【実施例1】
【0011】
以下、本実施形態に係る車両用グリルについて説明する。
図1において、車両10のフロント16には、車両用フロントグリル20(以下単に車両用グリル20という)が装着される。車両10の前方中央には、エンジンルーム12が設けられ、エンジンルーム12の前方(車両用グリル20)側には連通路14が設けられている。なお、18は車輪である。車両用グリル20が装着される車両としての自動車は、例えばハイブリッド車でもよいし、走行用モータを搭載しない通常の自動車でもよいが、これら以外の車両に本発明を適用してもよい。
【0012】
図2及び
図3に示すように、車両用グリル20は、車両フロント16の表面側に配置されるベースパネル部材22を備えている。ベースパネル部材22は、車両10の外側からみえる表面側に露出し、車両表面のデザイン(図柄、装飾等)の一部を構成するように分散配置された複数の開口部24を有している。また、車両用グリル20は、ベースパネル部材22の裏面側に配置されるバックパネル部材26を備えている。バックパネル部材26は、ベースパネル部材22の開口部24にフィット(密接)するように挿入可能な複数の突出部28を有している。
【0013】
図4は車両用グリル20の斜視図であり、(a)はベースパネル部材22からバックパネル部材26が離れた状態を示し、(b)は開口部24に突出部28が挿入された状態を示す。
図2及び
図4に示すように、ベースパネル部材22には、長手方向(x軸方向)に間隔を空けて配置された開口部群(24,・,24)が2つ形成されている。一方の開口部群(24,・,24)は5個の開口部24によって形成され(
図2において左側(
図4において下側))、他方の開口部群(24,・,24)は6個の開口部24によって形成されている(
図2において左側(
図4において上側))。一方の開口部群(24,・,24)の開口部24のx軸方向の位置は、他方の開口部群(24,・,24)の開口部24に対して互い違いとなるように配置されている。すなわち、一方の開口部群(24,・,24)の隣接する開口部24の間に、他方の開口部群(24,・,24)の開口部24が配置されている。
【0014】
バックパネル部材26は、ベースパネル部材22の下側の開口部群(24,・,24)に対応する下側保持板と、ベースパネル部材22の上側の開口部群(24,・,24)に対応する上側保持板からなる(
図4(a)参照)。下側保持板は、長手方向に一列に並んだ5個の突出部28を保持する。上側保持板は、長手方向に一列に並んだ6個の突出部28を保持する。このため、下側保持板及び上側保持板をベースパネル部材22の裏面に密着させることで、開口部24に突出部28が挿入され、開口部24の周縁と突出部28の周縁がフィット(密接)した状態となる。
【0015】
なお、
図2に示すように、開口部24は、x軸方向(長手方向)の両端が鋭角となる略楕円形状を有している。突出部28は、
図2及び
図3に示すように、x軸方向(長手方向)に延びる稜線を有し、平面視するとx軸方向(長手方向)の両端が鋭角となる略楕円形状を有しており、また、車両前方に突出する突起形状を有している。突出部28は、前方からの空気を稜線及び外形形状に沿って円滑に周囲に流すための形状を有している(
図7(b)参照)。すなわち、開口部24に突出部28が挿入された状態では、前方からの空気は、ベースパネル部材22及び突出部28によって遮断された状態となり、開口部24を通ってエンジンルーム12内に向かう空気の流れは遮断される(
図7(b)参照)。一方、開口部24から突出部28が離れた状態では、空気が開口部24を通ってエンジンルーム12内に入る通気状態になる(
図7(a)参照)。
【0016】
上述したように、ベースパネル部材22上に分散配置された開口部24と開口部24の周囲の流線形状(
図3・
図4(a)参照)は、斬新なデザインとなり、更に、突出部28のベースパネル部材22に対して直交する方向に突出する形状と相俟って、立体的な新規なデザイン(図柄、装飾)を形成する。このようなベースパネル部材22と突出部28の組み合わせにより、車両10のフロント16に幾何学的なデザイン(図柄、装飾)を形成することできる。
図5に示すフロントグリル20の装着後(a)と装着前(b)を比較すれば、
図5(a)に示すフロント16の美観(車両用グリル20による効果)の相違は明白である。
【0017】
