(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被覆対象物上に、複数の断熱マットを連結してなる第一の被覆層と、複数の遮音断熱マットを連結してなる第二の被覆層とをこの順番で積層形成してなる遮音断熱性マット組付体において、
前記断熱マットは、繊維質成形体を外装材で包み込んでなるものであり、
前記遮音断熱マットは、繊維質成形体と遮音シートとの積層物を外装材で包み込んでなるものであって、
前記第二の被覆層は、遮音シートが設けられた側が外表面側に位置するように遮音断熱マットを連結してなるものであり、かつ前記第二の被覆層を形成する遮音断熱マットの連結部の少なくとも一部が、前記第一の被覆層を形成する断熱マットの連結部の形成位置と積層方向に重ならないように積層されてなるものである
ことを特徴とする遮音断熱性マット組付体。
前記断熱マットは、前記繊維質成形体が無機繊維または有機繊維からなるものであるとともに、前記外装材が無機繊維クロスからなるものであり、前記遮音断熱マットは、前記繊維質成形体が無機繊維または有機繊維からなり、前記外装材が無機繊維クロスからなるものであるとともに、前記遮音シートが樹脂、金属、樹脂と金属の複合材料または合成ゴム、耐熱性繊維、無機質充填材および加硫剤を含む複合材料からなるものである請求項1に記載の遮音断熱性マット組付体。
被覆対象物の表面に、複数の断熱マットを配置、連結して第一の被覆層を形成した後、複数の遮音断熱マットを配置、連結して第二の被覆層を積層形成する遮音断熱性マット組付体の組み付け方法において、
前記断熱マットは、繊維質成形体を外装材で包み込んでなるものであり、
前記遮音断熱マットは、繊維質成形体と遮音シートとの積層物を外装材で包み込んでなるものであって、
前記第二の被覆層を、遮音シートが設けられた側が外表面側に位置するよう遮音断熱マットを連結して形成し、かつ前記第二の被覆層を形成する遮音断熱マットの連結部の少なくとも一部が、前記第一の被覆層を形成する断熱マットの連結部の形成位置と積層方向に重ならないように配置、形成する
ことを特徴とする遮音断熱性マット組付体の組み付け方法。
前記断熱マットは、前記繊維質成形体が無機繊維からなるものであるとともに、前記外装材が無機繊維クロスからなるものであり、前記遮音断熱マットは、前記繊維質成形体が無機繊維からなり、前記外装材が無機繊維クロスからなるものであるとともに、前記遮音シートが樹脂、金属または樹脂と金属の複合材料からなるものである請求項4に記載の遮音断熱性マット組付体の組み付け方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の遮音断熱性マット組付体は、被覆対象物上に、複数の断熱マットを連結してなる第一の被覆層と、複数の遮音断熱マットを連結してなる第二の被覆層とをこの順番で積層形成してなる遮音断熱性マット組付体において、前記断熱マットは、繊維質成形体を外装材で包み込んでなるものであり、前記遮音断熱マットは、繊維質成形体と遮音シートとの積層物を外装材で包み込んでなるものであって、前記第二の被覆層は、遮音シートが設けられた側が外表面側に位置するように遮音断熱マットを連結してなるものであり、かつ前記第二の被覆層を形成する遮音断熱マットの連結部の少なくとも一部が、前記第一の被覆層を形成する断熱マットの連結部の形成位置と積層方向に重ならないように積層されてなるものであることを特徴とするものである。
以下、本発明に係る遮音断熱性マット組付体に関し、適宜図面により具体的態様を示しつつ説明するものとする。
【0012】
本発明の遮音断熱性マット組付体において、被覆対象物(遮音断熱マット組付体の組付け対象物)としては、熱および騒音を外部に発するものであれば特に制限されず、工場等で使用される大型のタービンや、コンプレッサ、発電機、エンジン等、運転時に外部に対して熱および騒音を発生するものが挙げられる。
本発明の遮音断熱性マット組付体の被覆対象物としては、騒音(63〜20000Hz程度の音)を発生するものに対して適用することができるが、特に低周波音(63〜160Hz程度の音)を発生するものに対して好適に適用することができる。
【0013】
本発明の遮音断熱マット組付体は、被覆対象物上に第一の被覆層と第二の被覆層とがこの順番で積層形成されてなるもの、すなわち、被覆対象物上に第一の被覆層が形成されてなり、該第一の被覆層上に第二の被覆層が形成されてなるものである。
本発明の遮音断熱性マット組付体は、第一の被覆層と第二の被覆層により形成されてなるものであり、第一の被覆層は、
図1に(a)上面図および(b)上面図のA−A’線垂直断面の模式図で示すように繊維質成形体fを外装材rで包み込んでなる複数の断熱マットmを複数連結してなるものである。
【0014】
本発明の遮音断熱性マット組付体において、断熱マットmを構成する繊維質成形体fとしては、断熱性を有する繊維からなるものであれば特に制限されず、具体的には、ロックウール、ガラスウール、セラミックファイバー等の無機繊維からなるものを挙げることができる。また、被覆対象物が比較的低温で運転される物である場合等においては、断熱マットmを構成する繊維質成形体fとしては、ポリアミド繊維や、ポリエチレンテレフタレート繊維に代表されるポリエステル繊維等の有機繊維からなるものであってもよい。さらに、断熱マットmを構成する繊維質成形体fとしては、上記無機繊維または有機繊維であって、生体溶解性を有するものであってもよい。
