(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの結合性ゲル化アジュバントは、20℃で0.3g/100ml未満の水溶性を有し、かつ、水中で前記水溶性ブロックコポリマーと水溶性分子間複合体を形成可能である、請求項1に記載の組成物。
前記少なくとも1つの結合性ゲル化アジュバントは、オキシアルキル化脂肪族アルコール、オキシアルキル化脂肪族アルコールのエステル、オキシアルキル化アルキルアリールアルコール、脂肪族ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ヒドロキシカルボン酸のエステル、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸のエステル、ポリ(ヒドロキシカルボン酸)、オキシアルキル化ソルビタンエステル、オキシアルキル化トリグリセリド、オキシアルキル化グリセリルエステル、オキシアルキル化ソルビトールのエステル、ポリオールエステル、ソルビタンエステル、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
前記オキシアルキル化脂肪族アルコールは、ラウレス−2、ラウレス−3、ラウレス−4、ラウレス−5、およびラウレス−6;オレス−2、オレス−5、およびオレス−10からなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
前記オキシアルキル化脂肪族アルコールのエステルは、アジピン酸ジ−PPG−2ミレス−9、アジピン酸ジ−PPG−2ミレス−10、およびアジピン酸ジ−PPG−2ミレス−11からなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
前記少なくとも1つの薬剤または診断化合物は、抗細菌性物質、抗ヒスタミン、充血除去剤、抗炎症剤、縮瞳剤、抗コリン作動剤、散瞳剤、抗緑内障化合物、抗寄生虫剤、抗ウイルス性化合物、炭酸脱水酵素阻害剤、診断剤、眼剤、キレート剤、免疫抑制剤、抗代謝物質、麻酔剤、抗真菌化合物、抗アメーバ性化合物、殺トリコモナス剤、鎮痛剤、抗関節炎剤、抗ぜんそく剤、抗凝固剤、抗痙攣剤、抗うつ剤、抗糖尿病剤、抗腫瘍形成剤、抗精神病剤、抗高血圧剤、筋弛緩剤、タンパク質、ペプチド、ざ瘡治療剤、潤滑剤、および、これらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
(a) 20℃未満の温度の水中で少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有する前記水溶性ブロックコポリマーを溶解するステップと、
(b) 次に、好適な温度で少なくとも1つの有効な量の薬剤または診断化合物と混合し、前記薬剤または診断化合物を得られた水溶液中で実質的に均一に溶解または分散させるステップと、
(c) 最後に、好適な温度で少なくとも1つの結合性ゲル化アジュバントを混合し、逆熱可逆性の医薬および/または診断ヒドロゲル組成物を形成するステップとを含む、請求項11に記載の組成物を調製するための方法。
前記少なくとも1つの化粧料活性成分は、精油、保湿保持剤、皮膚美容剤、日焼け止め、制汗剤、ビタミン、アミノ酸、抗ざ瘡剤、防腐剤、抗菌剤、亜鉛塩、歯のホワイトニング剤、脱毛剤、フレグランス油、防虫剤、酸化防止剤、キレート剤、冷媒、抗炎症剤、塩類、着色剤、微粒子フィラー、および、これらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載の組成物。
(a) 20℃未満の温度の水中で少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有する前記水溶性ブロックコポリマーを溶解するステップと、
(b) 次に、好適な温度で有効な量の少なくとも1つの化粧料活性成分と混合し、前記化粧料活性成分を得られた水溶液中で実質的に均一に溶解または分散させるステップと、
(c) 最後に、好適な温度で少なくとも1つの結合性ゲル化アジュバントを混合し、逆熱可逆性の化粧料ヒドロゲル組成物を形成するステップとを含む、請求項16に記載の組成物を調製する方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有する水溶性ブロックコポリマーと、20℃で0.5g/100ml未満、好ましくは0.3g/100ml未満の水溶性を有し、かつ、水中で上記水溶性ブロックコポリマーと水溶性分子間複合体を形成可能である少なくとも1つの結合性ゲル化アジュバントとを含有する、
逆熱可逆性のヒドロゲル組成物に関する。
【0023】
本発明はさらに、約4〜45℃の範囲、好ましくは約8〜40℃の範囲の調整可能なゾル−ゲル転移温度を有し、少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有する水溶性ブロックコポリマーと、20℃で0.5g/100ml未満、好ましくは0.3g/100ml未満の水溶性を有し、かつ、水中で上記水溶性ブロックコポリマーと水溶性分子間複合体を形成可能である少なくとも1つの結合性ゲル化アジュバントとを含有する、
逆熱可逆性のヒドロゲル組成物に関する。
【0024】
本発明は、さらに、約4〜45℃の範囲、好ましくは約8〜40℃の範囲の調整可能なゾル−ゲル転移温度を有し、少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有する水溶性ブロックコポリマーと、20℃で0.5g/100ml未満、好ましくは0.3g/100ml未満の水溶性を有し、かつ、水中で上記水溶性ブロックコポリマーと水溶性分子間複合体を形成可能である少なくとも1つの結合性ゲル化アジュバントと、有効な量の少なくとも1つの薬剤とを含有する、
逆熱可逆性のヒドロゲル組成物に関する。
【0025】
本発明はさらに、約4〜45℃の範囲、好ましくは約8〜40℃の範囲の調整可能なゾル−ゲル転移温度を有し、少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有する水溶性ブロックコポリマーと、20℃で0.5g/100ml未満、好ましくは0.3g/100ml未満の水溶性を有し、かつ、水中で上記水溶性ブロックコポリマーと水溶性分子間複合体を形成可能である少なくとも1つの結合性ゲル化アジュバントと、有効な量の少なくとも1つの化粧料活性成分とを含有する、
逆熱可逆性のヒドロゲル組成物に関する。
【0026】
本発明はさらに、約4〜50℃、好ましくは約8〜45℃の温度範囲のゲル形態を有し、少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有する水溶性ブロックコポリマーと、20℃で0.5g/100ml未満、好ましくは0.3g/100ml未満の水溶性を有し、かつ、水中で上記水溶性ブロックコポリマーと水溶性分子間複合体を形成可能である少なくとも1つの結合性ゲル化アジュバントとを含有する、
逆熱可逆性のヒドロゲル組成物に関する。
【0027】
本発明はさらに、約4〜50℃、好ましくは約8〜45℃の温度範囲のゲル形態を有し、少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有する水溶性ブロックコポリマーと、20℃で0.5g/100ml未満、好ましくは0.3g/100ml未満の水溶性を有し、かつ、水中で上記水溶性ブロックコポリマーと水溶性分子間複合体を形成可能である少なくとも1つの結合性ゲル化アジュバントと、有効な量の少なくとも1つの薬剤とを含有する、
逆熱可逆性のヒドロゲル組成物に関する。
【0028】
本発明はさらに、約4〜50℃、好ましくは約8〜45℃の温度範囲のゲル形態を有し、少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有する水溶性ブロックコポリマーと、20℃で0.5g/100ml未満、好ましくは0.3g/100ml未満の水溶性を有し、かつ、水中で上記水溶性ブロックコポリマーと水溶性分子間複合体を形成可能である少なくとも1つの結合性ゲル化アジュバントと、有効な量の少なくとも1つの化粧料活性成分とを含有する、
逆熱可逆性のヒドロゲル組成物に関する。
【0029】
本明細書および添付の請求項で用いられる、本発明のヒドロゲル組成物に関する「ゲル」という単語は、その組成物が、軟らかくて弱い特性から硬くて強い特性まで有し得る固体のゼリー状材料であることを意味する。ゲルは希薄系であり、定常状態にあるときに全く流動を示さない。
【0030】
ゾル−ゲルまたはゲル−ゾル転移温度は、バイアル反転法により目視で求められたゲル融解温度として観察された。サンプルバイアルを反転させた状態で水浴中に浸漬し、温度を徐々に低下または上昇させた。ゲル溶解温度をゲルが流動し始めた点としてみなした。
【0031】
本明細書で用いられる「
逆熱可逆性の」ゲルという用語により、ゲル化のプロセスが、温度の低下でなく温度の上昇の際に起きることを意味する。溶液粘性は、典型的には温度の上昇とともに減少するため、このことは直感に反する。
【0032】
本明細書で用いられる「使用条件」という用語により、組成物が出荷中および保存中ならびに医療中またはパーソナルケア中を含む、その使用中に晒される可能性の高いすべての条件を意味する。
【0033】
本明細書および添付の請求項において、電解質(たとえば塩)、塩基、希釈剤、防腐剤、バッファーおよび他の賦形剤について述べるときに用いられる、「医薬上許容される」、「生理上許容される」、および「化粧料上許容される」、ならびにこれらの文法上のバリエーションは、交換可能に用いられ、材料が刺激、痒み、刺痛、または、悪心、めまいなどの全身作用などの望ましくない生理的作用を生じることなく、ヒトの皮膚、食道、耳、膣、直腸、または眼球に局所投与することが可能であることを表わす。
【0034】
本明細書中で述べる全てのパーセントは、別段の指定がない限り、重量パーセントである。
【0035】
少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有する水溶性ブロックコポリマー。
【0036】
「ポリエチレンオキシド」、「PEO」、「EO」、「ポリエチレングリコール」および「PEG」という用語は、本発明を説明するために交換可能に用いられ、以下の化学構造によって表わされるエチレンオキシドの合成ポリマーを指す。
【0038】
(式中、aはモノマー繰返し単位の平均数を表わす整数である。)
「ポリプロピレンオキシド」、「PPO」、「PO」、「ポリプロピレングリコール」、および「PPG」という用語は、本発明を説明するために交換可能に用いられ、以下の化学構造によって表わされるプロピレンオキシドの合成ポリマーを指す。
【0040】
(式中、bはモノマー繰返し単位の平均数を表わす整数である。)
ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのブロックコポリマーは、異なる分子量を有し、かつ、直鎖マルチブロックコポリマー、側鎖グラフトブロックコポリマー、およびハイパーブランチブロックコポリマーから星型ブロックコポリマーまで、さまざまな種類のポリエチレンオキシドブロック(一般式1)およびポリプロピレンオキシドブロック(一般式2)の合成コポリマーを指し、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのブロックコポリマーは、さまざまな種類の末端修飾および鎖延長ブロックコポリマーも含む。
【0041】
特に興味深いのは、本発明の水溶性ブロックコポリマーは、少なくとも2つの一般式−[CH
2CH
2O]
a−のポリエチレンオキシドのブロック、および、少なくとも1つの一般式−[CH
2CH(CH
3)O]
b−のポリプロピレンオキシドを含有するブロックコポリマーであり、式中、aおよびbは、各々約10〜150の範囲の整数であり、ポリマー中のモノマー繰返し単位の平均数を表わす。
【0042】
本発明の少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有する例示的な水溶性ブロックコポリマーは、ニュージャージー州、マウントオリーブのBASF株式会社によるポロクサマーとしても知られ、プルロニック(登録商標)の商品名で販売されているトリ−ブロックコポリマーである。一般式HO−(EO)
a(PO)
b(EO)
a−Hを有する好ましいポロクサマーポリマーは、それぞれ、aの平均値が約101であり、bの平均値が約56であるプルロニック(登録商標)F127(ポロクサマー407としても知られる)、および、aの平均値が約141であり、bの平均値が約44であるプルロニック(登録商標)F108(ポロクサマー338としても知られる)である。
【0043】
本発明の他の例示的な少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有する水溶性ブロックコポリマーは、一般式HO−[(PO)
b(EO)
a]
m(PO)
c[(EO)
a(PO)
b]
m−H(式中、(EO)
aはポリエチレンオキシドブロックであり、(PO)
bまたは(PO)
cはポリプロピレンオキシドブロックであり、a、bおよびcは各々約10〜150の範囲の整数であり、mは0より大きい整数である)を有する直鎖マルチブロックコポリマーである。
【0044】
本発明の他の水溶性マルチブロックコポリマーは、一般式{[A
n(EO)
a(PO)
b(EO)
aA
n]E}
mの鎖延長、ハイパーブランチ、または星型ブロックコポリマー(式中、(EO)
aはポリエチレンオキシドブロックであり、(PO)
bはポリプロピレンオキシドブロックであり、Aはモノマー繰返し単位であり、Eは鎖延長剤または架橋剤であり、nは0〜50、好ましくは1〜20(非生分解性材料の場合、0〜20)、より好ましくは2〜16(非生分解性材料の場合、0〜16)の範囲の整数であり、mはポリマー分子中の繰返し単位の数であり、2以上(実用限度内では、約100,000以上まで)、好ましくは約2〜約500の範囲、より好ましくは約3〜100の範囲の整数である)である。したがって、nが0の場合、本発明は、{[(EO)
a(PO)
b(EO)
a]E}
mの構造のポリマーを意図する。
【0045】
本発明の他の水溶性ブロックコポリマーは、一般式R−G−(EO)
a(PO)
b(EO)
a−G−R,,(式中、(EO)
aはポリエチレンオキシドブロックであり、(PO)
bはポリプロピレンオキシドブロックであり、GはC−C、C−O、C(O)NH、S−C.C(O)−O、およびSi−Oからなる群から選択され、RはC
6−C
36の範囲のアルキル鎖長を有するアルキルまたはアリールアルキルであり、aは50〜150の範囲の整数であり、bは35〜70の範囲の整数である)の末端修飾ブロックコポリマーである。
【0046】
例示的な水溶性ブロックコポリマーは、末端アルキル基またはアリールアルキル基とのアルコール縮合反応の生成物である、少なくとも2つのブロックのポリエチレンオキシドおよび少なくとも1つのブロックのポリプロピレンオキシドを含有する、アルキルまたはアリールアルキル末端修飾基ブロックコポリマーである。アルキル基は、ブチル、ヘキシルなどの疎水性を有さなくてはならない。アルキルポロクサマーは、一般式R―[(EO)
a(PO)
b(EO)
a]
m−R’(式中、(EO)
aはポリエチレンオキシドブロック、(PO)
bはポリプロピレンオキシドブロック、RおよびR’は、C
6−C
36の範囲内のアルキル鎖長を有するアルキルおよびアリールアルキルなどの非極性ペンダント基である)を有してもよい。
【0047】
本発明の他の例示的な水溶性ブロックコポリマーは、少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックのグラフトされた側鎖を含有し、かつ、一般式[A(EO)
a(PO)
b(EO)
a]
m(式中、(EO)
aはポリエチレンオキシドブロックであり、(PO)
bはポリプロピレンオキシドブロックであり、aおよびbは各々約10〜150の範囲の整数である)を有する、グラフトされたブロックコポリマーである。Aは、ビニル、エステル、アミド、イミド、エーテル、シロキサン結合などからなるコポリマーのバックボーンの繰返し単位であり、mは、ポリマー分子中の繰返し単位の数であり、2以上の整数である。本発明の他の水溶性マルチブロックコポリマーは、一般式{[A
n(EO)
a(PO)
b(EO)
aA
n]E}
m(式中、(EO)
aはポリエチレンオキシドブロックであり、(PO)
bはポリプロピレンオキシドブロックであり、Aはモノマー繰返し単位であり、(EO)
aはポリエチレンオキシドブロックであり、(PO)
bは先に定義したようなポリプロピレンオキシドブロックであり、Eは鎖延長剤または架橋剤であり、nは0〜50、好ましくは1〜20(非生分解性材料の場合、0〜20)、より好ましくは2〜16(非生分解性材料の場合、0〜16)の範囲の整数であり、mはポリマー分子中の繰返し単位の数であり、2以上(実用限度内では、約100,000以上まで)、好ましくは約2〜約500の範囲、より好ましくは約3〜100の範囲の整数である)のポリエステル鎖延長ブロックコポリマーである。したがって、nが0の場合、本発明は、{[(EO)
a(PO)
b(EO)
a]E}
mの構造のポリマーを意図する。
【0048】
モノマー繰返し単位は、脂肪族ヒドロキシカルボン酸または関連エステル、ラクトン、二量体エステル、カーボネート、無水物、ジオキサノン、アミドまたは関連モノマーに由来し得、好ましくは、脂肪族α−ヒドロキシカルボン酸または関連エステルに由来し得、このような単位は、たとえば、乳酸、ラクチド、グリコール酸、グリコリド、または関連脂肪族ヒドロキシルカルボン酸、エステル(ラクトン)、ダイマー酸または関連化合物、たとえば、β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン、δ−グルタロラクトン、δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、p−ジオキサノン、1,4−ジオキセパン−2−オン、3−メチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、3,3−ジメチル−1−4−ジオキサン−2,5−ジオン、α−ヒドロキシ酪酸の環状エステル、α−ヒドロキシ吉草酸、α−ヒドロキシイソ吉草酸、α−ヒドロキシカプロン酸、α−ヒドロキシ−α−エチル酪酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸、α−ヒドロキシ−α−メチル吉草酸、α−ヒドロキシヘプタン酸、α−ヒドロキシステアリン酸、α−ヒドロキシリグノセリン酸、サリチル酸およびこれらの混合物などを含むものに由来する。本発明において、α−ヒドロキシ酸およびこれらの対応する環状二量体エステル、特に、ラクチド、グリコリド、およびカプロラクトンを使用することが好ましい。なお、本発明に従う記載の一定のモノマーを用いる際、生成されるモノマー単位は、具体的にはエステル基ではないが、上述のモノマーに由来するか、または求核基および求電子基を含有し、重合され得るカーボネート基(ポリカーボネート)、(ポリアミドを生成する)アミノ酸、および関連基のような基を含み得る。ポリエステルという用語は、上記モノマーのすべてに由来するポリマーを包含し、実際にエステル単位を生成するものが好ましいことが理解されるであろう。
【0049】
「ポリ(ヒドロキシカルボン酸)」または「ポリ(α−ヒドロキシカルボン酸)」という用語は、本発明に従うポリマー組成物で用いられる{[A
n(BCB)A
n]E}
mマルチブロックの一定のポリエステルAブロックを記載するのに用いられ、式中、Aは、脂肪族ヒドロキシカルボン酸または関連エステルまたはダイマーエステルに由来するポリマーポリエステル単位であり、好ましくは、本明細書中に記載されるような数多くの他のものの中で、たとえば、乳酸、ラクチド、グリコール酸、グリコリドなどの環状二量体エステルを含む、脂肪族α−ヒドロキシカルボン酸もしくは関連エステル、または、たとえば、ε−カプロラクトン、δ−グルタロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトンおよびこれらの混合物などの関連脂肪族ヒドロキシカルボン酸もしくはエステル(ラクトン)に由来する。本発明において、α−ヒドロキシ酸およびこれらの対応する環状二量体エステル、特に、ラクチドおよびグリコリドを使用することが好ましい。
【0050】
他の好適な末端修飾成分はイオン化ポリマーを含み得るが、これらに限定されない。本発明のイオン化可能なポリマーは、直鎖、分枝鎖および/または架橋ポリマーを含む。特に興味深いのは、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フェニルアクリル酸、ペンテン酸などのモノマーのカルボキシビニルポリマーである。ポリ(アクリル酸)およびその塩が、好ましいカルボキシビニルポリマーである。1以上のポリ(カルボキシビニル)ポリマーを本発明のポリオキシアルキレン組成物に用いてもよい。単なる一例としては、アクリル酸およびメタクリル酸のコポリマーなどのコポリマーも意図される。
【0051】
言うまでもないが、当業者であれば、本発明に従うヒドロゲル組成物の有利な特性が損なわれないか、または実質的に損なわれないように、少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有する適切な水溶性ブロックコポリマーを選択するように注意するであろう。
【0052】
