(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980439
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/48 20100101AFI20160818BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20160818BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20160818BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20160818BHJP
F21V 9/08 20060101ALI20160818BHJP
F21V 9/16 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
H01L33/48
H01L33/50
H01L33/60
H01L33/32
F21V9/08
F21V9/16 100
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-542175(P2015-542175)
(86)(22)【出願日】2012年11月16日
(65)【公表番号】特表2016-502760(P2016-502760A)
(43)【公表日】2016年1月28日
(86)【国際出願番号】EP2012072901
(87)【国際公開番号】WO2014075737
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2015年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】瀧 哲也
【審査官】
村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−088003(JP,A)
【文献】
特表2010−519709(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0159904(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光装置であって、
− 前記発光装置の動作中に緑色を帯びた白色光(10)を出射する発光半導体要素(23)と、
− 青色光および緑色光のスペクトル域における光透過率よりも赤色光のスペクトル域における光透過性(11)が高いフィルタ要素(4)と、
を含み、
− 前記フィルタ要素(4)を通過するフィルタ透過光(12)のみが前記発光装置の動作中に出射されるように、前記フィルタ要素(4)は前記発光半導体要素(23)に対して配置され、
− 前記フィルタ透過光(12)は、温白色光である、
発光装置。
【請求項2】
キャリア要素(1)と、
少なくとも2つの前記発光半導体要素(23)と、
をさらに含み、
前記少なくとも2つの発光半導体要素(23)は、前記キャリア要素(1)の少なくとも2つの異なる面上に配置され、
前記フィルタ要素(4)は、前記フィルタ要素(4)を通過するフィルタ透過光(12)のみが前記発光装置の動作中に出射されるように、前記少なくとも2つの発光半導体要素(23)に対して配置され、
前記フィルタ要素(4)は球状であり、前記少なくとも2つの発光半導体要素(23)を完全に包囲し、
前記フィルタ要素(4)は、前記キャリア要素(1)を完全に包囲する、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記フィルタ要素(4)は、ドーム形状または球状であり、前記発光半導体要素(23)に覆設されている、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記フィルタ要素(4)は球状であり、前記発光半導体要素(23)を完全に包囲する、
請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記発光半導体要素(23)のためのキャリア要素(1)をさらに含み、
前記フィルタ要素(4)は、前記キャリア要素(1)を完全に包囲する、
請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
少なくとも2つの発光半導体要素(23)をさらに含み、
少なくとも2つの前記発光半導体要素(23)は、前記キャリア要素(1)の少なくとも2つの異なる面上に配置される、
請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記フィルタ要素(4)は、前記発光半導体要素(23)を被覆する板の形状である、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光半導体要素(23)は、