繊維質積層体fは、例えば上記各繊維を連続的に積層し、ブランケット状に成形した後、ニードルパンチ処理してなるものであることが好ましい。
繊維質成形体fの具体例としては、ニチアス(株)製ファインフレックス ブランケット TOMBO No.5120、No.5220−Z等を挙げることができる。
【0015】
断熱マットmを構成する繊維質成形体fは、常温(25℃)における密度が20〜400kg/cm
3であるものが好ましく、60〜280kg/cm
3であるものがより好ましく、100〜160kg/cm
3であるものがさらに好ましい。
断熱マットを構成する繊維質成形体の密度が上記範囲内にあることにより、遮熱断熱性マット組付体に所望の遮音性と断熱性とを付与し易くなるとともに、遮音断熱性マット組付体の形状を保持し易くなり、被覆対象物上に均一に配置して断熱性や遮音性を容易に発揮することができる。
【0016】
断熱マットmを構成する繊維質成形体fは、加熱線収縮率が5%以下であるものが好ましく、4%以下であるものがより好ましく、3%以下であるものがさらに好ましい。
なお、本出願書類において、繊維質成形体の加熱線収縮率は、測定試料を電気炉中720℃で1時間加熱した後、加熱前後の試料の長さを測定し、加熱前の試料の長さをY
1mm、加熱後の長さをY
2mmとしたときに、次式により求められる値を意味する。
加熱線収縮率(%)={(Y
1−Y
2)/Y
1}×100
【0017】
断熱マットmを構成する繊維質成形体fの厚み、すなわち積層方向の長さ(
図1(b)に示す繊維質成形体fの上下方向の長さ)は、断熱マットmの厚み(
図1に示す断熱マットmの上下方向の長さ)に応じて適宜決定すればよい。
【0018】
本発明の遮音断熱性マット組付体において、断熱マットmを構成する外装材rとしては、耐熱性を有し、繊維質成形体fを構成する繊維の飛散を抑制することができ、長期間使用しても破損し難いものであれば特に制限されず、具体的には、ガラス繊維製クロス、セラミックス繊維製クロスといった無機繊維クロス、シリコーンコーティングガラスクロス、フッ素樹脂コーティングガラスクロス、未焼成の四ふっ化エチレン樹脂を延伸・焼成し、所定の形状に成形した多孔質シートといった樹脂シート等からなるものを挙げることができる。
シリコーンコーティングガラスクロスやフッ素樹脂コーティングガラスクロスは、撥水性や対候性に優れることから、被覆対象物が屋外で使用されるものである場合に特に好適である。
【0019】
外装材rとしては、上記各種のクロスの縫い目にシリコーンコーティング剤等を塗布する等して防水処理を施してなるものであってもよく、このような外装材rも撥水性や対候性に優れることから、被覆対象物が屋外で使用されるものである場合に特に好適である。
【0020】
外装材rの厚みは 0.1〜4.0mmであることが好ましく、0.2〜3.0mmであることがより好ましく、0.8〜1.5mmであることがさらに好ましい。
なお、本出願書類において、外装材の厚みは、JIS R 3420(1999年)に準じて測定した値を意味する。
【0021】
外装材rの質量(目付)は、100〜1000g/m
2であることが好ましく、200〜800g/m
2であることがより好ましく、300〜650g/m
2であることがさらに好ましい。
外装材rの厚みや質量(目付)が上記範囲内にあることにより、繊維質成形体fを構成する繊維の飛散や繊維質成形体fの破損の発生を抑制し易くなる。
【0022】
断熱マットmの厚み、すなわち積層方向の長さ(
図1(b)に示す断熱マットmの上下方向の長さ)は、5〜250mmであることが好ましく、50〜175mmであることがより好ましく、75〜125mmであることがさらに好ましい。
断熱マットmの厚みが上記範囲内にあることにより、遮音断熱性マット組付体に対し、所望の断熱性と遮音性を付与することができる。
【0023】
被覆対象物に対向する面を形成する断熱マットmの横方向の長さ(
図1(a)または
図1(b)に示す断熱マットmの左右方向の長さ)や縦方向の長さ(
図1(a)に示す断熱マットmの上下方向の長さ)は、被覆対象物の形状や施工性等を考慮して適宜決定すればよい。
【0024】
第一の被覆層を形成する断熱マットmの形状は必ずしも同一である必要はないが、本発明の遮音断熱性マット組付体は、第一の被覆層上にさらに第二の被覆層を積層形成してなるものであることから、第一の被覆層は、外表面側(第二の被覆層側)に形成される面が平面であることが好ましく、このために第一の被覆層を形成する各断熱マットmの形状も、組付け時に外表面側に形成される面が平面になるように設計されてなることが好ましい。
【0025】
本発明の遮音断熱性マット組付体において、被覆対象物上に第一の被覆層が設けられてなる。
本発明の遮音断熱性マット組付体において、第一の被覆層は、
図3に断面の模式図で示すように、上記断熱マットmを複数連結してなるものであり、第一の被覆層は、断熱マットmをワイヤーや粘着テープを用いて複数連結したり、外装材rに面ファスナーを設けた断熱マットmを複数連結すること等により簡便に形成することができる。
