(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持部空間には、前記カセットボンベの下方に、前記カセットボンベに空気を送る第2ファンが配置されている、請求項1から3の何れか一つに記載のバーベキューグリル。
前記吹き付ける工程は、前記カセットボンベの上方に配置された第1ファンおよび前記カセットボンベの下方に配置された第2ファンによって実行される、請求項8から10の何れか一つに記載の調理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1のバーベキューコンロ1000も、特許文献2のバーベキューグリル2000もそれぞれ工夫がなされている。しかしながら、本願発明者の検討によれば、それらの工夫は、バーベキュー調理装置(バーベキューグリル)の性能を実は落としているものであり、そして、それらの工夫が施されたバーベキュー調理装置によってバーベキューが爆発的に普及するものではないと判断した。
【0012】
まず、特許文献1のバーベキューコンロ1000においては、フード1200中の高温雰囲気(加熱空気)をホース1300で吸い取ってしまうために、肉類を良好な状態で加熱調理できないという問題がある。バーベキュー調理装置による焼成ポイントは、実は、フード1200による密閉加熱であり、このフード1200で密閉した高温加熱で肉が美味しく焼けるのである。実際問題として、炭火かガス火かの違いよりも、フード1200による密閉加熱の有無の方が肉の味に影響するくらいである。そして、特許文献1のバーベキューコンロ1000は、煙を排除するために、フード1200中の高温雰囲気をホース1300で吸い取ってしまうので、美味しい肉を焼くことが困難になってしまう。
【0013】
次に、特許文献2のバーベキューグリル2000場合、肉の焦げ付きを防止するために、焼き網2300を冷却する機能を設けているが、これも、焼き網2300の周囲の温度を低下させてしまうので、肉を美味しく焼くことを困難にする可能性が高くなる。
【0014】
本願発明者が検討した結果、バーベキューの普及の障害は、煙の発生予防でもなく、また、肉が焼き網にくっついたりすることではなく、移動式のバーベキュー調理装置(バーベキューグリル)に使用するプロパンボンベであることに気付いた。バーベキューは、野外で行うために、バーベキュー調理装置はどうしても移動式のものになり、それには、燃料としてプロパンボンベ(1500)が必要になる。
【0015】
バーベキューの本場の北米(カナダ、アメリカ)であれば、ホームパーティーを開催したり、野外のキャンプ・ピクニックをするために、持ち運び用のプロパンボンベ1500が家庭に置いてあり、そして、プロパンボンベ1500の扱いにも慣れている。一方、日本では、自宅でも野外でもバーベキューを行うのは、日常ではなく、非日常のイベントであり、そこで、プロパンボンベ1500を持ち出して、移動式のバーベキュー調理装置につなぐことに抵抗感があり、その抵抗感があるゆえに、炭火でのバーベキューが開催され、炭火の難しさゆえにバーベキューの開催が遠のくという悪循環になる。
【0016】
また、プロパンボンベの場合、バーベキューの途中でプロパンガスがなくなってしまうといけないので、バーベキューのたびに、毎回、プロパンガス会社にプロパンガスの充填(補充)をしてもらう必要がある。コンビニやスーパーやホームセンターの店舗数と比較すると、プロパンガス会社は数が少なく、プロパンガス補充のために遠くまででかけていかないといけないことが多い。加えて、プロパンガスの値段は比較的高く(都市ガスなどと比較して)、かつ、プロパンガスの補充は、たとえ前回のプロパンガスの残量があったとしても、プロパンボンベの容量に応じて請求されるので、割高になる。
【0017】
本願発明者は、プロパンボンベ(1500)でなく、日本で普及しているカセットボンベ(カセットコンロに使用するガス容器)で、バーベキュー調理装置(バーベキューグリル)を動作させたら、バーベキューの普及が爆発的に広まると考えた。本願発明者がその検討を続けていくと、プロパンボンベ(1500)と比較して、カセットボンベには決定的な問題があり、それが障害となったが、本願発明者の継続的な改良および実験によって、その障害を取り除くことに成功し、カセットボンベを使用しながら、安定に動作させることができるバーベキュー調理装置(バーベキューグリル)の開発に成功した。
【0018】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、低温でも安定して動作させることができるバーベキューグリルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係るバーベキューグリルは、食材を焼成するバーベキューグリルであり、ノルマルブタンを主成分とする液化ブタンが充填されたカセットボンベに接続されるガスホースと、前記ガスホースから供給されるガスによって燃焼するガスバーナーを収納するバーナー部と、前記バーナー部の下方に位置し、前記バーナー部を支持する支持部と、前記バーナー部の上方に配置され、前記バーナー部を覆う窯部とを備えている。前記支持部には、前記バーナー部を固定する支持部材と、前記支持部材に囲まれた支持部空間とが設けられており、前記支持部空間には、前記カセットボンベが収納され、そして、前記支持部空間のうちの前記バーナー部側の箇所には、前記カセットボンベに空気を送るファンが配置されている。
【0020】
ある好適な実施形態において、前記ファンは、電池駆動式の送風機であり、前記支持部空間は、前記支持部材によって囲まれた閉塞空間である。
【0021】
ある好適な実施形態において、前記カセットボンベは、複数のカセットボンベを収納するカセットボンベユニットにセットされており、前記ガスホースは、前記カセットボンベユニットに接続されており、前記カセットボンベユニットの上方に、前記ファンが配置されている。
【0022】
ある好適な実施形態において、前記支持部空間には、前記カセットボンベの下方に、前記カセットボンベに空気を送る第2ファンが配置されている。
【0023】
ある好適な実施形態において、前記支持部空間には、前記ファンの送風によって前記第2ファンの方へと空気を送る導風部材が設けられている。
【0024】
ある好適な実施形態において、前記支持部空間を囲む前記支持部材は、金属製の板部材と、ドア部とから構成されている。
【0025】
ある好適な実施形態において、前記支持部材は、車輪が付いた土台部に接続されており、前記土台部には、プロパンボンベをセットするプロパンボンベ収納部が設けられており、前記バーナー部には、前記ガスバーナーが複数収納されており、前記ガスバーナーの上方には、前記食材が配置される網部が設けられており、前記網部は、前記窯部で覆われることよって密閉状態になり、前記窯部には、前記窯部の内部温度を示す温度計が配置されており、前記網部を含む前記バーナー部には、サイドテーブルが接続されており、前記ファンおよび前記カセットボンベは、前記支持部空間内に設けられたラックの上に配置されている。
【0026】
本発明に係る調理方法は、バーベキューグリルを用いた調理方法であり、前記バーベキューグリルは、液化ブタンが充填されたカセットボンベのガスを燃焼する焼成装置であり、前記バーベキューグリルにおいてガスを燃焼する工程と、前記燃焼によって食材を加熱する工程と、前記燃焼によって加熱された空気を、気化熱によって冷却した前記カセットボンベに吹き付ける工程とを含む。
【0027】
ある好適な実施形態において、前記バーベキューグリルは、前記ガスを燃焼するガスバーナーを含むバーナー部を備えており、前記吹き付ける工程において、前記燃焼によって加熱された空気は、前記バーナー部の下方に位置する空気であり、前記加熱された空気は、前記ファンによって前記カセットボンベに当てられる。
【0028】
