(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980342
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】遺伝子組換え菌の組換えタンパク質を高効率で発現する方法およびそれを用いた組換えポリペプチドの調整方法
(51)【国際特許分類】
C12P 21/02 20060101AFI20160818BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20160818BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20160818BHJP
C12N 1/00 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
C12P21/02 C
C12N15/00 A
C12N1/21
C12N1/00 F
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-542697(P2014-542697)
(86)(22)【出願日】2012年11月23日
(65)【公表番号】特表2014-533511(P2014-533511A)
(43)【公表日】2014年12月15日
(86)【国際出願番号】CN2012085182
(87)【国際公開番号】WO2013075660
(87)【国際公開日】20130530
【審査請求日】2014年7月30日
(31)【優先権主張番号】201110380864.7
(32)【優先日】2011年11月25日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513264935
【氏名又は名称】畿晋▲慶▼三▲聯▼(北京)生物技▲術▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】PROTEIN DESIGN LAB, LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】丘 小▲慶▼
【審査官】
西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/026447(WO,A1)
【文献】
中国特許出願公開第101643501(CN,A)
【文献】
特開平08−080198(JP,A)
【文献】
特表2009−537138(JP,A)
【文献】
米国特許第5439795(US,A)
【文献】
Nucleic Acids Res.,1995年,Vol.23, No.11,pp.2074-2075
【文献】
Nat. Biotechnol.,2003年,Vol.21, No.12,pp.1480-1485
【文献】
Gene,1982年,Vol.19, No.1,pp.1-10
【文献】
FEBS Lett.,1999年,Vol.454, No.1-2,pp.1-6
【文献】
China Biotechnology,2003年,Vol.23, No.11,pp.68-71
【文献】
Nucleic Acids Res.,2002年,Vol.30, No.14,pp.3225-3234
【文献】
Biochimie,2002年,Vol.84, No.5-6,pp.477-483
【文献】
Org. Biomol. Chem.,2006年,Vol.4, No.7,pp.1252-1260
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P
C12N
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
CA/MEDLINE/WPIDS/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が親水性を有するコリシンポリペプチド端末であり、他端が疎水性を有する標的物質識別ポリペプチド端末であるポリペプチドを有する遺伝子組換え菌の組換えタンパク質を発現する方法であり、
前記遺伝子組換え菌の組換えタンパク質をコードする遺伝子組換えプラスミドを大腸菌pETシステムの遺伝子組換え菌であるE.coliB834(DE3)に形質転換することによって、陽性モノクローンを得るステップ(1)と、
前記陽性モノクローンを増殖させることで得られた液体種菌を誘導し、大量増殖を行い、発現された前記遺伝子組換え菌の組換えタンパク質を含む上清液を得るステップ(2)と、
前記上清液に含まれている発現された前記遺伝子組換え菌の組換えタンパク質を分離して精製するステップ(3)と、を含み、
大量増殖で使用する培地は、NaCl6.0〜6.7g/L、ペプトン25.0g/L、酵母粉末7.5g/L、グルコース0.6〜2.0g/L、Na2HPO4・7H2O6.8〜18.3g/L、KH2PO43.0〜4.3g/L、NH4Cl1.0〜1.4g/L、MgSO40.2〜0.4g/L、CaCl20.01g/L、およびメチオニン0〜40mg/Lを含有し、水を溶媒とすることを特徴とする遺伝子組換え菌の組換えタンパク質を高効率で発現する方法。
