(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980570
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】ゲームプログラム、ゲーム制御方法、及びゲーム装置
(51)【国際特許分類】
A63F 13/211 20140101AFI20160818BHJP
【FI】
A63F13/211
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-117881(P2012-117881)
(22)【出願日】2012年5月23日
(65)【公開番号】特開2013-244050(P2013-244050A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】512135089
【氏名又は名称】山崎 宏幸
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 宏幸
【審査官】
彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−153059(JP,A)
【文献】
特開2007−236696(JP,A)
【文献】
特開2001−170358(JP,A)
【文献】
特開2008−041013(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3082115(JP,U)
【文献】
国際公開第2011/122214(WO,A1)
【文献】
iPhonePeople Summer−Autumn(アスキームック),日本,株式会社アスキー・メディアワークス,2010年 7月29日,Pages 110-112
【文献】
iPhonePeople Spring−Summer(アスキームック),日本,株式会社アスキー・メディアワークス,2010年 4月26日,Page 111
【文献】
ファイティングスタジオ,コロコロカービィ 必勝攻略法(ゲームボーイ完璧攻略シリーズ42),日本,株式会社双葉社,2000年10月20日,初版,Pages 6,7,10
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00 − 13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームのプレイヤの操作に応じて、ディスプレイに表示されるゲーム空間でオブジェクトを移動させるゲームに使用するコンピュータを、
前記オブジェクトが移動可能な移動可能状態と、前記オブジェクトが移動不能な移動不能状態とを切り替える切替操作を前記プレイヤが行ったか否かを検出する切替操作検出手段、及び
前記移動可能状態の期間に、前記プレイヤが把持するプレイヤ操作物の傾きを検出する傾き検出手段を用いて、前記切替操作検出手段が前記移動可能状態への切替操作を検出した検出時点の前記プレイヤ操作物の傾きを基準にして該プレイヤ操作物が傾けられる方向に応じて前記オブジェクトを移動させる移動処理手段として機能させることを特徴とするゲームプログラム。
【請求項2】
前記移動処理手段では、前記切替操作のためのアイコンに前記プレイヤが接触している期間、又は、前記切替操作のためのボタン若しくはレバーを前記プレイヤが押している期間に亘って、前記オブジェクトが移動可能な状態に設定されることを特徴とする請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記移動処理手段は、前記検出時点に前記傾き検出手段により検出される傾き基準値と、前記傾き検出手段により検出される傾き現在値とを比較することによって、前記検出時点の前記プレイヤ操作物の傾きを基準にして該プレイヤ操作物が傾けられる方向を検出することを特徴とする請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
ゲームのプレイヤの操作に応じて、ディスプレイに表示されるゲーム空間でオブジェクトを移動させるゲームに使用するコンピュータが実行するゲーム制御方法であって、
前記オブジェクトが移動可能な移動可能状態と、前記オブジェクトが移動不能な移動不能状態とを切り替える切替操作を前記プレイヤが行ったか否かを検出する切替操作検出ステップと、
前記移動可能状態の期間に、前記プレイヤが把持するプレイヤ操作物の傾きを検出する傾き検出手段を用いて、前記移動可能状態への切替操作を検出した時点の前記プレイヤ操作物の傾きを基準にして該プレイヤ操作物が傾けられる方向に応じて前記オブジェクトを移動させる移動処理ステップとを備えることを特徴とするゲーム制御方法。