ある好適な実施形態において、前記バーナー部の下方には、支持部材で囲まれた閉塞空間があり、前記カセットボンベは、前記閉塞空間内に配置されており、前記加熱された空気は、前記閉塞空間内を移動して前記カセットボンベに接触する。
【0029】
ある好適な実施形態において、前記吹き付ける工程は、前記カセットボンベの上方に配置された第1ファンおよび前記カセットボンベの下方に配置された第2ファンによって実行される。
【0030】
ある好適な実施形態において、前記カセットボンベには、ノルマルブタンを主成分とする液化ブタンが充填されており、前記カセットボンベは、複数のカセットボンベを収納するカセットボンベユニットにセットされており、前記バーベキューグリルのガスを燃焼する工程において、前記カセットボンベユニットからガスホースを介して、前記バーベキューグリルにガスが供給される。
【0031】
本発明に係る加熱調理装置は、食材を焼成する加熱調理装置であり、液化ブタンが充填されたカセットボンベを収納するカセットボンベユニットと、前記カセットボンベユニットの上方に位置し、前記液化ブタンから気化したガスを燃焼するバーナー部と、前記バーナー部の下方に位置し、前記バーナー部を支持する支持部とを備え、前記バーナー部と前記カセットボンベユニットとの間には、ファンが配置されている。
【0032】
ある好適な実施形態において、前記支持部には、風よけ部材が設けられており、前記カセットボンベユニットおよび前記ファンは、前記風よけ部材で囲まれている。
【0033】
ある好適な実施形態において、前記カセットボンベユニットの下方には、第2ファンが配置されている。
【0034】
ある好適な実施形態において、前記ファンは、周囲の空気を吸引する吸引ファンであり、前記ファンには、前記吸引した前記吸気を前記第2ファンへと送り出すダクトが設けられている。
【0035】
ある好適な実施形態において、前記ファンは、前記カセットボンベユニットに空気を吹き付けるとともに、前記第2ファンの方に空気を送り出す送風機である。
【0036】
本発明に係るカセットボンベボックスは、カセットボンベを含むカセットボンベボックスであり、液化ブタンが充填されたカセットボンベを収納するカセットボンベユニットと、前記カセットボンベユニットの上方に位置するファンと、前記カセットボンベユニットを収納する筐体とを備え、前記筐体の上面に、前記ファンが配置されている。
【0037】
ある好適な実施形態において、前記カセットボンベユニットには、前記カセットボンベから出されるガスを通すガスホースが接続されており、前記筐体は、前記カセットボンベユニットを閉塞する構造を有しており、前記ファンは、前記筐体の上方に位置する空気を前記カセットボンベユニットに吹き付ける送風機であり、前記ガスホースは、前記筐体の外部へと延びている。
【0038】
本発明に係る焼成品の製造方法は、ガスの燃焼によって焼成品を製造する方法であり、液化ブタンが充填されたカセットボンベから供給されるガスによってガスバーナーを燃焼させる工程と、前記ガスバーナーの燃焼によって被加熱物を加熱する工程と、前記燃焼によって加熱された空気を、気化熱によって冷却した前記カセットボンベに吹き付ける工程とを含む。
【0039】
ある好適な実施形態では、前記吹き付ける工程において、前記燃焼によって加熱された空気は、前記ガスバーナーの下方に位置する空気であり、前記加熱された空気は、ファンによって前記カセットボンベに当てられ、前記カセットボンベの周囲には、風よけ部材が配置されている。
【発明の効果】
【0040】
本発明のバーベキューグリルでは、ガスバーナーを収納するバーナー部を支持する支持部における支持部空間にカセットボンベが収納され、そして、支持部空間のうちのバーナー部側の箇所にファンが配置されている。したがって、ガスバーナーで加熱された空気をファンによってカセットボンベに当てることができるので、ブタンガスの放出によって気化熱で冷却したカセットボンベの温度を上昇させることができる。その結果、温度の低い環境(例えば、冬場や夜でのバーベキューの場所)でも、液化ブタンのカセットボンベを使用したバーベキューグリルを安定して動作させることができる。
【0041】
さらに説明すると、プロパンガスボンベに充填されているプロパンの沸点は−42℃であり蒸気圧も高いので、寒冷地でも良好にガスを出すが、液化ブタンのカセットボンベの場合、ノルマルブタンの沸点が−0.5℃であり蒸気圧も低いので、冬場や夜とかの寒冷地では、ガスが出る力が落ちてくる。−0.5℃以下の温度では、ノルマルブタンのカセットボンベが使えないのは当然であるが、それ以上の温度でも、ガスの気化熱によってカセットボンベは冷却されるので、ガスが出なくなるか、仮に出たとしてもガスが出る量は大幅に低下してしまい、バーベキューの調理・燃焼には使えないことになる。本発明のバーベキューグリルでは、気化熱で冷却したカセットボンベに対して、ガスバーナーで加熱された空気を吹き付けるので、ガスボンベの温度を適温にすることができ、それゆえに、ガスの出る量を良好にすることができ、温度が低い場所でも、バーベキューの調理・燃焼を良好に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の実施形態を説明する前に、まず、本願発明者が検討した内容について説明し、その後に実施形態について説明する。
【0044】
図5および
図6は、本願発明者が検討したバーベキューグリル3000である。バーベキューグリル3000は、ガスバーナー(不図示)が収納されたバーナー部10と、バーナー部10を支持する支持部30と、バーナー部10を覆う窯部60とから構成されている。バーナー部10には、ガスの量を調整する火力ダイヤル15が取り付けられている。また、バーナー部10の上面には、食材(肉など)を配置して焼くための焼き網(不図示)が配置されている。焼き網のサイド(両サイド)には、サイドテーブル62が取り付けられている。窯部60には、釜内部温度を示す温度計65が取り付けられている。ガスバーナーを燃焼させながら窯部60でバーナー部10(焼き網)を覆うと、窯内を高温で蒸し焼きにすることができ、温度を200℃以上にすることができる。この高温の蒸し焼きがバーベキューの美味しさの秘訣である。
【0045】
支持部30は、支持部材(30a、30b、30c)で構成されており、その支持部材は、側面部(側面板)30
a、背面部(背面板)30b、正面ドア部(ドア板)30
c)を含んでいる。当該支持部材で囲まれた支持部空間20には、
図6に示すように、プロパンボンベ
59をセットすることができる。プロパンボンベ
59にガスホース40を接続し、そのガスホース40をバーナー部10に接続すれば、プロパンボンベ
59のプロパンガスをガスバーナーへ供給することができ、そして、火力ダイヤル15の動作によってガス燃焼を調整することができる。
【0046】
支持部30(支持部材31)は、土台部70の上にセットされている。土台部70にはプロパンボンベ収納部75が設けられており、プロパンボンベ収納部75にプロバンボンベ59をセットすることができる。また、土台部70には、移動用車輪71および固定用車輪72が取り付けられている。この土台部70の車輪71、72によって、バーベキューグリル3000は地面の上に配置され、地面の上を移動させることができる。また、固定用車輪72のスイッチのオン・オフによって、バーベキューグリル3000を移動可能な状態にしたり、バーベキューグリル3000が移動できないように固定状態にすることができる。
【0047】
バーベキューグリル3000を動作させた状態(加熱状態、調理状態)を
図7に示す。バーナー部10におけるガスバーナー12を燃焼させると、ガスバーナー12の上方に位置する焼き網(食材配置部)61の方にガス火が立ち上がる。焼き網61の上には、食材(肉など)90がセットされ、ガス火によって加熱調理(焼成)することができる。また、窯部60の内部にも、第2焼き網(食材配置部)63が設けられており、この第2焼き網63に、焼き上がった食材を置いたり、焼きすぎたくない食材をセットしたり、または、窯部60内での蒸し焼き用食材を配置したりすることができる。