次に、ベースパネル部材22に対してバックパネル部材26を相対的に移動させる移動装置36について、
図6を参照しながら説明する。移動装置36は、開口部24に突出部28を挿入する第1の位置に移動(前進移動)させ、また、挿入状態の突出部28を開口部24から離間する第2の位置に移動(後退移動)させる。ここで、
図6(a)は開口部24に突出部28が挿入された状態(挿入状態)を示し、
図6(b)は開口部24から突出部28が離間した状態(離間状態)を示す。
【0018】
図6(a),(b)に示すように、ベースパネル部材22の開口部24の周縁部は、バックパネル部材26の突出部28の周縁部と重なっている。開口部24の周縁部と突出部28の周縁部の相互に重なっている部分に、一対(左右)の連結用のシャフト34(連結部材として機能し、以下単にシャフトと称す)が取付けられている。シャフト34は、ベースパネル部材22とバックパネル部材26を貫通している。シャフト34の周囲には、付勢部材としてのばね38が装着されており、ばね38は突出部28を開口部24に付勢する。すなわち、ばね38は、伸張された状態でその一端が開口部24の周縁部に取付けられる一方、その他端が突出部28の周縁部に取付けられている。これにより、開口部24の周縁部と突出部28の周縁部が相互に引き付けるように連結されている。
【0019】
また、ばね38の外周には、ばね38の付勢力(引っ張り力)に抗した力を付与するための形状記憶材40が装着されている。本実施形態では、形状記憶材40は周囲温度の変化により形状が変形可能な形状記憶合金により形成されている。ばね38と形状記憶材40をシャフト34に装着するには、まず、シャフト34の外周にばね38を装着し、次いで、ばね38の外周に形状記憶材40を装着する。そして、ばね38及び形状記憶材40がベースパネル部材22及びバックパネル部材26間に介在するようにシャフト34をベースパネル部材22及びバックパネル部材26に貫通させ、最後に、シャフト34の両端を取付具30,32(例えば、ナット等)でベースパネル部材22とバックパネル部材26に固定する。
【0020】
ここで、突出部28が開口部24に挿入された挿入状態において、周囲温度の上昇(例えば、周囲温度が5℃以上に上昇)により形状記憶材40の形状が変形して伸びる場合、形状記憶材40がばね38の引張り力に抗した力を発生する。これによって、突出部28が開口部24から離間するように、バックパネル部材26が移動(後退移動)する。反対に、周囲温度の下降(例えば、周囲温度が25℃以下の温度に下降)により形状記憶材40の形状が元に戻る場合、形状記憶材40が発生する力はばね38の引張り力より小さい。これによって、突出部28が開口部24に挿入するようにバックパネル部材26が移動(前進移動)し、突出部28が開口部24に完全に挿入した状態になる。その結果、開口部24が突出部28によって閉じられ、エンジンルーム12と車両10外との空気の流出入が禁止される。従って、ばね38の引張り力に抗して、形状記憶材40が周囲温度に応じて形状変化することで、突出部28が開口部24を開放する通気状態と、突出部28が開口部24を閉じる遮断状態とに切替える。ここで、ベースパネル部材22及びバックパネル部材26からなる成型モデル(
図4参照)、シャフト(連結部材)34、移動機構36(
図6参照)は、上記通気状態と上記遮断状態を切替える通気遮断装置を構成する。
【0021】
なお、車両用グリル20を使用する地域によって気候(環境温度)が異なる事があるため、車両用グリル20に使用する形状記憶材40の変態点(設定温度特性)を、気候が異なる地域毎に調整することが好ましい。
【0022】
上述した移動機構36は、左右一対のばね38を開口部24及び突出部28の周縁部に配設し、ばね38の近傍には、ばね38の引張り力に抗する力を発生させる左右一対の形状記憶材40を配設する。移動機構36は、形状記憶材40によってバックパネル部材26を移動させるため、例えば駆動モータ等を採用する移動機構と比べて極めてコンパクトな構成になる。もっとも、移動機構36は、必ずしも上記構成を採用する必要は無く、種々の変更が可能である。例えば、バックパネル部材26を付勢する付勢部材としてバネ以外の付勢部材を用いてもよく、例えば、電磁石を使用してバックパネル部材26を付勢してもよい。付勢部材として電磁石を採用する場合は、周囲の環境要素(例えばエンジン回転数、アクセル開度、湯温、水温センサ等の検出)に応じて電磁石による動作を制御することができ、付勢力を適宜調整する構成を採用してもよい。また、ばね38および形状記憶材40は、開口部24及び突出部28の周縁に3個以上取り付けてもよいし、ベースパネル部材22とバックパネル部材26を連結するシャフト34とは別のシャフトに装着されていてもよい。また、ばね38および形状記憶材40の装着方法は、上記の方法に限られず、それ以外の方法に変えてもよい。