【0026】
本発明の遮音断熱性マット組付体においては、
図1(c)に上面図および
図1(d)に断面の模式図で例示するように、上記断熱マットmを構成する外装材rのうち、設置時に外表面側となる側の端部に連結部の一部または全体を被覆し得る耳部eを設け、隣接する断熱マットmとの連結部を上記耳部eで被覆してなるものであってもよく、連結部を上記耳部で被覆して塞ぐことにより、本発明の遮音断熱性マット組付体を屋外で使用した場合においても、容易に防水性等や防塵性を発揮することができる。上記外装材rの耳部は、外装材rと同じ部材により形成されてなるものであることが好ましい。
上記耳部は、外装材rと一体に成形されてなるものであってもよいし、外装材rとは別部材として成形されてなり、組付け時に綿ファスナー等により組み付けてなるものであってもよい。
【0027】
本発明の遮音断熱マット組付体において、遮蔽対象物上に設けられてなる第一の被覆層は、断熱マットmを少なくとも一層積層することにより形成されてなるものであるが、取り付けの際の手間やコスト等を考慮しなければ、遮蔽対象物上に断熱マットmにより二〜四層程度積層形成されてなるものであってもよい。
【0028】
本発明の遮音断熱マット組付体において、第一の被覆層の厚み、すなわち積層方向の長さは、5〜250mmであることが好ましく、50〜175mmであることがより好ましく、75〜125mmであることがさらに好ましい。
第一の被覆層の厚みが上記範囲内にあることにより、遮音断熱性マット組付体に対し、所望の断熱性と遮音性を付与することができる。
【0029】
本発明の遮音断熱性マット組付体は、上述したように、第一の被覆層と第二の被覆層により形成されてなるものであり、第二の被覆層は、
図2に(a)上面図および(b)上面図のB−B’線垂直断面の模式図で示す繊維質成形体Fと遮音シートSとを外装材Rで包み込んでなる複数の遮音断熱マットMを複数連結してなるものである。
【0030】
本発明の遮音断熱性マット組付体において、遮音断熱マットMを構成する繊維質成形体Fとしては、上述した断熱マットmを構成する繊維質成形体fと同様のものを挙げることができる。
また、本発明の遮音断熱マット組付体において、遮音断熱マットMを構成する外装材Rも、上述した断熱マットmを構成する外装材rと同様のものを挙げることができる。
【0031】
本発明の遮音断熱マット組付体において、遮音シートSとしては、被覆対象物から発生する音であって、断熱マットmや遮音断熱マットMに吸収されない音を遮蔽し得るものであれば特に制限されない。
遮音シートとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等からなる樹脂や、鉛、鉄、アルミニウム、それら合金等からなる金属や、ポリ塩化ビニルに酸化鉄粉末を添加してなるもの等の樹脂と金属の複合材料や、合成ゴム、耐熱性繊維、無機質充填材および加硫剤を含む複合材料等からなるものが挙げられ、その形状としては、板状やシート状のものが挙げられる。
【0032】
上記合成ゴム、耐熱性繊維、無機質充填材および加硫剤を含む複合材料において、合成ゴムとしては、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム等を挙げることができ、耐熱性繊維としては、芳香族ポリアミド繊維、ガラス繊維、ロックウール等を挙げることができ、無機質充填材としては、タルク、カオリン、シリカ等を挙げることができる。
上記合成ゴム、耐熱性繊維、無機質充填材および加硫剤を含む複合材料は、例えば、合成ゴム、耐熱性繊維、無機質充填材および加硫剤および必要に応じてその他の成分を混合し、カレンダーロールにて緻密で均等な厚紙状に加熱、圧縮・成型することにより成形することができる。
上記合成ゴム、耐熱性繊維、無機質充填材および加硫剤を含む複合材料としては、例えば、ニチアス(株)製クリンシル(登録商標)ブラウン TOMBO No.1995等を挙げることができる。
【0033】
遮音シートは、常温(25℃)における密度が1.0〜20.0g/cm
3であるものが好ましく、2.0〜15.0g/cm
3であるものがより好ましく、2.5〜8.0g/cm
3であるものがさらに好ましい。
遮音シートの密度が上記範囲内にあることにより、遮熱断熱性マット組付体に所望の遮音性を容易に付与することができる。
【0034】
遮音シートの厚みは、0.1〜5.0mmであることが好ましく、0.5〜4.0mmであることがより好ましく、0.8〜1.4mmであることがさらに好ましい。
なお、本出願書類において、遮音シートの厚みは、ノギスにより3箇所の厚みを測定したときの算術平均値を意味する。
【0035】
断熱マットmや遮音断熱マットMを構成する繊維質成形体も、被覆対象物から発生する音を吸収して外部への音漏れを一定程度抑制することができるが、被覆対象物が低周波音(63〜160Hz程度の音)を含む音を発生するものである場合、繊維質成形体のみによっては吸収し難く、第二の被覆層を構成する遮音断熱マットMの外表面側に遮音シートSを設けることにより、低周波音を含む音であっても効果的に遮蔽して、被覆対象物から発生する音の外部への漏出を高度に抑制することができる。
【0036】
