特許第5980596号(P5980596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980596
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】スライドロック装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/06 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   E03C1/06
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-149115(P2012-149115)
(22)【出願日】2012年7月3日
(65)【公開番号】特開2014-9568(P2014-9568A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(73)【特許権者】
【識別番号】394000415
【氏名又は名称】中央化成品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白石 明遠
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩司
(72)【発明者】
【氏名】三上 浩
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−231648(JP,A)
【文献】 特開2008−190121(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01365077(EP,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0016988(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00−1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内部材の長手方向に沿ってスライド可能なホルダーを前記案内部材の任意の位置でロックするスライドロック装置であって、
前記ホルダーに取付けられる操作部材と、
前記ホルダーに組込まれ前記操作部材を戻し方向に付勢する付勢部材と、
前記ホルダーに対し変位可能に取付けられ、前記案内部材との対向面に押し当て面を有し通常時にはこの押し当て面を前記案内部材の外周面に圧接させて前記ホルダーを前記案内部材の任意の位置に保持し、前記操作部材が操作されたときには前記押し当て面を案内部材から離間させて前記案内部材に対する前記ホルダーの保持を解除するロック部材とを備え、
前記操作部材と前記ロック部材との間には、前記操作部材の変位方向を前記案内部材の長手方向に交差する方向へと変換することで、前記ロック部材の前記押し当て面を前記案内部材の外周面に正対させつつ平行移動させる方向変換機構が介在されており、
前記方向変換機構は、前記ホルダーに対して回動軸を中心として揺動可能に支持されたレバーを有し、
前記レバーの一端側には前記操作部材に係合する第1係合部が形成され、他端側には前記ロック部材に係合する第2係合部が形成され、かつ前記回動軸と前記第1係合部との間の距離は、前記回動軸と前記第2係合部との間の距離よりも長く形成されていることを特徴とするスライドロック装置。
【請求項2】
前記方向変換機構は、前記ホルダーと前記ロック部材とのいずれか一方に設けられたガイド部と、他方側に設けられた被ガイド部とを有し、前記ガイドには前記被ガイド部を摺動させて前記ロック部材に対し前記押し当て面を平行移動させるよう案内する案内面が形成されていることを特徴とする請求項1記載のスライドロック装置。
【請求項3】
前記ロック部材は、前記ガイド部の前記案内面による案内作用を受けて、前記案内部材に対して直交する方向に案内されることを特徴とする請求項2記載のスライドロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシャワーヘッドを保持するホルダーの高さ調整等に用いられるスライドロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のスライドロック装置として下記特許文献1が知られている。特許文献1には、浴室の壁面に取り付けられる案内部材に沿ってスライド可能なホルダー(シャワーフック)が開示されている。ホルダーには握り操作可能なロックレバーを備えている。ロックレバーの先端には案内部材の外周に当接する当接ロック部が設けられている。