(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の一形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るプリンタ100はインクジェット式プリンタであって、記録紙130を支持するプラテン101と、プラテン101に設けられたフィードローラ102と、フィードローラ102の上方に設けられたピンチローラ105と、プラテン101の上方に配置されたレール106と、レール106に摺動自在に係合したインクジェットヘッド1と、インクジェットヘッド1に固定されたベルト108と、を備えている。プラテン101、フィードローラ102、ピンチローラ105、レール106、インクジェットヘッド1、およびベルト108は、ケース110の内部に配置されている。ケース110は、脚109によって支持されている。
【0013】
以下の説明では、プリンタ100を正面から見たときにプリンタ100から遠ざかる方、近づく方をそれぞれ前方、後方とする。また、左、右、上、下とは、プリンタ100を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ100の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0014】
レール106は左右方向に延びており、インクジェットヘッド1を摺動自在に支持している。ここでは、レール106が延びる方向、すなわち左右方向を主走査方向と言い、前後方向を副走査方向と言う。副走査方向は主走査方向と垂直な方向であり、上下方向と垂直な方向である。
【0015】
図示は省略するが、ケース110内の右端部および左端部には、それぞれ駆動プーリおよび従動プーリが配置されている。駆動プーリはモータによって駆動される。ベルト108は駆動プーリと従動プーリとに巻かれており、駆動プーリの回転に伴って循環する。これにより、インクジェットヘッド1が主走査方向に移動する。駆動プーリ、従動プーリ、およびベルト108は、インクジェットヘッド1に連結されかつインクジェットヘッド1をレール106に沿って移動させる駆動装置の一例である。ただし、駆動装置の構成は何ら限定されず、上記構成以外の構成を備えていてもよい。
【0016】
次に、インクジェットヘッド1について説明する。インクジェットヘッド1は、プラテン101の上方に配置されている。
図2に示すように、インクジェットヘッド1は、キャリッジ10と、ヘッドプレート20と、複数の記録ヘッド30A〜30Dとを備えている。
図1に示すように、キャリッジ10はレール106に摺動自在に係合している。なお、
図2では、キャリッジ10のうちレール106と係合している部分の図示は省略している。インクジェットヘッド1は、キャリッジ10がレール106に沿って主走査方向に移動する間に、記録ヘッド30A〜30Dから記録紙130にインクを吐出するように構成されている。なお、記録紙130は記録媒体の一例であるが、記録媒体は記録紙130に限定されない。
【0017】
図2に示すようにキャリッジ10は、鉛直方向に延びる後板11と、後板11の左端部に固定された左板12と、後板11の右端部に固定された右板13とを備えている。左板12および右板13は、後板11から前方に延びている。また、キャリッジ10は、左板12に固定された左のベースプレート14Lと、右板13に固定された右のベースプレート14Rとを備えている。ベースプレート14Lおよび14Rは、前後方向に延びており、横断面がL型に形成されている。ベースプレート14Lは、鉛直方向に延びる鉛直部14Laと、水平方向に延びる水平部14Lbとを有している。ベースプレート14Rは、鉛直方向に延びる鉛直部14Raと、水平方向に延びる水平部14Rbとを有している。ここでは、ベースプレート14Lおよび14Rは、板金により形成されている。ただし、ベースプレート14Lおよび14Rの形状および材料は、特に限定される訳ではない。また、本実施形態では、後板11、左板12、右板13、左のベースプレート14L、および右のベースプレート14Rは別体に形成され、組み立てられているが、それらの一部または全部は一体的に形成されていてもよい。キャリッジ10は複数の部材を組み立てることにより構成されていてもよく、単一の部材により構成されていてもよい。
【0018】