【請求項5】
ゲームのプレイヤの操作に応じて、ディスプレイに表示されるゲーム空間でオブジェクトを移動させるゲーム装置であって、
前記プレイヤにより把持されるプレイヤ操作物と、
前記プレイヤ操作物に設けられ、前記プレイヤ操作物の傾きを検出する傾き検出手段と、
前記プレイヤ操作物に設けられ、前記オブジェクトが移動可能な移動可能状態と、前記オブジェクトが移動不能な移動不能状態とを切り替える切替操作を前記プレイヤが行うための切替操作入力手段と、
前記切替操作を前記プレイヤが行ったか否かを検出する切替操作検出手段と、
前記移動可能状態の期間に、前記傾き検出手段を用いて、前記移動可能状態への切替操作を前記切替操作検出手段が検出した時点のプレイヤ操作物の傾きを基準にして該プレイヤ操作物が傾けられる方向に応じて前記オブジェクトを移動させる移動処理手段とを備えることを特徴とするゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイに表示されるゲーム空間でプレイヤの操作に応じてオブジェクトを移動させるゲームに使用するゲームプログラム、ゲーム制御方法、及びゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイに表示されるゲーム空間のオブジェクト(例えば、キャラクタ)をゲームのプレイヤが移動させながらゲームの目的を達成するゲーム(例えば、ロールプレイングゲーム)が知られている。このようなゲームのプログラムが、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1には、傾斜センサからの検出信号を利用してゲームを進行させるゲーム進行手段を備えた電子ゲーム装置が記載されている。この電子ゲーム装置では、ゲーム進行手段が、表示画面上に静止可能な移動物体を表示させるとともに、その移動物体を傾斜センサからの検出信号に基づいて移動させる。この電子ゲーム装置は、ROMに格納されているゲームプログラムに基づいて動作し、傾斜センサからの検出信号に従って表示制御回路が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−153059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、プレイヤが把持するプレイヤ操作物(例えば、携帯端末本体、ゲームコントローラ)の傾きに応じてゲーム空間でオブジェクトを移動させる場合に、従来は、例えばゲームの開始時に、オブジェクトが移動しない基準の傾きが決まる。そして、その基準の傾きに対するプレイヤ操作物の傾きの変化に応じて、オブジェクトがゲーム空間を移動する。しかし、例えば電車内など不安定になる場所でプレイヤがゲームを行う場合は、プレイヤと共にプレイヤ操作物が傾くため、緻密なオブジェクトの操作が難しく、オブジェクトを静止させたいのに動いてしまう場合がある。
【0006】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、プレイヤが不安定な場所または姿勢でゲームを行う場合であっても、プレイヤの操作に応じてオブジェクトを的確に操作できるゲームプログラム、ゲーム制御方法、及びゲーム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明のゲームプログラムは、ゲームのプレイヤの操作に応じて、ディスプレイに表示されるゲーム空間でオブジェクトを移動させるゲームに使用するコンピュータを、オブジェクトが移動可能な移動可能状態と、オブジェクトが移動不能な移動不能状態とを切り替える切替操作をプレイヤが行ったか否かを検出する切替操作検出手段、及び、移動可能状態の期間に、プレイヤが把持するプレイヤ操作物の傾きを検出する傾き検出手段を用いて、切替操作検出手段が移動可能状態への切替操作を検出した検出時点のプレイヤ操作物の傾きを基準にしてプレイヤ操作物が傾けられる方向に応じてオブジェクトを移動させる移動処理手段として機能させる。
【0008】
また、移動処理手段では、切替操作のためのアイコンにプレイヤが接触している期間、又は、切替操作のためのボタン若しくはレバーをプレイヤが押している期間に亘って、オブジェクトが移動可能な状態に設定してもよい。また、移動処理手段は、検出時点に傾き検出手段により検出される傾き基準値と、傾き検出手段により検出される傾き現在値とを比較することによって、検出時点のプレイヤ操作物の傾きを基準にしてプレイヤ操作物が傾けられる方向を検出してもよい。
【0009】