【0023】
また、形状記憶材40を用いた移動機構は、温度の上昇により形状記憶材40の形状が変形して、ばね38の引張り力に抗する力を発生させるため、周囲温度の変化に応じて通気状態または遮断状態を切替えることができる。このため、周囲温度が低下したときに車両用グリル20が遮断状態となることで、連通路14を通ってエンジンルーム12内に空気(冷気)が入ることを防ぐことができる。この結果、車両用グリル20は冬季時のオーバクールの際、エンジンルーム12内に冷気が侵入することを防止して、エンジンルーム12内の温度低下を防止できる。このため、車両用グリル20をハイブリッド車に装着すると、ハイブリッド車の燃費効率の悪化を防止することができる。一方、周囲温度が上昇したときは開口部24から突出部28が離れた状態(離間状態)となり、車両10の外部の空気が車両用グリル20の開口部24を通ってエンジンルーム12内に流れることができ(
図7(a)参照)、エンジンルーム12内の過剰な温度上昇を防止することができる。
【0024】
なお、車両用グリル20の温度上昇防止効果については、開口部24から突出部28が離れた状態(離間状態)における開口部24を通る空気の通気量とエンジンルーム12内の温度変化を調べることで評価することができる。すなわち、開口部24を通過する空気の通気量は、開口部24の開口割合によって決まる。開口部24の開口割合は、開口部24に対する突出部28の位置によって決まる。したがって、開口部24の開口割合を変えながら(開口部24に対する突出部28の位置を変えながら)、特定の環境温度下(たとえば25℃または35℃)でエンジンルーム12内の温度変化を検出し、車両用グリル20の温度上昇防止効果を評価することができる。そして、この評価結果に基づいて開口部24の開口割合を適切に設定することで、エンジンルーム12内の温度上昇を適切に防止することができる。
【0025】
ところで、移動機構36に用いるばね38(付勢部材の一例)の引張り力(付勢力)は、車両走行時にバックパネル部材26に作用する風圧を基に設定することができる。具体的には、車両10の走行速度を例えば80km/hに設定して、突出部28の表面積(開口部24面積)から突出部28に作用する風圧を計算し、その風圧に耐えうるように、突出部28を開口部24に押し付ける引張り力(付勢力)を設定する。したがって、車両10の走行速度が所定走行速度を超えないときは、突出部28が開口部24を閉じ、エンジンルーム12内への外気の侵入を防止する。一方、車両10が所定の走行速度以上で走行し、突出部28に作用する風圧がばね38の引張り力を超える場合、開口部24から突出部28が離れた状態(離間状態)となり、外気が開口部24を通ってエンジンルーム12内に流入する通気状態とする。
【0026】
このように車両走行時に作用する風圧を基にばね38(付勢部材の一例)の引張り力(付勢力)を設定して、車両用グリル20の通気状態または遮断状態を設定した場合、車両10が所定の走行速度以上で走行すると、車両用グリル20が通気状態に切替えられる。これによって、車両10の外部の空気が車両用グリル20及び連通路14を通ってエンジンルーム12内に流入するため、車両が所定速度以上で走行する際の、エンジンルーム12内の過剰な温度上昇を防止することができる。
【0027】
以上、上述した実施形態に係る車両用グリル20によれば、車両フロント16の美観を向上させて装飾性を高め、ユーザの購買意欲を喚起させることができる。また、車両用グリル20は、冬季低温時にエンジンルーム12内への冷気侵入を防止してエンジンルーム12内の保温を確保することができ、冬季の燃費効率の悪化を防止でき、省エネ及び低燃費を実現することができる。また、周囲温度が高温時及び所定速度以上の車両走行時にはエンジンルーム12内への空気の流入を許容し、エンジンルーム12の過熱を防止できる。
【0028】
