特許第5980401号(P5980401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980401
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】バケットコンベア
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/12 20060101AFI20160818BHJP
   B65G 17/30 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   B65G17/12 H
   B65G17/30 Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-200093(P2015-200093)
(22)【出願日】2015年10月8日
(62)【分割の表示】特願2014-6835(P2014-6835)の分割
【原出願日】2014年1月17日
(65)【公開番号】特開2016-663(P2016-663A)
(43)【公開日】2016年1月7日
【審査請求日】2015年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】300008793
【氏名又は名称】精研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】長山 照一
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭60−038586(JP,Y2)
【文献】 特開2004−352472(JP,A)
【文献】 実公昭51−035107(JP,Y1)
【文献】 実開平04−044212(JP,U)
【文献】 特開昭56−064910(JP,A)
【文献】 特開2002−068446(JP,A)
【文献】 実開昭61−068013(JP,U)
【文献】 実開昭57−085512(JP,U)
【文献】 実開昭60−072408(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/12
B65G 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を置いて循環移動するバケット10を複数設けたベルト11を、上下方向に長いケース1に軸支した上側プーリ5と下側プーリ6との間に掛け回し、ケース1の下方の一方側にはホッパー13の供給口14を設け、前記下側プーリ6の上方で、前記ベルト11の上昇側ベルト22と下降側ベルト23との間には、ベルト11の内面と下側プーリ6の外面との間に穀粒が挟まれて破砕されるのを防止する噛込み防止装置25の屋根板部32を設け、該屋根板部32の左右の両側方のケース1に開口部35を夫々設け、該開口部35には該開口部35を閉塞する蓋部材36を着脱自在に取付け、前記屋根板部32は左屋根板部33と右屋根板部34との左右に分割形成し、左屋根板部33と右屋根板部34は前記各蓋部材36に夫々取付け、蓋部材36をケース1の開口部35に取付けると、左屋根板部33と右屋根板部34とが左右側から合わさって山型形状となる構成としたバケットコンベア。
【請求項2】
請求項1において、前記屋根板部32の上方位置のベルト11の上昇側ベルト22の内面側には所定間隔をおいて上側前縦板部55を設け、上側前縦板部55はケース1側に固定状態に取付けたバケットコンベア。
【請求項3】
請求項2において、前記左屋根板部33と右屋根板部34の前縁に夫々固定した前取付板45を縦板部37に固定状態に取付け、前取付板45と上側前縦板部55の左右側縁は前記ベルト11の左右両縁より左右方向の外方に夫々位置する構成としたバケットコンベア。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において、前記左屋根板部33と右屋根板部34の何れか一方の上部には何れか他方の上部より上方に位置して他方の屋根板部の上縁を覆う延長部48を設けたバケットコンベア。
