特許第5980716号(P5980716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980716
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】梱包体
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/26 20060101AFI20160818BHJP
   B65D 81/133 20060101ALI20160818BHJP
   B65D 85/86 20060101ALI20160818BHJP
【FI】
   B65D77/26 R
   B65D81/133 Z
   B65D85/38 R
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-93695(P2013-93695)
(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2014-213899(P2014-213899A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 真久
【審査官】 二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0076253(US,A1)
【文献】 特開2007−204125(JP,A)
【文献】 特開2007−137454(JP,A)
【文献】 特開2002−334923(JP,A)
【文献】 特開平07−307378(JP,A)
【文献】 特開平09−290862(JP,A)
【文献】 特開2010−208659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/26
B65D 81/133
B65D 85/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数のウェーハ収納容器を梱包する梱包体であって、
前記ウェーハ収納容器を振動から保護する緩衝体を備え、
前記緩衝体は、
外周壁と、
前記外周壁に囲まれ、前記ウェーハ収納容器の第1面部を収納可能に形成された第1収納凹部と、
前記第1収納凹部内に形成され、前記第1収納凹部に収納された前記ウェーハ収納容器を支持する支持部と、
前記外周壁に囲まれ、前記支持部を間にして複数形成され、前記ウェーハ収納容器の前記第1面部に隣接する第2面部を収納可能に形成された第2収納凹部と、
を備えることを特徴とする梱包体。
【請求項2】
前記第1収納凹部は、前記ウェーハ収納容器をそれに内蔵されるウェーハが水平状態になるように収納し、
前記第2収納凹部は、前記ウェーハ収納容器をそれに内蔵されるウェーハが垂直状態になるように収納する、
ことを特徴とする請求項1に記載の梱包体。
【請求項3】
前記支持部は、
隣接される前記第2収納凹部の間に形成される第1支持部と、
前記第1支持部の長手方向と交差する方向に延在する第2支持部と、
を有することを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の梱包体。
【請求項4】
前記第1支持部は、隣接する前記第2収納凹部を区画するリブで形成され、
前記第2支持部は、前記外周壁の内周面に設けられた棚部によって形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の梱包体。
【請求項5】
前記外周壁は、前記棚部と対向する内周面に、前記ウェーハ収納容器を前記棚部に載置させるための位置決め突起を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は梱包体に係り、特に、ウェーハ収納容器を梱包する梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の梱包体は、たとえば特許文献1ないし3に開示されたものが知られている。
特許文献1は、基板収納容器をその上下部において緩衝体を介して包装箱に収納した構成の梱包体の記載がある。各緩衝体の基板収納容器と対向する面は該基板収納容器と嵌合できる凹凸面が形成されている。
特許文献2は、ウェーハ容器をその上下部において緩衝体を介して外装箱に収納した構成の記載がある。各緩衝体の外装箱に対向する面は環状の緩衝突起が形成されている。
特許文献3は、ウェーハ用カセットケースをその上下部において緩衝部材を介して段ボール箱に収納した構成の記載がある。各緩衝体の段ボール箱に対向する面には複数の衝撃吸収ブロックが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−137454号公報
【特許文献2】特開2004−168324号公報
【特許文献3】特開2008−94417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1ないし3に開示される緩衝体(緩衝部材)は、いずれも、収納するウェーハ収納容器等の当接面の形状に合わせて凹凸を設けたものであり、特定された種類の緩衝体に対して、ウェーハ収納容器等の梱包の態様(梱包方向)が特定されていた。
ここで、ウェーハ収納容器は、いわゆる平置きの場合、収納される半導体ウェーハは水平状態にして垂直方向に多数配置されるようになっているが、各半導体ウェーハの撓みが生じてしまうのを回避するため、いわゆる縦置きにし、収納される各半導体ウェーハを垂直状態にしておく場合が往々にしてある。
