特許第5980328号(P5980328)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980328
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】液体を泡立てる装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/41 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   A47J31/41
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-523217(P2014-523217)
(86)(22)【出願日】2012年7月26日
(65)【公表番号】特表2014-521450(P2014-521450A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】EP2012003163
(87)【国際公開番号】WO2013017225
(87)【国際公開日】20130207
【審査請求日】2014年3月27日
(31)【優先権主張番号】102011108810.9
(32)【優先日】2011年7月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514025731
【氏名又は名称】フォルカー バート
【氏名又は名称原語表記】Volker Barth
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー バート
【審査官】 木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0075007(US,A1)
【文献】 米国特許第02090727(US,A)
【文献】 米国特許第03209554(US,A)
【文献】 米国特許第04993599(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気供給装置であって、該空気供給装置により液体に空気が混入可能である、空気供給装置と、
管路(7)を介して前記空気供給装置に接続された注出装置(8)と、
前記空気供給装置から前記注出装置(8)に向けて空気が混入された液体を圧送するポンプ(5)と、
を備える、液体を泡立てる装置(1)であって、
前記管路(7)に、少なくとも1つの流れ抵抗器(18,28)が配置されており、該流れ抵抗器(18,28)は、弾性材料から成る、相対移動可能で相互に接し合っている複数の抵抗要素(20a,20b,20c)を備え、該抵抗要素(20a,20b,20c)の間に、空気が混入された液体に対する透過部が形成されており、
前記流れ抵抗器(18,28)は、空気が混入された液体による圧力負荷時に前記抵抗要素(20a,20b,20c)が圧縮されるように、受け部に対して位置決め可能であり、
前記抵抗要素(20a,20b,20c)は、前記管路内で相前後して配置された孔付きディスク(21,24)又はシーブの間に収容されており、該孔付きディスク(21,24)又はシーブの延在する平面は、前記管路(7)の長手延在方向に対して横向きに方向付けられていて、前記孔付きディスク(21,24)又はシーブは、静止位置から、前記抵抗要素(20a,20b,20c)を圧縮しつつ相互に接近する方向に移動可能であり、前記空気供給装置からより離れた側の前記孔付きディスク(21)又は前記空気供給装置からより離れた側の前記シーブは、受け部として構成されており、該受け部に対して、前記抵抗要素(20a,20b,20c)は、空気が混入された液体による圧力負荷時に位置決め可能である、
ことを特徴とする、液体を泡立てる装置(1)
【請求項2】
前記流れ抵抗器(28)は、前記注出装置(8)に配置されている、請求項1記載の装置(1)
【請求項3】
前記抵抗要素(20a)は、粒体である、請求項1又は2記載の装置(1)
【請求項4】
前記ポンプ(5)は、容積形ポンプであり、前記流れ抵抗器(18)は、前記ポンプ(5)と、前記管路に接続された、空気が混入された液体を加熱する加熱装置(16)との間に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置(1)
【請求項5】
