(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ディスクは、前記ある体積を有するナノチューブに対してある角度をなしていることにより、前記ディスクの前記オリフィスにおける前記ナノチューブの蓄積を最小にする、請求項2に記載のシステム。
前記導く工程において、連続する各々のディスクは、連続的により小さいオリフィスを含むことにより、前記ある体積をさらに抑制し、前記ナノチューブを配向する、請求項7に記載の方法。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、いくつかの実施形態では、例えば、ナノスケールでの配向を実現し得るナノチューブのナノ構造体の製造において、システムと共に用いられる、化学気相成長(CVD)反応器といった様々な装置および処理を提供する。
【0009】
本発明はまた、約1nmから約50nmの範囲の直径を有する実質的に不純物が入っていない高品質なシングルカーボンナノチューブ(SWNT)を生成するのに十分なカーボンナノチューブの成長処理を改善することができる方法および装置を提供する。
【0010】
本発明の態様は、ナノチューブを配向するためのシステム、方法および装置に関する。いくつかの実施形態では、本方法は、合成室内に自由流動性を有するある体積を有するカーボンナノチューブを製造する工程と、実質的に軸方向に自由流動性を有するカーボンナノチューブを拘束することにより、カーボンナノチューブを配向する工程と、カーボンナノチューブが、実質的に配向したカーボンナノチューブの集合体を形成することを可能する工程と、カーボンナノチューブの集合体を収集する工程とを包含する。いくつかの実施形態では、本方法は、例えば、材料が作成された後に延伸することによって集合体を配向する工程をさらに包含する。
【0011】
本発明は、一実施形態では、糸またはシートに関連して提供される配向したナノチューブを製造するためのシステムを提供する。前記システムは、ナノチューブを生成するために、混合物を導入することができる経路を有する合成室を含む。前記混合物は、触媒粒子と、炭素源と、キャリアガスとを含む。前記システムはまた、前記室内の高温ゾーンであって、ある体積を有するナノチューブを混合物から生成することができる高温ゾーンと、前記合成室に沿う、前記高温ゾーンの下流の配向処理流域であって、前記ある体積を有するナノチューブを凝縮し、前記ナノチューブを互いに相対的に実質的な配向を有するように偏向することができる配向処理流域とを含む。前記ある体積を有するナノチューブは、様々な実施形態において、自由流動性を有する。
【0012】
一実施形態では、前記配向処理流域は、相対的により小さい直径の経路を有する、前記合成室のテーパ部であり得る。前記テーパ部は、前記相対的により小さい直径の経路を介して前記ナノチューブを凝縮し、実質的な配向を有するように偏向する。前記システムはまた、一実施形態では、前記テーパ部に対して相対的に狭窄な直径を有することにより、前記ナノチューブをさらに凝縮し、配向する円錐部を有することができる。前記配向処理流域は、一実施形態では、相対的により小さい直径の経路を有する、前記合成室の円錐部であり得る。前記円錐部は、前記相対的により小さい直径の経路を介して前記ナノチューブを凝縮し、実質的な配向を有するように偏向する。前記システムは、一実施形態では、前記配向処理流域の実質的に円周方向に位置する穿孔をさらに有することができ、前記ナノチューブが前記配向処理流域に付着することを最小限にするように、前記穿孔を介してガスのフローを導入することができる。
【0013】
前記配向処理流域は、別の実施形態では、前記ある体積を有するナノチューブがフローすることができる少なくとも1つのオリフィスを有するディスクを含むことができる。前記オリフィスは、前記経路より相対的により小さい直径を有することにより、前記ナノチューブを凝縮し、実質的な配向を有するように偏向する。前記ディスクは、前記フローしているある体積を有するナノチューブに対してある角度をなしていることにより、前記ディスクの前記オリフィスにおける前記ナノチューブの蓄積を最小にすることができる。いくつかの実施形態では、前記配向処理流域は、互いに相対的に直線状に配置された複数のディスクを含むことができ、連続する下流の各々のディスクは、連続的により小さい直径のオリフィスを有することにより、前記ナノチューブをさらに凝縮し、配向する。
【0014】
前記配向処理流域は、別の実施形態では、静電レンズを含むことができる。前記静電レンズは、静電界を発生させることができることにより、前記静電レンズを介して移動する前記ある体積を有するナノチューブを凝縮し、実質的な配向を有するように偏向する。いくつかの実施形態では、前記配向処理流域は、互いに同軸上に配置された複数の静電レンズを含むことができる。前記複数の静電レンズは、異なる電圧を有することにより、前記複数の静電レンズを介して移動する前記ナノチューブを連続的に凝縮し、配向する。いくつかの実施形態では、前記システムは、前記配向処理流域の上流の粒子帯電器であって、前記ナノチューブを生成することができる混合物を帯電する粒子帯電器をさらに有することができる。
【0015】
本発明は、さらなる実施形態において、前記混合物を付着させることができるループ状の回転ベルトを含む経路を有するシステムを提供することができる。前記ベルトは、前記高温ゾーン内に回転することができることにより、前記ベルト上に、前記付着した混合物から前記ナノチューブを成長させることを可能にする。前記高温ゾーンは、一実施形態では、前記ナノチューブを成長させるために前記混合物に追加的な炭素源を導入する注入器を含むことができる。前記システムは、一実施形態では、前記高温ゾーンの下流の掻取り装置であって、前記ナノチューブが収集されると、前記混合物の残留物を除去する掻取り装置をさらに含むことができる。
【0016】
本発明は、さらなる実施形態において、前記合成室の出口に隣接して位置する回転アンカーを有するシステムを提供することができる。前記合成室を出る前記ナノチューブは、その後に延伸され、さらに配向するために前記回転アンカーの近くに導かれ得る。前記アンカーは、様々な実施形態において、前記アンカーの円周方向に設けられた一連のスロットを含み、前記ナノチューブは、下流への力によって引っ張られながら前記一連のスロットにより抑制されることができることにより、前記ナノチューブをさらに配向する。
【0017】
本発明はまた、炉から収集されたナノチューブを配向するシステムを提供する。前記システムは、前記炉と流体連通しているハウジングと、所定の速度で回転可能な第一のドラムであって、前記炉の出口に隣接してハウジング内に位置することにより、前記炉から収集したナノチューブをその上に堆積することができる第一のドラムと、前記第一のアンカーの下流に位置して、前記第一のアンカーから導かれたナノチューブを受け取る第二の回転可能なドラムであって、前記収集したナノチューブを延伸し、配向するように前記第一のドラムとは異なる速度で回転可能な第二の回転可能なドラムとを備える。前記第二のドラムの速度は、前記第一のドラムの速度よりも速くなり得る。