【0048】
サイドテーブル62には、皿やグラスなどのキッチン物品(バーベキュー用備品)95を配置することができる。したがって、このバーベキューグリル3000自体を、ガスバーナー機能だけでなく、食事を提供できるキッチンとして使用することができる。また、サイドテーブル62にガスコンロ67を搭載すれば、そこに鍋ややかんを置いて、焼き料理以外の調理を行うこともできる。このガスコンロ67も、支持部30内に収納されたプロパンボンベ59のガスで燃焼させている。
【0049】
バーベキューの本場の北米(アメリカ、カナダ)では、ガス式のバーベキューグリルが70〜80%を占めており、炭火式のバーベキューグリルはマイナーである。そして、ガス式のバーベキューグリルが普及していることから、バーベキューを行う各家庭に普通にプロパンボンベ59があり、プロパンボンベ59の扱いに慣れており、また、扱いになれているので、ガスホース40のセットやガス栓の開閉などのプロパンボンベ59の取り扱いも上手である。
【0050】
また、北米(アメリカ、カナダ)は寒冷地が多いことから、液化プロパンが充填されたプロパンボンベが便利である。さらに説明すると、プロパン(C3H8)の沸点は−42.09℃で、蒸気圧は8513(hPa、20℃)である(燃料エネルギー44.0kg/g))。したがって、プロパンの沸点が低いので、かりに氷点下であっても、プロパンボンベでバーベキューグリル3000を良好に動作させることができる。
【0051】
一方、日本は、北米の寒冷地と比較すると、温暖なところが多く、また、屋外でなく部屋でガス火を使うことが多いことから、プロパンボンベよりも、カセットボンベが普及している。カセットボンベは、コンビニ、スーパー、ホームセンターなどの至る所ですぐに購入できる点も便利である。カセットボンベに充填されるのは、液化ブタン(ノルマルブタン、n−ブタン)である。ノルマルブタン(C4H10)の沸点は−0.5℃で、蒸気圧は2213(hPa、20℃)である(燃料エネルギー42.8kg/g))。
【0052】
つまり、プロパンと比較するとノルマルブタンは沸点が高く、−0.5℃以下のところでは液化ブタンが気化しないので、原理的に使用することができない。さらに、液化ブタンが気化する際に気化熱が奪われるので、カセットボンベ
を冷却し、摂氏が約10度(10℃程度)以下のところでは、カセットボンベからのガス供給量が減ってしまい、バーベキューグリルに使用することが難しくなる。
【0053】
また、寒冷地仕様のカセットボンベとして、ノルマルブタンでなくイソブタンを使用したカセットボンベ(ハイパワー(寒冷地)ガスボンベ)が販売されている。イソブタン(C4H10)の沸点は−11.7℃で、蒸気圧は3113(hPa、20℃)である(燃料エネルギー42.8kg/g))。イソブタンの沸点は−11.7℃であるので、氷点周辺の温度であっても、バーベキューグリル3000を動作させることができる。
【0054】
しかしながら、イソブタンのカセットボンベであっても、プロパンの沸点−42℃と比較すれば、イソブタンの沸点は高いので、寒冷地ではプロパンの方が燃焼性が良い。また、イソブタンの蒸気圧は、ノルマルブタンの蒸気圧よりも大きいので、同じ容量であれば、ノルマルブタンのカセットボンベよりも、イソブタンのカセットボンベの方が早く消費されてしまう。さらに、イソブタンのカセットボンベ(ハイパワー)は、ノルマルブタンのカセットボンベ(通常版)よりも値段が高いので、消費量増大の点も踏まえて両方の観点から経済的ではない。
【0055】
したがって、バーベキューグリル3000の燃焼用ガスには、プロパンボンベ59のプロパンガスを使用するのが一番であるのだが、プロパンボンベ59には次のような問題がある。日本において、プロパンボンベは普及していないので、プロパンボンベの取り扱いがわからず、プロパンボンベを購入・使用したくないという気分
になることが多い。そして、屋台やレストランのような専門店のスタッフであれば、プロパンボンベの取り扱いに慣れているので何ら問題ないが、一般人・家庭人にとって、慣れないガスを取り扱うものであるので、作業量の不慣れもあるが、不安感が大きい。また、カセットボンベは普段から取り扱いにもなれているし安全性・危険性も把握しているので、それと比べてしまうと、さらにプロパンボンベを取り扱いたくないという気持ちに拍車がかかる。
【0056】
加えて、カセットボンベに比べて、プロパンボンベが経済的に安いというわけでもない。ガス本体の単価はそれほどかわらないとしても、プロパンボンベの補充は、専門店(プロパンガス会社)に行く必要があるとともに、そこでは充填料がかかる。また、プロパンガス会社はどこにでもあるわけではないので、ガス充填のためだけの移動コスト・時間コストもかかる。一方で、カセットボンベは使い捨てなので、充填料はかからず、また、カセットボンベはどこでも売っているし、複数個準備しておけば、ガス切れの問題もない。すると、カセットボンベならば使いたいというモチベーションは発生しても、プロパンボンベを用いたバーベキューグリルを積極的に使いたいというモチベーションは発生しにくい状態にある。本願発明者は、この悪循環をとめないかぎり、日本においてバーベキューグリルの勢いある普及は達成できないと考えた。
【0057】
そのような検討の中で、本願発明者は、
図8に示したバーベキューグリル3500にカセットボンベユニット50を接続して、ノルマルブタンのカセットボンベを用いたバーベキュー調理を行った。バーベキューグリル3500のバーナー部10は、支持棒35によって支えられている。また、カセットボンベユニット50は、
図9に示すような構造を有している。
【0058】
カセットボンベユニット50は、カセットボンベ52を収納する筐体部51を備えている。
図9に示したカセットボンベユニット50では、複数本(ここでは、3本)のカセットボンベ52を筐体部51にセットすることができる。カセットボンベ52をセットしたら、カセットボンベ52はカバー部53で筐体部51に固定され、そして、ガス出口部54によってガスが放出される。ガス出口部54には、ガスホース40が接続されることになる。筐体部51には、ガス量調整用のダイヤル55が設けられており、ダイヤル55をゼロにしたら、カセットボンベ52を筐体部51にセットした状態でもガスの放出をゼロにすることができるので安全である。
【0059】
カセットボンベ52は、
図10に示すような構造を有している。カセットボンベ52では、液化ガス(n−ブタン(直鎖ブタン)、または、場合によってiso−ブタン(2−メチルプロパン))が管本体部52a内に封入されている。管本体部52aに取り付けられた先端部52bには、ガス噴出口(ノズル)が設けられており、使用しない時はそこにはキャップ52cがはめられている。また、先端部52bは、カセットコンロにセットしやすいように、カセットコンロのセット部に対応した構造(切り欠き部を含む特定の形状)を有している。
【0060】
なお、
図9では、筐体51を備えたカセットボンベユニット50を示したが、カセットボンベ52を用いたカセットボンベユニットとして、
図11に示すようなものを用いてもよい。
図11に示したカセットボンベユニットは、複数のカセットボンベ52を連結する連結部58と、連結部58に取り付けられたガスホース接続部56とから構成されている。ガスホース接続部56には、ガスホース40が接続されている。ガスホース接続部56にガス流量調整の弁を設けて
もよい。
【0061】
本願発明者が、
図8に示したバーベキューグリル3500を動作したところ、外気温が高い夏(または、気温が高い昼)では、問題なく動作した。しかしながら、外気温が例えば10℃程度(または、15℃〜10℃よりも低い温度)の状況では、カセットボンベ52からのガスの量は減ってしまい、良好なバーベキューを行うことは難しくなった。バーベキューは料理であるので、単に食材(90)を加熱できればよいという性質