【請求項5】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4において、前記左屋根板部33と右屋根板部34の後縁に夫々固定した後取付板を各縦板部37に固定状態に取付け、後取付板の上縁には前側に傾斜する屈曲部47を設けたバケットコンベア。
【請求項6】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5において、前記ケース1の下部の左右の両側には下側開口部60を夫々設け、該下側開口部60は前記ケース1の底板20の両側方に開口するように夫々設け、各下側開口部60には透明部材により形成した点検窓62を有する下側蓋部材61を着脱自在に取付けたバケットコンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バケットコンベアに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バケットを複数設けたベルトを、上下方向に長いケースに軸支した上側プーリと下側プーリとの間に掛け回し、下側プーリの上方で、ベルトの上昇側ベルトと下降側ベルトとの間には、ベルトと下側プーリとの間に穀粒が挟まれて破砕されるのを防止する山形の屋根板部を有する噛込み防止装置を設けた構成は、公知である(特許文献1)。
公知の噛込み防止装置は、一体状に山型に形成した屋根板部に左右方向の逆U型の支持部材の下部を取付け、支持部材の上部に左右方向の取付軸を挿入し、取付軸の左右側をケースから突出させてステーに取付けた構成である。
また、山型状の屋根板部を縦板に取付け、この縦板をケースに着脱自在に取付けた構成は、公知である(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭60−38586号公報
【特許文献2】特開2002−68446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例のうち前者のものは、下側プーリの側方に設けた窓孔より屋根板部を挿入し、屋根板部の支持部材にケース外側から取付軸を手探りで挿入し、この取付軸の左右両端を夫々ステーによりケースに取付ける構成のため、メンテナンスするには、下側プーリおよび屋根板部を着脱する必要があり、点検等のメンテナンスが容易でないという課題がある。
また、屋根板部を着脱するには、ケース全体の分解と、下側プーリの着脱とが必要となって、非常に面倒であるという課題がある。
また、前記公知例のうち後者のものは、下側プーリーを外さずに、屋根板部の着脱は可能であるが、屋根板部を着脱するには、ケース全体を分解する必要があり、メンテナンスが容易でないという課題がある。
本願は、屋根板部の取付構成を工夫し、メンテナンスを容易にしたバケットコンベアを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、所定間隔を置いて循環移動するバケット10を複数設けたベルト11を、上下方向に長いケース1に軸支した上側プーリ5と下側プーリ6との間に掛け回し、ケース1の下方の一方側にはホッパー13の供給口14を設け、前記下側プーリ6の上方で、前記ベルト11の上昇側ベルト22と下降側ベルト23との間には、ベルト11の内面と下側プーリ6の外面との間に穀粒が挟まれて破砕されるのを防止する噛込み防止装置25の屋根板部32を設け、該屋根板部32の左右の両側方のケース1に開口部35を夫々設け、該開口部35には該開口部35を閉塞する蓋部材36を着脱自在に取付け、前記屋根板部32は左屋根板部33と右屋根板部34との左右に分割形成し、左屋根板部33と右屋根板部34は前記各蓋部材36に夫々取付け、蓋部材36をケース1の開口部35に取付けると、左屋根板部33と右屋根板部34とが左右側から合わさって山型形状となる構成としたバケットコンベアとしたものである。
請求項2の発明は、前記屋根板部32の上方位置のベルト11の上昇側ベルト22の内面側には所定間隔をおいて上側前縦板部55を設け、上側前縦板部55はケース1側に固定状態に取付けたバケットコンベアとしたものである。