前記発光装置の動作中に青色光を出射する活性領域(21)を有する発光ダイオードチップ(2)と、
前記発光半導体要素(23)が前記発光装置の動作中に前記緑色を帯びた白色光(10)を出射するように、前記青色光を部分的に黄色−緑色光に変換する変換要素(3)と、
からなるか、または、前記発光ダイオードチップ(2)と前記変換要素(3)とを含む、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記緑色を帯びた白色光(10)を少なくとも部分的に前記フィルタ要素(4)方向に反射する光反射要素(5)を含む、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記フィルタ要素(4)の590nm未満の波長の透過率が、50%未満である、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項11】
少なくとも2つの発光ダイオードチップ(2)を含み、
前記発光装置の発光ダイオードチップ(2)が、すべて、同一の半導体材料をベースとする、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項12】
前記半導体材料は、窒化物化合物半導体材料である、
請求項11に記載の発光装置。
【請求項13】
発光装置であって、
キャリア要素(1)と、
少なくとも2つの発光半導体要素(23)と、
フィルタ要素(4)と、
をさらに含み、
前記発光半導体要素(23)は、前記発光装置の動作中に緑色を帯びた白色光(10)を出射し、
前記フィルタ要素(4)は、青色光および緑色光のスペクトル域における光透過率よりも赤色光のスペクトル域における光透過性(11)が高く、
前記フィルタ要素(4)の590nm未満の波長の透過率は、50%未満であり、
前記フィルタ要素(4)は、前記フィルタ要素(4)を通過するフィルタ透過光(12)のみが前記発光装置の動作中に出射されるように、前記発光半導体要素(23)に対して配置され、
前記フィルタ透過光(12)は、温白色光であり、
前記フィルタ要素(4)は球状であり、前記発光半導体要素(23)を完全に包囲し、
前記フィルタ要素(4)は、前記キャリア要素(1)を完全に包囲する、
発光装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、混光を出射するための照明モジュールが記載されている。当該照明モジュールは、未変換の赤色光を出射する少なくとも1つの第1半導体要素と、第1変換率で変換された、緑色を帯びた白色光を出射する少なくとも1つの第2半導体要素と、第1変換率よりも小さい第2変換率で変換された、緑色を帯びた白色光を出射する少なくとも1つの第3半導体要素と、温度依存型の電気抵抗を有する少なくとも1つの抵抗体要素と、を含み、第2半導体要素と第3半導体要素とは並列接続されている。
【0003】
例えば、NTC(負の温度係数)抵抗体が、抵抗体要素として使用される。抵抗体要素は、赤色光発光半導体要素の動作温度の変化による明度および波長のずれを補償するために使用可能である。これは、赤色光発光ダイオードの温度特性が緑色を帯びた白色光発光ダイオードの温度特性と異なることに起因している。例えば、赤色光発光ダイオードの明度および波長のずれは、動作温度に依存して大きくなる。温度依存性を補償するために温度依存型の電気抵抗を使用しない場合、照明モジュールの動作中に出射光の色ずれが生じる。例えば、その場合、温度が一定に保たれ、また、それにより出射光の色が一定に保たれるまでに最大で30分を要し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2012/101022号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の1つは、少ない費用で製造可能でありかつ出射光の色の温度依存性が全くないかもしくは低減された発光装置を特定することである。
【0006】
本発光装置の少なくとも一態様によれば、発光装置は、発光装置の動作中に緑色を帯びた白色光を出射する発光半導体要素を含む。発光半導体要素は、ミント様の色を有する光を出射する。例えば、緑色を帯びた白色光は、CIE1931色空間の色度座標が0.26≦x≦0.43かつ0.26≦y≦0.53である光である。
【0007】
本発光装置の少なくとも一態様によれば、発光装置は、青色光および緑色光のスペクトル域における光透過率よりも赤色光のスペクトル域における光透過率が高いフィルタ要素を含む。例えば、光フィルタ要素の光透過率は、590nm〜680nmの波長域について50%超から最大で100%の範囲内である。例えば、青色光および緑色光についての光透過率は、50%未満である。
【0008】
