特許第5980741号(P5980741)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5980741
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月31日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20160818BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
【請求項の数】5
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2013-163573(P2013-163573)
(22)【出願日】2013年8月6日
(65)【公開番号】特開2015-29853(P2015-29853A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2015年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】中根 真也
【審査官】 篠崎 正
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5918060(JP,B2)
【文献】 特開2003−010408(JP,A)
【文献】 特開2005−102779(JP,A)
【文献】 特開2004−329230(JP,A)
【文献】 特開2013−017541(JP,A)
【文献】 特開2006−055244(JP,A)
【文献】 特開平06−023097(JP,A)
【文献】 特開2000−354653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤に設けられた案内レールにより遊技球が流下可能な遊技領域が画成されると共に、当該遊技領域に発光による演出を行う照明手段が配設された遊技機において、
前記遊技盤には、前記案内レールに隣接する位置に前後に開口する開口部が形成されると共に、
前記照明手段は、
前記遊技盤の開口部に配設され、点灯または消灯がなされる発光体と、
前記遊技盤の盤面に配設されて前記発光体よりも前側に位置すると共に、該遊技盤の開口部を覆う第1のレンズ部と、
前記第1のレンズ部の前方に位置する第2のレンズ部と、
前記第2のレンズ部を前記第1のレンズ部に対して遊技球の直径よりも大きい間隔を隔てて接続する接続部と、
前記第1のレンズ部および第2のレンズ部の夫々に設けられ、前記発光体の光から照射される光を拡散する光拡散部とを備え、
前記接続部は、前記案内レールから遊技領域側に突出するよう設けられて前記第1および第2のレンズ部の間を通過する遊技球が接触可能に構成されると共に、該案内レールの内周面に沿って湾曲するよう形成され、
前記第2のレンズ部は、前記第1のレンズ部よりも小さく形成されると共に、当該第1のレンズ部に対して前後方向に重なるよう構成され、
前記第1のレンズ部と第2のレンズ部が前後に重なった領域の後方に、両レンズ部が前後に重なる領域および両レンズ部が前後に重ならない領域に対して光を照射し得るよう前記発光体が設置された
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第1のレンズ部の裏側から前記遊技盤の開口部の内部に延出する仕切り壁を備え、当該開口部内側の内部空間を複数の照明室に区画するよう構成されると共に、前記複数の照明室に、前記発光体が配設された請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記第1のレンズ部と第2のレンズ部との間に、複数の球流下経路が形成された請求項1または2記載の遊技機。
【請求項4】
前記遊技領域を流下する遊技球が入賞可能な始動入賞口を備えると共に、該始動入賞口への入賞を契機として演出を行う演出実行手段を備え、
前記第1および第2のレンズ部の間を通過する遊技球を、前記始動入賞口側へ誘導し得るよう前記接続部が設けられている請求項1〜3の何れか一項に記載の遊技機。
【請求項5】
前記接続部は、光を透過可能に形成されると共に、前記第1のレンズ部の前面において遊技盤の開口部の開口内側に、前記発光体の光照射方向に沿って設けられる請求項1〜4の何れか一項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊技盤に形成された遊技領域内で遊技球を流下させて遊技が行われるよう構成された遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な遊技機であるパチンコ機は、遊技盤の盤面に画成した遊技領域の略中央位置に枠状に形成された枠状装飾体(所謂センター役物)が配設されており、この枠状装飾体の開口部を介して複数の図柄を変動表示して図柄変動演出を行なう液晶式やドラム式等の図柄表示装置を後方から臨ませると共に、該遊技盤における枠状装飾体の下方位置に、パチンコ球(遊技球)の入賞により図柄表示装置での変動を開始させる始動入賞装置や大当り時等に開放する特別入賞装置を配設するよう構成されたものが多数提案されている。このようなパチンコ機では、前記遊技領域に打ち出されたパチンコ球が遊技領域内に植設された遊技釘等との接触により跳ね返りながら次第に自重により流下し、該遊技領域を流下する過程で前記始動入賞装置に入賞することにより、前記図柄表示装置で図柄変動に伴うリーチ演出等の各種の遊技演出がなされ、該図柄表示装置に図柄が所定の組み合わせで停止することにより所謂大当りが発生し、遊技盤に設けられた特別入賞装置が開放して多数の賞球を獲得し得るよう構成される。また、前述したパチンコ機では、遊技盤の遊技領域内に照明装置が配設されており、照明装置を発光させることで遊技盤を装飾したり、前記図柄表示装置で行われる演出に合わせて照明装置を発光させて演出効果を高めることが行なわれている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−23097号公報
【特許文献2】特開2000−354653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年は、遊技盤の大型化が進んでおり、また図柄表示装置で行われる遊技演出の内容も複雑化していることから、照明装置の発光による装飾効果や演出効果を向上することがより一層強く求められている。そこで、照明装置において遊技領域に露出する前面レンズ部材を大きくしたり厚みを持たせれば、照明装置の発光による装飾効果や演出効果の向上が期待できる。しかしながら、特許文献1のように、前記遊技盤に配設された照明装置の前面レンズ部材を、遊技盤の盤面より前側に突出させて設ける構成にあっては、前記前面レンズ部材を大きくすると、遊技盤に遊技釘を設けられるスペースが反対に減少してしまい、遊技領域を流下するパチンコ球の流れが単調になってパチンコ球の動きの面白みが損なわれることに繋がりかねない。また、遊技盤の前側には、遊技盤を透視保護するガラス板等が設置されており、前面レンズ部材の厚みを持たせるにも限界がある。また、特許文献2のように、遊技盤に開設した開口部に照明装置を埋め込む構成にあっては、前面レンズ部材を大きくしようとすれば、遊技盤に大きな開口部を開設する必要があり、前述と同様に遊技釘の設置スペースが限られてしまう問題が生ずる。また、前面レンズ部材の厚みを持たせるようにすると、厚みを持たせた分だけ遊技盤の盤面(前面)から前面レンズ部材が突出してしまい、遊技領域を流下するパチンコ球が接触して損傷することにも繋がりかねない。この場合には、前面レンズ部材(開口部)の周囲に遊技釘を設けることでパチンコ球の接触を防止し得るものの、遊技釘によりパチンコ球の流路が限られてしまい、遊技領域を流下するパチンコ球の流れが単調になる欠点がある。
【0005】
すなわち本発明は、従来の技術に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、遊技球の流路を確保しつつ発光による装飾効果を向上可能な照明手段を備えた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本発明の請求項1に係る発明は、
遊技盤(21)に設けられた案内レール(22)により遊技球が流下可能な遊技領域(21a)が画成されると共に、当該遊技領域(21a)に発光による演出を行う照明手段(60,110a,200,210,220)が配設された遊技機において、
前記遊技盤(21)には、前記案内レール(22)に隣接する位置に前後に開口する開口部(23e)が形成されると共に、
前記照明手段(60,110a,200,210,220)は、
前記遊技盤(21)の開口部(23e)に配設され、点灯または消灯がなされる発光体(110a)と、
前記遊技盤(21)の盤面に配設されて前記発光体(110a)よりも前側に位置すると共に、該遊技盤(21)の開口部(23e)を覆う第1のレンズ部(61)と、
前記第1のレンズ部(61)の前方に位置する第2のレンズ部(71)と、
前記第2のレンズ部(71)を前記第1のレンズ部(61)に対して遊技球の直径よりも大きい間隔を隔てて接続する接続部(75)と、
前記第1のレンズ部(61)および第2のレンズ部(71)の夫々に設けられ、前記発光体(110a)の光から照射される光を拡散する光拡散部(62,66,73)とを備え、
前記接続部(75)は、前記案内レール(22)から遊技領域(21a)側に突出するよう設けられて前記第1および第2のレンズ部(71)の間を通過する遊技球が接触可能に構成されると共に、該案内レール(22)の内周面に沿って湾曲するよう形成され、
前記第2のレンズ部(71)は、前記第1のレンズ部(61)よりも小さく形成されると共に、当該第1のレンズ部(61)に対して前後方向に重なるよう構成され、
前記第1のレンズ部(61)と第2のレンズ部(71)が前後に重なった領域の後方に、両レンズ部(61,71)が前後に重なる領域および両レンズ部(61,71)が前後に重ならない領域に対して光を照射し得るよう前記発光体(110a)が設置されたことを要旨とする。
この構成では、第1のレンズ部と第2のレンズ部との間に、遊技球の直径よりも大きな空間を確保することで、両レンズ部の間を遊技球が通過できるから、遊技球の流路が制限されることなく遊技球の動きによる演出が可能となる。第1のレンズ部および第2のレンズ部を前後に重なるように設けて、発光体の光が両レンズ部を透過し得るよう構成することにより、発光による装飾効果や演出効果の向上を図り得る。また、第1のレンズ部よりも第2のレンズ部を小さく形成し、両レンズ部が前後に重なる領域および両レンズ部が前後に重ならない領域に対して発光体の光が照射されるようにしたことで、光の照射位置により発光の態様が異なるように見せることができ、装飾効果や演出効果をより一層高めることができる。
