(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980646
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】方向指示操作装置、ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
B60R 16/027 20060101AFI20160818BHJP
B62D 1/04 20060101ALI20160818BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
B60R16/027 T
B62D1/04
B60R16/02 630B
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-224949(P2012-224949)
(22)【出願日】2012年10月10日
(65)【公開番号】特開2014-76714(P2014-76714A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 悠祐
【審査官】
森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−063103(JP,A)
【文献】
実開平05−086659(JP,U)
【文献】
特開2008−289058(JP,A)
【文献】
特開2012−153323(JP,A)
【文献】
特開2004−142553(JP,A)
【文献】
特開2005−085506(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0040455(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0241818(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/027
B60R 16/02
B62D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングホイールに設けられ、方向を指示する操作を受け付ける方向操作部と、
前記方向操作部からの出力信号に基づいて、方向指示器の点灯を制御する制御部と、
を備え、
前記方向操作部は、
前記ステアリングホイールに固定される固定部材と、
前記固定部材に対して移動可能に設けられた可動部材と、
前記可動部材の表面に設けられた第1の操作部と、
前記第1の操作部を両側から挟むように前記固定部材上に設けられた一対の第2の操作部と、
を有し、
前記可動部材は、前記第1の操作部に対する押下操作が解除されると押下された押下位置から初期位置に復帰するモメンタリ構造になっており、
前記制御部は、前記可動部材が前記初期位置から前記押下位置まで移動させられると、前記第1の操作部から前記第2の操作部への操作入力を有効とすること、
を特徴とする方向指示操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の方向指示操作装置において、
前記制御部は、前記可動部材が前記押下位置まで移動させられた状態で所定時間以上保持されたときに、前記第1の操作部から前記第2の操作部への操作入力を有効とすること、
を特徴とする方向指示操作装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の方向指示操作装置において、
前記制御部は、前記第1の操作部から前記第2の操作部への操作入力を有効とした後に、再び、前記可動部材が前記押下位置まで移動されたときに、前記第2の操作部による操作入力をキャンセルすること、
を特徴とする方向指示操作装置。
【請求項4】
請求項1に記載の方向指示操作装置において、
前記第2の操作部に設けられたタッチセンサと、
前記可動部材に設けられた遮光部と、
前記可動部材が前記押下位置まで移動されたときに前記遮光部が検出光の光路を遮断するように配置された光センサと、
前記第2の操作部に設けられたタッチセンサと前記光センサとに電気的に接続された基板と、
を備え、
前記制御部は、前記遮光部により前記光センサの発光部からの光が遮断されたときに、前記第1の操作部から前記第2の操作部への操作入力を有効とすること、
を特徴とする方向指示操作装置。
【請求項5】
請求項4に記載の方向指示操作装置において、
前記第1の操作部に設けられたタッチセンサと、
前記可動部材と前記基板との間に設けられ、前記第1の操作部に設けられたタッチセンサと前記基板とを電気的に接続し、かつ、前記可動部材を前記基板から離れる方向に付勢して前記可動部材を前記初期位置に復帰させる、導電性部材により形成された付勢部材と、
を備えること、
を特徴とする方向指示操作装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の方向指示操作装置において、
前記制御部は、前記遮光部により前記光センサの発光部からの光が遮断された状態が所定時間以上継続したときに、前記第1の操作部から前記第2の操作部への操作入力を有効とすること、
を特徴とする方向指示操作装置。
【請求項7】