【請求項2】
大量増殖で使用する培地は、NaCl6.0g/L、ペプトン25.0g/L、酵母粉末7.5g/L、グルコース2.0g/L、Na2HPO4・7H2O6.8g/L、KH2PO43.0g/L、NH4Cl1.0g/L、MgSO40.2g/L、CaCl20.01g/L、およびメチオニン0〜40mg/Lを含有し、水を溶媒とすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記誘導を行う方法は、熱衝撃による誘導方法であり、
その操作方法は、液体種菌をタンクに入れた後、30℃で2〜3時間初期成長させ、OD値が0.4〜0.6に達したとき、42℃で熱衝撃を30分行い、次いで、温度を37℃まで下げ、再び1.5〜2時間成長させてから、細菌を回収することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱衝撃による誘導方法において、大量増殖で使用する培地に最終濃度が0.5mMのIPTGを添加することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記上清液に含有する発現された前記遺伝子組換え菌の組換えタンパク質は、CMイオン交換カラムを用いて分離精製され、
その中のサンプル量は、上清液のタンパク質量とゲル粒子体積との比例である2.5mg/mlに基づいて決められることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記上清液に含有する発現された前記遺伝子組換え菌の組換えタンパク質は、CMイオン交換カラムを使用して分離精製され、
溶出用の硼酸緩衝液におけるNaClの濃度は、0.2Mであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の組換えポリペプチドの調整方法に用いられる培地であって、
NaCl6.0〜6.7g/L、ペプトン25.0g/L、酵母粉末7.5g/L、グルコース0.6〜2.0g/L、Na2HPO4・7H2O6.8〜18.3g/L、KH2PO43.0〜4.3g/L、NH4Cl1.0〜1.4g/L、MgSO40.2〜0.4g/L、CaCl20.01g/L、およびメチオニン0〜40mg/Lを含有し、水を溶媒とすることを特徴とする大腸菌pETシステム遺伝子組換え菌に用いられる培地。
【請求項8】
前記大腸菌pETシステム遺伝子組換え菌はE.coli B834(DE3)であり、
前記培地は、NaCl6.0g/L、ペプトン25.0g/L、酵母粉末7.5g/L、グルコース2.0g/L、Na2HPO4・7H2O6.8g/L、KH2PO43.0g/L、NH4Cl1.0g/L、MgSO40.2g/L、CaCl20.01g/L、およびメチオニン40mg/Lを含有し、水を溶媒とすることを特徴とする請求項7に記載の培地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物技術分野に関し、特に、遺伝子組換え菌の組換えタンパク質を高効率で発現する方法およびそれを用いた組換えポリペプチドの調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の発明者は、以前の研究において、創造的な試みと実験および検証を経て、コリシンを攻撃端とし、その他の識別標的細胞のポリペプチド(天然または人工設計である)の識別ポリペプチドを操作可能に連結して、一系列の新型組換えポリペプチド得た。特許文献1に記載しているとおりである。発明の名称が「抗体模擬物を含む新型の抗生物質およびその調製方法と応用」に公開された新型の抗生物質PMC−AM1は、広範囲スペクトル抗生性能を有しており、髄膜炎菌、多剤耐性緑膿菌、バンコマイシン耐性腸球菌、メチシリン耐性の黄色ブドウ球菌に対して、現存の抗生物質よりも顕著な抗菌効果を果たしている。特許文献2に記載されている、発明の名称が「新型の抗生物質およびその塩基配列、調製方法と応用」である発明では、一系列の抗ブドウ球菌溶解素新型抗生物質を公開した。それぞれPMC−SA1、PMC−SA2、PMC−SA3、PMC−SA4、PMC−SEおよびPMC−PAと六種類の新型抗生物質であり、体外および体内の実験において、現存の抗生物質、抗真菌抗生物質および化学療法薬よりさらに優れた標的指向性および殺傷効率を有する。これらの新型抗生物質は、抗菌効果が顕著であるだけでなく、且つほかの抗生物質が比べることができない生物学的安全性および抗薬剤耐性を有する。
【0003】
上述の系列の組換えタンパク質は、水溶性タンパク質の一種類であって、一般的に600あまりのアミノ酸残基によって構成されている。しかしながら、この種類のタンパク質のペプチド鎖は、カルボキシル末端に寄るところに、40個のアミノ酸残基により構成された一区切りの疎水区域がある。構造が単一である他の水溶性タンパク質に比べて、前記タンパク質の組み替えと発現はさらに難しいので、その生産率に影響を与える。そこで、上述の組換えタンパク質を発現する工程を改善し、タンパク質の発現率を高めることで、大規模生産により上述の一系列の組換えタンパク質を実際の臨床応用と実践における技術的難題を解決することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願第200910092128.4号明細書