また、本発明のゲーム制御方法は、ゲームのプレイヤの操作に応じて、ディスプレイに表示されるゲーム空間でオブジェクトを移動させるゲームに使用するコンピュータが実行するゲーム制御方法であって、オブジェクトが移動可能な移動可能状態と、オブジェクトが移動不能な移動不能状態とを切り替える切替操作をプレイヤが行ったか否かを検出する切替操作検出ステップと、移動可能状態の期間に、プレイヤが把持するプレイヤ操作物の傾きを検出する傾き検出手段を用いて、移動可能状態への切替操作を検出した時点のプレイヤ操作物の傾きを基準にしてプレイヤ操作物が傾けられる方向に応じてオブジェクトを移動させる移動処理ステップとを備える。
【0010】
また、本発明のゲーム装置は、ゲームのプレイヤの操作に応じて、ディスプレイに表示されるゲーム空間でオブジェクトを移動させるゲーム装置であって、プレイヤにより把持されるプレイヤ操作物と、プレイヤ操作物に設けられ、プレイヤ操作物の傾きを検出する傾き検出手段と、プレイヤ操作物に設けられ、オブジェクトが移動可能な移動可能状態と、オブジェクトが移動不能な移動不能状態とを切り替える切替操作をプレイヤが行うための切替操作入力手段と、切替操作をプレイヤが行ったか否かを検出する切替操作検出手段と、移動可能状態の期間に、傾き検出手段を用いて、移動可能状態への切替操作を切替操作検出手段が検出した時点のプレイヤ操作物の傾きを基準にしてプレイヤ操作物が傾けられる方向に応じてオブジェクトを移動させる移動処理手段とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、移動可能状態への切替操作をプレイヤから受け付けた時点のプレイヤ操作物の傾きを基準にしてプレイヤ操作物が傾けられる方向に応じてオブジェクトを移動させるため、移動可能状態への切替操作の時点でプレイヤ操作物がいかなる方向に傾いていたとしてもオブジェクトは移動しない。移動可能状態への切替操作後の状態から、プレイヤ操作物を傾けることで初めてオブジェクトが移動する。このため、プレイヤがどのような姿勢であっても的確にオブジェクトを操作することができる。従って、プレイヤは、寝転がった状態など、自由な姿勢でゲームをプレイすることができる。また、プレイヤが切替操作によって、オブジェクトを移動不能な状態へ切り替えることができるため、不安定な場所でプレイヤと共にプレイヤ操作物が傾いたとしても、プレイヤの意図に反してオブジェクトが移動することを阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係るゲームプログラムがインストールされた携帯端末の概略構成図
【
図2】実施形態に係るゲームプログラムによって携帯端末で実行される処理を説明するためのフローチャート
【
図3】実施形態に係る携帯端末のディスプレイに表示されるゲーム空間におけるキャラクタの移動を説明するための携帯端末の正面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0014】
本実施形態は、本発明に係るゲームプログラムがインストールされた携帯端末100(例えば、スマートフォン)である。携帯端末100は、タッチパネル式の入力装置を備えている。他方、ゲームプログラムは、二次元又は三次元のゲーム空間でキャラクタを移動させながらゲームの目的を達成するゲーム(例えば、ロールプレイングゲーム)のプログラムである。ゲームプログラムは、例えば、ダウンロードにより取得される。ゲームのプレイヤ(携帯端末100の操作者)は、携帯端末100を手に持った状態で、携帯端末100のタッチパネル103に入力したり、携帯端末100を傾けたりしながら、ゲームのキャラクタを操作する。
【0015】
携帯端末100は、
図1に示すように、ディスプレイ101とスピーカ102とタッチパネル103と傾きセンサ104と制御部105とを備えている。ディスプレイ101には、ゲーム空間と、そのゲーム空間をプレイヤの操作に応じて移動するキャラクタとを含むゲーム画像が表示される。また、スピーカ102は、ゲームの状況に応じて効果音などを出力する。タッチパネル103は、ディスプレイ101の前面に重ねられている。タッチパネル103には、例えば、タッチパネル103に作用する圧力を感知する感圧式のタッチセンサを使用できる。ただし、タッチパネル103は、感圧式のタッチセンサに限定されない。傾きセンサ104は、携帯端末100の傾きを検出するためのセンサである。傾きセンサ104は、携帯端末100の傾きを表す出力値を出力する。傾きセンサ104には、例えば、携帯端末100を傾ける際の携帯端末100の加速度に基づく出力値を出力するものを使用できる。ただし、傾きセンサ104は、このようなものに限定されず、地磁気など他の状態量を利用するものであってもよい。
【0016】