結合性ゲル化アジュバント
「結合性ゲル化アジュバント」という用語は、それら単独で与えられると、あるとしてもほんの少ない直接的作用しか有さないが、他のゲル化剤のゲル化作用を変更する選択された群の試薬を指す。当然ながら、結合性ゲル化アジュバント自体は非常に限られた水溶解性を有しており、典型的には、20℃で0.5g/100ml未満、好ましくは0.3g/100ml未満の水溶解性を有し、単独で水中に存在するときに水を粘性化またはゲル化することは不可能である。
【0053】
現在市販されているポロクサマーポリマーでは、比較的低い濃度でポリマーを維持しつつ、所望の室温より低い温度でゾル−ゲル転移を得る能力は限定されている。組成物中の低い固形分と同時に、系が、活性成分の徐放のために有効な量の活性成分を保持し、安定化することが可能であることが非常に重要である。
【0054】
たとえば、約25℃でゾル−ゲル転移温度を有するためには、水中に約20%w/wのプルロニック(登録商標)F127が必要とされる。ゾル−ゲル転移温度を25℃よりずっと下まで拡大するには、より高い濃度のブロックコポリマーを用いなくてはならない。実際、約8℃のゾル−ゲル転移温度を有するためには、35%w/wものプルロニック(登録商標)F127が必要となる。対照的に、同一のゾル−ゲル転移温度を有するためには、約8%のラウレス−4と組合わせて約18.5%のプルロニック(登録商標)F127しか必要でない。非常に下げられたポリマー濃度により、溶液粘性はずっと低くなり、得られるヒドロゲルはよりべとつきが少なく、より残渣が少なく、より良いせん断敏感特性および化粧的効果が得られる。
【0055】
本発明に従うと、驚くべきことに、少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有する水溶性ブロックコポリマーのゲル化効果は、少量の少なくとも1つの結合性ゲル化アジュバントの添加により大幅に改善されたことが発見された。所望の温度で
逆熱可逆性のゲルを形成するために用いられるポリマーの相対的な量は大幅に減少されたが、得られるヒドロゲル組成物は、水に難溶性または不溶性の有効な量の薬剤および化粧料活性成分を可溶化および/または安定化する改善された能力を有することが発見された。
【0056】
本発明の、少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有するブロックコポリマーを含有する、このような
逆熱可逆性のヒドロゲル組成物のゾル−ゲル転移温度は、有効な量の少なくとも1つの結合性ゲル化アジュバントを組込むことにより、使用条件下で比較的広い温度にわたり調節できる。比較的低いポリマー濃度で広い温度範囲の使用条件にわたりヒドロゲル組成物のゾル−ゲル転移温度を調整する能力は、性能または取扱いのいずれかの観点から、液体状態またはゲル形態において望ましいすべての場合に先行技術の限定を克服し、重要かつ非常に有用である。特に、本発明は、徐放による有効な量の活性成分の送達のために、上記の特性を有する医薬、化粧料およびパーソナルケア組成物を提供する。
【0057】
如何なる特定の理論によっても拘束されることは望ましくないが、結合性ゲル化アジュバントと、少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有する水溶性ブロックコポリマーとの間の水素結合相互作用などの分子間相互作用の結果として、水溶性の分子間複合体が形成され、これらの分子間複合体が本発明の向上されたゲル化効率が観察される要因であることが、本明細書中では提唱される。
【0058】
結合性ゲル化アジュバントの例としては、限定されないが、オキシアルキル化脂肪族アルコール、オキシアルキル化脂肪族アルコールのエステル、オキシアルキル化アルキルアルコール、オキシアルキル化アルキルアルコールのエステル;オキシアルキル化アルキルアリールアルコール、脂肪族ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ヒドロキシカルボン酸のエステル、芳香族ヒドロキシ石炭酸、芳香族ヒドロキシ石炭酸のエステル、ポリ(ヒドロキシカルボン酸)、オキシアルキル化ソルビタンエステル、オキシアルキル化トリグリセリド、オキシアルキル化グリセリルエステル、オキシアルキル化ソルビトールのエステル、ポリオールエステル、ソルビタンエステルなどが含まれる。
【0059】
ここで用いられる好適な結合性ゲル化アジュバントは、限定されないが、ラウレス−2、ラウレス−3、ラウレス−4、ラウレス−5、ラウレス−6など;オレス−2、オレス−5、オレス−10など;C
12−13パレス−2、C
12−13パレス−3、C
12−13パレス−4、C
12−13パレス−5、C
12−13パレス−6など;アジピン酸ジ−PPG−2ミレス−9、アジピン酸ジ−PPG−2ミレス−10、アジピン酸ジ−PPG−2ミレス−11など;サリチル酸およびその誘導体;メチル、エチル、プロピル、ブチルパラベン;などを含む。
【0060】
本発明の重要な局面は、比較的低いポリマー濃度で水溶性ブロックコポリマーと結合性ゲル化アジュバントとの相対比を調整することにより、ヒドロゲル組成物のゾル−ゲル転移温度を約4〜45℃、好ましくは約8〜40℃の温度範囲に調節できることである。ヒドロゲル組成物のゾル−ゲル転移温度を調整するこのような能力は、性能または取扱いのいずれかの観点から、流体またはゲル形態において望ましいすべての場合に先行技術の限定を克服し、重要かつ非常に有用である。
【0061】
優先的に、ヒドロゲル組成物は、ゲルまたは液体の形態である。最も好ましくは、ヒドロゲル組成物は、皮膚または粘膜組織の際にゲル化することの可能なゲルとして存在するか、または液体形態である。
【0062】
いくつかの用途のためには、このような
逆熱可逆性のヒドロゲル組成物の実用的な利点は、製剤を周囲温度で流動液体として投与できることである。体内組織との接触の際に、
逆熱可逆性のヒドロゲル組成物はゲル化することによりその流動性を変えるが、より重要なのは、適用部位からの間隔が劇的に縮まることである。
【0063】
いくつかの他の用途について、このような
逆熱可逆性のヒドロゲル組成物の実用的な利点は、製剤を周囲温度でゲルとして投与できることである。本発明のヒドロゲル組成物の低い固形分は、せん断に敏感な特徴を所有し、皮膚または粘膜組織に容易に適用でき、活性成分の徐放のために長期間その部位にとどまる。
【0064】
本発明のヒドロゲル組成物のゲル状態は、いくつかの所望の用途において製剤の投与を容易にするだけでなく、難溶性または不溶性活性成分を可溶化するおよび/または安定化させる助けもする。たとえば、皮膚用製剤および化粧料製剤の調製において、ふけ、ざ瘡、皮膚のしわ、皮膚の色素沈着、いぼ、斑点、または皮膚関連のトラブルを治療するためのサリチル酸およびその誘導体の使用が周知である。サリチル酸およびその誘導体は、通常、結晶形態であり、皮膚用調剤および化粧料調剤において伝統的に用いられる水または油に十分に可溶でない。皮膚用品および化粧品をつくる際にサリチル酸およびその誘導体を用いるときに起きる典型的な問題は、サリチル酸およびその誘導体が、さまざまな組成物内で晶出する傾向にあるため、上記の皮膚トラブルを治療または予防するためのサリチル酸およびその誘導体のバイオアベイラビリティが大きく減少することである。本発明のヒドロゲル組成物は、難溶性サリチル酸およびその誘導体を可溶化する助けをするだけでなく、ヒドロゲル組成物のゲル状態は、サリチル酸およびその誘導体が組成物内で晶出することも防止するため、上記の皮膚トラブルを治療または予防するためのサリチル酸およびその誘導体のバイオアベイラビリティが大きく減少する。
【0065】
プロセスの観点から、組成物は、組成物が低い粘性状態にある間に低温で調製され得る。低粘性下で成分を混合することがより容易であると予想されるため、製造プロセスが単純化される。
【0066】
本発明のヒドロゲル組成物は、多くの利点を示す。比較的低いポリマー濃度で所望の温度範囲の生理学上適切な使用条件で改善されたゲル化効率により、本発明のヒドロゲル組成物は、クリアかつ透明のゲルを形成し、最低限の固形分で適切な厚さ、軟化度、および化粧的効果を所有する。本発明のヒドロゲル組成物は、環境変化を引起す前後でクリアかつ透明のままである。さらに、適用後に脱水の際、ほとんど残渣が形成されないことは、いくつかの用途では重要となり得る。さらに、ヒドロゲル組成物は、不溶性の添加剤のために、可溶化および/または安定化する改善された能力を有する。通常は水に可溶でない幅広い種類の有用な薬剤および化粧料活性成分は、実は、本発明のヒドロゲル組成物中に溶解および/または安定化および/または分散および/または懸濁できることが発見された。多くの状況下で、アルコールを含有しないヒドロゲル組成物は、本発明のヒドロゲル組成物の向上された可溶化および/または安定化能力により製剤化される。いくつかの場合には、他の補助溶解剤/相溶化剤の添加が役立つことがわかった。しかしながら、決定的な所望のゾル−ゲル転移温度は維持される。
【0067】
本発明は、ヒドロゲル組成物を調製するための方法であって、
(a) 20℃未満の温度の水中で少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有する上記水溶性ブロックコポリマーを溶解するステップと、
(b) 次に、好適な温度で少なくとも1つの結合性ゲル化アジュバントを混合し、
逆熱可逆性のヒドロゲル組成物を形成するステップとを含む、方法にさらに関する。
【0068】
言うまでもないが、当業者であれば、本発明に従うヒドロゲル組成物の有利な特性が損なわれないか、または実質的に損なわれないように、少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有する、水溶性ブロックコポリマーと水溶性分子間複合体を形成可能である適切な結合性ゲル化アジュバントを選択するように注意するであろう。
【0069】
薬剤
当業者であれば理解するように、本発明のヒドロゲル組成物は、さまざまな医薬および診断化合物を投与するための薬剤送達ビヒクルとして利用され得る。
【0070】
本発明のヒドロゲル薬剤送達組成物内に組込むための好適な医薬および診断化合物は、水溶性、水に難溶性および不溶性の医薬化合物であり得る。本発明のヒドロゲル組成物により投与され得る例示的な医薬、治療剤または診断剤は、限定されないが、下記を含む。
【0071】
(1) セフォキシチン、n−ホルムアミドイル−チエナマイシンおよび他のチエナマイシン誘導体、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、カルベニシリン、コリスチン、ペニシリンG、ポリミクシンB、バンコマイシン、セファゾリン、セファロリジン、チブロリファマイシン、グラミシジン、バシトラシン、スルホンアミド;ゲンタマイシン、カナマイシン、アミカシン、シソマイシンおよびトブラマイシンなどのアミノグリコシド抗生物質;ノルフロキサシンおよびflucalanine/ペンチジドンの抗菌剤組合せなどのナリジクス酸および類似体;ニトロフラゾンなど。