【特許文献2】中国特許出願第200910157564.5号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、発明者の先行特許出願で開示された組換えポリペプチドの構造と性質および特徴に焦点を合わせて、遺伝子組換え菌のタンパク質を高効率で発現する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
遺伝子組換え菌の組換えタンパク質を高効率で発現する方法として、遺伝子組換え菌の組換えタンパク質のポリペプチドは、一端が親水性を有するコリシンポリペプチド端末であり、他端は、疎水性を有する標的物質識別ポリペプチド端末である。その特徴は、以下のステップを含む。
【0007】
(1)遺伝子組換え菌の組換えタンパク質をコードする遺伝子組換えプラスミドを大腸菌pETシステムの遺伝子組換え菌であるE.coliB834(DE3)に形質転換することによって、陽性モノクローンを得る。
【0008】
(2)陽性モノクローンを増殖させることで得られた液体種菌を誘導し、大量増殖を行い、発現された遺伝子組換え菌の組換えタンパク質を含む上清液を得る。
【0009】
(3)上清液に含まれている発現された遺伝子組換え菌の組換えタンパク質を分離して精製する。
【0010】
上述の大量増殖で使用する培地は、NaCl6.0〜6.7g/L、ペプトン25.0g/L、酵母粉末7.5g/L、グルコース0.6〜2.0g/L、Na
2HPO
4・7H
2O6.8〜18.3g/L、KH
2PO
43.0〜4.3g/L、NH
4Cl1.0〜1.4g/L、MgSO
40.2〜0.4g/L、CaCl
20.01g/L、メチオニン0〜40mg/Lを含み、水を溶媒とする。
【0011】
上述の大量増殖で使用する培地は、NaCl6.0g/L、ペプトン25.0g/L、酵母粉末7.5g/L、グルコース2.0g/L、Na
2HPO
4・7H
2O6.8g/L、KH
2PO
43.0g/L、NH
4Cl1.0g/L、MgSO
40.2g/L、CaCl
20.01g/L、メチオニン0〜40mg/Lを含み、水を溶媒とする。E.coliB834(DE3)を遺伝子組み換え菌とする工程において、メチオニンは、40mg/Lである。
【0012】
上述の誘導方法は、熱衝撃による誘導方法を使用する。操作方法は、以下に示すとおりである。液体種菌をタンクに入れた後、30℃で2〜3時間初期成長させ、OD値が0.4〜0.6に達したときに、42℃で熱衝撃を30分行う。次いで、温度を37℃まで下げ、再び1.5〜2時間成長させ、細菌を回収する。
上述の熱衝撃誘導ステップにおいて、培地に最終濃度が0.5mMのPTGを添加する。
【0013】
菌体の上清液における組換えタンパク質を精製するとき、CMイオン交換カラムを使用し、その中の量はタンパク質の上清液質量でありゲル粒子体積との比が2.5mg/mlである。
菌体の上清液における組換えタンパクを精製するとき、CMイオン交換カラムを使用し、溶出用の硼酸緩衝液のNaCl濃度は0.2Mである。
【0014】
組換え突然変異プラスミドは、pBHC−SA1、pBHC−SA2、pBHC−SA3、pBHC−SA4、pBHC−SE、pBHC−PAまたはpBHC−PorA1を指す。
【0015】
上述のいずれかの方法は、組換えポリペプチドPMC−SA1、PMC−SA2、PMC−SA3、PMC−SA4、PMC−SE、PMC−PAまたはPMC−AMを製造するのに応用される。
【0016】
大腸菌pETシステム遺伝子組換え菌に用いる培地は、NaCl6.0〜6.7g/L、ペプトン25.0g/L、酵母粉末7.5g/L、グルコース0.6〜2.0g/L、Na
2HPO
4・7H
2O6.8〜18.3g/L、KH
2PO
43.0〜4.3g/L、NH
4Cl1.0〜1.4g/L、MgSO
40.2〜0.4g/L、CaCl
20.01g/L、メチオニン0〜40mg/Lを含み、水を溶媒とする。
【0017】
大腸菌pETシステム遺伝子組換え菌は、E.coliB834(DE3)であり、培地は、NaCl6.0g/L、ペプトン25.0g/L、酵母粉末7.5g/L、グルコース2.0g/L、Na
2HPO
4・7H
2O6.8g/L、KH
2PO
43.0g/L、NH
4Cl1.0g/L、MgSO
40.2g/L、CaCl
20.01g/L、メチオニン40mg/Lを含み、水を溶媒とする。
【0018】
Novagen会社のpETシステムは、現在、大腸菌において組換えタンパク質のクローンと発現によく使われるシステムである。本発明は、まず、組換え突然変異プラスミドを一系列のBL−21(DE3)細胞にトランスフェクションさせ、元のTG1細胞よりさらに良いタンパク発現生産率を得た。実験データを比較することにより、BL−21(DE3)の親株としてのB834(DE3)の発現量は、BL−21(DE3)の発現量よりも、さらに理想的な発現量を有していることがみられる。実験データにより、プラスミドB834(DE3)は、元のプラスミドTG1体系を十数倍も超えるタンパク質発現量に達することができることがみられる。