また遊技領域を画成する案内レールより内側に、第1のレンズ部と第2のレンズ部を接続する接続部が位置するよう構成すると共に、当該案内レールを湾曲形成して第1および第2のレンズ部の間を通過する遊技球を誘導可能に構成したことで、発光による装飾効果や演出効果を高めつつ、遊技球の動きに変化を与えることができる。
そして第1のレンズ部および第2のレンズ部の間を通過する遊技球を、該第2のレンズ部を介して透視することができるから、遊技球の動きを確認しながら遊技を行うことができ、遊技球の動きによる面白みを与えることができる。
【0007】
請求項2に係る発明は、
前記第1のレンズ部(61)の裏側から前記遊技盤(21)の開口部(23e)の内部に延出する仕切り壁(202)を備え、当該開口部(23e)内側の内部空間(S)を複数の照明室(204)に区画するよう構成されると共に、前記複数の照明室(204)に、前記発光体(110a)が配設されたことを要旨とする。
この構成では、仕切り壁により開口部内側の内部空間を複数の照明室に区画することで、照明室毎にレンズ部に対する光の照射位置を変化させることができるから、発光による装飾効果や演出効果の向上を図り得る。
【0008】
請求項3に係る発明は、
前記第1のレンズ部(61)と第2のレンズ部(71)との間に、複数の球流下経路(214)が形成されたことを要旨とする。
この構成では、第1のレンズ部と第2のレンズ部との間に複数の球流下経路を形成することで、照明手段による装飾効果や演出効果を高めつつ、遊技球の流路を多彩にして、遊技の興趣を向上することができる。
【0009】
請求項4に係る発明は、
前記遊技領域(21a)を流下する遊技球が入賞可能な始動入賞口(30a)を備えると共に、該始動入賞口(30a)への入賞を契機として演出を行う演出実行手段(18)を備え、
前記第1および第2のレンズ部(61,71)の間を通過する遊技球を、前記始動入賞口(30a)側へ誘導し得るよう前記接続部(75)が設けられていることを要旨とする。
この構成では、第1のレンズ部および第2のレンズ部の間を通過する遊技球を、接続部により始動入賞口側へ誘導し得るから、当該レンズ部の間を通過する遊技球に対する遊技球の動きによる面白みを与えることができる。
【0010】
請求項5に係る発明は、
前記接続部(75)は、光を透過可能に形成されると共に、前記第1のレンズ部(61)の前面において遊技盤(21)の開口部(23e)の開口内側に、前記発光体(110a)の光照射方向に沿って設けられることを要旨とする。
この構成では、発光体の光が第1のレンズ部、接続部および第2のレンズ部を透過し得るようにしたことで、1つの照明手段でより複雑な発光態様を実現できる。接続部は発光体の光の照射方向に沿って設けられるから、該接続部に入射した光を効率的に第2のレンズ部まで導くことができ、該接続部に対応した部位を、他の部位と比べてより明瞭に発光させることができる。また、接続部の後方を遊技球が通過しないから、第1のレンズ部と第2のレンズ部の間を遊技球が通過する間も照明手段による装飾効果や演出効果を維持することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る遊技機によれば、照明手段の発光による装飾効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例に係るパチンコ機を示す正面図である。
図2】実施例のパチンコ機を、中枠に対して前枠を開放した状態で示す概略斜視図であって、前枠の透視保護板や遊技盤における案内レールの内側に配設される各種遊技部品を省略して示す。
図3】実施例に係る遊技盤を示す正面図である。
図4】実施例に係る遊技盤と設置部材とを分解した状態を示し、遊技盤を背面図で示すと共に、球排出経路部材が取り付けられた設置部材を正面図で示す。
図5】実施例に係る遊技盤と設置部材とを分解した部分拡大斜視図である。
図6】(a)は、実施例に係る遊技盤におけるレンズ部材の配設位置を拡大して示す分解斜視図であり、(b)は、レンズ部材を背面から見た状態で示す分解斜視図である。
図7】(a)は、実施例に係るレンズ部材を正面から示す斜視図であり、(b)は、レンズ部材を背面から示す斜視図であり、(c)は、レンズ部材の平面図である。
図8】(a)は、第1のレンズ部と第2のレンズ部とを分解した状態を、第1のレンズ部を正面図で示すと共に第2のレンズ部を背面図で示し、(b)は、レンズ部材の右側面図であり、(c)は、(b)のA−A線断面図である。
図9】遊技盤の第5装着口と、レンズ部材との関係を示す説明図である。
図10】遊技盤におけるレンズ部材の配設位置を拡大して示す説明図であって、第2のレンズ部の外周から延出する第1のレンズ部を斜線で示す。
図11】遊技盤をレンズ部材の配設位置で縦断した拡大断面図である。
図12】(a)は、遊技盤をレンズ部材の配設位置で横断した拡大断面図であり、(b)は、(a)におけるレンズ部材の断面図である。
図13】(a)は,球排出経路部材を前側下方から示す斜視図であり、(b)は、球排出経路部材を背面上方から示す斜視図である。
図14】球排出経路部材の分解斜視図である。
図15】球排出経路部材と上下の発光基板を分解した状態で示す斜視図である。
図16】別例1に係るレンズ部材が配設された遊技盤を、当該レンズ部材の配設位置で縦断した拡大断面図である。
図17】別例2に係るレンズ部材を配設した遊技盤を示し、(a)は、当該レンズ部材の配設位置で拡大した正面図であり、(b)は、当該レンズ部材の配設位置で横断した拡大断面図である。
図18】別例3に係るレンズ部材を配設した遊技盤を、当該レンズ部材の配設位置で拡大した正面図である。
図19】別例3に係るレンズ部材を配設した遊技盤を、当該レンズ部材の配設位置で縦断した拡大断面図である。
図20】別例3に係るレンズ部材を配設した遊技盤を、当該レンズ部材の配設位置で横断した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、実施例では、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行なうパチンコ機を例に挙げて説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機を前側(遊技者側)から見た状態で指称する。なお、図中の符号Pは、パチンコ球を示している。
【実施例】
【0014】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、図1または図2に示すように、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠11の開口前面側に、遊技盤21を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組み付けられて、該遊技盤21の裏側に、各種図柄を変動表示可能な演出実行手段としての図柄表示装置18が着脱可能に配設されている。また、前記中枠12の前面側には、前記遊技盤21を透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透視保護板13bで前後に開口する窓部13aを覆うよう構成された前枠13が開閉可能に組み付けられると共に、該前枠13の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組み付けられる。なお、実施例では、前記前枠13の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿14が一体的に組み付けられており、前枠13の開閉に合わせて上球受け皿14も一体的に開閉するよう構成される。なお、実施例では、前記図柄表示装置18としては、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の図柄表示装置を採用し得る。また、前記上球受け皿14は、前記前枠13と別体に形成してもよい。なお、球受け皿については、上下2枚の球受け皿14,15を備えるものに限らず、1枚の球受け皿のみを設ける構成であってもよい。
【0015】
前記前枠13の右下方位置には、前記中枠12に配設された打球発射装置16を作動する操作ハンドル17が設けられている。前記操作ハンドル17は、左回転方向に付勢された操作レバー17aを備えており、該操作レバー17aを右回転するよう遊技者が回動操作することで打球発射装置16が作動されて、前記上球受け皿14に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤21に向けて発射されるようになっている。
【0016】
(外枠11について)
前記外枠11は、上下左右の4つの枠部材を相互に組み付けることで縦長の矩形枠体として構成されるものであって、4つの枠部材で画成される開口領域に対し、前記中枠12が開閉および着脱自在に支持されて、外枠11に対して中枠12を閉成することで、該外枠11の内側に中枠12が収容されるよう構成される。
【0017】
(中枠12について)
図2に示すように、前記中枠12は、上縁をなす上枠部12aと、下縁をなし、打球発射装置16、各種制御装置(図示せず)を設置する設置部として機能する下枠部12bと、左縁(一方の側縁)をなす左枠部12cと、右縁(他方の側縁)をなす右枠部12dとから構成されて、これら上下左右の枠部12a,12b,12c,12dを組み付けた際に、全体が外枠11の開口領域に整合する大きさに形成される。そして、外枠11に対して中枠12の左枠部12c側が、ヒンジ機構19を介して回動自在に支持されて、右枠部12dが施錠装置(図示せず)により施錠されるようになっている。また、中枠12には、上下左右の枠部12a,12b,12c,12dを組み付けることで前後に開口する遊技盤保持部20が画成され、該遊技盤保持部20に遊技盤21が着脱自在にセット保持される。図2において、遊技盤21の前面に配設されている各種の遊技部品は、後述する案内レール22を除いて図示省略してある。また、図2において、前枠13に配設されている透視保護板13bも図示省略している。なお、中枠12における上下左右の各枠部12a,12b,12c,12dの全体或いは一部の枠部を一体成形して中枠12を形成することも可能である。
【0018】
(遊技盤21について)
前記遊技盤21は、図2図3に示すように、前記中枠12の遊技盤保持部20に整合する略正方形に形成された所定板厚の木材板の表面に、各種絵柄等が描かれた合成樹脂シート(図示せず)等を貼付けて装飾した板部材であって、該遊技盤21の表面(盤面)に配設された略円形状に湾曲した案内レール22により、パチンコ球が流下可能な遊技領域21aが画成されている。また、前記遊技盤21の裏側には、図4に示す如く、前記図柄表示装置18が着脱自在に取り付けられる設置部材81が配設されており、該設置部材81に形成された前後に開口する表示開口部82aを介して図柄表示装置18の表示部を前側から視認し得るよう構成される。
