特許第5980296号(P5980296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5980296吹出し容積を有するインジェクタ用水侵入シール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980296
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】吹出し容積を有するインジェクタ用水侵入シール
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20160818BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20160818BHJP
   F02M 61/16 20060101ALI20160818BHJP
   F02M 65/00 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   F01N3/08 B
   B01D53/94 400
   B01D53/94 222
   F02M61/16 K
   F02M65/00 306Z
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-226098(P2014-226098)
(22)【出願日】2014年11月6日
(65)【公開番号】特開2015-94358(P2015-94358A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2014年11月6日
(31)【優先権主張番号】61/901,504
(32)【優先日】2013年11月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/509,216
(32)【優先日】2014年10月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】313005662
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティブ システムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CONTINENTAL AUTOMOTIVE SYSTEMS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ウェイン マクファーランド
【審査官】 永田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−517553(JP,A)
【文献】 特開2013−100740(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/039870(WO,A1)
【文献】 特開2003−49748(JP,A)
【文献】 特開平11−270442(JP,A)
【文献】 特表2001−527184(JP,A)
【文献】 特開2001−20827(JP,A)
【文献】 米国特許第6264112(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−3/38,
B01D 53/86−53/96,
F02M 51/06−51/08,61/16−61/20,65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体インジェクタであって、
ケーシングと、
該ケーシング内に収容される部分と、前記流体インジェクタの入口から流体を受け取る開いた端部とを有する入口チューブと、
前記ケーシングの表面と、前記入口チューブの表面と、前記流体インジェクタの入口の表面との間のシールを生ぜしめるように、前記入口チューブの一部の周囲に配置された一次的なシールと、
前記ケーシングの外周面に画定された溝と、
前記溝内に配置され、前記ケーシングと前記流体インジェクタの入口の一部との間のシールを画定する二次的なシールと、
前記ケーシングに画定され、前記溝と通じる凹部であって、該凹部によって、前記二次的なシール全体が、前記溝によって支持されなくなる、凹部と、
を備え、
前記凹部は、吹出し容積を画定し、これにより、前流体インジェクタの前記入口を通じて加圧された空気を送り込むことにより、前記一次的なシールが漏れ検査される場合に、前記加圧された空気が前記一次的なシールを通過し、前記二次的なシールの一部を非密閉位置に向かって前記吹出し容積内に移動させることで、前記一次的なシールの漏れが指摘され得るように構成されており、