【0019】
培地は、細菌の成長と繁殖に必要な炭素源と窒素源および無機塩を提供する。本発明は、培地の構成要素を改善することにより、遺伝子組換え菌の成長速率を高めることで、標的タンパク質の発現収率を高める。培地における各成分の含有量を徐々に改善かつ調整することにより、遺伝子組換え菌の発酵と生産に最良な培地の配合方法を見出す。本発明において改善したFB−M9複合培地は、炭素源と窒素源の含有量を適切に高めた。MgSO
4、CaCl
2、およびpETシステム菌の成長に必要なアミノ酸を添加し、細菌の繁殖速率とタンパク質発現効率を適切に高めた。培地の配合方法を改善するのに必要なコストは、比較的に安価であることから、今後の大規模生産のために、大きな研究の余地と開発価値を提供した。
【0020】
本発明における精製システムのCMイオンゲル粒子の携載率は、取扱説明書に記載されている所望のレベルに達していない。これは、標的タンパク質の回収率を制限した。本発明は、サンプル量を減少させ、ゲル体積を適切に増大させることにより、回収率を顕著に改善した。この結果から、一層効率的な大規模工業生産のために、より効率的なイオン交換ゲルを探す必要があることがわかる。この他に、本発明は、イオン交換ステップにおける溶出液の濃度を最適化することにより、得られた組換えタンパク質の不純物を減少させた。
【0021】
上述したように、本発明は、理想的な遺伝子組換え菌株の選択、培地の構成要素の最適化、精製または回収率の改善により、多種の選択可能であり最適な、大腸菌の遺伝子組み換え菌を用いて組換えタンパク質を発現する工程を提供した。これは、最終的に高効率で発現するのに必要な融合タンパク質の最適な組み合わせを見出すために、発展の方向性と技術ロードマップを提供した。元の発現体系と比較して、本研究において発展させた発現体系は、融合タンパク質の発現量を数十倍も高め、後継の大規模な工業化生産のために、有意義な理論および実践による科学的根拠を提供した。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】異なる体積のゲルカラムのタンパク質を溶出するプロセスにおける溶出液の電導値を示す図である。aは、150mlCMゲルカラムのタンパク質を溶出するプロセスであり、bは600mlCMゲルカラムのタンパク質を溶出するプロセスである。図の矢印の指している曲線は、溶出液の電導値を示している。矢印の指している部分は、サンプリングプロセスにおいて損失されたPMC−SAによりもたらした電導の小ピークを指す。ゲル体積を増加した後、損失されたPMC−SAによりもたらした電導の小ピークは、70%減少する。もう一つの曲線は溶出されたタンパク質のOD値を示す。
【
図2】PMC−SAのSDS−PAGEゲル電気泳動図を示す。aは、1.Marker、2.TG1産PMC−SA1、3.BL−21産PMC−SA1、4.B834産PMC−SA1を示し、bは、1.Marker、2.0.1M NaCl硼酸緩衝液の溶出されたPMC−SA1、3.0.2M NaCl硼酸緩衝液の溶出されたPMC−SA1、4.0.3M NaCl硼酸緩衝液の溶出されたPMC−SA1を示す。
【
図3】PMC−SA対MRSA(BAA42)の抑菌曲線を示す。縦軸は吸光度を示しており、横軸は細菌成長の時間を示す。(Control:対照群;Amp:アンピシリンナトリウム;OXA:オキサシリン;Ia−wt:野生型コリシン;PMC−SA1:抗黄色ブドウ球菌ポリペプチド;PMC−AM:抗髄膜炎菌性ポリペプチド)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。本発明の使用する実験材料と装置は、以下のとおりである。
(菌株)
E.coliTG1遺伝子組換え菌(AECOM,K.JaKesによる寄付);
Novagen社から購入した、E.coliBL−21(DE3)、B834(DE3)、NovaBlue(DE3)および618遺伝子組換え菌;
ATCC(American Type Culture Collection)から購入した黄色ブドウ球菌ATCCBAA−42。
【0024】
プラスミド:pBHC−SA1、pBHC−SA2、pBHC−SA3、pBHC−SA4、pBHC−SE、pBHC−PA、pBHC−PorA1(出願番号200910092128.4、および200910157564.5二つの特許明細書に記載されている。申請者の実験室に保存されており、検証テストのために公衆に提供することができる。)
(主な試薬および薬品)
酵母粉末(OXIOD LP0021)、ペプトン(OXIOD LP0042)およびその他の化学試薬は、すべて国産である;
透析袋Snake Skin Dialysis Tubing(Pierce,リテンション相対分子量1×104,Lot#KD32324);
注射用硫酸ストレプトマイシン(華北製薬);