本発明の遮音断熱性マット組付体において、遮音断熱マットMの厚み、すなわち積層方向の長さ(
図2(b)に示す遮音断熱マットMの上下方向の長さ)は、5〜250mmであることが好ましく、50〜175mmであることがより好ましく、75〜125mmであることがさらに好ましい。
遮音断熱マットMの厚みが上記範囲内にあることにより、遮音断熱性マット組付体に対し、所望の断熱性と遮音性を付与することができる。
被覆対象物側に対向する面を形成する遮音断熱マットMの横方向の長さ(
図2(a)または
図2(b)に示す遮音断熱マットMの左右方向の長さ)や遮音断熱マットの縦方向の長さ(
図2(a)に示す遮音断熱マットMの上下方向の長さ)は、被覆対象物の形状や施工性等を考慮して適宜決定すればよい。
【0037】
第二の被覆層を形成する複数の遮音断熱マットMの形状は必ずしも同一である必要はないが、本発明の遮音断熱マットは、第一の被覆層および第二の被覆層によって所望の断熱性能や遮音性能を発揮し得るものであるので、均一な断熱性能や遮音性能を発揮するために、外表面側に形成される面が平面であることが好ましく、このため、第二の被覆層を形成する各遮音断熱マットMの形状も、組付け時に外表面側に形成される面が平面になるように設計されてなることが好ましい。
【0038】
本発明の遮音断熱性マット組付体において、第二の被覆層は、上記遮音断熱マットMを複数連結してなるものであり、第二の被覆層は、遮音断熱マットMをワイヤーや粘着テープを用いて複数連結したり、外装材Rに面ファスナーを設けた遮音断熱マットMを複数連結すること等により簡便に形成することができる。
【0039】
本発明の遮音断熱性マット組付体においては、
図2(c)に上面図および
図2(d)に断面の模式図で例示するように、上記遮音断熱マットMを構成する外装材Rとしても、設置時に外表面側となる側の端部に連結部の一部または全体を被覆し得る耳部Eを設け、隣接する遮音断熱マットMとの連結部を上記耳部Eで被覆してなるものであってよく、連結部を上記耳部Eで被覆して塞ぐことにより、本発明の遮音断熱性マット組付体を屋外で使用した場合においても、容易に防水性等や防塵性を発揮することができる。上記外装材Rの耳部は、外装材Rと同じ部材により形成されてなるものであることが好ましい。
上記耳部は、外装材Rと一体に成形されててなるものであってもよいし、外装材Rとは別部材として成形され、組付け時に面ファスナー等により組み付けてなるものであってもよい。
【0040】
本発明の遮音断熱マット組付体において、第二の被覆層の厚み、すなわち積層方向の長さは、5〜250mmであることが好ましく、50〜175mmであることがより好ましく、75〜125mmであることがさらに好ましい。
第二の被覆層の厚みが上記範囲内にあることにより、遮音断熱性マット組付体に対し、所望の断熱性と遮音性を付与することができる。
本発明の遮音断熱性マット組付体においては、適宜、第二の被覆層と第一の被覆層とが連結されてなるものであってもよい。
第二の被覆層と第一の被覆層との連結も、遮音断熱マットMや断熱マットmをワイヤーや粘着テープを用いて連結したり、遮音断熱マットMや断熱マットmを構成する外装材Rや外装材rに面ファスナーを設けて連結すること等により簡便に形成することができる。
【0041】
本発明の遮音断熱マット組付体において、第二の被覆層は、遮音シートが設けられた側が外表面側に位置するように設けられてなる。このように第二の被覆層を配置することにより、第一の被覆層および第二の被覆層を構成する繊維質成形体によって比較的高周波の音を吸収した上で、各繊維質成形体で吸音できなかった比較的低周波の音を反射して、外部への漏出を遮蔽することができる。
【0042】
本発明の遮音断熱性マット組付体は、第二の被覆層を形成する遮音断熱マットの連結部の少なくとも一部が、第一の被覆層を形成する断熱マットの連結部の形成位置と積層方向に重ならないように積層されてなるものである。
図3に示すように、本発明の遮音断熱性マット組付体1は、積層方向dにおいて、第二の被覆層を形成する遮音断熱マットMの連結部cが、第一の被覆層を形成する断熱マットmの連結部の形成位置と重ならないように被覆対象物2上に積層されてなるものである。
【0043】
本発明の遮音断熱性マット組付体は、第二の被覆層を形成する遮音断熱マットの連結部の少なくとも一部が、第一の被覆層を形成する断熱マットの連結部の形成位置と積層方向に重ならないように積層されてなるものであり、第二の被覆層を形成する遮音断熱マットの連結部(目地)の80〜100%が、第一の被覆層を形成する断熱マットの連結部(目地)の形成位置と積層方向に重ならないように積層されてなるものであることが好ましく、第二の被覆層を形成する遮音断熱マットの連結部(目地)の90〜100%が、第一の被覆層を形成する断熱マットの連結部(目地)の形成位置と積層方向に重ならないように積層されてなるものであることがより好ましく、第二の被覆層を形成する遮音断熱マットの連結部の全てが、第一の被覆層を形成する断熱マットの連結部の形成位置と積層方向に重ならないように積層されてなるものであることがさらに好ましい。
【0044】
なお、本出願書類において、第二の被覆層を形成する遮音断熱マットの連結部が、第一の被覆層を形成する断熱マットの連結部の形成位置と積層方向に重ならない割合X(%)は、下記式により算出することができる。