通常時は、ロックレバーの回動軸に設けられたトーションばねにより、当接ロック部が案内部材の外周面に強く押し当てられてホルダーが案内部材の所望の高さ位置で保持されるようになっている。一方、ロックレバーがトーションばねに抗して握り操作されると、当接ロック部が案内部材の外周面から離れ、ホルダーが案内部材に沿ってスライド自在となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−158273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したものにおいては、ロックレバーの回動軸はロックレバーの途中の高さ位置(先端寄り)に設けられているため、ロックレバーはシーソ状に揺動する。したがって、ロックレバーの先端部に取り付けられた当接ロック部は円弧状の軌跡を描いて揺動するため、当接ロック部はその全面が案内部材に対して押し当てられるのではなく、先端の一部のみが片当たりした状況となっている。このため、当接ロック部は案内部材に対する押し当て面積が十分に確保されず、保持力が十分に確保されない虞があった。また、長期に亘って使用されると当接ロック部の先端のみが片摩耗して経時的に保持力がさらに低下してしまうことも懸念された。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、保持力の維持・向上を図ることができるスライドロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスライドロック装置は、案内部材の長手方向に沿ってスライド可能なホルダーを案内部材の任意の位置でロックするスライドロック装置であって、
ホルダーに取付けられる操作部材と、
ホルダーに組込まれ操作部材を戻し方向に付勢する付勢部材と、
ホルダーに対し変位可能に取付けられ、案内部材との対向面に押し当て面を有し通常時にはこの押し当て面を案内部材の外周面に圧接させてホルダーを案内部材の任意の位置に保持し、操作部材が操作されたときには押し当て面を案内部材から離間させて案内部材に対するホルダーの保持を解除するロック部材とを備え、
操作部材とロック部材との間には操作部材の変位方向を案内部材の長手方向に交差する方向へと変換して、ロック部材の押し当て面を案内部材の外周面に正対させつつ平行移動させる方向変換機構が介在されており、
方向変換機構は、ホルダーに対して回動軸を中心として揺動可能に支持されたレバーを有し、
レバーの一端側には操作部材に係合する第1係合部が形成され、他端側にはロック部材に係合する第2係合部が形成され、かつ回動軸と第1係合部との間の距離は、回動軸と第2係合部との間の距離よりも長く形成されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
案内部材に対するホルダーの保持位置を調整する場合には、操作部材を付勢部材に抗して操作すると、操作部材の変位方向が方向変換部材により転換される結果、ロック部材は押し当て面を案内部材に対して正対したまま案内部材から離間する。これにより、ホルダーは案内部材に対し自在にスライド可能となり、ホルダーを案内部材に沿って所望の高さ位置に移動させることができる。この位置で、操作部材に対する操作を解除すると、操作部材は付勢部材によって原位置へ復帰する。これに伴い、ロック部材は方向変換部材によって押し当て面を案内部材に正対させつつ案内部材に接近する方向へ方向転換され、その結果、ロック部材の押し当て面は正対状態のまま案内部材に押し当てられる。したがって、案内部材に対する押し当て面積を広く確保することができ、保持力の向上を図ることができる。また、押し当て面は案内部材に対して片当たりすることがないから、長期間の使用によっても片摩耗が生じにくく、保持力を長期間に亘って維持することができる。また、レバーは倍力機構として機能するため、ホルダーの位置調整時における操作部材の操作力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1において案内部材に取り付けられたホルダーを示す斜視図
図2】ホルダーの分解斜視図
図3】操作部材の操作前の状態を示す正断面図
図4】操作部材の操作後の状態を示す正断面図
図5図3のA−A線断面図
図6参考例におけるホルダーの正断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
方向変換機構は、ホルダーとロック部材とのいずれか一方に設けられたガイド部と、他方側に設けられた被ガイド部とを有し、ガイド部には被ガイド部を摺動させてロック部材に対し押し当て面を平行移動させるよう案内する案内面が形成された構成としてもよい。
このような構成によれば、被ガイド部がガイド部の案内面によって押し当て面の平行移動の動作が案内されるため、ロック部材の動作の確実性が高められる。