【0018】
本発明はまた、配向したナノチューブを製造する方法を提供する。前記方法は、経路内に、ある体積を有するナノチューブを製造工程と、制限領域を介して前記経路に沿って前記ある体積を有するナノチューブを下流に導く工程と、前記制限領域を介して移動した前記ナノチューブを互いに相対的に実質的な配向を有するようにその後に偏向する工程とを包含する。いくつかの実施形態では、前記ある体積を有するナノチューブは、自由流動性を有する。前記配向したナノチューブは、その後に延伸し、さらに配向するために、前記経路から回転アンカーの近くにさらに収集され得る。
【0019】
一実施形態では、下流の前記ある体積を有するナノチューブは、前記経路のテーパ部および前記経路の円錐部の一方、またはその両方を含む制限領域を介して前記経路に沿って導かれる。いくつかの実施形態では、方法は、前記ナノチューブの前記経路への付着を最小限にするように、前記制限領域内の前記ある体積を有するナノチューブの円周方向にガスのフローを導くことをさらに包含する。
【0020】
別の実施形態では、前記ある体積を有するナノチューブは、1つ以上のディスクを含む制限領域を介して前記経路に沿って導かれる。前記1つ以上のそれぞれは、前記経路よりも小さい直径を有する少なくとも1つのオリフィスを有し、前記ある体積を有するナノチューブは、前記少なくとも1つのオリフィスを介してフローすることができる。連続する各々のディスクは、前記ある体積をさらに抑圧し、前記ナノチューブを配向する連続的により小さいオリフィスを含むことができる。
【0021】
別の実施形態では、前記ある体積を有するナノチューブは、静電界を発生させることができる1つ以上の静電レンズを含む制限領域を介して前記経路に沿って導かれる。各連続する静電レンズは、隣接するレンズとは異なる電圧を有することにより、前記ある体積をさらに抑圧し、前記ナノチューブを配向することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記制限領域を介して前記経路に沿って前記ある体積を有するナノチューブを加速することにより、前記ある体積内の前記ナノチューブのランダム化に対抗することを包含する。
【0023】
別の実施形態では、前記導くことは、前記ある体積を有するナノチューブが付着した基板上で前記ある体積を有するナノチューブを回転させることを包含し得る。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明に関連して用いられるナノチューブは、様々なアプローチを用いて製造することができる。現在、ナノチューブを成長させるための多くの処理およびそれらの変形が存在する。これらは以下のものを含む。(1)化学蒸着(CVD)、大気圧付近またはそれより高圧で、かつ約300℃より高い温度で行うことができる一般的な処理、(2)アーク放電、完成度が高いチューブを生じ得る高温処理、および(3)レーザーアブレーション。また、プラズマCVD等の他の方法も可能である。ホウ素ナノチューブも、異なる化学前駆体を用いてではあるが、同様のシステムにおいて成長させ得ることを理解されたい。なお、下記においては、カーボンから合成されたナノチューブに言及されているが、他の化合物(単数または複数)も、本発明で使用されるナノチューブの合成に関連して使用することができることに留意されたい。
【0037】
本発明は、一実施形態では、CVD法、または業界で知られている同様の気相熱分解法手順を用いて、ナノチューブを含む適切なナノ構造体を生成する。具体的には、CVDの成長温度は、例えば、約300℃から約1400℃にわたる比較的低い範囲であるので、シングルウォール(SWNT)およびダブルウォール(DWCNT)の両方、またはマルチウォール(MWNT)のカーボンナノチューブを成長させることができる。これらのカーボンナノチューブは、一実施形態では、既存の粒子を添加することによって、または、例えば、金属有機前駆体からもしくは非金属触媒からの粒子のIn‐Situ合成によって、試薬炭素含有ガス(すなわち、ガス状炭素源)に導入されたナノ構造触媒粒子から成長させることができる。SWNTおよびDWCNTの両方、ならびにMWNTを成長させることができるが、特定の場合においては、SWNTは、より高い成長速度と、取り扱い性、安全性および強度利点を提供することができるロープを形成する傾向とを有するので、いくつかの用途において好まれ得る。なお、以下において、用語「カーボンナノチューブ」または「CNT」が カーボンナノチューブを指すために互換的に使用され得ることに留意されたい。
シートおよび糸を製造するためのシステム
【0038】
図1を参照すると、ナノチューブの製造において使用されるシステム30が示されている。システム30は、米国特許第7993620に開示されたもの(2006年7月17日出願;参照として本明細書に援用される)と同様である。具体的には、
図1Aは、左から右に向かって、注入器と、成長領域と、巻き取り用ベルトとを示すCVD炉の概略図である。システム30は、一実施形態では、CNTの成長が起こる合成室31を含んでもよい。合成室31は、一般的に、燃料注入器を含む。該燃料注入器は、入口端311に位置し、該燃料注入器を介して反応ガス(すなわち、ガス状炭素源)が触媒または触媒前駆体と共に合成室31内に供給され得る。合成室31はまた、ナノチューブ313の合成が起こり得る高温ゾーン312と、反応の生成物、即ち雲状(cloud)のナノチューブおよび排気ガスが排出され、収集される出口端314とを含み得る。合成室31は、一実施の形態では、石英管、またはムライトいったセラミック管、または炉316を通じて延びるFeCrAl管315といった金属管を含むことができる。システム10によって生成されたナノチューブは、一実施形態では、個々の単一のナノチューブ(それぞれSWCNT、DWCNTまたはMWCNTであってもよい)、このようなナノチューブの束、および/または混在したまたは絡み合ったシングルウォールナノチューブであり得る。これらのすべては、以下において「不織」として言及され得る。
【0039】
システム30はまた、本発明の一実施形態では、実質的に気(例えば、ガス、空気等)密または密封されるように設計されたハウジング32を含むことができる。これにより、合成室31内から潜在的に危険な浮遊微粒子の環境への放出を最小限に抑えることができる。ハウジング32はまた、システム30内に酸素が侵入することを防ぐように作用することができる。具体的には、合成室31内に酸素が存在すると、整合性に影響を与え、カーボンナノチューブ313の製造を危うくしかねない。