X(%)={第一の被覆層上に積層される遮音断熱マット間に形成される連結部(目地)のうち、第一の被覆層を形成する断熱マット間に形成される連結部(目地)と重ならない部分の合計長さ(mm)/第一の被覆層上に積層される遮音断熱マット間に形成される連結部(目地)の合計長さ(mm)}×100
【0045】
本発明の遮音断熱マット組付体は、第一の被覆層形成時に断熱マットm間に形成される連結部(目地)上に遮音断熱マットMを積層配置して、遮音断熱性マット組付体を形成してなるものであることから、断熱マットm間に形成される連結部(目地)で吸収されない音や熱を第二の被覆層で効果的に吸収して、被覆対象物から発生する熱や音を効果的に低減することができる。
【0046】
本発明の遮音断熱マット組付体は、複数の断熱マットおよび遮音断熱マットにより構成されてなるものであり、これ等のマットを順次組み付け、積層してなる構造を有するものであることから、特別な工具や装置を使用することなく、簡便に施工することができ、また、メンテナンス等も容易に行うことができる。
このように、本発明によれば、断熱性および遮音性に優れるとともに施工の容易な遮音断熱性マット組付体を提供することができる。
【0047】
本発明の遮音断熱マット組付体は、以下に詳述する本発明の組み付け方法により作製することができる。
【0048】
次に、本発明の遮音断熱マット組付体の組み付け方法について説明する。
本発明の遮音断熱マット組付体の組み付け方法は、被覆対象物の表面に、複数の断熱マットを配置、連結して第一の被覆層を形成した後、複数の遮音断熱マットを配置、連結して第二の被覆層を積層形成する遮音断熱性マット組付体の組み付け方法において、前記断熱マットは、繊維質成形体を外装材で包み込んでなるものであり、前記遮音断熱マットは、繊維質成形体と遮音シートとの積層物を外装材で包み込んでなるものであって、前記第二の被覆層を、遮音シートが設けられた側が外表面側に位置するよう遮音断熱マットを連結して形成し、かつ前記第二の被覆層を形成する遮音断熱マットの連結部の少なくとも一部が、前記第一の被覆層を形成する断熱マットの連結部の形成位置と積層方向に重ならないように配置、形成することを特徴とするものである。
【0049】
本発明の組み付け方法において、被覆対象物や、断熱マットや、遮音断熱マットの詳細については、本発明の遮音断熱性マット組付体の説明で述べたとおりである。
【0050】
本発明の遮音断熱性マット組付体の組み付け方法においては、被覆対象物の表面に、複数の断熱マットを配置、連結して第一の被覆層を形成した後、複数の遮音断熱マットを配置、連結して第二の被覆層を積層形成する。
【0051】
本発明の遮音断熱性マット組付体の組み付け方法において、第一の被覆層は、
図3に断面の模式図で示すように、断熱マットmを複数配置、連結することにより形成することができる。
第一の被覆層は、各断熱マットを、ワイヤーや粘着テープを用いて連結したり、外装材rに面ファスナーを設けた断熱マットを複数連結すること等により簡便に形成することができる。
【0052】
本発明の遮音断熱性マット組付体の組み付け方法において、第一の被覆層は、被覆対象物上に少なくとも一層形成され、取り付けの際の手間やコスト等を考慮しなければ、遮蔽対象物上に第一の被覆層を二〜四層程度積層して形成してもよい。
第一の被覆層の厚みの好適な範囲は、本発明の遮音断熱性マット組付体の説明で詳述したとおりである。
【0053】
本発明の遮音断熱性マット組付体の組み付け方法において、第二の被覆層は、
図3に断面の模式図で示すように、遮音断熱マットMを配置、連結することにより形成することができる。
第二の被覆層も、各遮音断熱マットを、ワイヤーや粘着テープを用いて連結したり、外装材Rに面ファスナーを設けた遮音断熱マットMを複数連結すること等により簡便に形成することができる。
【0054】
本発明の遮音断熱性マット組付体の組み付け方法においては、適宜、第二の被覆層と第一の被覆層とを連結してもよい。
第二の被覆層と第一の被覆層との連結も、遮音断熱マットMや断熱マットmをワイヤーや粘着テープを用いて連結したり、外装材Rに面ファスナーを設けた遮音断熱マットMと外装材rに面ファスナーを設けた断熱マットmとを連結すること等により簡便に実施することができる。
【0055】
本発明の遮音断熱性マット組付体の組み付け方法においては、
図3に断面の模式図で示すように、上記第二の被覆層を、遮音シートが設けられた側が外表面側に位置するよう遮音断熱マットMを連結して形成し、かつ上記第二の被覆層を形成する遮音断熱マットの連結部の少なくとも一部が、上記第一の被覆層を形成する断熱マットmの連結部の形成位置と積層方向dに重ならないように配置、形成する。
【0056】
本発明の遮音断熱性マット組付体の組み付け方法において、第二の被覆層を形成する遮音断熱マットの連結部の80〜100%が、第一の被覆層を形成する断熱マットの連結部の形成位置と積層方向に重ならないように積層することが好ましく、第二の被覆層を形成する遮音断熱マットの連結部の90〜100%が、第一の被覆層を形成する断熱マットの連結部の形成位置と積層方向に重ならないように積層することがより好ましく、第二の被覆層を形成する遮音断熱マットの連結部の全てが、第一の被覆層を形成する断熱マットの連結部の形成位置と積層方向に重ならないように積層することがさらに好ましい。