【0019】
また、前記遊技盤21には、ルーター加工等の孔空け加工により前後に貫通する複数(実施例では5つ)の装着口23a〜23eが開設されて、各装着口23a〜23eに対して各種の遊技盤設置部品(具体的には後述する枠状装飾体40、始動入賞装置30、特別入賞装置35、普通入賞装置50、レンズ部材60等)が前側から取り付けられると共に、遊技領域21aの最下部位置には、該遊技領域21aに打ち出されたパチンコ球を排出するアウト口24が開設されている。なお、前記装着口23a〜23eの形成数は、遊技盤21に取り付けられる各種遊技盤設置部品の個数や配設位置等により必要に応じて適宜変更される。
【0020】
ここで、実施例の前記遊技盤21には、図3に示すように、前記案内レール22で囲まれた遊技領域21aの略中央の大部分が開口する第1装着口23aに、前後に開口する表示窓口40aが形成された枠状装飾体40が取り付けられ、該枠状装飾体40の表示窓口40aを介して図柄表示装置18の表示面が遊技盤21の前面側に臨むよう構成されている。なお、実施例では、遊技盤21に配設された枠状装飾体40の表示窓口40aが、図柄表示装置18の表示部を前側から視認可能とする可視部となる。また、前記遊技盤21における枠状装飾体40(第1装着口23a)の下方位置には、遊技領域21aの左右幅方向の略中央に第2装着口23bが開設されており、該第2装着口23bに、遊技領域21aを流下するパチンコ球が入賞可能な第1始動入賞口30aを有する始動入賞装置30が取り付けられている。なお、実施例のパチンコ機10では、前記枠状装飾体40における特別入賞装置35の上方に位置に、遊技領域21aを流下するパチンコ球が入賞可能な第2始動入賞口32aを有する第2始動入賞装置32が配設されている。
【0021】
そして、前記遊技盤21における始動入賞装置30(第2装着口23b)の右側方に第3装着口23cが開設されて、遊技領域21aを流下するパチンコ球が入賞可能な特別入賞口36を有する特別入賞装置35が取り付けられている。また、前記遊技盤21における始動入賞装置30(第2装着口23b)の左側方に第4装着口23dが開設されて、遊技領域21aを流下するパチンコ球が入賞可能な普通入賞口53を有する普通入賞装置50が取り付けられている。更に、前記遊技盤21における枠状装飾体40(第1装着口23a)の左側方に第5装着口23eが開設されて、当該第5装着口23eの前側に、該遊技盤21の盤面を発光装飾する照明手段を構成するレンズ部材60が取り付けられている。すなわち、実施例のレンズ部材60は、前記始動入賞装置30へ向けて流下可能なパチンコ球の流下経路途中に配設されて、発光により発光装飾しつつ、流下するパチンコ球に対する関心を惹き付けるようになっている。なお、前記第5装着口23eは、上下方向に縦長となるよう形成されている。
【0022】
(第1始動入賞装置30および第2始動入賞装置32について)
前記第1始動入賞装置30は、第1始動入賞口30aが常に上方に開口するよう設けられており、遊技盤21の遊技領域21aを流下するパチンコ球が入賞可能な常時開放型の入賞装置とされている。一方、前記第2始動入賞装置32は、前記枠状装飾体40の右下部に右側方へ開口するよう設けられた第2始動入賞口32aと、該第2始動入賞口32aを開閉する開閉部材32bとを備えており、駆動手段としての図示しないソレノイドの駆動に伴って開閉部材32bが揺動変位することで、第2始動入賞口32aが開閉するよう構成される。また、前記第1および第2始動入賞装置30,32は、対応する始動入賞口30a,32aに入賞したパチンコ球を検出する図示しない始動入賞球検出センサを備えており、各始動入賞球検出センサから制御装置への入賞検出信号の入力に伴って所定数の賞球が払い出されると共に、該制御装置において大当り抽選が行われて、該大当り抽選の結果に基づいて前記図柄表示装置18の図柄変動演出が実行されるようになっている。そして、前記図柄表示装置18での図柄変動演出の結果、該図柄表示装置18に所定の組み合わせ(例えば同一図柄の3つ揃い等)で演出図柄が停止表示されることで所謂大当りが発生し、大当りの発生に伴って前記特別入賞装置35を所定の開放条件で開放して多数の賞球を獲得し得る機会が与えられるよう構成されている。なお、前記始動入賞球検出センサは、始動入賞口30a,32a毎に設けて入賞球を個別に検出してもよいし、各始動入賞口30a,32aに入賞したパチンコ球を1つのセンサで検出するよう構成してもよい。
【0023】
(特別入賞装置35について)
前記特別入賞装置35は、図3に示すように、遊技領域21aに開口する特別入賞口36を開閉自在に閉成する開閉扉37を備えており、駆動手段としての図示しない第2ソレノイドの駆動に伴って開閉扉37が作動することで特別入賞口36が開閉するよう構成されている。また、前記特別入賞装置35は、前記特別入賞口36に入賞したパチンコ球を検出する図示しない特別入賞球検出センサを備えており,該特別入賞球検出センサから制御装置への入賞検出信号の入力に伴って所定数の賞球が払い出されるようになっている。
【0024】
(普通入賞装置50について)
前記普通入賞装置50は、図4図5に示すように、前記遊技盤21の前面に取着されて前記第4装着口23dを覆う薄板状の取着部材51と、該取着部材51に設けられて第4装着口23dを介して遊技盤21の後方へ延在する複数(実施例では3つ)の球受け通路52とを備えている。前記球受け通路52の夫々は、前記取着部材51の前後に貫通するよう延在すると共に、該取着部材51の前後において上方に開口する樋形状に形成されており、各球受け通路52における取着部材51(遊技盤21の前面)から前方へ突出した突出部分の上方開口部が、前記遊技領域21aを流下するパチンコ球が入賞可能な前記普通入賞口53として機能している。そして、前記各球受け通路52の後端部は、前記設置部材81に設けられた球排出経路部材90(後述)に連通接続するよう構成されており、各普通入賞口53に入賞したパチンコ球を対応の球受け通路52を介して球排出経路部材90に誘導して遊技盤21の外部に排出するよう構成されている。なお、前記球受け通路52の前端部には、装飾飾り部52aが取付けられている。ここで、前記取着部材51および装飾飾り部52aの夫々は、光透過性を有する部材により形成されており、後述する球排出経路部91に設けられたLED112aから取着部材51および装飾飾り部52aへ照射された光が遊技盤21の前方へ照射されて、遊技盤21を装飾するようになっている。また,前記普通入賞装置50の上部には、光透過性の装飾飾り部54が設けられており、後述する基板支持部105には移設された下部発光基板111のLED112aからの光を透過して遊技盤21を装飾するよう構成されている。
【0025】
また、図3に示すように、前記遊技盤21には、前記遊技領域21a内に多数の遊技釘26が設けられており、遊技釘26との接触によりパチンコ球の流下方向が不規則に変化するよう構成されている。また、前記枠状装飾体40の左側方には、遊技領域21aを流下するパチンコ球の接触に伴って回転する回転案内部材27が回転自在に支持されている。前記回転案内部材27は、所謂「風車」とも称される部材であって、遊技領域21aを流下するパチンコ球が接触することで前記回転案内部材27が左右方向に回転されて、パチンコ球が回転案内部材27の回転方向に弾くよう放出されるようになっている。
【0026】
また、前記遊技盤21には、図3に示すように、前記第1始動入賞装置30の第1始動入賞口30aと前記回転案内部材27との間に、前記遊技釘26が直線状に連続して設けられている。ここで、以下の説明では、前記第1始動入賞装置30および回転案内部材27の間に直線状に連続する遊技釘群を案内連釘26Aと指称する場合がある。すなわち、前記回転案内部材27の回転に伴って右方向(始動入賞装置30側)に放出されることで、前記案内連釘26A上にパチンコ球が移動するようになっている。前記案内連釘26Aは、前記第1始動入賞装置30の始動入賞口30aに向けて下方傾斜するよう配置されており、前記回転案内部材27から放出されたパチンコ球を第1始動入賞装置30の第1始動入賞口30aへ案内するよう構成される。すなわち、前記案内連釘26Aは、前記回転案内部材27の回転により放出されたパチンコ球を第1始動入賞装置30へ案内する案内部として機能している。なお、前記案内連釘26Aを構成する遊技釘26は、適宜位置(実施例では2箇所)でパチンコ球が通過可能な隙間が空くよう設けられており、該案内連釘26A上を移動するパチンコ球が落下し得るようになっている。
【0027】
(レンズ部材60について)
前記レンズ部材60は、図5図12に示すように、前記遊技盤21に開設された前記第5装着口23eの開口前側を覆う第1のレンズ部61と、該第1のレンズ部61の前方に離間して位置するよう配置された第2のレンズ部71とを備え、当該第1のレンズ部61および第2のレンズ部71の夫々に、光を拡散する光拡散部62,66,73が設けられている。また、前記遊技盤21の裏側には、前記第5装着口23eと対応する位置に、前記第1のレンズ部61と対向するよう上部発光基板(発光基板)110が配設されると共に、該上部発光基板110の前面に前方へ光を照射する照明手段としてのLED(発光体)110aが実装されており、該LED110aを発光した際の光がレンズ部材60(第1のレンズ部61および第2のレンズ部71)を透過して遊技盤21の前方へ照射されるようになっている。
【0028】
(第1のレンズ部について)
前記第1のレンズ部61は、図6図7に示すように、光透過性を有する部材により遊技盤21の盤面に沿って延在すると共に前記第5装着口23eの開口より大きな平板状に形成されており、該第5装着口23eの全体が第1のレンズ部61で塞がれるよう遊技盤21の前面からねじ止めされている。また、前記第1のレンズ部61には、前面側の外周部に、外周縁部に向かうにつれて遊技盤21側に傾斜する第1傾斜部61aが形成されており、遊技盤21の盤面に沿って流下するパチンコ球を、第1のレンズ部61の前面に流下し得るよう構成されている。なお、前記第1のレンズ部61における上下の端部には、前記遊技盤21と対向する位置に、前後に貫通するネジ挿通孔61bが形成されると共に、後方へ突出する位置決め突部61cが形成されており、遊技盤21に形成された位置決め孔(図示せず)に位置決め突部61cを前側から挿入した状態で、ネジ挿通孔61bに挿通したネジを遊技盤21に螺挿することで、第5装着口23eを塞ぐように遊技盤21に固定されている。
【0029】