前記ポンプ(5)と前記流れ抵抗器(18,28)との間に、前記管路(7)内で、逆止弁(6)が配置されており、該逆止弁(6)は、前記空気供給装置から前記注出装置に向かって流れる流れに対して透過性である、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置(1)
【請求項6】
前記加熱装置(16)は、低圧ボイラとして構成されており、前記加熱装置(16)と前記注出装置(8)との間に、制御可能な出口弁(17)が配置されており、該出口弁(17)は、制御装置に続されており、空気が提供された液体は、前記加熱装置(16)内で、0.5bar〜4barの圧力を有するように制御される、請求項4記載の装置(1)
【請求項7】
前記抵抗要素(20c)は、糸状に形成されていて、相互に結合して弾性変形可能な1つのウールを形成している、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置(1)
【請求項8】
前記抵抗要素(20a,20b,20c)は、自然材料から成っている、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置(1)
【請求項9】
前記抵抗要素(20b)は、チップ又はチップの一部により形成されており、チップ又はチップの一部は、長手延在方向で、ほぼ一定の横断面を有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置(1)
【請求項10】
前記抵抗要素(20a,20b,20c)は、プラスチックから成っている、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置(1)
【請求項11】
入口側の前記孔付きディスク(24)又は入口側の前記シーブの通流横断面積は、出口側の前記孔付きディスク(21)又は出口側の前記シーブの通流横断面積よりも小さい、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置(1)
【請求項12】
前記抵抗要素(20a,20b,20c)、前記管路及び/又は前記注出装置に着脱可能に結合可能なカートリッジ(19)の内空部に配置されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置(1)
【請求項13】
前記孔付きディスク(21,24)又は前記シーブは、前記管路及び/又は前記注出装置に着脱可能に結合可能なカートリッジ(19)の内空部に配置されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気供給装置であって、空気供給装置により液体に空気が混入可能である、空気供給装置と、管路を介して空気供給装置に接続された注出装置と、空気供給装置から注出装置に向けて空気が混入された液体を圧送するポンプと、を備える、液体を泡立てる装置に関する。
【0002】
このような泡立て装置は、例えば独国特許出願公開第102008058934号明細書において公知である。公知の泡立て装置では、注出ノズルにシーブが配置されており、既に泡立てられた液体がシーブを通過する。これによりフォームに含まれる大きな気泡が破壊され、シーブの網目幅に応じて小さな気泡が形成される。小さな気泡により、安定したフォームが形成される。
【0003】
公知の泡立て装置により高品質のフォームが形成可能であるが、発明者により、フォームは、依然として改良の余地があるものとみなされた。
【0004】
本発明の課題は、冒頭で述べたような泡立て装置を改良して、高品質で安定したフォームを形成できるものを提供することである。
【0005】
この課題は、管路に、少なくとも1つの流れ抵抗器が配置されており、流れ抵抗器は、弾性材料から成る、相対移動可能で相互に接し合っている複数の抵抗要素を備え、抵抗要素の間に、空気が混入された液体に対する透過部が形成されており、流れ抵抗器は、空気が混入された液体による圧力負荷時に抵抗要素が圧縮されるように、受け部に対して位置決め可能であることにより解決される。
【0006】