図3に示すように、ヘッドプレート20は、ベースプレート14L,14Rに支持されている。ヘッドプレート20には、主走査方向に並ぶ複数の開口21A、21B、21C、21Dが形成されている。開口21A〜21Dには、それぞれ記録ヘッド30A〜30Dが取り付けられる。なお、ここで「記録ヘッド30A〜30Dが開口21A〜21Dに取り付けられる」には、記録ヘッド30A〜30Dが開口21A〜21Dに嵌め込まれる場合と、記録ヘッド30A〜30Dが開口21A〜21Dよりも上方に位置するように設置される場合との両方が含まれる。
【0019】
図4に示すように、記録ヘッド30A〜30Dは、副走査方向に並ぶ複数のノズル31を有している。なお、ノズル31は微小であるため、
図4では複数のノズル31を直線で表している。記録ヘッド30A〜30Dのノズル31は、下方から見たときにそれぞれ開口21A〜21Dの内側に位置している。
【0020】
図3に示すように、ヘッドプレート20の各開口21A〜21Dの後方には、記録ヘッド30A〜30Dの後部が押し当てられる第1当接部22aが設けられている。各開口21A〜21Dの右方には、記録ヘッド30A〜30Dの右部が押し当てられる第2当接部22bおよび第3当接部22cが設けられている。第3当接部22cは第2当接部22bの前方に配置されている。第2当接部22bは記録ヘッド30A〜30Dの右面の後部に押し当てられ、第3当接部22cは記録ヘッド30A〜30Dの右面の前部に押し当てられる。これら第1〜第3当接部22a〜22cは、ヘッドプレート20に対して記録ヘッド30A〜30Dを位置決めするための部分である。記録ヘッド30A〜30Dを開口21A〜21Dに取り付けると共に第1〜第3当接部22a〜22cに押し当てることにより、記録ヘッド30A〜30Dはヘッドプレート20の所定の位置に正確に配置されることになる。なお、本実施形態では、当接部の数は3つであるが、その数は特に限定されない。また、当接部の位置も何ら限定されない。また、当接部は必ずしも必要ではなく、省略することも可能である。
【0021】
開口21A〜21Dは、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長い形状に形成されている。本実施形態では、開口21A〜21Dは同じ形状かつ同じ大きさに形成されている。ただし、開口21A〜21Dの形状は互いに異なっていてもよい。また、開口21A〜21Dの大きさは特に限定されず、開口21A〜21Dのいずれか一つが他のいずれか一つよりも大きくてもよい。開口21A〜21Dの位置は特に限定されないが、本実施形態では開口21A〜21Dは副走査方向に関して揃った位置に配置されている。開口21A〜21Dの前端は、副走査方向に関して互いに同じ位置にあり、開口21A〜21Dの後端は、副走査方向に関して互いに同じ位置にある。ただし、開口21A〜21Dは、副走査方向に関して互いにずれた位置に形成されていてもよい。例えば、開口21A〜21Dのいずれか一つの前端は、他のいずれか一つの前端よりも後方にあってもよい。開口21A〜21Dのいずれか一つの後端は、他のいずれか一つの後端よりも前方にあってもよい。
【0022】
なお、記録ヘッド30A〜30Dの位置関係についても、上述の開口21A〜21Dの位置関係と同様である。本実施形態では、記録ヘッド30A〜30Dは同じ形状かつ同じ大きさに形成されているが、それらの形状または大きさは異なっていてもよい。記録ヘッド30A〜30Dは副走査方向に関して互いに揃った位置に配置されているが、それらは副走査方向に関して互いにずれた位置に配置されていてもよい。
【0023】
図3に示すように、右のベースプレート14Rには、ヘッドプレート20を回転自在に支持する回転軸55が設けられている。回転軸55はベースプレート14Rの水平部14Rbから上方に延びており、ベースプレート14Rとヘッドプレート20との間に介在している。回転軸55を中心にヘッドプレート20を回転させることにより、ヘッドプレート20とベースプレート14Rとの相対的な位置を変更することができる。すなわち、ヘッドプレート20の開口21A〜21Dの配列方向(
図3の一点鎖線21L参照。なお、開口21A〜21Dの配列方向は記録ヘッド30A〜30Dの配列方向でもある。)と主走査方向との角度を変更することができる。回転軸55はベースプレート14Rおよびヘッドプレート20のいずれか一方と一体化されていてもよく、それらの両方と別体であってもよい。本実施形態では、回転軸55はベースプレート14Rに一体的に形成されている。