ここで、前記第1のレンズ部61の前面には、図6図8に示すように、前記光拡散部としての第1光拡散部62と、前記第2のレンズ部71が固定される設置面63とが形成されている。前記第1光拡散部62は、前記第1のレンズ部61の前面において前記設置面63を除く略全面に設けられており、前後に緩やかに起伏する起伏状に形成されている。すなわち、前後に緩やかに起伏する第1光拡散部62を光が透過することで、該第1光拡散部62を透過する光が拡散されるようになっている。また、前記第1光拡散部62の起伏は、第1のレンズ部61の前面側(第1光拡散部62側)を通過するパチンコ球の動きに対して影響しない程度の緩やかな形態に形成されている。前記設置面63は、前記第2のレンズ部71に設けられた接続部75(後述)の後端面に整合する形状に形成された平滑面であって、該接続部75の後端面を設置面63に当接させた状態で、第2のレンズ部71が安定して支持されるようになっている。また、前記設置面63は、前記第1のレンズ部61における左側部に、第5装着口23eの開口内側に位置するよう上下方向に所定長さ延在するよう形成されている。
【0030】
また、前記第1のレンズ部61の後面には、図6に示すように、前記光拡散部としての第2光拡散部66と、光を拡散しない透過面67とが形成されている。前記第2光拡散部66は、前記第1のレンズ部61の後面において前記透過面67を除く略全面に設けられており、前後に緩やかに起伏する起伏状に形成されると共に、該起伏に伴う凹状部分よりも深い複数の溝部66aが形成されている。また、前記第2光拡散部66の起伏形状は、前記第1光拡散部62の起伏よりも大きな起伏をなすよう形成されており、該第2光拡散部66を透過する光の拡散効果を、第1光拡散部62を透過する光の拡散効果よりも高くなるよう構成されている。また、前記第2光拡散部66を構成する複数の溝部66aは、適宜に蛇行する蛇行形状に夫々形成されており、これらの溝部66aに照射される光を複雑に広範囲に拡散し得るよう構成されている。すなわち、パチンコ球が接触しない第1のレンズ部61の後面に、光の拡散効果の高い第2光拡散部66を形成することで、第1のレンズ部61の前面を通過するパチンコ球に対して影響を与えるのを避けつつ、第1のレンズ部61を透過する光の光拡散効果を向上させている。このように、前記第1のレンズ部61は、前面に形成される第1光拡散部62および後面に形成される第2光拡散部66の形態が異なるよう構成されている。
【0031】
前記第1のレンズ部61の後面に形成される透過面67は、図12に示すように、前面側に形成された前記設置面63と前後に対応する位置に形成された平滑面であって、該第1のレンズ部61の側縁部(実施例では左側縁部)に沿って上下方向に所定長さ延在するよう形成されている。また、前記透過面67は、前記第5装着口23eの開口内側に臨むよう形成されており、該第5装着口23eの開口内側に臨む前記LEDの光が透過面67に入射し得るよう構成されている。すなわち、前記第1のレンズ部61は、前記透過面67に入射した光が拡散されることなく透過して、前記設置面63から前記第2のレンズ部71の接続部75の後端面に入射するよう構成されている。
【0032】
(第2のレンズ部71について)
前記第2のレンズ部71は、図6図7に示すように、遊技盤21の盤面に沿って延在する平板状に形成されており、前記第1のレンズ部61から前方へ突出する接続部75を介して、パチンコ球の直径よりも大きい間隔を隔てた状態で該第1のレンズ部61に接続される。具体的に、実施例に係る前記第2のレンズ部71は、前記第1のレンズ部61に対向する平板状のレンズ本体72と、該レンズ本体72から後方へ突出するよう形成されて前記第1のレンズ部61に接続する接続部75とから光透過性の合成樹脂材により一体形成されている。そして、前記第2のレンズ部71におけるレンズ本体72には、外周縁部に向かうにつれて遊技盤21から離間するよう傾斜した第2傾斜部72aが後面側の外周部に形成されており、遊技盤21の盤面に沿って流下するパチンコ球を、第1のレンズ部61と第2のレンズ部71との間に案内し得るよう構成されている。すなわち、前記レンズ部材60には、第1のレンズ部61と第2のレンズ部71との間にパチンコ球が通過可能な球通過領域Rが形成され、遊技盤21の遊技領域21aを流下する過程でパチンコ球がレンズ部材60の球通過領域Rを通過し得るようになっている。
【0033】
前記第2のレンズ部71のレンズ本体72は、図7図10に示すように、前記第1のレンズ部61よりも正面側から視た外形形状が小さく形成されており、該第1のレンズ部61に対して前後方向に部分的に重なるよう構成されている。実施例では、前記レンズ本体72の上下の高さ寸法H1は、前記第5装着口23eの上下の開口寸法H2より小さく形成されており(図11参照)、該レンズ本体72の上端部および下端部が第5装着口23eの開口上端部および下端部よりも該第5装着口23eの開口内側に臨むよう構成されている。すなわち、前記第2のレンズ部71のレンズ本体72は、前記遊技盤21に形成された第5装着口23eよりも小さく形成されている。言い換えると、遊技盤21に第2のレンズ部71のレンズ本体72を投影した際に、当該第2のレンズ部71のレンズ本体72から第5装着口23eがはみ出るよう構成されている。なお、レンズ本体72の左端部は、前記第1のレンズ部61の左端部と前後に略整合するようになっている。すなわち、前記第5装着口23eの内側に位置する前記LED110aを発光させた際に、前記第1および第2のレンズ部61,71が前後に重なる領域および両レンズ部61,71が前後に重ならない領域の夫々に対して該LED110aの光が照射されるよう構成されている。ここで、前記第2のレンズ部71におけるレンズ本体72の全体が第5装着口23eよりも小さく形成されている必要はなく、該レンズ本体72の一部が第5装着口23eよりも小さく形成されている構成であればよい。すなわち、第2のレンズ部71のレンズ本体72の外周輪郭から第5装着口23eの一部がはみ出るよう構成すればよい。
【0034】
また、前記第2のレンズ部71におけるレンズ本体72の前面には、図6図7に示すように、前記光拡散部としての第3光拡散部73が形成されている。前記第3光拡散部73は、前記レンズ本体72の前面において略全面に設けられており、前後に緩やかに起伏する起伏状に形成されている。すなわち、前後に緩やかに起伏する第3光拡散部73を光が透過することで、該第3光拡散部73を透過する光が拡散されるようになっている。ここで、前記第3光拡散部73の起伏は、前記第1のレンズ部61に形成された第1光拡散部62の起伏形状と同じ形態で形成されており、前記第5装着口23eに臨むLEDを消灯した状態において前面側からレンズ部材60を見た際に、第1のレンズ部61と第2のレンズ部71(レンズ本体72)の境界を、見分け難くしてある。また、前記レンズ本体72の後面は、前記第2傾斜部72aを除く全面が平らな平滑面に形成されている。すなわち、前記第2のレンズ部71は、前記レンズ本体72の後面に入射した光が拡散されることなく透過すると共に、前面側の第3光拡散部73で拡散された光が遊技盤21の前側に照射されるよう構成されている。
【0035】
前記接続部75は、図7図10に示すように、前記第2のレンズ部71におけるレンズ本体72の左側縁部に、パチンコ球の直径よりも大きい寸法で後方へ突出するよう形成されている。なお、図10中にパチンコ球を二点鎖線で表示してある。また、前記接続部75の後端部に、後方へ突出する位置決め突部75aおよびネジ孔75bが上下に離間する位置に夫々形成されており、前記第1のレンズ部61の位置決め孔63aに位置決め突部75aを挿入した状態で、該第1のレンズ部61の後方からネジ挿通孔63bに挿通したネジをネジ孔75bに螺挿することで、第1のレンズ部61および第2のレンズ部71が固定される。
【0036】
前記接続部75は、前記レンズ本体72の左側縁部側に上下方向へ延在するよう設けられた接続基部76と、該接続基部76の上端部に連設され、前記レンズ本体72の左側縁部に向けて延在する上側誘導部77と、当該接続基部76の下端部に連設され、レンズ本体72の左側縁部に向けて延在する下側誘導部78とから構成されている。ここで、前記接続基部76は、前記遊技領域21aを画成する案内レール22よりも内側(遊技領域21a側)に位置するよう設けられると共に、当該案内レール22の内周面(遊技領域21aを画成する面)に沿った円弧状に湾曲するよう形成されている。そして、前記第1および第2のレンズ部61,71の間の球通過領域Rの案内レール22側の内側面を前記レンズ部材60の接続部75(接続基部76)が画成するよう構成されており、当該球通過領域Rを通過するパチンコ球が接続部75(接続基部76)に接触し得るようになっている。
【0037】
また、前記上側誘導部77は、前記レンズ本体72の左側縁部(図8では右側)に向けて上方傾斜するよう形成されて、前記遊技盤21の遊技領域21aを流下するパチンコ球を、接続基部76側(第1のレンズ部61と第2のレンズ部71との間)に誘導するよう構成されている。ここで、前記接続部75の上側誘導部77および下側誘導部78の案内レール22側の端部と当該案内レール22との間の間隙は、パチンコ球の直径より小さくなるよう構成されており、当該案内レール22と接続基部76との間をパチンコ球が通過しないようになっている。また、前記レンズ部材60は、前記案内レール22に近接する左側端部において前記接続部75を介して前記第1および第2のレンズ部61,71が接続される一方で、案内レール22から離間した右側端部および上下端部において前記球通過領域Rが遊技領域21a内に開放してパチンコ球が球通過領域Rから遊技領域21aへ自由に移動し得るよう構成されている。このように、案内レール22の内周面から遊技領域21a側に前記接続部75が突出するようにレンズ部材60が配設されており、案内レール22の内周面に沿って遊技領域21aの外周側を流下して接続部75(上側誘導部77や接続基部76)に接触したパチンコ球を、前記第1始動入賞口30aが位置する遊技領域21aの中央側(内側)へ向けて移動し得るよう構成されている。
【0038】
ここで、前記レンズ部材60は、図10に示すように、前記接続基部76に沿った円弧の延長線方向に、前記回転案内部材27が位置するよう構成されている。すなわち、実施例のパチンコ機10では、前記遊技盤21の遊技領域21aを流下する過程でレンズ部材60の球通過領域Rを通過したパチンコ球が前記接続基部76に案内されることで、パチンコ球の流下方向が前記回転案内部材27へ向き易くなるよう構成されている。すなわち、実施例の接続部75は、前記遊技領域21aを流下するパチンコ球を前記第1始動入賞装置30の第1始動入賞口30a側へ誘導し得るよう構成されている。すなわち、前記接続部75の接続基部76が、前記レンズ部材60に形成される球通過領域Rの案内レール22側の側面を画成しており、当該球通過領域Rを通過するパチンコ球を所定方向へ誘導する誘導部としての機能を備えている。
【0039】