制御部105は、CPU111(Central Processing Unit)とROM112(Read Only Memory)とRAM113(Random Access Memory)とディスプレイコントローラ114とタッチパネル検出部115とを備えている。
【0017】
CPU111は、ROM112とRAM113とディスプレイコントローラ114とタッチパネル検出部115などの各構成要素と接続されている。CPU111は、ゲームプログラムに基づいて各種処理を実行する。また、CPU111は、傾きセンサ104の出力値に基づいて、携帯端末100の傾き(具体的に、傾き方向及び傾き度合い)を検出する。
【0018】
ROM112は、ゲームプログラムを記憶している。また、ROM112は、ゲーム空間の地形データとキャラクタデータとを記録している。地形データは、ゲーム空間に存在する地形の画像データである。キャラクタデータは、ゲーム空間を移動するキャラクタの画像データである。一方、RAM113は、CPU111のワークメモリとしてのWRAM(Work RAM)及び、画像処理に利用されるVRAM(Video RAM)として機能する。
【0019】
ディスプレイコントローラ114は、ゲームプログラムに基づいてCPU111で行われる画像処理を受けて映像信号をディスプレイ101に出力し、ディスプレイ101のゲーム画像を変化させる。また、ディスプレイコントローラ114は、ゲームプログラムに基づいてCPU111で行われるアイコン表示処理を受けて、プレイヤがゲームの操作に使用するアイコンをディスプレイ101に表示させる。
【0020】
このようなアイコンの1つとしては、キャラクタがゲーム空間を移動可能な移動可能状態と、キャラクタがゲーム空間を移動不能な移動不能状態との間の切り替えをプレイヤが行うための切替操作に使用される移動用アイコン120がある。移動用アイコン120は、例えば、ディスプレイ101の隅角部(
図3では、左下の隅角部)に表示される。移動用アイコン120には、キャラクタの移動を想起させる画像(例えば、足の画像)が使用される。移動用アイコン120は、例えば、ゲームのプレイ中にキャラクタを移動させることができる状況のときだけ表示される。
【0021】
タッチパネル検出部115は、タッチパネル103の出力信号を受けて、携帯端末100の操作者又はタッチペンがタッチパネル103に接触している領域を判定し、タッチパネル103における接触領域を表す接触領域判定信号をCPU111に出力する。
【0022】
続いて、ゲームプログラムについて説明する。ゲームプログラムは、ゲームの進行状況に応じてゲーム画像を変化させるためのメインプログラム、ゲーム空間でキャラクタを移動させるための移動用プログラムなどから構成されている。以下では、移動用プログラムについて説明を行う。
【0023】
移動用プログラムは、プレイヤが携帯端末100を傾ける操作に応じて、ゲーム空間のキャラクタを移動させるためのプログラムである。移動用プログラムは、携帯端末100を切替操作検出手段、及び移動処理手段として機能させる。
【0024】
切替操作検出手段は、移動可能状態と移動不能状態との切り替えを行う上記切替操作をプレイヤが行ったか否かを検出する。移動処理手段は、移動可能状態の期間に、プレイヤが把持する携帯端末100の傾きを検出するための傾きセンサ104を用いて、切替操作検出手段が第1の切替操作を検出した第1操作検出時点の携帯端末100の傾きを基準にして携帯端末100が傾けられる方向に応じてキャラクタを移動させる。移動処理手段では、切替操作のためのアイコン120にプレイヤの指121が接触している期間に亘って、キャラクタが移動可能な状態に設定される。移動処理手段は、傾きセンサ104の出力値を逐次受け、第1操作検出時点の傾きセンサ104の出力値と、現在の傾きセンサ104の出力値とを比較することによって、第1操作検出時点の携帯端末100の傾きを基準にして携帯端末100が傾けられる方向を検出する。
【0025】
具体的に、プレイヤは、移動用アイコン120を用いて切替操作を行う。CPU111は、移動用アイコン120の表示中に、タッチパネル検出部115から受ける接触領域判定信号に基づいて、移動用アイコン120におけるプレイヤの指121の接触の有無を判定する。CPU111は、移動用アイコン120にプレイヤの指121が接触したことを検出した場合(つまり、非接触状態から接触状態に変化したことを検出した場合)に、移動可能状態への切替操作(以下、「第1の切替操作」という。)をプレイヤが行ったことを検出し、移動不能状態から移動可能状態に切り替える。また、CPU111は、移動用アイコン120からプレイヤの指121が離れたことを検出した場合(つまり、接触状態から非接触状態に変化したことを検出した場合)に、移動不能状態への切替操作(以下、「第2の切替操作」という。)をプレイヤが行ったことを検出し、移動可能状態から移動不能状態に切り替える。CPU111は、プレイヤの指121が移動用アイコン120に接触している期間に亘って移動可能状態に設定する。