第二の被覆層を形成する遮音断熱マットの連結部が、第一の被覆層を形成する断熱マットの連結部の形成位置と積層方向に重ならない割合(%)は、上述した方法により算出することができる。
第二の被覆層の厚みの好適な範囲は、本発明の遮音断熱性マットの説明で詳述したとおりである。
【0057】
本発明の遮音断熱マット組付体の組み付け方法においては、第一の被覆層形成時に断熱マットm間に形成される連結部(目地)上に遮音断熱マットMを積層配置して、遮音断熱性マット組付体を形成してなるものであることから、得られる遮音断熱マット組付体において、断熱マットm間に形成される連結部(目地)で吸収されない音や熱を第二の被覆層で効果的に吸収して、被覆対象物から発生する熱や音を効果的に低減することができる。
【0058】
また、本発明の遮音断熱マット組付体の組み付け方法において、第二の被覆層を、遮音シートが設けられた側が外表面側に位置するように配置することにより、得られる遮音断熱性マット組付体において、第一の被覆層および第二の被覆層を構成する繊維質成形体によって比較的高周波の音を吸収した上で、各繊維質成形体で吸音できなかった比較的低周波の音を反射して、外部への漏出を遮蔽することができる。
【0059】
本発明の組み付け方法によれば、遮音断熱マット組付体が複数の断熱マットおよび遮音断熱マットにより構成されてなるものであり、これ等のマットを順次組み付け、積層することにより、特別な工具を使用することなく、簡便に施工することができる。
【0060】
このように、本発明の遮音断熱マット組付体の組み付け方法によれば、断熱性および遮音性に優れる遮音断熱性マット組付体を簡便に組み付けることができる。
【0061】
本発明によれば、本発明の遮音断熱性マット組付体を被覆対象物の表面に組み付けて一体化してなる遮音断熱性マット組付け一体化物を提供することもでき、遮音断熱性マット組付け一体化物としては、例えば、被覆対象物をタービン、コンプレッサ、発電機またはエンジン等とし、その表面に本発明の遮音断熱性マットを組み付けて一体化してなるものを挙げることができる。
【0062】
次に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
【0063】
(実施例1)
(1)断熱マットの作製
繊維質成形体としてセラミックスファイバー製断熱材(ニチアス(株)製ファインフレックスブランケット TOMBO No.5120、常温(25℃)における密度が130kg/cm
3であるもの)、外装材としてガラスクロス(厚さ0.5mm、質量(目付)が356g/m
2であるもの)を用い、上記繊維質成形体を上記外装材で包み込むことにより、断熱マットmとして、縦895mm、横595mm、厚さ100mmのものを4個、縦895mm、横600mm、厚さ100mmのものを4個、縦895mm、横300mm、厚さ300mmのものを2個作製した。
【0064】
(2)遮音断熱マットの作製
繊維質成形体としてセラミックスファイバー製断熱材(ニチアス(株)製ファインフレックスブランケット TOMBO No.5120、常温(25℃)における密度が130kg/cm
3であるもの)、外装材としてシリコンコーティングガラスクロス(厚さ0.3mm、質量(目付)が400g/m
2であるもの)、遮音シートとして塩化ビニール系シート(東邦亜鉛(株)製ソフトカームSC−14、厚さ1.4mm、常温(25℃)における密度が3.0g/cm
3であるもの)を用い、上記繊維質成形体と上記遮音シートとの積層物を上記外装材で包み込むことにより、遮音断熱マットMとして、縦595mm、横895mm、厚さ100mmのものを4個、縦595mm、横900mm、厚さ100mmのものを2個、縦600mm、横895mm、厚さ100mmのものを2個、縦600mm、横900mm、厚さ100mmのものを1個作製した。
【0065】
(3)遮音断熱性マット組付体の作製
図4に(a)上面図、(b)上面図のA−A’線垂直断面の模式図、(c)B−B’線垂直断面の模式図で示すように、上記(1)で作製した複数の断熱マットmを相互にアルミテープ(ニトムズ社製「アルミテープS」)tで連結することにより、縦1790mm、横2690mmの第一の被覆層を形成した(
図4中の数字は、各部の長さ(mm)を示す)。
次いで、
図5に(a)上面図、(b)上面図のA−A’線垂直断面の模式図、(c)上面図のB−B’線垂直断面の模式図で示すように、上記第一の被覆層上に上記(2)で作製した複数の遮音断熱マットMを配置し、相互にアルミテープ(ニトムズ社製「アルミテープS」)tで連結することにより、縦1790mm、横2690mmの第二の被覆層を形成した(
図5中の数字は、各部の長さ(mm)を示す)。このとき、
図5に示すように、各遮音断熱マットMは、遮音シートSが設けられた側が外表面側に位置するように配置した。