注射用アンピシリンナトリウムAMP(ハルビン製薬);
陰イオン交換カラムゲル(Pharmacia Biotech CM Sepharose Fast Flow LotNo.225016)。
【0025】
LB液体培地:100mlの塩化ナトリウム1g、ペプトン1g、酵母0.5を含む。各種の試薬を計量した後、250mlのフラスコに入れ、100mlの水道水を添加し、それを溶解させる。高圧滅菌釜を用いて120℃、8minで滅菌する。
【0026】
LB固体培地:100mlの塩化ナトリウム0.5〜1.5g、ペプトン0.5〜2g、酵母0.3〜1g、寒天0.8〜3gを含む。LB固体培地は、菌種が回復した後に、培養プレートでコロニーを培養するのに用いられる。各種の試薬を計量した後、250mlのフラスコに入れ、100mlの水道水を添加し、それを溶解させ、高圧滅菌釜を用いて120℃、8minで滅菌する。
【0027】
FB−M9複合培地:NaCl6.0〜6.7g/L、ペプトン25.0g/L、酵母粉末7.5g/L、グルコース0.6〜2.0g/L、Na
2HPO
4・7H
2O6.8〜18.3g/L、KH
2PO
43.0〜4.3g/L、NH
4Cl1.0〜1.4g/L、MgSO
40.2〜0.4g/L、CaCl
20.01g/L、メチオニン0〜40mg/L含む。
【0028】
改良されたFB−M9複合培地:NaCl6.0g/L、ペプトン25.0g/L、酵母粉末7.5g/L、グルコース2.0g/L、Na
2HPO
4・7H
2O6.8g/L、KH
2PO
43.0g/L、NH
4Cl1.0g/L、MgSO
40.2g/L、CaCl
20.01g/L、メチオニン0〜40mg/Lを含む。E.coliB834(DE3)を遺伝子組換え菌とする工程において、メチオニンは、40mg/Lである。
【0029】
(主な装置)
Bio−Radタンパク質クロマトグラフィー精製システム(BioLogic Duo Flow,BioLogic Maximizer,BioLogic QuadTec UV−Vis Detector,BioLogic Econo Pump);
【0030】
超音波処理機(Soniprep150)、直径5cmのタンパク質精製イオン交換カラム(Pharmacia Biotech XK50)、直径11cmのタンパク質精製イオン交換カラム(上海華美);
遠心分離機(Beckman Coulter Avanti J−20XP,Beckman Coulter Avanti J−25);
スペクトル計(Bio−Rad Smart Spect Plus spectrophotometer);
全自動発酵槽(スイスBioengneering.AG LP351−42L);
細菌高圧ホモジナイザー(イタリアNiro Soavi NS1001L2KSN 6564)。
【0031】
声明:本発明において使用する生体材料は、いずれも出願日以前に既知のものであり、かつ勤務先に保存されており、出願日により二十年以内に公衆に提供し、検証と試験に用いられることを保証する。
【0032】
(実施例1.遺伝子組換え菌菌種の最適化選択実験)
シリコンが載ってあるIaおよびその免疫タンパク質遺伝子(GenBank M13819)の古典的プラスミドは、Dr.Finkelstein実験室からきている。(Qiu XQ et al.An engineered multidomain bactericidal peptide as a model for targeted antibiotics against specific bacteria.Nat Biotechnol,2003;21(12):1480−1485)。本実験室による改造を通して、pBHC−SA1、pBHC−SA2、pBHC−SA3、pBHC−SA4、pBHC−SE、pBHC−PA、pBHC−PorA1と7種類の組換え突然変異プラスミドを得た。
【0033】
ステップ1.コンピテント細胞を転換する。
組換え突然変異プラスミドpBHC−SA1 100ngをそれぞれ4040 ul Novagenの数種類のpETシステム遺伝子組換え菌BL−21(DE3)、B834(DE3)、NovaBlue(DE3)、618に、5分間インキュベートし、42℃で熱衝撃を30秒行った後、氷に2分間置く。SOC培地160ulを添加し、220rpm、37℃で細菌を1時間振盪した後、プレートに蒔く(LB培地に1%の寒天を添加し、50ug/mlアンピシリンを添加し、37℃で一晩置く)。 コロニーを選択して増殖し、菌種を獲得し、低温で菌種を保存する。
【0034】
ステップ2.菌種の回復
1.菌種の回復
保存された菌種を取り出し、4℃で解凍する。1.5mlを取り、10mlLB培地(AMP50μg/ml含有)に入れ、220rpm、37℃の条件下において5〜8時間培養する。
【0035】
2.モノクローナル細菌の接種
回復された菌液を10
4または10
5倍に希釈し、10ul希釈後の菌液を取り、調製しておいたLB個体培地(AMP50μg/ml)プレートに添加し、プレートを塗布する。湿った箱に入れ、37℃のインキュベーターで10〜12時間培養する。培地表面に円形の単一コロニーが形成される。