本発明は、流れ抵抗器に供給される空気が混入された液体の圧力が増加するにつれ、流れ抵抗器に収容された抵抗要素が圧縮され、その際、抵抗要素の間に形成された透過部の横断面積が減少するという認識に基づいている。流れ抵抗器に供給される空気が混入された液体の圧力が低下する場合、抵抗要素は、例えばその弾性係数に基づいて、かつ/又は、透過部を通る空気が混入された液体の透過時に液体に生じる乱流に基づいて、弛緩される。この場合、抵抗要素の間に形成される通過部の横断面積は増加する。従って、流れ抵抗器を通る空気が混入された液体の通過時に、極めて微細な孔の安定したフォームが形成される。このフォームは、高い品質を有する。流れ抵抗器の弾性係数は、好適には、ポンプにより形成される圧送圧に対して、空気が混入された液体が流れ抵抗器を通る通流時に1ニュートン〜400ニュートンの力を流れ抵抗器に及ぼすように、調整されている。
【0007】
本発明の好適な態様では、流れ抵抗器は、注出装置に配置されている。この場合、泡立て装置は、特に微細で均一なフォームを提供する。
【0008】
抵抗要素が粒体であると極めて好適であると判った。この場合、流れ抵抗器は、経済的に製造可能である。粒体は、好適には球とは異なる成形形状を有し、例えば略楕円形及び/又は矩形の形状を有する。個々の粒体は、様々な幾何学形状及び/又は様々な寸法を有してよい。粒体の長さは、好適には0.5mm〜3.5mmであり、特に0.5mm〜1.2mmである。粒体の表面は、好適にはエッジ、段部又は突出部を有する。粒体の表面は、連続的に細分化可能であってもよい。粒体は、好適には28〜100のショア硬さを有するプラスチックから成っている。
【0009】
好適には、ポンプは、容積形ポンプであり、流れ抵抗器は、ポンプと注出装置との間に、特にポンプと、管路に接続された、空気が混入された液体を加熱する加熱装置との間に配置されている。この場合、流れ抵抗器により、例えば容積形ポンプが空気が混入された液体を不均等に圧送する場合に生じることがある、空気が混入された液体の圧力ピークが平均化される。この場合、流れ抵抗器により、注出装置において均等なフォーム提供が可能であり、その際、特にミルクの跳ねが回避される。容積形ポンプは、特にチューブポンプ、ウェーブポンプ又はダイヤフラムポンプであってよい。本発明に係る泡立て装置は、任意の別のポンプ、特に歯車ポンプ又はベーンポンプを有してもよい。
【0010】
必要に応じて、ポンプと流れ抵抗器との間に、管路内で、逆止弁が配置されており、逆止弁は、空気供給装置から注出装置に向かって流れる流れに対して透過性である。この構成手段によっても、注出装置において均等なフォーム供給を達成することができる。
【0011】
本発明の好適な態様では、加熱装置は、低圧ボイラとして構成されており、加熱装置と注出装置との間に、制御可能な出口弁が配置されており、出口弁は、制御装置に制御接続されており、空気が提供された液体は、加熱装置内で、0.5bar〜4barの圧力、特に1bar〜3barの圧力を有する。この圧力は、好適にはポンプがオフされた状態でも存在する。このことは、ポンプのオフ前に先ず制御装置により出口弁が閉じられるので、空気が供給された液体が逆止弁と出口弁との間に存在する管路容積に収容されていることにより達成することができる。これにより、ミルク泡立て装置としての泡立て装置の使用時に、空気が供給されたミルクによりミルクの膜及び/又は塊が形成されることが回避される。ミルクの膜及び/又は塊は、流れ抵抗器を閉塞する恐れがある。
【0012】
本発明の好適な態様では、抵抗要素は、糸状に形成されていて、相互に結合して弾性変形可能な1つのウールを形成している。この場合、糸状の抵抗要素は、好適には弾性的で温度が不変の材料、特に金属から成っている。ウールの個々の糸は、それぞれ異なる横断面寸法を有する。更に個々の糸の横断面寸法は、糸の一方の端部から出発して他方の端部に向けて、変化してよい。
【0013】
本発明の好適な対応では、抵抗要素は、天然材料、特にココナッツ及び/又は毛から成っている。この場合、抵抗要素は、使用後に、簡単に環境に優しく廃棄することができる。
【0014】
別の好適な態様では、抵抗要素は、チップ又はチップの一部により形成されており、チップ又はチップの一部は、長手延在方向で、ほぼ一定の横断面を有する。チップは、好適には、円形とは異なる横断面幾何学形状、特に角がある横断面形状を有する。チップの幅は、0.1mm〜7mm、特に0.2mm〜3mmであってよく、好適には0.3mm〜1mmである。チップの厚さは、0.1mm〜1mm、好適には0.2mm〜0.6mmであってよい。このようなチップを用いると特に微細な孔の安定したフォームを形成できることが実験から判った。チップは、例えば旋盤を用いて、厳密に規定された横断面寸法で製造することができる。これにより、フォームの不変の高い品質が保証される。