【0040】
システム30はまた、ハウジング32内に位置し、システム30の合成室31内から生成された合成したナノチューブ313を収集するように設計された移動ベルト320を含んでもよい。具体的には、ベルト320は、ベルト320上に収集されたナノチューブが、その後、実質的に連続的な伸長可能な構造321、例えば、CNTのシートを形成し得るように用いられ得る。このようなCNTシートは、実質的に配向性を有しない不織ナノチューブ313から、シートとして扱われるのに十分な構造的整合性を有するように生成することができる。ベルト320は、一実施の形態では、出口端314からのガスのフローに対して実質的に垂直な方向に前後に平行移動するように設計することができる。これにより、ベルト320上に収集されるCNTシート321の幅を大きくできる。あるいは、このベルトは、大型のドラムと置き換えることができる。
【0041】
製造されたナノチューブ313を収集するために、ベルト320は、合成室31の出口端314に隣接して位置し得、これによりベルト320上にナノチューブが堆積し得る。一実施形態では、ベルト320は、
図1Aに示すように、出口端314からのガスのフローに対して平行に位置することができる。あるいは、ベルト320は、出口端314からのガスのフローに対して実質的に垂直に位置することができる。一実施形態では、ベルト320は、出口端314からのガスのフローに対して実質的に垂直な方向に左右に平行移動するように設計され得る。これにより、ベルトまたはドラム上に層ごとに堆積され、出口端314より実質的に広い、大きなシートを生成することができる。ベルト320はまた、ベルト320が軸を中心に連続的に回転することができるように、従来のコンベアベルトと同様に、連続ループとして設計されてもよい。これにより、CNTの複数の実質的に別個の層が、ベルト320上に堆積され、シート321を形成し得る。このために、ベルト320は、一実施の形態では、対向する回転要素322の周りをループしてもよく、電気モータといった機械装置により駆動されてもよい。あるいは、ベルト320は、
図2Bに示すようなドラムといった剛性シリンダであってもよい。一実施形態では、モータは、コンピュータまたはマイクロプロセッサといった制御システムを用いて制御することができる。これにより、張力および速度を最適化することができる。本発明の一実施形態によれば、シート321を形成する際のCNTの複数の層の堆積は、ナノチューブ間の層間の接触を最小にすることができる。具体的には、シート321の各々の別個の層のナノチューブは、シート321の隣接層内に延在しない傾向がある。その結果、参照面に対する垂直の熱伝導性をシート321に亘って最小化することができる。
【0042】
混在した不織ナノ材料のCNTシート321をベルト320から外し、その後ハウジング32から取り外すために、ブレード(図示せず)が、そのエッジをベルト320の表面にもたれかけて、ローラに隣接して設けられてもよい。このようにして、CNTシート321は、ローラを通過してベルト320上で回転するので、ブレードは、ベルト320の表面からCNTシート321を持ち上げるように作用し得る。別の実施形態では、ブレードは、CNTシート321を取り外すために使用される必要はない。むしろ、CNTシートの取り外しは、手または当該技術分野における他の公知の方法により行うことができる。
【0043】
また、スプール(図示せず)が、ブレードの下流に設けられてもよい。これより、外されたCNTシート321は、その後、スプールに向かって移動し、スプールに巻かれ、取り込まれる。CNTシート321がスプールに巻かれるにつれて、CNTシート321の複数の層が形成され得る。もちろん、その後ハウジング32から取り外されるようにCNT321シートが収集され得る限りは、他のメカニズムも使用され得る。一実施形態では、スプールは、ベルト320と同様に、電気モータ(ステッピングモータ)といった機械駆動部により、駆動されてもよい。これにより、スプールの回転軸は、CNTシート321の移動方向に対して実質的に横方向になり得る。
【0044】
スプールに巻かれている際のCNTシート321自体に対するCNTシート321の接着を最小限にするために、シートがスプールに巻かれる前に、分離材をCNTシート321の片面に塗布してもよい。本発明に関連して使用される分離材は、連続ロールで供給することができる様々な市販の金属シート、紙、またはポリマーのいずれであってもよい。このために、シートがスプールに巻かれている時に、分離材はスプール上のCNTシート321と一緒に引っ張られてもよい。なお、CNTシート321の一方の側に塗布され得る限りは、分離材を含む材料は、シート、液体、または他の任意の形態で提供されてもよいことに留意されたい。さらに、CNTシート321内の混在したナノチューブは、Fe、Co、Ni、合金等といった強磁性体の触媒ナノ粒子を含有し得るので、分離材は、一実施形態では、例えば、導電材料または非導電材料の非磁性材料であってもよい。これにより、CNTシートが分離材に強力に付着することを防止できる。別の実施形態では、分離材料は必ずしも必要とはされない。CNTシート321が生成された後、CNTシート321は、CNTシートとして残してもよく、また当技術分野で公知の方法を用いて、細長い切れといったより小さい部分に切断されてもよい。
【0045】
本発明に従って使用するのに適したシステムが、
図2Aおよび
図2Bに示されている。このようなシステムによって製造されるCNT材料は、移動ベルト320上またはドラム上に不織シートとして収集することができる。カーボンナノチューブ14は、一実施形態では、複数の別個の層51で堆積させて、単一のCNTシート12(
図1B)の多層構造または多層形態を形成することができる。いくつかの実施形態では、CNTシートは、参照面に対して垂直方向、つまり厚み方向に低い導電率を有し得る。これは、チューブ間の抵抗、ならびに参照面に対する垂直方向の低い熱伝導性という同一の理由に起因し得る。
【0046】
システム30と同様のシステムがまた、ナノチューブの糸を製造するために使用することができる。糸を製造するために、ハウジング32は、炉316からナノチューブを受け取り、ナノチューブを紡いで糸にする装置と置換することができる。このようなシステムは、米国特許第7993620号に開示されており、参考としてここに援用される。一実施形態では、生成された糸は、明確に定義されたねじれ角で完全に回転させることができ、または単に仮撚り加工され、ボビンに収集することができる。
【0047】
本発明のシステムによって生成されたCNTのシートまたは糸は、その後、様々な用途において使用することができる。
I.