【0011】
<実施例1>
図1は、シャワーヘッド用ホルダーの取付状態を示している。ホルダーHは、浴槽の壁面に縦向きに固定された円柱状の案内部材Gに沿って昇降可能に取付けられている。シャワーヘッドSは接続金具3を介してホースHOの一端に接続されている。接続金具3は、図3に示すように、上端側へ向けて拡径するテーパ状に形成されており、これによりシャワーヘッドSがシャワーフック1に差し込まれたときに下方へ抜け落ちないようにすることができる。シャワーフック1の構成については、後に改めて説明する。
【0012】
図2はホルダーHの構成部品を示している。ホルダーHは合成樹脂製の一対のホルダーケース2を有している。それぞれの外面側は化粧カバー4によって覆われるようになっている。両ホルダーケース2は水平方向から整合状態で突き合わされ、複数個所をねじ止めすることによってホルダーHとして合体される。
【0013】
合体後のホルダーHの一端側には円筒状をなす保持凹部5が形成され、図1に示すように、保持凹部5内に案内部材Gが挿通される。保持凹部5の内周面は案内部材Gを取り囲み、案内部材Gの長手方向に沿って摺動する摺動面6となっている。摺動面6には、詳細には図示しないが、縦向きかつ径方向内向きに突出して形成された複数の突条が略等角度間隔毎に配されており、各突条の先端を案内部材Gの外周面に当接させることで摺動抵抗の低減が図られている。
【0014】
図1に示すように、ホルダーHの他端側にはシャワーヘッドSを保持するためのシャワーフック装着部7となっている。シャワーフック装着部7は平面視でコの字状をなしている。図2に示すように、シャワーフック装着部7に取り付けられるシャワーフック1は、一対の円板部1Aと両円板部1Aを連結する連結部1Bとから一体に形成され、平面視で略コの字形状をなしている。両円板部1Aの対向面の先端側は厚肉となって開口幅が絞ってあり、シャワーヘッドSがシャワーフック1から前方へ抜けないようにしている。
【0015】
本実施例1では、シャワーヘッドSの保持角度を鉛直面内で調整可能にするために、シャワーフック1はホルダーHに対して自在に角度調整ができるようになっている。
【0016】
すなわち、図2に示すように、両円板部1Aの外面の中心部には水平方向外方へ筒型の支持軸部8が突出し、シャワーフック装着部7の壁面7Aには支持凹所9が凹設され支持軸部8が回動可能に差し込まれている。また、図3に示すように、支持軸部8の外周面には扇型の内側規制部10が所定角度範囲に亘り径方向外方へ張出している。これに対応し、支持凹所9の外周面は所定角度範囲に亘って径方向外方へ拡張されて内側規制凹所11となっている。内側規制凹所11は内側規制部10よりも広い角度範囲をもって凹み形成されている。シャワーフック1は内側規制部10と内側規制凹所11との端面同士が当接するまでの角度範囲に亘って回動することができる。
【0017】
また、図2に示すように、シャワーフック1の両円板部1Aの外面であって支持軸部8と連結部1Bの外周面との間にはピン軸状に形成された外側規制部12が突出している。
【0018】
一方、シャワーフック装着部7の壁面であって、外側規制部12に対応した位置には外側規制凹所13が凹み形成されている。外側規制凹所13は所定角度範囲に亘る弧状に形成され、外側規制部12の先端が摺動可能に差し込まれている。本実施例1においては、内側規制部10と内側規制凹所11の端面同士が当接すると、外側規制部12と外側規制凹所13の端面同士も同時に当接し合う関係となっている。かくして、シャワーフック1はシャワーフック装着部7に対して所定角度範囲に亘って回動可能となる。
【0019】
図3等に示すように、シャワーフック1における連結部1Bの外面は円弧形状をなしているとともに、同面には周方向に沿って複数の噛み合い歯14が設けられ、それぞれは連結部1Bの全幅に亘って形成されている。これに対し、両ホルダーケース2の内面の中央部寄りにはブロック状をなす台部15が突設され、ホルダーHとして合体されたときには台部15同士が位置決めされた状態で突き合わされる。台部15同士の突き合わせ状態において、シャワーフック1と対向する側面はシャワーフック1に対する逃がし面16が形成される。この逃がし面16はシャワーフック1の連結部1Bの外周面形状に適合可能な円弧状に形成されるとともに、その高さ方向の中央部にはシャワーフック装着部7側に向けて開口する収容室17が凹み形成され、内部にはシャワーフック1を所望の角度位置に保持するためのストッパ18が移動可能に収容されている。
【0020】