【0072】
(2) ピリラミン、クロルフェニラミン、テトラヒドラゾリン、アンタゾンリン(antazonline)などの抗ヒスタミン剤と充血除去剤。
【0073】
(3) コルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ベータメタゾン、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、メドリゾン、フルオロメトロン、フルオコルトロン、プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、トリアムシノロン、インドメタシン、スリンダク、その塩およびその対応するスルフィドなど。
【0074】
(4) エコチオフェート、ピロカルピン、サリチル酸フィソスチグミン、ジイソプロピルフルオロリン酸、エピネフリン、ジピボリルエピネフライン(dipivolyl epinephraine)、ネオスチグミン、エコチオフェーヨウ化物、デメカリウム臭化物、カルバコール、メタコリン、ベタネコールなど。
【0075】
(5) アトロピン、ホマトロピン、スコポラミン、ヒドロキシアンフェタミン、エフェドリン、コカイン、トロピカミド、フェニレフリン、シクロペントラート、オキシフェノニウム、オイカトロピンなどの散瞳剤;および目の症状または疾患の治療に用いられる他の薬。
【0076】
(6) たとえば、特に、マレイン酸塩およびR−チモロール、ならびに、ピロカルピンおよびチモロールまたはR−チモロールの組合せとしての、ベタキソロール、ピロカルピン、チモロールなどの抗緑内障薬。さらに、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、塩酸塩およびジピベフリン誘導体などのエピネフリンおよびエピネフリン複合体またはプロドラッグ、ならびにグリセリン、マンニトールおよび尿素などの高浸透圧剤も含まれる。
【0077】
(7) イベルメクチンなどの抗寄生虫化合物および/または抗原生動物化合物;ピリメタミン、トリスルファピリミジン、クリンダマイシンおよびコルチコステロイド調剤。
【0078】
(8) アシクロビル、5−ヨード−2’−デオキシウリジン(IDU)、アデノシンアラビノシド(Ara−A)、トリフルオロチミジン、ならびにインターフェロンおよびポリI:Cなどのインターフェロン誘発剤などの抗ウイルス効果化合物。
【0079】
(9) アセタゾラミド、ジクロフェナミド、2−(p−ヒドロキシフェニル)チオ−5−チオフェンスルホンアミド、6−ヒドロキシ−2−ベンゾチアゾールスルホンアミドおよび6−ピバロイルオキシ−2−ベンゾチアゾールスルホンアミドなどの炭酸脱水酵素阻害剤。
【0080】
(10) アムホテリシンB、ナイスタチン、フルシトシン、ナタマイシン、およびミコナゾールなどの抗真菌剤。
【0081】
(11) エチドカインコカイン、へノキシネート(henoxinate)、ジブカイン塩酸塩、ジクロニン塩酸塩、ナエパイン、フェナカイン塩酸塩、ピペロカイン、プロパラカイン塩酸塩、テトラカイン塩酸塩、ヘキシルカイン、ブピカイン、リドカイン、メピバカインおよびプリロカインなどの麻酔剤。
【0082】
(12) 以下のような眼診断剤:(a)網膜を検査するために用いるものおよびクロリド−ナトリウムフルオレセイン;(b)フルオレセインおよびローズベンガルなどの結膜、角膜および涙器を検査するのに用いるもの;および(c)メタコリン、コカイン、アドレナリン、アトロピン、ヒドロキシアンフェタミンおよびピロカルピンなどの異常な瞳孔反射を検査するために用いるもの。
【0083】
(13) アルファキモトリプシンおよびヒアルロニダーゼなどの手術で補助剤として用いられる眼剤。
【0084】
(14) エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)およびデフェロキサミンなどのキレート剤。
【0085】
(15) メトトレキセート、シクロホスファミド、6−メルカプトプリン、およびアザチオプリンなどの免疫抑制剤および抗代謝物質。
【0086】
(16) 心房性ナトリウム利尿因子、カルシトニン−遺伝子関連因子、黄体化ホルモン、放出ホルモン、ニューロテリシン(neuroterisin)、血管活性腸ペプチド、バソプレシン、シクロスポリン、ボツリヌス毒素、インターフェロン、P物質エンケファリン、表皮成長因子、目由来の成長因子、フィブロネクチン、インシュリン様成長因子および中胚葉成長因子。
【0087】
(17) サリチル酸およびその誘導体、硫黄、乳酸、グリコール酸、ピルビン酸、アゼライン酸、尿素、レゾルシノールおよびN−アセチルシステイン、ならびに、レチノイン酸およびその誘導体などのレチノイドなどの、ざ瘡治療剤。
【0088】
(18) ヒアルロン酸ナトリウムまたはポリビニルアルコールなどの潤滑剤。
(19) ネオマイシン硫酸塩−リン酸デキサメタゾンナトリウム、マレイン酸チモロール−アセクリジンなどの併用抗緑内障療法におけるような抗生物質−抗炎症剤などの上記の組合せ。
【0089】
当業者であれば理解するように、上記の医薬化合物の列挙は例示に過ぎない。本発明の薬剤送達組成物は、医薬化合物の目、口、鼻、直腸または皮下投与などの幅広い種類の生理学的適用における利用に独自に適しており、幅広い種類の薬剤がそれらの中に組込まれ得る。したがって、上記の薬剤の列挙は、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、例示に過ぎない。
【0090】
本発明のヒドロゲル組成物は、レボブノロール、ピロカルピン、ジピベフリンおよびその他など、低いバイオアベイラビリティを示す医薬に最も好適である。
【0091】
好ましくは、本発明のヒドロゲル組成物は、点眼、経口投与または注入用のヒドロゲル薬剤送達ビヒクルとして利用されると、医薬または診断剤のおよそ0.0001重量%〜70重量%、好ましくは0.001重量%〜50重量%を含むように変更され得る。本発明の教示に従ってヒドロゲル薬剤送達ビヒクルを調製するためには、組成物製剤化温度およびpHで、適切な有効量の選択される医薬化合物がヒドロゲル組成物に単純に組込まれる。好ましくは、選択される化合物は、溶液に可溶性であるか、または均質に分散される。可溶性の医薬化合物は、ヒドロゲル組成物中に容易に溶解するが、不溶性の化合物は、ヒドロゲル組成物全体に均一に分散するように、好ましくは微粉砕される。これと同様に、当該技術分野で既知のものなどの不溶性または侵食可能な微粒子薬剤送達系をヒドロゲル組成物内に組込むことも、本発明の範囲内であることが意図される。このように、徐放性薬剤送達系は、本発明のヒドロゲル組成物内に組込まれ、点眼または注入により投与されると適切な位置に保持され得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲル組成物は、伝統的な中国の生薬または中国の生薬抽出物を含有してもよい。伝統的な中国の生薬は、ヒドロゲル組成物中に微粉砕、均一に分散、および/または懸濁され得る。ヒドロゲル組成物は、薬剤送達ビヒクルとして有効な分散液および/または懸濁媒体として作用し得るだけでなく、さまざまな伝統的な中国の生薬剤から生薬活性物質を抽出することも可能である。
【0093】
本発明の医薬ヒドロゲル組成物中に含まれ得る医薬上許容される賦形剤は、限定されないが、当該技術分野で既知である、生理学上許容可能な界面活性剤、溶媒、湿潤剤、皮膚軟化剤、浸透促進剤、着色剤、フレグランスなどを含み、これらのいくつかを後の文脈の中で説明する。ヒドロゲル組成物は、好ましくは約1〜約12の範囲のpH値を有する。他の好ましい実施形態は、約3.5〜約10の範囲のpH値を有し得る。
【0094】
以下は、具体的な医薬的適用および製剤の説明である。
食道、口腔および頬側への適用:ヒドロゲル組成物は、食道裏層内に薬を送達するための好適なビヒクルを提供する。眼への適用:本発明のヒドロゲル製剤は、目と接触するとゲル化するか、またはせん断に敏感なゲルとして、点眼剤として適用できる。ゲル化はポリマーの低い濃度により達成できるため、点眼の際にかすみが最小限に抑えられる。鼻への適用:ヒドロゲル製剤組成物は、低温で容易に噴霧でき、その後のゲル化は、製剤の投与後のみ、かつ適用の部位のみで起きる。膣/直腸への適用:ヒドロゲルは、製剤の滞留時間を増加させ、現在の製剤の典型的な望ましくない作用である漏れ戻りを防止する。
【0095】
獣医学的適用:本発明の
逆熱可逆性のヒドロゲル組成物は、ヒトの病状の治療だけでなく、動物の世話のための治療を提供するのにも有用であり得る。獣医学的品については、ヒドロゲル組成物は、抗菌剤、抗真菌剤、止痒剤、および抗脂漏剤などの局所的皮膚用品、消臭、ならびに防腐/傷治癒調剤の調製について示される。耳用品は、抗真菌剤など、活性成分の有無を問わない耳洗浄剤を含み得る。眼用品は、目の保湿剤または抗菌性調剤を含み得る。
【0096】
錠剤賦形剤またはゲルカプセル剤:本発明のヒドロゲル組成物は、活性成分および他の成分とともに錠剤内に粉末状で導入され得る。活性成分および他の成分を伴うヒドロゲル組成物は、カプセル化もできる。
【0097】
注射液:持続的期間または長期間にわたり活性成分を徐々に放出するデポー製剤を調製し、低粘度で皮下または筋肉内部位に投与し得る。または、製剤中にミクロスフェアまたは粒子を懸濁させるために、本発明のヒドロゲル組成物をゲル形態に調製し得る。製剤は、次に、ヒドロゲル組成物のずり流動化を利用できる。したがって、注入の間、製剤は粘性を低下させるせん断応力に晒されて、通常は粘性の製剤が注射により患者に導入されることを可能にする。応力の中断により、製剤のゲル形態の高粘性が再確立されるため、活性剤がそこから徐々に放出され得る。
【0098】
医薬組成物の調製は、製薬産業において入手可能な医薬製剤化ガイドブックおよび産業ジャーナルのいずれかを参照して達成され得る。これらの参考文献は、本発明の
逆熱可逆性のヒドロゲル組成物を製剤内に添加または代用することにより変更され得る標準的な製剤を供給する。好適なガイドブックとして、Pharmaceutics and Toiletries Magazine, Vol. 111 (March, 1996);Formulary:Ideas for Personal Care; Croda, Inc, Parsippany, N.J. (1993);およびPharmaceuticon:Pharmaceutic Formulary, BASFが含まれ、これらの全ては引用により本発明に援用される。
【0099】