In‐Situナノチューブ配向処理
【0048】
カーボンナノチューブ(CNT)の特性は、欠陥、長さ、直径およびキラリティーといったカーボンナノチューブの構造特性、および全体的な管束配向または形態によって支配され得ることに留意されたい。糸やシートといったCNT製品の配向処理は、歴史的に製造後に行われてきた。後処理における配向処理は、強度および他の特性を向上させることができ、実質的なマクロ配向を提供することができるが、後処理における配向処理は、特定の場合において、ナノスケールでの配向を実現することができないこともあり得、また糸合成またはテープ合成処理に余分なコストを追加しかねない。
【0049】
本発明の態様は、ナノスケール(例えば、約1から約10 nmのスケール)でのナノチューブの実質的に精密な組織を実現するために、カーボンナノチューブを配向処理するIn‐Situ方法、システム、および装置に関する。いくつかの実施形態では、本発明の結果として得られたCNT材料、例えば、シートまたは糸におけるナノチューブの配向性は、例えば、X線によって測定された場合、90%より大きくなり得る。いくつかの実施形態では、本発明のCNT材料の強度は、例えば、5cmのゲージ長で測定された場合、約5GPaより大きくなり得る。いくつかの実施形態では、本発明のCNT材料の弾性率は、約150GPaより大きくなり得、潜在的には、配向した状態の場合には、理論値の600GPa近くになり得る。いくつかの実施形態では、本発明のCNT材料の導電率は、3×10
6S/mよりも大きく測定されており、潜在的には、配向した状態の場合には、銅、すなわち60×10
6S/mに近い値、または銅より大きい値を実現し得る。いくつかの実施形態では、本発明のCNT材料の熱伝導率は、100W/mKよりも大きく測定されており、配向した状態での場合には、さらにより大きくなり得る。いくつかの実施形態では、本発明のCNT材料は、例えば、約300μV/Κ以上の熱電特性を有し得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、合成室31は、上述したように、1つ以上の配向処理経路を提供することができるように設計および/または改変することができる。いくつかの実施形態では、配向処理経路は、(i)ガスフロー配向処理といったフロー配向処理、(ii)CNTの静電配向処理、(iii)固定された機械的な配向処理、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。ただし、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、ガス速度は、自由流動性を有する雲状のCNTをバルク材料に凝縮する前に、配向処理を実現するように操作され得る。これにより、後処理における配向処理工程を実質的になくすことができる。
【0051】
いくつかの実施形態においては、配向処理は、2012年7月27日出願の同時係属中の米国特許出願第13/560582号に開示されているように、CNTの生成に使用され得るプラズマ発生器に結合することができる。
【0052】
なお、ナノレベルでの表面的な配向性は、高倍率SEM像の画像分析によって、または偏光ラマン分光法によって、あるいは平面検出器を用いたX線回折によって測定され得ることが理解されたい。
1.In‐Situフロー配向処理
【0053】
本発明の一実施形態では、種々の装置およびガスフロースキームが、収集されるCNTの配向処理を補助するために、CNTの収集に先立って、炉316の合成室31内のCNTに配向処理(すなわち、In‐Situ配向処理)を施すように用いられ得る。具体的には、炉316内からのCNTのフロー(すなわち、雲)から、高度な配向性を有するCNTの「ジェット」を生成することができ、このような配向性を有するCNTのフローは、CNTのフローすなわち雲がマトリックス状のバルク材料に凝縮される前に、炉316の合成室31から排出される際に、実質的な配向性を実現するように操作され得る。一実施形態では、マトリックスは、実質的に内部が中空の「靴下」構造に似て得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、CNTのフロー配向処理を実施することができるが、これは、例えば、(i)先細り合成室31および/または合成室31内のCNTの流路に位置する円錐形の装置の使用、(ii)空力レンズの使用、(iii)配向した小径のCNTのジェットの形成、(iv)マイクロ炉の使用、または(v)カーボンナノチューブまたはチューブ束の周囲のガスフローを加速するのに適した任意の他の装置を介して、CNTのフローをテーパ状または収束することによって実現することができる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0055】
なお、フローCNTは、合成室31の高温ゾーン312においては、緩い懸濁液、または気相状態の懸濁した雲状のナノチューブおよび/または束であってもよいことに留意されたい。このフローは、障害物の周りを移動することができ、付着は合成室31の壁に最小限に抑えることができる。また、CNTフローの温度が低下する場合、例えば、合成室31の中間点を過ぎた位置において、雲状のCNTのフローが遅れ得、これにより、雲状のCNT材料に力を加えて圧縮させ得る。これにより、不規則が生じ得る。雲状のCNT材料が高温ゾーン312の外に移動した際に、これらの圧縮力がより強くなり、CNTフローのより大規模な凝縮とランダム化が発生し得、エアロゲルのような特性を持った互いに結合したマトリックス状のCNTとなる。
【0056】
なお、冷却はまた、合成室31の壁から起こり得るので、合成室31の中心は、相対的により高温になり得、これにより、雲状のCNTをより速く移動させることが理解されたい。これにより、雲状のCNTの中心の密度が、雲状のCNTの外側部分よりも低いという径方向の密度勾配をもたらし得る。なお、CNTは、より低温である表面に付着し得ることが留意されたい。したがって、炉316の合成室31内において実現された配向は、CNTが冷却され収集される際に維持される必要がある。従って、CNTは、一実施形態では、雲状のCNTの温度よりも相対的に低温である表面から離れて保持され得る。
【0057】
上記のように、雲状のCNTが合成室内に三次元ネットワークまたはマトリックス(すなわち、靴下形状のマトリックス)を形成し得る。一実施形態では、CNTシートを形成するために使用されるマトリックス内のナノチューブの配向性は、偏光ラマンおよびX線によって測定され、ランダムであることが見出された。異方性が有益である構造繊維複合材料といった用途においては、ほぼ完成したCNTの糸またはシートは、少なくともマクロスケールレベルにおける糸またはシート内の構成繊維の軸方向の配向性をさらに高めるために、その後に、形成後延伸することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されているCNT配向処理により、約1.5 GPaからこの値の数倍に引張強度を向上させることができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、浮揚している雲状のCNTが凝集し得る、炉管内の位置を予測および/または制御することにより、また、その領域の長さにわたってフローを加速することによって、緩いCNTを好ましくは軸方向に強いることができ、同時に通常の静電的相互作用により、CNTを集めることができる。いくつかの実施形態では、マイクロスケールでの配向の利益は、本明細書において、また同時係属中の米国特許出願第12/170092において記載される、より後の後処理工程によってさらに増大され得る。ナノスケールまたはマイクロスケールでのCNT束の有意な配向により、強度、熱導電率および導電率を飛躍的に向上させることができる。