なお、本明細書に開示の技術は上記した実施形態に限定されるわけではなく、種々の変更が可能である。たとえば、ベースパネル部材22及びバックパネル部材26の形状及び大きさは上記した以外のものでもよい。特に、ベースパネル部材22の開口部24の形状及び配置、及びバックパネル部材26の突出部28の形状及び配置は、必ずしも
図2に示すものに限定されるわけではなく、
図8(a)−(c)に示すような形状及び配置に変更してもよい。すなわち、開口部24a及び突起部28aの形状は、丸みを帯びた楕円形状になるようにしてもよい(
図8(a)参照)し、開口部24b及び突起部28bの形状を菱型状となるようにしたり(
図8(b)参照)、開口部24c及び突起部28cの形状を角形(四角形)状になるようにしてもよい(
図8(c)参照)。このようにベースパネル部材22と突出部28a、28b、28cの組み合わせにより、車両用グリル20に斬新なデザイン(図柄または模様)を付与することができる。そして、車両用フロントグリルのデザイン変更は、ベースパネル部材22と突出部28の組み合わせの変更により極めて容易になり、車両フロントの美観は多様なものになって、ユーザの購買意欲を喚起させることができる。
【0029】
また、ベースパネル部材22の開口部24の全てに対し、バックパネル部材26の突出部28を移動させる移動機構36を設ける必要はなく、特定(一部)の開口部24に対し突出部28を移動させるように移動機構36を設けて、通気及び遮断状態を設定できるようにしてもよい。
【0030】
また、移動機構36は、次のような構成からなっていてもよい。すなわち、
図9,10に示すベースパネル部材22の開口部24の周縁部は、バックパネル部材26の突出部28の周縁部と重なっており、この重なっている部分にシャフト部材34がベースパネル部材22とバックパネル部材26を貫通するように取付けられている。
図9に示すように、シャフト部材34には、ばね38と形状記憶材40が装着されている。形状記憶材40は、形状記憶合金で形成されており、ベースパネル部材22とバックパネル部材26との間に配置されている。ばね38は、バックパネル部材26の裏面側に配置され、バックパネル部材26をベースパネル部材22に向かって付勢する(すなわち、突出部28を開口部24に向かって前進移動させるように付勢する)。形状記憶材40は、所定温度以下では形状変化しない(延びない)。このため、環境温度が所定温度以下では、開口部24に突出部28が完全に挿入した挿入状態となり、エンジンルーム12への空気の流入が遮断される。一方、環境温度が上昇して所定温度以上となると、形状記憶材40が形状変化(延びる)する。これにより、バネ38の付勢力に抗して突出部28が挿入状態から後退移動し、開口部24を通ってエンジンルーム12に空気が流入可能な状態となる。
【0031】
また、全てのシャフト部材34のそれぞれに、ばね38及び形状記憶材40の両方を装着する必要はなく、例えば
図10に示すように、片側(左側)のシャフト部材34にばね38が装着され、反対側(右側)のシャフト部材34に形状記憶材40が装着されてもよい。また、ばね38を配置する位置については、ベースパネル部材22とバックパネル部材26との間にばねを配置し、ばねの収縮力によって突出部28が開口部24に挿入されるように前進移動させてもよい。なお、ばねの強度を手動操作等でもって外部から調整するようにしてもよい。また、バックパネル部材22及びベースパネル部材26を相互に連結する連結部材は連結シャフト以外のものを使用してもよい。また、他の変形例として、付勢手段としてのばね38及び形状記憶材40は、シャフト34以外の開口部24及び突出部28の近傍に配設してもよい。
【0032】
さらに、
図11に示す移動機構36を採用してもよい。