医薬組成物は、如何なる形態でもあり得る。好適な形態は、意図する適用の様式および場所に一部依存する。眼用および耳用製剤は、好ましくは液滴または液体形態で投与され、鼻用製剤は、好ましくは、液滴またはスプレー形態で投与されるか、または粉末として(嗅ぎタバコとして)投与され、膣および直腸用製剤は、好ましくは、ゲルまたは濃い液体の形態として投与され、獣医学的製剤は、ゲル、液体、クリーム、ローションまたはスプレーとして投与され、食道および頬側/口腔への適用は、好ましくは、溶液からまたは粉末として投与され、膜形成用途または皮膚への適用は、液体、クリーム、ローション、軟質ゲル、硬質ゲルスティック、ロールオン製剤またはパッドに適用された製剤として投与され得る。
【0100】
本発明のヒドロゲル組成物を用いて投与され得る例示的な薬または治療送達系は、一切限定されないが、食道、耳、直腸、頬側、経口、膣、および泌尿器への適用などの粘膜療法;傷のケア、スキンケアおよびティートディッピングなどの局所療法;および筋肉内、骨内(たとえば関節)、脊髄および皮下療法、組織補充、癒着防止ならびに非経口薬剤送達などの静脈内/皮下療法を含む。さらに、更なる用途は、経皮的送達および注射後の薬のデポーの形成を含む。薬剤は、皮膚または粘膜を介して最も好適に吸収可能である。
【0101】
本発明は、さらに、医薬ヒドロゲル組成物を調製するための方法であって、
(a) 20℃未満の温度の水中で少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有する上記水溶性ブロックコポリマーを溶解するステップと、
(b) 次に、好適な温度で他の賦形剤および/または少なくとも1つの有効な量の薬剤または診断化合物と混合し、上記薬剤または診断化合物を得られた水溶液中で実質的に均一に溶解または分散させるステップと、
(c) 最後に、好適な温度で少なくとも1つの結合性ゲル化アジュバントを混合し、
逆熱可逆性の医薬および/または診断化合物ヒドロゲル組成物を形成するステップとを含む、方法に関する。
【0102】
化粧料活性成分
当業者であれば理解するように、本発明のヒドロゲル組成物はさらに、化粧料活性成分の全組成の約0.01〜70重量%、好ましくは約0.1〜50重量%を含有し得る。化粧料は、顔用ヒドロゲル、手および足のケアヒドロゲル;ざ瘡治療ヒドロゲル、シェービングヒドロゲル、洗浄ヒドロゲル;制汗剤;脱毛剤ヒドロゲル、歯のホワイトニングヒドロゲル、化粧下地、ヒドロゲルファンデーション、アイシャドー、アイライナー、ブラッシュなどのカラーメイクアップ製品;日焼け止めヒドロゲル;防虫剤などであり得る。
【0103】
本発明のヒドロゲル組成物内に組込まれるのに好適な化粧料活性成分は、精油、保湿保持剤、皮膚美容剤、日焼け止め、制汗剤、ビタミン、アミノ酸、抗ざ瘡剤、防腐剤または抗菌剤、亜鉛塩、歯のホワイトニング剤、脱毛剤、フレグランス油、防虫剤、酸化防止剤、キレート剤、冷媒、抗炎症剤、塩、着色剤、微粒子フィラーなどであり得る。本発明のヒドロゲル組成物内に組込まれ得る例示的な化粧料活性成分は、限定されないが、以下を含む。
【0104】
(1) 限定されないが、アーモンドオイル、イランイランオイル、ネロリオイル、サンダルウッドオイル、フランキンセンスオイル、ペパーミントオイル、ラベンダーオイル、純ジャスミン、ゼラニウムオイルバーボン、スペアミントオイル、クローブオイル、レモングラスオイル、セダーウッドオイル、バルサムオイル、ティーツリーオイルおよびタンジェリンオイルを含む精油。または、本発明は、限定されないが、1−シトロネロール、α−アミルシンナムアルデヒド、ライラル、ゲラニオール、ファルネソール、ヒドロキシシトロネラール、イソオイゲノール、オイゲノール、ユーカリオイルおよびオイカリプトール、レモンオイル、リナロールおよびシトラールなどの精油に存在する活性剤の使用を設ける。それらのフレグランスまたは香味料としての効果以外に、このような化合物は抗菌剤としても本発明において有用であり得る。精油または単離された成分の濃度は、約0.3〜1重量%の間、または約0.1〜0.5重量%の間、または0.5〜2重量%の間であり得る。
【0105】
(2) 保湿保持剤は、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グルコース、キシリトール、マルチトール、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボキシラート、ポリオキシエチレングリコシド、およびポリオキシプロピレンメチルグリコシドなどを含む。
【0106】
(3) 胎盤抽出物、アルブチン、グルタチオンおよびユキノシタ抽出物、コウジ酸、胎盤抽出物、硫黄、エラグ酸、リノール酸、トラネキサム酸などの美白剤;ローヤルゼリー、光増感剤、コレステロール誘導体、子牛血抽出物、α−ヒドロキシ酸およびβ−ヒドロキシ酸などの細胞活性剤;荒れ肌および乾燥肌改善剤;ノニル酸、バニリルアミド、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸β−ブトキシエチル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェリル、ヘキサニコチン酸イノシトール、シクランデラート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチンおよびγ−オリザノールなどの血液循環改善剤;酸化亜鉛およびタンニン酸などの皮膚収れん剤;硫黄およびチアントールなどの抗脂漏剤;ならびにα−ヒドロキシアセトンなどの皮膚着色剤などを含む、皮膚美容剤。
【0107】
(4) 日焼け止めは、p−アミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルp−アミノベンゾアート、グリセリルp−アミノベンゾアート、およびオクチルp−ジメチルアミノベンゾアートなどのベンゾアート型のUV吸収剤;アントラニル酸メチルなどのアントラニル酸型UV吸収剤;サリチル酸メチル、サリチル酸オクチル、およびトリエタノールアミン塩またはサリチル酸などのサリチル酸型のUV吸収剤;p−メトキシけい皮酸オクチル、p−メトキシヒドロキシけい皮酸のジエタノールアミン塩、およびジメトキシヒドロキシけい皮酸(dimethocycinnamic acid)/イソオクタン酸グリセリド(isooctanoic acid gryceride);2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシペンゾフェノン−5−スルホン酸(2-hydroxy-4-methoxypenzophenon-5-sulfonic acid)、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシペンゾフェノン、および2−ヒドロキシ−4−N−オクトオキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン型UV吸収剤;ウロカニン酸エチルなどのウロカニン酸型のUV吸収剤;4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタンなどのジベンゾイルメタン型のUV吸収剤;3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、オクチルトリアゾン、e−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−フェニル−ベンゾイミダゾール−5−スルフェート、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジン(4-(3,4-dimethoxypnehylmethylene)-2,5-dioxo-1-imidazolidine)、および2−エチルヘキシルプロピオネートを含む。UV吸収剤は、ポリマー粉末内にカプセル化され得る。たとえば、酸化チタン微粉末、鉄を含有する酸化チタンの微粉末、酸化亜鉛微粉末、酸化セリウム微粉末およびこれらの混合物などの紫外線を吸収または散乱させる上述の粉末を使用し得る。
【0108】
(5) 制汗剤は、アルミニウムクロロ水和物、塩化アルミニウム、アルミニウムセスキクロロ水和物、ジルコニルヒドロキシクロリド、アルミニウムジルコニウムヒドロキシクロリドおよびアルミニウムジルコニウムグリシンなどを含む。
【0109】
(6) ビタミンAオイル、レチノール、酢酸レチニルおよびパルミチン酸レチニルなどのビタミンA;リボフラビン、酪酸リボフラビンおよびフラビンアデニンヌクレオチドなどのビタミンB2、塩酸ピリドキシン、ジオクタン酸ピリドキシンおよびトリパルミチン酸ピリドキシンなどのビタミンB6、ビタミンB12およびその誘導体、ならびにビタミンB15およびその誘導体;L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミタート、ナトリウム(L−アスコルビン酸)−2−スルフェートおよび二カリウムL−アスコルビン酸ジホスファートなどのビタミンC;エルゴカルシフェロールおよびコレカルシフェロールなどのビタミンD;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェリル、ニコチン酸dl−α−トコフェリルおよびコハク酸dl−α−トコフェリル;ビタミンH;ビタミンP;ニコチン酸、ニコチン酸ベンジルおよびニコチン酸アミドなどのニコチン酸;パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテルおよびアセチルパントテニルエチルエーテルなどのパントテン酸;ビオチン、などのビタミン。
【0110】
(7) アミノ酸は、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン(phenylaranine)、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニンおよびトリプトファンを含む。例または核酸は、デオキシリボ核酸を含み、ホルモンの例は、エストラジオールおよびエテニルエストラジオールなどを含む。
【0111】
(8) サリチル酸およびその誘導体、硫黄、乳酸、グリコール酸、ピルビン酸、アゼライン酸、尿素、ティーツリーオイル、レゾルシノールおよびN−アセチルシステイン、ならびに、レチノイン酸またはその誘導体などのレチノイドなどの抗ざ瘡剤。
【0112】
(9) 防腐剤または抗菌剤は、パラオキシ安息香酸アルキル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、およびフェノキシエタノールを含み、用いられ得る。抗菌剤については、安息香酸、過酸化ベンジル(benzyl peroxide)、サリチル酸およびその誘導体、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、パラクロロメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン(chlorohexydine chloride)、トリクロロカルボアニリド、トリクロサン、光増感剤、フェノキシエタノールなど。