請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載の方向指示操作装置において、
前記制御部は、前記第2の操作部からの操作入力を有効とした後に、再び、前記遮光部により前記光センサの発光部からの光が遮断されたときに、前記第2の操作部による操作入力をキャンセルすること、
を特徴とする方向指示操作装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の方向指示操作装置において、
前記制御部は、前記第1の操作部から前記第2の操作部への操作入力を有効とした時点から所定時間以内に前記第2の操作部が操作されたときに、前記方向指示器の点灯を開始すること、
を特徴とする方向指示操作装置。
【請求項9】
請求項8に記載の方向指示操作装置において、
前記制御部は、前記第1の操作部から前記第2の操作部への操作入力を有効とした時点から所定時間以内に前記第2の操作部が操作されないときに、前記第2の操作部からの操作入力を無効とすること、
を特徴とする方向指示操作装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の方向指示操作装置において、
前記方向操作部は、前記ステアリングホイールのグリップ部を把持した状態で操作可能な運転者の親指の可動範囲内に、前記第1の操作部を中心として一対の前記第2の操作部が配置されていること、
を特徴とする方向指示操作装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の方向指示操作装置を備えるステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の方向指示器の操作を行う方向指示操作装置、ステアリングホイールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の方向指示操作は、ステアリングコラムに設けられたコンビネーションスイッチの方向指示用レバーを操作することにより行われていた(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平2−47047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような従来の方法では、方向指示器の操作を行う場合、運転者が片手をステアリングホイールから離した状態で、コンビネーションスイッチの方向指示用レバーを操作する必要があった。
また、コンビネーションスイッチは、構造が複雑で小型化が困難であった。
さらに、方向指示器の操作については、車両運行の安全上の観点から、操作が簡単であることと、意図しないときに誤作動してしまわないようにすることが要求されるので、単純なスイッチをステアリングホイールに装着する等の手法を用いることができなかった。
【0005】
本発明の課題は、ステアリングホイールから手を離すことなく簡単に操作を行え、構造が簡単で小型であって、誤作動を防止できる方向指示操作装置、及び、方向指示操作装置を備えるステアリングホイールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
請求項1の発明は、車両のステアリングホイール(1)に設けられ、方向を指示する操作を受け付ける方向操作部(11,12,21,22)と、前記方向操作部からの出力信号に基づいて、方向指示器の点灯を制御する制御部(30)と、を備え、前記方向操作部は、前記ステアリングホイールに固定される固定部材(11)と、前記固定部材に対して移動可能に設けられた可動部材(12)と、前記可動部材の表面に設けられた第1の操作部(21)と、前記第1の操作部を両側から挟むように前記固定部材上に設けられた一対の第2の操作部(22)と、を有し、前記可動部材は、前記第1の操作部に対する押下操作が解除されると押下された押下位置から初期位置に復帰するモメンタリ構造になっており、前記制御部は、前記可動部材が前記初期位置から前記押下位置まで移動させられると、前記第1の操作部から前記第2の操作部への操作入力を有効とすること、を特徴とする方向指示操作装置(10)である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の方向指示操作装置において、前記制御部(30)は、前記可動部材(12)が前記押下位置まで移動させられた状態で所定時間以上保持されたときに、前記第1の操作部(21)から前記第2の操作部(22)への操作入力を有効とすること、を特徴とする方向指示操作装置(10)である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の方向指示操作装置において、前記制御部(30)は、前記第1の操作部(21)から前記第2の操作部(22)への操作入力を有効とした後に、再び、前記可動部材(12)が前記押下位置まで移動されたときに、前記第2の操作部による操作入力をキャンセルすること、を特徴とする方向指示操作装置(10)である。