ここで、図12に示すように、前記接続部75(接続基部76)は、前記第2のレンズ部71を第1のレンズ部61に取り付けた状態で、該第1のレンズ部61の前面において遊技盤21に開設された前記第5装着口23eの開口内側に位置するよう構成されている。すなわち、前記接続部75の接続基部76は、後端面を前記第1のレンズ部61の設置面63に当接させた状態で、前記第5装着口23eの開口内側に臨む前記LED110aの光照射方向に沿うよう前後方向に延在する平板状に形成されている。従って、前記LED110aを発光させた際に、前記第1のレンズ部61を透過した光が前記接続部75(接続基部76)の後端部から第2のレンズ部71に入射し、該接続部75(接続基部76)を透過した光が第2のレンズ部71の前面から遊技盤21の前方へ照射されるようになっている。ここで、前記第2のレンズ部71の前面には、前記第3光拡散部73が全面に亘って形成されていることから、接続部75(接続基部76)を透過した光が第3光拡散部73により拡散されるようになっている。また、前記接続部75(接続基部76)を前記LED110aの光照射方向に沿うよう前後方向に延在する平板状に形成したことで、該接続部75(接続基部76)における遊技領域側の界面を透過し難くなることから、前記第2のレンズ部71の前面が接続部75(接続基部76)に対応する円弧状に強く光らせ得るようになっている。
【0040】
(設置部材81について)
前記設置部材81は、図4図5に示す如く、前記遊技盤21の外郭形状と略整合する大きさおよび形状に形成された略矩形状の対向面部82と、該対向面部82の外周縁部から前方に突出する上下左右の画壁部83とから前方に開口した箱状に形成されている。また、前記設置部材81には、前記画壁部83の開口前端部に、前後に貫通する通孔81cが形成された支持片81bが複数箇所に設けられており、遊技盤21と設置部材81とを組み付けた際に、該支持片81bが遊技盤21の裏面に平面的に当接するようになっている。そして、前記画壁部83の開口前端部(支持片81b)を遊技盤21の裏面に当接させた状態で、該支持片81bに形成した通孔81cに挿通したネジを遊技盤21にねじ込むことで、当該遊技盤21と設置部材81とが固定されるようになっている。ここで、前記設置部材81において前記遊技盤21との間に画成される空間に、各種演出装置(図示せず)や、入賞したパチンコ球を排出案内する球排出経路部材90等の各種遊技部品が設置されて、設置部材81を基材とする1つのユニットとして扱い得るようになっている。また、前記設置部材81の対向面部82には、前記枠状装飾部材40の表示窓口40aと前後に整列する位置に開口部82aが前後に開口するよう開設されており、該対向面部82の裏側に配設された前記図柄表示装置18の表示面が該開口部82aおよび表示窓口40aを介して遊技盤21の前側に臨むようになっている。なお、以下の説明では、画壁部83について、対向面部82の下端縁に設けられた画壁部を、下画壁部83aと指称して区別する場合もある。ここで、下画壁部83aの前端部には、前記支持片81bが左右に離間する複数箇所(実施例では2箇所)に設けられており、遊技盤21から取り外した状態で、各支持片81bの下端部を床面に支持することで、設置部材81を起立姿勢で保持し得るようになっている。また、実施例では、前記設置部材81における対向面部82の前側に、前記開口部82aを囲繞するよう複数の演出装置が配設されている。
【0041】
(球排出経路部材90について)
次に、前記設置部材81に配設された前記普通入賞装置50に入賞したパチンコ球を排出案内する球排出経路部材90について説明する。図5図13図17に示すように、前記球排出経路部材90は、前記設置部材81の開口前端側に位置するよう該設置部材81に配設されており、前記普通入賞装置50の球受け通路52に連通して入賞したパチンコ球を排出案内する球排出経路部91を備えている。前記球排出経路部91は、1個のパチンコ球が通過可能な通路幅で前方へ開口する樋状に形成されており、該球排出経路部91の前側に配設された光透過性の閉塞板92により球排出経路部91の前方開口を塞ぐことで、パチンコ球が一列で移動可能な球通路を画成している。ここで、前記球排出経路部91は、前記閉塞板92が取り付けられた状態で、前記普通入賞装置50の各球受け通路52と前後に対応する位置で球入り口93が前方へ開口するよう設けられており、該球入り口93を介して各球受け通路52が球排出経路部91に連通するようになっている。また、前記球排出経路部91の裏側には、前方へ光を照射するLED112aを実装した発光基板112が配設されており、該発光基板112のLED112aからの光が、球排出経路部91および閉塞板92を透過して前記普通入賞装置50へ照射されるようになっている。
【0042】
(球排出経路部91について)
前記球排出経路部91は、図13図14に示すように、前記普通入賞装置50の球受け通路52に個別に連通する複数の分岐通路(個別排出通路)95a〜95cと、各分岐通路95a〜95cの下流端部に接続して各分岐通路95a〜95cが合流する共通通路(合流排出通路)97とを備えて、該共通通路97の下流端部に球排出口99aが形成されている。すなわち、前記普通入賞装置50の各球受け通路52に入賞したパチンコ球は、対応する分岐通路95a〜95cを介して共通通路97に流入して、前記球排出口99aから排出される。ここで、実施例の共通通路97は、前記各分岐通路95a〜95cの下流端部に接続すると共に左右の一側方(実施例では右側方)へ向けて下方傾斜する傾斜通路98と、該傾斜通路98の下流端に接続して下方へ延出すると共に前記球排出口99aが形成された排出通路99とから構成されており、各分岐通路95a〜95cから傾斜通路98に流入するパチンコ球が排出通路99へ集合して球排出口99aから排出されるよう構成されている。前記排出通路99の球排出口99aは前記中枠12に設けられた球回収部(図示せず)の上方で開口するよう構成されており、該球排出口99aから排出されたパチンコ球が球回収部を介してパチンコ機の外部(遊技店側の球循環設備)へ回収するようになっている。
【0043】
前記複数の分岐通路95a〜95cは、共通通路97(傾斜通路98)の上流端から上方へ分岐する第1分岐通路95aと、該共通通路97(傾斜通路98)の中間位置から上方へ分岐する第2分岐通路95bと、当該共通通路97(傾斜通路98)の下流端から上方へ分岐する第3分岐通路95cとが設けられて、これら第1〜第3分岐通路95a〜95cの球入り口93が、前記普通入賞装置50に設けられた3つの球受け通路52の夫々に連通するようになっている。なお、前記第3分岐通路95cは、前記排出通路99の鉛直上方に位置しており、第3分岐通路95cを通過したパチンコ球が排出通路99へ直接流入するようになっている。
【0044】
また、前記第1分岐通路95aおよび第2分岐通路95bには、図14に示すように、前記共通通路97との分岐部位より上方に、各分岐通路95a,95bを通過するパチンコ球を検出する球検出センサ103を着脱可能な検査用球検出センサ取付部96が設けられている。すなわち、前記第1分岐通路95aおよび第2分岐通路95bに取り付けられた球検出センサ103がパチンコ球を検出することで、前記普通入賞装置50における対応する普通入賞口53に入賞したパチンコ球を個別に検出し得るようになっている。なお、前記検査用球検出センサ取付部96は、前記閉塞板92を取り付けた状態で、前方へ開口するよう形成されており、球排出経路部材90の前側から球検出センサ103を着脱し得るようになっている。ここで、前記検査用球検出センサ取付部96は、パチンコ機10の製造過程等において、前記普通入賞装置50の各普通入賞口53に対して入賞するパチンコ球の数を個別に検出する必要がある場合に球検出センサ103を取り付け得るようになっており、通常の遊技が行われる際には、該検査用球検出センサ取付部96から球検出センサ103が取り外された状態で遊技に供されるようになっている。
【0045】
図14に示すように、前記共通通路97の排出通路99には、該排出通路99を通過するパチンコ球を検出する球検出センサ103を着脱可能な排出球検出センサ取付部(収容部)100が設けられている。ここで、前記球検出センサ103は、矩形状に形成された本体部103aの一方側に偏った位置(図14では前側)に、上下に開口してパチンコ球が通過可能な球通過部103bが設けられると共に、他方側に偏った位置に、球通過部103bを通過したパチンコ球を検出して検出信号を出力する検出機構部103cが設けられており、該検出機構部103cから導出した配線が前記制御装置に接続されるようになっている。ここで、実施例の球検出センサ103は、前記検出機構部103cを構成する検出片(図示せず)が球通過部103bの開口内側に突出するよう構成されて、該球通過部103bを通過するパチンコ球が検出片に接触することでパチンコ球を検出する機械式センサを採用しているが、非接触型の近接センサを採用することも可能である。
【0046】
前記排出球検出センサ取付部100は、前方へ開口するよう前記球排出経路部材90に形成されており、前記球検出センサ103の本体部103aを、前記検出機構部103cを後方に向けると共に球通過部103bを上下に開口する姿勢で、該排出球検出センサ取付部100の前方開口を介して前側から挿入することで収容保持されるようになっている。そして、排出球検出センサ取付部100に収容した球検出センサ103の前端部に前記閉塞板92が当接して、該排出球検出センサ取付部100からの球検出センサ103の脱落を防止すると共に、遊技盤21の裏面に球検出センサ103が接触するのを防止している。すなわち、実施例のパチンコ機10では、遊技に供される状態において、第1〜第3分岐通路95a〜95cが合流する共通通路97の下流端に位置する排出通路99の排出球検出センサ取付部100のみに球検出センサ103が取り付けられて、各普通入賞口53に対して入賞するパチンコ球を1つの球検出センサ103で検出するようになっている。
【0047】
(基板支持部105について)
また、図13図15に示すように、前記球排出経路部材90には、前記球排出経路部91の左側に、前方へ光を照射する発光基板110が取り付けられる平板状の基板支持部105が設けられている。前記基板支持部105は、前記球排出経路部91と前記設置部材81の左側の画壁部83との間に位置すると共に、前記遊技盤21の裏面に沿って延在する平板状に形成されており、遊技盤21と設置部材81とを取り付けた際に、当該基板支持部105の前面が遊技盤21の裏面に近接して対向するようになっている。具体的に、実施例では、前記遊技盤21における第5装着口23eの形成位置の裏側に対応する位置まで基板支持部105が延在するよう構成されて、該第5装着口23eの後方開口を基板支持部105で塞ぐよう構成されている。
【0048】