【0113】
(10) 抗ウイルス剤および抗菌剤として、さらに、皮膚の刺激を緩和または予防するための亜鉛塩。亜鉛塩の例は、その開示内容がここに引用により援用される米国特許第5,208,031号に記載されるもののような、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛および酸化亜鉛を含む。亜鉛塩は、0.5〜25%の間の濃度にある。
【0114】
(11) 歯のホワイトニング剤は、限定されないが、過酸化水素、過酸化カルボイミド、過酸化カルシウム、過炭酸塩、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸塩、過硫酸塩、およびこれらの混合物を含む。シュウ酸、マロン酸、酒石酸およびこれらの塩。好適なジカルボン酸塩は、限定されないが、たとえば、シュウ酸、マロン酸および酒石酸などのナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄、カルシウム、マグネシウムおよび銅塩を含む。
【0115】
(12) 脱毛剤は、限定されないが、1以上のチオール酸(たとえば、チオグリコール酸、チオ乳酸、およびβ−メルカプトプロピオン酸など)などのチオール系脱毛剤、または、これらの酸のアルカリ塩および/またはアルカリ土類金属塩を含む。さらに、他の活性チオール剤も使用できる。これらは、β−メルカプトエタノール、チオグリセロール、1,3−ジチオ−2−プロパノール、1,4−ジチオ−2−ブタノール、1,4−ジメルカプト−2,3−ブタンジオール、1,3−diexthio(ジエキスチオ)−2−メトキシプロパン、1,3−ジメルカプト−2−アミノプロパン、1,4−ジメルカプト−2,3−ジアミノブタン、アミノエタンチオール、および関連する有効なチオール活性物質などを含む。
【0116】
(13) フレグランス油は、合成、天然、およびこれらの混合物からのフレグランス油を含む。香料ヒドロゲル組成物は、アルコールの有無を問わないフレグランスの香りの徐放のために、ヒドロゲルを擦るか、またはスプレーのいずれかとして適用され得る。
【0117】
(14) 防虫剤は、ブチルアセチルアミノプロピン酸エチル、N,N−ジエチルトルアミド(DEET)、N,N−ジエチルベンズアミド、フィチン酸ジメチル、エチルベキサンジオール(ethyl bexanediol)、インダロン、ビシクロヘプテンジカルボキシド、テトラヒドロフルアルデヒドなどを含む。
【0118】
(15) 酸化防止剤は、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエンおよびフィチン酸を含む。
【0119】
(16) キレート剤の例は、アラニン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウムおよびリン酸を含む。
【0120】
(17) 冷媒の例は、L−メントールおよびカンファーを含む。
(18) 抗炎症剤の例は、アラントイン、グリチルリチンおよびその塩、グリシレチン酸およびグリシレチン酸ステアリル、トラネキサム酸、アズレンなどを含む。
【0121】
(19) 無機塩、有機酸の塩、アミン塩およびアミノ酸の塩などの塩。無機塩の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ジルコニウム、および塩酸の亜鉛塩、硫酸、炭酸塩酸、および硝酸を含む。有機酸塩の例は、酢酸、デヒドロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、アスコルビン酸およびステアリン酸の塩を含む。アミン塩の例は、トリエタノールアミンの塩であり、アミノ酸塩の例は、グルタミン酸の塩である。他の例は、化粧料に組込むことの可能なヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルミニウム・ジルコニウム・グリシン複合体および酸塩基反応によりつくられる塩である。
【0122】
(20) 着色剤は、さまざまな染料、有機および無機顔料を含む。染料の例は、D&CおよびFD&Cブルー、ブラウン、グリーン、オレンジ、レッド、イエロ−などと呼ばれている、アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノンおよびキサンチン染料を含む。有機顔料は、一般的に、レーキ、特に、D&CおよびFD&C色素のレーキと呼ばれる、法定色素添加剤の不溶性金属塩;およびカーボンブラックからなる。無機顔料は、酸化鉄、紺青、クロム、水酸化クロム色素、およびこれらの混合物を含む。好適な無機顔料は、酸化鉄を含む。
【0123】
さらに、たとえば、ガラス、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、セラミックスまたはアルミナなどの天然または合成の有機または鉱物基材を含有する粒子など、効果を有する色素も挙げられ、上記基材は、たとえば、アルミニウム、金、銀、白金、銅もしくはブロンズなどの金属物質、または、たとえば、二酸化チタン、酸化鉄もしくは酸化クロム、およびこれらの混合物などの金属酸化物で被覆されていなくてもいてもよい。干渉顔料、特に、液晶または多層干渉顔料も用いられ得る。
【0124】
水溶性染料は、たとえば、ビートルート・ジュースまたはメチレンブルーである。
他の着色剤は、水溶性材料または水不溶性材料によりカプセル化されてもよい。シリコーンによりカプセル化された、SUNSIL材料などの製品が、Sunjin Chemical Companyから入手可能である。ナイロンまたはポリメタクリル酸メチルで被覆された追加の染料もSunjin Chemical Companyから入手可能である。
【0125】
(21) 微粒子フィラーは、着色または非着色であってよく(非着色は、無色であるか、白色を意味する)、好ましくは、微粒子フィラーは、0.02〜100、好ましくは0.5〜50ミクロンの粒径を有する。好適な微粒子フィラーは、オキシ塩化ビスマス、チタン酸マイカ、ヒュームドシリカ、球状シリカ、シリコーン粉末、ポリメチルメタクリレート、微粒子化テフロン(登録商標)、窒化ホウ素、アクリレートコポリマー、珪酸アルミニウム、アルミニウムスターチオクテニルスクシナート、ベントナイト、珪酸カルシウム、セルロース、チョーク、コーンスターチ、ケイソウ土、フラー土、グリセリルスターチ、ヘクトライト、水和シリカ、カオリン、珪酸アルミニウムマグネシウム、トリ珪酸マグネシウム、マルトデキストリン、モンモリロナイト、微結晶セルロース、コメデンプン、絹粉末、シリカ、タルク、マイカ、二酸化チタン、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、アルミナ、アタパルジャイト、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、デキストラン、カオリン、ナイロン、シリル化シリカ、セリサイト、大豆粉、酸化錫、水酸化チタン、リン酸トリマグネシウム、クルミ殻粉末、またはこれらの混合物を含む。
【0126】
(22) 上述の顔料および微粒子フィラーは、微粒子表面を被覆する、単独または組合されたレシチン、アミノ酸、鉱油、シリコーン油またはさまざまな他の試薬により表面処理されてもよい。表面処理のために用いられる被膜は、新油性または新水性のいずれであってもよい。
【0127】
当業者であれば理解するように、上記の化粧料活性成分の列挙は例示に過ぎない。本発明の化粧料ヒドロゲル組成物は、幅広い種類の化粧料およびパーソナルケア製品ならびに美容およびパーソナルケアのための用途における利用に、独自に適しているためである。
【0128】
いくつかの実施形態では、本発明のヒドロゲル組成物は、好ましくは約0.01%〜約40%、好ましくは約0.1%〜約30%、好ましくは約0.5%〜約25%のレベルで存在する、医薬上および/または生理上許容される湿潤剤を含有する。好ましい湿潤剤は、限定されないが、多価アルコール、ソルビトール、グリセリン、尿素、ベタイン、D−パンテノール、DL−パンテノール、パントテン酸カルシウム、ローヤルゼリー、パンテチン、パントテイン、パンテニルエチルエーテル、パンガム酸、ピリドキシン、パントイルラクトース ビタミンB複合体、ナトリウムピロリドンカルボン酸、ヘキサン−1,2,6, −トリオール、グアニジンまたはその誘導体、およびこれらの混合物から選択される化合物を含む。
【0129】
ここで用いられる好適な多価アルコールは、限定されないが、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびその誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、エリトリトール、トレイトール、ペンタエリトリトール、キシリトール、グルシトール、マンニトール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール(たとえば、1,3−ブチレングリコール)、ヘキサントリオール(たとえば、1,2,6−ヘキサントリオール)、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、グリセリン、エトキシレイテドグリセリン、プロパン−1,3 ジオール、プロポキシレイテドグリセリンおよびこれらの混合物を含む、ポリアルキレングリコール、好ましくは、アルキレンポリオールおよびそれらの誘導体を含む。上記多価アルコールのいずれかのアルコキシレイテド誘導体もここでの使用に好適である。本発明の好ましい多価アルコールは、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオール、エトキシレイテドグリセリンおよびプロポキシレイテドグリセリンならびにこれらの混合物から選択される。
【0130】