のものではなく、短期間で所定の熱量を投入できなければ、まずい料理ができあがり、バーベキューは失敗となる。特に肉であれば、火力(熱量)が足りないがゆえに長時間加熱したら、肉は硬くなってしまい、どんなに良質な肉でもまずくなってしまうので、せっかくのバーベキューが台無しになる。
【0062】
バーベキューグリル3500ではなく、卓上カセットコンロの場合は、ヒートパネル(伝熱部材)という部品が取り付けられており、それによって、カセットボンベの温度の低下を防いでいる。
【0063】
図12および
図13は、卓上カセットコンロ4000の構造を示している。
図12に示すように、卓上カセットコンロ4000は、コンロ4300を収納する筐体部4100と、カセットボンベ収納部4500とを備えている。筐体部4100には、コンロ4300の周囲に、鍋やフランパンなどを支える支持部4310が設けられている。また、筐体部4100のうちのカセットボンベ収納部4500の側には、ガス出力調整ダイヤル4150が設けられている。
【0064】
カセットボンベ収納部4500には、カセットボンベ4550(52)がセットされる。そして、
図13に示すように、コンロ4300でガス火440
0を起こすと、その熱は、伝熱部材4600を伝わって、カセットボンベ4550(52)の底面を保持するホルダー(伝熱部材)4650へと伝わり、カセットボンベ4550(52)を加熱する。このようにして、気化熱によるカセットボンベの温度低下を防ぎ、カセットボンベのガス噴出量の低下を抑制している。
【0065】
卓上カセットコンロ4000の場合、ヒートパネル(伝熱部材4600、4650)のような部材を取り付ければよいが、
図8に示したバーベキューグリル3500の場合は、そのようなヒートパネルを取り付けるのは現実的ではない。まず、バーナー部10のガスバーナー(12)から、カセットボンベユニット50(カセットボンベ52)までの距離が遠すぎて、伝熱部材による伝熱を実行できない。また、バーナー部10内にカセットボンベ52がセットされているわけでないので、伝熱部材を簡単に配置することができない。
【0066】
仮に、バーナー部10内にカセットボンベ52をセットすることができて、伝熱部材(ヒートパネル)によってカセットボンベ52を加熱することができたとしても、今
度は、カセットボンベ52を加熱しすぎてしまうという問題が生じるおそれがある。卓上カセットコンロ4000と異なり、バーベキューグリル3500の場合、バーベキューを実行するにあたって使用する熱量が大きいので、卓上カセットコンロ4000よりも大きな熱量が発生する傾向にある。すると、卓上カセットコンロ4000では適切であったヒートパネルの仕組みが、バーベキューグリル3500の場合では、カセットボンベ52を必要以上に加熱してしまうおそれがある。カセットボンベ52の必要以上の加熱は安全上の問題もあり、望ましくないから避けるべきである。
【0067】
次に、本願発明者は、バーベキューグリル3500に使用するカセットボンベ52の温度低下を防ぐために、カセットボンベ52に毛布のような温暖素材・断熱素材を巻くことを思いついた。しかし、カセットボンベ52は外気温によって冷却しているのではなく、カセットボンベ52内において液体が気体に変化する際の気化熱で冷却し、外気温(または室温)未満の温度になるので、毛布のような素材を巻くことは意味がない。
【0068】
次に、冷却したカセットボンベ52を、電気ヒータによって加熱することを思いついた。しかし、電気ヒータを使用するには、コンセントが必要であり、屋外で使用することが多いバーベキューグリル3500にコンセントを求めることは利便性の低下を招くので、好ましくない。コンセントを使わない場合は、電池による電気ヒータの使用が考えられるが、電気による加熱は、(電気制御動作などと比較して)エネルギーを多く使用するので、効率が悪く、また電池の使用量が多く、経済的でない。
【0069】
さらに、電気コンセントまたは電池を使用しない加熱方法として、鉄の酸化反応の発熱原理を利用した使い捨てカイロの使用を、本願発明者は検討した。しかし、使い捨てカイロは、温度が60℃程度に達するもの(最高温度63℃、平均温度53℃、持続時間10時間)であり、これでは、カセットボンベ52を加熱しすぎてしまう。カセットボンベ52は、40℃以下の保管が求められており、60℃程度以上の加熱は望ましくない。また、使い捨てカイロは、持続時間10時間以上もあるので、バーベキューグリル3500の使用時間、または、カセットボンベ52の使用時間よりもかなり長いため、時間のミスマッチングが起こっている。
【0070】
なお、使い捨てカイロ以外のカイロ(例えば、温水、温石、白金触媒式カイロなど)も考えられるが、使用者(ユーザ)は、バーベキューを行いたいのであるので、カセットボンベ52の温度低下防止のためにそのようなカイロを準備したりセットするのは面倒である。そして、実際にそのようなことまでして、カセットボンベ52を用いたバーベキューグリル3500を使用したいとは思わないのが実情である。
【0071】
このような中、本願発明者は、バーベキューグリル3500のバーナー部10(ガスバーナー12)で発生した熱で加熱された空気を、カセットボンベ52の冷却防止に利用できないかと考えた。そして、
図8に示した構造において、バーベキューグリル3500のバーナー部10の直下に位置する空気(加温された空気)を、ファン(送風機)で、カセットボンベ52に方に吹きかけてみた。しかしながら、カセットボンベ52までの距離が遠くて、カセットボンベ52を加熱すること(冷却防止)をすることはできなかった。
【0072】
本願発明者は、種々の検討でも、カセットボンベ52の冷却防止はできないとの結論づけを行おうとしていたが、
図5に示したバーベキューグリル3000の支持部空間20に、プロパンボンベ59でなく、カセットボンベユニット50を配置し、カセットボンベユニット50の上方でバーナー部10の下方にファンを配置したところ、そのファンの送風によってカセットボンベ52の冷却低下ができることを見出した。具体的には、支持部30を構成する支持部材(30a、30b、30c)が風よけ部材と機能し、バーナー部10の直下で温められた空気は、ファン(送風機)によってカセットボンベ52に良好に接触させることができた。支持部材のうちのドア部30cを開けた場合、カセットボンベ52の冷却低下を抑制できたので、少なくとも三方(左右側面、背面など)を閉塞したら、風の流れ(出入り)を止めることができ、ファン(送風機)による加温効果(カセットボンベ52の冷却防止効果)を得ることができることがわかった。なお、
図5に示したバーベキューグリル3000の支持部材(30a、30b、30c)は、プロパンボンベ59を隠すものであるので、それ自体は、風よけ部材ではない。
【0073】
本願発明者は、この成功の知見に基づいて、カセットボンベを用いながらも、低温・寒冷地でも安定
してガス供給できるバーベキューグリルを完成し、本発明に想到するに至った。以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のために、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法関係を正確に反映していない場合がある。
【0074】
また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。加えて、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0075】
図14は、本発明の実施形態に係るバーベキューグリル100の構成を示している。本実施形態のバーベキューグリル(加熱調理機)100は、カセットボンベ52からのガスを用いて加熱を実行する加熱調理機(加熱装置、コンロ)であり、食材を焼成することができる。なお、食材(90)を焼成・調理する様子(または構成要素)は、基本的に、
図7に示したものと同様である。
図14中の矢印99は鉛直方向(上方、下方)を示している。
【0076】