a.バルクフロー加速(円錐流)
【0059】
ここで、
図3を参照すると、In‐Situフロー配向処理への1つのアプローチは、冷却領域において、炉316の合成室31に沿った領域330を先細りさせることを含む。この冷却領域は、合成室31(注入器は図示せず)の高温ゾーンに沿った成長領域332の、例えば、下流であって、CNTが凝集または凝縮する場所である。その結果、このような冷却または凝縮領域330(すなわち、加速度場)を介して雲状のCNT材料のフローの加速が誘発され得る。これにより、CNTの配向が促進される。テーパ領域330に沿って合成室31の直径が減少する限りは、テーパ状の円錐流場を作成するいくつかのアプローチがあり得ることが理解されたい。
【0060】
加速度場を介するCNTフローの加速をさらに向上させるために、一実施形態では、円錐331といった円錐のような装置またはその他の円錐に類似する装置が、雲状のCNT材料のフロー内に位置し得る。一実施形態では、円錐331は、テーパ領域330の下流に位置し得、また耐火性材料から作られ、CNT材料が合体または凝集し始める領域内に配置することができる。
図3に示されるように、左側においては、炉316の合成室31のテーパ反応管領域330は、冷却領域(すなわち、加速度場)全体にわたってCNTフローを加速し得るように作用することができる。
図3の右側においては、円錐331は、CNTの配向性をさらに高めるように使用され得る。いくつかの実施形態では、ガス333は、テーパ領域330または円錐331の径方向に導入されて、ファウリングの防止を補助したり、領域330または円錐331の壁に付着するCNTの発生を最小限にしたり、配向性をさらに高めたりし得る。これは、いくつかの実施形態では、領域330または円錐331の円周方向に穿孔(図示せず)を設けることによって行うことができる。いくつかの実施形態では、領域330または円錐331の長さおよび形状、並びにガス導入の形状および容積が、配向を最適化するように変更され得る。
【0061】
なお、いくつかのケースでは、合成室31内のテーパ領域330および/または円錐331によって提供される加速度場は、CNTを完全に配向するのに十分であり得ることが理解されたい。CNTが実質的に完全に配向し得ない場合においては、これは、ガス加速度に起因するモーメントがランダム化力に対抗するのに十分に強くない場合の結果であり得る。いずれの場合も、配向性は、テーパ領域330および/または円錐331を使用することによって改善することができる。
b.空力レンズ
【0062】
ここで
図4Aおよび
図4Bを参照すると、In‐Situフロー配向処理への別のアプローチは、改変された炉416内において空力レンズ系40を使用することを含む。
図4Aに示すように、空力レンズ系40は、縦型管炉416であってもよい。縦型管炉416内には、チューブ合成室411が位置し得、縦型管炉416は、炉416の長さに沿って延び得る。合成室411は、いくつかの実施形態では、アルミナ‐ジルコニアといったセラミックから作られ得る。合成室411は、いくつかの実施形態では、3/4インチまでの直径を有することができる。もちろん、用途によっては、合成室411の直径は、必要に応じて、3/4インチ以上もしくはそれ以下に調整することができる。いくつかの実施形態では、空力レンズ系40は、炉416の上に位置する燃料注入器412と、炉416の下に位置する取り込み室413と、ヒータ415によってそれぞれが加熱される2つの高温ゾーンとを含む。縦型管炉として図示されているが、炉416は、代替的に水平管炉であってもよいことが理解されたい。
【0063】
システム40はまた、本発明の一実施の形態では、ヒータ415によって提供される熱の放散を防止するために絶縁体417を含むことができる。ヒータ415は、一実施形態では、合成室411の近くの高温ゾーン内に位置する螺旋状のデュアルゾーンSiCヒータであってもよい。ヒータ415は、いくつかの実施形態では、CNTを生成するのに十分な約1150℃から約1300℃の範囲の温度を発生させることができる。例示した実施形態では、ヒータ415の温度は、約1250℃であり得る。いくつかの実施形態では、操作可能な垂直管炉416は、さらに、注入器412と、炉の壁へのCNTの付着を防止するための、加熱されたフロー凝縮機構と、迅速な取り込み室413とを含むことができる。炉416は、さらに、吹消し(blow out)膜を含み得る安全システムを有することができる。この吹消し膜は、爆発の原因となり得る圧力を解放するために、システムのほかの構成要素より先に機能しなくなり得る。
図4Bにも示されているが、他の構成が用いられ得ることが理解されたい。
【0064】
図4Bを参照すると、システム40は、フローしている雲状のCNT内のナノチューブおよび/またはナノチューブの束を配向するために、管411の長さに沿って挿入された1つのレンズ(図示)、または1つより多くのレンズ(図示せず)を含むことができる。一実施形態では、レンズ417は、空力レンズであってもよく、また雲状のナノチューブがフローし得るオリフィス418を有するディスクであってもよい。1つのオリフィス418を有するものとして説明したが、4Bに示すように、レンズ417は、複数のオリフィスを含み得る。1つより多くのレンズ417が使用される場合には、レンズは、合成室411に沿って直線状に配置されてもよいし、連続する下流の各々のレンズ417は、連続的により小さい直径のオリフィス418を含むことができ、これにより、管411と実質的な軸配向となるようにCNTを移動させながら、フローしている雲状のCNTを強制または凝縮して、より小さい径方向の体積を有するようにすることができる。連続するオリフィス418はまた、フローの加速または減速を制御するように用いられ得る。これにより、フィラメントのような形状になるようにナノチューブを径方向に凝縮させることができる。CNTのフローを凝縮するこのようなアプローチは、CNTが互いに近接するように強いることができ、これにより、隣接するナノチューブ間の接触を高めることができる。隣接するCNT間の接触は、ロンドン分散力やファンデルワールス力といったCNT間の非共有結合性相互作用を介してさらに高めることができる。
【0065】
依然
図4Bを参照すると、空力レンズ417は、耐火性材料から作られてもよい。いくつかの実施形態では、オリフィス418の直径は、特定の粒径およびキャリアガスの流速に合わせることができる。レンズ417の所までナノチューブが蓄積することは、フローを邪魔し得ることに留意されたい。これは、レンズ417を加熱することによって得られる熱泳動力によっておよび/またはオリフィス418を介するガスフロー対してレンズ417を傾けることによって緩和することができる。いくつかの実施形態では、異なる開口を有する1つ以上のレンズ418を使用することができる。実質的に凝縮されたCNTのフローが糸に似たものとして得られれば、例えば、それは糸紡ぎの概念を用いて紡糸することができる。
【0066】
図4Aに示す注入器412といったロング注入器が、炉416の高温ゾーン内に延びるように使用されてもよい。しかしながら、注入器412は、炭素質材料により、非常に素早く詰まり得る。それゆえに、様々な実施形態では、コークス化を制御および/または防止することができる。1つのアプローチでは、炉416への入り口は、「コークス化」領域の下流に位置することができる。
【0067】
炉416への入り口があまりにも下流すぎる場合には、CNT材料が入り口の所まで蓄積し、炉416を詰まらせ得ることに留意されたい。様々な実施形態では、ファウリングを制御および/または防止することができる。たとえば、ファウリングを制御するために、入口は、炉416の高温ゾーン内に位置してもよい。
【0068】