ここで有用な好適な湿潤剤は、ナトリウム2−ピロリドン−5−カルボキシラート(NaPCA)、グアニジン;グリコール酸およびグリコール酸塩(たとえば、アンモニウムおよび第四級アルキルアンモニウム);乳酸および乳酸塩(たとえば、アンモニウムおよび第四級アルキルアンモニウム);さまざまな形態のいずれかのアロエベラ(たとえば、アロエベラゲル);ヒアルロン酸およびその誘導体(たとえば、ヒアルロン酸ナトリウムなどの塩誘導体);ラクトアミドモノエタノールアミン;アセトアミドモノエタノールアミン;尿素;ベタイン、パンテノールおよびその誘導体;ならびにこれらの混合物も含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、本発明のヒドロゲル組成物は、好ましくは約0.01%〜約20%、好ましくは約0.1%〜約15%、好ましくは約0.5%〜約10%のレベルで存在する、医薬上および/または生理上許容される皮膚軟化剤を含有する。皮膚軟化剤の例は、ラノリン、ヒマシ油、鉱油、シリコーン誘導体および石油ジェリーである。皮膚軟化剤として用いられる他の組成物は、高オレイン酸ひまわり油およびその誘導体、マカダミアナッツ油およびその誘導体、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、オリーブオイル、ゴマ油、ならびに、ホホバ油およびその誘導体などの他の天然種子およびナッツ油を含む。最後に、皮膚軟化剤として用いられる他の組成物は、トウモロコシ油、綿実油、バラ水軟膏剤、杏仁油、アボカド油、カカオ脂、扁桃油およびミリスチルアルコールを含む。さらに、植物または動物起源いずれかの由来の多数の脂肪酸が皮膚軟化剤として用いられてきた。化粧料製剤に用いられる脂肪酸は、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸およびパルミチン酸を含む。他の典型的な脂肪酸は、リノール酸、ベヘン酸およびパルミトレイン酸を含む。脂肪族アルコールも皮膚軟化剤として用いられる。皮膚軟化剤として用いられる脂肪族アルコールの例は、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ホホバアルコールおよびオレイルアルコールである。さらに、脂肪酸エステルは、皮膚軟化剤として用いられる。脂肪酸エステルの例は、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピルおよびステアリン酸グリセリルを含む。別の脂肪酸エステル皮膚軟化剤は、ホホバ油である。さらに、炭化水素類またはシリコーン(メチルシリコーンなど)などの非生物分解性皮膚軟化剤が知られており、化粧料およびパーソナルケア調剤に皮膚軟化剤として用いられている。
【0132】
いくつかの実施形態では、本発明のヒドロゲル組成物は、好ましくは約0.01%〜約15%、好ましくは約0.1%〜約10%のレベルで存在する、界面活性剤をさらに含有する。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤であり得る。非イオン性界面活性剤の例は、たとえば、ソルビトールまたはグリセリルモノ−、ジ−、トリ−またはセスキ−オレイン酸エステルまたはステアリン酸エステル、グリセリルまたはポリエチレングリコールラウリン酸エステル;ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル(ポリエチレングリコールモノステアリン酸エステルまたはモノラウリン酸エステル);ソルビトールのポリオキシエチレネイテド脂肪酸エステル(ステアリン酸またはオレイン酸エステル);ポリオキシエチレネイテドアルキル(ラウリル、セチル、ステアリルまたはオクチル)エーテルを含む。アニオン性界面活性剤の例は、カルボン酸塩(ナトリウム 2−(2−ヒドロキシアルキルオキシ)アセテート))、アミノ酸誘導体(N−アシルグルタメート、N−アシルグリシネートまたはアシルサルコシネート)、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェートおよびそのオキシエチレネイテド誘導体、スルフォネート、イセチオネートおよびN−アシルイセチオネート、タウレートおよびN−アシルN−メチルタウレート、スルフォスクシネート、アルキルスルフォアセテート、ホスフェートおよびアルキルホスフェート、ポリペプチド、アルキルポリグリコシドのアニオン性誘導体(アシル−D−ガラクトシドウロネート)、および脂肪酸石鹸、ならびにこれらの混合物を含む。両性および両性イオンの例は、ベタイン、N−アルキルアミドベタインおよびこれらの誘導体、グリシン誘導体、スルタイン、アルキルポリアミノカルボキシラートおよびアルキルアンフォアセテート、ならびにこれらの混合物を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、本発明のヒドロゲル組成物は、好ましくは約0.01%〜約6%のレベルで存在する、レオロジー改質剤をさらに含有する。レオロジー改質剤の例は、限定されないが、カルボマー、アクリルコポリマー、ポリアクリルアミド、多糖類、天然ゴム、Southern Clay Products, Inc.(テキサス州、ゴンザレス)からのLaponite(登録商標)などの粘度などを含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、本発明のヒドロゲル組成物は、皮膚の上部角質層バリアを通って低レベルまでの浸透を促す1以上の成分を含有する。皮膚浸透改善剤の例は、限定されないが、プロピレングリコール、アゾン、エトキシジグリコール、ジメチルイソソルビド、尿素、エタノール、ジメチルスルホキシドなどを含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、本発明のヒドロゲル組成物は、水溶性膜形成ポリマーを含み、水溶性膜形成ポリマーは、限定されないが、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーなどのポリビニルピロリドン型のポリマー;メチルビニルエーテル/マレイン酸無水物アルキルハーフエステルコポリマーなどのビニルアセテートエーテル型の酸性ポリマー;ビニルアセテート/クロトン酸コポリマーなどの酸性ポリビニルアセテート型のポリマー;(メタ)アクリル酸/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、(メタ)アクリル酸/アルキル(メタ)アクリレート/アルキルアクリル酸アミドコポリマーなどの酸性アクリルポリマー、および、N−メタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアンモニウム、アルファ−N−メチルカルボキシベタイン/アルキルメタクリレートコポリマー、アクリル酸コポリマーのヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレート/オクチルアミドなどの両性アクリルポリマーなどの両性、アニオン性、カチオン性、および非イオン性ポリマーを含む。好適な水溶性ポリマーは、好ましくは、たとえば、小麦タンパク質および大豆タンパク質などの植物由来のタンパク質などのタンパク質;たとえば、ケラチン加水分解物およびスルフォン酸ケラチンなどのケラチンなどの動物由来のタンパク質;アニオン性、カチオン性、両性または非イオン性キチンまたはキトサンポリマー;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース、ならびに四級化セルロース誘導体などのセルロース酸ポリマー;アラビアゴム、グアーゴム、キサンタン誘導体、カラヤゴム;アルギネートおよびカラギーナン;グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸およびその誘導体;セラック、サンダラックゴム、ダンマル樹脂、エレミゴムおよびコーパル樹脂;デオキシリボ核酸;ヒアルロン酸およびコンドロイチン硫酸などのムコ多糖類、ならびにこれらの混合物など、随意に修飾される天然起源のポリマーからも選ばれる。
【0136】
いくつかの実施形態では、本発明のヒドロゲル組成物は防腐剤を含有する。生理学上許容可能な防腐剤の例は、限定されないが、パラヒドロキシ安息香酸(パラベン)のメチル、エチル、プロピルおよびブチルエステル;没食子酸プロピル;ソルビン酸ならびにそのナトリウム塩およびカリウム塩;プロピオン酸ならびにそのカルシウム塩およびナトリウム塩;6−アセトキシ−2,4−ジメチル−m−ジオキサン;2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール;ジブロモサリチルアニリドおよびトリブロモサリチルアニリドなどのサリチルアニリド;ヘキサクロロフェン;安息香酸ナトリウム;エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、クエン酸、およびこれらのアルカリ金属塩などのキレート剤;ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、クロロ−およびブロモ−クレゾール、ならびにクロロ−およびブロモ−オキシレノールなどのフェノール化合物;塩化ベンザルコニウムなどの第四級アンモニウム化合物;2−フェニルエチルアルコールおよびベンジルアルコールなどの芳香族アルコール;クロロブタノール;ヨードクロロヒドロキシキノリンなどのキノリン誘導体;などのバクテリオスタット、防腐剤、阻害剤などを含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、本発明のヒドロゲル組成物は、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素アンモニウムなどのpH調整剤を含有し、必要に応じて、これらの製剤のpHを調製するために、酸または塩基が用いられ得る。得られる調剤が医薬上および化粧料上許容される限り、さまざまなpH調整剤およびpHを調整する手段が用いられ得る。ヒドロゲル組成物は、好ましくは約1〜約12の範囲のpH値を有する。他の好ましい実施形態は、約3.5〜約10の範囲のpH値を有し得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、本発明のヒドロゲル組成物は、限定されないが、その開示内容がここに引用により援用される米国特許公開公報第2004/0158941号に記載されるもののような、酸化染料、写真染料、酸性染料、中性染料、反応性染料、カチオン性染料、VAT染料、およびこれらの混合物を含む、ヘアカラーリング剤を含有する。本明細書での好ましいヘアカラーリング剤は、酸化ヘアカラーリング剤である。本発明に従うヒドロゲル組成物中の酸化ヘアカラーリング剤の全体を合算したレベルは、約0.001重量%〜約5重量%、好ましくは約0.01重量%〜約4重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約3重量%、最も好ましくは約0.1重量%〜約1重量%である。
【0139】
本発明のヘアカラーリングヒドロゲル組成物は、好ましくは、その開示内容がここに引用により援用される米国特許公開公報第2004/0158941号に記載されるような、無機または有機酸化剤であり得る少なくとも1つの酸化剤も含有する。酸化剤は、好ましくは、組成物の約0.01重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約6重量%、より好ましくは約1重量%〜約4重量%のレベルで存在する。