【0024】
回転軸55は、開口21A〜21Dのうち最も前方に位置する部分よりも後方に配置され、かつ、開口21A〜21Dのうち最も後方に位置する部分よりも前方に配置されている。前述したように、本実施形態では開口21A〜21Dは副走査方向に関して揃った位置に配置されているので、回転軸55は各開口21A〜21Dの前端よりも後方に配置され、かつ、各開口21A〜21Dの後端よりも前方に配置されている。また、回転軸55は、各記録ヘッド30A〜30Dの前端よりも後方、かつ、各記録ヘッド30A〜30Dの後端よりも前方に配置されている。
【0025】
また、回転軸55は、複数の開口21A〜21Dのうち主走査方向の最も一端側に位置する開口21Dよりも前記一端側に配置されている。本実施形態では、回転軸55は、開口21A〜21Dのうち最も右方に位置する開口21Dよりも右方に配置されている。言い換えると、回転軸55は、全ての開口21A〜21Dよりも右方に配置されている。ただし、回転軸55の位置は上述の位置に限定される訳ではない。
【0026】
ヘッドプレート20の左端部には、右方に凹んだ凹部23が形成されている。凹部23の前方には、前後方向に延びるねじ孔34が形成されている。ねじ孔34には、調整ねじ25が挿入されている。ねじ孔34の内周面には螺旋溝が形成され、調整ねじ25の外周面には、ねじ孔34の上記螺旋溝に係合する螺旋溝が形成されている。調整ねじ25の先端部(言い換えると後端部)はねじ孔34から突出している。調整ねじ25の根元部(言い換えると前端部)には、図示しないドライバーが係合する+または−の溝(図示せず)が形成されている。なお、この溝は、調整ねじ25を回転させる工具と係合する係合部の一例であるが、工具はドライバーに限定されない。係合部は工具と係合するものであればよく、上記溝に限定されない。
【0027】
左のベースプレート14Lには、当接部材15が固定されている。なお、当接部材15はベースプレート14Lの水平部14Lbおよび鉛直部14Laのいずれに固定されていてもよい。当接部材15はベースプレート14Lと別体であってもよく、一体であってもよい。当接部材15の少なくとも一部は、上方から見てヘッドプレート20の凹部23の内側に配置されている。当接部材15は、調整ねじ25の後方に位置する当接板16を備えている。調整ねじ25はねじ孔34から当接板16に向けて突出しており、当接板16の前面は調整ねじ25が当接する当接面16aとなっている。当接面16aの裏面、すなわち当接板16の後面からは、第1の軸17が突出している。
【0028】
ヘッドプレート20のうち第1の軸17と対向する部分には、第1の軸17に向けて延びる第2の軸18が設けられている。第2の軸18は第1の軸17の後方に配置されている。第1の軸17および第2の軸18は、前後方向に延びている。
【0029】
第1の軸17と第2の軸18とには、コイルばね19が取り付けられている。コイルばね19は第1の軸17と第2の軸18との間に介在している。コイルばね19は、自然長よりも圧縮された状態になっており、いわゆる圧縮ばねとして機能する。コイルばね19は、第1の軸17と第2の軸18とを互いに離れる方向に付勢している。ヘッドプレート20は回転軸55を中心として回転可能であるので、コイルばね19はヘッドプレート20を上方から見て時計回りの方向に付勢している。時計回りの方向は、調整ねじ25が当接板16に近づく方向である。よって、コイルばね19は、ねじ孔34に挿入された調整ねじ25が当接部材15に当接するようにヘッドプレート20を付勢している。コイルばね19により、調整ねじ25は当接部材15に常時当接するようになっている。なお、コイルばね19は、調整ねじ25が当接部材15に当接するようにヘッドプレート20を付勢するばねの一例であるが、当該ばねはコイルばね19に限定されない。トーションばねなどの他の種類のばねを用いることも勿論可能である。また、第1の軸17および第2の軸18は必ずしも必要ではなく、コイルばね19をベースプレート14Lの他の部分およびヘッドプレート20の他の部分に取り付けることにより、省略することが可能である。
【0030】