図11に示す移動機構36でも、ベースパネル部材22の開口部24の周縁部が、バックパネル部材26の突出部28の周縁部にシャフト部材34により連結されている。シャフト部材34には、ばね52と形状記憶材50が装着されている。形状記憶材50は、形状記憶合金で形成されており、ベースパネル部材22とバックパネル部材26との間に配置されている。ばね52は、バックパネル部材26の裏面側に配置され、バックパネル部材26をベースパネル部材22に向かって付勢する。ベースパネル部材22の裏面(バックパネル部材26側の面)にはプレート部材42が取付けられている。プレート部材42は、磁性材料(例えば、鉄鋼材料)によって形成されている。バックパネル部材26の表面(ベースパネル部材22側の面)及び裏面のそれぞれには、磁石44,46が取付けられている。磁石44,46には、例えば、ネオジウム磁石を用いることができる。シャフト部材34の後端54にはプレート部材48が取付けられている。プレート部材48は、磁性材料(例えば、鉄鋼材料)によって形成されている。磁石44とプレート部材42は、コイルばね形状に成形された形状記憶材50の内側に配置されており、磁石44とプレート部材42は一定の距離だけ離れて互いに対向している。磁石46とプレート部材48は、ばね52の内側に配置されており、磁石46とプレート部材48は一定の距離だけ離れて互いに対向している。そして、磁石44とプレート部材42との間の距離が短くなった場合、磁力により相互に吸着するのでプレート部材42と磁石44は磁力吸着部材として機能し、また、磁石46とプレート部材48との間の距離が短くなった場合、磁力により相互に吸着するので、プレート部材48と磁石46は磁力吸着部材として機能する。
【0033】
図11に示す移動機構36において、環境温度が所定温度以下のときは形状記憶材50が伸長しないため、ばね52の付勢力によってバックパネル部材26がベースパネル部材22に当接している。これによって、開口部24に突出部28が完全に挿入された挿入状態となり、エンジンルーム12への空気の流入が遮断される。この際、プレート部材42が磁石44に吸着されるため、バックパネル部材26とベースパネル部材22とが当接した状態に安定して保持される。すなわち、バックパネル部材26に外力が作用しても、ベースパネル部材22に対してバックパネル部材26が位置ずれすることが防止される。したがって、磁石44とプレート部材42が請求の範囲に記載された「第1保持手段」の一例であるが、第1保持手段は他の部品等からなっていてもよい。
【0034】
一方、環境温度が上昇して所定温度以上となると、形状記憶材50が伸長し、バネ38の付勢力に抗して突出部28(バックパネル部材26)が後退移動する。これによって、開口部24を通ってエンジンルーム12に空気が流入可能な状態となる。なお、バックパネル部材26がシャフト部材34の後端54と当接する位置の近傍まで移動すると、プレート部材48が磁石46に吸着される。これによって、バックパネル部材26に外力が作用しても、ベースパネル部材22に対してバックパネル部材26が変位することを防止することができる。したがって、磁石46とプレート部材48が、請求の範囲に記載された「第2保持手段」の一例であるが、第2保持手段は他の部品等からなっていてもよい。また、上記第1及び第2保持手段は、上記磁力吸着部材から構成されているが、それ以外の他の部材からなっていてもよい。
【0035】
なお、
図11に示す例では、磁石44,46とプレート部材42,48によってバックパネル部材26をベースパネル部材22に対して保持したが、このような形態には限られず、例えば、プレート部材42,48に代えて磁石を用いてもよい。プレート部材42,48を磁石に代えても、同様の効果を奏することができる。また、形状記憶材50、ばね52、磁石44,46、プレート部材42,48を配する位置は任意に調整可能であり、
図11に示すような例に限られない。例えば、形状記憶材50及びばね52を配した位置と異なる位置に、磁石とプレート部材を配するようにしてもよい。
【0036】
さらに、上述した実施形態では、車両10に固定されたベースパネル部材22に対してバックパネル部材26を移動させたが、車両10のバックパネル部材26を固定して、バックパネル部材26に対してベースパネル部材22を移動させるようにしてもよい。さらに、本明細書の車両グリルは、車両10のフロントグリル以外の位置(例えば、車両の後方側の位置または側方側の位置)に配置してもよい。
【0037】