【0036】
ステップ3.細菌の採択と細菌の拡大
(1)滅菌済み爪楊枝または接種ループを用い、生育を終えたプレートで規則正しい円形で、周縁が滑らかな単一コロニーを採択して、1.5mlLB培地に入れ、振盪培養する。220rpm、37℃で5〜8時間培養する。
(2)1.5mlLB菌液を100mlLB培地に入れ、振盪培養する。220rpm、37℃で5〜8時間培養する。
【0037】
(3)一級拡大培養:上記の100ml菌液を700mlの改良されたFB−M9複合培地に入れて培養する。振盪培養:220rpm、37℃で5〜8時間培養する。
【0038】
(4)二級拡大培養:上記700ml菌液をそれぞれ6×700mlの改良されたFB−M9複合培地に入れ、振盪培養する。220rpm、37℃で5〜8時間培養する。
【0039】
(5)三級拡大培養:上記6×700mlの菌液を20Lの改良されたFB−M9複合培地に入れ、発酵槽において培養する。攪拌速度は220rpmであり、最大の酸素透過量であり、37℃で3〜5時間培養する。
【0040】
(6)遺伝子組換え菌とタンパク質発現誘導:上記20Lの菌液を200Lの改良されたFB−M9複合培地に入れ、発酵槽においてタンパク質の発現を培養かつ誘導する。攪拌速度は、220rpmであり、最大の酸素透過量であり、30℃、2〜4時間;42℃、0.5時間;37℃、1〜2時間。注:42℃に達したとき、最終濃度が0.5mMのIPTGを添加する。
【0041】
ステップ4.遠心分離により細菌を回収する。
培養液6000gを4℃下で20min遠心分離を行う。遠心分離後の沈殿物を回収し、50mMの硼酸緩衝液(pH9.0)に入れ、菌体を硼酸緩衝液に懸濁させる。注:硼酸緩衝液に2mMのPMSF(中国語の名称の日本語訳は、「フッ化フェニルメタンスルホニルのセリンプロテアーゼ阻害剤」である)を添加する。菌体が懸濁された後に4℃下で操作する。
【0042】
ステップ5.菌体を破砕する。
菌体が完全にpH9.0硼酸緩衝液に懸濁した後に、高圧ホモジナイザーを用いて500〜600barの高圧にして菌体を破砕する。7回繰り返して破砕し、毎回3〜5分間おきで菌体の破砕を行う。
【0043】
ステップ6.菌体DNAを沈澱させる。
破砕後の菌液55000gを4℃で40min遠心分離を行い、上清液を採取する。硫酸ストレプトマイシン(液体200mlあたりに16瓶100万単位の硫酸ストレプトマイシンを添加する)を加え、磁力攪拌機により1h撹拌する。
【0044】
ステップ7.透析
上記の菌液55000gを4℃で20min遠心分離し、上清液を取り、透析袋に入れ、硼酸緩衝液において8〜12時間透析する。透析液は、4時間ごとに一度換える。
【0045】
ステップ8.タンパク質を精製して抗菌性遺伝子組換えポリペプチドを得る。
透析した後の菌液55000gを4℃で20分間遠心分離し、上清液を取りビーカーに入れ、イオン交換法を用いてタンパク質を精製する。上清を取りCMイオン交換カラムにサンプリングし、タンパク質濃度を測定し、単位体積あたりのタンパク質含有量を計算する。サンプル量とCMイオンゲル粒子の割合は、操作マニュアルに従い、十分に洗浄した後、0.2MのNaClを含む50mM硼酸緩衝液で溶出して新型の抗菌性遺伝子組み換えポリペプチドを得る。
結果は、
図1に示す。E.coliB834(DE3)が、PMC−SAに対する発現効率は、最も高い。
【0047】
その他の6種類の組換え突然変異プラスミドに対して同様な操作と比較を行った結果、いずれも表1に示す結果と同じ傾向がみられる。即ち、他の遺伝子組換え菌と比べて、E.coliB834(DE3)は、この7種類の組換え突然変異プラスミドに対する発現効率がすべて最も高い。
【0048】
本実施例において、使用した従来と異なる成長誘導方法は、熱衝撃誘導である。即ち、液体種菌をタンクに入れた後に、大規模な増殖の開始温度は30℃である。菌液が2時間前後成長した後にOD値が0.4〜0.6に達したとき、42℃で熱衝撃を30分行う。熱衝撃終了後に、温度を37℃まで下げ、再び1.5〜2時間成長した後に細菌を回収する。このときに、増殖菌液のOD値は、1〜3またはそれ以上の数値に達することができる。必要の場合pETシステム遺伝子組換え菌を誘導するために、0.5mMのIPTGを添加する。
【0049】
従来、上述の組換えポリペプチドを生産かつ調製するのに慣用されている方法は以下のとおりである。
突然変異プラスミド100ngと調製したBL−21遺伝子組換え菌コンピテント細胞とを40ulを氷中で5分間インキュベートした後、42℃で30秒の熱衝撃を行う。次いで、氷中に2分間置く。SOC培基160ulを加え、220rpm、37℃で一時間細菌を振った後にプレートに菌を蒔く(LB培地に1%の寒天、アンピシリン50ug/mlを加え、37℃で一晩置く)。コロニーを採択し、大量増殖させる。
【0050】