請求項3の発明は、前記左屋根板部33と右屋根板部34の前縁に夫々固定した前取付板45を縦板部37に固定状態に取付け、前取付板45と上側前縦板部55の左右側縁は前記ベルト11の左右両縁より左右方向の外方に夫々位置する構成としたバケットコンベアとしたものである。
請求項4の発明は、前記左屋根板部33と右屋根板部34の何れか一方の上部には何れか他方の上部より上方に位置して他方の屋根板部の上縁を覆う延長部48を設けたバケットコンベアとしたものである。
請求項5の発明は、前記左屋根板部33と右屋根板部34の後縁に夫々固定した後取付板を各縦板部37に固定状態に取付け、後取付板の上縁には前側に傾斜する屈曲部47を設けたバケットコンベアとしたものである。
請求項6の発明は、前記ケース1の下部の左右の両側には下側開口部60を夫々設け、該下側開口部60は前記ケース1の底板20の両側方に開口するように夫々設け、各下側開口部60には透明部材により形成した点検窓62を有する下側蓋部材61を着脱自在に取付けたバケットコンベアとしたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、下側プーリ6を着脱することなく、蓋部材36を外すだけで、蓋部材36ごと噛込み防止装置25の屋根板部32を着脱でき、下側プーリ6の側部周縁を開放できてメンテナンスを容易にでき、また、屋根板部32の取付支持構造を簡素にして、屋根板部32の着脱を簡単に着脱できる。
請求項2の発明では、バケット10より穀粒が溢れる現象の発生が多いケース1の下部部分で、ベルト11の内側(裏側)に落下侵入するのを上側前縦板部55が防止でき、ベルト11と下側プーリ6との全体の穀粒噛み込み発生を抑制できる。
請求項3の発明では、屋根板部32を蓋部材36に取付ける前取付板45を、ベルト11の内側への穀粒侵入防止体として兼用構成にでき、ベルト11と下側プーリ6との全体の穀粒噛み込み発生を抑制できる。
請求項4の発明では、左右に分割した左屋根板部33と右屋根板部34の何れか一方の下面と何れか他方の頂部との合わせ目に粉塵等の滞留を抑制できる。
請求項5の発明では、ベルト11と屋根板部32との接触を防止し、ベルト11の損傷を防止して、ベルト11の耐久性の低下を抑制できる。
請求項6の発明では、底板20の側方に下側開口部60と点検窓62を設けているので、一層、メンテナンス作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】バケットコンベアの概略側面図。
図2】同正面図。
図3】噛込み防止装置付近の概略斜視図。
図4】同側面図。
図5】蓋部材と屋根板部の装着状態斜視図。
図6】噛込み防止装置付近の側面図。
図7】下側蓋部材および下側蓋部材を外したケースの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施例を図面により説明すると、1はバケットコンベアBのケースであり、前板2と後板3および左右側板4により形成し、ケース1内の上下位置には軸心が左右方向のプーリ5、6を夫々設け、プーリ5およびプーリ6にバケット10を所定間隔をおいて複数取付けた無端状のベルト11を掛け回す(図1)。
前記ケース1の上部にはモータ12を設け、モータ12により上側プーリ5と同軸に設けたプーリ(図示省略)を回転させ、ケース1の下方のホッパー13の供給口14からケース1の上部に設けた排出口15の間上下に前記バケット10を循環移動させる。
16はホッパー13の投入口、17は供給口14に向けて穀粒を案内する傾斜板である。
下側プーリ6の下方のケース1内には側面視円弧状または多角形状の底板20を設ける。
【0009】
前記下側プーリ6の上方で、前記ベルト11の上昇側ベルト22と下降側ベルト23との間には、ベルト11と下側プーリ6との間に穀粒が挟まれて破砕されるのを防止する噛込み防止装置25を設ける。噛込み防止装置25は、少なくとも、下側プーリ6の上方に下側プーリ6の取付軸26の中間部が最も高く軸方向に低くなるように傾斜するように山型に設けた屋根板部32を有して構成する(図2図3)。
屋根板部32はバケット10により掬い上げた穀粒が溢れて落下するとき、ベルト11の内側(裏側)に入ってベルト11と下側プーリ6との間に挟まって破砕されるのを防止する。屋根板部32は左屋根板部33と右屋根板部34とにより分割構成する(図5)。