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1に記載の方向指示操作装置において、前記第2の操作部に設けられたタッチセンサ(22)と、前記可動部材(12)に設けられた遮光部(12b)と、前記可動部材が前記押下位置まで移動されたときに前記遮光部が検出光の光路を遮断するように配置された光センサ(14)と、前記第2の操作部に設けられたタッチセンサと前記光センサとに電気的に接続された基板(13)と、を備え、前記制御部(30)は、前記遮光部により前記光センサの発光部からの光が遮断されたときに、前記第1の操作部(21)から前記第2の操作部への操作入力を有効とすること、を特徴とする方向指示操作装置(10)である。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載の方向指示操作装置において、前記第1の操作部に設けられたタッチセンサ(21)と、前記第1の操作部に設けられたタッチセンサと前記基板(13)との間に設けられ、前記第1の操作部(21)と前記基板(13)とを電気的に接続し、かつ、前記可動部材(12)を前記基板から離れる方向に付勢して前記可動部材を前記初期位置に復帰させる、導電性部材により形成された付勢部材(15)と、を備えること、を特徴とする方向指示操作装置(10)である。
【0012】
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5に記載の方向指示操作装置において、前記制御部(30)は、前記遮光部(12b)により前記光センサ(14)の発光部(14a)からの光が遮断された状態が所定時間以上継続したときに、前記第1の操作部(21)から前記第2の操作部(22)への操作入力を有効とすること、を特徴とする方向指示操作装置(10)である。
【0013】
請求項7の発明は、請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載の方向指示操作装置において、前記制御部(30)は、前記第2の操作部(22)からの操作入力を有効とした後に、再び、前記遮光部(12b)により前記光センサ(14)の発光部(14a)からの光が遮断されたときに、前記第2の操作部による操作入力をキャンセルすること、を特徴とする方向指示操作装置(10)である。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の方向指示操作装置において、前記制御部(30)は、前記第1の操作部(21)から前記第2の操作部(22)への操作入力を有効とした時点から所定時間以内に前記第2の操作部が操作されたときに、前記方向指示器の点灯を開始すること、を特徴とする方向指示操作装置(10)である。
【0015】
請求項9の発明は、請求項8に記載の方向指示操作装置において、前記制御部(30)は、前記第1の操作部(21)から前記第2の操作部(22)への操作入力を有効とした時点から所定時間以内に前記第2の操作部が操作されないときに、前記第2の操作部からの操作入力を無効とすること、を特徴とする方向指示操作装置(10)である。
【0016】
請求項10の発明は、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の方向指示操作装置において、前記方向操作部(11,12,21,22)は、前記ステアリングホイール(1)のグリップ部(1c)を把持した状態で操作可能な運転者の親指の可動範囲内に、前記第1の操作部(21)を中心として一対の前記第2の操作部(22)が配置されていること、を特徴とする方向指示操作装置(10)である。
【0017】
請求項11の発明は、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の方向指示操作装置(10)を備えるステアリングホイール(1)である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ステアリングホイールから手を離すことなく簡単に操作を行え、構造が簡単で小型であって、誤作動を防止できる方向指示操作装置、及び、方向指示操作装置を備えるステアリングホイールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態による方向指示操作装置10を備えるステアリングホイール1を示す概略図である。
【
図2】方向指示操作装置10の構成の概要を示す図であり、可動部材12が初期位置にある状態を示す図である。
【
図3】
図2中の矢印B方向から見た方向指示操作装置10を示す図である。
【
図4】光センサ14を
図2中の矢印C−Cで切断した断面図である。
【
図5】
図2の初期位置から、指Fにより可動部材12が押下されて押下位置まで可動部材12が移動した状態を
図2と同様にして示した図である。
【
図6】光センサ14を
図5中の矢印D−Dで切断した断面図である。
【
図7】
図5の状態から、指Fを左の第2のタッチセンサ22Lに移動させた状態を示す図である。
【
図8】
図7中の矢印E方向から見た方向指示操作装置10を示す図である。
【
図9】方向指示操作装置10の制御に関する構成を説明するブロック図である。
【
図10】制御部30が行う方向指示操作装置10の動作の制御を操作者の動作も併せて説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0021】
(実施形態)
図1は、本発明による方向指示操作装置を備えるステアリングホイールの実施形態を示す図である。