大量増殖:8〜10リットルのFB培地、250rpm、37℃、3〜4時間;次いでIPTGを添加し、250rpm、28℃で4時間再成長させ、4℃、6000g、20分間菌体を遠心沈殿し、4℃、50mMの硼酸緩衝液(pH9.0、2mMEDTA)80−100mlを取り、菌体を懸濁する。PMSF 50ugを添加した後に、超音波処理によって菌体を破砕する(4℃、400W、1分間、4〜5回繰り返し、2〜3分間おきに菌液の温度を確保する)。破砕された菌体(4℃、75,000g、90分間)を高速遠心分離して沈殿させる。上清を取り、硫酸ストレプトマイシン500万単位を添加してDNAを沈澱する(4℃で1時間攪拌する)。10,000g、4℃、10分間遠心沈澱した後、上清を取り、分子量15,000の透析袋に入れ、4℃、50mMの硼酸緩衝液10リットルにして一晩透析した後に、再度10,000g、4℃で10分間遠心沈殿させ、上清を取り、CMイオン交換カラムにサンプリングする。十分に洗浄した後に、0.3MNaCI+50mMの硼酸緩衝液で溶出すれば、調製された新型の抗生物質を得ることができる。
【0051】
実施例2.培地の改善
従来のコリシンIa成長培地は、FB培地である。(Qiu XQ et al.An engineered multidomain bactericidal peptide as a model for targeted antibiotics against specific bacteria.Nat Biotechnol,2003;21(12):1480−1485/Karen Jakes,Charles Abrams,Alan Finkelstein,et al.Alteration of the pH−dependent Ion Selectivity of the Colicin E1 Channel by site−directed Mutagenesis.JBC,1990;265(12):6984−6991)。FB培地は、25g/Lのペプトン、7.5g/Lの酵母粉末、6g/LのNaCl、1g/Lのグルコースを含む。
【0052】
本発明では、グルコースの含まないFB培地を使用した。その配合方法は以下のとおりである。ペプトン25.0g/L、酵母粉末7.5g/L、NaCl6.0g/Lである。 並びに上述のグルコースの含まないFB培養液およびM9培養液を一定の体積の割合で複合して配置することによって、本発明のFB−M9複合培地を得た。
【0053】
M9培地は、母液が5×M9であり、Na
2HPO
47H
2O64.0g/L、KH
2PO
415.0g/L、NH
4Cl5.0g/L、NaCl2.5g/L、MgSO
41.5g/L、CaCl
20.05g/L、2%のグルコースを含む。
最初に二種類の培地の複合を試みる。
【0054】
FB−M9:FB:M9の体積比=7:10、配合方法は、NaCl6.7g/L、ペプトン25.0g/L、酵母粉末7.5g/L、Na
2HPO
47H
2O18.3g/L、KH
2PO
44.3g/L、NH
4Cl1.4g/L、MgSO
40.4g/L、CaCl
20.01g/L、グルコース0.6g/Lである。
【0055】
本発明は、このような配合方法を用いて発酵かつ生産を行う。発酵工程は、実施例1のステップ3と同様である。その結果は、表2に示す。1リットルあたりの培養液の得られた湿菌体重量は、FB培地のみで得られた湿菌体重量より明らかに高い。回収したタンパク質生産量は明らかに高くなり、平均生産量は30mg/Lにまで達することができる。
【0057】
本発明はさらに繰り返して比較することにより、最終的に改善されたFB−M9培地が得られた。実施例1に記載された発酵条件下で、34mg/Lの目的タンパク質生産率に達することができる。表3に示したとおりである。
【0058】
改良されたFB−M9培地は、NaCl6.0g/L、ペプトン25.0g/L、酵母粉末7.5g/L、グルコース2.0g/L、Na
2HPO
47H
2O6.8g/L、KH
2PO
43.0g/L、NH
4Cl1.0g/L、MgSO
40.2g/L、CaCl
20.01g/Lを含む。B834遺伝子組換え菌の成長過程においてメチオニンが必要となるため、B834を遺伝子組換え菌とする工程において、FB−M9培地には、さらにメチオニン(40mg/L)を添加した。
【0060】
実施例3.タンパク質の精製条件を最適化する。
本発明において調製した組換えポリペプチド(PMC−SA1、PMC−SA2、PMC−SA3、PMC−SA4、PMC−SE、PMC−PA、PMC−AM)の基本構造は、コリシンIaである。また、コリシンIaの等電点は、約9.15であるため、その典型的な精製方法は、イオン親和クロマトグラフィー交換法を使用した。(Qiu XQ et al.An engineered multidomain bactericidal peptide as a model for targeted antibiotics against specific bacteria.Nat Biotechnol,2003;21(12):1480−1485)。
【0061】
その作動原理は、以下のとおりである。pH9.0の硼酸緩衝液システムにおいて、PMC−SA分子のほとんどが、正電荷イオンとして存在している。クロマトグラフィックカラムに負電荷の帯電するCMゲル粒子が流れるとき、正電荷の帯電した上述の組換えタンパク質分子は、電荷間の吸引力により、負電荷の帯電するCMゲル粒子に掛かる。その他の混入タンパク質は、次第にゲルカラムから流し出される。