ストッパ18においてシャワーフック1の連結部1Bと対向する面には高さ方向へ図示三条の爪縁19が突出形成され、シャワーフック1の噛み合い歯14と選択的に噛み合うことができる。収容室17においてストッパ18の背面側にはスプリング20が配置されている。スプリング20は、その軸線がシャワーフック1の回動軸線へ向けて配されストッパ18をシャワーフック1に押し付ける方向に付勢しており、シャワーフック1を強制的に回動させるときには噛み合い歯14と爪縁19との噛み合い位置を変更できるよう、ストッパ18の後退動作を許容するとともに、噛み合い位置の変更後はシャワーフック1の噛み合い歯14と爪縁19との噛み合いを促す役割を果たす。
【0021】
図2に示すように、ストッパ18の両側面にはガイドリブ21が水平方向に突出して形成されている。これに対し、収容室17の側面にはガイドリブ21がスライド可能に嵌め入れられるガイド溝22が、スプリング20の軸線と平行に凹み形成されている。このガイドリブ21とガイド溝22との嵌め合いによってストッパ18は、シャワーフック1の径方向に沿って接近あるいは離間方向への変位が案内され、かくして噛み合い歯14と爪縁19との噛み合い位置を順次変更することができる。
図3に示すように、シャワーフック1における連結部1Bの内面には、ゴム製の滑り止め43が装着されている。
【0022】
次に、ホルダーHを案内部材Gの所望の高さ位置で保持するための構成について説明する。
【0023】
ホルダーH内の中央部であって、台部15に隣接した部位は操作部材23を収容するための収容スペース24となっている。収容スペース24は下方及び保持凹部5と対向する側に開放した空間とされている。操作部材23はホルダーHの分割方向に長い長円形状に形成され、収容スペース24に対し縦向きにかつ下端部がホルダーHから突出した状態で収容され、ホルダーHの移動方向である上下方向へ押し込んだりあるいは戻りの動作が可能となっている。
【0024】
操作部材23の上面の中央部とホルダーHの天井面2Aとの間には、縦向きに戻しばね25(付勢部材)が設けられていて、操作部材23を下方(戻し方向)へ付勢している。操作部材23の長軸方向(図3において紙面と直交する方向)に対向する両側面には一対のガイド突起26が水平方向に突出し、両ホルダーケース2の対応位置に縦向きにかつ肉厚方向に貫通して形成されたガイドスリット27へスライド可能に嵌め入れられている。そして、操作部材23はガイド突起26とガイドスリット27とが摺動可能に嵌め入れられることによって操作部材23の移動が案内されるとともに、ホルダーHから下方への抜け止めが図られている。
【0025】
図3に示すように、ホルダーH内において、台部15と保持凹部5との間にはロック部材28が組込まれている。ロック部材28は、ホルダーHの天井面2AとホルダーHの下面であって収容スペース24と保持凹部5との間に形成された受け面2Bとによって上下から挟まれている。
【0026】
ロック部材28はブロック状に形成された基部29を有している。基部29は受け面2BとホルダーHの天井面2Aとの間隔よりも低い高さに形成されているが、基部29のうち案内部材Gと対向する側の面は上方へ延長されて延長壁30が形成されている。延長壁30の後方の空間は、後述するレバー33の連結片33Bとの干渉を回避する逃がし空間とされている。
【0027】
延長壁30は、その上端がホルダーHの天井面2Aに至る高さ寸法をもって形成されている。ロック部材28における案内部材Gとの対向面は、上記延長壁30を含めて案内部材Gの外周面の曲率に適合する円弧形状に形成されている。また、基部29のうち案内部材Gと対向する面のほぼ全面には押し当て部材31が組み付けられている。押し当て部材31の前面はロック部材28の前面よりもごく僅かに前方へ突出しており、案内部材Gに対する押し当て面32を構成している。押し当て面32はロック部材28における周囲の面と同様の曲率を持った円弧面とされ、操作部材23が通常位置にあるとき(図3に示す位置)に案内部材Gの外周面に沿って押し当て可能である。
【0028】
次に、操作部材23の上下の操作方向をロック部材28の水平方向の変位に変換する方向変換機構Dについて説明する。
【0029】
方向変換機構Dは、ロック部材28と操作部材23との間に介在されるレバー33と、ロック部材28とホルダーHとの間に設けられたガイド部35及び被ガイド部36とを備えて構成されている。
【0030】
レバー33は、図2に示すように、一対のレバー片33Aと両レバー片33A同士を連結する連結片33Bとから構成されている。両レバー片33Aの外面においてロック部材28寄りの位置には回動軸34が外向きに突出している。一方、両ホルダーケース2の側壁面の対応位置には回動軸34が差し込まれる受け孔37が開口し、これによってレバー33はホルダーH内において回動軸34を中心として揺動可能に支持される。また、両レバー片33Aの外面における回動軸34から遠い側の端部には、周縁側へ開口する溝状をなす第1係合部38が形成されている。第1係合部38は操作部材23の長軸方向側の両側面における上端寄りの外面に突出して形成された一対の第1係合軸部39とそれぞれ係合可能である。