CNTが比較的低温、約1000℃より低い温度の表面に接触する場合、CNTはそのような表面に付着する傾向があることを認識されたい。いくつかの実施形態では、上流のファウリングを制御および/または防止することができる。例えば、上流のファウリングは、熱およびフローを調整することによって緩和することができる。CNTがまさに成長し始める所にレンズ417または一連のレンズに配置することができるので、レンズまたは一連のレンズは、あるサイズの直径を有するオリフィスを有し得る。いくつかのケースでは、オリフィス418の直径が、通過するCNTの長さの約5倍である場合には、目詰まりが発生し得る。しかしながら、成長の初期段階では、CNTの長さは非常に短くなり得る、したがって、成長が進むにつれて、一連のレンズのオリフィス418の直径は、いくつかの実施形態では、目詰まりを最小限に抑えるように調整し得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、下流のファウリングを制御および/または防止することができる。本発明のCNT材料は、炉を出て、以下に記載の収集領域に入る前に約400℃に冷却され得る。
【0070】
本発明のいくつかの態様によれば、実質的に平行に配置した複数の小さい管(例えば、小さい管炉416)を用いた微小反応炉が、配向したCNTの生産量を高めるために使用され得る。炭素による小さい管の目詰まりを最小化するように、このような微小反応炉内の管の直径を選択することができる。いくつかの実施形態では、最初の開始時の管の直径は、予想されるナノチューブの長さの約5倍、つまり約50mmであってもよい。いくつかの実施形態では、小さい管の直径を小さくすることは、多くの有益な効果を潜在的に誘発し得る。CNTの位置および方向性の自由度が小さくなるにつれて、CNTは、追加のフロー制御装置を用いることなく、より配向した材料に凝集し得る。また、小さい管における境界層が径方向にかなりの速度勾配を生じさせることができる。この結果生じたせん断力は、中心に粒子を引き寄せる傾向がある(サフマン揚力)。これは、軸方向に配向した形状にCNT材料を圧縮し、凝集し得る。これはまた、小径の炉管への熱伝達を向上させることができる。
c.In‐Situ配向処理収集システム
【0071】
In‐Situ配向処理が成功したと仮定すると、材料が炉を出る際に、この配向を維持することができることに留意されたい。上述したように、ガスの冷却は、ナノチューブの方向性をランダム化し得る圧縮力をCNT材料に対して作成し得る。この問題は、いくつかの実施形態では、加熱された円錐331(
図3)と、壁から離れるようにCNT材料を維持することができ、かつ材料が冷えるにつれて当該材料を加速する径方向に選択的に導入されたガスフローといった凝縮機構とでもって対処される。
【0072】
動作時には、ナノチューブの定常状態での製造下、および本発明のいくつかの実施形態によれば、ナノチューブは、例えば、
図5に示されるアンカー50の使用を介して合成室31内から収集し得、糸を形成することができる。アンカー50は、一実施の形態では、合成室31内に配置され得、好ましくは、合成室31の冷却領域に配置され得る。いくつかの実施形態では、アンカー50は、CNTのフローに対して実質的に垂直に配置することができる。CNTが収集される場合、CNTが合成室から出てくる際に寄せ集められてもよく、または束ねられてもよい。なお、また、CNTの配向が炉を出るまで維持されたとしても、CNTは時々、配向を維持する収集処理においてランダム化されてしまい得ることに留意されたい。一実施形態では、出てくる際に、CNTは、後述するように、収集システム700の一部としてゆっくりと回転する外部アンカーによって捕捉され得る。
【0073】
ここで
図6Aおよび
図6B、ならびに
図7Aから
図7Cを参照すると、いくつかの実施形態では、収集システム700は多くのサブシステムを含み得る。システム700は、いくつかの実施形態によれば、合成室730の出口に隣接して位置する外部アンカー70を含むことができる。この外部アンカー70は、CNTが延伸または配向し得るように、炉730から出たCNTを保持する役割をする。アンカー70は、いくつかの実施形態によれば、一定速度で回転することができる。
【0074】
ここで
図6Aおよび
図6Bを参照すると、収集システム700は、いくつかの実施形態では、揺動(wiggle)管72を含む。この揺動管72は、その表面が、CNT73をアンカー70から分離または解放したりすることを助け得るように設計されている。
【0075】
いくつかの実施形態では、システム700は、さらに、糸の動きを制御するために、ダンサー74と巻き取り用ボビン76との組み合わせを含む。またピンチローラ78が設けられていてもよく、このピンチローラ78は、実質的に一定の速度で動作して、一定速度でアンカー70からCNTの糸を引っ張ることができる。
図6Bに示されるように、ダンサー74を有する構成において使用される場合、ピンチローラ78は、揺動管72を介してアンカー70からの速度を制御することができ、同時にダンサー74は、ボビン76とピンチローラ78との間の張力を制御することができる。いくつかの実施形態では、
図6Aに示すように、収集システム700は、ピンチローラを有さず、アンカー70と、揺動管72と、ダンサー74と、巻き取り用ボビン76とを含めることができる。このような構成では、ダンサー74が収集システム700の全体を制御することができる。
【0076】
凹状の形状を有するものとして示されているが、外部アンカー70は、凸状の形状または円筒状の形状を有していてもよい。切欠きまたはスロットがアンカー70の周方向に提供され得る。切欠きまたはスロットは、炉730を出るカーボンナノチューブ73のアンカー領域として機能する。このようにして、CNTを配向するようにCNTを引き寄せながら、外部アンカー70は、CNTを抑制することができる。いくつかの実施形態では、アンカー70は、ステンレス鋼製の鋸歯状のディスクから作ることができる。いくつかの実施形態では、アンカー70の形状は、選択された場所にCNTを付着させるように設計されている。
【0077】
ダンサー74は、ある実施形態によれば、システム700のほかの場所で何が起こっても、CNT73の糸の張力を実質的に一定に維持するように作用し得る。ダンサー74は、一実施形態では、PIDコントローラ(図示せず)を介してボビン76に電気的に接続することができる。巻き取り用ボビン76は、スピードアップやスローダウンして、ダンサー74を同じ位置に維持し得る。ダンサー74は、一実施形態では、張力をかけたピボットを含むことができる。このような構成では、静荷重がCNT73の糸の張力を制御することができ、PIDコントローラが巻き取り用ボビン76の速度を制御することができる。過渡張力問題が存在する場合には、ダンサー74が収集システム700により多くのCNT73の糸を供給することにより相殺することができる。これにより、CNT73の糸が切断しないように、張力を緩和することできる。一実施形態では、過渡張力問題が解決されるまで、位置センサが巻き取り用ボビン76を遅くするように作用し得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、揺動管72は、ステンレス鋼から作ることができ、実質的に一定の速度で回転させることができる。揺動管72は、偏心孔(すなわち、中心がずれた穴)を有するように設計されてもよい。一実施形態では、CNT73の糸は、偏心穴を通って揺動管72を介して供給され得るので、揺動管72が回転すると、揺動管72は小さい力を加えて、CNT73の糸をゆっくりとアンカー70から分離させる。
【0079】
ここで
図7Aから