調整ねじ25は、開口21A〜21Dおよび記録ヘッド30A〜30Dの左方に配置されている。開口21A〜21Dおよび記録ヘッド30A〜30Dは、主走査方向に関して、回転軸55と調整ねじ25との間に配置されている。主走査方向から見て、回転軸55および調整ねじ25は、開口21A〜21Dの一部および記録ヘッド30A〜30Dの一部と重なる位置に配置されている。また、本実施形態では、調整ねじ25の一部は、回転軸55と副走査方向に関して揃った位置に配置されている。すなわち、調整ねじ25の一部は、回転軸55の前端よりも後方かつ後端よりも前方に配置されている。ただし、これに限られない。調整ねじ25の全体が回転軸55の前端よりも前方に配置されていてもよく、回転軸55の後端よりも後方に配置されていてもよい。
【0031】
調整ねじ25の少なくとも一部は、開口21A〜21Dのうち最も副走査方向の一端側に位置する部分よりも他端側に配置され、かつ、開口21A〜21Dのうち最も副走査方向の他端側に位置する部分よりも一端側に配置されている。前述の通り、本実施形態では開口21A〜21Dは、副走査方向に関して揃った位置に配置されている。そのため、調整ねじ25の少なくとも一部は、各開口21A〜21Dの前端よりも後方、かつ、各開口21A〜21Dの後端よりも前方に配置されている。同様に、調整ねじ25の少なくとも一部は、複数の記録ヘッド30A〜30Dのうち最も副走査方向の一端側に位置する部分よりも他端側に配置され、かつ、複数の記録ヘッド30A〜30Dのうち最も副走査方向の他端側に位置する部分よりも一端側に配置されている。調整ねじ25の少なくとも一部は、各記録ヘッド30A〜30Dの前端よりも後方、かつ、後端よりも前方に配置されている。
【0032】
ヘッドプレート20には、第1〜第4の孔41〜44が形成されている。これら第1〜第4の孔41〜44は、ヘッドプレート20の四隅部に形成されている。詳しくは、第1の孔41は、開口21A〜21Dのうち主走査方向の最も一端側の端部よりも一端側、かつ、開口21A〜21Dのうち副走査方向の最も一端側の端部よりも一端側に位置している。第2の孔42は、開口21A〜21Dのうち主走査方向の最も他端側の端部よりも他端側、かつ、開口21A〜21Dのうち副走査方向の最も一端側の端部よりも一端側に位置している。第3の孔43は、開口21A〜21Dのうち主走査方向の最も一端側の端部よりも一端側、かつ、開口21A〜21Dのうち副走査方向の最も他端側の端部よりも他端側に位置している。第4の孔44は、開口21A〜21Dのうち主走査方向の最も他端側の端部よりも他端側、かつ、開口21A〜21Dのうち副走査方向の最も他端側の端部よりも他端側に位置している。前述の通り、本実施形態では開口21A〜21Dは、副走査方向に関して揃った位置に配置されている。そのため、第1の孔41は、最も左方に位置する開口21Aよりも左方、かつ、開口21A〜21Dの前端よりも前方に位置している。第2の孔42は、最も右方に位置する開口21Dよりも右方、かつ、開口21A〜21Dの前端よりも前方に位置している。第3の孔43は、最も左方に位置する開口21Aよりも左方、かつ、開口21A〜21Dの後端よりも後方に位置している。第4の孔44は、最も右方に位置する開口21Dよりも右方、かつ、開口21A〜21Dの後端よりも後方に位置している。第1の孔41および第3の孔43は、前後に細長い長孔となっている。第2の孔42および第4の孔44は円孔となっている。ただし、これに限らず、第1〜第4の孔41〜44のうち任意の2つを長孔とし、他の2つを円孔としてもよい。
【0033】
ベースプレート14Lおよび14Rには、ヘッドプレート20の第1〜第4の孔41〜44に対応する第5〜第8の孔45〜48が形成されている。第5の孔45、第7の孔47は、左のベースプレート14Lの前端部、後端部にそれぞれ形成されている。第6の孔46、第8の孔48は、右のベースプレート14Rの前端部、後端部にそれぞれ形成されている。第5〜第8の孔45〜48は円孔からなっている。なお、本実施形態では第1〜第8の孔41〜48のうち、第1の孔41および第3の孔43を長孔としたが、それに限らず、互いに重ね合わされない任意の2つを長孔としてもよい。
【0034】