フィルタ要素は、吸収フィルタとすることができる。フィルタ要素は、例えば、ポリカーボネートもしくはアクリル樹脂等のプラスチック材料またはガラス等のマトリックス材料で形成され、マトリックス材料を、無機色素または有機色素等の、無機化合物または有機化合物で充填する。マトリックス材料中のかかる化合物が、光の波長に応じて、フィルタを通過する光の一部を吸収する。
【0009】
フィルタの青色光および緑色光の透過率は、マトリックス材料中の化合物の選択によって、また、マトリックス材料中の化合物の濃度の選択によって適合させることができる。青色光および緑色光を吸収する化合物のマトリックス材料中の濃度が小さくなるほど、当該色の透過率は高くなる。
【0010】
本発光装置の少なくとも一態様によれば、フィルタ要素を通過するフィルタ透過光(filtered light)のみが発光装置の動作中に発光装置によって出射されるように、フィルタ要素を発光半導体要素に対して配置する。これは、光がフィルタ要素を通過した後にのみ発光装置から発せられることを意味する。フィルタ要素を通過していないフィルタ未透過光(unfiltered light)の発光装置による発光は存在しない。
【0011】
本発光装置の一態様によれば、発光装置によって出射されるフィルタ透過光は、温白色光である。本明細書において「温白色光」とは、3300ケルビン未満の色温度の光である。
【0012】
本発光装置の一態様によれば、発光装置は、発光装置の動作時に緑色を帯びた白色光を出射する発光半導体要素と、青色光および緑色光のスペクトル域における光透過率よりも赤色光のスペクトル域における光透過率が高いフィルタ要素と、を含み、フィルタ要素を通過するフィルタ透過光のみが発光装置の動作中に発光装置によって出射されるように、フィルタ要素は発光半導体要素に対して配置されており、また、フィルタ透過光は温白色光である。
【0013】
本発光装置のフィルタ要素によって、赤色光または琥珀色光を出射する追加の発光半導体要素を使用せずに、発光装置は温白色光を出射することができる。したがって、温度依存型の電気抵抗を用いる必要がなく、また、かかる抵抗が使用されないにも関わらず、本装置によって出射された光において動作温度に依存した色ずれは全く存在しないかまたは減少する。
【0014】
フィルタ要素は、例えば、マトリックス材料に混入可能なフィルタ化合物を含む。したがって、フィルタ化合物自体は発光しないことが好ましい。これは、例えば、フィルタ化合物には蛍光体等の波長変換材料は存在しないが、フィルタ化合物は有機色素または無機色素等の吸収性材料を含むことを意味する。かかる発光装置は、特に容易にかつ高い費用対効果で製造することができる。
【0015】
本発光装置の少なくとも一態様によれば、発光装置は、2つ以上の発光半導体要素を含む。この場合、発光要素は、すべて、同一のフィルタ要素に向けて光を出射する。例えば、2つ以上の発光半導体要素の光は、同一のフィルタ要素に突き当り、このフィルタ要素によってフィルタリングされる。
【0016】
本発光装置の一態様によれば、フィルタ要素は、ドーム形状であるかまたは球状であり、発光半導体要素に覆設されている。例えば、フィルタ要素は、少なくとも四方から発光半導体要素を包囲する。フィルタ要素が球状である場合、フィルタ要素が発光半導体要素を完全に包囲することすら可能であり、この場合、フィルタ要素が発光半導体要素を電気接続するための接続要素のための小開口のみを有する。
【0017】
これに関し、本発光装置は、例えば、発光半導体要素のための回路基板等のキャリア要素を含み、フィルタ要素は、キャリア要素を完全に包囲する。フィルタ要素は、キャリア要素および発光半導体要素を機械的に保護する。さらに、フィルタ要素は、キャリア要素および発光半導体要素を電気的に絶縁して電気的に保護することができる。
【0018】
さらに、本発光装置は、少なくとも2つの発光半導体要素を含むことができ、少なくとも2つの発光半導体要素は、キャリア要素の少なくとも2つの異なる(例えば背中合わせの)面上に配置可能である。これにより、全方向に光を出射する装置を実現できる。
【0019】
ドーム形状または球状のフィルタ要素には、発光半導体要素によって出射された光の大部分が、フィルタ要素に突き当たる前にミラー等の反射要素等によって反射されることなくフィルタ要素に直接的に突き当たるという利点がある。それに伴い、反射に起因する光損失は低減される。さらに、フィルタ要素に突き当たる光が全反射する可能性が、ドームまたは球体等の形状である曲面フィルタ要素によって減少する。
【0020】
発光装置の一態様によれば、フィルタ要素は、発光半導体要素を被覆する板の形状である。例えば、発光半導体要素のハウジング用の被覆板として、フィルタ要素を使用する。板の形状のかかるフィルタ要素は、特に製造しやすい。
【0021】