図7Cを参照すると、いくつかの実施形態では、アンカー70は、CNT73のフローがアンカー70を通過してCNTを搬送するように配置されてもよい。このような実施形態では、アンカー70は、配向したCNT73がアンカー70によって収集されるように、フローに対抗して回転し得る。このスキームの実施により、CNTがアンカー70によって収集された際に、炉730内の配向したCNTのフローが方向づけされたまま維持されることを確実にすることができる。いくつかの実施形態では、インライン収集アンカーを使用することができる。
図7Aは、直線状に設計した概略図である。
図7Bおよび
図7Cは、管炉730の左側にアンカー70と、炉の左側に対して90度の角度をなす巻き取り用システム700とを有する構成の模式図である。
【0080】
いくつかのケースでは、アンカー70は、炉730を出るCNT73のフローを補足または収集するように使用されなくてもよい。そのために、他の機構が、炉730を出るCNT73のフローを捕捉するように使用され得る。例えば、CNT73のフローは、上述したシートシステムと同様のベルトまたはドラム上に収集され得る。
【0081】
様々な特徴、装置、および方法が、様々な実施形態では使用され得、以下のものに限定されないが、バルクフロー加速CNT反応器と、空力レンズを使用したCNT反応器と、マイクロ管炉と、炉内に発達したCNT配向を維持する収集システムと、3インチの管炉と、および/または収集システム内の材料の配向を改善する方法とを含む。該方法は、以下のもの限定されないが、材料の延伸、カーディング、潤滑、および/または化学的に処理することを含み得る。
2.静電気的配向処理
【0082】
図8Aおよび
図8Bに示されるように、CNTのフローは、いくつかの実施形態では、例えば、静電レンズシステム800を用いて静電気的に配向することができる。図示されるように、システム800は、静電レンズ86を用いて、CNT844を配向することができる。ある実施形態では、2012年7月27日出願の同時係属中の米国特許出願第13/560582号に記載されるように、静電気的配向処理はプラズマ発生器に結合され得る。本発明の一実施形態では、静電レンズシステム800は、新たに形成された触媒粒子と初期段階成長のナノチューブ844との上に電荷を配置するように、粒子帯電器82といったいくつかの粒子帯電技術のうちのいずれかを使用することができる。帯電処理は、反応器が大気圧に近いレベルのガス圧で動作していることを念頭に置いて、成長中に自然発生するUV、軟X線光電子放出、摩擦、または可能であれば他の手段、もしくはそれらの組み合わせによって達成し得る。あるいは、双極子効果により、静電場880はまた、ナノチューブ844を帯電することなく、磁力線に平行にナノチューブを配向するように作用し得る。いくつかの実施形態では、ナノチューブは帯電されなくてもよい。ナノチューブは、帯電されても帯電されなくてもよい。
【0083】
伸長するナノチューブ844が凝縮される前に炉に沿ってフローすると、ナノチューブは一列の静電レンズ86に出くわし得る。静電レンズ86は、一実施形態では、より高密度かつより小径の雲にCNTのフローを集中させるように作用し得、またCNTを配向する役割をし得る。レンズ86はまた、帯電した各々のナノチューブ844の先端を炉の軸に向かうようにプッシュするように作用し得る。
【0084】
図8Aおよび
図8Bに示されるように、CNTが成長する粒子842は、粒子帯電器82によって帯電させることができる。帯電器82を過ぎると、粒子842は、静電レンズ86に出くわす。一実施形態では、レンズ86は、異なる電圧で保持された同軸上に接近した間隔で配置された導電シリンダ864であり得る。これらの2つシリンダ864間の間隙領域862において、間隙領域862を通過する荷電粒子842に大きな力を及ぼす大規模かつ急速に変化する電場が存在し得る。ゆえに、力の大きさと方向とが粒子862の径方向の位置とともに変化する。CNT844が成長するにつれ、CNT844は、1つより多くの電子の放出によって数倍に帯電され得る。レンズ86は、一実施形態では、電場880の領域から構成されている。
図8Bに示すように、電場880は、異なる電圧で保持された隣接する2つの導電シリンダ864間の間隙領域862を埋める等電位面を表している。いくつかの実施形態では、レンズ電界強度と位置とがCNTを配向するように、最適化することができる。なお、レンズ86は、複数の導電シリンダ864を有するように示されているが、1つの導電シリンダ864のみが使用されるシステム800が提供され得ることに留意されたい。
【0085】
いくつかの実施形態では、静電レンズ86は、光学レンズと類似して機能し得る。その初期速度が等電位面となす角度に比例した量だけ電荷を偏向させることができる。適切に設計されたレンズで、管の軸にCNTを詰め込むことに加えて、炉の軸に沿ってCNTを配向するトルクを発生させることができる。
【0086】
CNT844は、粒子842から成長するにつれて、雲84を形成し、その後、静電レンズ86によって適切な密度を有する飛行機雲(contrail)88に圧縮され得る。一実施形態では、三次元構造は、クモの巣に類似して、径方向のアームが、初期に作成されたCNTに付着した触媒から形成されるように形成され得る。
図8Cは、このような三次元構造の初期段階の形成の写真である。具体的には、
図8Cに示される初期に形成された伸長したCNTは、触媒が付着し得る場所を提供することができる。その後、小さい細いナノチューブは、これらの新たに付着した触媒から成長し得る。後から成長するナノチューブは、構造を結合して蜘蛛の巣のようにするように作用する。
【0087】
いくつかの実施形態では、アンカーシステムは、上述したように、飛行機雲を糸に変換するように使用することができる。いくつかの実施形態では、このような処理により、より高い配向性、より高い密度、およびより高い強度を有する改善された糸を製造することができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、触媒粒子の帯電は、CNT成長プロセスを妨害しないように最適化することができる。いくつかのケースでは、成長しているCNTは、より小さい体積に圧縮され、燃料枯れがより問題となるので、CNT成長の終わりは、より注入器846の近くで起こり得る。他のケースでは、すべての粒子が帯電されず、一部の触媒粒子が管848の軸からさらに離れて残り得、相互接続したマトリックス状のCNTを形成するように発達し得る。飛行機雲とマトリックス状のCNTとの間で触媒粒子を分配するいくつかのレベルにおいては、成長するCNTの平均密度が小さくなり得、これにより、炉管の下方まで成長領域を拡張し得る。マトリックス状のCNTと飛行機雲とは、どんな間隙が形成されたかに関わらず、CNTの広がりにより連結されたり、されなかったりし得る。したがって、いくつかの実施形態では、このような干渉を最小化することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、荷電触媒粒子の割合を制御および/または最適化することができる。いくつかのケースでは、触媒粒子をイオン化するために貫通性を有する高流量のUV放射線または軟X線も適用することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、CNTを圧縮または配向するように設計された静電レンズは、非常に低圧(マイクロトル)で機能し得る。より高い圧では、エアロゾル粒子に対して大きなストークス抗力が存在し得る。これは、レンズ系の動特性を根本的に変え得る。しかしながら、粒子が何秒間にわたって電荷を保持することができ、かつ静電的手段によって粒子に大きな力が加えられることは明らかである。低圧では、これらのビームは、しばしば、空力レンズによって形成される。空力レンズにおいて、空力レンズの概念で説明したように、分子の流れが適切な開口を介して大気源から低圧の領域内に流れ込み得る。
【0091】