前記流体インジェクタは、前記凹部および前記吹出し容積に通じる別の溝をさらに備え、前記別の溝は、前記二次的なシールが前記一次的なシールの漏れ検査中に前記非密閉位置に向かって移動された場合に、前記加圧された空気が前記二次的なシールの周囲を移動することを可能にするように構成されかつ配置されている、
ことを特徴とする、流体インジェクタ。
【請求項2】
前記凹部は、実質的にU字形であり、前記溝から軸方向に延びている、請求項1記載の流体インジェクタ。
【請求項3】
前記凹部は、約3.0mmの最大幅を有している、請求項2記載の流体インジェクタ。
【請求項4】
前記溝は、概して環状であり、前記二次的なシールはエラストマのOリングである、請求項1記載の流体インジェクタ。
【請求項5】
前記一次的なシールは、エラストマのOリングである、請求項1記載の流体インジェクタ。
【請求項6】
前記二次的なシールは、概して前記一次的なシールに隣接している、請求項1記載の流体インジェクタ。
【請求項7】
前記ケーシングに連結され、前記流体インジェクタの入口を画定する入口カップアセンブリをさらに備える、請求項1記載の流体インジェクタ。
【請求項8】
前記入口カップアセンブリに接続され、前記ケーシングの一部を取り囲むシールドをさらに備える、請求項7記載の流体インジェクタ。
【請求項9】
前記流体インジェクタは、選択触媒還元システムにおける還元剤搬送ユニットであり、前記一次的なシールは、尿素が前記入口カップアセンブリを通過して、前記ケーシングと前記入口チューブとの間に移動しないようにシールするために構成されかつ配置されており、前記二次的なシールは、液体が前記入口カップアセンブリを通過して、前記ケーシングと前記入口チューブとの間に移動しないようにシールするために構成されかつ配置されている、請求項7記載の流体インジェクタ。
【請求項10】
流体インジェクタの密閉が検査され得るように、流体インジェクタをシールする方法であって、前記流体インジェクタは、ケーシングと、該ケーシングに収容される部分を有する入口チューブとを備え、該入口チューブは、前記流体インジェクタの入口からの流体を受け取る開いた端部を有しており、該方法は、
前記ケーシングの表面と、前記入口チューブの表面と、前記流体インジェクタの入口の表面との間で第1のシールを生ぜしめるように、前記入口チューブの一部の周囲に配置された一次的なシールを設けるステップと、
前記ケーシングと、前記流体インジェクタの前記入口の一部との間の第2のシールを画定する二次的なシールを設けるステップであって、前記二次的なシールを設けるステップは、前記ケーシングの外周面に溝を設けるステップと、該溝内に前記二次的なシールを配置するステップとを有している、ステップと、
前記流体インジェクタの入口を通じて加圧された空気を送り込むによって前記一次的なシールを漏れ検査し、前記加圧された空気が前記一次的なシールを通過すると、前記二次的なシールが前記加圧された空気によって非密閉位置へと移動されるようになっていて、これにより前記一次的なシールの漏れを指摘することを確実にするステップと、
を有し、
前記一次的なシールの漏れを指摘することを確実にするステップは、前記ケーシングに、前記溝に連通する凹部を設けるステップを有し、該凹部によって、前記二次的なシール全体が、前記溝によって支持されなくなり、前記二次的なシールの前記非密閉位置において、該二次的なシールの一部は前記凹部に進入するようになっており、
前記流体インジェクタは、前記凹部と、前記凹部が画定する吹出し容積とに通じる別の溝をさらに有し、前記別の溝は、前記二次的なシールが前記一次的なシールの漏れ検査中に前記非密閉位置に向かって移動された場合に、前記加圧された空気が前記二次的なシールの周囲を移動することを可能にするように構成されかつ配置されている、
ことを特徴とする、流体インジェクタをシールする方法。
【請求項11】
前記流体インジェクタは、前記ケーシングに連結され、前記流体インジェクタの前記入口を画定する入口カップアセンブリをさらに備えており、前記一次的なシールは、前記ケーシングの表面と、前記入口チューブの表面と、前記入口カップアセンブリの表面との間で第1のシールを画定し、前記二次的なシールは、前記ケーシングと、前記入口カップアセンブリの表面との間で第2のシールを画定する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記流体インジェクタは、選択触媒還元システムにおける還元剤搬送ユニットであり、前記一次的なシールを設けるステップは、尿素が前記入口カップアセンブリを通過して、前記ケーシングと前記入口チューブとの間に移動しないようにシールする前記第1のシールを画定し、前記二次的なシールを設けるステップは、液体が前記入口カップアセンブリを通過して、前記ケーシングと前記入口チューブとの間に移動しないようにシールする前記第2のシールを画定する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記流体インジェクタは、前記入口カップアセンブリに接続され、前記ケーシングの一部を取り囲むシールドをさらに備え、前記二次的なシールが、前記シールド内に進入し得る水の侵入を防護している、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記溝を設けるステップは、環状の溝を設けることを含み、前記二次的なシールは、前記環状の溝内に配置されたOリングである、請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記凹部を、ほぼU字形に設け、該凹部は、前記溝から軸方向に延びている、請求項14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2013年11月8日に出願された米国仮特許出願第61/901504号の優先権を請求する。該米国仮出願の内容は援用により本明細書の一部を構成するものとする。
【0002】
本発明は概して、インジェクタに液体が侵入することを阻止するために使用される二次的なシールに関し、特に、二次的なシールの一部を収容することができる吹出し容積に関する。
【背景技術】
【0003】
図1および図2を参照すると、選択触媒還元(SCR)システムにおける還元剤搬送ユニット(RDU)として使用するための、概して符号10で示された流体インジェクタが、インジェクタ10内に導入される尿素をシールし、かつインジェクタ10の内室16に液体(たとえば水)が侵入することを阻止するために、一次的なOリング12を有している。一次的なシール12をもってしても、図2に矢印で示されているように、水がシールド14を通じて侵入し、一次的なOリング12の下方に移動して、インジェクタ10の、(ケーシング26と入口チューブ30との間の)内室16内に入ることがある。一次的なOリング12の下方への水のこのような侵入は、腐食および/または電気的な短絡回路をもたらし得る。
【0004】
図3に関して、出願人は、一次的なOリング12の下方に移動し得る水の侵入を排除するために、二次的なシールまたはOリング18を追加した。しかし、二次的なシール18は、一次的なOリング12を効果的に検査することを妨害することがわかった。一次的なOリング12の故障は、AUS32(尿素、図3において矢印により示されている)をインジェクタ10の内室16内へと送り込み、このことは早期のインジェクタ故障を招く。
【0005】
したがって、インジェクタにおいて、インジェクタ内への液体の侵入を阻止する一方で、一次的なシールの効果的な検査を可能にする二次的なシールに対する需要が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上述の需要を満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明による構成では、ケーシングと、該ケーシング内に収容される部分と、インジェクタの入口から流体を受け取る開いた端部とを有する入口チューブと、前記ケーシングの表面と、前記入口チューブの表面と、前記インジェクタの入口の表面との間のシールを生ぜしめるように、前記入口チューブの一部の周囲に配置された一次的なシールと、前記ケーシングの外周面に画定された溝と、前記溝内に配置され、前記ケーシングと前記インジェクタの入口の一部との間のシールを画定する二次的なシールと、前記ケーシングに画定され、前記溝と通じる凹部(切欠き)であって、該凹部によって、前記二次的なシール全体が、前記溝によって支持されなくなる、凹部と、を備えた流体インジェクタにおいて、前記凹部は、吹出し容積を画定し、これにより、前記一次的なシールが、前記インジェクタの前記入口を通じて加圧された空気を送り込むことにより漏れ検査される場合に、加圧された空気が前記一次的なシールを通過し、前記二次的なシールの一部を非密閉位置に向かって前記吹出し容積内に移動させることで、前記一次的なシールの漏れが指摘され得る。
【0008】
本発明の好適な態様では、前記凹部は、実質的にU字形であり、前記溝から軸方向に延びている。
【0009】
本発明の好適な態様では、前記凹部は、約3.0mmの最大幅を有している。
【0010】
本発明の好適な態様では、前記溝は、概して環状であり、前記二次的なシールはエラストマのOリングである。
【0011】
本発明の好適な態様では、前記一次的なシールは、エラストマのOリングである。