図2に示したように、ベルト11と下側プーリ6の左右幅は同一に形成し、ベルト11と下側プーリ6の左右側縁よりも屋根板部32の下端となる左右側縁を、左右方向の外方に夫々位置させ、ベルト11および下側プーリ6の左右外側に穀粒が落下するように誘導し、ベルト11と下側プーリ6との間に穀粒が挟まれるのを防止する(図2)。
【0010】
噛込み防止装置25は、屋根板部32の左右の側方のケース1には開口部35を夫々設け、該開口部35を閉塞する蓋部材36をケース1に着脱自在に取付ける。
そのため、蓋部材36を外して開口部35を開口させることにより、下側プーリ6周辺の掃除等のメンテナンスを容易にする。
蓋部材36は、開口部35より大きい面積の縦板部37にハンドル38を設けて構成し、ボルト等の止着部材39によりケース1に取付ける。
蓋部材36の縦板部37の内面には、前記噛込み防止装置25の屋根板部32を取付け、蓋部材36を外すと、ケース1側より屋根板部32を外せるように構成する。
屋根板部32は、左屋根板部33と右屋根板部34とに左右に分割形成し、分割した左屋根板部33と右屋根板部34とを、左右夫々の蓋部材36の縦板部37の内面側に取付け、左右の蓋部材36を外すと、左屋根板部33と右屋根板部34とに分割された状態で屋根板部32をケース1から取り出すことができ、下側プーリ6の上方付近を含めた空間を開放する。
【0011】
噛込み防止装置25は、屋根板部32の左屋根板部33と右屋根板部34とを左右の蓋部材36に夫々に取付けて着脱するようにすればよく、その取付構成は任意であるが、一例を示すと、少なくとも、左屋根板部33と右屋根板部34の前縁に前取付板45を夫々取付け、前取付板45の外側縁を縦板部37の内面に夫々固定する。
前取付板45は左右の蓋部材36に夫々設け、蓋部材36をケース1に取付けると、左屋根板部33と右屋根板部34とは左右側から合わさって、山型状となって、屋根板部32となる。
したがって、蓋部材36は開口部35の閉塞部材と屋根板部32の取付支持部材とを兼用する。
また、蓋部材36をケース1に取付けると、左右の前取付板45は合わさって、一枚板状となって、ベルト11の内側(裏側)に穀粒が侵入するのを防止する作用も期待する。
【0012】
46は左屋根板部33と右屋根板部34の後縁に固定した後取付板であり、後取付板46の側縁を縦板部37の内面に固定する。後取付板46は左屋根板部33と右屋根板部34の取付強度を向上させる。
また、左右の前取付板45および後取付板46は蓋部材36をケース1に取付けると、一部が重なって重なり部49となる。
また、蓋部材36および屋根板部32と、開口部35との関係は、図4のように、左屋根板部33および右屋根板部34と前取付板45および後取付板46とは、側面視において、開口部35と重なるように配置し、左右の蓋部材36を側方に引き抜くだけで、着脱可能に構成している。
また、左屋根板部33および右屋根板部34と前取付板45および後取付板46の下端部は、下側プーリ6の上面よりも所定間隔Tを置いた上方に位置させ、蓋部材36の着脱の際の下側プーリ6との干渉を防止している。
後取付板46の上縁には前側に傾斜する屈曲部47を設け、屈曲部47は下降するベルト11との接触を抑制する。
【0013】
そのため、前記蓋部材36は、左右において開口部35の開口面積や形状を相違させる等の手段により、反対側の開口部35に装着できないようにしている。
左屋根板部33と右屋根板部34の何れか一方の上部は、何れか他方の上部より上方にまで位置するように延長させて延長部48を形成し、延長部48は他方の屋根板部の上縁を覆う位置まで延長させ、他方の屋根板部の上縁に粉塵が滞留するのを防止する。
左屋根板部33と右屋根板部34の夫々の下端と蓋部材36の縦板部37の内面との間には隙間50を設け、左屋根板部33と右屋根板部34上に落下した穀粒が隙間50から下方に落下する構成とする。
また、蓋部材36の縦板部37の内面側には、開口部35に嵌合する膨出部51を設け、膨出部51を開口部35に嵌合させることにより、ケース1の側板4の内面を平坦にしている。