本実施形態のバーベキューグリル100は、ガスによって燃焼するガスバーナー12を収納するバーナー部10と、バーナー部10を支持する支持部30とを備えている。支持部30は、バーナー部10の下方に位置しており、支持部材31から構成されている。また、バーナー部10の上方には、バーナー部10を覆う窯部60が設けられている。
【0077】
本実施形態の支持部30には、バーナー部10を固定する支持部材31と、支持部材3
1に囲まれた支持部空間20とが設けられている。支持部空間20は、風よけ部材(30a、30b、30c)によって囲まれた閉塞空間であり、バーベキューグリル100の外部からの風が遮断された空間である。
【0078】
本実施形態の構成では、支持部材31(30a、30b、30c)は、板状部材(例えば、金属製の板)であり、支持部材31が風よけ機能を発揮している。少なくとも三方(例えば、左右側面、背面)が閉塞されていれば、風よけの機能を持たせることができるので、例えば、正面部(ドア部)30cが存在しないような場合であってもよい。なお、支持部材31が柱状部材であるような場合には、別途、風よけ機能を有する部材(30a、30b、30c)を設置すればよい。バーナー部10を直接固定していないような部材であっても、風よけ機能を有する部材(30a、30b、30c)を含めて、支持部材31と称しても構わない。
【0079】
本実施形態の支持部空間20には、カセットボンベ52が収納されている。図示した例では、カセットボンベ52は、
図10に示したような構造(市販品)をしており、ノルマルブタンを主成分とする液化ブタンが充填されたカセットボンベである。また、カセットボンベ52は、
図9に示したカセットボンベユニット50に配置された状態で、支持部空間20にセットされる。カセットボンベ52が収納されたカセットボンベユニット50は、ガスホース40を介して、バーナー部10に接続されている。すなわち、カセットボンベユニット50からガスホース40を通って、バーナー部10にガスが供給される。なお、イソブタンを主成分とする液化ブタンが充填されたカセットボンベを使用することも可能であるが、技術的または経済的なメリット
としては、ノルマルブタンのカセットボンベの方か好適である。
【0080】
支持部空間20のうちのバーナー部側の箇所20aには、ファン21が配置されている。ファン21は、カセットボンベ52に空気25を送る送風機(または、吸引機)である。本実施形態のファン21は、バーナー部10の下に位置する箇所20aの空気(燃焼で温められた空気)を吸引し、そして、その吸引した空気(加温された空気)を、カセットボンベ52の方に送る(矢印25参照)。
【0081】
本実施形態のファン21の一例は、例えば、
図15または
図16に示すようなものである。
図15に示したファン21は、電池駆動式の送風機であり、吸気を吸引・送風する羽根部22と、羽根部22を収納する筐体部28とを備えている。筐体部28には、電池23aが収納された電源部23が接続されている。電池
23aは、乾電池でもよし、充電式の二次電池でもよい。
【0082】
図16に示したファン21は、吸気を吸引・送風する羽根部22と、羽根部22を収納する筐体部28とを備えており、筐体部28に電源部23が内蔵されている。電源部23は、乾電池を装着するタイプのものでもよいし、携帯電話のように充電できる充電タイプ構成(例えば、リチウム二次電池)でもよい。なお、
図15、
図16は、羽根部22を備えているが、羽根のないタイプの吸引・送風機であっても構わない。また、電池式でなく、コンセントで動作するファン21を用いても構わないが、電池式の方が持ち運び・設置が容易である。
【0083】
本実施形態のファン21は、支持部空間20のうちのバーナー部側の箇所20aの空気を、カセットボンベユニット50まで送風できる能力であるものであればよい。ファン21の出力は、例えば3W〜5Wであるが、この範囲に限定されるものではなく、適宜好適なものを採用したらよい。また、ファン21の寸法は、支持部空間20に配置できるのであれば、特に限定されない。
【0084】
本実施形態の構成では、カセットボンベユニット50(52)の上方に、ファン21が配置されており、ファン21の位置は、使用するバーベキューグリル100の寸法・性能に応じて適宜設定すればよい。一例として、ファン21とカセットボンベ52との間の距離(H1)は、例えば30cm〜40
cmである。また、
H2は、ファン21とバーナー部10の下面との間の距
離である。なお、カセットボンベ52とバーナー部10の下面との間の距離(H3)は、例えば50cm〜60cmである。カセットボンベ52とガスバーナー12との間の距離(H4)は、例えば70cm〜90cmである。なお、これらの距離は例示であり、ファン21の能力によって、カセットボンベ52の冷却防止を果たせるのであれば、設置場所・距離は適宜好適なものを選択すればよい。
【0085】
本実施形態のファン21およびカセットボンベユニット50(52)は、支持部30の一部に固定して配置する構成にしてもよいし、支持部空間20内に設けられた多段式の収納部材(例えば、ラック)に配置するようにしてもよい。多段式の収納部材を用いた場合、ファン21を上段にセットし、ファン21の下に開口部(例えば、棒と隙間の配列構造)を設ければ、ファン21からの空気25は、カセットボンベ52に直接届くことになる。カセットボンベユニット50は、中段または下段に配置して、各段の距離を適切なものにすれば、ファン21およびカセットボンベユニット50(52)の配置位置(例えば、距離H1〜H4)を簡便に設定することができる。
【0086】
本実施形態の構成において、支持部材31(支持部30)は、車輪71、72が付いた土台部70に接続されている。大型の車輪71は移動用の車輪であり、小型の車輪72は、ストッパ機能が付いた車輪である。また、土台部70には、プロパンボンベ(59)をセットするためのプロパンボンベ収納部75が設けられており、カセットボンベ52とプロパンボンベ59との両方兼用の構成となっている。カセットボンベ52しか使用しないのであれば、プロパンボンベ収納部75を設けなくてもよい。
【0087】
本実施形態のバーナー部10には、ガスバーナー12が複数収納されている。バーナー部10は、ガスバーナー12からの熱に耐えることができる耐熱材料(例えば、金属)から構成されている。この例では、ガスバーナー(メインバーナー)12は、直線状の構造を有しており、地面に平行に三本延びて配列されている。ガスバーナー12は、カセットボンベ52に接続されたガスホース40から供給されるガスによって燃焼し、その火力は、火力ダイヤル15によって調整できる。本実施形態のガスバーナー12は、ステンレス製の二重管構造
になっており、バーナー出力は、例えば、7kW〜16kW程度(好ましくは、8k
W〜12k
W)である。なお、ガスバーナー12の種類や出力は特に限定されるものではなく、例えば、円形・環状のガスバーナーでもよいし、ガスバーナー出力は、5kW未満の小出力のものでも、20k
W以上のより大出力のものであっても構わない。
【0088】
バーナー部10においてガスバーナー12の上方には、食材(90)が配置される網部61が設けられている。本実施形態の網部61は、金属製(例えば、鋳鉄)の網であり、鋳鉄製の網の場合、その重量によって熱を大量に蓄えることができる。本実施形態の網部61は、ステーキ肉(90)を置いて上からそっと押さえるだけで、グリルハウスのステーキのようなくっきりとした焼き目をつける構造をしている。また、網部61は、直線状の金属部材と隙間の配列構造を有するものでもよいし、格子状の構造を有するものであってもよい。さらには、ガスバーナー12からの熱を、網部(グリル部)61の全体に満遍なく行き渡らせるために、ガスバーナー12の上に、放熱板(例えば、ステンレス製の放熱板。好適には、断面が三角波の形状をした放熱板)を配置することも可能である。放熱板は、そこに落ちた脂や汁が高温で蒸発し、素晴らしいバーベキューフレーバーを産み出す役割も持っている。