この場合、緩衝体を、平置き用のウェーハ収納容器に対応するようにして形成した場合、ウェーハ収納容器を縦置きにして収納させたい場合において、該緩衝体を使用できず、他に、縦置き用に形成した緩衝体を予め用意しておかなければならないという不都合を生じる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウェーハ収納容器を平置きあるいは縦置きとして収納する場合でも対応できる緩衝体を備える梱包体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の梱包体は、1または複数のウェーハ収納容器を梱包する梱包体であって、前記ウェーハ収納容器を振動から保護する緩衝体を備え、前記緩衝体は、外周壁と、前記外周壁に囲まれ、前記ウェーハ収納容器の第1面部を収納可能に形成された第1収納凹部と、前記第1収納凹部内に形成され、前記第1収納凹部に収納された前記ウェーハ収納容器を支持する支持部と、前記外周壁に囲まれ、前記支持部を間にして複数形成され、前記ウェーハ収納容器の前記第1面部に隣接する第2面部を収納可能に形成された第2収納凹部と、を備えることを特徴とする。
(2)本発明の梱包体は、(1)の構成において、前記第1収納凹部は、前記ウェーハ収納容器をそれに内蔵されるウェーハが水平状態になるように収納し、前記第2収納凹部は、前記ウェーハ収納容器をそれに内蔵されるウェーハが垂直状態になるように収納する、ことを特徴とする。
(3)本発明の梱包体は、(1)、(2)のいずれかの構成において、前記支持部は、隣接される前記第2収納凹部の間に形成される第1支持部と、前記第1支持部の長手方向と交差する方向に延在する第2支持部と、を有することを特徴とする。
(4)本発明の梱包体は、(3)の構成において、前記第1支持部は、隣接する前記第2収納凹部を区画するリブで形成され、前記第2支持部は、前記外周壁の内周面に設けられた棚部によって形成されている、ことを特徴とする。
(5)本発明の梱包体は、(4)の構成において、前記外周壁は、前記棚部と対向する内周面に、前記ウェーハ収納容器を前記棚部に載置させるための位置決め突起を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このように構成した梱包体によれば、ウェーハ収納容器を平置きあるいは縦置きとして収納する場合でも充分に対応することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の梱包体の構成図で、ウェーハ収納容器をいわゆる平置きの状態で収納させた場合の断面図である。
図2】本発明の梱包体に具備される緩衝体の構成図で、(a)は平面図、(b)は(a)のb−b線における断面図、(c)は(a)のc−c線における断面図である。
図3】本発明の梱包体に収納されるウェーハ収納容器の構成図で、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
図4】本発明の梱包体の構成図で、ウェーハ収納容器をいわゆる縦置きの状態で収納させた場合の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
(実施形態1)
図1は、本発明の梱包体を示した断面図で、ウェーハ収納容器が収納された状態を示している。
図1において、ウェーハ収納容器10は、包装箱20内の底面に配置される第1緩衝体301と包装箱20内の上面に配置される第2緩衝体302とで挟持されるように配置されている。
【0010】
包装箱20は、たとえば、段ボールあるいは樹脂等で構成されている。第1緩衝体301、第2緩衝体302は、たとえば、ポリプロピレンなどポリオレフィン系樹脂からなる樹脂シートの加熱・真空成形法により製造されたものが用いられる。第1緩衝体301、第2緩衝体302は、それぞれ、ウェーハ収納容器10に当接する面において凹凸部51、52が形成され、これら第1緩衝体301、第2緩衝体302の緩衝性能は該凹凸部51、52が衝撃時に撓みあるいは凹むことによって発揮されるようになっている。
【0011】
ウェーハ収納容器10は、図1の場合において、いわゆる平置きの状態で包装箱20内に収納されている。
ここで、図3(a)、(b)を用いて、ウェーハ収納容器10の構成について概略的に説明する。図3(a)、(b)に示すウェーハ収納容器10は平置きの状態で描いている。
図3(a)に示すように、ウェーハ収納容器10は、有底円筒状の容器本体10Aと、この容器本体10Aに被せられる蓋体10Bとの組み合わせによって構成されている。
【0012】
容器本体10Aは、正方形の板状の基底部11の中央に容器円筒部12が突出され、この容器円筒部12には、その先端から基端に達するスリット13が周方向に沿って所定の幅で複数形成されている。蓋体10Bは、容器本体10Aの基底部11の一辺とほぼ同じ辺を有する正四角柱状をなし、蓋体円筒部14と、この蓋体円筒部14に外接する角筒部15とを有する。蓋体円筒部14は、容器本体10Aの容器円筒部12を覆い、その下端は容器本体10Aの基底部11の上面に着座されるようになっている。なお、容器本体10A、蓋体10Bは、たとえば、導電性フィラーを添加した導電性プラスチック、あるいはポリマーアロイ処理した導電性プラスチックを素材としている。
【0013】
図3(b)は、図3(a)のb−b線における断面図を示し、収納される半導体ウェーハW等をも併せて描いている。
図3(b)に示すように、半導体ウェーハWは、その上下面にスペーサシート16で挟んでトレー17内に収容され、それぞれ半導体ウェーハWを収容したトレー17、17、…は、多段に積み重ねられて配置されている。また、半導体ウェーハWを収容したトレー17、17、…の積層体は、容器本体10A側に配置されたクッション18と蓋体10B側に配置されたクッション19よって挟持され、半導体ウェーハWは、これらクッション18、19によって、重量あるいは締め付け力による破損から保護されるようになっている。
【0014】
図2(a)、(b)、(c)は、第1緩衝体301の構成を示す構成図で、(a)は平面図、(b)は(a)のb−b線における断面図、(c)は(a)のc−c線における断面図である。なお、第2緩衝体302は、第1緩衝体301と同様の構成からなっていて、第1緩衝体301を180°反転させて使用することができる。なお、第2緩衝体302の凹凸部52は、第1緩衝体301の凹凸部51と別形状とすることもできる。