なお、
図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
【0022】
図1は、本発明の実施形態による方向指示操作装置10を備えるステアリングホイール1を示す概略図である。
図1では、ステアリングホイール1を、車両が直進する回転位置で示しており、以下、この位置を直進位置と呼ぶ。また、以下の説明で、特に説明しない場合には、左右とは、この
図1の向きにおける左右(車両の進行方向を向いた状態における左右)を指すものとする。
【0023】
ステアリングホイール1は、スポーク部1aの乗員側の面に方向指示操作装置10を備えている。本実施形態の方向指示操作装置10では、ステアリングホイール1のグリップ部1cを把持した状態で操作可能な運転者の親指の可動範囲内に、後述する可動部材12の第1のタッチセンサ21を中心として一対の後述する固定部材11の第2のタッチセンサ22が配置されている。なお、本実施形態では、方向指示操作装置10は、乗員側からステアリングホイール1に向かって右側にのみ設けている。しかし、ステアリングホイール1は、たとえば、左側のスポーク部1bに方向指示操作装置10を設けてもよい。
【0024】
図2は、方向指示操作装置10の構成の概要を示す図であり、可動部材12が初期位置にある状態を示す図である。
図3は、
図2中の矢印B方向から見た方向指示操作装置10を示す図である。
なお、
図2は、基本的には、
図1中の矢印A−Aの位置で切断した断面に準じた形状で示しているが、構成の説明のために適宜各種構成を重ねて示しているので、正確な断面図ではない。また、
図2以降の図中には、操作者(運転者)の指Fを適宜含めている。
方向指示操作装置10は、方向を指示する操作を受け付ける方向操作部として、固定部材11と、可動部材12と、基板13と、光センサ14と、付勢部材15と、配線16,17とを備えている。
【0025】
固定部材11は、ステアリングホイール1に固定されている。固定部材11の乗員側、すなわち、ステアリングホイール1の乗員側の表面と略同一方向を向く面には、第2の操作部として第2のタッチセンサ22が設けられている。この第2のタッチセンサ22は、後述する可動部材12の第1のタッチセンサ21(第1の操作部)を両側から挟むようにして2つ、すなわち、左右に分けられて一対設けられている。以下、第2のタッチセンサ22のうち、左側を左の第2のタッチセンサ22Lとし、右側を右の第2のタッチセンサ22Rとし、これらをまとめて示すときには、第2のタッチセンサ22と表記する。
【0026】
可動部材12は、その乗員側の表面に第1の操作部として第1のタッチセンサ21を有している。この第1のタッチセンサ21及び上述の第2のタッチセンサ22は、静電容量式センサであり、この上を操作者の指Fでなぞる等すると、静電容量の変化を検出して、入力操作として対応する信号を出力する。なお、タッチセンサとしては、感圧式等、他の方式のセンサを用いてもよい。また、可動部材12は、固定部材11内を
図2中の上下方向に移動可能に設けられている。具体的には、可動部材12は、第1のタッチセンサ21の表面が第2のタッチセンサ22の表面よりも突出した
図2の初期位置から、第1のタッチセンサ21の表面が第2のタッチセンサ22の表面と略同一平面上になる押下位置までの間で移動可能である。可動部材12は、その両端部が固定部材11のガイド溝11bにガイドされており、滑らかに移動可能である。また、可動部材12は、第1のタッチセンサ21に対する操作者(運転者)による押下操作が解除されると、付勢部材15の付勢力によって、押下位置から初期位置に復帰するモメンタリ構造になっている。操作力が負荷されていない状態では、可動部材12は、その両端部の上方に形成された棚部12cが、固定部材11の位置決め棚部11cに当接して、初期位置を保持する。また、可動部材12の基板13に面する位置には、遮光部12bと、位置決め凸部12dとが設けられている。
【0027】
基板13は、配線パターンが形成された回路基板であって、第2のタッチセンサ22とは反対側で第2のタッチセンサ22と対向するように固定部材11に固定されている。基板13は、配線16により第2のタッチセンサ22L,22Rとそれぞれ個別に電気的に接続され、また、光センサ14がその表面に実装されて電気的に接続されている。さらに、基板13は、付勢部材15及び配線17を介して第1のタッチセンサ21と電気的に接続されている。
【0028】
図4は、光センサ14を
図2中の矢印C−Cで切断した断面図である。
光センサ14は、発光部14aと受光部14bとが筐体14cに一体的に設けられたフォトインタラプタであり、基板13に実装されている。可動部材12が初期位置にあるときには、発光部14aが発光する検出光が受光部14bに到達可能である。
【0029】
図2に戻って、付勢部材15は、可動部材12と基板13との間に設けられた圧縮コイルバネである。付勢部材15は、導電性部材により形成されており、一端部が基板13に当接して電気的に接続され、他端部が配線17に電気的に接続されている。よって、基板13は、付勢部材15及び配線17を介して第1のタッチセンサ21との電気的な接続を確保できる。
【0030】
図5は、