【0015】
好適には、抵抗要素は、プラスチック、特にテフロン(R)、ポリオキシメチレン(POM)又はポリアミド(PA)から成っている。これにより、高温でも、抵抗要素の必要な弾性係数を達成することができる。更に、抵抗要素において食品の純正が保証される、つまり、抵抗要素により食品に不都合な影響が及ぼされることはない。
【0016】
本発明の好適な態様では、抵抗要素は、管路内で相前後して配置された孔付きディスク又はシーブの間に収容されており、孔付きディスク又はシーブの延在する平面は、管路の長手延在方向に対して横向きに方向付けられていて、孔付きディスク又はシーブは、静止位置から、抵抗要素を圧縮しつつ相互に接近する方向に移動可能であり、空気供給装置からより離れた側の孔付きディスク又は空気供給装置からより離れた側のシーブは、受け部として構成されており、受け部に対して、抵抗要素は、空気が混入された液体による圧力負荷時に位置決め可能である。孔付きディスク又はシーブにより、一方では、抵抗要素は、両方の孔付きディスク又はシーブの間に形成された容積から外方へ達することが阻止される。このために、孔付きディスク又はシーブの孔の横断面寸法は、抵抗要素が孔を通過できないように、抵抗要素の寸法に適合されている。他方では、空気が供給された液体の圧力も、液体による孔付きディスク又はシーブを介する流れ抵抗器の通流時に、より良好に抵抗要素に伝達することもできるので、流れ抵抗器は、より強く圧縮される。
【0017】
入口側の孔付きディスク又は入口側のシーブの通流横断面積は、出口側の孔付きディスク又は出口側のシーブの通流横断面積よりも小さい構成が極めて好適であると判った。これにより、抵抗要素は、空気が供給された液体の圧力により、更に強く圧縮もしくは圧搾される。
【0018】
本発明の改良態様では、抵抗要素及び場合によっては孔付きディスク又はシーブは、管路及び/又は注出装置に着脱可能に結合可能なカートリッジの内空部に配置されている。これにより抵抗要素及び場合により孔付きディスク又はシーブは、必要に応じて、簡単にカートリッジと一緒に交換して、相応の補充品により補充することができる。これにより流れ抵抗器は、簡単に衛生的に清潔に維持することができる。カートリッジは、好適には約5mm〜50mmの外径を有し、4mm〜60mmの軸方向長さを有する。
【0019】
以下に、本発明の実施の態様を、図面に基づいて詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る泡立て装置の概略的なブロック図である。
図2】空気供給装置の空気供給部材の長手方向断面図である。
図3】逆止弁の長手方向断面図である。
図4】カートリッジに組み込まれた第1の態様の流れ抵抗器の長手方向断面図である。
図5】流れ抵抗器の出口側の平面図である。
図6】流れ抵抗器の入口側の平面図である。
図7図4に示された流れ抵抗器の長手方向断面図であり、第1の流れ抵抗器は1本の管路に組み込まれている。
図8】第2の態様の流れ抵抗器の長手方向断面図である。
図9】第3の態様の流れ抵抗器の長手方向断面図である。
【0021】
図1において全体を符号1で表された液体を泡立てる装置は、ミルク3用の貯蔵容器2を備える。ミルク3は、バクテリア繁殖を回避するために、図示されていない冷却装置により、貯蔵容器2内で約6℃に冷却することができる。
【0022】
貯蔵容器2は、吸込管路4を介して、容積形ポンプ5の吸込開口に接続されている。容積形ポンプ5は、好適にはチューブポンプとして構成されている。ポンプ5から離れた側の、使用位置でミルク3に浸漬する端部でも、吸込管路4は、逆止弁6を備え、逆止弁6は、ポンプ5の圧送方向で透過性であり、圧送方向とは逆向きに流れを遮断する。
【0023】
ポンプ5は、吐出側で、別の管路7を介して注出装置8に接続されている。従って、ポンプ5により、ミルク3を貯蔵容器2から注出装置8に供給することができる。
【0024】
吸込管路4には、図2に詳細に示された空気供給部材9が配置されており、空気供給装置9は、吸込管路4に接続された、ミルク3用の第1の入口開口10と、空気供給管路11に接続された、空気用の第2の入口開口12と、管路7に接続された出口開口13とを備える。第2の入口開口12を介して、ミルクの圧送方向に対して横向きに、ミルク3に混入される空気がミルク3に供給される。
【0025】