最も単純なケースでは、静電レンズの強度は、流体力学的(または空気力学的)ストークス抵抗と静電気力とを等しくすることで見つけることができる。重力および熱泳動力は無視することができ、また荷電粒子の密度は十分に低いことが想定されるので、周囲の隣接する粒子とのクーロン相互作用を無視できる。
【0093】
空気の粘性に対して室温値を想定し、単一の帯電エアロゾル粒子を考慮すると:
U=2.2×10
−8×E(m/s)
【0094】
室温の空気に対する破壊電界は、〜3×10
6V/mであるため、レンズによる最大可能速度Umaxは、約66mm/sである。成長している粒子の滞留時間はおよそ10秒であり、成長炉の半径は約100mmであるので、この速度は、明らかに、炉の中央ゾーンにCNTを搬送するのに十分であろう。しかしながら、レンズは、ストークス抵抗が存在しないだろう真空よりも、大気圧においてかなり弱くなり得る。
3.固定触媒ナノチューブ配向処理
【0095】
CNTの配向処理は、いくつかの実施形態では、固定触媒配向処理システムを用いて実現することができる。このようなアプローチでは、CNTが成長し得る触媒は、移動基板(例えば、ベルト)に固定することができ、システムは、例えば、CNTの成長および配向に直交するようにフローガスを導入し得る。このようなシステムは、約1mmから約1cm、10cmまたはそれ以上の範囲にわたって、伸長したナノチューブの形成を可能にし得る。
【0096】
ここで
図9を参照すると、固定触媒配向処理のためのシステム900が設けられている。システム900は、一実施形態では、触媒粒子を付着または堆積させることができるベルト(図示)もしくは一連のベルト、または複数のアルミナテープ、回転ディスク、あるいは紐といった移動基板92を含む。システム900は、一実施形態では、その中にベルト92に触媒を付与するための手段914を含む1つ以上のサブシステムを有することができる。一実施形態では、手段914は、ベルト92上に実質的に直角に触媒粒子を発射するように作用することができる。いくつかの実施形態では、手段914はまた、触媒粒子とともに、エチレンといった炭素源(例えば燃料)を発射するように作用し得る。システム900はまた、CNT成長からベルト92上に形成され完成した糸を引き抜く収集システム912と、ベルト92から古いまたは残留触媒を取り除く掻取り装置916とを含めることができる。これにより、システム900は、再度プロセスを開始することができる。システム900におけるCNTの成長速度は、触媒を保持することができる複数のベルトまたは紐を配置することによって高めることができる。後者の場合、基板は予め用意され得、また消耗品であり得るので、触媒を洗浄し、付与することは、別々の操作として行うことができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、移動基板92上に直接置かれた触媒は、以下のものに限定されないが、予め形成された鉄粒子と、硫酸鉄アンモニウム、プロトポルフィリン鉄、フェロセン、ニッケロセン、コバルトセン、および他の有機金属化合物といった触媒前駆体、または酸化物(ジルコニア)、あるいは熱分解の際に金属または合金を形成することができる半金属およびそれらの組み合わせを含む。炭素の黒鉛化を阻害する鉄に銅を少量(例えば、10重量%まで)添加することは有利であり得る。あるいは、スプレーに予め形成された電力として不純物を有しない炭化鉄または鉄‐銅‐カーバイド触媒を加えることができる。スプレーから、粒子が移動ドラム、ベルト、または紐に直接衝突し得る。いくつかの実施形態では、触媒は、オストワルド熟成を制御または防止し得る合金触媒であってもよい。触媒は、触媒のタイプに応じて、炉室に導入する前に焼成、次いで還元され得る。その後、触媒は、燃料の種類に応じてある温度に加熱され、クラックエタノール、エチレン等に曝されて、ガスフローの方向に成長プロセスを開始することができる。
【0098】
依然
図9を参照して、基板(例えば、ベルト92)が時計回りに移動すると、ベルト92上の触媒粒子がゾーン98内のヒータにより約700℃から約1000℃の範囲の温度で、例えば約850℃に加熱され得る。注入器910を介してゾーン98内に炭素源(すなわち、燃料)を噴霧することができ、熱の存在下で、CNTは触媒粒子から触媒粒子上に成長し得る。CNTは、その後、ベルト92によってゾーン98から水平方向に離れるように導かれ、収集システム912によって収集され得る。いくつかの実施形態では、ベルト92の上面は薄いので、ナノチューブが収集または糸紡ぎシステム912によって均一に引き離され得る。
【0099】
一実施形態では、収集システム912は、ピッチ角を、例えば15度に設定して設計し得る。CNTの配向を測定するために、このピッチ角を0度に設定することができる。いくつかの実施形態では、収集システム912は、マイクロコンピュータ(図示せず)によって制御することができる。いくつかの実施形態では、システム900は、掻取り装置といった、基板の洗浄システム916を含むことができ、これにより、新しい触媒を移動基板上に配置することができる。
II.Ex‐Situナノチューブ配向処理
1.水平アンカー
【0100】
本発明のいくつかの態様において、収集ローラの表面速度を、炉を出るCNTの塊の速度に一致させることによって、不織のCNTシートは、実質的に平らな材料であって、異方性材料に近いものとして製造され得る。その後、収集されたCNTの塊を細長くまたは延伸するために、ローラの速度が一致しない2つの固定ローラを使用することができる。CNTの塊内に必要な張力を生み出す簡単な方法は、反応管の出口速度と一致する速度で、回転するドラムで塊を捕捉して、それから、より速い速度でこのドラムから塊を引き抜くことである。このようにして、靴下形状のCNTは、アンカーと巻き取り用ドラムとの間で延伸し得、回転アンカーは、靴下形状のCNTを引っ張り、ドラム上で該靴下形状のCNTを配向することを助ける。
【0101】
図10Aは、水平アンカーシステム1000の概略図であり、回転水平アンカー1001(すなわちドラム)と、収集ドラム1002と、炉管1004と流体連通している収集システム筐体1003(またはハウジング)と、アンカー1001とドラム1002との間の速度ミスマッチにより伸長された本発明のCNT材料1005とを示す。依然
図10Aを参照して、円筒水平アンカー1001は、一実施の形態では、炉管1004の出口の前方に位置し得る。このアンカー1001は、外部から制御される可変速度駆動装置(図示せず)を装備することができる。炉管1004の出口に対するアンカー1001の位置は、炉の筐体の外から制御することができる。アンカー1001は、収集されたCNT材料1005の上にあるものとして示されているが、例えば、収集されたCNT材料1005の下に配置することができる。一実施形態では、アンカー1001の温度制御は、アンカー1001の巻き取りおよび取り外し特性により制御することができる。
図10Bは、水平アンカーシステムにより取り込まれたCNT材料の強度増加を示している。
2.後処理における化学的配向処理
【0102】
本発明のいくつかの態様によれば、ナノ繊維材料(例えば、糸、またはシート)は、同時係属中の米国特許出願第12/170092号に記載されたものと同様のプロセスおよびシステムを用いて湿らせ、および/または化学的に処理し、延伸することができる。いくつかの実施形態では、本発明のCNT材料は、その後、強度を向上させるために、ジオキソラン(DOX)用いて超音波処理を利用した後処理延伸を実質的に施すことができ、強度と導電率を向上させるためにクロロスルホン酸を用いて超音波処理を利用した後処理延伸を実質的に施すことができる。いくつかの実施形態では、ポリアクリロニトリル(PAN)熱分解といった後処理における熱分解により、強度や弾性率といった本発明のCNT材料の様々な特性を改善することができる。