【0031】
さらに、両レバー片33Aの外面において回動軸34より近い側の端部には、第2係合部40が形成されている。この第2係合部40はロック部材28の基部29の両側面であって上端近くに突出する一対の第2係合軸部41と係合可能である。また、第1係合部38(正確には第1係合部38の軸心)から回動軸34の軸心までの距離は、第2係合部40(正確には第2係合軸部41の軸心)までの距離よりも長く設定されている。
【0032】
かくして、操作部材23が上方へ押し込み操作されると、操作部材23に対する操作力はレバー33による倍力作用を受けてロック部材28に伝達される。
【0033】
図3に示すように、ホルダーHの内面であってロック部材28との対向面には一対の被ガイド部36が突設されている。この被ガイド部36は水平方向に若干長く形成された方形状に形成されている。一方、ロック部材28の基部29の両側面の下端部には被ガイド部36に対応して一対のガイド部35が設けられている。ガイド部35は操作部材23側へ向けて開口し水平方向に延出する枠状に形成され、その上辺及び下辺は案内面42となっている。被ガイド部36は両案内面42によって上下から挟み込まれ、水平方向に沿って摺動可能である。
【0034】
次に、上記のように構成された本実施例1の作用効果を説明する。操作部材23が押し込み操作される前の通常時においては、図3に示すように、操作部材23は戻しばね25のばね力によって押し下げられた位置に保持されている。したがって、第1係合軸部39と第1係合部38との係止によって、レバー33には回動軸34を中心として図示反時計回りのトルクが作用している。これにより、第2係合部40と第2係合軸部41との係止によりロック部材28に対しては案内部材Gへ向かう水平方向の力が生じる。この力はロック部材28における押し当て部材31の押し当て面32が案内部材Gの外周面に対する圧接力として作用するため、押し当て面32と案内部材Gの外周面との間の摩擦力によってホルダーH全体を案内部材Gの所定位置に保持することができる。
【0035】
ホルダーHの保持位置を調節する場合には、図4に示すように、戻しばね25のばね力に抗して操作部材23を押し込む。すると、レバー33は回動軸34を中心として図示時計回りに回動するため、ロック部材28は第2係合部40と第2係合軸部41との係合によって案内部材Gから離間する方向の力を受ける。すなわち、このときには、ホルダーH側の両被ガイド部36とロック部材28側のガイド部35とが嵌まり合い、ガイド部35と被ガイド部36とが相対的に摺動する間に両案内面42による案内作用を受けるため、ロック部材28は水平方向の動作が案内される。かくして、操作部材23の上方への変位が、ロック部材28の水平方向への変位に変換される。
【0036】
上記の結果、案内部材Gに対するロック部材28の押し当て状態が解除されるため、操作部材23を押し込んだままホルダーHを案内部材Gに沿って昇降させれば、ホルダーHを所望とする高さ位置に移動させることができる。この高さ位置で操作部材23の押込みを解除すると、操作部材23は戻しばね25のばね力によって原位置に復帰する。これに伴い、レバー33は回動軸34を中心として図示反時計周りに回動するため、ロック部材28は案内部材Gへ向けて水平に移動する。すなわち、ロック部材28は押し当て面32を鉛直方向、つまり案内部材Gに対して正対した姿勢のまま平行移動し、そのまま案内部材Gに対して圧接する。このときには、押し当て面32の全領域が案内部材Gの外周面に圧接するため、ロック部材28は案内部材Gに対する押し当て面積が広く確保されており、ホルダーHの保持状態を安定させることができる。
【0037】
また、本実施例1ではロック部材28の変位は図3に示す圧接位置と図4に示す調整位置との間を移動する際、ガイド部35と被ガイド部36との嵌め合いを通じた案内機能により、押し当て面32を鉛直に保持しつつ平行移動するようにしたため、前述した片当たり状態が回避されるため、経時的な片摩耗も未然に回避することができる。特に、本実施例のようにガイド部35を案内部材Gに対して直行するように設けた場合は、押し当て面32により案内部材Gを圧接する力が逃げないため、より強固な固定とすることができる。
【0038】
さらに、レバー33は、操作部材23の上下の操作方向をロック部材28の水平方向の変位に変換させることができるとともに、操作部材23の操作力がてこの原理を利用した倍力作用を介してロック部材28に伝達されるようにしたため、軽い操作力でもってロック部材28に圧接および解除の動作を行わせることができる。