本発光装置の一態様によれば、本装置の発光半導体要素は、本装置の動作中に青色光を出射する活性領域を有する発光ダイオードチップと、本装置の動作中に発光半導体要素が緑色を帯びた白色光を出射するように青色光を部分的に黄色−緑色光に変換する変換要素と、からなるかまたはそれら発光ダイオードチップと変換要素とを含む。変換要素は、例えば、発光ダイオードチップの表面の少なくとも一部を被覆し、また、発光ダイオードチップによって出射された青色光の波長変換のための蛍光体を含む。
【0022】
本発光装置の一態様によれば、発光装置は、緑色を帯びた白色光を少なくとも部分的にフィルタ要素方向に反射する光反射要素を含む。例えば、キャリアであって、その上に発光要素を実装するものは、キャリアの発光要素が実装される側の面に反射性の外面を有する。さらに、ハウジングであって、その中に発光要素を配置する箇所の外面によって光反射要素を形成することができる。
【0023】
本発光装置の少なくとも一態様によれば、フィルタ要素の590nm未満の波長の透過率は、50%未満である。すなわち、発光半導体要素によって出射された青色光および緑色光は、少なくとも部分的にフィルタ要素に吸収されるかまたは反射要素方向に反射される。590nm超の波長の波長域について、フィルタ要素の透過率を最大で100%とすることができる。
【0024】
本発光装置の一態様によれば、発光装置は、少なくとも2つの発光ダイオードチップを含み、発光装置の発光ダイオードチップが、すべて、同一の半導体材料をベースとする。これには、発光装置の発光ダイオードチップすべての出射光の温度依存性が同等であるという利点がある。これにより、各発光ダイオードチップによって異なる温度依存性を補償するための温度依存型の電気抵抗を使用せずに、出射光の色の温度依存性を、大幅に低減することができる。
【0025】
例えば、半導体材料は、窒化物化合物半導体材料である。
【0026】
本明細書において、「窒化物化合物半導体材料」とは、発光ダイオードチップの部分領域または発光ダイオードチップの少なくとも一部が、例えばGaN、Al
nGa
1−nN、In
nGa
1−nNまたはAl
nGa
mIn
1−n−mN(0≦n≦1、0≦m≦1、n+m≦1)等の窒化物化合物半導体材料を含むかまたはかかる材料からなることを意味する。この場合、この材料は、必ずしも上記化学式に従った数学的に正確な組成を有する必要はない。むしろ、この材料は、例えば、1種以上のドーパントおよび追加の構成成分を含むことができる。しかしながら、結晶格子の本質的な構成成分(Al、Ga、In、N)の一部分をわずかな量のさらなる物質によって置換しかつ/または補うことができるとしても、簡潔にするために、上記化学式は、結晶格子の本質的な構成成分(Al、Ga、In、N)のみを含む。ただし、窒化物化合物半導体材料は、必ず窒素または窒素化合物を含む。
【0027】
発光ダイオードチップの少なくとも一態様によれば、本装置の各発光ダイオードチップは、インジウムを含む窒化物化合物半導体材料をベースとする。かかるインジウム含有窒化物化合物半導体材料は、当該材料によって出射される所望の波長での熱安定性が良好な材料である。
【0028】
以下に、図面に関連して下記の例示的な実施形態によって、本装置の有利な実施形態および発展形態を明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】本明細書に記載の発光装置の一実施形態に関する例示的な出射スペクトルを示す図である。
【
図1B】本明細書に記載の発光装置の一実施形態に関する例示的な出射スペクトルを示す図である。
【
図1C】本明細書に記載の発光装置の一実施形態に関する例示的な出射スペクトルを示す図である。
【
図2】
図2A〜2Cは、本明細書に記載の装置の例示的な実施形態を示す図である。
【
図3A】代替的な設計の装置の出射スペクトルを示す図である。
【
図3B】代替的な設計の装置の出射スペクトルを示す図である。
【
図3C】代替的な設計の装置の出射スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
例示的な実施形態および図面において、同一の構成部分または同様に機能する構成部分には、同一の参照符号を付してある。図面中に示す要素および要素の互いのサイズの関係は、正しい縮尺ではないものとみなされたい。むしろ、より深く理解できるようにする目的で、個々の要素の大きさを誇張して示してあることがある。
【0031】
図1Aは、本明細書に記載の発光装置において使用される発光半導体要素23のスペクトルを示す。すなわち、
図1Aは、緑色を帯びた白色光10のスペクトルを示す。このスペクトルは、青色光域および黄色−緑色光域においてピークを示す。青色光域におけるピークは、本発光半導体要素の発光ダイオードチップ2によって出射された光に由来する。黄色−緑色光域におけるピークは、発光半導体要素23の変換要素3によって出射された光に起因する。