空気供給管路11には、調節可能な空気調整弁14が配置されている。空気調整弁14の、空気供給部材9とは反対側の接続部は、供給管路15に接続されている。供給管路15の入口開口は、汚染された空気が吸い込まれないように配置されている。供給管路15には、活性炭フィルタを配置してもよい。
【0026】
管路7には、空気が混入された液体を加熱する加熱装置16が配置されている。加熱装置16は、0.4リットルの液体貯蔵量を有する低圧ボイラとして構成されている。低圧ボイラの作業圧は、好適には2.4bar〜4barである。加熱装置16には、図示されていないコイル管が配置されており、コイル管を通って、空気が混入されたミルク3が導かれる。加熱装置16の内部に、所定の温度に加熱された熱媒体が配置されており、熱媒体は、熱を、コイル管を介して、コイル管を通して導かれるミルク3に提供する。管路7には、更に、電磁式の出口弁17が配置されており、出口弁17により、ミルクの流れを中断することができる。
【0027】
ポンプ5と加熱装置16との間で、管路7に、第1の流れ抵抗器18が配置されており、第1の流れ抵抗器18を、空気が供給されたミルクが通流する。第1の流れ抵抗器18は、図示されていないねじ結合部により、着脱可能に管路7に接続可能である。
【0028】
図4から看取されるように、第1の流れ抵抗器18は、略円筒形のカートリッジ19を備え、カートリッジ19の横断面寸法は、管路7の、第1の流れ抵抗器18が配置された管路区分の内側横断面寸法にほぼ一致する。カートリッジ19は、周方向に延在する略管状の周壁を備え、周壁は、抵抗要素20aとしてプラスチックから成る多数の弾性的な粒体が配置された内空部を包囲している。粒体は、ばら物(ばらの充填物)を形成し、この場合、隣り合う粒子は、相互に拘束せずにルーズに隣接している。
【0029】
カートリッジ19には、粒体がカートリッジ19の内空部において相対移動可能であるように、ばらの状態で充填されている。粒子の間に、空気が供給されたミルクが通流可能な透過部が形成されている。
【0030】
カートリッジ19は、第1の孔付きディスク21により形成された第1の端壁を備える。第1の端壁は、カートリッジ19の周壁の縦方向中心軸線に対して垂直に延在する平面上を延在している。第1の孔付きディスク21の縁部は、カートリッジ19の周壁の内側面に接している。図4及び図5から看取されるように、カートリッジ19の周壁は、その内側に、周方向で相互に位置を変えて置かれた複数の第1の突起22aを備え、第1の突起22aに、第1の孔付きディスク21が載設されている。
【0031】
更に図5から看取されるように、第1の孔付きディスク21は、ミルクフォーム用の多数の第1の貫通孔23を備える。第1の貫通孔23の内法は、抵抗要素20aの相応の寸法よりも小さいので、抵抗要素20aは、第1の貫通孔23を通過しない。図4から看取されるように、抵抗要素20aは、第1の孔付きディスク21に載設されている。
【0032】
第1の孔付きディスク21とは離れた流入側の端部で、カートリッジ19は、第2の孔付きディスク24により形成された第2の端壁を備え、第2の端壁は、第1の端壁に対して平行に延在していて、軸方向で、ばら物を介して、第1の端壁から間隔を置いて位置する。第2の孔付きディスク24の縁部は、カートリッジ19の周壁の内側面に接している。図4及び図6から看取されるように、カートリッジ19の周壁は、その内側に、周方向で相互に位置を変えて置かれた複数の第2の突起22bを備え、第2の突起22bは、第2の孔付きディスク24の上側に係合する。
【0033】
図6から看取されるように、第2の孔付きディスク24は、空気が供給されたミルク3用の多数の第2の貫通孔25を備える。第2の貫通孔25の内法は、抵抗要素20aの相応の寸法よりも小さいので、抵抗要素20aは、第2の貫通孔25を通過せず、孔付きディスク21,24の間に収容されている。図4から看取されるように、第2の孔付きディスクは、ばら物に載設されている。第2の貫通孔25は、貫通孔を有しない第2の孔付きディスク24の中心の円形ディスク状領域を包囲する、第2の孔付きディスク24のリング状領域に配置されている。つまり第2の孔付きディスク24は、衝突ディスクとして構成されている。これにより、第2の孔付きディスク24には、第1の孔付きディスク21に伝達されるよりも大きな割合で、ポンプにより形成される圧力が伝達される。
【0034】