【0039】
本実施例1では次のような効果も奏することができる。仮に、ホルダーHに対し操作部材23を横向きに組み付けて水平方向の操作によってロック部材28を直接水平移動させるようにすれば、方向変換機構を用いなくて済む。しかし、操作部材23をホルダーHに対して横向きに組み付けたのでは、操作部材23がホルダーHから水平方向外方へ突出して装置全体が幅方向へ大型化してしまう。その点、本実施例のように方向変換機構Dを設ければ操作部材23を縦向きに組み付けることができるため、ホルダーHを幅方向に関してコンパクトに構成することができる。
【0040】
また、実施例1においてはロック部材28の上端に延長壁30を設けており、水や異物が入り込みにくくしているが、押し当て面32の形成領域は強度の低い延長壁30には及んでおらず、ブロック状に形成された基部29の前面領域の範囲内に設定されているから、圧接に伴う反力によりロック部材28が変形してしまうことはない。
【0041】
参考例
図6参考例を示している。同図においては、本参考例の構成が簡略化して示してある。ホルダーケース2、操作部材23についての基本的構成は実施例1と同様である。本参考例ではレバー50が倍力機能を有していない点、及びロック部材51が押し当て面52を鉛直面内に保ったまま鉛直方向に関して斜めに平行移動する点において実施例1と相違している。
【0042】
具体的には、ロック部材51における図示手前側と奥側の両側面には被ガイド部53が突設されている。両被ガイド部53はロック部材51の全高さ範囲に及ぶ高さを有するとともに、ロック部材51の上端でかつ案内部材G寄りのコーナから下端中央にかけて斜めに形成されている。一方、ホルダーHの内壁面の対応位置には被ガイド部53が摺動可能に嵌合するガイド部54が溝状に凹み形成されている。ガイド部54は被ガイド部53の勾配と同勾配をもって斜めに凹み形成され、長辺側で対向する溝壁には被ガイド部53を摺動可能に案内する案内面55が形成されている。
【0043】
レバー50は長さ方向の中央部に回動軸56が配されていて、回動軸56と第1係合軸部57との間の距離と回動軸56と第2係合軸部58との間の距離はほぼ等しく設定されている。
【0044】
上記のように構成された本参考例によれば、操作部材23が操作される前の状態では、レバー50は図6において実線で示される姿勢となっていて、ロック部材51の押し当て面52全体を案内部材Gの外周面に押し付けることができる。ホルダーHの高さ位置を調整する場合には、操作部材23を戻しばね25のばね力に抗して押し込むと、レバー50が回動軸34を中心として図示時計周りに回動する(同図想像線で示す状態)。これにより、ロック部材28は被ガイド部53がガイド部54の案内面55に案内されることで、案内部材Gから離間する方向へ平行移動する結果、押し当て面52は鉛直面を保ったまま案内部材Gの外周面から斜め下方へと後退する。その結果、ホルダーHを案内部材Gに沿って昇降させることができる。そして、所望とする高さ位置において操作部材23の押込み操作を解除すれば、上記とは逆順にてロック部材28が案内部材G側へ向けて斜め上方へ変位し、再び押し当て面52を案内部材Gの外周面に圧接させ、ホルダーH全体を案内部材Gの同位置に保持することができる。
【0045】
以上のように、本参考例においても、ロック部材51の押し当て面52は鉛直状態を保ったまま変位するため、案内部材Gに対して押し当て面の全体を圧接させることができるため、押し当て面52の片摩耗を解消してホルダーHの保持を長期間に亘って安定的に行うことができる。
【0046】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、スライドロック装置としてシャワーヘッドのホルダーHに適用した場合を示したが、これに限らず、本発明は案内部材に沿って移動し任意の位置で保持する機構に広く適用可能である。
【0047】
(2)上記実施例では、操作部材23の押し込み操作によってロック部材28を移動させるようにしたが、操作部材23の引っ張り操作によってロック部材28の移動を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
23…操作部材
25…戻しばね(付勢部材)
28,51…ロック部材
32,52…押し当て面
33,50…レバー
35,54…ガイド部
36,53…被ガイド部
42,55…案内面
38…第1係合部
40…第2係合部
H…ホルダー
G…案内部材
D…方向変換機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6