘導システム。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図23A
図23B
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31A
図31B
図31C
図31D
図32
図33A
図33B
図34A
図34B
図34C
図34D
図34E
図34F
図34G