前記基板支持部105には、図15に示すように、後方へ開口する設置凹部106が複数箇所(実施例では2箇所)に形成されており、各設置凹部106に対して前記発光基板110が夫々配設されている。ここで、実施例の基板支持部105には、前記第5装着口23eに対応する位置および前記普通入賞装置50に設けられた装飾飾り部54に対応する位置の夫々に前記設置凹部106が形成されている。すなわち、実施例において、前記第5装着口23eに対応する設置凹部106に配設される上部発光基板110が、前記レンズ部材60を照明する発光手段として機能するようになっている。そして、前記普通入賞装置50に設けられた装飾飾り部54に対応する設置凹部106に配設される下部発光基板111が、該装飾飾り部54を照明する発光手段として機能するようになっている。また、前記第5装着口23eに対応する位置に形成された設置凹部106には、前記上部発光基板110に実装されたLED110aと対応する位置に、前後に貫通する通孔105aが夫々形成されており、各通孔105aを介してLED110aが前記レンズ部材60(第1のレンズ部61)に対向して、該LED110aの光が直接第1のレンズ部61に照射されるようになっている。
【0049】
また、前記設置凹部106に発光基板110を取り付けた状態で、前記基板支持部105の後面と発光基板110の後面とが略同一平面上に位置するようになっており(図11図12参照)、前記設置部材81における対向面部82の左側前面に配設された演出装置に発光基板110が干渉しないよう構成されている。なお、前記基板支持部105には、前記第5装着口23eに対応する位置に形成された設置凹部106の右側に隣接して、磁気を利用した不正を検出する磁気センサ108が設置される磁気センサ取付部107が形成されている。
【0050】
(実施例の作用)
次に、実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。
【0051】
前記中枠12の前面側に設けられた操作ハンドル17を遊技者が回転操作すると、前記打球発射装置16により発射されたパチンコ球が前記遊技盤21に設けた案内レール22により画成された遊技領域21a内に打ち出されて、遊技釘26等に接触して流下方向を変更しながら遊技領域21a内を流下する。そして、前記遊技領域21aを流下するパチンコ球が前記第1始動入賞装置30の第1始動入賞口30aまたは第2始動入賞装置32の第2始動入賞口32aに入賞することで、前記図柄表示装置18での図柄変動演出が開始され、図柄変動演出の結果、図柄表示装置18に所定の図柄組み合わせで演出図柄が表示されると大当りが発生し、大当りの発生に伴い、前記遊技盤21の下方に設けられた特別入賞装置35が開放されると共に、図柄表示装置18において大当り演出が行われる。また、実施例に係るパチンコ機10では、前記図柄表示装置18において行われる図柄変動演出や大当り演出等の各種演出に合わせて、前記発光基板110〜112のLED110a〜112aを適宜のパターンで点灯および消灯させることで、遊技盤21の盤面を全体的に装飾して遊技の興趣を高めるようになっている。
【0052】
前記球排出経路部材90の基板支持部105に配設された上部発光基板110のLED110aからの光は、盤面に設けられたレンズ部材60を透過して遊技盤21の前方へ照射される。ここで、前記レンズ部材60は、第1のレンズ部61および第2のレンズ部71を前後に重なるように設けられており、前記LED110aの光が両レンズ部61,71を透過し得るよう構成してあるから、1つのレンズ部を光が透過する構成に較べて、発光による装飾効果や演出効果の向上を図り得る。また、前記レンズ部材60は、第1のレンズ部61および第2のレンズ部71を単に前後に重ねただけでなく、該第1のレンズ部61よりも第2のレンズ部71を小さく形成して、正面側から見た状態で、両レンズ部61,71が前後に重なる領域および両レンズ部61,71が前後に重ならない領域を設定したことにより、レンズ部材60に対してLED110aの光を照射した際に、第1のレンズ部61だけを透過して遊技盤21の前方へ照射される光と、第1および第2のレンズ部61,71を透過して遊技盤21の前方へ照射される光とにより、光の照射位置により発光の態様が異なるように見せることができ、装飾効果や演出効果をより一層高めることができる。
【0053】
また、前記第1のレンズ部61および第2のレンズ部71は、パチンコ球の直径よりも大きな間隔で離間するよう構成され、当該第1のレンズ部61および第2のレンズ部71の間に球通過領域Rが形成されているから、遊技領域21aを流下するパチンコ球が両レンズ部61,71の間の球通過領域Rを通過することができ、レンズ部材60を遊技盤21に配設したとしてもパチンコ球の流路が制限されることなく、パチンコ球の動きによる演出を行うことができる。しかも、第1および第2のレンズ部61,71の間の球通過領域Rをパチンコ球が通過し得るよう構成することで、前記LED110aから照射されて第1および第2のレンズ部61,71が前後に重なる領域を透過する光がパチンコ球によりランダムに遮られることで、より複雑な発光態様による装飾を実現することができる。また、第1のレンズ部61および第2のレンズ部71の間を通過するパチンコ球は、該第2のレンズ部71を介して透視することができるから、パチンコ球の動きを確認しながら遊技を行うことができ、パチンコ球の動きによる面白みを与えることができる。
【0054】
また、前記レンズ部材60は、第1のレンズ部61に設けられる光拡散部62,66と、第2のレンズ部71に設けられる光拡散部73とを異なった形態となるよう構成されているから、該第1および第2のレンズ部61,71が前後に重なる領域と、両レンズ部61,71が前後に重ならない領域とにおいて、一層異なった発光態様にすることができる。ここで、前記第1のレンズ部61の前面に形成される第1光拡散部62を、前後に緩やかに起伏する起伏状に形成する一方で、該第1のレンズ部61の後面に形成される第2光拡散部66を、前後に緩やかに起伏する起伏状とすると共に該起伏に伴う凹状部分よりも深い複数の溝部66aを形成してあるから、当該第1のレンズ部61のみを透過する光を効果的に拡散することができる。このように、第1のレンズ部61においてパチンコ球が接触しない後面に光の拡散効果の高い第2光拡散部66を形成することで、該第1のレンズ部61の前面を通過するパチンコ球に対して影響を与えるのを避けつつ、光の光拡散効果を向上することができる。そして、第1のレンズ部61の前後両面に形成される光拡散部62,66の形態を変えることで、第1のレンズ部61での光の拡散作用を高めることができ、装飾効果や演出効果の向上を図り得る。
【0055】
また、前記第2のレンズ部71は、後面側を平滑面としたことで、第2のレンズ部71の後面を通過するパチンコ球に対して光拡散部が影響を与えるのを防止できる。更に、前記第2のレンズ部71の前面に形成される第3光拡散部73を、前記第1のレンズ部61の前面に形成される第1光拡散部62と同様の形態に形成することで、レンズ部材60を前側から観察する遊技者に見える第1のレンズ部61と第2のレンズ部71との境界を分かり難くすることができる。すなわち、同様の外観であるにも関わらず、第1光拡散部62を透過して直接遊技者に観察される光と、第1光拡散部62および第3光拡散部73を透過して直接遊技者に観察される光との装飾効果が異なることで、発光態様に対する面白みを増すことができる。
【0056】
更に、前記レンズ部材60は、前記第1のレンズ部61に対して第2のレンズ部71を接続する接続部75を、前記第5装着口23eの開口内側に臨ませて、前記上部発光基板110のLED110aの光が接続部75に入射し得るよう構成してあるから、両レンズ部61,71が前後に重なる領域を透過する光と、両レンズ部61,71が前後に重ならない領域を透過する光の他に、該接続部75を透過する光によって異なる発光態様を実現することができる。このように、LED110aの光が第1のレンズ部61、接続部75および第2のレンズ部71(レンズ本体72)を透過し得るようにしたことで、1つの照明手段としてのレンズ部材60により複雑な発光態様を実現できる。また、前記LED110aの光の照射方向に沿って前後方向に延在する板状に接続部75を形成したことで、該接続部75に入射した光を効率的に第2のレンズ部71のレンズ本体72まで導くことができる。このため、レンズ部材60において、前記接続部75に対応した部位を、他の部位と比べてより明瞭に発光させることが可能となり、当該接続部75の形状に沿った線状に発光させることが可能となる。
【0057】
更に、円弧状の接続基部76と、上下の誘導部77,78とから前記接続部75を構成したことで、前記第1のレンズ部61と第2のレンズ部71の間の球通過領域Rを通過するパチンコ球を接続部75で誘導し得る。ここで、接続部75は、前記レンズ部材60において、案内レール22に近接する端部側に設けられており、前記上側誘導部77の突出分だけ案内レール22から遊技領域21aの内側に位置するよう構成されているから、遊技領域21aを流下して上側誘導部77や接続基部76に接触したパチンコ球の動きに対して効果的に変化を与えることができ、パチンコ球の動きに対する面白みを高めることができる。また、前記レンズ部材60において、案内レール22から離間した右側端部において球通過領域Rが遊技領域21aに開放するよう構成したことで、上側誘導部77や接続基部76との接触により変化を与えられたパチンコ球を、第1始動入賞口30aが位置する遊技領域21aの中央側(内側)へ向かわせることができ、当該レンズ部材60に形成される球通過領域Rを通過するパチンコ球に対する関心を高めることができる。そして、レンズ部材60の設置に伴い遊技釘26の設置スペースが限られるようになっても、当該レンズ部材60における接続部75でパチンコ球を誘導することにより、パチンコ球の動きが単調化するのを防止できる。また、前記第1始動入賞口30aに案内する案内連釘26A(回転案内部材27)側へ前記接続部75によりパチンコ球が誘導されるようにしたことで、該レンズ部材60を通過するパチンコ球に対する関心を高めることができる。また、第1のレンズ部61および第2のレンズ部71の間の球通過領域Rを通過するパチンコ球は、該第2のレンズ部71を介して透視することができるから、パチンコ球の動きを確認しながら遊技を行うことができ、パチンコ球の動きによる面白みを与えることができる。このように、レンズ部材60を案内レール22の内側に隣接して配置したことにより、遊技者の関心が薄れがちな遊技領域21aの外周近傍において、発光による装飾効果や演出効果やパチンコ球の動きの変化による演出効果を高めことが可能となる。
【0058】
(別例について)
次に、前述した発光による演出を行う照明手段が配設されたパチンコ機の別例について説明する。なお、パチンコ機の基本構成は、前述した実施例のパチンコ機10と同じであり、同一の構成および部材に対して同一の符号を付すものとする。
【0059】
(別例1)