【0012】
本発明の好適な態様では、前記二次的なシールは、概して前記一次的なシールに隣接している。
【0013】
本発明の好適な態様では、前記ケーシングに連結され、前記インジェクタの入口を画定する入口カップアセンブリをさらに備える。
【0014】
本発明の好適な態様では、前記入口カップアセンブリに接続され、前記ケーシングの一部を取り囲むシールドをさらに備える。
【0015】
本発明の好適な態様では、前記インジェクタは、選択触媒還元システムにおける還元剤搬送ユニットであり、前記一次的なシールは、尿素が前記入口カップアセンブリを通過して、前記ケーシングと前記入口チューブとの間に移動しないようにシールするために構成されかつ配置されており、前記二次的なシールは、液体が前記入口カップアセンブリを通過して、前記ケーシングと前記入口チューブとの間に移動しないようにシールするために構成されかつ配置されている。
【0016】
本発明の好適な態様では、前記凹部に通じる溝をさらに備え、該溝は、前記二次的なシールが前記一次的なシールの漏れ検査中に非密閉位置に向かって移動された場合に、空気が二次的なシールの周囲を移動することを可能にするように構成されかつ配置されている。
【0017】
さらに、インジェクタの密閉が検査され得るように流体インジェクタをシールする、上記課題を解決した本発明に係る方法では、前記インジェクタは、ケーシングと、該ケーシングに収容される部分を有する入口チューブとを備え、該入口チューブは、前記インジェクタの入口からの流体を受け取る開いた端部を有しており、該方法は、前記ケーシングの表面と、前記入口チューブの表面と、前記インジェクタの入口の表面との間で第1のシールを生ぜしめるように、前記入口チューブの一部の周囲に配置された一次的なシールを設けるステップと、前記ケーシングと、前記インジェクタの前記入口の一部との間の第2のシールを画定する二次的なシールを設けるステップと、前記インジェクタの入口を通じて加圧された空気を送り込むによって前記一次的なシールを漏れ検査し、前記加圧された空気が前記一次的なシールを通過すると、前記二次的なシールが前記加圧された空気によって非密閉位置へと移動されるようになっていて、これにより前記一次的なシールの漏れを指摘することを確実にするステップとを有する。
【0018】
本発明の好適な態様では、前記インジェクタは、前記ケーシングに連結され、前記インジェクタの前記入口を画定する入口カップアセンブリをさらに備えており、前記一次的なシールは、前記ケーシングの表面と、前記入口チューブの表面と、前記入口カップアセンブリの表面との間で第1のシールを画定し、前記二次的なシールは、前記ケーシングと、前記入口カップアセンブリの表面との間で第2のシールを画定する。
【0019】
本発明の好適な態様では、前記インジェクタは、選択触媒還元システムにおける還元剤搬送ユニットであり、前記一次的なシールを設けるステップは、尿素が前記入口カップアセンブリを通過して、前記ケーシングと前記入口チューブとの間に移動しないようにシールする前記第1のシールを画定し、前記二次的なシールを設けるステップは、液体が前記入口カップアセンブリを通過して、前記ケーシングと前記入口チューブとの間に移動しないようにシールする第2のシールを画定する。
【0020】
本発明の好適な態様では、前記インジェクタは、前記入口カップアセンブリに接続され、前記ケーシングの一部を取り囲むシールドをさらに備え、前記二次的なシールが、前記シールド内に進入し得る水の侵入を防護している。
【0021】
本発明の好適な態様では、前記二次的なシールを設けるステップは、前記ケーシングの外周面に溝を設けるステップと、該溝内に前記二次的なシールを配置するステップとを有する。
【0022】
本発明の好適な態様では、前記溝を設けるステップは、環状の溝を設けることを含み、前記二次的なシールは、前記環状の溝内に配置されたOリングである。
【0023】
本発明の好適な態様では、前記一次的なシールの漏れを指摘することを確実にするステップは、前記ケーシングに、前記溝に連通する凹部を設けるステップを有し、該凹部に基づいて、前記二次的なシール全体が、前記溝によって支持されなくなり、前記二次的なシールの非密閉位置において、該二次的なシールの一部は前記凹部に進入するようになっている。
【0024】
本発明の好適な態様では、前記凹部を、ほぼU字形に設け、該凹部は、前記溝から軸方向に延びている。
【0025】
本発明の好適な態様では、前記二次的なシールが、前記一次的なシールの漏れ検査中に非密閉位置に向かって移動すると、空気は前記二次的なシールの周辺を移動するようになっている。
【発明の効果】
【0026】