【0089】
本実施形態の構成では、バーナー部10を覆うような窯部60が設けられている。本実施形態の窯部60は、アルミ鋳造の窯(アルミ鋳造窯)であり、熱の保持力が極めて高く、内部温度を一定に保つことができる。窯部60で網部62を覆うことで、密閉状態を作ることができ、蒸し焼き効果を達成することが可能となる。なお、窯部60には、窯部内部温度を示す温度計65が配置されており、調理中に適切な温度管理・調節をすることができる。加えて、バーナー部10のサイドには、サイドテーブル62が連結されており、調理の作業性を向上させている。また、このサイドテーブル62は、使用しない時には折りたたむことができる構造になっている。
【0090】
次に、主に
図14を参照しながら、本実施形態のバーベキューグリル100の使用方法(動作方法、調理方法)について説明する。
【0091】
まず、本実施形態のバーベキューグリル100の支持部空間20にカセットボンベユニット50をセットする。次に、カセットボンベユニット50からガスを供給して、バーナー部10のガスバーナー12でガスを燃焼する。この燃焼によって食材(90)加熱して調理が進行するとともに、その燃焼により、バーナー部10の底面部分またはその周囲の空気が加熱されることになる。
【0092】
カセットボンベ52中の液化ガスが気化するに従って、カセットボンベ52は室温(周囲の気温)よりも冷却されているが、本実施形態では、ファン21によって加熱された空気(室温よりも高温の空気)が、カセットボンベ52
に吹き付けられるので、カセットボンベ52の冷却は緩和されることになる。
【0093】
本願発明者の実験によると、外気温が9℃の時に、ファン21を作動させないと、ガスバーナー12の動作中に、カセットボンベ52の表面温度は0.5℃(室内で保管していた温度の20℃から、19.5℃低下した冷却状態)になった。一方、同じ条件で、ファン21を作動させると、カセットボンベ52の表面温度は5℃(冷却状態の0.5℃から4.5℃加温された状態)になった。つまりは、ファン21の作動によって、カセットボンベ52からガスを供給するバーベキューグリル100において安定して動作できることが確認できた。なお、ファン21を動作させない場合には、約10分〜15分くらいでガス火は消えてしまった。
【0094】
本実施形態の構成では、カセットボンベ52式のバーベキューグリル100を、夜や寒冷地で安定動作できるので、バーベキューグリル(加熱調理装置)の普及を広めることができるとともに、バーベキュー文化の普及スピードを高めることができる。例えば、マンションのベランダにバーベキューグリル装置(加熱調理装置)を設置した場合において、気温の低い夜や冬にバーベキューを行おうとしても、プロパンボンベがなければ実施できなかった。一方、本実施形態のバーベキューグリル100では、カセットボンベを購入さえすれば、気温の低い夜や冬であっても、いつでもバーベキューを行うことができる。また、野外でバーベキューを行う時も、カセットボンベを購入さえすれば、プロパンボンベがなくても、バーベキューを行うことができるようになる。
【0095】
本実施形態のバーベキューグリル100では、ガスバーナー12を収納するバーナー部10を支持する支持部30における支持部空間20にカセットボンベ(52、50)が収納されている。そして、支持部空間20のうちのバーナー部側の箇所(20a)にファン21が配置されている。したがって、ガスバーナー12で加熱された空気をファン21によってカセットボンベ(52、50)に当てることができるので、ブタンガスの放出によって気化熱で冷却したカセットボンベ52の温度を上昇させることができる。その結果、温度の低い環境(例えば、冬場や夜でのバーベキューの場所)でも、液化ブタンのカセットボンベ52を使用したバーベキューグリルを安定して動作させることができる。
【0096】
本実施形態の手法では、カセットボンベ52の温度低下防止(温度上昇)に、ガスバーナー12で加熱された空気を利用しているので、非常に効率的である。すなわち、発熱電力を使用する電気ヒータや使い捨てカイロを使用するのではなく、省電力のファン21を使用するだけで、調理中に発生している熱(加熱された空気)をカセットボンベ52に接触させるので、熱発生のためのエネルギーを使用しないので、発熱費用がかかっていない。したがって、非常に経済的であり、また、調理中にファン21を動作させるだけであるので、手間もかからず非常に便利である。さらに、カセットボンベ52を直接加熱するのでなく、加熱された空気で加温するので、カセットボンベ52が必要以上に高温になってしまうこともないので、安全面でも利点が高い。
【0097】
本実施形態のバーベキューグリル100におけるバーナー部10は、上面が開放して下面に底面を有するボックス状の形状を有している。開放した上面(開口部)に網部61が位置しており、中段にガスバーナー12が位置し、そして、下面に底面を有している。バーナー部10の底面は、網部61に配置された食材(90)から落ちてくる脂や水分などを受け止めることができ、ファン21が汚れるのを防ぐことができる。本実施形態の構成では、ガスバーナー12は、バーナー部10の底面(例えば、金属製の低板)を加熱し、そして、そのバーナー部10の底面が、当該底面の直下の領域(20a)の空気を加熱し、すなわち、ファン21の上方(直上)の箇所(20a)の空気を加熱し、そして、加熱された空気がファン21によって、風よけ部材(30aなど)で閉塞された空間20を通って、カセットボンベ52に接触する。なお、バーナー部10の底面が存在しないと、ファン21(およびカセットボンベ52)が汚れるというデメリットがあるが、バーナー部10内でその落ちてくる脂などの汚れ物をトラップできる機構・部材があれば、バーナー部10の底面はなくても構わない。その場合、ガスバーナー12で加熱された空気は、ファン21の吸引力によってファン21へと吸い込まれ、そして、カセットボンベ52へと吹き付けられる。
【0098】
また、風よけ部材(30a〜30c)は、ファン21からカセットボンベ52への吹きつけを維持できる程度の風よけ防止機能があればよいので、風よけ部材(30a〜30c)に小さい開口部・隙間、または覗き窓のようなものが存在していても構わない。支持部30を上面から見た断面形状が矩形の場合は、少なくとも三方が閉塞されていれば、風よけ機能を発揮することができる。また、支持部30を上面から見た断面形状が円形(円形の他、楕円形、長円形、扁平円形なども含む)または多角形(六角形、八角形などの場合)、円周のおおよそ270度程度の角度が覆われて閉塞されていれば、風よけ機能を持たせることができる。
【0099】
図8に示したバーベキューグリル3500において、本実施形態の構成を持たせようとした場合には、支持棒35の周囲に、風よけ部材(30a〜30c参照)を配置し、バーナー部10の下方を閉塞空間にして、そして、カセットボンベ52(50)の上方にファン21を配置すればよい。言い換えると、バーナー部10の下でカセットボンベ52(50)との間にファン21を配置して、ファン21の動作によって、気化熱で冷却したカセットボンベ52(50)を加温するようにしたらよい。
【0100】
なお、
図14に示した構成において、ファン21が存在しなくても、カセットボンベ52を、バーナー部10の底面に近接させれば、冷却したカセットボンベ52を加温できるとの推論が働くかも知れないが、空気は断熱材であるので、送風でなく、熱伝導でカセットボンベ52を加温させることは難しい。また、ファン21による送風を用いずに、熱伝導でカセットボンベ52
を加熱する場合、カセットボンベ52が必
要以上に加熱してしまうおそれがあるので好ましくない。
【0101】
次に、
図17を参照しながら、本実施形態のバーベキューグリル100の改変例について説明する。
図14に示した実施形態のバーベキューグリル100では、ファン21の送風によって、カセットボンベ52(50)の上方から加熱空気を当てるようにしたが、これに限定されない。