図16は、別例1に係るレンズ部材200が配設された遊技盤21を、当該レンズ部材200の配設位置で縦断した拡大断面図である。前記レンズ部材200は、前述した実施例のレンズ部材60と同様に、前記遊技盤21における枠状装飾体40(第1装着口23a)の左側方に開設された第5装着口23eに対応して配設されており、当該第5装着口23eを覆う第1のレンズ部61と、該第1のレンズ部61の前方に離間して位置するよう配置された第2のレンズ部71とを備えている。また、前記レンズ部材200には、第5装着口23eの前側を覆う第1のレンズ部61の後面(裏側)に、当該第5装着口23eの内側へ延出する仕切り壁202が形成されており、第5装着口23eの内側に画成された遊技盤21の内部空間Sを複数の照明室204に区画するよう構成されている。この例では、前記第1のレンズ部61の後面において上下に離間する2箇所に仕切り壁202が後方へ延出するよう形成されて、第5装着口23eにより画成される内部空間Sを上下の3つの照明室204に区画している。
【0060】
また、各仕切り壁202の夫々は、前記第5装着口23eの内側に画成された内部空間Sの左右幅の略全幅に亘って延在する板状に形成されると共に、各仕切り壁202の後端部が、当該第5装着口23eの後方開口を塞ぐ前記基板支持部105の前面に当接するよう構成されている。すなわち、前記各照明室204の夫々は、相互に略独立するよう仕切り壁202により区画されている。そして、図16に示すように、前記第5装着口23eに対応して配設された上部発光基板110には、各照明室204の夫々に対応してLED110aが実装されている。ここで、上部発光基板110には3つのLED110aが実装されて、各照明室204に1つのLED110aが臨んでいる。また、前記仕切り壁202は、メッキ処理や塗装処理等の遮光加工により光を透過しないよう形成されており、各照明室204に対応したLED110aを発光させた際に、隣接する照明室204に対応した第1のレンズ部材200に光が照射されないようになっている。
【0061】
すなわち、この別例1に係るレンズ部材200を備えたパチンコ機10では、仕切り壁202により遊技盤21に開設した第5装着口23eの内部空間Sを複数の照明室204に区画すると共に、当該照明室204毎に上部LED110のLED110aを配置したことで、照明室204毎に発光させるLED110aを変えることにより、発光させたLED110aに応じて第1のレンズ部61に対する光の照射位置を変化させることが可能となり、発光による装飾効果や演出効果の向上を図り得る。そして、各照明室204のLED110aを異なる色で発光させれば、レンズ部材200を多彩な色で照明することができ、装飾効果や演出効果の一層の向上を図り得る。また、別例1に係るレンズ部材200を備えたパチンコ機10に関しても、前述した実施例のレンズ部材60を備えたパチンコ機10と同様の作用効果を期待できる。
【0062】
(別例2)
図17は、別例2に係るレンズ部材210を配設した遊技盤21を、当該レンズ部材200の配設位置で拡大した正面図である。別例2では、遊技盤21に開設される前記第5装着口23eの左右の開口幅が、パチンコ球の直径2個分以上の大きさに設定されている。前記レンズ部材210は、前述した実施例のレンズ部材60と同様に、前記遊技盤21に開設された前記第5装着口23eに対応して配設されており、当該第5装着口23eを覆う第1のレンズ部61と、該第1のレンズ部61の前方に離間して位置するよう配置された第2のレンズ部71とを備えている。すなわち、前記レンズ部材210が備える第1のレンズ部61は、左右の開口幅寸法が前記第5装着口23eの左右の開口幅より大きく形成されて、第5装着口23eの開口前方が全体的に塞がれるようになっている。また、レンズ部材210の第2のレンズ部71の左右幅寸法は、パチンコ球の直径2個分以上の大きさで、かつ第1のレンズ部61より僅かに小さく形成されている。すなわち、レンズ部材210では、第1のレンズ部61に対して第2のレンズ部71が前後方向に部分的に重なるよう構成されると共に、当該第1のレンズ部61および第2のレンズ部71の間に、複数個のパチンコ球が横並びで流下可能な空間214が画成されるようになっている。
【0063】
また、レンズ部材210における第2のレンズ部71には、前記レンズ本体72における前記第1のレンズ部61と対向する後面に、前記接続部75から内側(図17において右側)に離間する位置に、複数の流下規制片212が第1のレンズ部61側に向けて突出するよう形成されている。すなわち、前記レンズ部材210は、第1のレンズ部61および第2のレンズ部71の間の空間が複数の流下規制片212により区画されるようになっており、当該第1のレンズ部61と第2のレンズ部71との間に、パチンコ球が流下する複数の球流下経路214が画成されるようになっている。すなわち、前記遊技領域21aを流下する過程で、レンズ部材210の球流下経路214をパチンコ球が通過し得るよう構成されている。なお、このレンズ部材210には、球流下経路214が左右横並びで2つ画成されている。また、前記複数の球流下経路214は、前記流下規制片212の間に形成されたパチンコ球が通過可能な接続口216を介して相互に連通するよう構成されており、レンズ部材210に形成された複数の球流下経路214の間でパチンコ球が相互に行き来できるようになっている。
【0064】
また、前記第5装着口23eの後方開口は、前記基板支持部105により塞がれると共に、当該基板支持部105に配設された上部発光基板110において第1のレンズ部61と対向する前面に、前記レンズ部材210に形成された各球流下経路214の後方に対応して位置するよう前記LED110aが配設されている。従って、レンズ部材210に設けた各球流下経路214をLED110aで照明し得るよう構成されて、当該球流下経路214を通過するパチンコ球が光を遮ることで、装飾効果や演出効果を高め得るようになっている。このように、第1のレンズ部61と第2のレンズ部71との間に複数の球流下経路214を形成したレンズ部材210を遊技盤21に配設することで、LED110aを発光した光による装飾効果や演出効果を高めつつ、パチンコ球の流路を多彩にして、遊技の興趣を向上することができる。また、別例2に係るレンズ部材210を備えたパチンコ機10に関しても、前述した実施例のレンズ部材60を備えたパチンコ機10と同様の作用効果を期待できる。
【0065】
(別例3)
図18は、別例3に係るレンズ部材220を配設した遊技盤21を、当該レンズ部材220の配設位置で拡大した正面図であり、図19は、別例3に係るレンズ部材220を配設した遊技盤21を、当該レンズ部材220の配設位置で縦断した拡大断面図であり、図20は、レンズ部材220を配設した遊技盤21を、当該レンズ部材220の配設位置で横断した拡大断面図である。図19に示すように、前記別例3に係る遊技盤21には、前記第5装着口23eの開口上部に連通する上部連通口230が前後に開口するよう形成されると共に、第5装着口23eの開口下部に連通する下部連通口231が前後に開口するよう形成されている。そして、図18に示すように、前記遊技盤21の前面において前記遊技領域21a内で開口する球導入部材233が前記上部連通口230に配設されると共に、遊技盤21の前面において前記遊技領域21a内で開口する球導出部材236が前記下部連通口231に配設されている。
【0066】
前記球導入部材233は、図18図19に示すように、前記遊技領域21aを流下するパチンコ球が入球可能な球導入口234aが上方へ開口すると共に後方へ開口する樋状に形成された球受け部234と、前記上部連通口230の内部に嵌合するよう設けられて当該球受け部234の後方開口に連通すると共に前記第5装着口23e側に球出口235aが開口する導入通路部235とを備え、遊技領域21aを流下するパチンコ球を、球受け部234の球導入口234aから導入通路部235の球出口235aに至る球導入路233aを介して第5装着口23eへ誘導し得るよう構成されている。前記球導出部材236は、前記下部連通口231の内部に嵌合するよう設けられて前記第5装着口23e側に球入口237aが開口すると共に前方へ開口する導出通路部237と、前記遊技盤21の前面側に突出するよう設けられて導出通路部237の前方開口に連通すると共に前記遊技領域21a内で排出口238aが開口する球排出部238とを備え、前記球導入部材233の導入通路部235を介して、第5装着口23eに誘導されたパチンコ球を、導出通路部237の球入口237aから球排出部238の排出口238aに至る球排出路236aを介して遊技領域21aへ戻し得るよう構成されている。なお、図18に示すように、球排出部238の排出口238aは、前記回転案内部材27へ向けて右側方へ開口するよう形成されており、球排出路236aを介して遊技領域21aに戻ったパチンコ球が回転案内部材27へ向けて排出されるようになっている。
【0067】
別例3のレンズ部材220は、図18図19に示すように、前述した実施例のレンズ部材60と同様に、前後に重なる第1のレンズ部61および第2のレンズ部71を備えている。更に、前記レンズ部材220は、前記第1のレンズ部61の後方に重なるよう設けられると共に、前記LED110aの光照射方向前方に位置する第3のレンズ部222と、前記第3のレンズ部222を第1のレンズ部61に対してパチンコ球の直径よりも大きい間隔を隔てて接続する第2の接続部225とを備えている。ここで、前記第3のレンズ部222は、前記第5装着口23eの内部に嵌合するよう設けられると共に、前記第2の接続部225は、第5装着口23eの開口左右側縁に沿って上下方向に延在するよう設けられており、前記第1のレンズ部61と第3のレンズ部222との間に、パチンコ球が通過可能な球通路227(すなわち第1のレンズ部61および第3のレンズ部222の間の空間)が画成されるようになっている。そして、前記第1のレンズ部61および第3のレンズ部222の間に画成される球通路227は、上部開口が前記球導入部材233における球導入路233aの球出口235aに連通すると共に、下部開口が前記球導出部材236における球排出路236aの球入口237aに連通するよう構成されている。
【0068】
すなわち、別例3の遊技盤は、前記遊技領域21aを流下するパチンコ球を、前記球導入部材233の球導入路233aを介して前記第1のレンズ部61および第3のレンズ部222の間の球通路227に誘導可能に構成されると共に、当該球通路227に導かれたパチンコ球が前記球排出路236aを介して遊技領域21aに戻されるようになっている。このように、別例3の遊技盤21には、レンズ部材220(第1のレンズ部61)より上方位置で前記遊技領域21aに開口すると共に第1のレンズ部61および第3のレンズ部222の間の空間に連通する球導入路233aが形成されると共に、当該第1レンズ部61より下方位置で遊技領域21aに開口すると共に第1のレンズ部61および第3のレンズ部222の間の空間に連通する球排出路236aが形成され、当該球導入路233aおよび球排出路236aをレンズ部材220の球通路227で連通接続するよう構成されており、遊技領域21aを流下するパチンコ球が第1のレンズ部61の後方を通過し得るようになっている。