実施の形態に原理によれば、上記課題は、ケーシングと、該ケーシング内に収容される部分を備える入口チューブとを備えた流体インジェクタを提供することにより解決される。入口チューブは、インジェクタの入口からの流体を受け取る開いた端部を有している。一次的なシールは、入口チューブの一部の周囲に配置されており、これにより、ケーシングの表面、入口チューブの表面およびインジェクタの入口の表面の間のシールを生ぜしめる。ケーシングの外周面に溝が画定されており、該溝内には二次的なシールが配置され、ケーシングとインジェクタの入口の一部との間のシールを画定している。ケーシングには凹部が画定されており、溝に通じているので、凹部に基づいて、二次的なシール全体が溝によって支持されなくなる。凹部は、吹出し容積を画定し、これにより、インジェクタ入口を通じて加圧された空気を送り込むことによって一次的なシールが漏れ検査される場合に、加圧された空気が一次的なシールを通過し、二次的なシールの一部を非密閉位置に向かって吹出し容積内へと移動させることで、一次的なシールの漏れが指摘され得る。
【0027】
実施の形態の別の態様では、流体インジェクタをシールする方法が提供される。インジェクタは、ケーシングと、該ケーシング内に収容される部分を有する入口チューブとを備えている。入口チューブは、インジェクタの入口からの流体を受け取る開いた端部を有している。この方法は、ケーシングの表面、入口チューブの表面およびインジェクタの入口の表面の間で第1のシールを生ぜしめるように、入口チューブの一部の周囲に配置された一次的なシールを設ける。二次的なシールは、ケーシングと、インジェクタの入口の一部との間で第2のシールを画定する。インジェクタの入口を通じて加圧された空気を送り込むことにより一次的なシールが漏れ検査され、加圧された空気が一次的なシールを通過すると、この方法は、二次的なシールが加圧された空気によって非密閉位置へと移動され、これにより、一次的なシールの漏れを指摘することを確実にする。
【0028】
本発明の別の対象、性質および特徴、構造体の重要なエレメントを運転する方法および機能、部品の組合せならびに製造の経済性は、図面に関連した以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲に基づいてより明らかになる。詳細な説明、特許請求の範囲および図面は全て、明細書の一部を成している。
【0029】
本発明は、本発明の好適な実施の形態の以下の説明と添付の図面とからより良好に理解され得る。同様の参照番号は同様の部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】液体の進入を阻止するための一次的なOリングを備えた従来の流体インジェクタの断面図である。
図2図1において囲まれた部分2を示す拡大図である。
図3図1に示したインジェクタに設けられた二次的なOリングを示す拡大された部分図である。
図4】本発明の実施の形態に係る、一次的なシールと、二次的なシールと、吹出し容積とを有する流体インジェクタを、入口カップアセンブリおよびシールドを取り除いた状態で示す斜視図である。
図5図4において囲まれた部分5を示す拡大図である。
図6図4に示したインジェクタの断面図を、通常に機能している二次的なシールと共に示す図である。
図7図6において囲まれた部分7を示す拡大図である。
図8図7に示したインジェクタの部分図を、一次的なシールの検査中に該一次的なシールが故障し、二次的なシールが吹出し容積内に押し出されている状態で示す図である。
図9】溝および二次的なシールを迂回して通る空気の漏れ経路を示す、図5に示したインジェクタの吹出し容積の溝を示す図である。
【0031】
好適な(複数の)実施の形態に関する以下の説明は、単に例示的な性質のものであり、本願発明、その適用または使用を制限するものではない。
【0032】
図4および図6を参照すると、実施の形態による流体インジェクタが、概して符号10’で示されている。インジェクタ10’は、選択触媒還元(SCR)システムにおいて使用するための還元剤搬送ユニット(RDU)として構成されかつ配置されている。図6に示されているように、インジェクタ10’は、入口カップアセンブリを有している。入口カップアセンブリは、インジェクタ10’の入口を画定しているカップチューブ22に連結された入口カップ20を有している。カップチューブ22は、インジェクタ10’内に導入するための尿素のような流体の供給源に接続されているように、構成されかつ配置されている。入口カップ20は、シールド14に連結されている。シールド14は、実質的にケーシング26を取り囲んでいる。ケーシング26は、電気的なコネクタ28を有している。図4は、入口カップアセンブリやシールド14を示していないので、これらの内側の構成部材をはっきりと見ることができる。