次に、記録ヘッド30A〜30Dの位置の調整方法について説明する。記録ヘッド30A〜30Dの位置調整は、調整ねじ25を回転させることによって行う。本実施形態では、調整ねじ25を時計回りの方向に回転させると、調整ねじ25のねじ孔34からの突出量が増え、ヘッドプレート20は上方から見て回転軸55を中心として反時計回りの方向に回転する。逆に、調整ねじ25を反時計回りの方向に回転させると、調整ねじ25のねじ孔34からの突出量が減り、ヘッドプレート20は上方から見て回転軸55を中心として時計回りの方向に回転する。これにより、主走査方向に対する記録ヘッド30A〜30Dの配列方向21Lの傾きが調整される。なお、調整ねじ25を回転させている間、ヘッドプレート20はコイルばね19に付勢され、調整ねじ25は当接部材15に常に当接しているので、ヘッドプレート20の位置が不安定に変動することはない。そのため、記録ヘッド30A〜30Dの位置を安定して調整することができる。
【0035】
ヘッドプレート20をベースプレート14Rに対して位置決めした後、第1の孔41と第5の孔45、第2の孔42と第6の孔46、第3の孔43と第7の孔47、および第4の孔44と第8の孔48に、それぞれビス50を締結する。これにより、ヘッドプレート20がベースプレート14L,14Rに固定される。その結果、ヘッドプレート20に固定された記録ヘッド30A〜30Dが、キャリッジ10に対して固定される。
【0036】
図5に示すように、ヘッドプレート20は回転軸55の軸心55cを中心とする円弧61に沿って回転するが、調整ねじ25の軸線25cはその円弧61に対する接線となる。本実施形態によれば、回転軸55および調整ねじ25は、各開口21A〜21Dの前端よりも後方かつ後端よりも前方に配置されている。そのため、調整ねじ25の操作量に対する記録ヘッド30A〜30Dの位置の変化量は、記録ヘッド30A〜30Dの回転位置によって大きく異ならない。
図6に示すように、例えば、調整ねじ25を操作量A1だけ操作した場合の記録ヘッド30の中心位置30cの変化量をB1、操作量A2だけ操作した場合の中心位置30cの変化量をB2とした場合、それらの比率、すなわちB1/A1とB2/A1とは大きく異ならない。したがって、本実施形態によれば、調整ねじ25の操作に対する記録ヘッド30A〜30Dの位置変化の追従性が良好となる。よって、位置調整の作業を従来よりも容易化することができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、開口21A〜21Dは副走査方向に関して揃った位置に配置されている。このことにより、開口21A〜21Dが副走査方向に関して不揃いの位置に配置されている場合に比べて、調整ねじ25の操作に対する記録ヘッド30A〜30Dの位置変化を均一化することができる。よって、調整ねじ25の操作に対する記録ヘッド30A〜30Dの位置変化の追従性を更に高めることができ、位置調整の作業を容易化することができる。
【0038】
回転軸55は開口21A〜21Dのうち隣り合う2つの開口の間に設けられていてもよいが、本実施形態では、最も右方に位置する開口21Dの右方に配置されている。そのため、2つの開口の間に回転軸55を設けるスペースを確保する必要がなく、隣り合う2つの開口の距離を短くすることができる。よって、記録ヘッド30A〜30Dを互いに近接した位置に配置することができ、インクジェットヘッド1を小型化することができる。
【0039】
また、調整ねじ25は開口21A〜21Dのうち隣り合う2つの開口の間に設けられていてもよいが、本実施形態では、最も左方に位置する開口21Aよりも左方に配置されている。開口21A〜21Dは、主走査方向に関して、回転軸55と調整ねじ25との間に配置されている。そのため、2つの開口の間に調整ねじ25を設けるスペースを確保する必要がなく、隣り合う2つの開口の距離を短くすることができる。よって、記録ヘッド30A〜30Dを互いに近接した位置に配置することができ、インクジェットヘッド1を小型化することができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、調整ねじ25が当接部材15に常に当接するようにヘッドプレート20を付勢するばね(コイルばね19)を備えている。調整ねじ25は当接部材15に常に当接しているので、調整ねじ25を操作する際にヘッドプレート20の位置が変動してしまうことを防止することができる。よって、記録ヘッド30A〜30Dの位置の調整作業を安定して行うことができる。
【0041】