【0026】
CPU111は、第1の切替操作を検出した第1操作検出時点の傾きセンサ104の出力値を、傾き基準値に設定する。CPU111では、移動可能状態の期間に亘って傾きセンサ104の出力値が逐次更新される。CPU111は、傾きセンサ104の現在の出力値(最新の出力値)を傾き基準値と比較することによって、第1操作検出時点の携帯端末100の傾きを基準にして携帯端末100が現在どの方向に傾けられているのかを検出し、検出した方向に応じてキャラクタが移動するように画像処理を行う。CPU111は、画像処理後の画像データをディスプレイコントローラ114に出力する。ディスプレイコントローラ114は、CPU111から受けた画像データに基づいて映像信号を生成し、その映像信号をディスプレイ101に出力する。
【0027】
続いて、
図2に示すフローチャートを参照して、ゲーム空間でキャラクタを移動させるための処理について説明する。
【0028】
まず、ステップS201では、CPU111が、第1の切替操作を受けたか否かを判定する。第1の切替操作を受けたと判定された場合は、移動不能状態から移動可能状態へ切り替えられて、ステップS202へ移行する。一方、第1の切替操作を受けていないと判定された場合は、フローチャートの処理を終了させる。
【0029】
ステップS202では、CPU111が、第1操作検出時点の傾きセンサ104の出力値を傾き基準値に設定する。傾き基準値は、RAM113に記憶される。RAM113が以前に記憶した傾き基準値を格納している場合は、RAM113における傾き基準値が、今回のステップS202で設定された傾き基準値に上書きされる。
【0030】
次に、ステップS203からステップS206までのキャラクタ移動処理が行われる。ステップS203では、CPU111が、ステップS203を行う時点の現在の傾きセンサ104の検出値を検出する。ステップS204では、CPU111が、RAM113に格納されている傾き基準値を読み出し、読み出した傾き基準値と傾きセンサ104の現在の検出値との差分値を算出する。ステップS205では、CPU111が、ステップS204で算出した差分値に基づいて、携帯端末100が現在傾けられている方向を検出し、その検出した方向をキャラクタの移動方向に決定する。ステップS206では、CPU111が、ステップS205で決定した移動方向にキャラクタがゲーム空間を所定の速度で移動するように画像処理を行う。ディスプレイコントローラ114は、画像処理後の画像データを受けて、映像信号をディスプレイ101に出力する。その結果、ディスプレイ101には、ゲーム空間をキャラクタが移動する様子が表示される。なお、キャラクタの移動に伴ってゲーム空間の地形も変化する。
【0031】
具体的に、移動用アイコン120をプレイヤが指121で押した時点から、
図3(A)に示すように、例えば携帯端末100の右端を持ち上げるように傾けられた場合は、ゲーム空間においてキャラクタが左へ移動する。携帯端末100の左端を持ち上げるように傾けられた場合はキャラクタが右へ移動する。
図3(B)に示すように、携帯端末100の上端がプレイヤに近づくように傾けられた場合は、キャラクタがゲーム空間の手前側へ移動する。携帯端末100の下端がプレイヤに近づくように傾けられた場合は、キャラクタがゲーム空間の奥側へ移動する。
【0032】
次に、ステップS207では、CPU111が、第2の切替操作を受けたか否かを判定する。第2の切替操作を受けたと判定された場合は、移動可能状態から移動不能状態へ切り替えられて、フローチャートの処理を終了させる。一方、第2の切替操作を受けていないと判定された場合は、ステップS203に戻る。なお、ステップS202からステップS206の処理中に、第2の切替操作を受けたと判定した場合においても、フローチャートの処理を終了させてもよい。
【0033】
キャラクタ移動処理は、第2の切替操作を受けたと判定されるまで繰り返される。これにより、プレイヤが指121で移動用アイコン120を押下したまま携帯端末100を傾ける操作に応じて、キャラクタが移動する。
<実施形態の効果>
【0034】
実施形態によれば、第1の切替操作をプレイヤから受け付けた時点の携帯端末100の傾きを基準にして携帯端末100が傾けられる方向に応じてキャラクタを移動させるため、第1の切替操作の時点で携帯端末100がいかなる方向に傾いていたとしてもキャラクタは移動しない。第1の切替操作後の状態から、携帯端末100を傾けることで初めてキャラクタが移動する。このため、プレイヤがどのような姿勢であっても的確にキャラクタを操作することができる。従って、プレイヤは、寝転がった状態など自由な姿勢でゲームをプレイすることができる。また、プレイヤが切替操作によって、キャラクタを移動不能な状態へ速やかに切り替えることができるため、不安定な場所でプレイヤと共に携帯端末100が傾いたとしても、プレイヤの意図に反してキャラクタが移動することを阻止することができる。