【0033】
入口チューブ30の一部は、ケーシング26内に配置されている。入口チューブ30は、インジェクタ10’から噴射される流体を入口カップアセンブリから受け取る開いた端部31を有している。インジェクタ10’の内室16内に液体(例えば、水)が移動することを阻止するために、Oリング12のような一次的なシールが、円筒形の入口チューブ30の上側部分の周囲に、ケーシング26に隣接して配置されている。一次的なシール12は、尿素が入口カップ20を通過して、ケーシング26と入口チューブ30との間に移動しないようにシールする。したがって、一次的なシール12は、入口カップ20の内面32と、入口チューブ30の外面34と、ケーシング26の上面36との間のシールを提供している。エラストマのOリングのような二次的なシール18は、概して一次的なシール12に隣接しているケーシング26の外周面に形成された環状の溝38内に配置されている。二次的なシール18は、ケーシング26と入口カップ20との間で、シールド14を通じて侵入し得る水が内室16内へと漏れることを阻止するシールを画定する。ケーシング26の一部として形成され、かつ溝38に通じた凹部40が設けられている。凹部40は、概して符号42で示される吹出し容積を画定する。凹部40は、軸方向で溝38から延びている。したがって、凹部40に基づいて、溝38は、ケーシング26の周囲で360°未満しか延びておらず、二次的なシール18の小さな部分は支持されないままである。凹部40は、ケーシング26を成形すると同時に溝38に通じるように成形される。吹出し容積42の機能を以下に説明する。
【0034】
図8に関して、インジェクタ10’の組立てプロセス中に、一次的なシール12は、該シールが適切に機能するかを確認するために検査される。一次的なシール12を検査するために、加圧された空気Pが、カップチューブ22内に送り込まれ(インジェクタ10’の下端部も、インジェクタ10’の内部で圧力が形成されるようにシールされている。)、これにより一次的なシール12が加圧された空気にさらされる。一次的なシール12が損傷しているか、または適切に機能しない場合、加圧された空気が一次的なシール12を通過し、その結果、二次的なシール18が加圧された空気にさらされ、このことは二次的なシール18の一部を、凹部40の吹出し容積42内への押出しにより、非密閉位置へと移動させる。したがって、二次的なシール18は、非密閉領域に移動するので、不良な一次的なシール12に基づく漏れが検出され得る。二次的なシール18は、吹出し容積42内へ押し出されるように十分にフレキシブルでなければならないが、組立て中および通常の使用中に適切な位置に留まることができるように十分に硬くなければならない。
【0035】
本実施の形態では、凹部40は、概してU字形であり、3.0mmの最大幅を有している。しかし、別の形状および幅が使用され得ることも本発明の範囲内である。
【0036】
図5に関して、凹部40および吹出し容積42に小さな溝44が通じている。この溝44は、漏れ検査中の圧力の解放前に、二次的なシール18が比較的少なく移動することを可能にする。この溝44は、インジェクタ10’が、入口カップ20内に深く挿入されている場合に必要である。なぜならば、二次的なシール18が吹き出されず、誤った漏れ計測をもたらすからである。図9の矢印は、一次的なシール12の検査中に二次的なシール18が非密閉位置へと移動した場合の、溝44を使用した、二次的なシール18の周辺の空気通路を示している。
【0037】
したがって、二次的なシール18は、水が一次的なシール12を通過した場合でさえ、インジェクタ10’の内室16のさらなる密閉を提供する。二次的なシール18の一部を収容する吹出し容積42は、一次的なシール12の完全性およびインジェクタ10’の内室内への尿素の侵入の阻止を確実にするために、一次的なシール12が漏れ検査されていることを可能にする。
【0038】
本発明の説明は、単に例示的な性質のものであり、したがって、本発明の主旨から離れることない変更は、本発明の範囲に含まれることとする。そのような変化形は、本発明の精神および範囲から逸脱するものとはみなされない。
【符号の説明】
【0039】
10,10’ インジェクタ
12 一次的なシール/Oリング
14 シールド
16 内室
18 二次的なシール
20 入口カップ
22 カップチューブ
26 ケーシング
28 電気的なコネクタ
30 入口チューブ
32 入口カップの内面
34 入口チューブの外面
36 ケーシングの上面
38 溝
40 凹部
42 吹出し容積
44 溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9