図2の初期位置から、指Fにより可動部材12が押下されて押下位置まで可動部材12が移動した状態を
図2と同様にして示した図である。
図6は、光センサ14を
図5中の矢印D−Dで切断した断面図である。
押下位置では、可動部材12の位置決め凸部12dが基板13に当接して、所定位置(押下位置)で可動部材12が停止するようになっている。また、この押下位置では、遮光部12bが光センサ14の発光部14aと受光部14bとの間に侵入して、発光部14aが発光する検出光を遮る。よって、検出光は、受光部14bへ到達できない。これにより、光センサ14は、可動部材12が押下位置まで移動したことを検出できる。
【0031】
図7は、
図5の状態から、指Fを左側の第2のタッチセンサ22Lに移動させた状態を示す図である。
図8は、
図7中の矢印E方向から見た方向指示操作装置10を示す図である。
図5の状態から、指Fを左の第2のタッチセンサ22Lに移動させると、指Fが第2のタッチセンサ22Lに接触し、可動部材12からは、指Fが離れる。よって、可動部材12を押下位置に保持する力がなくなり、可動部材12は、付勢部材15の付勢力によって、初期位置へ復帰する。
なお、図示しないが、指Fを右の第2のタッチセンサ22Rに移動させた場合も、左に移動させた場合と同様である。
【0032】
図9は、方向指示操作装置10の制御に関する構成を説明するブロック図である。
方向指示操作装置10は、上述した
図2等に示した方向操作部としての構成の他に、制御部30を備えている。
【0033】
制御部30は、方向指示操作装置10の動作を制御する制御回路である。制御部30には、第1のタッチセンサ21と、第2のタッチセンサ22とから、指Fの接触(タッチ)を検出した結果が入力される。また、制御部30には、光センサ14による検出結果も入力される。さらに、制御部30は、第2のタッチセンサ22による操作入力の結果に応じて左ウィンカー40Lと右ウィンカー40Rとの発光を制御する。
【0034】
図10は、制御部30が行う方向指示操作装置10の動作の制御を操作者の動作も併せて説明するフローチャートである。
【0035】
ステップ(以下、Sとする)110では、制御部30は、第2のタッチセンサ22による入力を無効とする。これにより、操作者の指Fが誤って触れてしまったときの誤動作を防止できる。
【0036】
S120では、制御部30は、第1のタッチセンサ21に指Fがタッチしたか否かを判断する。第1のタッチセンサ21に指Fがタッチしている場合には、S130へ進む。一方、第1のタッチセンサ21に指Fがタッチしていない場合には、このS120の判断を繰り返す。このステップを行うことにより、指Fが可動部材12を押していることを確認することができる。
【0037】
S130では、制御部30は、可動部材12が押下位置まで押下されているか否かの判断を行う。具体的には、制御部30は、光センサ14がOFFしているか否かによって、可動部材12が押下位置まで押下されているか否かを判断する。光センサ14がOFFしており、可動部材12が押下位置まで押下されていると判断された場合には、S140へ進む。一方、光センサ14がONのままであり、可動部材12が押下位置まで押下されていないと判断された場合には、このS130の判断を繰り返す。
ここで、制御部30は、可動部材12が押下位置まで移動させられたと判断できる状態(光センサ14がOFFの状態)で所定時間以上保持されたときにのみ、S140へ進むものとする。よって、光センサ14がOFFとなっても、所定時間に満たない時間で光センサ14がONとなった場合には、S140へは進まずに、このS130の判断を繰り返す。これは、誤って指等が可動部材12にぶつかる等して、可動部材12を押し下げてしまったような場合や、いわゆるチャタリング状態においてまで第2のタッチセンサ22による入力を有効としないためである。
このステップを行うことにより、指Fが可動部材12を押下位置まで確実に押下していることを確認することができる。
【0038】
S140では、制御部30は、第2のタッチセンサ22による入力を有効とする。S120及びS130の判断によって、操作者がウィンカーの操作を行う意思をもって可動部材12を押下したことを確認できている。よって、制御部30は、ウィンカーを発光させるための第2のタッチセンサ22による入力を、このS140以降に有効とするのである。
【0039】
S150では、制御部30は、左の第2のタッチセンサ22Lに対して指Fによる接触(タッチ)があるか否かを確認することにより、操作者が左の第2のタッチセンサ22Lへ指Fをスライドさせたか否かの判断を行う。操作者が左の第2のタッチセンサ22Lへ指Fをスライドさせたと判断される場合には、S160へ進む。操作者が左の第2のタッチセンサ22Lへ指Fをスライドさせたと判断されない場合には、S180へ進む。なお、操作者が左の第2のタッチセンサ22Lへ指Fをスライドさせると、可動部材12は、付勢部材15の付勢力によって、初期位置へ自動的に復帰する。
【0040】