図17に示すように、カセットボンベ52(50)の下方にファン21Bを配置して、そのファン21Bによって、カセットボンベ52(50)の下方から空気を当てることができる。
【0102】
さらに説明すると、
図17に示したバーベキューグリル100では、カセットボンベ52(50)の上方に第1ファン21Aを配置し、カセットボンベ52(50)の下方に第2ファン21Bを配置している。そして、第1ファン21Aによってカセットボンベ52の上面(表面)を加温し(矢印25a参照)、第2ファン21Bによってカセットボンベ52の下面(裏面)を加温することができる(矢印25b参照)。
【0103】
カセットボンベ52をカセットボンベユニット50にセットする際に、カセットボンベ52の内部に配置されているノズル(液化ブタンからガスを吸い取るノズル)が、カセットボンベ52の下面(裏面)側に位置するようにセットされる(そのようにセットできるように、先端部52bに切り欠き部が設けられている)。そのため、気化による冷却現象は、カセットボンベ52の下面(裏面)側の方で多く起こる。それゆえに、
図17に示した構造のように、第
2ファン21Bによってカセットボンベ52の下面(裏面)を加温することは非常に有効である。
【0104】
支持部30の支持部空間(閉塞空間)20の下部領域20bに配置された第2ファン21B(下部ファン)は、ガスバーナー12を含むバーナー部10からは離れているが、第1ファン21A(上部ファン)から送り込まれる加熱空気を第2ファン21Bは吸い込んで、第2ファン21Bはカセットボンベ52に吹き付けることができる。カセットボンベ52と第2ファン21Bとの距離(H5)は、例えば5cm〜15cmである。なお、これらの距離は例示であり、
第2ファン21Bの能力によって、カセットボンベ52の冷却防止を果たせるのであれば、設置場所・距離は適宜好適なものを選択すればよい。
【0105】
本願発明者の実験によると、外気温が9℃の時に、第1ファン21A・第2ファン21Bを作動させないと、ガスバーナー12の動作中に、カセットボンベ52の表面温度は0.5℃(19.5℃低下)になった。一方、同じ条件で、第1ファン21Aおよび第2ファン21Bを作動させると、カセットボンベ52の表面温度は7℃(6.5℃向上)になった。つまりは、第1ファン21A・第2ファン21Bの作動によって、カセットボンベ52からガスを供給するバーベキューグリル100において安定して動作できることが確認できた。
【0106】
なお、カセットボンベ52は、裏面側の方がよく冷えることから(そして、そちら側に内部ノズルが延びてガス化さ
れるので)、第2ファン21Bの方を積極的に利用して、カセットボンベ52の裏面の方をより加温させるようにしてもよい。そのような場合、第1ファン21Aの加熱空気が、第2ファン21Bの方に良好に行きやすいように、間仕切り板、風を導く部材などを配置するようにすることができる。
【0107】
図18に示した構成では、上部に位置するファン21Cを吸引用のファンにして、それを、ダクト(空気配管)26を通して、下部に位置するファン21Bへと流すような構成にしている。
図18に示した例では、上部ファン21Cはカセットボンベ52には風を当てずに、下部ファン21Bのみがカセットボンベ52には風を当ててカセットボンベ52を加温する。さらに説明すると、支持部領域20の上部領域20a(バーナー部10の直下に近接する箇所20a)の加熱空気は、上部ファン21Cに吸い込まれ(矢印25c)、それがダクト26に送られ(矢印25d)、そして、ダクト26内を通過し(矢印25e)、ダクト26から下部ファン21Bへと送られ(矢印25f)、下部ファン21Bからカセットボンベ52に吹き付けられる(矢印25b)。
【0108】
本願発明者は、ノルマルブタン充填のカセットボンベの実験だけでなく、イソブタン充填のカセットボンベ(ハイパワータイプのカセットボンベ;東邦金属工業(株)製のスーパーブタンガスゴールド)を用いた実験も行った。気温8℃の時、ファン21なしでは、20分後のカセットボンベ(52)の温度(上面の表面温度)は4℃であり、この時のガス火はかなり小さくなってグリル温度は下がりだした。第1ファン21A(上部ファン21A)を動作させた場合、15分後にカセットボンベ(52)の温度は13℃であり、この時点でグリル温度が300℃を超えたのでガスを止めて実験を終了した。したがって、本実施形態の手法は、ノルマルブタン充填のカセットボンベ(52)だけでなく、イソブタン充填のカセットボンベ(52)にも有効である。
【0109】
さらに、第1ファン21A・第2ファン21Bの両方(上部ファン21A・下部ファン21B)を動作させた場合、10分後にカセットボンベ(52)の温度は13℃であり、11分後の時点でグリル温度が300℃を超えたのでガスを止めて実験を終了した。なお、第1ファン21A・第2ファン21Bの両方を動作させた場合の温度と、第1ファン21Aだけを動作させた場合の温度と同じ(13℃)であるが、これは、カセットボンベ52の上面(上側の表面)を計測しているからであって、実際には、カセットボンベ52の下面の温度は、第1ファン21A・第2ファン21Bの両方を動作させた時の方が大きくなるものであり、それがグリル温度(上昇時間)にも反映されている。
【0110】
次に、
図19から
図21を参照しながら、本実施形態のバーベキューグリル100の構成について更に説明する。
【0111】
図19に示したバーベキューグリル100は、
図14に示した構成の対応例である。
図19に示した構成では、支持部30の支持部空間20内にラック(多段設置部材)29が配置されている。このラック29の上段29aは、線状部材と隙間(開口部)が配列された構造を有しており、この上段29aの上面にファン21が載置される。ファン21からの風(加熱空気)25は、上段29aの隙間を通して、カセットボンベ52(50)に吹き付けられる。なお、この例では、ラック29の中段(または下段)29bに、カセットボンベユニット50が載置されている。ラック29の中段(または下段)29bも、上段29aと同じように、線状部材と隙間が配列された構造を有しているが、この段は、隙間はなくても構わない。
【0112】
図20に示したバーベキューグリル100は、
図17に示した構成の対応例である。
図20に示した構成では、支持部30の支持部空間20内にラック(多段設置部材)29が配置されている。このラック29の上段29aは、線状部材と隙間(開口部)が配列された構造を有しており、この上段29aの上面に上部ファン21Aが載置される。上部ファン21Aからの風(加熱空気)25aは、上段29aの隙間を通して、カセットボンベ52(50)に吹き付けられる。また、ラック29の中段(または下段)29bに、カセットボンベユニット50が載置されている。ラック29の中段(または下段)29bも、上段と同じように、線状部材と隙間(開口部)が配列された構造を有している。下部ファン21Bからの風(加熱空気)25bは、中段29aの隙間を通して、カセットボンベ52(50)に吹き付けられる。
【0113】
図21に示したバーベキューグリル100は、
図18に示した構成の対応例である。
図21に示した構成では、支持部30の支持部空間20内にラック(多段設置部材)29が配置されている。また、高温空気を導く導風部材(ダクト)26が配置されている。このラック29の上段29aは、線状部材と隙間(開口部)が配列された構造を有しており、この上段29aの上面に上部ファン21Aが載置される。
【0114】
上部ファン21Aからの風(加熱空気)25aは、上段29aの隙間を通して、カセットボンベ52(50)に吹き付けられる(矢印25a)。それとともに、上部ファン21が吸い込んだ空気(加熱空気)は、導風部材(ダクト)26へと送り出す(矢印25d)。また、ラック29の中段(または下段)29bに、カセットボンベユニット50が載置されている。ラック29の中段(または下段)29bも、上段と同じように、線状部材と隙間(開口部)が配列された構造を有している。下部ファン21Bからの風(加熱空気)25bは、中段29aの隙間を通して、カセットボンベ52(50)に吹き付けられる。下部ファン21Bは、周囲の空気をカセットボンベ52に吹き付けるとともに、ダクト26から送り込まれた空気もカセットボンベ52に吹き付ける(矢印25b)