また、上述した実施形態では、環境温度に応じて形状記憶材を変形させて車両用グリルの開口部を開閉したが、本明細書に開示の技術は、このような形態に限られない。例えば、形状記憶材を通電加熱することで形状記憶材の温度(すなわち、形状記憶材の形状)を制御し、車両用グリルの開口部を開閉するようにしてもよい。具体的には、環境温度(外気温度またはエンジン近くの環境温度、ラジエータ等の冷却水の温度等(以下、単に「環境温度」という))を温度センサ等の検出手段でもって検出し、温度センサで検出した温度が所定温度以下となると、形状記憶材を通電加熱して車両用グリルの開口部を閉じる。そして、環境温度が所定温度より高いときは、形状記憶材への通電を停止し、車両用グリルの開口部を開く。このような構成によると、通電加熱によって形状記憶材の形状を制御するため、温度センサの検出温度に基づいて安定して開口部を開閉することができる。なお、形状記憶材を通電加熱する構成を採用する場合、車両用グリルの開口部を閉じた状態で保持するためのロック機構を設けることが好ましい。ロック機構によって、ベースパネル部材に対するバックパネル部材の位置が保持されるため、車両用グリルの開口部が閉じた状態となった後(すなわち、ロック機構でロックした後)は、形状記憶材への通電を停止することができる。この場合に、車両用グリルの開口部を開くときは、別の形状記憶材を通電加熱することでロック機構を解除し、ばねの付勢力によって車両用グリルの開口部が開くようにすればよい。
【0038】
さらに、上述した実施形態では、形状記憶材とばねをベースパネル部材とバックパネル部材の近傍に配置したが、本明細書に開示の技術は、このような形態に限られない。例えば、バックパネル部材を駆動する機構(例えば、形状記憶材とばね)をベースパネル部材とバックパネル部材から離れた位置に配置し、他の機構(例えば、リンク機構、ケーブル機構)を介してバックパネル部材を駆動するようにしてもよい。
【0039】
なお、本明細書に開示の技術は、次のような技術的手段を採用してもよい。すなわち、
(技術的手段1) 車両に装着される車両用グリルであって、
前記車両の表面側に配置され、前記車両の表面のデザインの一部を構成するように配設された開口部を備えるベースパネル部材と、
前記ベースパネル部材の裏面側に配置され、前記開口部にフィットするように挿入可能な突出部を有するバックパネル部材と、
前記ベースパネル部材に対して前記バックパネル部材を、前記開口部に前記突出部が挿入されるように移動させるとともに、その挿入状態の突出部を開口部から離すように移動させることができる移動機構とを備え、
前記移動機構は、前記開口部に前記突出部を付勢する付勢部材と、その付勢部材の付勢力に抗する力を発生させる形状記憶材を備え、
前記付勢部材は、前記開口部及び前記突出部の近傍に配設され、
前記形状記憶材は、周囲温度の変化により形状が変形可能であり、前記付勢部材の近傍に配設され、
前記開口部に前記突出部が挿入された状態で、ベースパネル部材及びバックパネル部材の突出部の組み合わせにより車両の表面のデザインが形成されていることを特徴する車両用グリル。
【0040】
(技術的手段2) 技術的手段1に記載の車両用グリルにおいて、
前記移動機構は、前記ベースパネル部材の開口部の周縁部及び前記バックパネル部材の突出部の周縁部の重なる部分に、前記バックパネル部材及び前記ベースパネル部材を相互に連結するための連結用シャフト部材をさらに備え、
前記連結用シャフト部材の周囲に前記付勢部材及び前記形状記憶材を装着したことを特徴とする車両用グリル。
【0041】
(技術的手段3) 車両の表面に装着される通気遮断装置であって、
前記車両の表面側に配置され、開口部を備えるベースパネル部材と、
前記ベースパネル部材の裏面側に配置され、前記開口部に密接(フィット)するように挿入可能な突出部を有するバックパネル部材と、
前記ベースパネル部材に対して前記バックパネル部材を、前記開口部に前記突出部を挿入するように移動させるとともに、その挿入状態の突出部を開口部から離すように移動させることができる移動機構とを備え、
前記移動機構は、
前記ベースパネル部材の開口部の周縁部と、前記バックパネル部材の突出部の周縁部とが重なる部分に取付けられ、前記バックパネル部材と前記ベースパネル部材を相互に連結する連結用シャフト部材と、
前記連結用シャフト部材の周囲に装着され、前記突出部を前記開口部に付勢する付勢部材とを備えることを特徴とする通気遮断装置。
【0042】
(技術的手段4) 技術的手段1に記載の車両用グリル、又は、技術的手段3に記載の通気遮断装置において、
前記移動機構は、前記バックパネル部材を第1位置で保持するための第1保持手段と、前記バックパネル部材を第2位置で保持するための第2保持手段の少なくとも一方をさらに備えることを特徴とする車両用グリル又は通気遮断装置。