S160では、制御部30は、S140で第2のタッチセンサ22による入力を有効としてから所定時間以内に左の第2のタッチセンサ22Lへの操作入力、すなわち、左の第2のタッチセンサ22Lに対して指Fによる接触(タッチ)があるか否かの判断を行う。所定時間以内に左の第2のタッチセンサ22Lへの操作入力がある場合には、S170へ進む。一方、所定時間以内に左の第2のタッチセンサ22Lへの操作入力がない場合には、S110へ戻り、第2のタッチセンサ22による入力を無効とする。これにより、操作者が方向指示操作を途中で止めた場合等に、第2のタッチセンサ22が有効のままとなることを防ぎ、誤操作を防止できる。
【0041】
S170では、制御部30は、左ウィンカー40Lへの出力を行い、左ウィンカー40Lを発光制御する。
【0042】
S180では、制御部30は、右の第2のタッチセンサ22Rに対して指Fによる接触(タッチ)があるか否かを確認することにより、操作者が右の第2のタッチセンサ22Rへ指Fをスライドさせたか否かの判断を行う。操作者が右の第2のタッチセンサ22Rへ指Fをスライドさせたと判断される場合には、S190へ進む。操作者が右の第2のタッチセンサ22Rへ指Fをスライドさせたと判断されない場合には、S210へ進む。なお、操作者が右の第2のタッチセンサ22Rへ指Fをスライドさせると、可動部材12は、付勢部材15の付勢力によって、初期位置へ自動的に復帰する。
【0043】
S190では、制御部30は、S140で第2のタッチセンサ22による入力を有効としてから所定時間以内に右の第2のタッチセンサ22Rへの操作入力、すなわち、右の第2のタッチセンサ22Rに対して指Fによる接触(タッチ)があるか否かの判断を行う。所定時間以内に右の第2のタッチセンサ22Rへの操作入力がある場合には、S200へ進む。一方、所定時間以内に右の第2のタッチセンサ22Rへの操作入力がない場合には、S110へ戻り、第2のタッチセンサ22による入力を無効とする。これにより、操作者が方向指示操作を途中で止めた場合等に、第2のタッチセンサ22が有効のままとなることを防ぎ、誤操作を防止できる。
【0044】
S200では、制御部30は、右ウィンカー40Rへの出力を行い、右ウィンカー40Rを発光制御する。
【0045】
S210では、制御部30は、指Fが第1のタッチセンサ21から離れたか否かの判断を行う。指Fが第1のタッチセンサ21から離れた場合には、S110へ戻る。指Fが第1のタッチセンサ21から離れていない場合には、S150へ戻る。
【0046】
S220では、操作者は、ウィンカーをキャンセル(発光を止める)か否かの判断を行う。ウィンカーをキャンセルする場合には、S230へ進む。ウィンカーをキャンセルしない場合には、S110へ戻る。
【0047】
S230では、操作者は、可動部材12を押下する。可動部材12が押下されると、光センサ14がOFFされるので、これに応じて、制御部30は、左ウィンカー40L、又は、右ウィンカー40Rの発光を停止し、S110へ戻る。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、方向指示操作装置10は、タッチセンサを利用しているので、構造が簡単で小型化することができる。よって、本実施形態のように、方向指示操作装置10は、ステアリングホイール1のグリップ部1cを把持した状態で操作可能な運転者の親指の可動範囲内に配置可能である。よって、ステアリングホイール1から手を離すことなく簡単に操作を行える。また、本実施形態の方向指示操作装置10を操作する操作者は、第1のタッチセンサ21へのタッチ、可動部材12の押下操作、所定時間以内の第2のタッチセンサ22による操作が必要である。よって、操舵操作中等にステアリングホイール1を操作している手が誤って方向指示操作装置10に接触したりした場合等における誤作動を防止できる。さらに、ウィンカーを作動させるための上述した操作は、実際には、指Fで可動部材12を押したまま指Fをスライドさせるだけであり、簡単な操作で、方向指示を行える。さらに、タッチセンサと光センサを用いているので、機械的なスイッチが不要であり、機械的なスイッチに発生する摩耗等による故障のリスクを回避できる。
【0049】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
【0050】
(1)実施形態において、第2のタッチセンサ22(第2の操作部)は、第1のタッチセンサ21(第1の操作部)を挟んで左右(横方向)に一直線に並べて配置した例を挙げて説明した。これに限らず、たとえば、第2の操作部は、第1の操作部に対して縦方向や円弧方向に配置してもよい。
【0051】
(2)実施形態において、可動部材12の押下を検出するために光センサ14を設けた例を挙げて説明した。これに限らず、たとえば、可動部材12の押下を検出するために機械的なスイッチ(メカスイッチ)を用いてもよい。
【0052】
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0053】
1 ステアリングホイール
1a,1b スポーク部
1c グリップ部
10 方向指示操作装置
11 固定部材
11b ガイド溝
11c 位置決め棚部
12 可動部材
12b 遮光部
12c 棚部
12d 位置決め凸部
13 基板
14 光センサ
14a 発光部
14b 受光部
14c 筐体
15 付勢部材
16,17 配線
21 第1のタッチセンサ
22 第2のタッチセンサ
22L 左の第2のタッチセンサ
22R 右の第2のタッチセンサ
30 制御部
40L 左ウィンカー
40R 右ウィンカー