図5に示すように、第一の被覆層を形成する断熱マットmおよび第二の被覆層を形成する遮音断熱マットMは、それぞれ連結時および積層配置時における各連結部の位置を考慮して各マットの形状およびサイズが設計されてなるものであり、このために、第一の被覆層と第二の被覆層とを積層配置したときに、第一の被覆層を形成する断熱マットmの連結部の形成位置が、第二の被覆層を形成する断熱マットMの連結部の形成位置と積層方向に重ならないように積層することができた。
図5に示すように、上記第一の被覆層と第二の被覆層との積層物の外周を厚さ10mmの木枠wで囲って固定することにより、目的とする遮音断熱性マット組付体1を得た。
【0066】
(音響透過損失特性評価)
四方が鉄筋コンクリート製の壁で形成された床面積25m
2の音源室と四方が鉄筋コンクリート製の壁で形成された床面積25m
2の受音室とが隣接して設けられ、上記音源室と受音室とを隔てる壁に縦1800mm、横2700mmの開口部が設けられた結合残響試験室において、上記開口部に上記(3)で得た遮音断熱性マット組付体を第二の被覆層が受音室側に位置するように(遮音シートを設けた面が受音室側に面するように)嵌め込み、上記開口部および遮音断熱性マット組付体間の隙間に油粘土を埋め込んで封止した。
上記音源室および受音室は、それぞれ、室内の何れの箇所においても音圧が一定になるように設計されており、上記音源室において周波数63〜8000Hzの音を発生させて受音室側で受音した場合において、どの程度発生音を低減し得るか測定した。結果を表1および
図6に示す。
表1および
図6は、音源室で発生した発生音に対して受音室で測定された音の低減量R(dB)を表すものであり、表1および
図6において、「テープ有り」と表示したデータ群が本例における測定結果を示すものである。また、表1および
図6において、Rmaxとは、理論上低減し得る最大音量を意味する。
【0067】
(実施例2)
実施例1(3)において、複数の断熱マットmを相互にアルミテープで固定することなく縦1790mm、横2690mmの第一の被覆層を形成するとともに、複数の遮音断熱マットMを相互にアルミテープで固定することなく縦1790mm、横2690mmの第二の被覆層を形成した以外は、実施例1と同様にして目的とする遮音断熱性マット組付体を得た。
得られた遮音断熱性マット組付体を用い、実施例1と同様にして音響透過損失特性評価を行った。結果を表1および
図6に示す。表1および
図6において、「テープなし」と表示したデータ群が本例の結果を示すものである。
【0069】
(比較例1)
繊維質成形体としてセラミックスファイバー製断熱材(ニチアス(株)製ファインフレックスブランケット TOMBO No.5120、常温(25℃)における密度が130kg/cm
3であるもの)、外装材としてガラスクロス(厚さ0.5mm、質量(目付)が356g/m
2であるもの)を用い、上記繊維質成形体を上記外装材で包み込むことにより、断熱マットとして、縦895mm、横595mm、厚さ100mmのものを4個、縦895mm、横600mm、厚さ100mmのものを4個、縦895mm、横300mm、厚さ300mmのものを2個作製した。
図4に(a)上面図、(b)上面図のA−A’線垂直断面の模式図、(c)上面図のB−B’線垂直断面の模式図で示すように、上記(1)で作製した複数の断熱マットmを相互にアルミテープt(ニトムズ社製「アルミテープS」)で連結することにより、縦1790mm、横2690mmの連結物を成し、該連結物の外周を厚さ10mmの木枠で囲って固定することにより、目的とする断熱マット組付体を得た。
得られた断熱マット組付体を用い、実施例1と同様にして音響透過損失特性評価を行った。結果を表2および
図7に示す。
表2および
図7は、音源室で発生した発生音に対して受音室で測定された音の低減量R(dB)を表すものであり、表2および
図7において、「テープ有り」と表示したデータ群が本例における測定結果を示すものである。また、表2および
図7において、Rmaxとは、理論上低減し得る最大音量を意味する。
【0070】
(比較例2)
比較例1において、複数の断熱マットmを相互にアルミテープで固定することなく縦1790mm、横2690mmの連結物を形成した以外は、比較例1と同様にして目的とする断熱マット組付体を得た。
得られた断熱マット組付体を用い、実施例1と同様にして音響透過損失特性評価を行った。結果を表2および
図7に示す。表2および
図7において、「テープなし」と表示したデータ群が本例の結果を示すものである。
【0072】
(実施例3)
(1)断熱マットの作製
繊維質成形体としてセラミックスファイバー製断熱材(ニチアス(株)製ファインフレックスブランケット TOMBO No.5120、常温(25℃)における密度が130kg/cm
3であるもの)、外装材としてガラスクロス(厚さ0.5mm、質量(目付)が356g/m
2であるもの)を用い、上記繊維質成形体を上記外装材で包み込むことにより、断熱マットmとして、縦100mm、横100mm、厚さ100mmのものを4個作製した。
【0073】
(2)遮音断熱マットの作製
繊維質成形体としてセラミックスファイバー製断熱材(ニチアス(株)製ファインフレックスブランケット TOMBO No.5120、常温(25℃)における密度が130kg/cm
3であるもの)、外装材としてシリコンコーティングガラスクロス(厚さ0.3mm、質量(目付)が400g/m