【0032】
図1Bは、本明細書に記載の発光半導体要素23において使用されるフィルタ要素4の光透過率11を示す。
図1Bから明らかなように、この透過率は、青色光および緑色光に関して低く、590nm超の波長を有する光に関して高い。例えば、590nm未満の波長に関して、透過率は、50%未満の範囲内にある。
図1Bにおける矢印によって示されるように、この範囲内の透過率は、例えば、フィルタ要素4中の化合物の濃度を変更することによって、または、フィルタ要素4の厚さを変更することによって適合させることができる。
【0033】
図1Cは、
図1Aの緑色を帯びた白色光10のスペクトルを有する発光半導体要素23と
図1Bの光透過率11を示すフィルタ要素4とを組み合せたときに得られるフィルタ透過光12のスペクトルである。
【0034】
得られる光は、色温度が3300ケルビン未満の白色光である。
【0035】
比較のために、
図3A〜
図3Cは、フィルタ要素の代わりに琥珀色光または赤色光を発光する発光ダイオードを使用した発光装置に関するスペクトルを示す。
図3Aは、
図1Aに関連して既に説明した緑色を帯びた白色光10のスペクトルを示す。
【0036】
図3Bは、赤色光域または琥珀色光域においてピークを有する琥珀色光または赤色光を発光する発光要素13によって出射された光のスペクトルを示す。この光と
図3Aの緑色を帯びた白色光とを組合せると、
図3Cの組合せスペクトル14が得られる。
図1Cのスペクトルと
図3Cのスペクトルとの比較によって明らかなように、フィルタ要素4を使用して、琥珀色光発光ダイオードと緑色を帯びた白色光発光要素との組合せから得られるスペクトルに非常に類似したスペクトルを構成することができる。しかしながら、本明細書に記載の発光装置によって出射された光は温度変化しにくく、それにより、光色および光温度の点でより安定した光生成となる。
【0037】
図2は、本明細書に記載の発光装置の第1の実施形態を模式的断面図で示す。
【0038】
本発光装置は、キャリア1を含む。キャリア1は、例えば、回路基板またはメタルコア基板等の接続キャリアである。
【0039】
本発光装置は、発光要素23をさらに含む。各発光要素23は、発光ダイオードチップ2を含む。例えば、発光ダイオードチップ2は、活性領域21を含み、活性領域21において本装置の動作中に青色光を生成する。発光ダイオードチップは、例えば、インジウムを含む窒化物化合物半導体材料をベースとする。
【0040】
各発光半導体要素23は、発光ダイオードチップ2の表面の少なくとも一部に設けられる変換要素3をさらに含む。変換要素3は、蛍光体を含み、発光ダイオードチップ2によって出射された青色光の一部を吸収し、黄色−緑色光を出射する。その結果、発光半導体要素23は、緑色を帯びた白色の混光10を出射する。
【0041】
本発光装置は、発光半導体要素23に覆設されておりかつドーム形状であるフィルタ要素4をさらに含む。フィルタ要素は、例えば、フィルタ化合物を混入させたガラスまたはプラスチック材料からなるマトリックス材料で形成される。
【0042】
任意で、発光半導体要素は、例えば、キャリア要素1の、発光半導体要素23を実装する面と同一の面に配置する反射要素5を含む。反射要素5は、例えば、銀またはTiO2等の金属または金属酸化物材料から構成される。反射要素は、発光半導体要素によって生成された光およびフィルタ要素で反射された光をフィルタ要素4方向に反射し、それにより、フィルタ要素4に突き当たる光部分を増幅する。
【0043】
図2Bは、本明細書に記載の発光装置のさらなる実施形態を示す。この実施形態において、発光装置は、発光要素23のハウジングであるキャリア要素1を含む。このハウジングは、凹所を含み、その中に発光要素23を配置している。発光要素23は、反射要素5を成すキャリア要素1の側壁によって包囲されている。
【0044】
図2Bに示す実施形態のフィルタ要素4は、発光要素23を被覆する板の形状であり、キャリア要素1によるハウジングの被覆板を成している。
【0045】
図2Cは、本明細書に記載の発光装置のさらなる実施形態を示す。この実施形態において、フィルタ要素4は、球状である。発光要素23は、キャリア要素1の少なくとも2つの面上に配置される。この形態により、全方向にフィルタ透過光12を出射することができる発光装置が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
有利なことに、本明細書に記載の発光要素を、省エネルギーランプまたは従来のフィラメントランプの代わりに使用されるレトロフィットLED電球等として使用可能である。
【0047】
本発明は、特定の実施形態に限定されず、さまざまな実施形態の要素の任意の組合せを含む。さらに、本発明は、本特許請求項の任意の組合せ、および、本特許請求項に開示した特徴の任意の組合せを含む。