また、前取付板45および後取付板46と、上昇側ベルト22および下降側ベルト23との間には、隙間52を設け、前取付板45および後取付板46と、上昇側ベルト22および下降側ベルト23との接触を防止している。
【0014】
屋根板部32のベルト11の上昇側ベルト22の上方位置には噛込み防止装置25の一部を構成する上側前縦板部55を設ける。上側前縦板部55は、左右方向の一枚の平板形状に形成し、上側前縦板部55の側縁をケース1の側板4に固定状態に取付ける。
したがって、上側前縦板部55の左右側縁は前記ベルト11の左右両縁より左右方向の外方に夫々位置し、バケット10から零れた穀粒がベルト11の内側(裏側)に侵入するのを防止する作用を期待する。
噛込み防止装置25は、ベルト11の内側に侵入した穀粒を、屋根板部32の左屋根板部33と右屋根板部34により下側プーリ6の左右側に振り分け案内して、下側プーリ6の外周面とベルト11との間に挟まれるのを抑制しているが、屋根板部32の他に上側前縦板部55を屋根板部32の上方に設けることにより、バケット10から零れた穀粒がベルト11の内側(裏側)に侵入することを抑制・防止する。
また、噛込み防止装置25は、屋根板部32と上側前縦板部55とを有して構成するが、縦板状の上側前縦板部55をケース1に固定し、屋根板部32を蓋部材36に取付けて着脱自在とすることにより、噛込み防止効果とメンテナンスの容易化を両立させている。
【0015】
ケース1は、組立およびメンテナンスの容易化を考慮して、上下方向に複数のケース部56に分割形成しており、複数のケース部56のうちの最下部の下部ケース部56の側板側板4に上側前縦板部55を固定状態に取付ける。上側前縦板部55の上端は下部ケース部56の上端と略同じか低く設定し、上側前縦板部55の下端は開口部35の上縁と略同じか上方に位置させ、蓋部材36および屋根板部32の着脱の際の干渉を防止している。
前記バケット10は、穀粒損傷防止の観点から底板20に対して所定間隔の隙間Sをおいた上方を通過するように構成し、底板20の上面上方位置のケース1の側板4には下側開口部60を設け、下側開口部60には下側蓋部材61を着脱自在に取付ける。
そのため、下側蓋部材61を外して下側開口部60を開口させることにより、下側プーリ6および底板20周辺の掃除等のメンテナンスを容易にする。
また、下側開口部60の側方に位置する部分の下側蓋部材61には透明部材を取付けてケース1内を視認する点検窓62を設ける。
【0016】
そのため、点検窓62により、下側蓋部材61を外すことなく下側プーリ6および底板20周辺の点検することができ、メンテナンス作業を簡易化して、メンテナンス作業全体の容易化を図っている。
【0017】
(実施形態の作用)
次に作用を述べる。
供給口14から穀粒を張り込むと、穀粒は回転移動するバケット10により掬われて上昇し、上部で放擲されて排出口より排出される。
下側プーリ6の上方で、ベルト11の上昇側ベルト22と下降側ベルト23との間には、噛込み防止装置25の屋根板部32を設け、屋根板部32は下側プーリ6の取付軸26の中間部が最も高く軸方向(左右方向)に低く傾斜するように山型に形成しているので、ベルト11と下側プーリ6との間に穀粒が挟まれて破砕されるのを防止する。
即ち、バケット10により掬い上げた穀粒のうち一部が、上昇側ベルト22と下降側ベルト23との間の内側(裏側)に入ることがあるが、ベルト11の内側に入った穀粒は山型の屋根板部32により左右に振り分けられ、下側プーリ6の左右側を落下し、ベルト11の内面と下側プーリ6の外面との間に挟まって破砕されるのを防止する。
【0018】
ベルト11と下側プーリ6の左右幅は夫々略同一に形成し、ベルト11と下側プーリ6の左右側縁よりも屋根板部32の下端となる左右側縁を、左右方向の外方に夫々位置させているので、ベルト11の内側に入った穀粒は、ベルト11および下側プーリ6の左右外側に落下するように屋根板部32により左右に振り分けられて、下側プーリ6の左右側を落下する。
噛込み防止装置25の屋根板部32の左右の側方のケース1には、開口部35を夫々設け、該開口部35を閉塞する蓋部材36をケース1に着脱自在に取付けているので、蓋部材36を外して開口部35を開口させることにより、ベルト11やバケット10の取付部の損傷度合い、粉塵等の溜まり具合の確認、虫発生の確認、および、下側プーリ6周辺の掃除等のメンテナンスを容易にする。