【0035】
また、キャラクタを移動させる際に、携帯端末100を常に指で押さえることになるため、操作の安定性が高く、携帯端末100を落とす危険性を低下させることができる。
【0036】
また、キャラクタの移動に、移動可能状態と移動不能状態を切り替えるための移動用アイコン120が使用される。ここで、ディスプレイ101にキャラクタを上下左右に移動させるための十字のキーのアイコンを表示させる場合には、「上」、「下」、「左」、「右」と少なくとも4つの操作感知領域が必要である。それに対して、実施形態では、移動用アイコン120が1つの操作感知領域から構成されている。従って、キャラクタの移動に使用するアイコンを小さくすることでき、アイコンがディスプレイ101を占有する割合を低下させることができる。また、移動用アイコン120がディスプレイ101の隅角部に表示されるため、キャラクタが指に隠れて見えにくくなることを抑制でき、ディスプレイ101を様々な画像の表示や他のアイコンの表示に有効活用できる。
【0037】
また、プレイヤは移動用アイコン120の1箇所を押すだけでよいため、例えばタッチパネル上を指でなぞるフリック操作によってキャラクタを移動させる場合に比べて、指の疲労を低減でき、タッチパネル103の汚れを低減できる。また、フリック操作では、ディスプレイ101上において指を移動させる際にゲーム画面が見えにくくなるが、本実施形態では指を移動させる必要がないため、ゲーム画面の視認性を向上させることができる。
《その他の実施形態》
【0038】
上記実施形態は以下に記載するような構成であってもよい。
【0039】
上記実施形態において、CD−ROMやDVDなど、コンピュータ読み取り可能な任意の記録媒体を通じてゲームプログラムがゲーム装置へ供給されてもよい。
【0040】
また、上記実施形態において、ゲーム装置は、携帯型のゲーム装置に限らず、据え置き型のゲーム装置であってもよい。この場合に、ゲーム装置の本体とは別体のゲームコントローラをプレイヤが把持する場合は、ゲームコントローラに傾きセンサが設けられ、ゲームコントローラの傾きに応じてキャラクタ移動処理が行われる。また、ゲームコントローラに設けられたボタン又はレバーで、プレイヤが切替操作を行う。CPU111は、ボタン又はレバーをプレイヤが押している期間に亘って移動可能状態に設定する。
【0041】
また、上記実施形態において、移動可能状態を保つために、移動用アイコン120にプレイヤの指121をずっと接触させるのではなく、移動不能状態で移動用アイコン120にプレイヤの指121が接触すると移動可能状態に切り替わり、その切り替え直後に、移動用アイコン120から離れたプレイヤの指121が再び移動用アイコン120に接触すると移動不能状態へ切り替わるようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施形態において、傾き基準値と傾きセンサ104の現在の検出値との差分値の大きさに応じて、キャラクタの移動速度を変化させてもよい。
【0043】
また、上記実施形態において、カートリッジを通じてゲーム装置にゲームプログラムが供給されてもよい。その場合に、カートリッジに傾きセンサ104が設けられていてもよい。
【0044】
また、上記実施形態において、プレイヤの操作対象がキャラクタ以外のオブジェクト(例えば、パズルのブロック)であってもよい。
【0045】
また、上記実施形態において、キャラクタの移動は歩行に限らず、腕の移動(例えば、剣を振る)や全身の移動(例えば、空を飛行する)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、ディスプレイに表示されるゲーム空間でプレイヤの操作に応じてオブジェクトを移動させるゲームに使用するゲームプログラム、ゲーム制御方法、及びゲーム装置等に利用できる。
【符号の説明】
【0047】
100 携帯端末(コンピュータ、ゲーム装置、プレイヤ操作物)
101 ディスプレイ
102 スピーカ
103 タッチパネル(切替操作検出手段)
104 傾きセンサ(傾き検出手段)
105 制御部
111 CPU(切替操作検出手段、移動処理手段)
112 ROM
113 RAM
114 ディスプレイコントローラ
115 タッチパネル検出部
120 移動用アイコン(切替操作入力手段)