において看取されるように、カートリッジ19は、出口側で、管路7の内壁に設けられた第1の受け部27に載設している。図4図7との比較により、第2の孔付きディスク24はカートリッジ19内を軸方向に移動可能であり、第1の流れ抵抗器18の通流時に、カートリッジ19に対して相対的に第1の孔付きディスク21に向かって摺動することが明らかである。その際、孔付きディスク24は、第1の流れ抵抗器18に対して約50ニュートン〜200ニュートンの力で押し付けられるので、カートリッジ19内に収容されたばら物は、空気が供給されたミルク3による第1の流れ抵抗器18の通流時に圧縮される。第1の流れ抵抗器18により、ポンプ5に起因する、空気が供給されたミルクの圧力変動が、弱められる。
【0035】
注出装置8には、第2の流れ抵抗器28が配置されており、第2の流れ抵抗器28により、空気が供給されたミルク3から極めて微細の安定したミルクフォームが形成され、注出装置8の下側に位置するカップ29に提供される。注出装置8は、2つの部分から成り、この場合、1つの部分は分離箇所に凹所又は空所を備え、凹所又は空所に、第2の流れ抵抗器28が配置されている。これにより、第2の流れ抵抗器28は、簡単に、注出装置8から取り外すもしくは注出装置8に配置することができる。
【0036】
注出装置8は、図示されていない第2の受け部を備え、第2の受け部に、第2の流れ抵抗器28が載設される。第2の受け部により、第2の流れ抵抗器28は、注出装置8内での通流方向の摺動に対して固定されている。
【0037】
第1の態様では、第2の流れ抵抗器28は、第1の流れ抵抗器18と同一の構成を有する。
【0038】
第2の態様では、第2の流れ抵抗器28は、ばら物の代わりに、プラスチックから成る弾性変形可能な1つのチップを備える(図8)。この場合、抵抗要素20bは、チップの、相対移動可能な、相前後して配置された複数の部分により形成されている。択一的に、抵抗要素20bは、別個の複数のチップ20bとして構成してもよい。チップは、略矩形の横断面を有し、この場合、チップの幅は3.5mmであり、厚さは0.5mmである。
【0039】
抵抗要素20bは、カートリッジ19内で孔付きディスク21,25の間に配置されている。第2の態様のカートリッジ19は、第1の態様のカートリッジに一致する。第2の態様の孔付きディスク21,25も、第1の態様の孔付きディスクと同一の構成を有する。第1の態様の記載は、相応に第2の態様にも当てはまる。
【0040】
本発明の第3の態様では、第2の流れ抵抗器28は、糸状の抵抗要素20cを備え、抵抗要素20cは、密集した毛を有する1つの部材としてのウールを形成している(図9)。この場合、抵抗要素20cは、ココナッツ繊維から成っている。抵抗要素20cは、カートリッジ19内で孔付きディスク21,25の間に配置されている。第3の態様のカートリッジ19は、第1の態様のカートリッジ19に一致する。第3の態様の孔付きディスク21,25も、第1の態様の孔付きディスク21,25と同一の構成を有する。第1の態様の記載は、相応に第3の態様にも当てはまる。
【0041】
泡立て装置を制御するために、図示されていない制御装置が設けられている。制御装置は、入力装置を備える。入力装置の操作により、制御装置に、所定量の(一杯分の)ミルクフォームを作るべきであることが伝送される。これに基づいて、制御装置は、ポンプ5が作動させられ、並びに出口弁17が開放されるように働く。従って、ポンプ5は、貯蔵容器2から加熱装置16を通して(これによりミルク3は加温される)注出装置に向けてミルク3を圧送する。ミルクが空気供給部材9を通して流れることにより、空気供給管路11を介して、空気がミルクに至り、ミルクに混入される。
【0042】
空気が混入されたミルクは、加熱装置16において加熱され、これによりミルクは継続的に泡立てられる。継続的に泡立てられたミルクは、先ず、第1の流れ抵抗器18に導かれ、これによりポンプに起因する圧力変動が緩衝され、次いで出口弁17を介して第2の流れ抵抗器28に達する。第2の流れ抵抗器28を空気が供給されたミルクが押し通る際に、抵抗要素20a,20b,20cは圧縮され、その際、微細で安定したミルクフォームが形成される。
【0043】
更に、必要に応じて、特にポンプ5が均一な圧送圧を有する場合に、第1の流れ抵抗器18を省略してもよいことを付記しておく。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9