【0069】
また、前記第3のレンズ部222には、図19に示すように、前記光拡散部としての第4光拡散部223,224が形成されており、前記LED110aを発光させた際に、当該光拡散部223,224を透過して拡散された光が第1のレンズ部61に照射されるようになっている。ここで、前記第3のレンズ部222には、前面側に第4光拡散部223が形成されると共に、後面側に第5光拡散部224が略全面に設けられている。前記第3のレンズ部222の第4光拡散部223は、前記第1のレンズ部61に形成された第1光拡散部62と同様に、該第3のレンズ部222の前面側(第4光拡散部223側)を通過するパチンコ球の動きに対して影響しない程度に緩やかに起伏する凹凸形状に形成されると共に、当該第3のレンズ部222の第5光拡散部224は、第1のレンズ部61に形成された第2光拡散部66と同様に、第4光拡散部223の起伏よりも大きな起伏をなす凹凸形状に形成され、該第5光拡散部224を透過する光の拡散効果を、第4光拡散部223を透過する光の拡散効果よりも高くなるよう構成してある。このように、前記第3のレンズ部222には、パチンコ球が接触しない後面側に、光の拡散効果の高い第5光拡散部224を形成することで、第1および第3のレンズ部61,222の間の球通路227を通過するパチンコ球に対して影響を与えるのを避けつつ、第3のレンズ部222を透過する光の光拡散効果を向上させている。
【0070】
すなわち、別例3に係るレンズ部材220を備えた遊技盤21では、第1のレンズ部61に対して第3のレンズ部222が重なるよう位置することで、発光による装飾効果や演出効果の向上を図り得る。また、第1のレンズ部61と第2のレンズ部71の間だけでなく、第1のレンズ部61と第3のレンズ部222の間をパチンコ球が通過し得るよう構成することで、パチンコ球の通過に伴って光が遮られることで装飾効果や演出効果の向上を図り得る。更に、第1のレンズ部61および第3のレンズ部222の間を通過する遊技球は、該第1のレンズ部61や第2のレンズ部71を介して透視することができるから、パチンコ球の動きを確認しながら遊技を行うことができ、パチンコ球の動きによる面白みを与えることができる。また、第1および第2のレンズ部61,71の間の球通過領域Rをパチンコ球が通過する場合と、第1および第3のレンズ部61,222の間の球通路227をパチンコ球が通過する場合とで、パチンコ球が向かう経路を変えることができるから、遊技領域21aの外周側を流下するパチンコ球の行方に対する関心を高めることにも繋がる。また、別例3に係るレンズ部材220を備えたパチンコ機10に関しても、前述した実施例のレンズ部材60を備えたパチンコ機10と同様の作用効果を期待できる。
【0071】
なお、遊技機の構成は、前述したものに限られず、種々に変更することが可能である。以下にその一例を示す。
【0072】
(1) 実施例では、レンズ部材に光を照射する発光手段(発光体)を、球排出経路部材に取り付けるようにしたが、これに限られるものではなく、遊技盤に開設される開口部(装着口)に臨んでレンズ部材に光を照射し得るよう配設する構成であればよい。例えば、レンズ部材における第1のレンズ部の後方に発光手段の取付部を形成するようにしてもよい。また、遊技盤に開設される開口部(装着口)の形状や開設位置に関しても、実施例のものに限られず、遊技盤の任意位置に適宜の形状で形成することができる。
(2) 実施例のレンズ部材には、第1のレンズ部の前後両面に光拡散部を形成するよう構成したが、前面および後面の何れか片面のみに光拡散部を設ける構成であってもよい。また、第2のレンズ部の前面に光拡散部を形成するよう構成したが、これに限られるものではなく、前後の両面または後面のみに光拡散部を設ける構成とすることもできる。更に、第3のレンズ部を設ける構成にあっては、第3のレンズ部の前後両面に光拡散部を形成する構成に限らず、前面および後面の何れか片面のみに光拡散部を設ける構成も採用可能である。
(3) 実施例では、第1のレンズ部の前面に設けられる第1光拡散部を、後面に設けられる第2光拡散部よりも緩やかな起伏形状に形成したが、該第2光拡散部をより緩やかな起伏形状とすることもできる。また、第1のレンズ部における光拡散部の形態は、実施例に示したものに限られるものではなく、シボ加工やダイヤモンドカット等の光拡散処理を施すようにしてもよく、また光拡散シート等の光拡散機能を有する部材を別途取り付けるようにしてもよい。また、第3のレンズ部を設ける構成にあっても同様の構成を採用できることは当然である。
(4) また、第1のレンズ部の前後両面の光拡散部の形態を異ならせたが、同じ形態で光拡散部を設けることもできる。また、第3のレンズ部を設ける構成にあっても同様である。
(5) 実施例では、第1のレンズ部および第2のレンズ部を接続する接続部を第2のレンズ部に設けるよう構成したが、第1のレンズ部に接続部を設けるようにすることもでき、また接続部を別部材とすることもできる。同様に、第3のレンズ部を設ける構成において、第1のレンズ部および第3のレンズ部を接続する第2の接続部を第1のレンズ部に設けるよう構成したが、第3のレンズ部に第2の接続部を設けるようにすることもでき、また第2の接続部を別部材とすることもできる。
(6) 実施例では、第2のレンズ部を第1のレンズ部に対して遊技球の直径よりも大きい間隔を隔てて接続する接続部を円弧状の接続基部と、上下の端部に連接する上下の誘導部から構成したが、これに限られるものではなく、任意の形状とすることができる。
(7) 実施例では、第1のレンズ部と第2のレンズ部を接続する接続部を、案内レールの内側に、当該案内レールにおける遊技領域を画成する内周面に沿って湾曲するよう設けたが、案内レールを分断すると共に、案内レールの内周面に沿って湾曲するよう形成した接続部を分断した案内レールの間に配置して,当該接続部が案内レールの一部を成すよう構成することもできる。
(8) 第1のレンズ部の裏側から前記遊技盤の開口部の内部に延出する仕切り壁により、当該遊技盤の開口部内側の内部空間を3つの照明室に区画する構成を例示したが、これに限られるものではなく、2または4つ以上の照明室に区画するよう構成することもできる。また、仕切部材の形状としても、板状である必要はなく、任意の形状に形成することができる。例えば仕切り壁を格子状に形成したり、円筒状に形成するようにしてもよい。また、仕切り壁により画成される照明室を円形や星形等の任意形状に形成することができる。また、各照明室に対して2以上の発光体を配設してもよい。
(9) 実施例では、遊技機としてパチンコ機を例示して説明したが、これに限られるものではなく、アレンジボール機やピンボール機、スロットマシン機等の各種遊技機を採用し得る。
【0073】
また、本願には次のような技術的思想が含まれている。
(A) 請求項1記載の構成を含む遊技機に関し、
前記照明手段(220)は、
前記第1のレンズ部(61)の後方に重なるよう設けられると共に、前記発光体(110a)の光照射方向前方に位置するよう構成され、該発光体(110a)から照射される光を拡散する光拡散部(223,224)を有する第3のレンズ部(222)と、
前記第3のレンズ部(222)を前記第1のレンズ部(61)に対して遊技球の直径よりも大きい間隔を隔てて接続する第2の接続部(225)とを備え、
前記第1のレンズ部(61)より上方位置で前記遊技領域(21a)に開口すると共に第1のレンズ部(61)および第3のレンズ部(222)の間の空間(227)に連通する球導入路(233a)が形成されると共に、当該第1レンズ部より下方位置で遊技領域(21a)に開口すると共に第1のレンズ部(61)および第3のレンズ部(222)の間の空間(227)に連通する球排出路(236a)が形成されて、
前記遊技領域(21a)を流下する遊技球を、前記球導入路(233a)を介して第1のレンズ部(61)および第3のレンズ部(222)の間の空間(227)に誘導可能に構成されると共に、該第1のレンズ部(61)および第3のレンズ部(222)の間の空間(227)に導かれた遊技球が前記球排出路(236a)を介して遊技領域(21a)に排出されることを要旨とする。
この構成では、第1のレンズ部に対して第3のレンズ部が重なるよう位置することで、発光による装飾効果や演出効果の向上を図り得る。また、第1のレンズ部と第2のレンズ部の間だけでなく、第1のレンズ部と第3のレンズ部の間を遊技球が通過し得るよう構成することで、遊技球の通過に伴う装飾効果や演出効果の向上を図り得る。更に、第1のレンズ部および第3のレンズ部の間を通過する遊技球を、該第1および第2のレンズ部を介して透視することができるから、遊技球の動きを確認しながら遊技を行うことができ、遊技球の動きによる面白みを与えることができる。
(B) 請求項1記載の構成を含む遊技機に関して、
前記第1のレンズ部(61)および第2のレンズ部(71)は、前記遊技盤(21)の盤面に沿って延在する平板状に形成されて、前記第1のレンズ部(61)の光拡散部(62,66)は、該第1のレンズ部(61)の前面および後面に設けられると共に、該第2のレンズ部(71)の光拡散部(73)は、当該第2のレンズ部(71)における前面および後面の何れか片面に設けられたことを要旨とする。
このように、第1のレンズ部と第2のレンズ部に設ける光拡散部を異ならせることで、両レンズ部が前後に重なる領域と、両レンズ部が前後に重ならない領域での発光態様をより一層異ならせることができる。このとき、第1のレンズ部の前後両面に光拡散部を形成することで、当該第1のレンズ部だけを透過した光でも効果的な装飾や演出を行うことが可能となる。
(C) 前記B記載の構成を含む遊技機に関して、
前記第1のレンズ部(61)は、前面に形成される光拡散部(62)および後面に形成される光拡散部(66)の形態が異なることを要旨とする。
このように、第1のレンズ部の前後両面に形成される光拡散部の形態を変えることで、第1のレンズ部での光の拡散作用を高めることができ、装飾効果や演出効果の向上を図り得る。
【符号の説明】
【0074】
18 図柄表示装置(演出実行手段)
21 遊技盤
21a 遊技領域21a
23e 第5装着口(開口部)
30a 始動入賞口
60 レンズ部材(照明手段)
110a LED(照明手段、発光体)
61 第1のレンズ部
62 第1光拡散部(光拡散部)
66 第2光拡散部(光拡散部)
71 第2のレンズ部
73 第3光拡散部(光拡散部)
75 接続部
200 レンズ部材(照明手段)
202 仕切り壁
204 照明室
210 レンズ部材(照明手段)
214 球流下経路
220 レンズ部材(照明手段)
S 内部空間
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