蓋部材36は、開口部35より大きい面積の縦板部37にハンドル38を設けて構成し、蓋部材36の縦板部37の内面には、前記噛込み防止装置25の屋根板部32を取付けているので、蓋部材36を外すと、ケース1側から屋根板部32を外せる。
【0019】
そのため、屋根板部32の掃除のメンテナンスを容易にすると共に、ケース1内の屋根板部32を外せるので、屋根板部32のあった部分の空間を大きく開放することができ、ケース1内のメンテナンスも容易にする。
屋根板部32は、左屋根板部33と右屋根板部34とに左右に分割形成し、分割した左屋根板部33と右屋根板部34とを、左右夫々の蓋部材36の縦板部37の内面側に取付けているので、左右の蓋部材36を外すと、左屋根板部33と右屋根板部34とに分割された状態で屋根板部32をケース1から取り出すことができ、下側プーリ6の上方付近を含めた空間を開放する。
そのため、左右の蓋部材36は開口部35の閉塞部材として作用すると共に、屋根板部32の支持部材としても兼用するので、屋根板部32の着脱構成を簡素に実現する。
また、屋根板部32は、左屋根板部33と右屋根板部34とに分割された状態で屋根板部32をケース1から取り出せるので、ケース1を分解することなく、屋根板部32の着脱を可能にでき、メンテナンスを容易にする。
【0020】
蓋部材36は、開口部35より大きい面積の縦板部37にハンドル38を設けて構成し、ボルト等の止着部材39によりケース1に取付けているので、止着部材39を外すと、屋根板部32の左屋根板部33と右屋根板部34とを開口部35から引き抜くように蓋部材36を外すと、蓋部材36と屋根板部32の取り外しが完了する。
少なくとも、屋根板部32の左屋根板部33と右屋根板部34の前縁に前取付板45を夫々取付け、前取付板45の外側縁を縦板部37の内面に夫々固定しているので、左屋根板部33および右屋根板部34と前取付板45とを開口部35から引き抜くようにして外す。
反対に、蓋部材36をケース1に取付けると、左屋根板部33と右屋根板部34とは左右側から合わさって、山型状となって、屋根板部32となる。
また、蓋部材36をケース1に取付けると、左右の前取付板45は合わさって、一枚板状となる構成としているので、左屋根板部33および右屋根板部34と前取付板45とを開口部35からケース1内に挿入すると、左右の前取付板45は合わさって、ベルト11の内側(裏側)に穀粒が落下するのを防止する作用も期待できる。
【0021】
左屋根板部33と右屋根板部34の後縁には後取付板46の前面を固定し、後取付板46の側縁を縦板部37の内面に夫々固定しているので、左屋根板部33と右屋根板部34は、前取付板45と後取付板46とにより蓋部材36の縦板部37にボックス状に取付けられ、支持強度を向上させられる。
また、蓋部材36および屋根板部32と、開口部35との関係は、図4のように、左屋根板部33および右屋根板部34と前取付板45および後取付板46とは、側面視において、開口部35と重なるように配置しているので、左右の蓋部材36を側方に引き抜くだけで、左屋根板部33および右屋根板部34と前取付板45および後取付板46とを着脱できる。
また、左屋根板部33および右屋根板部34と前取付板45および後取付板46の下端部は、下側プーリ6の上面よりも所定間隔を置いた上方に位置させているので、蓋部材36および屋根板部32の着脱の際の下側プーリ6との干渉を防止する。
後取付板46の上縁には前側に傾斜する屈曲部47を設けているので、屈曲部47は下降する下降側ベルト23との接触を抑制する。
【0022】
左屋根板部33と右屋根板部34の何れか一方の上部は、何れか他方の上部より上方にまで位置するように延長させて延長部48を形成し、延長部48は他方の屋根板部の上縁を覆う位置まで延長させているので、他方の屋根板部の上縁に粉塵が滞留するのを防止する。
左屋根板部33と右屋根板部34の夫々の下端と蓋部材36の縦板部37の内面との間には隙間50を設けているので、左屋根板部33と右屋根板部34上に落下した穀粒は隙間50から下方に落下する。