本実施形態によれば、当接部材15に備えられた第1の軸17と、ヘッドプレート20に設けられた第2の軸18とを備え、前記ばねは第1の軸17および第2の軸18に取り付けられたコイルばね19からなっている。このような構成により、コイルばね19を所定の位置に安定して配置することができる。よって、調整ねじ25を当接部材15に安定して当接させることができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、ヘッドプレート20とベースプレート14L,14Rとは、第1〜第4の孔41〜44に挿入されたビス50によって固定される。第1〜第4の孔41〜44はヘッドプレート20の四隅部に形成されている。すなわち、第1の孔41、第2の孔42、第3の孔43、第4の孔44は、それぞれ開口21A〜21Dの左斜め前方、右斜め前方、左斜め後方、右斜め後方に形成されている。これにより、ヘッドプレート20をベースプレート14L,14Rに安定して固定することができる。また、ヘッドプレート20の経年的な位置ずれをより確実に防止することができる。
【0043】
以上、本発明の実施の一形態について説明してきたが、前記実施形態は一例に過ぎず、本発明は他に種々の形態にて実施することができる。
【0044】
前記実施形態では、回転軸55、調整ねじ25は、それぞれ開口21A〜21Dの右方、左方に配置されていたが、それらは逆であってもよい。すなわち、回転軸55、調整ねじ25は、それぞれ開口21A〜21Dの左方、右方に配置されていてもよい。
【0045】
前記実施形態では、回転軸55の全部および調整ねじ25の全部が、開口21A〜21Dの前端よりも後方かつ後端よりも前方に配置されている。しかし、回転軸55の一部が開口21A〜21Dの前端よりも後方かつ後端よりも前方に配置されていてもよく、調整ねじ25の一部が開口21A〜21Dの前端よりも後方かつ後端よりも前方に配置されていてもよい。
【0046】
前記実施形態では、第1〜第4の孔41〜44にビス50が挿入され、ヘッドプレート20とベースプレート14L,14Rとはビス50によって固定されている。しかし、ヘッドプレート20とベースプレート14L,14Rとを固定する固定具はビス50に限られない。第1〜第4の孔41〜44には、ねじ、ボルト、ピン等の他の固定具が挿入され、ヘッドプレート20とベースプレート14L,14Rとは他の固定具によって固定されていてもよい。
【0047】
前記実施形態では、調整ねじ25およびねじ孔34は、調整ねじ25が進行方向(後方)に向かって時計回りに回転することにより調整ねじ25の突出量が増え、反時計回りに回転することにより調整ねじ25の突出量が減るように構成されていたが、それらは逆であってもよい。すなわち、調整ねじ25が進行方向(後方)に向かって反時計回りに回転することにより調整ねじ25の突出量が増え、時計回りに回転することにより調整ねじ25の突出量が減るように構成されていてもよい。
【0048】
前記実施形態では、調整ねじ25はヘッドプレート20に取り付けられ、当接部材15はベースプレート14Lに固定されていたが、それらは逆であってもよい。すなわち、調整ねじ25がベースプレート14Lに取り付けられ、当接部材15がヘッドプレート20に固定されていてもよい。なお、当接部材15はベースプレート14Lまたはヘッドプレート20と別体であってもよいが、一体であってもよい。
【0049】
記録ヘッド30A〜30Dは、同一の色のインクを吐出するものであってもよく、互いに異なる色のインクを吐出するものであってもよい。
【0050】
前記実施形態ではヘッドプレート20の開口の数は4つであったが、開口の数は特に限定されない。開口の数は2または3であってもよく、5以上であってもよい。また、開口の数に応じて、記録ヘッドの数を変更することができる。記録ヘッドの数は4つに限られない。
【0051】
前記実施形態および前述の他の実施形態は、適宜に組み合わせてもよい。
【解決手段】インクジェットヘッド1は、ベースプレート14Lおよび14Rを有するキャリッジ10と、ベースプレート14Lおよび14Rに支持されたヘッドプレート20と、ヘッドプレート20の開口21A〜21Dに取り付けられた記録ヘッド30A〜30Dと、ヘッドプレート20をベースプレート14Rに回転自在に支持する回転軸55と、記録ヘッド30A〜30Dのベースプレート14Rに対する位置を調整する調整ねじ25と、を備えている。回転軸55の少なくとも一部および調整ねじ25の少なくとも一部は、開口21A〜21Dの前端よりも後方かつ後端よりも前方に配置されている。