2であるもの)、遮音シートとして塩化ビニール系シート(東邦亜鉛(株)製ソフトカームSC−14、縦100mm、横200mm、厚さ1.4mm、常温(25℃)における密度が3.0g/cm
3であるもの)を用い、上記繊維質成形体と上記遮音シートとの積層物を上記外装材で包み込むことにより、遮音断熱マットMとして、縦100mm、横133mm、厚さ100mmのものを3個作製した。
【0074】
(3)遮音断熱性マット組付体の作製
図8に断面の模式図で示すように、上記(1)で得た断熱マットmを4個連結して配置することによって第一の被覆層を形成し、この第一の被覆層上に、上記(2)で得た遮音断熱マットMを、遮音シートSが設けられた側が外表面側に位置するように3個連結して積層配置することによって第二の被覆層を形成して、目的とする遮音断熱性マット組付体を得た。
図8に示すように、第一の被覆層を形成する断熱マットmおよび第二の被覆層を形成する遮音断熱マットMは、それぞれ連結時および積層配置時における各連結部の位置を考慮して各マットの形状およびサイズが設計されてなるものであり、このために、第一の被覆層と第二の被覆層とを積層配置したときに、第一の被覆層を形成する断熱マットmの連結部の形成位置が、第二の被覆層を形成する断熱マットMの連結部の形成位置と積層方向に重ならないように積層することができた。
【0075】
(断熱性評価)
得られた遮音断熱性マット組付体を加熱機上に配置した状態で、外気温14℃の温度条件下、上記遮音断熱性マット組付体の下部を420℃の温度で加熱することにより、得られた遮音断熱性マット組付体の断熱性を評価した。
図8に黒丸の点で図示するように、熱電対α
1〜α
4、β
1〜β
4、γ
1〜γ
4を上記遮音断熱性マット組付体の複数の箇所にそれぞれ設け、6時間(定常状態になるまで)加熱した後における各部の温度を測定した。結果を表3に示す。
【0077】
(実施例4)
(1)断熱マットの作製
繊維質成形体としてセラミックスファイバー製断熱材(ニチアス(株)製ファインフレックスブランケット TOMBO No.5120、常温(25℃)における密度が130kg/cm
3であるもの)、外装材としてガラスクロス(厚さ0.5mm、質量(目付)が356g/m
2であるもの)を用い、上記繊維質成形体を上記外装材で包み込むことにより、断熱マットmとして、縦100mm、横133mm、厚さ100mmのものを3個作製した。
【0078】
(2)遮音断熱マットの作製
繊維質成形体としてセラミックスファイバー製断熱材(ニチアス(株)製ファインフレックスブランケット TOMBO No.5120、常温(25℃)における密度が130kg/cm
3であるもの)、外装材としてシリコンコーティングガラスクロス(厚さ0.3mm、質量(目付)が400g/m
2であるもの)、遮音シートとして塩化ビニール系シート(東邦亜鉛(株)製ソフトカームSC−14、縦100mm、横100mm厚さ1.4mm、常温(25℃)における密度が3.0g/cm
3であるもの)を用い、上記繊維質成形体と上記遮音シートとの積層物を上記外装材で包み込むことにより、遮音断熱マットMとして、縦100mm、横100mm、厚さ100mmのものを4個作製した。
【0079】
(3)遮音断熱性マット組付体の作製
図9に断面の模式図で示すように、上記(1)で得た断熱マットmを3個連結して配置することによって第一の被覆層を形成し、この第一の被覆層上に、上記(2)で得た遮音断熱マットMを、遮音シートSが設けられた側が外表面側に位置するように4個連結して積層配置することによって第二の被覆層を形成して、目的とする遮音断熱性マット組付体を得た。
図9に示すように、第一の被覆層を形成する断熱マットmおよび第二の被覆層を形成する遮音断熱マットMは、それぞれ連結時および積層配置時における各連結部の位置を考慮して各マットの形状およびサイズが設計されてなるものであり、このために、第一の被覆層と第二の被覆層とを積層配置したときに、第一の被覆層を形成する断熱マットmの連結部の形成位置が、第二の被覆層を形成する断熱マットMの連結部の形成位置と積層方向に重ならないように積層することができた。
【0080】
(断熱性評価)
得られた遮音断熱性マット組付体を加熱機上に配置した状態で、外気温14℃の温度条件下、上記遮音断熱性マット組付体の下部を420℃の温度で加熱することにより、得られた遮音断熱性マット組付体の断熱性を評価した。
図9に黒丸の点で図示するように、熱電対α
1〜α
4、β
1〜β
3、γ
1〜γ
4を上記遮音断熱性マット組付体の複数の箇所にそれぞれ設け、6時間(定常状態になるまで)加熱した後における各部の温度を測定した。結果を表4に示す。
【0082】
表1および
図6より、本発明の実施例で得られた遮音断熱性マット組付体は、第一の被覆層と第二の被覆層とを積層してなるものであることにより、理論上の最大低減音量に匹敵する音量低減効果を示すものであることが分かる。
また、表3および表4の結果より、本発明の遮音断熱性マット組付体は、十分な断熱効果を発揮するものであることが分かる。
一方、表2および
図7より、本発明の比較例で得られた遮音断熱マット組付体は、第二の被覆層を有さないことから、十分な音量低減効果が得られず、特に低周波数側において音量低減効果が低いことが分かる。