上述したように、第1緩衝体301は、たとえば、樹脂シートの加熱・真空成形法により製造されるようになっている。
【0015】
第1緩衝体301は、平面視でたとえば正方形をなし、その周辺に沿って突起部からなる外周壁31が形成されている。
第1緩衝体301の外周壁31の形成によって、該外周壁31に囲まれる領域には奥行方向(図2(a)、(b)中α方向)に、順次、第1収納凹部32、第2収納凹部33が形成されるようになっている。
【0016】
すなわち、第1緩衝体301の外周壁31に囲まれる領域を一方向(たとえば図中β方向)へたとえば3等分に区分けする複数の突起部(リブ)からなる第1支持部34を形成し、該第1支持部34の高さhを外周壁の高さH(>h)よりも小さく形成する(図2(c)参照)ことによって、外周壁31の頂部から第1支持部34の頂部までの領域において第1収納凹部32が形成され、第1支持部34の頂部から第1緩衝体301の底面までの領域において該第1支持部34によって区分けされた3個の第2収納凹部33が形成されるようになっている。
また、第1支持部34のそれぞれの一端側の外周壁31の壁面にはその周方向に延在して棚部35が形成され、この棚部は、その高さが第1支持部34の高さhと同じとなることにより、第2支持部36として機能するようになっている。この場合、第2支持部36は第1支持部34に対して交差する方向に延在して形成されるようになる。
【0017】
第1支持部34、第2支持部36は、ともに第1収納凹部32に収納されるウェーハ収納容器(平置き状態の)10を支持できるようになっており、第1支持部34のみでウェーハ収納容器10を支持する場合に比べて、第2支持部36と併せて支持させることにより、その支持の信頼性を向上させるようになっている。なお、平置き状態のウェーハ収納容器10は、それに内蔵される半導体ウェーハWが水平状態に配置されるようになっている。
また、外周壁31には、前記棚部35対向する内周面(壁面)に、前記ウェーハ収納容器10を前記棚部35に載置させるための位置決め突起37が第1支持部34の長手方向に突出して形成されている。これにより、第1収納凹部32に収納されるウェーハ収納容器10は、第2支持部36である棚部35に確実に載置でき、第1支持部34とともに支持されるようになる。位置決め突起37がない場合は、第1収納凹部32と同じ幅の第2収納凹部33を形成する関係から、第1収納凹部32にウェーハ収納容器10を搭載した時のガタツキが大きくなる他、第1支持部34でのみウェーハ収納容器10を支持することも生じるので、負荷が大きくなってウェーハ収納容器10を安定的に支持することができなくなる。そのため、位置決め突起37により第1収納凹部32の中心(図中O)を、第2収納凹部33の中心(図中O’)から変位した位置になるようにずらすことで、第1支持部34と第2支持部36とで、ウェーハ収納容器10を支持することが可能となる。
【0018】
図4は、図1に対応する図であり、ウェーハ収納容器10がいわゆる縦置き状態で3個収納されている場合を示している。
この場合、第1緩衝体301、第2緩衝体302は、図1に示したものと同様のものを用い、包装箱20’は、図1に示した包装箱20よりも高さの大きいものを使用している。ウェーハ収納容器10を縦置き状態とした場合の高さ寸法に対応させるためである。なお、縦置き状態のウェーハ収納容器10は、それに内蔵される半導体ウェーハWが垂直状態に配置されるようになっている。
各ウェーハ収納容器10は、図4に示すように、第1緩衝体301、第2緩衝体302の第2収納凹部33に収納されるようになっている。
【0019】
このように構成した梱包体は、その緩衝体301、302が、ウェーハ収納容器10の第1面部(比較的広い面積を有する)を収納可能に形成された第1収納凹部32と、ウェーハ収納容器10の該第1面部に隣接する第2面部(比較的狭い面積を有する)を収納可能に形成された第2収納凹部33と、が形成されていることから、ウェーハ収納容器10を平置きあるいは縦置きとして収納する場合でも充分に対応することができるようになる。
【0020】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。例えば、第1緩衝体301、第2緩衝体302に設けられる凹凸部51、52は外周壁の下端部より上方に位置するように形成し、梱包装箱20の相対向する面との間にギャップを設けることができるし、さらに包装箱と相対向する面に緩衝用の段部を設けることができる。これらの場合は、緩衝性能をさらに向上させることができる。
第1支持リブ34、第2支持リブ36は、それぞれ連続する1本のリブや1つの棚として記載したが、それぞれ複数個に分割されたリブや棚であってもよい。
第2収納凹部33は、3個に限らず、ウェーハ収納容器の寸法に合わせて、任意の個数とできる。また、ウェーハ収納容器は、トレーを用いずにウェーハを、スペーサシート16を介して積層したものであってもよく、中空のダイシングフレームに貼られたフィルムに支持されたウェーハを、スペーサシート16を介して積層したものであっても良い。
これらの他に、上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0021】
10……ウェーハ収納容器、
10A……容器本体、
10B……蓋体、
11……基底部、
12……容器円筒部、
13……スリット、
14……蓋体円筒部、
15……角筒部、
16……スペーサシート、
17……トレー、
18、19……クッション、
20……包装箱、
301……第1緩衝体
302……第2緩衝体、
31……外周壁、
32……第1収納凹部、
33……第2収納凹部、
34……第1支持部、
35……棚部、
36……第2支持部、
37……位置決め突起、
51、52……凹凸部。
図1
図2
図3
図4