また、蓋部材36の縦板部37の内面側には、開口部35に嵌合する膨出部51を設けているので、蓋部材36をケース1に装着すると、膨出部51が開口部35に嵌合してケース1の側板側板4の内面を平坦にする。
また、左右の前取付板45および後取付板46は蓋部材36をケース1に取付けると、一部が重なって重なり部49となるので、重なり部49が製作誤差を吸収し、取付を容易にする。
【0023】
屋根板部32のベルト11の上昇側ベルト22の上方位置には噛込み防止装置25の一部を構成する上側前縦板部55を設け、上側前縦板部55は、左右方向の一枚の平板形状に形成し、上側前縦板部55の側縁をケース1の側板4に固定状態に取付けているので、上側前縦板部55の左右側縁は前記ベルト11の左右両縁より左右方向の外方に夫々位置し、バケット10から零れた穀粒がベルト11の内側(裏側)に侵入するのを防止する。
噛込み防止装置25は、ベルト11の内側に侵入した穀粒を、屋根板部32の左屋根板部33と右屋根板部34により下側プーリ6の左右側に振り分け案内して、下側プーリ6の外周面とベルト11との間に挟まれるのを抑制しているが、屋根板部32の他に上側前縦板部55を屋根板部32の上方に設けているので、バケット10から零れた穀粒がベルト11の内側(裏側)に侵入することを抑制・防止する。
即ち、下降側ベルト23のバケット10は既に穀粒を放擲して空状態で下降するので、下降側ベルト23の側からの穀粒の侵入はないが、バケット10が底板20上面で掬った穀粒が上昇中の振動によりバケット10から溢れてベルト11の内側(裏側)に侵入するので、蓋部材36の前取付板45と上側前縦板部55とによりベルト11の内側(裏側)への穀粒の侵入を防止して、効率よく、噛み込みを防止できる。
【0024】
また、噛込み防止装置25は、屋根板部32と上側前縦板部55とを有して構成するが、縦板状の上側前縦板部55をケース1に固定し、屋根板部32を蓋部材36に取付けて着脱自在としているので、噛込み防止効果とメンテナンスの容易化を両立させる。
ケース1は、組立およびメンテナンスの容易化を考慮して、上下方向に複数のケース部56に分割形成しており、複数のケース部56のうちの最下部の下部ケース部56の側板4に上側前縦板部55を固定状態に取付け、上側前縦板部55の上端は下部ケース部56の上端と略同じか低く設定し、上側前縦板部55の下端は開口部35の上縁と略同じか上方に位置させているので、蓋部材36および屋根板部32の着脱の際の干渉を防止する。
バケット10は、穀粒損傷防止の観点から底板20に対して所定間隔の隙間Sをおいた上方を通過するように構成し、底板20の上面上方位置のケース1の側板4には下側開口部60を設け、下側開口部60には下側蓋部材61を着脱自在に取付けているので、下側蓋部材61を外すと、ケース1の下側開口部60を開口させ、下側プーリ6および底板20周辺の掃除等のメンテナンスを容易にする。
【0025】
また、下側開口部60の側方に位置する部分の下側蓋部材61には透明部材の点検窓62を設けているので、点検窓62によりケース1内を視認でき、下側蓋部材61を外すことなく下側プーリ6および底板20周辺の点検することができ、メンテナンス作業を簡易化して、メンテナンス作業全体の容易化を図っている。
【符号の説明】
【0026】
1…ケース、2…前板、3…後板、4…側板、5,6…プーリ、10…バケット、11…ベルト、12…モータ、13…ホッパー、14…供給口、15…排出口、16…投入口、17…傾斜板、20…底板、22…上昇側ベルト、23…下降側ベルト、25…噛込み防止装置、26…取付軸、32…屋根板部、33…左屋根板部、34…右屋根板部、36…蓋部材、37…縦板部、38……ハンドル、39…止着部材、45…前取付板、46…後取付板、47…屈曲部、48…延長部、49…重なり部、50…隙間、51…膨出部、52…隙間、55…上側前縦板部、56…ケース部、60…下側開口部、61…下側蓋部材、62…点検窓。
図1
図2
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図5
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図7