【0062】
本実施例において、その他のステップは、実施例1と同様である。混入タンパク質が洗浄された後、それぞれ0.1〜0.3MNaClの含有する硼酸緩衝液でゲルカラムに対して、勾配溶出を行う。
【0063】
Na
+イオンは、組換えタンパク質分子イオンよりさらに強い正電荷性を有するため、組換えタンパク質イオンは、Na
+イオンによりCMゲル粒子から置換される。イオン交換精製において、二つの変量が操作可能であり、そこからより良好な目的タンパク質の回収率を得ることができる。(1)0.05〜1Mの範囲内で異なる濃度のNaClを選択することができる。CMゲル粒子に搭載された異なる正電荷強度を帯びているタンパク質分子をそれぞれ溶出する。(2)使用するCMゲル粒子の量は、さらに最適化することができる。一定のイオン強度下において、各CMゲル粒子の担持されているタンパク質量は、相対的に恒常性を有している。蛋白質に対するゲルカラムの担持量を増加させるためには、ゲルカラムの体積を増大する必要がある。
【0064】
CM Sepharose Fast Flowは、GE社が生産した陰イオン交換カラムゲルである。その取扱説明書によると100mlのゲルごとに、最大で9mMの陽イオンと結合することができる。動的結合過程において、実際に利用可能な結合容量は、サンプルの性質が変化するにつれて変化する。分子量と結合容量とは、反比例の関係を有している。その標準試料の中で本発明の調製した組換えポリペプチドの分子量に近いのは、BovineCOHb−(Mr69kD)である。その理論上の動的結合容量は、30mg/mlである。即ち100ml容量のCM Sepharose Fast Flowゲルを用いて組換えタンパク質のサンプルを回収するとき、理論上の最大回収率は、約300mg(0.004mM)であるが、その取扱説明書に従い、本発明のCMゲル粒子と組換えタンパク質分子との間の実際の動的結合容量は、3mg/mlであり、理論値の10%だけ達している。
【0065】
混入タンパク質洗浄工程の後半期において、電導度曲線は、一過性の上昇する小ピーク(
図1a)がみられる。この現象に基づいて推測したのは、サンプルの中における組換えタンパク質の量が比較的に大きいとき、CMゲル粒子は、目的タンパク質との結合容量に限度があるため、サンプルにおける組換えタンパク質の一部分だけ回収できることである。CMゲル粒子に搭載されなかった組換えタンパク質は、混入タンパク質とともに一括してゲルカラムから流し出される。組換えタンパク質が正電荷を帯びているため、電導度曲線の一過性の上昇ピークがみられる。
【0066】
本発明の最適化する方法において、目的タンパク質の損失を低減するために、各バッチのサンプル量を取扱説明書に規定された量の1/3に減らすと同時に、使用するゲル体積を増大させる。ゲル体積を150mlから600mlにする。即ち上清液のタンパク質量:ゲル粒子の体積=2.5mg/mlである。溶出過程における組換えタンパク質の損失が低減され、実験データに示すように、組換えタンパク質の回収率は、3.5倍に増加された。その結果は、
図1bに示す。
【0067】
この他に、溶出用の硼酸緩衝液におけるNaClの勾配を0.1M−0.2M−0.3Mに設定する。
図2bに示すように、0.2Mの溶出効率とタンパク質純度が最も高い。
【0068】
実施例4.タンパク質純度および活性検出
ステップ1.SDS−PAGE電気泳動
実施例4の最適化方法により抽出した融合タンパク質サンプルに対して、SDS−PAGE電気泳動および硝酸銀染色を行う。
図2に示すように、電気泳動図aにおいて、相対分子質量が約70kDのところに、明確なウェスタンブロッティングのバンドがある。即ち本発明の調製したPMC−SA1である。図bは、実施例4において、改善された勾配溶出法により得たタンパク質は、異質バンドが取り除かれ、純度が高くなる。本発明の最適化方法により調製して得たその他の六種類の組換えタンパク質の純度も、同様に増加された。
【0069】
ステップ2.抑菌活性の検出
実施例1、実施例2、および実施例3によって調製方法を改善した後に得た組換えタンパク質PMC−SA1とPMC−AMに対して、以下のように抗菌活性試験を実施した。
【0070】
10mlのBM培地に、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA,ATCCBAA−42)菌液を10ul(10
5CFU/ml)接種する。抗菌剤を添加し、抗菌剤に基づいて六つのパラレルグループに分ける。その六つのパラレルグループはそれぞれ、アンピシリンナトリウム2ug/ml、オキサシリン4ug/ml、野生型コリシンIa、PMC−SA、Ph−NM(4ug/ml)およびブランク対照群である。37℃、210rpmで振盪培養し、一時間ごとに菌液の光学密度(595nm)を測定し、成長直線図を作成する。詳細は、
図3に示す。
抑菌実験曲線から、本発明における改良方法により調製した組換えポリペプチドは、良好な抗菌活性を有することがわかる。