【0140】
本発明のさまざまな実施形態は、限定されないが、シリコーン油(ジメチコンまたはシクロメチコンなど)などのシリコーン成分、水溶性ジメチコンコポリオール(coplyols)、シリコーンエラストマー、および乳化剤シリコーンエラストマーなどを含む、追加の添加剤も含有し得る。適切なシリコンエラストマーの例は、Shin−EtsuからのKSG、Dow−CorningからのTrefil E−505C、Trefil E−506C、DC 9506またはDC 9701の商品名で販売されるもの、および、その開示内容がここに引用により援用される米国特許第5,266,321号に記載されるものを含む。Shin−EtsuからのKSG−210、KSG−30、KSG−31、KSG−32、KSG−33、KSG−40、KSG−41、KSG−42、KSG−43、KSG−44およびKSG−710の商品名で販売されるものなどの乳化エラストマー、または、Shin Etsuにより販売されているKSP(たとえば、KSP−100、KSP−200、KSP−300)の名称で販売されている商品、および/または、その開示内容がここに引用により援用される米国特許第5,538,793号に記載されるもののような、被覆されたエラストマー。これらの商品の混合物も用いられ得る。エラストマー化合物は、存在する場合、0.01%〜15%、好ましくは0.1%〜10%の量で存在することが好ましい。
【0141】
本発明のさらに他の実施形態では、ヒドロゲル組成物は、軟質または硬質ゲル、液体、スプレー、エアロゾル、ロールオン製剤、パッドに適用された製剤、膜形成製剤、およびマスクとして製剤化され、適用され得る。
【0142】
本発明は、さらに、化粧料ヒドロゲル組成物を調製するための方法であって、
(a) 20℃未満の温度の水中で少なくとも2つのポリエチレンオキシドのブロックおよび少なくとも1つのポリプロピレンオキシドのブロックを含有する上記水溶性ブロックコポリマーを溶解するステップと、
(b) 次に、好適な温度で他の賦形剤および/または少なくとも1つの有効な量の化粧料活性成分と混合し、化粧料活性成分を得られた水溶液中で実質的に均一に溶解または分散させるステップと、
(c) 最後に、好適な温度で少なくとも1つの結合性ゲル化アジュバントを混合し、
逆熱可逆性の化粧料ヒドロゲル組成物を形成するステップとを含む、方法に関する。
【0143】
言うまでもなく、当業者は、これまたはこれらの随意的な追加の成分および/またはその量を、本発明に従う対応するヒドロゲル組成物の有利な特性が、意図する添加によって悪影響を受けないか、実質的に悪影響を受けないように選択するように注意するであろう。
【0144】
本発明のさらに他の実施形態では、ヒドロゲルビヒクル中の医薬および化粧料ヒドロゲル組成物を調製および提供するステップと、ヒドロゲル組成物を粘膜に適用するステップとを含む、局所および/または粘膜適用のための
逆熱可逆性の医薬および化粧料ヒドロゲル組成物を調製および送達するための方法およびキットにも関する。ヒドロゲル組成物は、さまざまな薬剤および/または化粧料活性成分の徐放のために、治療および/または手入れ/美容の目的の部位に、無毒かつ薬理学的に有効な量の薬剤および/または化粧料活性成分を送達するのに十分な量で、局所および/または粘膜対象に適用される。
【0145】
以下は、具体的な化粧料およびパーソナルケアへの適用の説明である。
逆熱可逆性のヒドロゲル組成物が用いられ得る例示的な化粧料およびパーソナルケアへの適用は、限定されないが、ベビーシャンプー、ローションおよびクリームなどのベビー用品;バスオイル、タブレットおよび塩、バブルバス、バスフレグランスおよびバスカプセルなどの入浴剤;眉ペンシル、アイライナー、アイシャドー、アイローション、アイメイクアッリムーバーおよびマスカラなどのアイメイクアップ調剤;コロンおよび化粧水、パウダーおよび匂い袋などのフレグランス調剤;ヘアコンディショナー、ヘアスプレー、ヘアストレートナー、パーマネントウエーブ、リンス シャンプー、トニック、整髪料および他の整容用品などの非カラーリング毛髪調剤;カラー化粧料;染毛剤、毛髪染料、ヘアシャンプー、ヘアカラースプレー、ヘアライトナーおよびヘアブリーチなどのヘアカラリング調剤;ファンデーション、脚およびボディーペイント、口紅、化粧下地、紅およびメイクアップフィクサーなどのメイクアップ調剤;歯磨きおよび口内洗浄液などの口腔衛生製品;浴用石鹸および洗浄剤、デオドラント剤、膣洗浄および女性衛生用品などの個人的衛生品;アフターシェーブローション、あごひげの軟化剤、シェービングソープ、およびプレシェーブローションなどのシェービング調剤;洗浄調剤、皮膚消毒剤、脱毛剤、顔および首の洗浄剤、体および手の洗浄剤、保湿剤、スキンフレッシュナーなどのスキンケア調剤;ならびに、日焼けクリーム、ゲルおよびローション、屋内用日焼け調剤などの日焼け調剤を含む。
【0146】
上記の化粧料組成物およびその他の調製は、化粧料産業で入手可能な、化粧料製剤の手引書および業界紙のいずれかを参照して達成され得る。これらの参照文献は、本発明の可逆的粘性化組成物の付加または置換により製剤に変更され得る標準的な製剤を供給する。好適な手引書として、Cosmetics and Toiletries Magazine, Vol. 111(March, 1996);Formulary: Ideas for Personal Care; Croda, Inc Parsippany, N.J. (1993);およびCosmeticon: Cosmetic Formulary, BASFが挙げられ、これらの全ては参照により本発明に組込まれる。化粧料組成物は、いかなる形態であってもよい。好適な形態は、液体、ゲル、ローション、クリーム、硬質ゲルスティック、ムース、ロールオン製剤、エアロゾルスプレー、パッドに適用された製剤、および膜形成製剤を含む。
【0147】
別段の指定がない限り、明細書および請求項で用いられる成分、反応条件などの量を表わす番号の全ては、全ての場合、「約」という用語により変更されると理解される。したがって、逆の指定がない限り、以下の明細書および添付の請求項に記載の数のパラメータは、本発明により得ようとする所望の特性に依存して異なり得る近似値である。
【0148】
以下の非限定的な例は、本発明の例示的な組成物の特性の例示として設けられる。以下の実施例では、濃度を重量パーセント(wt.%)で表わし、製剤をつくるのに脱イオン水を利用する。特に明記しない限り、製剤化温度は、約22℃の室温である。
【実施例】
【0149】
実施例1
水溶性ブロックコポリマーおよび結合性ゲル化アジュバントをさまざまな濃度で含有する以下のヒドロゲルビヒクルを調製した。
【0150】
【表1】
【0151】
手順:まず、プルロニック(登録商標)F127を10℃未満の温度で撹拌しつつ水中で溶解する。均一な溶液を形成後、結合性ゲル化アジュバントを約4℃の温度で撹拌しながらポリマー溶液に添加する。形成されたヒドロゲル組成物はすべて、クリアかつ透明である。
【0152】
実施例2
以下のACNE(ざ瘡)治療ヒドロゲル組成物を調製する。
【0153】
【表2】
【0154】
手順:成分Aを合わせて、次に、10℃未満の温度で撹拌しながらBを添加する。均質な溶液を形成後、Cを添加して、Cが溶解するまで室温で混ぜ続ける。Dを溶液に滴加して混ぜる。室温でクリアかつ透明なゲルを形成する。配合Iは、約9℃〜約30℃の温度範囲でゲル形態であることが分かり、配合IIは、約0℃〜約38℃の温度範囲でゲル形態であることが分かる。
【0155】
実施例3
以下のヒドロコルチゾンヒドロゲル組成物を調製する。
【0156】
【表3】
【0157】
手順:ビーカーで成分Aを合わせ、Bを添加し、10℃未満の温度で混ぜる。均質な溶液を形成後、Cを添加して、溶解するまで室温で混ぜ続ける。Dを添加して、均一になるまで混ぜる。最後に、Eを滴加して、均一になるまで混ぜる。
【0158】
実施例4
以下の塩酸ベンジダミンヒドロゲル組成物を調製する。
【0159】
【表4】
【0160】
手順:ビーカー中で成分Aを合わせ、Bを添加し、10℃未満の温度で混ぜる。均質な溶液を形成後、Cを添加して、溶解するまで室温で混ぜる。Dを加えて、均一になるまで混ぜる。最後に、Eを滴加して、均一になるまで混ぜる。
【0161】
実施例5
以下の老化防止スキンケアヒドロゲル組成物を調製する。
【0162】
【表5】
【0163】
手順:ビーカー中で成分Aを合わせ、Bを添加し、10℃未満の温度で混ぜる。均質な溶液を形成後、Cを添加して、溶解するまで室温で混ぜる。Dを添加して、均一な溶液になるまで混ぜ、次に、Eを滴加して混ぜる。最後に、Fを添加して、均一になるまで混ぜる。
【0164】
実施例6
以下のファンデーションヒドロゲル組成物を調製する。
【0165】
【表6】
【0166】
手順:Aの成分を合わせて、次に、10℃未満の温度で撹拌しながらBを添加する。均質な溶液を形成後、Cを添加して、均一になるまで室温で混ぜる。Dを添加して、20分間均質化する。Eを添加して、均一になるまで混ぜる。合わせる成分Fを添加して、均一になるまで混ぜる。Gを添加して、均一になるまで混ぜる。最後に、撹拌下でHを滴加して、室温で均一になるまで混ぜる。
【0167】
実施例7
以下のアルコール非含有防虫剤スプレーヒドロゲル組成物を調製する。
【0168】
【表7】
【0169】
手順:Aの成分を合わせて、次に、10℃未満の温度で撹拌しながらBを添加する。均質な溶液を形成後、Cを添加して、均一になるまで室温で混ぜる。Dを添加して、均一になるまで混ぜる。Eを撹拌下で滴加して、室温で均一になるまで混ぜる。最後に、Fを添加して、均一になるまで混ぜる。
【0170】
実施例8
以下の日焼け止めスプレー組成物を調製する。
【0171】
【表8】
【0172】
手順:Aの成分を合わせて、次に、10℃未満の温度で撹拌しながらBを添加する。均質な溶液を形成後、Cを添加して、均一になるまで室温で混ぜる。Dを添加して、均一になるまで混ぜる。Eを撹拌下で滴加して、室温で均一になるまで混ぜる。最後に、Fを添加して、均一になるまで混ぜる。推算SPF15〜25。
【0173】
本発明は上記典型的な実施例によって詳細に説明され、各種の選択、修正、変更、改良及び/又はその基本的な同一技術、現在既知の又は未知(かもしれない)の内容は当業者がよく知っているものである。よって、本発明の上記典型的な実施例は、単に本発明を説明するための例示であり、本発明を限定するものではない。本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り、様々な変更及び変形が可能である。よって、本発明は、全ての既知の又はその後に行なう選択、修正、変更、改良及び/又はその基本的な同一技術を含むことが可能である。