【0115】
図22は、本実施形態のバーベキューグリル100の一例であり、窯部60をオープンにした状態を示している。図示した例のバーベキューグリル100は、
図14に示した構造と比較して、バーナー部10に取り付けられた火力ダイヤル15の数が異なるが、基本構成は、
図14等に示したバーベキューグリル100と同じである。
【0116】
本実施形態のバーベキューグリル100の構成において、バーナー部10におけるガスバーナー12を燃焼させると、ガスバーナー12の上方に位置する焼き網(食材配置部)61の方にガス火が立ち上がる。焼き網61の上には、食材(肉など)90がセットされ、ガス火によって加熱調理(焼成)がなされる。また、窯部60の内部にも、第2焼き網(食材配置部)63が設けられており、この第2焼き網63に、焼き上がった食材を置いたり、焼きすぎたくない食材をセットしたり、または、窯部60内での蒸し焼き用食材を配置したりすることができる。本実施形態の網部61に配置される被加熱物(食材)90は、典型的には、食品であり、例えば、肉類(牛肉、豚肉、鶏肉など)、水産物(魚類、甲殻類、軟体動物、貝類、海草類など)や、野菜、果物などである。被加熱物として、ピザ、パン、焼き芋、菓子(焼き菓子など)を挙げることもできる。本実施形態のバーベキューグリル100を用いれば、このような調理品(焼成品)を製造することができる。
【0117】
バーナー部10の下方の支持部空間20には、ファン21およびカセットボンベユニット50が配置されて、上述したような動作を行う。カセットボンベユニット50にセットされるカセットボンベ52は、未使用のものを多数準備しておくことが簡単であるので、プロパンボンベ59の時のように途中で燃料切れになるようなことを心配しなくてよい。支持部30のドア部30cを開けていても、三方は閉塞されているので、支持部空間20は風よけ機能が発揮された状態である。したがって、ドア部30cを開けた状態でも、ファン21およびカセットボンベユニット50の動作を行うことができる。
【0118】
なお、上述したバーベキューグリル100では、主に、バーベキューを行うための加熱装置(加熱調理装置)について説明したが、カセットボンベ52およびそれを含むカセットボンベユニット50自体は、窯部60が存在しないような加熱調理装置にも適用可能である。また、本実施形態の構成において、カセットボンベユニットは、
図9に示したカセットボンベユニット50の他、
図11に示したカセットボンベユニットも使用可能である。
【0119】
加えて、バーベキューグリル100の支持部30にファン21を取り付けた構成の他、カセットボンベユニット50の方に、ファン21を取り付けたカセットボンベボックスを構築してもよい。
図23は、ファン21を備えたカセットボンベボックス150である。ファン21は、羽根部22を備えた送風機であり、カセットボンベボックス150を構成する筐体部129の上面に配置されている。ファン21は、カセットボンベユニット50(52)に風を吹き付けることができる。
【0120】
カセットボンベボックス150は、風よけ部(130a、130b)から構成されており、図示した例では、この風よけ部が、カセットボンベボックス150の筐体部129を構築している。筐体部129の一面(例えば、正面)に位置する部位130cは、ドア部、透明部材部(ガラス部、透明プラスチック部)、または、開放部(開口部)にすることができるが、他の部材(130a、130b)と同じような構成にしてもよい。筐体129の内部は、閉塞空間120となっており、そこにカセットボンベユニット50(40)が配置される。カセットボンベユニット50は、載置板129bの上に配置されている。カセットボンベユニット50に接続されたガスホース40は、筐体部129の内部から外部へと延びている。
【0121】
このカセットボンベボックス150は、例えば、
図8に示したような加熱調理装置(バーベキューグリル)3500のバーナー部10の下に配置すれば、本実施形態の手法をそのまま実行することができて便利である。また、本実施形態のカセットボンベボックス150によれば、寒冷地において、ガスを用いるコンロ(ガス燃焼加熱装置)に、プロパンボンベ59でなく、カセットボンベ52を利用できるので非常に便利である。また、図示したカセットボンベボックス150においても、ファン21を複数にするような改変(
図14、
図15など参照)を行っても良い。また、カセットボンベボックス150を、
図14等に示したバーベキューグリル100の支持部30の空間20に配置することもできる。また、カセットボンベユニット50として、
図11に示すようなものを使用してもよい。
【0122】
本実施形態では、ファン21を1つ、または、ファン21を上下に一つずつ配置した構成を示したが、ファン21の数はこれに限らず、複数配置しても構わない。また、本実施形態の構成では、バーナー部10の直下に位置する加熱空気をファン21によってカセットボンベ52に当てるようにしたが、バーナー部10の直下でなくても、ガスバーナー12によって加熱された空気は存在するので、ダクトのような導風部材などを用いれば、バーナー部10の直下以外の空気(加熱空気)をカセットボンベ52に当てることも可能である。しかし、そのような構成は複雑になるので、
図14に示したような構成例の方が好ましい。
【0123】
また、カセットボンベ52(カセットボンベユニット50、カセットボンベボックス150)に温度計を配置して、リアルタイムでカセットボンベ52の温度を表示できるような構成にしてもよい。なお、カセットボンベ52を電気ヒータで加熱するのは、電力が無駄であるとともに、高温になりやすいので好ましくないが、本実施形態の手法を用いて、カセットボンベ52を加温しながら、その補助として、電気的な加熱器で、温度制御することまで排除するまでではない。このような温度制御は、補助的な加熱であるので、消費電力も少なく、また、カセットボンベ52の温度を積極的に制御することは好ましいことであるからである。
【0124】
さらには、
図23に示したカセットボンベボックス150を次のように改変してもよい。
図23に示した筐体部129の内部空間120を閉塞空間(閉鎖空間、密閉空間)にして、筐体部129の内部(内部空間120)にヒータ(加熱装置)を設ける。そして、そのヒータ(加熱装置)によって加熱された空気(内部空気)を、筐体部129の内部(内部空間120)に配置したファン(送風機)によって内部循環させて、それによって、循環させている加熱空気によって、冷却したカセットボンベ52(50)を加温させることができる。この方式を採用するときは、ヒータによる必要以上の加熱(過熱)を予防するために、温度感知スイッチを設けておき、筐体部129の内部(内部空間120)の温度制御を実行することが望ましい。典型的には、下限温度(例えば20℃以下)で加温スイッチが入り、上限温度(例えば30℃)で加温スイッチが切れるように構成すればよい。このようにすれば、安全にカセットボンベ52を加温し続けることが可能である。
【0125】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【解決手段】食材を焼成するバーベキューグリル100であり、カセットボンベ52に接続されるガスホース40と、ガスバーナー12を収納するバーナー部10と、バーナー部10を支持する支持部30と、バーナー部10を覆う窯部60とを備えている。支持部30には、支持部材31と、支持部材31に囲まれた支持部空間20とが設けられ、支持部空間20にはカセットボンベ52が収納されている。支持部空間20のうちのバーナー部側の箇所20aには、カセットボンベ52に空気25を送るファン21が配置されている。